説明

貯湯温度制御装置、貯湯温水器、貯湯温度制御方法、及びプログラム

【課題】貯湯温水器において放熱を考慮した最適な湯温の制御を行うことができるようにする。
【解決手段】モデル記憶部251には、湯温モデル(1)、放熱量モデル(6)、及び貯湯熱量モデル(2)などを記憶する。予測気温取得部213は、単位時間ごとの気温の予測値を取得し、予測使用量取得部215は、単位時間ごとの使用量の予測値を取得し、予測取水温取得部214は、単位時間ごとの取水温の予測値を取得する。最適湯温計画作成部221は、各単位時間について、湯温を変化させるとともに、湯温、気温の予測値、及び使用量の予測値を各モデルに適用していき、放熱量が最小となり、放熱に係る電力料金が最小となり、又は加熱にかかる電力料金が最小となるような湯温の計画を作成する。加熱器制御部223は、湯温が最適湯温計画に沿うように加熱手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯温度制御装置、貯湯温水器、貯湯温度制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より保温可能な貯湯温水器が多く使用されている。従来の貯湯温水器では、温度センサで検出した貯湯の温度に応じてヒータ等の加熱手段を制御し、所定の温度まで湯水を加熱した後、その温度を維持することが行われている(特許文献1参照)。また、貯湯温水器において、時期に応じて通電時間を変化させることで省エネルギーを図る技術も提案されている。例えば、特許文献2には、設定された期間にヒータへの通電を遮断する温水器が開示されている。
【特許文献1】特開平9−264604号公報
【特許文献2】特開2003−279153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、貯湯温水器による湯水の加熱は一般的に料金の安価な深夜に行われることが多い。一方、1日のうち温水の使用量が最も多くなるのは入浴時間であることが知られている。したがって、それまで貯湯容器からは自然放熱されることになる。しかしながら、特許文献1、2などに開示される従来技術では、自然放熱を考慮した温度の設定は行われていない。
【0004】
また、近年ヒートポンプ式給湯器も製品化されているが、ヒートポンプ式給湯器は外気温が高い時に加熱効率が高くなる性質があるので、加熱は外気温が高いときに行うのが望ましい。しかしながら、外気温を考慮した加熱制御が行われていないのが現状である。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、貯湯温水器において放熱を考慮し、ヒートポンプ式給湯器では、更に加熱効率をも考慮した最適な湯温の制御を行うことのできる貯湯温度制御装置、貯湯温水器、貯湯温度制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明のうち請求項1に記載の発明は、湯水を蓄える貯湯容器と、この貯湯容器に蓄えられた湯水を加熱する加熱手段とを備える貯湯温水器における前記貯湯容器内の貯湯温度を制御する貯湯温度制御装置であって、前記貯湯容器の貯湯温度に基づいて当該貯湯容器に蓄えられた湯水の熱量である貯湯熱量を算出するための湯温モデルと、単位時間における湯温、前記貯湯温水器の設置場所の気温、及び前記貯湯容器に係る放熱係数に基づいて、前記単位時間における前記貯湯容器の放熱量を算出するための放熱量モデルと、前記単位時間における前記貯湯容器内の貯湯熱量、前記単位時間において使用される湯水の熱量である使用熱量、前記単位時間における前記放熱量、前記単位時間における加熱量、及び、前記単位時間において前記貯湯容器に供給される湯水の熱量である取水熱量に基づいて、前記単位時間の次の単位時間における貯湯熱量を算出する貯湯熱量モデルとを記憶するモデル記憶部と、所定の計画時間内の単位時間ごとの気温の予測値を取得する予測気温取得部と、前記単位時間ごとの湯水の使用量の予測値を取得する予測使用量取得部と、前記各単位時間についての複数の湯温を仮定し、前記仮定した湯温、前記気温の予測値、及び前記使用量の予測値を、前記湯温モデル、前記放熱量モデル、及び前記貯湯熱量モデルに適用していき、最適な湯温の組合せである最適湯温計画を作成する最適湯温計画作成部と、前記各単位時間の貯湯温度が、前記最適湯温計画に含まれる湯温になるように、前記加熱手段を制御する制御部と、を備えることとする。
本発明の貯湯温度制御装置によれば、放熱量を考慮した最適な湯温の計画を策定することができる。
【0007】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、前記最適湯温計画作成部は、前記仮定した湯温の組合せのうち、前記各単位時間についての前記放熱量の合計値が最小となるものを前記最適湯温計画とすることとする。
この場合、放熱量が最小となるように湯温を調節することができるので、自然放熱による無駄を省くことが可能となり、省エネルギーを実現することができる。
【0008】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、 請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、前記モデル記憶部はさらに、前記加熱手段に対する通電時間及び前記加熱手段の定格出力に基づいて、前記単位時間における加熱量を算出する加熱量モデルを記憶し、前記最適湯温計画作成部は、前記仮定した湯温の組合せのうち、前記各単位時間における加熱量と前記各単位時間についての前記放熱量とを加算した値の合計値が最小となるものを前記最適湯温計画とすることとする。
この場合、放熱量と加熱量との合計値が最小となるように最適湯温計画を作成することができる。よって、無駄な加熱や放熱を防ぎ、貯湯温水器の稼動コストを低減することができる。
【0009】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、時間帯ごとに、前記加熱量に基づいて電力料金を算出するための情報である電力価格情報を記憶する電力価格情報記憶部を備え、
前記最適湯温計画作成部は、前記各単位時間について、前記単位時間が所属する前記時間帯に対応する前記電力価格情報と、前記加熱量とに基づいて前記電力料金を算出し、前記仮定した湯温の組合せのうち、前記電力料金が最小となるものを前記最適湯温計画とすることとする。
この場合、加熱にかかる電力料金を最小とするように湯温を調節することができるので、貯湯温水器の稼動コストを低減することができる。また、計画時間内の各単位時間の電力価格を同じ価格にすれば、得られる結果は加熱と放熱に要する電力量が最小となる最適湯温計画とすることができる。
【0010】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の貯湯温度制御装置であって、前記加熱手段はヒートポンプであり、前記モデル記憶部はさらに、湯水の加熱目標温度と前記気温との差に基づいて、前記ヒートポンプの効率を示すCOPを算出するためのCOPモデルと、前記ヒートポンプに対する通電時間、所定の前記ヒートポンプの定格出力、及び前記COPに基づいて、前記単位時間における加熱量を算出する加熱量モデルと、を記憶し、前記最適湯温計画作成部は、前記各単位時間について、前記仮定した湯温を前記加熱目標温度として前記気温の予測値とともに前記COPモデルに適用して前記COPを算出し、前記COP及び前記加熱量を前記加熱量モデルに適用して前記通電時間を算出し、前記通電時間と前記電力価格情報とに基づいて前記電力料金を算出することとする。
加熱手段がヒートポンプである場合、外気温の高低によって必要な通電時間が変化し、これが電力料金に影響を及ぼす。請求項4に記載の発明によれば、気温に応じたCOPの変化を考慮して電力料金を算出することができる。すなわち、より精度の高い電力料金の予測を行うことが可能となる。よって、電力料金をより低減することができる。
【0011】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、時間帯ごとに、前記放熱量に基づいて電力料金を算出するための情報である電力価格情報を記憶する電力価格情報記憶部を備え、
前記最適湯温計画作成部は、前記各単位時間について、前記単位時間が所属する前記時間帯に対応する前記電力価格情報と、前記放熱量とに基づいて前記電力料金である損失額を算出し、前記仮定した湯温の組合せのうち、前記損失額が最小となるものを前記最適湯温計画とすることとする。
この場合、放熱量を電力料金に換算した金額(損失額)が最小となるように湯温を調節することができる。したがって、貯湯温水器にかかるコストを低減することができる。
【0012】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、前記貯湯容器の貯湯温度の最低温度及び最高温度を記憶する設定情報記憶部を備え、前記最適湯温計画作成部は、前記各単位時間について仮定した湯温の組合せの中で、全ての前記湯温が前記最低温度以上であり、かつ前記最高温度以下であるもののうち、最適なものを前記最適湯温計画とすることとする。
この場合、計画期間内の湯温が最低温度を下回らず、かつ最高温度を越えないような制約の下で最適な湯温の計画を策定することができる。湯温が最低温度を下回らないように計画するで、例えば通常は使用が見込まれないような時間帯であっても、偶発的に使用されることに備えて、所定の最低温度の湯温を保つことができる。また、湯温が最高温度を越えないように計画することで、貯湯容器で保温可能な最高温度以上に加熱し過ぎないようにすることもできる。
【0013】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貯湯温水器において放熱を考慮した最適な湯温の制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る貯湯温水器10について説明する。
本実施形態の貯湯温水器10では、予め放熱量が最も少なくなるように、所定の計画時間(本実施形態では24時間とする。)における各単位時間(本実施形態では1時間とする。)ごとの湯温の計画(以下、最適湯温計画という。)を決定しておき、貯湯容器内に蓄えられている湯水の温度(以下、貯湯温度という。)に応じて、貯湯温度が最適湯温計画に沿うように加熱器を制御する。
【0016】
==システム構成==
図1は、本実施形態に係る貯湯温水器10の構成例を示す図である。同図に示すように、本実施形態の貯湯温水器10は、貯湯容器11、加熱器12、温度センサ13、及び貯湯温度制御装置20を備えている。貯湯温水器10には、給水源(不図示)から貯湯容器11に給水するための給水管14と、湯の利用場所に設置される給水栓(不図示)などに貯湯容器11から出湯するための出湯管15とが接続されている。
【0017】
貯湯容器11は、湯水を蓄えるための容器であり、貯湯容器11ごとに所定の放熱係数が定まっている。
加熱器12は、貯湯容器11に蓄えられた湯水を加熱する。本実施形態において、加熱器12はヒートポンプ又は電熱器であるものとする。図1の例では、加熱器12は、貯湯容器11内に配置され、貯湯容器11に蓄えられている湯水を直接加熱するようにしているが、貯湯容器11を熱するようにしてもよいし、貯湯容器11から湯水を取り出し、加熱後の温水を貯湯容器11に戻すようにしてもよい。
温度センサ13は、貯湯容器11の貯湯温度を検出する。
貯湯温度制御装置20は、温度センサ13が検出した貯湯温度(以下、検出温度ともいう。)に応じて加熱器12を制御する。
【0018】
貯湯温度制御装置20は、通信回線30を介して情報提供装置40と通信可能に接続されている。情報提供装置40は、貯湯温水器10に対して各種の情報を提供するコンピュータである。情報提供装置40は、例えば、時間帯別の電気価格や、外気温の予測値、ヒートポンプの効率を表すCOP(Coefficient Of Performance;成績係数)などの各種の情報を貯湯温度制御装置20に提供する。情報提供装置40としては、例えば、電力会社や気象庁、貯湯温水器10を提供する事業会社などにより運用されるサーバなどを想定している。
【0019】
通信回線30は、例えば、公衆電話回線網や無線通信網、イーサネット(登録商標)などである。通信回線30は、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)などの通信ネットワークとして構築するようにしてもよい。なお、貯湯温度制御装置20が情報提供装置40にアクセスして各種の情報を取得する技術としては、一般的なものを利用することが可能である。貯湯温度制御装置20は、例えば、HTTP(HyperText Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)など一般的な通信規約に従って、情報提供装置40との間で通信を行う。情報の種類ごとに複数の情報提供装置40が設置されていてもよい。
【0020】
==貯湯温度制御装置==
図2は、貯湯温度制御装置20のハードウェア構成を示す図である。同図に示すように、貯湯温度制御装置20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、制御インタフェース205及び206を備えている。
【0021】
記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えば、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどである。CPU201は記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。
【0022】
通信インタフェース204は、通信回線30に接続するためのインタフェースであり、例えば、公衆電話回線網に接続するためのモデムや、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、無線回線網に接続するための無線通信器などである。制御インタフェース205及び206は、他の機器と接続するためのインタフェースである。制御インタフェース205及び206は、例えば、RS232C/422/485などのシリアルインタフェース、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、GPIB(General Purpose Interface Bus)インタフェースなどである。制御インタフェース205には、加熱器12が接続され、制御インタフェース206には、温度センサ13が接続される。
【0023】
図3は、貯湯温度制御装置20のソフトウェア構成を示す図である。同図に示すように、貯湯温度制御装置20は、設定情報取得部211、電力価格取得部212、予測気温取得部213、予測取水温取得部214、予測使用量取得部215、検出温度取得部216、最適湯温計画作成部221、最適湯温計画更新部222、加熱器制御部223、モデル記憶部251、設定情報記憶部252、及び最適湯温計画記憶部253を備えている。
【0024】
設定情報取得部211は、情報提供装置40にアクセスして、最適湯温計画の作成や加熱器12の制御などに用いられる各種の設定情報を取得する。なお、設定情報取得部211は、例えば、ボタンやキーボード、リモートコントローラなどの入力装置から設定情報の入力を受け付けるようにしてもよい。設定情報取得部211が取得した設定情報は設定情報記憶部252に登録される。設定情報取得部211が取得して設定情報記憶部252に登録される設定情報の一例を図4に示す。最低温度及び最高温度は、貯湯温度の最低温度及び最高温度である。最適湯温計画に含まれる全ての湯温が最低温度を下回らず、かつ最高温度を上回らないように、最適湯温計画が作成される。定格出力、COP、及び加熱効率(η)は、加熱器12の加熱による熱量(加熱量)を算出するための値であり、加熱器12により異なる定数である。COPは、消費電力1kWあたりの加熱の能力を表した値であり、外気温が低ければ加熱能力は低下するので、例えば、次のような式で1次近似できる。
COP=−a×(加熱目標温度−外気温(t))+b
ここで、a、bは機器性能で決定される定数である。
【0025】
電力価格取得部212は、情報提供装置40にアクセスし、情報提供装置40から時間帯別の電力価格を取得する。電力価格取得部212がアクセスする情報提供装置40は、例えば電力会社や貯湯温水器10の販売会社などにより運用されることを想定している。電力価格取得部212が取得する電力価格の一例を図5に示す。図5の例では、2つの時間帯に応じた電力価格(円/kWh)が示されている。なお、電力価格は、日付や曜日などに対応したものであってもよい。また、電力価格取得部212は、例えばタッチパネルやボタン、リモートコントローラ、キーボードなどの入力装置から電力価格の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0026】
予測気温取得部213は、情報提供装置40にアクセスし、情報提供装置40から時間ごとの気温の予測値(以下、予測気温という。)を取得する。予測気温取得部213がアクセスする情報提供装置40は、例えば気象庁や民間気象会社などにより運用されることを想定している。予測気温取得部213が取得する予測気温の一例を図6に示す。図6の例では、1時間ごとの日時に応じた予測気温(℃)が示されている。なお、予測気温は、季節や月などに対応したものであってもよい。また、予想気温を情報提供装置40から取得せずに、貯湯温水器10が温度計や湿度計などの測定器を備えるようにし、予測気温取得部213が、測定器からの測定値に基づいて気温の予測を行うようにしてもよい。
【0027】
予測取水温取得部214は、情報提供装置40にアクセスし、貯湯容器11に供給される水の水温(以下、取水温という。)の予測値(以下、予測取水温という。)を情報提供装置40から取得する。予測取水温取得部214がアクセスする情報提供装置40は、例えば気象庁や民間気象会社、水道会社、貯湯温水器10の販売会社などにより運用されることを想定している。予測取水温取得部214が取得する予測取水温の一例を図7に示す。図7の例では、日時に応じた予測取水温(℃)が示されている。なお、予測取水温は、季節などに応じたものであってもよい。また、予測取水温は、情報提供装置40から取得せずに、貯湯温水器10が給水管14の水温を測定する測定器を備えるようにし、予測取水温取得部214が測定器の測定値に基づいて予測をするようにしてもよい。例えば、予測取水温取得部214は、昨日の同時間帯の取水温の測定値を予測取水温とすることもできる。
【0028】
予測使用量取得部215は、情報提供装置40にアクセスし、情報提供装置40から時間帯ごとの湯水の使用量の予測値(以下、予測使用量という。)を取得する。予測使用量取得部215がアクセスする情報提供装置40は、例えば水道会社や貯湯温水器10の販売会社などにより運用されることを想定している。予測使用量取得部215が取得する予測使用量の一例を図8に示す。図8の例では、時間ごとの予測使用量(m)が示されている。なお、予測使用量は、季節や日時、曜日などに応じたものであってもよい。また、貯湯温水器10が設置される家庭の生活パターンや企業の使用パターンをメモリ202や記憶装置203などに記憶しておき、予測使用量取得部215がユーザからパターンの選択を受けるようにしてもよい。
検出温度取得部216は、温度センサ13が測定した検出温度を取得する。
【0029】
最適湯温計画作成部221は、モデル記憶部251に記憶されるモデルに従って最適湯温計画を作成する。モデル記憶部251は、最適湯温計画の作成に必要なモデルを記憶する。モデル記憶部251には、少なくとも以下の式により表されるモデルが記憶される。
【0030】
t時点(t=0〜24、なお0時は計画時間の開始時点、24時は計画時間の終了時点を示す。)における湯温は、t時点における貯湯熱量を、t時点における湯量で割ったものであり、次式(1)で表される。
湯温=貯湯熱量÷湯量 …(1)
【0031】
なお、本実施形態では、湯量は一定であるものとする。計画時間の終了時点における湯温24が、いわゆる沸き上がり湯温である。また、本発明の湯温モデルは、式(1)により表される。
【0032】
t+1時点における貯湯熱量t+1は、t時点における貯湯熱量から、t時点からt+1時点までの間に使用された湯水の熱量(使用熱量)と、t時点からt+1時点までの間に貯湯容器11から放熱された熱量(放熱量)とを減算し、t時点からt+1時点までの間に給水される水が有する熱量(取水熱量)と、t時点からt+1時点まで間の加熱量とを加算したものであり、次式(2)で表される。
貯湯熱量t+1=貯湯熱量−使用熱量−放熱量+取水熱量+加熱量 …(2)
なお、本発明の貯湯熱量モデルは、式(2)で表される。
【0033】
加熱器12が電熱器である場合、加熱量は、t時点からt+1時点までの間に加熱器12に通電された時間(通電時間;秒)に、電熱器の定格出力、及び3600を乗じ、4.19で割り、加熱効率(η)を乗じたものであり、次式(3)で表される。
加熱量=通電時間×電熱器定格出力×3600÷4.19×η …(3)
加熱器12がヒートポンプである場合には、加熱量は、通電時間に、ヒートポンプの定格出力、COP、及び3600を乗じ、4.19で割り、加熱効率(η)を乗じたものであり、次式(4)で表される。
加熱量=通電時間×ヒートポンプ定格出力×COP×3600÷4.19×η …(4)
ここで、COP=−a×(加熱目標温度−外気温(t))+b
【0034】
使用熱量は、t時点からt+1時点までの湯水の使用量に、t時点における湯温を乗じて求められ、次式(5)で表されるものとする。
使用熱量=使用量×湯温 …(5)
放熱量は、貯湯容器11の放熱係数を定数kとして、t時点での湯温からt時点での外気温を引いた値に、k及び湯量を乗じたものであり、次式(6)で表される。
放熱量=k×(湯温−外気温)×湯量 …(6)
なお、本発明の放熱量モデルは式(6)で表される。
取水熱量は、t時点に対応する取水温に、貯湯容器11に給水された水量(取水量)を乗じたものであり、次式(7)で表される。
取水熱量=取水温×取水量 …(7)
なお、本実施形態では、湯量は一定であるから、取水量は使用量と一致する。
【0035】
上記の式(1)〜(7)において、湯温及び加熱量には制約が与えられる。湯温は、設定情報記憶部252に記憶される最低温度及び最高温度の間であるものとされ、次式(8)により表される。
最低温度≦湯温≦最高温度 …(8)
また、通電時間は0秒以上かつ3600秒以下であるから、加熱量の制約は、加熱器12が電熱器の場合、次式(9)で表され、ヒートポンプである場合、式(10)で表される。
0≦加熱量≦電熱器定格出力×3600÷4.19×η …(9)
0≦加熱量≦ヒートポンプ定格出力×COP×3600÷4.19×η …(10)
【0036】
ここで、式(2)より、
加熱量=貯湯熱量t+1−貯湯熱量+使用熱量+放熱量−取水熱量 …(11)
であり、式(1)、式(5)及び式(6)より、貯湯熱量t+1、貯湯熱量、使用熱量、及び放熱量は、それぞれ湯温に依存し、湯量tは、貯湯容器11の容量として一定であり、使用量(及び取水量t)及び外気温は、予測値として所与であるものとしている。したがって、通電時間又は湯温が変数となりうるが、本実施形態では、湯温を変数とした。
【0037】
そこで、最適湯温計画作成部221は、湯温を変化させて、上記式(1)〜(10)を満たすようにシミュレーションを行い、放熱量の合計が最小となる湯温の組合せを算出し、算出した湯温の組合せを最適湯温計画として最適湯温計画記憶部253に登録する。なお、最適湯温計画作成部221による最適湯温計画の作成処理の詳細に付いては後述する。
【0038】
最適湯温計画更新部222は、貯湯温水器10の稼動中に、現在時点の検出温度に応じて、上記シミュレーションを再度行い、最適湯温計画記憶部253に記憶されている最適湯温計画を更新する。なお、最適湯温計画更新部222による最適湯温計画の更新処理の詳細については後述する。
【0039】
加熱器制御部223は、最適湯温計画記憶部253に記憶されている最適湯温計画に従って、加熱器12を制御する。すなわち、上記式に、湯温、使用量、外気温を代入して、通電時間を算出し、算出した通電時間だけ加熱器12に通電を行うような制御を行う。
【0040】
以下、最適湯温計画の作成及び更新の処理について説明する。図9は、最適湯温計画の作成処理の流れを示す図である。
【0041】
==最適湯温計画の作成処理==
最適湯温計画作成部221は、設定情報記憶部252に記憶されている最高温度をTとし(S501)、貯湯容器11の放熱係数kに最高温度及び貯湯容器11の容量(湯量)を乗じてHとする(S502)。
最適湯温計画作成部221は、第0時点における湯温をTとし(S503)、第24時点における湯温24すなわち沸き上がり湯温もTとして設定する(S504)。なお、本実施形態では、湯温24は、次の計画時間の開始時点でもあることから、計画時間の開始時点における湯温と、沸き上がり湯温とが一致するものとしているが、第0時点における湯温と、第24時点における湯温24は一致させなくてもよい。
最適湯温計画作成部221は、湯温(t=1〜23)を変化させて、計画時間内の放熱量(t=0〜23)の合計(以下、放熱量合計という。)が最小となるような湯温の組合せを算出する(S505)。なお、最適湯温計画作成部221は、動的計画法により、最適な湯温の組合せを算出するようにすることで、処理負荷を低減することができる。
最適湯温計画作成部221は、放熱量合計がHよりも小さい場合には(S506:YES)、Hに放熱量合計を設定し(S507)、ステップS504で求めた湯温の組合せを最適湯温計画とする(S508)。
最適湯温計画作成部221は、所定の変化量(ステップ値)をTから減算する(S509)。なお、ステップ値は、例えば、1℃や0.5℃などの所定の値であるものとし、設定情報記憶部252に記憶しておくようにしてもよい。
Tが最低温度以上であれば(S510:NO)、最適湯温計画作成部221は、ステップS503からの処理を繰り返す。
Tが最低温度を下回った場合(S510:YES)、最適湯温計画作成部221は、最適湯温計画を最適湯温計画記憶部253に登録する(S511)。
最適湯温計画作成部221が作成する最適湯温計画の一例を図10に示す。図10の例では、最適湯温計画には、各時点における貯湯温度に対応付けて、使用熱量や取水熱量などの各種の値が含まれている。
【0042】
以上のようにして、最適湯温計画作成部221は、計画時間の開始時点の湯温と終了時点の湯温とが同じ温度であり、計画時間中の各時点tにおける湯温が予め設定された最低温度以上かつ最高温度以下である湯温の組合せのうち、計画時間中における放熱量の合計が最も少なくなるような組合せを最適湯温計画として決定することができる。したがって、放熱による無駄を減らし、効率的な貯湯温水器10の運用を行うことができる。よって、貯湯温水器10の電力消費が低減され、貯湯温水器10に供給される電力の発電にかかる燃料消費を抑えることができるので、貯湯温水器10に電力を供給する電力会社による二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【0043】
また、本実施形態の貯湯温水器10は、式(6)に示される放熱量に着目しており、湯温と外気温との差が大きいほど放熱量は大きくなるので、特に外気温が低い季節には、放熱量を最小にするように湯温を設定することが効果的である。一般に、外気温の低い季節には、放熱を考慮して沸き上がり湯温は高めに設定され、その沸き上がり湯温を保持しようとして加熱が続けられることが多いが、本実施形態の貯湯温水器10によれば、貯湯温度が所定の最低温度以上であり、計画時間の最終時点で沸き上がり温度に達していることを条件として、放熱量を最小にすることができる。したがって、一般的な貯湯温水器に比べて、電力消費を効果的に低減することが可能となる。
【0044】
==最適湯温計画の更新処理==
加熱器制御部223は、上記のようにして決定された最適湯温計画に従って加熱器12の通電時間を制御する。加熱器制御部223による制御中、所定時間ごとに(例えば、各単位時間が終了するごと)、最適湯温計画更新部222は、現在の貯湯温度に応じて最適湯温計画の更新処理を行う。
【0045】
図11は、最適湯温計画の更新処理の流れを示す図である。
最適湯温計画更新部222は、現在時刻が所属する単位時間の開始時点をt1とし(S521)、t1の次の時点をt2とする(S522)。最適湯温計画更新部222は、第t1時点から第24時点までの湯温(t=t1〜24)を最適湯温計画記憶部253から読み出す(S523)。
検出温度取得部216は温度センサ13が測定した検出温度を取得し(S524)、最適湯温計画更新部222は、第t1時点での湯温t1を検出温度とする(S525)。
最適湯温計画更新部222は、第t2時点から第23時点までの湯温(t=t2〜23)を変化させて、放熱量合計が最小になるような湯温(t=t1〜24)の組合せを算出する(S523)。ここでも、最適湯温計画更新部222は、動的計画法を用いて最適な組合せを算出することで処理負荷を低減することができる。
最適湯温計画更新部222は、算出した湯温(t=t1〜24)で、最適湯温計画記憶部253を更新する(S524)。
【0046】
以上のようにして、最適湯温計画更新部222は、現在の湯温から最適湯温計画作成部221が算出した沸き上がり湯温に向けて、放熱量合計が最小となるように最適湯温計画を修正することができる。これにより、予定よりも多くの湯が使用されたり、外気温が予報よりも低くなったりといった誤差を適宜修正することが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態では、放熱量、すなわち放熱に係る熱量が最小となるように湯温を決定するものとしたが、放熱量に代えて、放熱に係る電力料金、すなわち損失額が最小となるように湯温を決定するようにしてもよい。この場合、放熱により無駄に消費される電力を金額に換算して金銭的な無駄を最小に抑えることが可能となる。
【0048】
また、放熱量に代えて、加熱にかかる電力料金が最小となるように湯温を算出するようにしてもよい。この場合、t時点の電力料金は、t時点からt+1時点までの加熱量に4.19を乗じた値を3600で割ったものに、t時点が属する時間帯の電力価格tを乗じたものであり、次式で表される。
電力料金=加熱量×4.19÷3600×電力価格
【0049】
最適湯温計画作成部221は、上記図9の処理において、湯温の組合せのうち、電力料金が最小となるものを、最適湯温計画として決定するようにする。これにより、貯湯温水器10の運用にかかる電力料金を最小にすることができる。
【0050】
さらに、放熱量と加熱量との合計値が最小となるように湯温を決定するようにしてもよい。この場合、放熱による無駄を防ぐとともに、無駄な加熱をも防ぐように最適湯温計画を作成することが可能となる。なお、各時点における電力価格を一定とした上で、上述のように電力料金が最小となる最適湯温計画を作成しても、放熱量と加熱量との合計値が最小となるように湯温を決定することができる。
【0051】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0052】
例えば、本実施形態では、貯湯温度制御装置20が貯湯温水器10と一体となっているものとしたが、貯湯温水器10とは別体の装置として設置するようにしてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、湯温を変化させて最適湯温計画を作成するものとしたが、t時点からt+1時点までの通電時間を変化させて最適湯温計画を作成するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、電力料金は加熱量に基づいて算出するものとしたが、時間帯及び通電時間に基づいて算出するようにしてもよい。この場合、加熱器12がヒートポンプであれば、外気温の変化によってCOPが変化するので、気温に応じたCOPの変化を考慮して電力料金を算出することができる。すなわち、より精度の高い電力料金の予測を行うことが可能となる。よって、電力料金をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】貯湯温水器10の構成例を示す図である。
【図2】貯湯温度制御装置20のハードウェア構成を示す図である。
【図3】貯湯温度制御装置20のソフトウェア構成を示す図である。
【図4】設定情報取得部211が取得し、設定情報記憶部252に登録される設定情報の一例を示す図である。
【図5】電力価格取得部212が取得する電力価格の一例を示す図である。
【図6】予測気温取得部213が取得する予測気温の一例を示す図である。
【図7】予測取水温取得部214が取得する予測取水温の一例を示す図である。
【図8】予測使用量取得部215が取得する予測使用量の一例を示す図である。
【図9】最適湯温計画の作成処理の流れを示す図である。
【図10】最適湯温計画作成部221が作成する最適湯温計画の一例を示す図である。
【図11】最適湯温計画の更新処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 貯湯温水器
11 貯湯容器
12 加熱器
13 温度センサ
14 給水管
15 出湯管
20 貯湯温度制御装置
30 通信回線
40 情報提供装置
201 CPU
202 メモリ
203 記憶装置
204 通信インタフェース
205 制御インタフェース
206 制御インタフェース
211 設定情報取得部
212 電力価格取得部
213 予測気温取得部
214 予測取水温取得部
215 予測使用量取得部
216 検出温度取得部
221 最適湯温計画作成部
222 最適湯温計画更新部
223 加熱器制御部
251 モデル記憶部
252 設定情報記憶部
253 最適湯温計画記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を蓄える貯湯容器と、この貯湯容器に蓄えられた湯水を加熱する加熱手段とを備える貯湯温水器における前記貯湯容器内の貯湯温度を制御する貯湯温度制御装置であって、
前記貯湯容器の貯湯温度に基づいて当該貯湯容器に蓄えられた湯水の熱量である貯湯熱量を算出するための湯温モデルと、単位時間における湯温、前記貯湯温水器の設置場所の気温、及び前記貯湯容器に係る放熱係数に基づいて、前記単位時間における前記貯湯容器の放熱量を算出するための放熱量モデルと、前記単位時間における前記貯湯容器内の貯湯熱量、前記単位時間において使用される湯水の熱量である使用熱量、前記単位時間における前記放熱量、前記単位時間における加熱量、及び、前記単位時間において前記貯湯容器に供給される湯水の熱量である取水熱量に基づいて、前記単位時間の次の単位時間における貯湯熱量を算出する貯湯熱量モデルとを記憶するモデル記憶部と、
所定の計画時間内の単位時間ごとの気温の予測値を取得する予測気温取得部と、
前記単位時間ごとの湯水の使用量の予測値を取得する予測使用量取得部と、
前記各単位時間についての複数の湯温を仮定し、前記仮定した湯温、前記気温の予測値、及び前記使用量の予測値を、前記湯温モデル、前記放熱量モデル、及び前記貯湯熱量モデルに適用していき、最適な湯温の組合せである最適湯温計画を作成する最適湯温計画作成部と、
前記各単位時間の貯湯温度が、前記最適湯温計画に含まれる湯温になるように、前記加熱手段を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする貯湯温度制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、
前記最適湯温計画作成部は、前記仮定した湯温の組合せのうち、前記各単位時間についての前記放熱量の合計値が最小となるものを前記最適湯温計画とすること、
を特徴とする貯湯温度制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、
前記モデル記憶部はさらに、前記加熱手段に対する通電時間及び前記加熱手段の定格出力に基づいて、前記単位時間における加熱量を算出する加熱量モデルを記憶し、
前記最適湯温計画作成部は、前記仮定した湯温の組合せのうち、前記各単位時間における加熱量と前記各単位時間についての前記放熱量とを加算した値の合計値が最小となるものを前記最適湯温計画とすること、
を特徴とする貯湯温度制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、
時間帯ごとに、前記加熱量に基づいて電力料金を算出するための情報である電力価格情報を記憶する電力価格情報記憶部を備え、
前記最適湯温計画作成部は、前記各単位時間について、前記単位時間が所属する前記時間帯に対応する前記電力価格情報と、前記加熱量とに基づいて前記電力料金を算出し、前記仮定した湯温の組合せのうち、前記電力料金が最小となるものを前記最適湯温計画とすること、
を特徴とする貯湯温度制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の貯湯温度制御装置であって、
前記加熱手段はヒートポンプであり、
前記モデル記憶部はさらに、
湯水の加熱目標温度と前記気温との差に基づいて、前記ヒートポンプの効率を示すCOPを算出するためのCOPモデルと、
前記加熱手段に対する通電時間、前記加熱手段の定格出力、及び前記COPに基づいて、前記単位時間における加熱量を算出する加熱量モデルと、
を記憶し、
前記最適湯温計画作成部は、前記各単位時間について、前記仮定した湯温を前記加熱目標温度として前記気温の予測値とともに前記COPモデルに適用して前記COPを算出し、前記COP及び前記加熱量を前記加熱量モデルに適用して前記通電時間を算出し、前記通電時間と前記電力価格情報とに基づいて前記電力料金を算出すること、
を特徴とする貯湯温度制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、
時間帯ごとに、前記放熱量に基づいて電力料金を算出するための情報である電力価格情報を記憶する電力価格情報記憶部を備え、
前記最適湯温計画作成部は、前記各単位時間について、前記単位時間が所属する前記時間帯に対応する前記電力価格情報と、前記放熱量とに基づいて前記電力料金である損失額を算出し、前記仮定した湯温の組合せのうち、前記損失額が最小となるものを前記最適湯温計画とすること、
を特徴とする貯湯温度制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の貯湯温度制御装置であって、
前記貯湯容器の貯湯温度の最低温度及び最高温度を記憶する設定情報記憶部を備え、
前記最適湯温計画作成部は、前記各単位時間について仮定した湯温の組合せの中で、全ての前記湯温が前記最低温度以上であり、かつ前記最高温度以下であるもののうち、最適なものを前記最適湯温計画とすること、
を特徴とする貯湯温度制御装置。
【請求項8】
貯湯温水器であって、
湯水を蓄える貯湯容器と、
前記貯湯容器に蓄えられた湯水を加熱する加熱手段と、
前記貯湯容器の貯湯温度に基づいて当該貯湯容器に蓄えられた湯水の熱量である貯湯熱量を算出するための湯温モデルと、単位時間における湯温、前記貯湯温水器の設置場所の気温、及び前記貯湯容器に係る放熱係数に基づいて、前記単位時間における前記貯湯容器の放熱量を算出するための放熱量モデルと、前記単位時間における前記貯湯容器内の貯湯熱量、前記単位時間において使用される湯水の熱量である使用熱量、前記単位時間における前記放熱量、前記単位時間における加熱量、及び、前記単位時間において前記貯湯容器に供給される湯水の熱量である取水熱量に基づいて、前記単位時間の次の単位時間における前記貯湯熱量を算出する貯湯熱量モデルとを記憶するモデル記憶部と、
所定の計画時間内の単位時間ごとの気温の予測値を取得する予測気温取得部と、
前記単位時間ごとの湯水の使用量の予測値を取得する予測使用量取得部と、
前記各単位時間についての複数の湯温を仮定し、前記仮定した湯温、前記気温の予測値、及び前記使用量の予測値を、前記湯温モデル、前記放熱量モデル、及び前記貯湯熱量モデルに適用していき、最適な湯温の組合せである最適湯温計画を作成する最適湯温計画作成部と、
前記各単位時間の貯湯温度が、前記最適湯温計画に含まれる湯温になるように、前記加熱手段を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする貯湯温水器。
【請求項9】
湯水を蓄える貯湯容器と、この貯湯容器に蓄えられた湯水を加熱する加熱手段とを備える貯湯温水器における前記貯湯容器内の貯湯温度を制御する方法であって、
前記貯湯容器の貯湯温度に基づいて当該貯湯容器に蓄えられた湯水の熱量である貯湯熱量を算出するための湯温モデルと、単位時間における湯温、前記貯湯温水器の設置場所の気温、及び前記貯湯容器に係る放熱係数に基づいて、前記単位時間における前記貯湯容器の放熱量を算出するための放熱量モデルと、前記単位時間における前記貯湯容器内の貯湯熱量、前記単位時間において使用される湯水の熱量である使用熱量、前記単位時間における前記放熱量、前記単位時間における加熱量、及び、前記単位時間において前記貯湯容器に供給される湯水の熱量である取水熱量に基づいて、前記単位時間の次の単位時間における貯湯熱量を算出する貯湯熱量モデルとを記憶する記憶手段を備えるコンピュータが、
所定の計画時間内の単位時間ごとの気温の予測値を取得し、
前記単位時間ごとの湯水の使用量の予測値を取得し、
前記各単位時間についての複数の湯温を仮定し、前記仮定した湯温、前記気温の予測値、及び前記使用量の予測値を、前記湯温モデル、前記放熱量モデル、及び前記貯湯熱量モデルに適用していき、最適な湯温の組合せである最適湯温計画を作成し、
前記各単位時間の貯湯温度が、前記最適湯温計画に含まれる湯温になるように、前記加熱手段を制御すること、
を特徴とする貯湯温度制御方法。
【請求項10】
湯水を蓄える貯湯容器と、この貯湯容器に蓄えられた湯水を加熱する加熱手段とを備える貯湯温水器における前記貯湯容器内の貯湯温度を制御するためのプログラムであって、
前記貯湯容器の貯湯温度に基づいて当該貯湯容器に蓄えられた湯水の熱量である貯湯熱量を算出するための湯温モデルと、単位時間における湯温、前記貯湯温水器の設置場所の気温、及び前記貯湯容器に係る放熱係数に基づいて、前記単位時間における前記貯湯容器の放熱量を算出するための放熱量モデルと、前記単位時間における前記貯湯容器内の貯湯熱量、前記単位時間において使用される湯水の熱量である使用熱量、前記単位時間における前記放熱量、前記単位時間における加熱量、及び、前記単位時間において前記貯湯容器に供給される湯水の熱量である取水熱量に基づいて、前記単位時間の次の単位時間における貯湯熱量を算出する貯湯熱量モデルとを記憶する記憶手段を備えるコンピュータに、
所定の計画時間内の単位時間ごとの気温の予測値を取得するステップと、
前記単位時間ごとの湯水の使用量の予測値を取得するステップと、
前記各単位時間についての複数の湯温を仮定し、前記仮定した湯温、前記気温の予測値、及び前記使用量の予測値を、前記湯温モデル、前記放熱量モデル、及び前記貯湯熱量モデルに適用していき、最適な湯温の組合せである最適湯温計画を作成するステップと、
前記各単位時間の貯湯温度が、前記最適湯温計画に含まれる湯温になるように、前記加熱手段を制御するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−257703(P2009−257703A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109444(P2008−109444)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)