説明

貯湯給湯システム

【課題】 熱源ユニットと貯湯ユニットとの間を熱回収用循環配管で接続する際に誤接続が発生したとしても、温度検出や切換制御等を行うことなく、自動的に、熱回収のための本来意図する正しい循環流れにし得るようにした貯湯給湯システムを提供する。
【解決手段】 循環ポンプ27を熱源ユニット側の循環流路部28に介装し、誤接続のおそれのある接続用循環配管15,15を挟んで、流通方向規制手段4を貯湯ユニット側の循環流路部32に介装する。戻り側循環流路部32aに第1逆止弁41、往き側循環流路部32bに第2逆止弁42を介装し、第1連通流路部32cに第3逆止弁43、第2連通流路部32dに第4逆止弁44を介装する。循環配管15,15が互い違いに接続されても、貯湯タンク31の底部から低温湯水を取り出し、高温湯水を頂部に供給し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯給湯システムに関し、例えば燃料電池やヒートポンプ等の熱源ユニットと、熱源ユニットの熱を回収して蓄熱する貯湯ユニットとの間に接続される熱回収用循環配管がたとえ誤接続されたとしても、不都合を発生させることなく、熱回収を継続させるための技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池装置において、発電ユニットと、貯湯ユニットとの間に接続される往き側及び戻り側の熱回収循環配管が誤接続された場合に備え、その対策手段を設けたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1では、貯湯ユニットの貯湯タンクからの低温戻り配管と、貯湯タンクへの高温往き配管とを発電ユニットに対し四方弁を介して配管接続し、戻り側と往き側との温度検出により温度傾向が逆転していれば、戻り側と往き側との配管を互いに取り違えた誤接続が発生していると判定し、前記四方弁により流れの向きを逆転させるように弁切換制御するという、誤接続発生の判定と、その対策制御が記載されている。
【0003】
なお、戻り及び往きの各配管を取り違えて接続するという誤接続に対する対策技術として、風呂追い焚きに用いられる浴槽循環金具の分野では、極性を無くして無極性にし、浴槽外側の一対の接続口に対し戻り及び往きの各配管をいずれに接続させても、浴槽内側においては同じ流れの向きになるようにし得ることが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−130252号公報
【特許文献2】特開2003−279163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1で提案の技術では、一対の温度センサの設置と、その一対の温度センサにより検出される検出温度特性の監視とによって、誤接続の有無の判定を行い、その上で、誤接続判定時には四方弁を用いて流れ方向を逆転切換制御するというように、温度センサの設置に加え、制御に要する制御構成を搭載することを必要としている。このため、コスト増や煩雑さを招くことになる。
【0006】
一方、誤接続に対する対策を施さないと、現場施工において誤接続が万一発生した場合に、熱効率が悪化したり、貯湯タンク内の温度成層化が不能になったりする不都合を招くことになる。すなわち、誤接続のまま、熱回収のための循環運転を行うと、貯湯タンクの底部から取り出された低温湯が熱回収用の熱交換器に対し逆流状態で流されてしまう結果、熱交換による熱回収の効率が低下したり、あるいは、熱回収された高温湯が貯湯タンクの底部に流入されてしまう結果、本来は、高温湯を貯湯タンクの頂部に流し込むことで、貯湯タンクの上部ほど高温になるように温度成層を形成するということが不能になったりすることになる。さらに、その上に、誤接続を解消するにも、内部の湯水又は熱媒を全て抜いた上で、接続配管をやり直すことになるため、多大な手間を要することになる。
【0007】
かかる誤接続の対策として浴槽循環金具の分野で用いられている無極化の技術を適用することも考えられるものの、一側が浴槽内の湯水である追い焚き循環経路と異なり、熱回収のために熱交換器への流れ方向が既定とされている熱回収用循環経路に対し単に適用するだけでは、循環作動そのものが不能となるおそれが考えられる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱源ユニットと貯湯ユニットとの間を熱回収用循環配管で接続する際に誤接続が発生したとしても、温度検出や切換制御等を行うことなく、自動的に、熱回収のための本来意図する正しい循環流れにし得るようにした貯湯給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明では、熱源部を有する熱源ユニット、貯湯部を有する貯湯ユニットと、これら熱源ユニット及び貯湯ユニットを互いに接続する一対の接続用循環配管と、この一対の接続用循環配管により熱源ユニット及び貯湯ユニットの双方の循環流路部が互いに接続されることで構成される熱回収用循環流路と、その作動により熱媒を前記熱回収用循環流路に循環させる循環ポンプとを備え、前記循環ポンプの作動により前記貯湯ユニットの貯湯部から供給された熱媒が前記熱源ユニットの熱源部で加熱された上で前記貯湯ユニットに戻されて貯湯部において蓄熱されるように構成された貯湯給湯システムを対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記熱回収用循環流路内において前記熱源部及び貯湯部に対する熱媒の流通方向を特定の一方向に規制する流通方向規制手段を備えることとする。そして、前記循環ポンプが前記熱源ユニット及び貯湯ユニットの内のいずれか一側のユニットの循環流路部に介装される一方、前記流通方向規制手段を、前記一対の接続用循環配管を挟んで前記循環ポンプが設けられていない側のユニットの循環流路部に介装することとした(請求項1)。
【0010】
本発明の場合、貯湯ユニット側の戻り側及び往き側の一対の接続口と、熱源ユニット側の戻り側及び往き側の一対の接続口とに対し、本来は戻り側の接続口同士を接続用循環配管で接続し、往き側の接続口同士を接続用循環配管で接続するところ、これを互い違いの接続口同士を循環配管で接続するような誤接続が発生しても不都合が生じることはない。すなわち、その誤接続に起因して、貯湯ユニット及び熱源ユニットの内、循環ポンプが介装された側のユニットから流通方向規制手段が介装された側のユニットの接続口に対する流れの向きが、本来の接続形態の場合とは逆向きになってしまうことになるものの、流通方向規制手段によって、熱源部及び貯湯部に対する熱媒の流通方向は特定の一方向に規制されるため、本来の接続形態の場合と同様の熱回収のための循環運転を継続し得ることになる。これにより、熱源ユニットと貯湯ユニットとの間を熱回収用循環配管で接続する際に誤接続が発生したとしても、温度検出や切換制御等を行うことなく、自動的に、熱回収のための本来意図する正しい循環流れにし得るようにした貯湯給湯システムを提供し得ることとなる。
【0011】
本発明の貯湯給湯システムにおける流通方向規制手段としては、戻り側及び往き側の一対の循環流路部と、戻り側及び往き側の互いに逆向きの流れ方向にのみ流れるよう前記一対の循環流路部にそれぞれ介装された逆止弁と、前記戻り側循環流路部の逆止弁よりも上流側位置から前記往き側循環流路部の逆止弁よりも上流側位置まで延びて互いに連通する第1連通流路部と、前記循環ポンプの作動により作用することになる吸引圧又は吐出圧を受けて前記戻り側循環流路部の逆止弁が閉じるときに流通を許容するよう前記第1連通流路に介装された逆止弁と、前記戻り側循環流路部の逆止弁よりも下流側位置から前記往き側循環流路部の逆止弁よりも下流側位置まで延びて互いに連通する第2連通流路部と、前記循環ポンプの作動により作用することになる吸引圧又は吐出圧を受けて前記往き側循環流路部の逆止弁が閉じるときに流通を許容するよう前記第2連通流路に介装された逆止弁とを備えて構成することができる(請求項2)。
【0012】
このようにすることにより、本発明の流通方向規制手段の構成を具体化することができ、本発明による作用を確実に得られることになる。すなわち、一対の接続用循環配管が本来の接続形態とは異なり互い違いに接続され、これにより、循環ポンプからの吸引圧又は吐出圧のかかり方が変化して、戻り側循環流路部の逆止弁が閉じてしまっても、その代わりに第1連通流路部の逆止弁が開き、又、往き側循環流路部の逆止弁が閉じてしまっても、その代わりに第2連通流路部の逆止弁が開くことになる。このため、一対の接続用循環配管が互い違いに接続されることに起因して、循環ポンプが介装された側のユニットから流通方向規制手段が介装された側のユニットに対する流れの向きが逆になったとしても、戻り側循環流路部側から往き側循環流路部側へ、及び、往き側循環流路部側から戻り側循環流路部側へ、それぞれ流れの向きが流通方向規制手段により変更されて直されることになる。これにより、熱源ユニットの熱源部に対する熱媒の流通方向や、貯湯ユニットの貯湯部に対する熱媒の流通方向を特定の一方向に規制し得ることになる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、本発明の貯湯給湯システムによれば、貯湯ユニットと熱源ユニットとを一対の接続用循環配管で接続する際に、互い違いの接続口同士を接続するような誤接続が発生し、その誤接続に起因して、貯湯ユニット及び熱源ユニットの内、循環ポンプが介装された側のユニットから流通方向規制手段が介装された側のユニットの接続口に対する流れの向きが、本来の接続形態の場合とは逆向きになってしまったとしても、流通方向規制手段によって、熱源部及び貯湯部に対する熱媒の流通方向を特定の一方向に規制することができ、本来の正しい接続形態の場合と同様の熱回収のための循環運転を継続することができるようになる。これにより、熱源ユニットと貯湯ユニットとの間を熱回収用循環配管で接続する際に誤接続が発生したとしても、温度検出や切換制御等を行うことなく、自動的に、熱回収のための本来意図する正しい循環流れにし得るようにした貯湯給湯システムを提供することができることとなる。
【0014】
特に請求項2によれば、本発明の流通方向規制手段の構成を具体化することができ、前記の本発明による効果を確実に得ることができるようになる。すなわち、一対の接続用循環配管が本来の接続形態とは異なり互い違いに接続され、これにより、循環ポンプからの吸引圧又は吐出圧のかかり方が変化して、戻り側循環流路部の逆止弁が閉じてしまっても、その代わりに第1連通流路部の逆止弁が開き、又、往き側循環流路部の逆止弁が閉じてしまっても、その代わりに第2連通流路部の逆止弁が開くことになる。このため、一対の接続用循環配管が互い違いに接続されることに起因して、循環ポンプが介装された側のユニットから流通方向規制手段が介装された側のユニットに対する流れの向きが逆になったとしても、戻り側循環流路部側から往き側循環流路部側へ、及び、往き側循環流路部側から戻り側循環流路部側へ、それぞれ流れの向きを流通方向規制手段により変更して直すことができるようになる。これにより、熱源ユニットの熱源部に対する熱媒の流通方向や、貯湯ユニットの貯湯部に対する熱媒の流通方向を確実に特定の一方向に規制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る貯湯給湯システムにおける接続状況を示す説明図であり、図1(a)は本来の正しい接続の例を示し、図1(b)は一方のユニット側への接続を逆に接続した例を示す。
【図2】図1の貯湯給湯システムの例として熱源ユニットが燃料電池装置により構成された場合の第1実施形態を示す模式図である。
【図3】図2の部分拡大図を示し、図4(a)は図1(a)の接続状態での流れの状況を説明するための図であり、図4(b)は図1(b)の接続状態での流れの状況を説明するための図である。
【図4】図2の流通方向規制手段を拡大して示す模式図である。
【図5】図1の貯湯給湯システムの例として熱源ユニットがヒートポンプにより構成された場合の第2実施形態を示す模式図である。
【図6】図5の部分拡大図を示し、図6(a)は図1(a)の接続状態での流れの状況を説明するための図であり、図6(b)は図1(b)の接続状態での流れの状況を説明するための図である。
【図7】図5の流通方向規制手段を拡大して示す模式図である。
【図8】他の実施形態として、流通方向規制手段を独立した継手(流通方向規制装置)として構成した例を示す図3対応図である。
【図9】別の他の実施形態として、パイロット圧により切換作動するスプール弁を示す図4(a)対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は実施形態に係る貯湯給湯システムを構成する熱源ユニット2,5と、貯湯ユニット3,6との接続状況を示すものである。貯湯ユニット3,6はハウジング内に貯湯タンク31,61を備えており、貯湯タンク31,61内の湯水(熱媒)を熱源ユニット2,5の熱交換器261,52との間で循環させることで、熱源ユニット2,5の側から熱交換により熱回収して加熱された湯水を貯湯タンク31,61内に蓄熱するようになっている。このような湯水の循環のために、貯湯ユニット3,6の側に一対の接続口11,12が設けられる一方、熱源ユニット2,5の側に一対の接続口13,14が設けられ、両側の対応する接続口11,13同士と、接続口12,14同士とがそれぞれ接続用循環配管15により接続されて、貯湯ユニット3,6及び熱源ユニット2,5の双方の循環流路部(後述)が連通されるようになっている。
【0017】
ここで、図1(b)に示すものは、図1(a)の場合とは接続用循環配管15による接続対象を互い違いにしたものであり、接続口11,14同士を接続用循環配管15により接続し、接続口12,13同士を接続用循環配管15により接続した例である。以下の本実施形態では、後述の流通方向規制手段4を介装することで、図1(a),(b)のいずれの場合の接続形態であっても、貯湯ユニット3,6の貯湯タンク31,61と、熱源ユニット2,5の熱交換器261,52とに対する循環湯水の流れ方向を特定の一方向にすることができ、これにより、図1(b)の如く従来においては誤接続となる接続形態であっても、図1(a)の如く本来正しい接続形態の場合と同様に熱回収のための循環運転を正常に行うことができるようになる。
【0018】
<第1実施形態>
図2は、本発明の第1実施形態に係る貯湯給湯システムとして、燃料電池装置により構成された熱源ユニット2と、貯湯ユニット3とを備えて構成されたものを示す。以下、熱源ユニット2が固体酸化物型燃料電池(SOFC;Solid Oxide Fuel Cells)により構成された場合を例にして説明するが、燃料電池装置のタイプの如何に拘わらず後述の熱源部(排熱回収用熱交換器261)を備えたものであれば、本発明を適用することができる。
【0019】
熱源ユニット2は、発電部21と、予熱・蒸発器22と、燃料ガス回路23と、改質用空気供給回路24と、カソード空気供給回路25と、水供給処理回路26とを備えている。発電部21はセルスタック211と、改質器212と、空気用熱交換器213とを備えている。この発電部21に対する燃料ガス・空気・水蒸気等の供給及び排ガスの排出は、いずれも予熱・蒸発器22を通して行われるようになっている。この予熱・蒸発器22に対し燃料ガス供給通路を含む燃料ガス回路23、改質用空気供給回路24及びカソード空気供給回路25が通される一方、予熱用の熱源として発電部21の側から排ガスが導入され、その後に水供給処理回路26の排熱回収用熱交換器261に導出され、排ガス中の水分回収により得た純水が予熱・蒸発器22内の燃料ガス回路23に戻されて水蒸気改質用の水蒸気に変換されるようになっている。
【0020】
前記セルスタック211は、例えば小径円筒形状のアノード(燃料極)と、この外周側を覆う大径円筒形状のカソード(空気極)とが間に電解質を挟んだ状態で同心円状に一体化されたセルを備えたものである。アノードや、カソードはいずれもNi等の金属酸化物を含有するセラミックスにより形成されたものであり、電解質は例えばYSZ(イットリウム安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されたものである。
【0021】
セルのアノードの内孔に対し改質器212から水蒸気改質により原燃料の燃料ガスよりも水素リッチとされた燃料ガスが下端から上端に向けて流され、又、カソードの外周面に空気用熱交換器213から酸素含有ガスとしてのカソード空気が供給されるようになっている。カソードではカソード空気の酸素が酸素イオンとなって電解質を通り、アノードでは燃料ガスの水素と反応して水(水蒸気)を生成する一方、その際に生じた電子が回路を通してカソード側に移動して酸素を再びイオン化するということを繰り返して発電される。アノードの内孔に供給された燃料ガスは前記反応に利用された後、オフガスとして改質器バーナに導かれて燃焼用の燃料として利用されるようになっている。又、カソード空気は上方に排気され、改質器バーナからの燃焼排ガスと共に、排ガスとして予熱・蒸発器22に送られるようになっている。その際、前記排ガスは空気を加熱するための熱源として空気用熱交換器213を通過するようになっている。
【0022】
燃料ガス回路23には予熱・蒸発器22に入る前に改質用空気供給回路24が合流するようになっている。そして、改質用空気供給回路24が合流された燃料ガス回路23には、予熱・蒸発器22内において、水供給処理回路26から純水が供給され、この純水が予熱・蒸発器22において水蒸気に蒸発した状態で改質器212に送られるようになっている。
【0023】
水供給処理回路26は、排熱回収用熱交換器261で発生した凝縮水(ドレン水)をドレン回収部262で集水し、集水された凝縮水の精製及び精製後の純水の貯留、並びに、貯留した純水を水蒸気として再利用すべく前記予熱・蒸発器22への供給をそれぞれ行う回路である。排熱回収用熱交換器261においては、貯湯ユニット3から循環供給される循環湯水を冷却水として、予熱・蒸発器22を通過した後の排ガスと熱交換させることで、排ガスに含まれる水分を凝縮させて水回収するようになっている。図例の水供給処理回路26には、集水された凝縮水に対し純水に精製するための精製処理を行うイオン交換樹脂セット263と、精製後の純水を貯留する純水タンク264と、純水タンク264の純水を取水して予熱・蒸発器22側に一定の小流量で供給するための純水ポンプ265と、その際の純水流量を検出する純水流量センサ266と、逆止弁267とが上流側から順に介装されている。この水供給処理回路26から予熱・蒸発器22に供給された純水は予熱・蒸発器22で蒸発されて水蒸気になって改質器212及び発電部21のアノード側に供給されることになる。
【0024】
排熱回収用熱交換器261が特許請求の範囲の熱源部を構成し、この排熱回収用熱交換器261には、図3に詳細を示すように排熱回収用熱交換器261を挟んで一対の接続口13,14間に延びる循環流路部28が接続されている。循環流路部28は、接続口13から排熱回収用熱交換器261の入口に延びる戻り側循環流路部28aと、排熱回収用熱交換器261の出口から接続口14に延びる往き側循環流路部28bとから構成されており、戻り側循環流路部28aには循環ポンプ27が介装されている。なお、循環ポンプ27の介装位置は、熱源ユニット2の側、つまり循環流路部28であれば、いずれでもよく、例えば往き側循環流路部28bに介装されていてもよい。
【0025】
図2の例の貯湯ユニット3は、貯湯部としての貯湯タンク31、貯湯タンク31と前記排熱回収用熱交換器261との間で湯水を循環供給させて熱回収を行うための循環流路部32、貯湯タンク31に外部からの給水を入水させる入水路33、貯湯タンク31の頂部から給湯のために出湯させる出湯路34、貯湯タンク31内の湯水が給湯に必要な温度よりも低温であるときに燃焼作動させて補助加熱する補助熱源機35を備えて構成されている。この貯湯ユニット3では、熱源ユニット2の側に介装された循環ポンプ27を作動させて、貯湯タンク31の底部から排熱回収用熱交換器261に循環供給した湯水を排ガスとの熱交換により加熱・昇温させた上で貯湯タンク31の頂部に戻すことで、排ガスから熱回収した熱が貯湯タンク31に湯の状態で蓄熱されることになる。そして、この貯湯タンク31内の湯を出湯路34から取りだして、補助熱源機35で補助加熱した上で、あるいは、補助加熱することなく、給湯栓36に給湯したり、浴槽37に注湯したり、し得ることになる。
【0026】
前記の循環流路部32は、貯湯タンク31の底部から接続口11まで延びる戻り側循環流路部32aと、接続口12から貯湯タンク31の頂部まで延びる往き側循環流路部32bとから構成されており、これら戻り側及び往き側の循環流路部32a,32bにまたがった状態で流通方向規制手段4が介装されている。そして、貯湯ユニット3と熱源ユニット2とが一対の接続用循環配管15,15で互いに接続されて、貯湯ユニット3側の循環流路部32と、熱源ユニット2側の循環流路部28と共に、熱回収用の循環回路が構成されている。図3(a)の本来であれば正しい接続例とされる接続形態では、接続口11と13とが接続用循環配管15で接続され、接続口12と14とが接続用循環配管15で接続されている。又、図3(b)の本来であれば誤接続例とされる接続形態では、接続口11と14とが接続用循環配管15で接続され、接続口12と13とが接続用循環配管15で接続されている。ここで、「戻り側」とは貯湯タンク31の底部から排熱回収用熱交換器261の入口に向かう流れ方向のことをいい、「往き側」とは排熱回収用熱交換器261の出口から貯湯タンク31の頂部に向かう流れ方向のことをいう。つまり、熱源部である排熱回収用熱交換器261を基準にして、出て行く側を往き側、入ってくる側を戻り側と定義する。これら「戻り側」,「往き側」に基づく流れ方向は、循環ポンプ27の吸引側あるいは吐出側に基づく流れ方向とは異なる概念である。
【0027】
流通方向規制手段4は、図4にも詳細を示すように、互いに平行に配置される戻り側循環流路部32aの一部及び往き側循環流路部32bの一部と、互いに交差するように配置される第1連通流路部32c及び第2連通流路部32dと、第1〜第4の4つの逆止弁41〜44とを備えて構成されたものである。すなわち、流通方向規制手段4は、戻り側循環流路部32aに対し介装されて戻り側方向(貯湯タンク31底部から接続口11に向かう流通方向)にのみ流通を許容する第1逆止弁41と、往き側循環流路部32bに対し介装されて往き側(接続口12から貯湯タンク31頂部に向かう流通方向)にのみ流通を許容する第2逆止弁42と、第1逆止弁41の上流側位置の戻り側循環流路部32aから第2逆止弁42の上流側の往き側循環流路部32bに連通する第1連通流路部32cと、この第1連通流路部32cに対し介装されて戻り側循環流路部32aから往き側循環流路部32bへ向かう側にのみ流通を許容する第3逆止弁43と、第1逆止弁41の下流側位置の戻り側循環流路部32aから第2逆止弁42の下流側の往き側循環流路部32bに連通する第2連通流路部32dと、この第2連通流路部32dに対し介装されて戻り側循環流路部32aから往き側循環流路部32bへ向かう側にのみ流通を許容する第4逆止弁44とを備えて構成されている。
【0028】
以上の第1実施形態の場合、例えば一対の接続用循環配管15,15が現場施工により図3(a)に示す接続形態に接続されている場合には、循環ポンプ27が作動されると、その吸引力が接続口13,接続用循環配管15,接続口11,第1逆止弁41及び戻り側循環流路部32aを介して貯湯タンク31の底部に対し作用し、これにより、貯湯タンク31の底部からの低温の湯水が、戻り側循環流路部32a,第1逆止弁41,接続口11,接続用循環配管15,接続口13,循環ポンプ27及び戻り側循環流路部28aを通して、排熱回収用熱交換器261の入口から内部に導入されることになる(図3(a)の破線の矢印参照)。そして、排熱回収用熱交換器261において排ガスとの熱交換により加熱されて高温になった湯水が、排熱回収用熱交換器261の出口から導出され、次いで、往き側循環流路部28b,接続口14,接続用循環配管15,接続口12,第2逆止弁42及び往き側循環流路部32bを通して貯湯タンク31の頂部に供給されることになる(同図の実線の矢印参照)。
【0029】
この際、戻り側循環流路部32a側から第1連通流路32c及び第2連通流路32dには前記の循環ポンプ27の吸引圧が作用する一方、逆に、往き側循環流路部32b側から第1連通流路32c及び第2連通流路32dには前記の循環ポンプ27の吐出圧が作用することになる。このため、第1連通流路32cの第3逆止弁43及び第2連通流路32dの第4逆止弁44は共に閉止状態に維持され、第1連通流路32c及び第2連通流路32dは共に遮断状態に維持されることになる。この結果、貯湯タンク31の底部から吸引された低温湯水は戻り側循環流路部32aを通して接続口11の側に対してのみ流れる一方、接続口12から貯湯ユニット3に吐出された高温湯水は往き側循環流路部32bを通して貯湯タンク31の頂部の側に対してのみ流れることになる。
【0030】
逆に、一対の接続用循環配管15,15が現場施工により図3(b)に示す接続形態に接続されている場合には、循環ポンプ27が作動されると、その吸引力が接続口13,接続用循環配管15,接続口12,第1連通流路32c,第3逆止弁43及び戻り側循環流路部32aを介して貯湯タンク31の底部に対し作用し、これにより、貯湯タンク31の底部からの低温の湯水が、戻り側循環流路部32a,第1連通流路32c,第3逆止弁43,接続口12,接続用循環配管15,接続口13,循環ポンプ27及び戻り側循環流路部28aを通して、排熱回収用熱交換器261の入口から内部に導入されることになる(図3(b)の破線の矢印参照)。そして、排熱回収用熱交換器261において排ガスとの熱交換により加熱されて高温になった湯水が、排熱回収用熱交換器261の出口から導出され、次いで、往き側循環流路部28b,接続口14,接続用循環配管15,接続口11,第2連通流路部32d,第4逆止弁44及び往き側循環流路部32bを通して貯湯タンク31の頂部に供給されることになる(同図の実線の矢印参照)。
【0031】
この際、往き側循環流路部32b側から第2逆止弁42には前記の循環ポンプ27の吸引圧が作用する一方、逆に、往き側循環流路部32b側から第1逆止弁41には前記の循環ポンプ27の吐出圧が作用することになる。このため、第2逆止弁42及び第1逆止弁41は共に閉止状態に維持されることになる。この結果、貯湯タンク31の底部から吸引された低温湯水を第1連通流路部32cを通して接続口12の側に対してのみ流すことができる一方、接続口11から貯湯ユニット3に吐出された高温湯水を第2連通流路部32d及び往き側循環流路部32bの下流側部分を通して貯湯タンク31の頂部の側にのみ流すことができるようになる。
【0032】
以上より、貯湯ユニット3と熱源ユニット2とが、一対の接続用循環配管15,15により、従来においては誤接続となる接続形態で接続された場合(図3(b)に示す場合)であっても、何らの判定や切換制御を必要とすることなく、図3(a)の如く本来正しい接続形態の場合と同様に熱回収のための循環運転を正常に行うことができるようになる。すなわち、貯湯タンク31の底部から取り出した低温湯水を排熱回収用熱交換器261の入口から導入する一方、その熱交換器261の出口から導出された高温湯水を貯湯タンク31の頂部に供給するという、正常な循環流の流れで循環運転を行うことができるようになる。このため、従来の誤接続対策に係る技術の如く誤接続発生の判定を行うための温度センサの設置や、判定に基づく対策制御等を省略することができ、コスト低減化や省力化を図ることができる。
【0033】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る貯湯給湯システムとして、冷媒を循環させて冷凍サイクルを実現させるヒートポンプ装置により構成された熱源ユニット5と、貯湯ユニット6とを備えて構成されたものを示す。この熱源ユニット5は、冷凍サイクルを利用して貯湯ユニット6から循環される湯水(熱媒)を熱交換加熱し得るように構成されている。
【0034】
熱源ユニット5は、圧縮機51と、凝縮熱交換器(凝縮器)52と、減圧手段である膨張弁53と、蒸発熱交換器(蒸発器)54とを冷媒循環配管55で順に接続して、冷媒(例えばプロパン等のHC系冷媒やCO2)を循環させる冷媒循環回路を構成したものである。又、貯湯ユニット6は、貯湯部としての貯湯タンク61と、貯湯タンク61内に貯留された湯水を前記凝縮熱交換器52との間で循環させる水循環流路62と、貯湯タンク61の底部から水を熱源ユニット5側の凝縮熱交換器52へ圧送すると共に、熱交換加熱後に凝縮熱交換器52から貯湯タンク61の頂部へと導く循環ポンプ63とを備えて構成されている。
【0035】
熱源ユニット5の側では、圧縮機51で圧縮されることで高温状態の冷媒が圧縮機51から冷媒循環配管55に吐出された後、凝縮熱交換器52に導入されるようになっている。凝縮熱交換器52は、冷媒循環配管55の一部が内部に通される一方、これとは逆方向から戻り側の水循環流路部56aの一部が内部に通されて、両者間で熱交換するようになっている。すなわち、冷媒循環配管55に圧縮機51から吐出された高温状態の冷媒と、循環ポンプ63により貯湯タンク61の底部から供給された低温の湯水とが熱交換され、この湯水が熱交換加熱されて高温の湯水となり、その熱交換により熱が奪われた冷媒は凝縮する。
【0036】
前記の凝縮熱交換器52が特許請求の範囲の熱源部を構成し、この凝縮熱交換器52には、図6にも示すように凝縮熱交換器52を挟んで一対の接続口13,14間に延びる循環流路部56が接続されている。循環流路部56は、接続口13から凝縮熱交換器52の水入口に延びる戻り側循環流路部56aと、凝縮熱交換器52の水出口から接続口14に延びる往き側循環流路部56bとから構成され、凝縮熱交換器52の水入口に低温湯水が導入され、凝縮熱交換器52の水出口から高温湯水が導出されるようになっている。そして、これら戻り側及び往き側の水循環流路部56a,56bにまたがって流通方向規制手段7が設けられている。この流通方向規制手段7の詳細については後述する。
【0037】
図5に戻り、膨張弁53は凝縮熱交換器52で凝縮した冷媒を減圧するものであり、この膨張弁53により膨張されて減圧された冷媒が蒸発熱交換器54に送られる。蒸発熱交換器54は、ファンモータにより回転作動されて外気を送風するファン54aを備え、この外気と、膨張弁53により減圧された冷媒とを熱交換させることで、冷媒を蒸発させて気相状態に変換するようになっている。そして、蒸発熱交換器54での熱交換器により気相状態になった冷媒が再び前記の圧縮機51において圧縮されて高温状態になる。
【0038】
一方、貯湯ユニット6の水循環流路62は、循環ポンプ63が介装されこの循環ポンプ63の作動により貯湯タンク61の底部から低温の湯水を接続口11まで導く戻り側循環流路部62aと、熱源ユニット5の凝縮熱交換器52で加熱されて高温となった湯水を接続口12から貯湯タンク61の頂部まで導く往き側循環流路部62bとで構成されている。そして、貯湯タンク61に貯留された湯は、以後、給湯に利用されることになり、その給湯使用により貯湯タンク61内の湯水量が減れば、その分だけ給水されるようになっている。なお、給湯に係る構成は種々のものがあり、例えば図2の例の構成を適用してもよいし、その他の構成を適用してもよい。なお、図例では、循環ポンプ63が戻り側循環流路部62aに介装された例を示したが、これに限らず、循環ポンプ63は貯湯ユニット6の循環流路部62に介装されていればよく、往き側循環流路部62bに介装されていてもよい。この場合でも、この第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
そして、貯湯ユニット6と熱源ユニット5とが一対の接続用循環配管15,15で互いに接続されて、貯湯ユニット6側の循環流路部62と、熱源ユニット5側の循環流路部56と共に、熱回収用の循環回路が構成されることになる。図6(a)の本来であれば正しい接続例とされる接続形態では、接続口11と13とが接続用循環配管15で接続され、接続口12と14とが接続用循環配管15で接続されている。又、図6(b)の本来であれば誤接続例とされる接続形態では、接続口11と14とが接続用循環配管15で接続され、接続口12と13とが接続用循環配管15で接続されている。ここで、「戻り側」とは貯湯タンク61の底部から凝縮熱交換器52の水入口に向かう流れ方向のことをいい、「往き側」とは凝縮熱交換器52の水出口から貯湯タンク61の頂部に向かう流れ方向のことをいう。つまり、第1実施形態と同様に、熱源部である凝縮熱交換器52を基準にして、出て行く側を往き側、入ってくる側を戻り側と定義する。又、これら「戻り側」,「往き側」に基づく流れ方向は、第1実施形態と同様に、循環ポンプ63の吸引側あるいは吐出側に基づく流れ方向とは異なる概念である。
【0040】
流通方向規制手段7は、図7にも詳細を示すように、互いに平行に配置される戻り側循環流路部56aの一部及び往き側循環流路部56bの一部と、互いに交差するように配置される第1連通流路部56c及び第2連通流路部56dと、第1〜第4の4つの逆止弁41〜74とを備えて構成されたものである。すなわち、流通方向規制手段7は、戻り側循環流路部56aに対し介装されて戻り側方向(接続口13から凝縮熱交換器52の水入口に向かう流通方向)にのみ流通を許容する第1逆止弁71と、往き側循環流路部56bに対し介装されて往き側(凝縮熱交換器52の水出口から接続口14に向かう流通方向)にのみ流通を許容する第2逆止弁72と、第2逆止弁72の下流側位置の往き側循環流路部56bから第1逆止弁71の下流側の戻り側循環流路部56aに連通する第1連通流路部56cと、この第1連通流路部56cに対し介装されて往き側循環流路部56bから戻り側循環流路部56aへ向かう側にのみ流通を許容する第3逆止弁73と、第1逆止弁71の上流側位置の戻り側循環流路部56aから第2逆止弁72の上流側の往き側循環流路部56bに連通する第2連通流路部56dと、この第2連通流路部56dに対し介装されて往き側循環流路部56bから戻り側循環流路部56aへ向かう側にのみ流通を許容する第4逆止弁74とを備えて構成されている。
【0041】
以上の第2実施形態の場合、例えば一対の接続用循環配管15,15が現場施工により図6(a)に示す接続形態に接続されている場合には、循環ポンプ63が作動されると、その吸引力が満水状態の貯湯タンク61,往き側循環流路部62b,接続口12,接続用循環配管15,接続口14,第2逆止弁72及び往き側循環流路部56bを介して凝縮熱交換器52の水出口に対し作用し、これにより、凝縮熱交換器52の水出口からの高温の湯水が、往き側循環流路部56b,第2逆止弁72,接続口14,接続用循環配管15,接続口12,往き側循環流路部62bを通して、貯湯タンク61の頂部から内部に導入されることになる(図6(a)の実線の矢印参照)。一方、循環ポンプ63から吐出された貯湯タンク61の底部からの低温湯水が、戻り側循環流路部62a,接続口11,接続用循環配管15,接続口13,第1逆止弁71及び戻り側循環流路部56aを通して凝縮熱交換器52の水入口に供給されることになる(同図の破線の矢印参照)。
【0042】
この際、往き側循環流路部56b側から第1連通流路56c及び第2連通流路56dには前記の循環ポンプ63の吸引圧が作用する一方、逆に、戻り側循環流路部56b側から第1連通流路56c及び第2連通流路56dには前記の循環ポンプ63の吐出圧が作用することになる。このため、第1連通流路56cの第3逆止弁73及び第2連通流路56dの第4逆止弁74は共に閉止状態に維持され、第1連通流路56c及び第2連通流路56dは共に遮断状態に維持されることになる。この結果、貯湯タンク61の底部から取り出されて循環ポンプ63から吐出された低温湯水は接続口11,13及び戻り側循環流路部56aを通して凝縮熱交換器52の水入口の側に対してのみ流れる一方、凝縮熱交換器52の水出口から導出された高温湯水は往き側循環流路部56bの第2逆止弁72,接続口14,12及び往き側循環流路部62bを通して貯湯タンク61の頂部の側に対してのみ流れることになる。
【0043】
逆に、一対の接続用循環配管15,15が現場施工により図6(b)に示す接続形態に接続されている場合には、循環ポンプ63が作動されると、その吸引力が満水状態の貯湯タンク61,往き側循環流路部62b,接続口12,接続用循環配管15,接続口13,第2連通流路56d,第4逆止弁74及び往き側循環流路部56bを介して凝縮熱交換器52の水出口に対し作用し、これにより、凝縮熱交換器52の水出口からの高温の湯水が、往き側循環流路部56b,第2連通流路56dの第4逆止弁74,接続口13,接続用循環配管15,接続口12,往き側循環流路部62bを通して、貯湯タンク61の頂部から内部に導入されることになる(図6(b)の実線の矢印参照)。一方、循環ポンプ63から吐出された貯湯タンク61の底部からの低温湯水が、戻り側循環流路部62a,接続口11,接続用循環配管15,接続口14,第1連通流路部56c及び第3逆止弁73を通して凝縮熱交換器52の水入口に供給されることになる(同図の破線の矢印参照)。
【0044】
この際、接続口13側から第1逆止弁71には前記の循環ポンプ63の吸引圧が作用する一方、逆に、接続口14側から第2逆止弁72には前記の循環ポンプ63の吐出圧が作用することになる。このため、第1逆止弁71及び第2逆止弁72は共に閉止状態に維持されることになる。この結果、循環ポンプ63から吐出された貯湯タンク61の底部からの低温湯水を第1連通流路部56cを通して凝縮熱交換器52の水出口の側に対してのみ流すことができる一方、凝縮熱交換器52の水出口から導出された高温湯水を第2連通流路部56dを通して貯湯タンク61の頂部の側にのみ流すことができるようになる。
【0045】
以上より、第2実施形態においても、貯湯ユニット6と熱源ユニット5とが、一対の接続用循環配管15,15により、従来においては誤接続となる接続形態で接続された場合(図6(b)に示す場合)であっても、その一対の接続用循環配管15,15を挟んで循環ポンプ63が設置された貯湯ユニット6とは異なる側の熱源ユニット5に対し流通方向規制手段7を設けることで、第1実施形態と同様に、何らの判定や切換制御を必要とすることなく、図6(a)の如く本来正しい接続形態の場合と同様に熱回収のための循環運転を正常に行うことができるようになる。すなわち、貯湯タンク61の底部から取り出した低温湯水を凝縮熱交換器52の水入口から導入する一方、その凝縮熱交換器52の水出口から導出された高温湯水を貯湯タンク61の頂部に供給するという、正常な循環流の流れで循環運転を行うことができるようになる。このため、従来は、誤接続状態のまま熱回収のための循環運転を行った場合に、貯湯タンクの底部から取り出された低温湯水が凝縮熱交換器に対し逆流状態で流されてしまう結果、熱交換による熱回収の効率が低下してしまうという事態の発生を、確実に回避することができる一方、従来の誤接続対策に係る技術の如く誤接続発生の判定を行うための温度センサの設置や、判定に基づく対策制御等を省略することができ、コスト低減化や省力化を図ることができる。
【0046】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記第1及び第2実施形態では、流通方向規制手段4,7を貯湯ユニット3内又は熱源ユニット5内に介装・設置した例を示したが、流通方向規制手段4,7を独立した接続継手の形態に構成し、これを既に独立した製品として製造された貯湯ユニット又は熱源ユニットの接続口11,12又は13,14に対し後付けにより取り付けるようにしてもよい。例えば図8には貯湯ユニット3′に対し接続継手として構成した流通方向規制手段4aを連結した例を示している。
【0047】
図8の流通方向規制手段4aは、ハウジング40内に互いに平行に戻り側循環流路部320aと往き側循環流路部320bとを配置して、戻り側循環流路部320aの上流端を接続口110a、下流端を接続口110bとする一方、往き側循環流路部320bの上流端を120b、下流端を接続口120aとする。又、前記の戻り側循環流路部320aと往き側循環流路部320bとの間を互いに交差するように連通させる第1連通流路部32c及び第2連通流路部32dを配置し、所定位置に第1〜第4の4つの逆止弁41〜44を次のように所定の流通方向のみの流通を許容するように介装して構成したものである。すなわち、戻り側循環流路部320aに対し第1逆止弁41を戻り側方向(接続口110aから接続口110bに向かう流通方向)にのみ流通を許容するように介装し、往き側循環流路部320bに対し第2逆止弁42を往き側(接続口120bから接続口120aに向かう流通方向)にのみ流通を許容するように介装し、第1連通流路部32cに対し第3逆止弁43を戻り側循環流路部320aから往き側循環流路部320bへ向かう側にのみ流通を許容するように介装し、第2連通流路部32dに対し第4逆止弁44を戻り側循環流路部32aから往き側循環流路部32bへ向かう側にのみ流通を許容するように介装する。そして、貯湯ユニット3′の接続口11に流通方向規制手段4aの接続口110aを接続し、同様に接続口12に接続口120aを接続して、流通方向規制手段4aを貯湯ユニット3′に連結する。
【0048】
又、以上の実施形態とは別の構成にて流通方向規制手段を構成することもできる。すなわち、図9に例示するようなパイロット圧により切換作動するスプール切換弁装置により構成された流通方向規制手段8を用いることができる。すなわち、このような流通方向規制手段8としては、4方向4ポート2位置のパイロット操作切換弁により構成すればよく、循環ポンプ27からの吐出圧又は吸引圧が作用することになる側である接続口12又は11の循環流路部32b,32aからパイロット作動圧を受けて作動するスプール弁81を備えて構成されている。図例の正常な接続形態のときに循環ポンプ27からの吐出圧を往き側循環流路部28b及び接続口14,12の側からパイロット作動圧(符号82参照)として一端(図9の上端)に受けて、スプール弁81は正位置に作動することになる。これにより、接続口12は往き側循環流路部32bと互いに連通し、戻り側循環流路部32aは接続口11と互いに連通することになる。もしも、一対の接続用循環配管15,15が互い違いの接続形態(図3(b)参照)であれば、循環ポンプ27の吐出圧は接続口11の側から作用するため、これがパイロット作動圧(符号83参照)としてスプール弁81の他端(図9の下端)に受けて、スプール弁81は逆位置に作動することになる。これにより、接続口11は往き側循環流路部32bと互いに連通し、戻り側循環流路部32aは接続口12と互いに連通することになる。
【0049】
前記第1又は第2実施形態では、貯湯タンク31,61内の湯水を熱媒として直接に熱源ユニット2,5との間で循環させているが、これに限らず、不凍液等の熱媒を貯湯ユニットと熱源ユニットとの間で循環させる一方、貯湯ユニット側で貯湯タンク内の湯水と熱媒とを互いに熱交換させることで、貯湯タンク内に蓄熱するように構成されている貯湯給湯システムに本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
2,5 熱源ユニット
3,3′,6 貯湯ユニット
4,4a,7,8 流通方向規制手段
15 接続用循環配管
27,63 循環ポンプ
28,56 循環流路部(熱源ユニットの循環流路部)
31,61 貯湯タンク(貯湯部)
32,62 循環流路部(貯湯ユニットの循環流路部)
32a,56a,320a 戻り側循環流路部
32b,56b,320b 往き側循環流路部
32c 第1連通流路部
32d 第2連通流路部
41,71 第1逆止弁(戻り側循環流路部の逆止弁)
42,72 第2逆止弁(往き側循環流路部の逆止弁)
43,73 第3逆止弁(第1連通流路部の逆止弁)
44,74 第4逆止弁(第2連通流路部の逆止弁)
52 凝縮熱交換器(熱源部)
261 排熱回収用熱交換器(熱源部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源部を有する熱源ユニット、貯湯部を有する貯湯ユニットと、これら熱源ユニット及び貯湯ユニットを互いに接続する一対の接続用循環配管と、この一対の接続用循環配管により熱源ユニット及び貯湯ユニットの双方の循環流路部が互いに接続されることで構成される熱回収用循環流路と、その作動により熱媒を前記熱回収用循環流路に循環させる循環ポンプとを備え、前記循環ポンプの作動により前記貯湯ユニットの貯湯部から供給された熱媒が前記熱源ユニットの熱源部で加熱された上で前記貯湯ユニットに戻されて貯湯部において蓄熱されるように構成された貯湯給湯システムであって、
前記熱回収用循環流路内において前記熱源部及び貯湯部に対する熱媒の流通方向を特定の一方向に規制する流通方向規制手段を備え、
前記循環ポンプが前記熱源ユニット及び貯湯ユニットの内のいずれか一側のユニットの循環流路部に介装される一方、前記流通方向規制手段は、前記一対の接続用循環配管を挟んで前記循環ポンプが設けられていない側のユニットの循環流路部に介装されている
ことを特徴とする貯湯給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の貯湯給湯システムであって、
前記流通方向規制手段は、
戻り側及び往き側の一対の循環流路部と、
戻り側及び往き側の互いに逆向きの流れ方向にのみ流れるよう前記一対の循環流路部にそれぞれ介装された逆止弁と、
前記戻り側循環流路部の逆止弁よりも上流側位置から前記往き側循環流路部の逆止弁よりも上流側位置まで延びて互いに連通する第1連通流路部と、
前記循環ポンプの作動により作用することになる吸引圧又は吐出圧を受けて前記戻り側循環流路部の逆止弁が閉じるときに流通を許容するよう前記第1連通流路に介装された逆止弁と、
前記戻り側循環流路部の逆止弁よりも下流側位置から前記往き側循環流路部の逆止弁よりも下流側位置まで延びて互いに連通する第2連通流路部と、
前記循環ポンプの作動により作用することになる吸引圧又は吐出圧を受けて前記往き側循環流路部の逆止弁が閉じるときに流通を許容するよう前記第2連通流路に介装された逆止弁とを備えている、貯湯給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−68393(P2013−68393A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209139(P2011−209139)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】