説明

貯湯式給湯機

【課題】混合弁が固着したとしても、給湯端末へ高温の湯を供給することのない安全性の高い貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の貯湯式給湯機は、湯を貯える貯湯タンク20と、貯湯タンク20の下部へ水を供給する第1給水管22と、貯湯タンク20の上部の湯を給湯端末へ供給する出湯管23と、第1給水管22から分岐した第2給水管24と、出湯管23と第2給水管24とを接続し適温の湯を生成する給湯混合手段25と、給湯混合手段25で生成した湯の温度を検出する給湯温度検出部26と、第1給水管22から第2給水管24が分岐する分岐点より前に水の供給を遮断する給水遮断弁29とを備え、給湯温度検出部26で検出する温度が所定温度以上であることを、所定時間の間検出した場合に、給水遮断弁29を閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに湯を貯えて給湯端末へ湯を供給する貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の貯湯式給湯器において、給湯端末へ供給する湯水は、貯湯タンク内の高温水と、給水源から供給される水とを、混合弁にて混合して生成される。一般的に、その混合弁の開度の制御は、混合弁の下流側にあるサーミスタで検出される温度情報を元にして、目標温度との温度偏差に応じて湯水の混合比を制御し、カラン等の給湯端末へ目標温度の湯を提供している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−179880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のように、混合弁で湯水を混合して給湯端末へ湯水を供給する構成である場合には、混合弁が固着した時には、サーミスタで検出される温度情報を基に混合弁を駆動することが出来なくなってしまうので、もし前回使用したときに、混合弁で混合される湯水の温度が高温に設定していたとしたら、給湯端末へ使用者の予期しない高温の湯水を供給してしまうという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、混合弁が固着したとしても、給湯端末へ高温の湯を供給することのない安全性の高い貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、湯を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部へ水を供給する第1給水管と、前記貯湯タンクの上部の湯を給湯端末へ供給する出湯管と、前記第1給水管から分岐した第2給水管と、前記出湯管と前記第2給水管とを接続し適温の湯を生成する給湯混合手段と、前記給湯混合手段で生成した湯の温度を検出する給湯温度検出部と、前記第1給水管から前記第2給水管が分岐する分岐点より前に水の供給を遮断する給水遮断弁とを備え、前記給湯温度検出部で検出する温度が所定温度以上であることを、所定時間の間検出した場合に、前記給水遮断弁を閉じることにより、給湯端末への湯水の供給をシャットアウトするので、安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、混合弁が固着したとしても、給湯端末へ高温の湯を供給することのない安全性の高い貯湯式給湯機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明の貯湯式給湯機は、湯を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部へ水を供給する第1給水管と、前記貯湯タンクの上部の湯を給湯端末へ供給する出湯管と、前記第1給水管から分岐した第2給水管と、前記出湯管と前記第2給水管とを接続し適温の湯を生成する給湯混合手段と、前記給湯混合手段で生成した湯の温度を検出する給湯温度検出部と、前記第1給水管から前記第2給水管が分岐する分岐点より前に水の供給を遮断する給水遮断弁とを備え、前記給湯温度検出部で検出する温度が所定温度以上であることを、所定時間の間検出した場合に、前記給水遮断弁を閉じることにより、給湯端末への湯水の供給をシャットアウトするので、安全性を向上させることができる。
【0008】
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、前記給水遮断弁が、前回駆動した時から、第1の所定時間経過するまでに駆動しておらず、かつ、現在給湯端末へ湯を供給していなければ、前記給水遮断弁を駆動することにより、給湯端末へ湯を供給していない時に、定期的に給水遮断弁を駆動しているので、使用者へ不便を掛けることなく、給水遮断弁自体の固着も防止することができる。
【0009】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第1または第2の発明において、前記給水遮断弁が、前回駆動した時から、第1の所定時間経過するまでに駆動しておらず、かつ、現在給湯端末へ湯を供給していれば、前記第1の所定時間経過後は、第2の所定時間の間、前記給湯端末への湯の供給がなければ、前記給水遮断弁を駆動することにより、使用者が第1の所定時間経過したときに使用していれば、そのまま給湯端末への湯水の供給を継続し、給湯端末への湯水の供給が停止した後は、すぐに給水遮断弁を駆動するのではなくて、まだ使用者の湯水の使用が継続するものと予測されるので、給湯端末への湯水の供給の停止後、さらに第2の所定時間の間は、給湯端末への湯水の供給があるかどうかを見ており、それでも給湯端末への湯水の供給がなければ給水遮断弁を駆動するので、さらに使用性の高い貯湯式給湯機を提供することができる。
【0010】
第4の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、毎日決まった時間に、給湯端末へ湯を供給していなければ、前記給水遮断弁を駆動することにより、例えば、駆動する時間を毎日夜中の4時に設定すれば、使用者が給湯をする可能性が低い時間に給水遮断弁を駆動することができるので、使用性が非常に高い。
【0011】
第5の発明の貯湯式給湯機は、特に第1から第4の発明において、前記給湯混合弁と給湯端末との間に、給湯遮断弁を設け、前記給湯温度検出部で検出する温度が所定温度以上であることを、所定時間の間検出した場合に、前記給湯遮断弁を閉じることにより、給湯混合手段の何かの不具合で高温のお湯が出た時、給水を遮断することなく給湯を停止することができ安全性を確保したまま、他の機能は引き続き使用できる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図である。実線矢印は湯水の流通方向を示し、点線は通信を示している。図1において、貯湯タンク20はヒートポンプや電気ヒーターなどで加熱された湯が貯えられる。本実施の形態では、電気ヒーター31によって加熱を行い、貯湯タンク20に湯を貯えているが、本実施の形態に限定されることがなく、ヒートポンプなどで貯湯タンク20内の湯を加熱してもよい。
【0014】
そして、お湯を蛇口33から出す動作を説明する。蛇口33を開くと、貯湯タンク20のお湯を、第1給水管である下部給水経路22からの水で上部に押し出し出湯管である給湯経路23から出湯し、第1給水管22より分岐した第2給水管である上部給水経路24の水とを給湯混合手段25で混合し、流量検出手段34が2L/min以上の流量を検出したときに、給湯温度検出部26で給湯温度を検出した温度を制御手段32からの指示で所定の給湯温度になるように給湯混合手段25で調整し給湯管27から蛇口33に導かれるようになっている。
【0015】
また何らかの不具合で貯湯タンク20から水漏れした場合、本体外装34の底面に設けた漏水センサー28で検出して給水管21に設けた給水遮断弁29で給水を遮断して貯湯タンク容量以上の水漏れをさせないようにしている。また、貯湯式給湯機の動作を指示するためのリモコン35を有する。
【0016】
以上のように構成された貯湯式給湯機について、以下本発明のその動作、作用を説明する。
【0017】
給湯時、給湯混合手段25の弁が経年変化などにより固着した時、給湯混合手段25による給湯温度のコントロールが出来なくなり、給湯温度検出部26により制御手段32は給湯温度の異常は検出できるが、給湯混合手段25が固着しているため、もし弁の位置がお湯側により過ぎていたところで止まったままになると、高温のお湯が出続ける状態になっていた。このとき給湯混合手段25の固着などの不具合で、高温のお湯が出て流量検出手段34が2L/min以上の流量を検出したときに給湯温度検出部26の温度が8秒以上60℃以上になった時、水漏れの時に作動させていた給水遮断弁29を作動させて給湯を停止する。
【0018】
このように、高温のお湯が出たままの状態が8秒続くと、給水遮断弁26によりお湯が遮断されるため安全性が向上する。
【0019】
図2は、給水遮断弁29に代えて、給湯管27には給湯を遮断できる給湯遮断弁30が接続されている貯湯式給湯機の構成を示した図である。これは、給水遮断弁29と同じように、給湯時、給湯混合手段25の弁が経年変化などにより固着した時、給湯混合手段25による給湯温度のコントロールが出来なくなり、給湯温度検出部26により制御手段32は給湯温度の異常は検出できるが、給湯混合手段25が固着しているため、もし弁の位置がお湯側により過ぎていたところで止まったままになると、高温のお湯が出続ける状態になっていた。このとき給湯混合手段25の固着などの不具合で、高温のお湯が出て流量検出手段34が2L/min以上の流量を検出したときに給湯温度検出部26の温度が8秒以上60℃以上になった時、給湯遮断弁30を作動させて給湯を停止する。
【0020】
このように、給水遮断弁29を作動させて給湯を停止すると他の風呂回路などへの給水も遮断され、風呂なども使用できなくなるが、給湯遮断弁30を持つ構成とすることで、風呂給湯など他の用途ではお湯が使用できる。このように、給湯混合手段25の固着などの不具合で高温のお湯が出た時、安全に給湯を停止することが、また他の機能は引き続き使用できる。
【0021】
さらに、給湯中に給湯温度検出部26の温度が8秒以上、60℃以上になり、給湯または給水が遮断された時に、制御手段32はリモコン35で異常内容を報知する構成としている。この構成により、使用者に的確に商品の異常状態をお知らせすることができるため、
販売店などにサービスの依頼が迅速に行える。
【0022】
また、異常で給湯を停止し、異常内容をリモコンに報知するときに、給湯混合手段25の異常か給湯温度の異常かを判断し、リモコン35で報知する内容を変える構成にしている。給湯混合手段25の異常の場合はH59を表示し、給湯温度の異常の場合はH87を表示する。このように、異常時にリモコンで表示する内容を切り分けることで的確に異常内容が確認できサービス性が向上することでより迅速に修理することが可能となる。
【0023】
次に、給水遮断弁29もしくは給湯遮断弁30自体が固着しないように、定期的に動作させるタイミングについて説明する。
【0024】
図3は、給水遮断弁29もしくは給湯遮断弁30を駆動するタイミングをチャートに示したものである。
【0025】
図3(a)において、通常の駆動方法としては、前回給水遮断弁29もしくは給湯遮断弁30を駆動した時から、第1の所定時間が経過した時には、給水遮断弁29(給湯遮断弁30)を再度駆動させる。なお、貯湯式給湯機を設置してから、初めて給水遮断弁29(給湯遮断弁30)を駆動するタイミングは、設置して運転開始をしてから所定時間経過後もしくは、設置して初めて夜中の定時を迎えた時としている。
【0026】
そして、第1の所定時間は、予め制御装置などにプログラムさせておいても良いし、リモコン35から使用者が時間を設定する構成でも良い。
【0027】
図3(b)は、通常の駆動方法で、前回駆動してから第1の所定時間が経過したので、給水遮断弁29(給湯遮断弁30)を駆動させようと思ったときに、使用者が給湯端末を使用していたという場合である。この場合には、第1の所定時間が経過しているにも関わらず給水遮断弁29(給湯遮断弁30)を駆動しない。
【0028】
そして、使用者が給湯端末で湯水の使用を停止してから、第2の所定時間の間は、給水遮断弁29(給湯遮断弁30)を駆動しない構成としている。これは、使用者が使用していることを認識してから、ある程度の時間は使用者が継続的に湯水を使用する可能性が高いため、停止してから第2の所定時間だけ給水遮断弁29(給湯遮断弁30)の駆動を待機して、使用者の使用性を損なうことがないようにしている。
【0029】
図3(c)は、第2の所定時間をカウント中に、再度使用者が給湯を行ったときのチャートである。図3(c)に示すように、第2の所定時間をカウント中に、再度給湯行為があった場合は、その給湯行為が停止してから、さらに第2の所定時間の間、給湯行為が無いことを確認してから給水遮断弁29(給湯遮断弁30)を駆動する構成としている。
【0030】
なお、第2の所定時間においても、予め制御装置などにプログラムされた値であってもよいし、リモコン35から使用者が時間を設定する構成でも良い。
【0031】
以上のように、本発明は、給水遮断弁29(もしくは給湯遮断弁30)を駆動させて、給湯混合手段が固着した際には、給水および給湯を遮断するので、使用者へ高温の湯を供給することがなく、安全性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明にかかる貯湯式給湯機の構成は、ヒートポンプ給湯機、電気温水器や燃料電池を使用したコジェネレーションシステム、ガスを使用した貯湯式給湯機等においても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図
【図2】他の実施例の貯湯式給湯機の構成図
【図3】給水遮断弁の動作フロー図
【符号の説明】
【0034】
20 貯湯タンク
21 給水管
22 下部給水経路
23 給湯経路
24 上部給水経路
25 給湯混合手段
26 給湯温度検出部
27 給湯管
28 漏水センサー
29 給水遮断弁
30 給湯遮断弁
31 電気ヒーター
32 制御手段
33 蛇口
34 本体外装
35 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部へ水を供給する第1給水管と、前記貯湯タンクの上部の湯を給湯端末へ供給する出湯管と、前記第1給水管から分岐した第2給水管と、前記出湯管と前記第2給水管とを接続し適温の湯を生成する給湯混合手段と、前記給湯混合手段で生成した湯の温度を検出する給湯温度検出部と、前記第1給水管から前記第2給水管が分岐する分岐点より前に水の供給を遮断する給水遮断弁とを備え、前記給湯温度検出部で検出する温度が所定温度以上であることを、所定時間の間検出した場合に、前記給水遮断弁を閉じることを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記給水遮断弁が、前回駆動した時から、第1の所定時間経過するまでに駆動しておらず、かつ、現在給湯端末へ湯を供給していなければ、前記給水遮断弁を駆動することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記給水遮断弁が、前回駆動した時から、第1の所定時間経過するまでに駆動しておらず、かつ、現在給湯端末へ湯を供給していれば、前記第1の所定時間経過後は、第2の所定時間の間、前記給湯端末への湯の供給がなければ、前記給水遮断弁を駆動することを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
毎日決まった時間に、給湯端末へ湯を供給していなければ、前記給水遮断弁を駆動することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
前記給湯混合弁と給湯端末との間に、給湯遮断弁を設け、前記給湯温度検出部で検出する温度が所定温度以上であることを、所定時間の間検出した場合に、前記給湯遮断弁を閉じることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−257623(P2009−257623A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104443(P2008−104443)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)