説明

貯湯式給湯機の制御装置

【課題】 長時間不使用が続くときにバーナの燃焼回数を減らして、無駄な燃料の消費や騒音の発生を抑えることができる貯湯式給湯機の制御装置に関する。
【解決手段】 缶体1下部の内側に燃焼室3を配置し、缶体1と燃焼室3との間隙によって貯湯室4を構成し、缶体1上部の排気室2と燃焼室3を連通する煙道パイプ5を取り付け、缶体1側壁の給水管7と出湯管8との間に湯温センサ9を取り付ける。温度設定手段10と湯温センサ9の信号に基づいてバーナ6の燃焼の開始と停止を指示するバーナ制御手段11と、バーナ制御手段11の燃焼停止信号でカウント開始するタイマ手段12と、タイマ手段12がカウントアップした信号で作動する設定温度変更手段13を備え、設定温度変更手段13は温度設定手段10の設定温度STを所定温度低い設定温度TLに変更し、バーナ制御手段11が変更後の設定温度TLに基づいてバーナ6の燃焼の開始を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯式給湯機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筒状の缶体の上面板に隣接して排気筒に連なる排気室を設け、かつ、缶体下部の内側には燃焼室を配置し、該燃焼室の筒状の燃焼室側壁の下端は缶体に接続している。燃焼室の燃焼室天板は缶体の上面板と対向しており、上面板と燃焼室天板との間に複数本の煙道パイプを取付けて燃焼室と排気室とを連通し、前記缶体の上面板と燃焼室天板との間、及び、缶体と燃焼室との間隙によって貯湯室を構成している。
【0003】
貯湯室は筒状の燃焼室側壁と煙道パイプ側壁と缶体の上面板とを伝熱面積とする熱交換部分を構成し、缶体の側部の外側に取付けたバーナの先端は燃焼室に接続されており、バーナを燃焼すると燃焼炎と燃焼ガスは燃焼室に送られ、高温の燃焼ガスは煙道パイプから排気室を経て排気筒から排出され、このとき、貯湯室に貯えられた水が加熱される。
【0004】
缶体の下部側壁に給水管を、缶体の上部側壁に出湯管を開口し、給水管と出湯管との間の缶体の側壁に湯温センサを取り付けたから、温水の要求があって出湯管に向かって温水が流れると、冷水が給水管から貯湯室に入ってバーナの熱で加熱され、高温となって出湯管に送られる。このとき、湯温センサによって出湯温度が監視されており、バーナは湯温センサの出力によって運転と停止を繰り返すことで希望する湯温を得ている。
【0005】
即ち、缶体側壁には湯温センサを設け、給湯機の操作部には温度設定手段を設け、温度設定手段によって設定された湯温を下回ると湯温センサが検知し、バーナ制御手段が燃焼指令を出して、バーナは燃えたり消えたりの繰り返しを行ない、缶体の貯湯室に貯えた温水を一定の湯温に保つ構成となっている。
【0006】
一般的に湯温センサは給水管と出湯管の間の缶体側壁に設け、早めに湯温変化を検知してバーナ制御手段に燃焼指令を出すことで、消火と点火を繰り返すバーナが、着火から安定燃焼に移行する間に一定時間が必要であっても、給水管から送られる冷水を素早く加熱している。
【特許文献1】特開2003−74975号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
貯湯式給湯機は、長時間不使用の状態が続くときは放熱によって貯湯室の湯温が低下し、湯温が設定温度を下回ればバーナ制御手段が燃焼指令を出し、バーナが燃焼して設定された湯温を保持するものである。このため、長時間不使用が続くときに給湯機を運転したままにすると、バーナの燃焼が繰り返し行われて燃料を無駄に消費してしまうことになり、また、バーナ燃焼時に発生する音や振動が大きいため、夜間に給湯機を運転したままにしてバーナの燃焼が何回も行われると騒音苦情の原因となることがあった。
【0008】
一方、長時間お湯を使用しないときに給湯機の運転を停止しておけば、バーナの燃焼は行われず、無駄な燃料消費や騒音の問題は起こらないが、長時間不使用が続くと貯湯室の湯温が低下してしまうため、給湯機の運転を開始してから貯湯室の温水が設定温度に沸き上がるまでの時間が長くなり、すぐにお湯が使用できないため使い勝手が悪くなってしまうものであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記の課題を解決するもので、筒状の缶体1の上面板1aに隣接して排気室2を設け、かつ、缶体1下部の内側には燃焼室天板3aが上面板1aと対向すると共に筒状の燃焼室側壁3bの下端が缶体1に接続する燃焼室3を配置し、前記缶体1の上面板1aと燃焼室天板3aとの間、及び、缶体1と燃焼室側壁3bとの間隙によって貯湯室4を構成し、上面板1aと燃焼室天板3aとの間に複数本の煙道パイプ5を取り付けてバーナ6を接続した燃焼室3と排気室2とを連通し、かつ、缶体1下部側壁に給水管7を、缶体1上部側壁に出湯管8を開口し、給水管7と出湯管8との間の缶体1の側壁に湯温センサ9を取り付けた給湯機において、湯温を設定する温度設定手段10と湯温センサ9の信号に基づいてバーナ6の燃焼の開始と停止を指示するバーナ制御手段11と、所定時間tを計時するタイマ手段12と、温度設定手段10の設定温度STを変更する設定温度変更手段13とを備え、バーナ制御手段11の燃焼停止信号によってタイマ手段12がカウント開始し、タイマ手段12がカウントアップした信号によって設定温度変更手段13が温度設定手段10の設定温度STから所定温度低い設定温度TLに変更し、前記バーナ制御手段11は変更後の設定温度TLに基づいてバーナ6の燃焼の開始を指示することを特徴とするものである。
【0010】
また、前記設定温度変更手段13の設定温度TLを温度設定手段10の設定温度STに復帰させるリセット手段14を設け、該リセット手段14は湯温センサ12が前記設定温度TLを検出して、前記バーナ制御手段11が燃焼の開始信号を出力したときに作動し、前記バーナ制御手段11は復帰後の設定温度STに基づいてバーナ6の燃焼の停止を指示することによって、長時間不使用が続くときのバーナ6の燃焼開始温度と燃焼停止温度の差が大きくなるから、バーナ6が停止している時間が長くなってバーナ6の燃焼回数を少なくできる。
【0011】
また、前記温度設定手段10の設定温度STが所定温度以下のときに作動するキャンセル手段15を設け、該キャンセル手段15の作動時は前記バーナ制御手段11の燃焼停止信号で前記タイマ手段12がカウントを行わず、温度設定手段10の設定温度STを維持することによって、設定温度STが低いときは湯温が設定温度STまで低下する時間が長くなり、長時間不使用が続くときでもバーナ6の燃焼回数は少ないから、設定温度STを維持したまま使い勝手を優先させるものである。
【0012】
また、前記タイマ手段12はバーナ6の停止時間をカウントする長短二つの計時機能を備え、前記設定温度変更手段13は二つの設定温度TL1・TL2を備え、前記設定温度変更手段13は、前記タイマ手段12が短い所定時間t1をカウントアップした出力で設定温度STから所定温度低い第1の設定温度TL1に変更し、長い所定時間t2をカウントアップした出力で前記第1の設定温度TL1から所定温度低い第2の設定温度TL2に変更することによって、タイマ手段12が長い所定時間t2をカウントする前にお湯が使用されたときには第1の設定温度TL1でバーナ6が燃焼を開始するので、間隔をあけてお湯が使用されるときには湯温の低下を抑えて温水の温度むらを防ぐことができ、長時間不使用が続くときには確実にバーナ6の燃焼回数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、バーナ制御手段11の燃焼停止信号によってタイマ手段12がカウント開始し、タイマ手段12がカウントアップした信号によって設定温度変更手段13が設定温度STを所定温度低い設定温度TLに変更するものであり、長時間不使用が続いて貯湯室4の湯温が放熱によって低下するときは、湯温が設定温度TLに低下するまでの時間が長くなるので、バーナ6が停止している時間が長くなってバーナ6の燃焼回数を少なく抑えることができ、燃料が節約できると共に、バーナ6の燃焼による騒音の発生を抑えることができるものとなった。
また、貯湯室4に貯えられた温水は設定温度TLを維持して湯温を大きく低下させないから、バーナ6が燃焼を開始すれば貯湯室4の温水は短時間で温度設定手段10の設定温度STまで上昇するので、長時間不使用が続いた後にお湯を使用するときでもすぐにお湯が使用できるものとなった。
【0014】
また、長時間不使用が続いているときに湯温センサ9が設定温度TL以下を検出してバーナ制御手段11が燃焼開始信号を出力したときは、温度設定手段10の設定温度STに復帰させ、貯湯室4の温水を設定温度STまで沸き上げる。そして、湯温センサ9が設定温度STを検出してバーナ制御手段11が燃焼停止指令を出し、再び不使用の状態が続いてタイマ手段12がカウントアップしたときは設定温度変更手段13が設定温度TLに変更するので、バーナ6の燃焼停止温度と燃焼開始温度の差が大きくなり、バーナ6の燃焼が停止してから再びバーナ6が燃焼開始するまでの時間が長くなるので、バーナ6の燃焼回数を確実に少なくできるものとなった。
【0015】
また、温度設定手段10の設定温度STが低いときは放熱量も少なくなるから、設定温度STのまま長時間不使用が続いてもバーナ6の燃焼回数は少ないものである。このため、温度設定手段10の設定温度STが所定温度より低いときはキャンセル手段15が作動し、バーナ制御手段11の燃焼停止信号でタイマ手段12を作動せず、温度設定手段10の設定温度STを維持する構成としたから、長時間不使用の状態からお湯の使用を開始したときはすぐに設定温度STのお湯が使用できるものとなり、使い勝手を向上できる。
【0016】
また、タイマ手段12には長短二つの計時機能を備え、設定温度変更手段13は短い所定時間t1がタイムアップした出力で第1の設定温度TL1に変更し、長い所定時間t2がタイムアップした出力で第2の設定温度TL2に変更する構成としたから、バーナ6の燃焼が停止してから第2の設定温度TL2に変更するまでの時間を長くすることができ、タイマ手段12が長い所定時間t2をカウントする前にお湯が使用されたときは、湯温センサ9が第1の設定温度TL1を検出したときにバーナ制御手段11が燃焼開始信号を出力するから、貯湯室4の湯温の低下を抑えて短時間で温度設定手段10の設定温度STまで上昇させることができ、お湯を使用する間隔があいたときでも安定した湯温の温水を得ることができ、使い勝手が向上できた。
一方、お湯の使用がないまま長い所定時間t2がタイムアップしたときは第2の設定温度TL2に変更するので、長時間不使用が続くときは第2の設定温度TL2に低下するまでバーナ6が燃焼しないから、確実にバーナ6の燃焼回数を少なくでき、無駄な燃料消費や騒音の発生を防ぐことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は筒状の缶体、1aは缶体1の上面板、3は缶体1の下部内側に設けた燃焼室、3aは上面板1aと対向する燃焼室天板、3bは缶体1の下部内側に設けた燃焼室側壁、6は缶体1の側部の外側に取り付けたバーナであり、燃焼室3の下端は缶体1に接続されて二重構造に構成され、バーナ6の火炎を燃焼室3に吹き込んでいる。
【0018】
4は缶体1の上面板1aと燃焼室天板3aとの間、及び、缶体1と燃焼室側壁3bとの間隙によって構成される貯湯室、5は上面板1aと燃焼室天板3aとの間に取り付けた複数本の煙道パイプ、2は上面板1aの上部に隣接して設けた排気室、2aは排気室2に接続する排気筒であり、燃焼室3に送られた燃焼ガスは煙道パイプ5内部を通って排気室2に送られ、排気筒2aから室外に排気されると共に、貯湯室4内の水は燃焼室3の壁面と煙道パイプ5と上面板1aの熱と熱交換して高温となる。
【0019】
7は缶体1の下部側壁に開口した給水管、8は缶体1の上部側壁に開口した出湯管、9は給水管7と出湯管8との間で煙道パイプ5の側方の缶体1の側壁に設けた湯温センサである。
【0020】
図1において、10は給湯機の出湯温度を設定する温度設定手段、16は給湯機の運転の開始・停止操作を行う運転スイッチ、11はバーナ6に燃焼の開始と停止の指令を出すバーナ制御手段であり、温度設定手段10で設定された設定温度STに基づいてバーナ6の燃焼開始温度と燃焼停止温度が決定する。貯湯室4の温水の温度は湯温センサ9で監視され、温度設定手段10で設定された燃焼開始温度を検出したときは、バーナ制御手段11が燃焼指令を出してバーナ6が燃焼を開始し、貯湯室4に貯えた温水を指定の温度に沸き上げ、湯温センサ9が温度設定手段10で設定された燃焼停止温度を検出すると、バーナ制御手段11が燃焼停止指令を出してバーナ6が燃焼を停止する。
【0021】
そして、ユーザーが図示しない台所や洗面所などの蛇口を開けると、貯湯室4で加熱した温水が出湯管8から吐出され、代わって給水管7から送られる冷水が貯湯室4に供給されて湯温センサ9が湯温の低下を検出すると、再びバーナ制御手段11が燃焼指令を出してバーナ6が燃焼し、温度設定手段10で設定された湯温を維持できるものである。
【0022】
このように、ユーザーが台所や洗面所などで蛇口を開いたときは、始めに設定温度STの温水が出湯管8から供給されるから、立ち上がり温度特性は良く、また、熱交換部は燃焼室側壁3bと煙道パイプ5側壁と缶体1の上面板1aで構成されるので伝熱面積が大きく、貯湯室4の温水が早く上昇することができるので、極端な温度むらは少なく安定した湯温の温水が得られるものである。
【0023】
また、お湯を使用していないときは貯湯室4に貯えられた温水は放熱によって温度が低下するので、貯湯室4内の湯温が温度設定手段10で設定された燃焼開始温度になるとバーナ制御手段11が燃焼指令を出してバーナ6が燃焼するものであり、バーナ6が燃焼と停止を繰り返すことで温度設定手段10で設定された湯温を維持しているが、長時間不使用が続くときにバーナ6の燃焼回数が多くなると燃料を無駄に消費してしまうことになる。また、バーナ6が燃焼するときに大きな音と振動を発生させるため、夜間に給湯機を運転したままにしたときに、騒音苦情の原因となりやすい。
【0024】
無駄な燃料消費や騒音の問題を防ぐためには、長時間お湯を利用しないときに給湯機の運転を停止する必要があるが、長時間運転を停止すると貯湯室4の湯温が低下してしまうため、運転を開始したときに貯湯室4の温水が設定温度STに沸きあがるまでに時間がかかり、お湯が使用可能になるまで長時間待たなければならず、使い勝手が悪くなってしまう。
【0025】
12はバーナ制御手段11の燃焼停止信号を受けてカウント開始すると共に燃焼開始信号を受けてカウント停止するタイマ手段、13は前記温度設定手段10の設定温度STを変更する設定温度変更手段であり、湯温センサ9が温度設定手段10で設定された燃焼停止温度を検出してバーナ制御手段11が燃焼停止指令を出すと、バーナ6が燃焼を停止すると共にタイマ手段12にカウントの開始を指示する。また、タイマ手段12のカウント中に、湯温センサ9が温度設定手段10で設定された燃焼開始温度を検出してバーナ制御手段11が燃焼指令を出すと、バーナ6の燃焼が開始すると共にタイマ手段12にカウントの停止を指示する。
一方、カウントを開始したタイマ手段12が所定時間tをカウントすると、出力信号を設定温度変更手段13に送り、設定温度変更手段13はこの信号を受けて温度設定手段10で設定された設定温度STから所定温度低い設定温度TLに変更する。
【0026】
通常はユーザーがお湯を止めた後もバーナ6は燃焼を続けており、貯湯室4の湯温が上昇して湯温センサ9が温度設定手段10で設定された燃焼停止温度を検出するとバーナ制御手段11が燃焼停止信号を出力し、この信号を受けてタイマ手段12がカウント開始する。
タイマ手段12のカウント中にユーザーが再びお湯を使用したときは、給水管7から貯湯室4に冷水が供給されて湯温が低下し、温度設定手段10で設定された温度以下を湯温センサ9が検出するとバーナ制御手段11が燃焼信号を出力するので、タイマ手段12はカウントを停止するものであり、お湯を出したり止めたりを繰り返している間は温度設定手段10の設定温度STに基づいてバーナ6の燃焼と停止が行われる。
一方、ユーザーがお湯を止めてから不使用の状態が続いてタイマ手段12が所定時間tをカウントしたときは、設定温度変更手段13が温度設定手段10で設定された設定温度STを設定温度TLに変更する。そして、そのまま不使用の状態が長時間続くと、貯湯室4に貯えられた温水の温度が放熱によって低下するが、温水の温度が低下すると放熱量も少なくなって湯温の低下が遅くなるから、貯湯室4の湯温が設定温度TLまで低下するときの時間は設定温度STまで低下するときの時間に比べて格段に長くなり、バーナ6が停止した状態を長く維持できる。このため、給湯機を運転したまま長時間不使用の状態が続くときのバーナ6の燃焼回数を少なく抑えることができ、燃料の無駄な消費を抑えると共にバーナ6の燃焼による騒音の発生を抑えることができた。
【0027】
また、長時間不使用が続くときに貯湯室4の湯温は設定温度TLを維持しており、長時間不使用が続いた後にお湯が使用されたときは、はじめは設定温度STより低いお湯が吐出されるが、給水管7から送られる冷水が貯湯室4に供給されて設定温度TLを湯温センサ9が検出するとバーナ制御手段11が燃焼信号を出力するから、バーナ6が燃焼を開始すれば貯湯室4の温水は短時間で温度設定手段10の設定温度STまで上昇するので、長時間不使用を続けた後でもすぐにお湯を使用することができ、使い勝手が向上できた。
【0028】
14はバーナ制御手段11の燃焼開始信号を受けて作動するリセット手段であり、長時間不使用の状態が続いているときに、湯温センサ9が設定温度変更手段13で変更された設定温度TL以下を検出してバーナ制御手段11が燃焼指令を出すと、バーナ6が燃焼を開始すると共にリセット手段14が設定温度変更手段13の設定温度TLから温度設定手段10の設定温度STに復帰させる。
バーナ6が燃焼を開始すると貯湯室4の湯温が上昇し、温度設定手段10で設定された燃焼停止温度を湯温センサ9が検出するとバーナ制御手段11は燃焼停止信号を出力し、バーナ6の燃焼が停止すると共にタイマ手段12がカウント開始し、そのまま不使用の状態が続いてタイマ手段12がカウント終了するときは設定温度変更手段13が設定温度STから設定温度TLに変更するので、バーナ6の燃焼停止温度と燃焼開始温度の温度差が大きくなる。
貯湯室4の湯温が放熱によって低下するときは、湯温センサ9が再び設定温度TLを検出するまでの時間が長くなり、バーナ6が停止している時間が長くなるから、長時間不使用の状態が続くときにバーナ6の燃焼回数を確実に減らすことができ、燃料の無駄な消費を抑えると共に騒音の発生を抑えることができた。
【0029】
また、この発明の他の実施例において、15は温度設定手段10の設定温度STが所定温度よりも低く設定されたときに作動するキャンセル手段であり、キャンセル手段15が作動しているときはバーナ制御手段11が燃焼停止指令を出してもタイマ手段12がカウントを開始しないようにしており、長時間不使用が続くときでも温度設定手段10の設定温度STを保持する構成となっている。
設定温度STを設定温度変更手段13の設定温度TL付近まで下げて使用しているときは温水からの放熱が少なくバーナ6の燃焼回数が少ないから、設定温度STのままでも燃料の消費や騒音の問題はなく、長時間不使用が続いた後にお湯を使用するときには、すぐに設定温度STのお湯を使用することができるので、使い勝手が向上できる。
【0030】
また、この発明の他の実施例において、タイマ手段12には短い所定時間t1と長い所定時間t2の長短二つの計時機能を備えており、設定温度変更手段13は温度設定手段10の設定温度STより所定温度低い第1の設定温度TL1と、第1の所定温度TL1より所定温度低い第2の設定温度TL2を備えている。
バーナ制御手段11の燃焼停止指令によってタイマ手段12がカウントを開始し、短い所定時間t1のカウントを終了すると、出力信号をバーナ制御手段11に送り、バーナ制御手段11はこの信号を受けて温度設定手段10の設定温度STより所定温度低い第1の設定温度TL1に変更する。
更にタイマ手段12が長い所定時間t2のカウントを終了すると、出力信号をバーナ制御手段11に送り、バーナ制御手段11はこの信号を受けて第1の設定温度TL1から所定温度低い第2の設定温度TL2に変更する。
【0031】
このように高低二つの設定温度TL1・TL2を設けることによって、第2の設定温度TL2に変更する所定時間t2を長く設けることができ、タイマ手段12が長い所定時間t2をカウントする前にお湯が使用されたときは、湯温センサ9が第1の設定温度TL1を検出するとバーナ制御手段11が燃焼指令を出すので、温度設定手段10の設定温度STとの差が少ない状態でバーナ6が燃焼を開始でき、貯湯室4の湯温を短時間で設定温度STまで上昇させることができる。
このため、少し間隔をあけてお湯を使用する場合には、バーナ6が早めに燃焼を開始するので、湯温の低下を抑えて安定した湯温の温水が得られるものとなり、使い勝手が向上できた。また、長時間不使用が続くときには、湯温センサ9が第2の設定温度TLを検出するまでバーナ6が燃焼を開始しないので、確実にバーナ6の燃焼回数を確実に減らすことができ、燃料の無駄な消費を抑えると共に騒音の発生を抑えることができた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施例を示す給湯機のブロック図である。
【図2】この発明の実施例を示す給湯機の断面図である。
【図3】この発明の実施例を示す設定温度と湯温の関係を示すグラフである。
【図4】この発明の他の実施例を示す設定温度と湯温の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0033】
1 缶体
1a 上面板
2 排気室
3 燃焼室
3a 燃焼室天板
3b 燃焼室側壁
4 貯湯室
5 煙道パイプ
6 バーナ
7 給湯管
8 出湯管
9 湯温センサ
10 温度設定手段
11 バーナ制御手段
12 タイマ手段
13 設定温度変更手段
14 リセット手段
15 キャンセル手段
t 所定時間
t1 第1の所定時間
t2 第2の所定時間
TL 設定温度
TL1 第1の設定温度
TL2 第2の設定温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の缶体(1)の上面板(1a)に隣接して排気室(2)を設け、かつ、缶体(1)下部の内側には燃焼室天板(3a)が上面板(1a)と対向すると共に筒状の燃焼室側壁(3b)の下端が缶体(1)に接続する燃焼室(3)を配置し、
前記缶体(1)の上面板(1a)と燃焼室天板(3a)との間、及び、缶体(1)と燃焼室側壁(3b)との間隙によって貯湯室(4)を構成し、上面板(1a)と燃焼室天板(3a)との間に複数本の煙道パイプ(5)を取り付けてバーナ(6)を接続した燃焼室(3)と排気室(2)とを連通し、かつ、缶体(1)下部側壁に給水管(7)を、缶体(1)上部側壁に出湯管(8)を開口し、給水管(7)と出湯管(8)との間の缶体(1)の側壁に湯温センサ(9)を取り付けた給湯機において、
湯温を設定する温度設定手段(10)と湯温センサ(9)の信号に基づいてバーナ(6)の燃焼の開始と停止を指示するバーナ制御手段(11)と、
所定時間(t)を計時するタイマ手段(12)と、
温度設定手段(10)の設定温度(ST)を変更する設定温度変更手段(13)とを備え、
バーナ制御手段(11)の燃焼停止信号によってタイマ手段(12)がカウント開始し、タイマ手段(12)がカウントアップした信号によって設定温度変更手段(13)が温度設定手段(10)の設定温度(ST)から所定温度低い設定温度(TL)に変更し、
前記バーナ制御手段(11)は変更後の設定温度(TL)に基づいてバーナ(6)の燃焼の開始を指示することを特徴とする貯湯式給湯機の制御装置。
【請求項2】
前記設定温度変更手段(13)の設定温度(TL)を温度設定手段(10)の設定温度(ST)に復帰させるリセット手段(14)を設け、
該リセット手段(14)は湯温センサ(12)が前記設定温度(TL)を検出して、前記バーナ制御手段(11)が燃焼の開始信号を出力したときに作動し、
前記バーナ制御手段(11)は復帰後の設定温度(ST)に基づいてバーナ(6)の燃焼の停止を指示することを特徴とする請求項1に記載した貯湯式給湯機の制御装置。
【請求項3】
前記温度設定手段(10)の設定温度(ST)が所定温度以下のときに作動するキャンセル手段(15)を設け、該キャンセル手段(15)の作動時は前記バーナ制御手段(11)の燃焼停止信号で前記タイマ手段(12)がカウントを行わず、温度設定手段(10)の設定温度(ST)を維持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した貯湯式給湯機の制御装置。
【請求項4】
前記タイマ手段(12)はバーナ(6)の停止時間をカウントする長短二つの計時機能を備え、
前記設定温度変更手段(13)は二つの設定温度(TL1)・(TL2)を備え、
前記設定温度変更手段(13)は、前記タイマ手段(12)が短い所定時間(t1)をカウントアップした出力で設定温度(ST)から所定温度低い第1の設定温度(TL1)に変更し、
長い所定時間(t2)をカウントアップした出力で前記第1の設定温度(TL1)から所定温度低い第2の設定温度(TL2)に変更することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載した貯湯式給湯機の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−32136(P2010−32136A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195430(P2008−195430)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)