貴金属地金ストック支援システムおよび貴金属地金ストック支援方法
【課題】顧客が獲得した点数と引換えに提供される貴金属地金を従来よりも容易に取引できるようにする。
【解決手段】ストック受付端末2に、顧客が獲得した点数と交換する貴金属地金の量である交換量を指定するキーボード20kと、その交換量の貴金属地金を預け入れる金口座の口座番号を会員カードRDから読み取るICカードリーダ20cと、指定された交換量の貴金属地金を、読み取られた口座番号の金口座に預け入れる処理を行うように金融機関システム5に対して要求する保護預要求部201と、を設ける。
【解決手段】ストック受付端末2に、顧客が獲得した点数と交換する貴金属地金の量である交換量を指定するキーボード20kと、その交換量の貴金属地金を預け入れる金口座の口座番号を会員カードRDから読み取るICカードリーダ20cと、指定された交換量の貴金属地金を、読み取られた口座番号の金口座に預け入れる処理を行うように金融機関システム5に対して要求する保護預要求部201と、を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が獲得した点数と交換される貴金属地金を取り扱うシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカード会社、航空会社、および百貨店などの事業者は、自社のサービスを利用してくれた顧客に対して取引金額などに応じて点(ポイント)を与える。そして、顧客が獲得した点数に応じて顧客に景品を提供する。また、パチンコ店を経営する事業者も同様に、顧客が獲得した遊技玉等の点数(玉の個数またはメダルの枚数など)に応じて景品を提供する。
【0003】
近年、消費者のニーズが多様化しており、上記のような事業者は、様々な景品を用意している。例えば、鞄、香水、時計、またはアクセサリなどのブランド品、タバコまたはコーヒなどの嗜好品、食器または日用雑貨などの実用品など、様々な景品を用意している。
【0004】
また、金、銀、および白金などの貴金属地金に興味を持つ消費者が増えている。特許文献1に記載されるように、貴金属地金の小塊を埋め込んだ安価なプラスチックカードが記念品や贈答品として手軽に広く用いられている。よって、今後、貴金属地金を含有する景品が盛んに用いられるようになることが、考えられる。
【特許文献1】特許第2905252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、貴金属地金は、資産運用を目的としても、所有されるようになった。しかし、貴金属地金の景品は、様々な形態のケーシングに入れられていたり、様々な装飾が施されていたりしており、容易に取引することができない。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑み、顧客が獲得した点数と引換えに提供される貴金属地金を従来よりも容易に取引できるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る貴金属地金ストック支援システムは、顧客が獲得した点数と交換する貴金属地金の量である交換量を指定するための交換量指定手段と、前記交換量指定手段によって指定された前記交換量の貴金属地金を預け入れる口座を指定するための口座指定受付手段と、前記交換量指定手段によって指定された前記交換量の貴金属地金を、前記口座指定手段によって指定された前記口座に預け入れる処理を行うように、当該口座を管理する口座管理システムに対して要求する、預入処理要求手段と、を有する。
【0008】
好ましくは、前記口座と、当該口座にストックされている貴金属地金のうちの売却する量である売却量と、を指定するための売却量等指定手段と、前記売却量等指定手段によって指定された前記口座にストックされている前記売却量の貴金属地金を売却相手に売却する処理を行うように、前記口座管理システムに対して要求する、売却処理要求手段と、を有する。
【0009】
または、前記口座には、前記点数と交換された貴金属地金以外の貴金属地金をもストックすることが可能であり、前記売却処理要求手段は、前記売却量等指定手段によって指定された前記売却量が、当該売却量とともに指定された前記口座にストックされている、前記預入処理要求手段からの要求に基づいて当該口座に預け入れられた分でありかつ未売却の分の貴金属地金の量を超えない場合に、当該売却量の貴金属地金を売却する処理を行うように要求する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、顧客が獲得した点数と引換えに提供される貴金属地金を従来よりも容易に取引することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は貴金属景品取引システム4の全体的な構成の例を示す図、図2はPOS端末1の構成の例を示す図、図3はストック受付端末2の構成の例を示す図、図4はATM3の構成の例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、貴金属景品取引システム4は、POS(Point of Sales)端末1、ストック受付端末2、およびATM(Automatic Teller Machine)3などによって構成される。貴金属景品取引システム4は、パチンコ店またはパチスロ店などの店舗に設置される。そして、顧客(遊技者)の獲得した玉またはメダルとの交換用の貴金属景品Gの取引を行うために用いられる。以下、パチンコ店である店舗Aに設置される貴金属景品取引システム4を例に説明する。
【0013】
店舗Aでは、1つの玉および1枚のメダルそれぞれの、景品との交換の際の価値を、定めている。また、一般に貴金属景品には、何種類かの貴金属地金が含まれていることがあるが、店舗Aでは、24金(gold)の地金(以下、単に「地金」と記載する。)を含む景品を貴金属景品Gとして顧客に提供している。なお、地金は、所定の質量(グラム数)ごとにプラスチックのケースに収納された状態で、顧客に提供される。貴金属景品Gは、貴金属商Bが店舗Aに卸している。
【0014】
顧客は、玉またはメダルなどの遊技玉等と交換した貴金属景品Gを、そのまま家に持って帰ってもよいが、貴金属商Bが提携している金融機関Cに預かってもらう(保護預してもらう)ことができる。ただし、預かってもらうために、顧客は、予め、自分の金口座を金融機関Cに開設しておくとともに、保護預のサービスの会員になっておく。金口座を開設しかつ会員登録した顧客には、会員カードRDが貴金属商Bまたは金融機関Cから貸与される。会員カードRDには、金口座の番号(金口座番号)および会員IDのほか、本人の氏名、生年月日、住所、および電話番号などが記憶される。会員カードRDとして、ICカードが用いられる。なお、会員カードを使用する際には、暗証番号を入力しなければならない。
【0015】
POS端末1は、店舗Aのカウンタに設置されており、玉またはメダルを景品に交換するために用いられる。POS端末1のハードウェア構成およびソフトウェア構成は、基本的に、パチンコ店の景品交換用の既存のPOS端末のそれらと同様である。つまり、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、キーボード、およびディスプレイのほか、バーコードリーダ10aおよびプリンタ10bなどのハードウェアによって構成され、景品の在庫管理の処理を行うソフトウェアなどがインストールされている。
【0016】
さらに、POS端末1には、図2に示すような販売価格情報取得部101、貴金属景品価格算出部102、貴金属景品価格記憶部103、交換景品数算出部104、および景品レシート発行処理部105などの機能を実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAMにロードされ、CPUによってプログラムが実行される。
【0017】
ストック受付端末2は、店舗Aのカウンタに設置されており、顧客が玉またはメダルと交換に獲得した貴金属景品Gを金融機関Cに預けるために用いられる。ストック受付端末2として、例えばパーソナルコンピュータが用いられる。ストック受付端末2には、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、ディスプレイ、およびNIC(Network Interface Card)のほか、バーコードリーダ20a、プリンタ20b、ICカードリーダ20c、およびキーボード20kなどのハードウェアによって構成される。
【0018】
さらに、ストック受付端末2には、図3に示す保護預要求部201および確認レシート発行処理部202などの機能を実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAMにロードされ、CPUによってプログラムが実行される。
【0019】
ストック受付端末2は、NICによって、金融機関Cのシステム(以下、「金融機関システム5」と記載する。)に通信回線を介して接続可能である。
【0020】
ATM3は、顧客が自分の金口座に預けた貴金属景品Gを金融機関Cに売却する手続を行うために用いられる。ATM3のハードウェア構成およびソフトウェア構成は、現金の預入および払出などを行うための従来のATMのそれらと基本的に同様である。つまり、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、および通信インタフェースのほか、タッチパネル30a、ICカードリーダライタ30b、プリンタ30c、および現金払出ユニット30dなどのハードウェアによって構成され、現金の預入および払出の処理のためのソフトウェアなどがインストールされている。
【0021】
さらにATM3には、図4に示す買取価格情報取得部301、買取価格情報記憶部302、現価格算出部303、申込受付画面生成部304、売却処理要求部305、払出制御部306、および取引伝票発行処理部307などの機能を実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAMにロードされ、CPUによってプログラムが実行される。
【0022】
ATM3は、通信インタフェースによって、金融機関システム5に通信回線を介して接続可能である。
【0023】
なお、図2、図3、および図4に示す各部の機能の一部または全部を回路などのハードウェアのみによって実現してもよい。
【0024】
以下、図2に示すPOS端末1の各部、図3に示すストック受付端末2の各部、および図4に示すATM3の各部の処理内容などについて、詳細に説明する。
【0025】
〔貴金属景品を金融機関Cに預ける際の処理〕
図5は貴金属景品保護預データHAの例を示す図、図6は地金を預かる際の処理の流れの例を説明するフローチャート、図7はストック確認レシートRCの例を示す図である。
【0026】
図2のPOS端末1において、販売価格情報取得部101は、貴金属景品Gに用いられている地金の単位質量(1グラム)当たりの販売価格(単位販売価格)を示す販売価格情報61を、通信回線を介して貴金属商Bのシステム(例えば、サーバ)から取得する。
【0027】
一般に、地金の相場はほぼ毎日変化している。よって、地金の販売価格もそれに対応して変化する。また、一般に、貴金属商は地金の販売価格を毎日の定時に発表する。そこで、販売価格情報取得部101は、毎日、貴金属商Bが地金の販売価格を発表する時刻に貴金属商Bのシステムにアクセスし、販売価格情報61を取得する。
【0028】
貴金属景品価格算出部102は、販売価格情報取得部101によって販売価格情報61が取得されるごとに、その販売価格情報61に示される単位販売価格と貴金属景品Gに含まれる地金の質量とに基づいて、貴金属景品Gの1つ当たりの販売価格(景品販売価格Vb円)を算出する。すなわち、販売価格情報61に「Va円/1グラム」が示され、1つの貴金属景品Gに含まれる地金の質量が「Mbグラム」である場合は、「Vb=Va×Mb」によって算出される。
【0029】
貴金属景品価格記憶部103は、貴金属景品価格算出部102によって景品販売価格Vbが算出されるごとに、それを記憶する。前回に算出した景品販売価格Vbつまり古い景品販売価格Vbは削除される。
【0030】
交換景品数算出部104は、顧客が獲得した玉またはメダルと交換可能な貴金属景品Gの個数を、次のような手順で算出する。
【0031】
顧客は、玉またはメダルを獲得したら、従来通り、その個数(玉数Np)または枚数(メダル数Nq)を玉計数機またはメダル計数機に計数させる。すると、玉計数機またはメダル計数機は、計数した玉数Npまたはメダル数Nqを表すバーコードを用紙に印刷する。以下、この用紙を「獲得数レシートRA」と記載する。そのほか、獲得数レシートRAには、店舗Aの名称(店舗名)およびこの獲得数レシートRAの発行日時などが印刷される。
【0032】
そして、顧客は、その用紙を持ってカウンタに行き、店舗Aの店員にそれを渡すとともに貴金属景品Gへの交換を依頼する。なお、この際に、自分の会員カードRDも店員に渡しておく。店員は、受け取った用紙に印刷されているバーコードをPOS端末1のバーコードリーダ10aに読み取らせる。
【0033】
すると、販売価格情報取得部101は、バーコードリーダ10aが読み取ったバーコードに示される玉数Npの玉またはメダル数Nqのメダルで何円分の景品に交換可能であるかを算出する。つまり、それらの玉またはメダルに何円分の価値があるのかを算出する。以下、この価値を「玉メダル価値Vc(円)」と記載する。1玉当たりの玉の価値がVp(円)であり、1枚当たりのメダルの価値がVq(円)である場合は、「Vc=Np×Vp」または「Vc=Nq×Vq」によって玉メダル価値Vcが算出される。
【0034】
そして、貴金属景品価格記憶部103に記憶されている景品販売価格Vbを呼び出し、玉メダル価値Vcが貴金属景品G何個に相当するのかを算出する。つまり、その個数をKcとすると、「Kc=Vc/Vb」を算出する。ただし、割り切れない場合は、算出した値の整数部分のみを個数Kcとする。余りの取扱いについては、公知であるので、説明を省略する。
【0035】
景品レシート発行処理部105は、交換景品数算出部104によって算出された貴金属景品Gの個数Kcを示すバーコードを印刷する処理をプリンタ10bに実行させる。以下、プリンタ10bによって得られた印刷物を「景品レシートRB」と記載する。この景品レシートRBは、個数Kcの貴金属景品Gの明細書のような役割を果たす。ただし、本実施形態では、景品レシートRBは顧客に渡されず、店員が持っておく。そして、次に説明するように、店員は、景品レシートRBを用いて、個数Kcの貴金属景品Gに含まれる地金を顧客の金口座に預け入れるための操作をストック受付端末2に対して行う。
【0036】
なお、景品レシートRBには、上記のバーコードのほか、数字および文字によってその個数Kc、店舗Aの名称、およびその景品レシートRBの発行日時が印刷される。
【0037】
図3において、店員は、顧客から渡された会員カードRDに記憶されている金口座番号をストック受付端末2のICカードリーダ20cに読み取らせるとともに、POS端末1によって発行された景品レシートRBに印刷されているバーコードをバーコードリーダ20aに読み取らせる。さらに、個数Kcの全部を預けるのか一部のみを預けるのかを顧客に聞き、預ける個数をキーボードによって指定する。
【0038】
すると、保護預要求部201は、キーボードによって指定された個数の貴金属景品Gに含まれる地金を預かるように、金融機関システム5に対して要求する。この際に、読み取られた金口座番号および指定された個数の貴金属景品Gに含まれる地金の全質量(総グラム数)などを示す保護預要求情報62を金融機関システム5に対して送信する。なお、指定された個数の貴金属景品Gに含まれる地金の全質量は、指定されたその個数と貴金属景品G一つ当たりに含まれる地金の質量との積を求めることによって、算出される。
【0039】
ところで、金融機関システム5は、金融機関Cに開設されている普通預金口座、当座預金口座、および金口座などを管理する。金融機関システム5のハードウェア構成およびソフトウェア構成は、基本的に従来の金融機関システムと同様である。さらに、金融機関システム5には、ストック受付端末2およびATM3と通信を行うためのインタフェースのほか、会員用金口座マスタMSが設けられている。
【0040】
会員用金口座マスタMSには、金融機関Cの金口座を開設している顧客のうちの店舗Aのサービスの会員でもある顧客ごとの貴金属景品保護預データHAが記憶されている。
【0041】
貴金属景品保護預データHAには、図5のように、その顧客の金口座番号および会員IDのほか、ストック受付端末2を介して預けられた(ストックされた)地金に関する情報が示されている。
【0042】
「預合計グラム数」は、その顧客の金口座に現在預けられている地金のうちストック受付端末2を介して預けられた地金の総質量(グラム数)を示している。預合計グラム数の初期値は「0」である。そして、後述するように、ストック受付端末2からの保護預要求情報62に基づいて地金が預けられるごとに、その分の質量を預合計グラム数に加算する。また、ATM3からの売却要求情報65(後述する)に基づいて地金が売却されるごとに、その分の質量を預合計グラム数に減算する。
【0043】
「預履歴リスト」には、ストック受付端末2を介して行われたストック(保護預)の実績の履歴が示されている。この預履歴リストには、過去に行ったすべてのストックの実績を記載しておいてもよいし、最近の数件(例えば、5件)のみを記載しておいてもよい。
【0044】
図4に戻って、保護預要求情報62を受信した金融機関システム5は、その保護預要求情報62に示される金口座に、同じくその保護預要求情報62に示される総グラム数の地金を振り込む処理を、図6に示すような手順で行う。
【0045】
金融機関システム5は、保護預要求情報62を受信すると、会員用金口座マスタMSの中から、その保護預要求情報62に示される金口座番号および会員IDの両方を示す貴金属景品保護預データHAを検索する(図6の#1)。
【0046】
その貴金属景品保護預データHAが見つかったら(#2でYes)、つまり、店舗Aのサービスの会員である顧客の金口座の存在が確認できたら、その保護預要求情報62に示される金口座番号の金口座に、その保護預要求情報62に示されるグラム数(総グラム数)の地金を振り込む処理を行う。つまり、そのグラム数の地金をその金口座にストックする処理を行う(#3)。
【0047】
今回のストックの識別番号(預入番号)を発行し(#6)、その預入番号、今回ストックした地金のグラム数、および現在の日時(預入日時)を示すレコードを生成し預履歴リストに追加する(#7)。ただし、預履歴リストのレコード数が定められている場合であって既に預履歴リストが埋まっている場合は(#4でNo)、最古のレコードを削除した後、ステップ#6、#7の処理を行う。
【0048】
貴金属景品保護預データHAの預合計グラム数に、今回ストックした地金のグラム数を加算する(#8)。
【0049】
そして、要求元のストック受付端末2に対して、ストックの処理が完了した旨の報告を行う(#9)。この際に、ステップ#7で生成したレコードの内容およびステップ#8で更新した預合計グラム数を示すストック完了報告データ63をそのストック受付端末2に送信する。
【0050】
一方、ステップ#1においてその保護預要求情報62に示される金口座番号および会員IDの両方を示す貴金属景品保護預データHAが見つからなかった場合は(#2でNo)、ストックできない旨のエラーメッセージを要求元のストック受付端末2に対して送信する(#10)。
【0051】
ストック受付端末2において、確認レシート発行処理部202は、ストック完了報告データ63を金融機関システム5から受信すると、それに示される各項目の情報のほか、店舗Aの名称および金融機関Cの名称などを用紙に印刷する処理をプリンタ20bに実行させる。以下、プリンタ20bによって得られた印刷物を「ストック確認レシートRC」と記載する。なお、図7に示すように、少なくとも預入番号は、バーコードに変換して印刷するのが望ましい。
【0052】
そして、店員は、今回の交換相手の顧客にそのストック確認レシートRCを渡すとともに、会員カードRDを返却する。また、顧客が今回預けた分の地金は、店舗Aの管理下から金融機関Cの管理下に移される。
【0053】
〔顧客が地金を売却する際の処理〕
図8は申込受付画面HGの例を示す図、図9は地金の売却の際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0054】
顧客は、自分の金口座にストックされている地金のうちの、店舗Aで景品として獲得した分の地金を、ATM3を操作して貴金属商Bに売却することができる。次に、ATM3の各部の処理内容などについて説明する。
【0055】
図4において、ATM3の買取価格情報取得部301は、貴金属商Bが単位質量(1グラム)当たりの地金を顧客から買い取る際の価格(単位買取価格)を示す買取価格情報64を、通信回線を介して貴金属商Bのシステムから取得する。この買取価格情報64は、買取価格情報記憶部302に保存される。なお、前に述べたように、貴金属地金の相場はほぼ毎日変化している。そこで、買取価格情報取得部301は、毎日、貴金属商Bが地金の買取価格を発表する時刻に貴金属商Bのシステムにアクセスし、買取価格情報64を取得する。
【0056】
地金の売却を希望する顧客は、ATM3のICカードリーダライタ30bに自分の会員カードRDをセットする。すると、ICカードリーダライタ30bは、その会員カードRDに記憶されている金口座番号を読み取る。
【0057】
現価格算出部303は、その顧客の金口座にストックされている地金のうちのストック受付端末2を介してストックされた分の地金(以下、「景品分地金」と記載する。)の現在の買取価格を、次のように算出する。
【0058】
金融機関システム5の会員用金口座マスタMSから、ICカードリーダライタ30bによって読み取られた金口座番号を示す貴金属景品保護預データHA(図5参照)をダウンロードする。そして、その貴金属景品保護預データHAに示される預合計グラム数に、貴金属景品価格算出部102に示される単位買取価格を掛ける。この積算値が、景品分地金の現在の買取価格である。
【0059】
申込受付画面生成部304は、図8のような申込受付画面HGをタッチパネル30aに表示させる。
【0060】
申込受付画面HGには、地金の現在の単位買取価格、その顧客の景品分地金の現在の買取価格などが示される。さらに、何グラムの景品分地金を売却するのか、または何円分の景品分地金を売却するのかを指定するためのボタンが設けられている。
【0061】
売却処理要求部305は、顧客が申込受付画面HGに対して指定した分の景品分地金を売却するように、金融機関システム5に対して要求する。この際に、売却する景品分地金の量(グラム数)およびその顧客の金口座番号および会員などを示す売却要求情報65を金融機関システム5に対して送信する。ただし、顧客は、貴金属景品保護預データHAに示される預合計グラム数を超える量を指定することはできない。超える量を指定した場合は、指定し直すように要求される。
【0062】
金融機関システム5は、売却要求情報65を受信すると、それに基づいて顧客の地金の売却の処理を図9に示すような手順で実行する。
【0063】
金融機関システム5は、会員用金口座マスタMSの中から、その売却要求情報65に示される金口座番号および会員IDの両方を示す貴金属景品保護預データHA(図5参照)を検索する(図9の#21)。
【0064】
その貴金属景品保護預データHAが見つかったら(#22でYes)、その売却要求情報65に示されるグラム数の地金を、その売却要求情報65に示される金口座番号の金口座から差し引く処理を、行う(#23)。つまり、顧客からその地金を買い取る処理を行う。そして、その貴金属景品保護預データHAの預合計グラム数から、その売却要求情報65に示されるグラム数を減算し(#24)、地金を差し引いた処理の完了の報告を、要求元のATM3に対して行う(#25)。
【0065】
その貴金属景品保護預データHAが見つからなかった場合は(#22でNo)、取引(売却、買取)できない旨のエラーメッセージを要求元のATM3に対して送信する(#26)。
【0066】
図4に戻って、ATM3において、金融機関システム5からの報告が受信されると、取引伝票発行処理部306は、今回の取引の金額分の現金が現金排出口に送り出されるように現金払出ユニット30dを制御する。取引伝票発行処理部307は、今回の取引の結果(取引した地金の量およびその金額、取引日時、および店舗Aの名称など)を用紙に印刷するようにプリンタ30cを制御する。そして、顧客は、現金および印刷物(レシート)を受け取る。
【0067】
売却された分の地金は、金融機関Cの管理下から貴金属商Bの管理下に移る。そして、売却に要した費用が貴金属商Bから金融機関Cに支払われる。
【0068】
図10はPOS端末1の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャート、図11はストック受付端末2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャート、図12はATM3の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0069】
次に、POS端末1、ストック受付端末2、およびATM3の全体的な処理の手順を、ある顧客Uxが貴金属景品取引システム4を使用する場合を例に、図10、図11、および図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0070】
顧客Uxは、遊技が終わったら、獲得した玉またはメダルを玉計数機またはメダル計数機に計数させ、発行してもらった獲得数レシートRAを持ってカウンタに行く。そして、その獲得数レシートRAおよび自分の会員カードRDを店員に渡し、貴金属景品Gへの交換と自分の金口座への預入を依頼する。
【0071】
店員の操作に従って、POS端末1は、図10に示す処理を行う。その獲得数レシートRAに印刷されているバーコードを読み取る(#31)。そして、そのバーコードに示される玉数Npまたはメダル数Nqの玉またはメダルと交換可能な貴金属景品Gの個数Kcを算出し(#32)、その個数Kcなどを示す景品レシートRBを発行する(#33)。
【0072】
続いて、ストック受付端末2は、店員の操作に従って、図11に示す処理を行う。その景品レシートRBに印刷されているバーコードを読み取る(#41)。顧客から受け取った会員カードRDから金口座番号および会員IDを読み取る(#42)。
【0073】
そのバーコードに示される個数Kcの貴金属景品Gに含まれる地金の総質量を算出し(#43)、その総質量分の地金を、その金口座番号の金口座にストックするように金融機関システム5に対して要求する(#44)。
【0074】
そして、要求が受け付けられストックの処理が完了したら、ストック確認レシートRCを発行する(#45)。このストック確認レシートRCは、顧客Uxに渡される。また、会員カードRDは顧客Uxに返却される。
【0075】
顧客Uxは、ストック確認レシートRCおよび会員カードRDを受け取ると、店舗Aを出る。その後、顧客Uxは、いつでも、店舗Aに来店しATM3を操作して、かつて店舗Aで獲得した地金を売却することができる。
【0076】
顧客Uxは、自分の会員カードRDをATM3にセットする。すると、ATM3は、その会員カードRDから金口座番号および会員IDを読み取る(図12の#51)、その金口座番号および会員IDに対応する貴金属景品保護預データHA(図5参照)を金融機関システム5から取得する(#52)。その貴金属景品保護預データHAに示される預合計グラム数および地金の現在の単位買取価格に基づいて、その預合計グラム数分の地金(景品分地金)の現在の買取価格を算出する(#53)。
【0077】
申込受付画面HG(図8参照)を表示し(#54)、何グラム分または何円分の景品分地金を売却するのかを顧客Uxに指定させる。ここで、顧客Uxは、売却したい量を指定する。なお、金額を指定した場合は、それが何グラムの地金に相当するのかが、単位買取価格に基づいて算出される。
【0078】
顧客Uxが指定した売却量が預合計グラム数を超える場合は(#56でNo)、ATM3は、指定し直すように求める。
【0079】
顧客Uxが指定した売却量が預合計グラム数以下である場合は(#56でYes)、ATM3は、その売却量の地金の売却を金融機関システム5に対して要求する(#57)。
【0080】
そして、ATM3は、金融機関システム5において売却の処理が完了した旨の報告を受信すると(#58)、今回の売却価格(取引金額)の現金を払い出すとともに(#59)、レシートを発行する(#60)。顧客Uxは、現金およびレシートを受け取る。
【0081】
本実施形態によると、顧客は、獲得した点数と引換えに提供される貴金属地金を従来よりも容易に取引することができる。
【0082】
さらに、貴金属商Bは、多くとも、金口座にストックされている地金のうちの店舗Aに卸した分の地金のみを、買い取ればよい。よって、際限ない地金の買取を行わなくてよいので、安定した経営を図ることができる。
【0083】
図13は貴金属景品保護預データHA’の例を示す図、図14は地金の売却の際の処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【0084】
本実施形態では、金融機関Cは、顧客から買い取った地金の代金をATM3を介して現金によって顧客に支払ったが、他の方法を用いてもよい。例えば、その顧客の普通預金の口座に振り込むことによって支払ってもよい。普通預金の口座の番号は、顧客に指定させてもよいし、会員カードRDから読み取ってもよい。または、会員カードRDに電子マネー機能が備わっている場合は、その代金をその会員カードRDにチャージしてもよい。または、これらの方法のうちのいずれかを、顧客に選択させるようにしてもよい。
【0085】
顧客が景品分地金を売却する際にストック確認レシートRC(図7参照)を使用できるようにしてもよい。この場合は、ATM3および金融機関システム5を次のように構成する。
【0086】
ATM3に、バーコードリーダを設ける。金融機関システム5の会員用金口座マスタMSに、図13のような貴金属景品保護預データHA’を会員である顧客ごとに記憶させる。図5の貴金属景品保護預データHAと比較して分かるように、貴金属景品保護預データHA’の預履歴リストの各レコードには、売却フラグが設けられている。なお、売却フラグの初期値は「0」である。
【0087】
顧客は、地金を売却する際に、自分の会員カードRDをATM3のICカードリーダライタ30bにセットするとともに、ストック確認レシートRCに印刷されているバーコードをバーコードリーダに読み取らせる。
【0088】
ATM3は、そのバーコードに示される預入番号および会員カードRDに記憶されている金口座番号および会員番号を示す売却要求情報65’を金融機関システム5に送信することによって、売却の要求を行う。
【0089】
すると、金融機関システム5は、図14に示すような手順で売却のための処理を実行する。
【0090】
売却要求情報65’に示される金口座番号および会員IDの両方を示す貴金属景品保護預データHA’を検索する(図14の#71)。
【0091】
その貴金属景品保護預データHA’が見つかったら(#72でYes)、その売却要求情報65’に預入番号のレコードを検索する(#73)。そのレコードが見つかり、かつそのレコードの売却フラグが「0」であれば(#74でYes)、そのレコードに示される預入グラム数の分だけ地金を売却する処理(金融機関Cが顧客から買い取る処理)を行う(#75)。そして、そのレコードの売却フラグを「1」に更新し(#76)、売却の処理の完了の報告を、要求元のATM3に対して行う(#77)。
【0092】
そのレコードが見つからなかった場合またはそのレコードの売却フラグが「1」である場合は(#74でNo)、そのストック確認レシートRCでは売却の処理ができない旨のエラーメッセージをATM3に送信する(#78)。
【0093】
また、ステップ#71において貴金属景品保護預データHA’が見つからなかった場合は(#72でNo)、取引(売却、買取)できない旨のエラーメッセージをATM3に対して送信する(#79)。
【0094】
本実施形態では、24金の貴金属地金が貴金属景品Gとして用いられる場合を例に説明したが、プラチナまたは銀などの貴金属地金が貴金属地金景品として用いられる場合にも、本発明を適用することができる。または、宝石のような、小粒でも資産価値の高い物品が景品として用いられる場合にも、本発明を適用することができる。
【0095】
図8に示した申込受付画面HGによると、顧客の現在の景品分地金の量および価格を参照することができる。これらの情報を紹介レシートとしてプリンタ30cによって印刷できるようにしてもよい。
【0096】
また、会員カードRDに設定されている暗証番号をATM3で変更できるようにしてもよい。
【0097】
本実施形態では、POS端末1からストック受付端末2への情報のやり取りを、景品レシートRBによって行ったが、POS端末1とストック受付端末2とを通信回線で接続し、景品レシートRBに印刷した情報を、電子的な通信によって行ってもよい。または、ストック受付端末2の機能をPOS端末1に設けてもよい。
【0098】
本実施形態では、景品分地金の現在の価格の算出をATM3が行ったが、金融機関システム5が行ってもよい。また、景品分地金の量を超える売却が要求されたか否かの判別をATM3が行ったが、金融機関システム5が行ってもよい。
【0099】
複数の店舗にPOS端末1、ストック受付端末2、およびATM3を設け、ある店舗のストック受付端末2によって預けられた地金を他の店舗のATM3で売却できるようにしてもよい。
【0100】
本実施形態では、地金を口座に預け入れるための操作を店員がPOS端末1およびストック受付端末2に対して行ったが、顧客が行えるようにしてもよい。この場合は、POS端末1およびストック受付端末2の機能をATM3に具備させ、ATM3を操作することによって行えるようにしてもよい。
【0101】
本実施形態では、会員の貴金属景品保護預データHA、HA’を金融機関システム5の会員用金口座マスタMSによって管理したが、会員ごとの会員カードRDに記憶させておいてもよい。そして、ストック受付端末2およびATM3は、会員カードRDから貴金属景品保護預データHA、HA’を読み出して使用してもよい。
【0102】
本実施形態では、金融機関Cに開設されている金口座に貴金属景品Gの地金をストックさせた。つまり、それ以外の地金をもストックできる金口座を用いた。しかし、貴金属景品Gの地金の専用の金口座を用意し、それにストックするようにしてもよい。または、貴金属商または宝石商などに開設されている金口座を用いてもよい。
【0103】
金口座にストックされている地金の売却先は、貴金属商Bではなく、金融機関Cであってもよい。
【0104】
百貨店またはショッピングモールなどが発行する点数と交換される貴金属景品Gのストックのために、本実施形態の貴金属景品取引システム4を適用することもできる。この場合は、POS端末1およびストック受付端末2をサービスカウンタなどに設置し、ATM3を百貨店またはショッピングモールの中のATMコーナまたは休憩所などに設置すればよい。
【0105】
その他、貴金属景品取引システム4、POS端末1、ストック受付端末2、ATM3の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、各種のデータの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】貴金属地金景品取引システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】POS端末の構成の例を示す図である。
【図3】ストック受付端末の構成の例を示す図である。
【図4】ATMの構成の例を示す図である。
【図5】貴金属地金景品保護預データの例を示す図である。
【図6】地金を預かる際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】ストック確認レシートの例を示す図である。
【図8】申込受付画面の例を示す図である。
【図9】地金の売却の際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図10】POS端末の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図11】ストック受付端末の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図12】ATMの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図13】貴金属地金景品保護預データの例を示す図である。
【図14】地金の売却の際の処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
4 貴金属景品取引システム(貴金属地金ストック支援システム)
201 保護預要求部(預入処理要求手段)
20c ICカードリーダ(口座指定受付手段)
20k キーボード(交換量指定手段)
30a タッチパネル(売却量等指定手段)
30b ICカードリーダライタ(売却量等指定手段)
305 売却処理要求部(売却処理要求手段)
5 金融機関システム(口座管理システム)
G 貴金属景品
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が獲得した点数と交換される貴金属地金を取り扱うシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカード会社、航空会社、および百貨店などの事業者は、自社のサービスを利用してくれた顧客に対して取引金額などに応じて点(ポイント)を与える。そして、顧客が獲得した点数に応じて顧客に景品を提供する。また、パチンコ店を経営する事業者も同様に、顧客が獲得した遊技玉等の点数(玉の個数またはメダルの枚数など)に応じて景品を提供する。
【0003】
近年、消費者のニーズが多様化しており、上記のような事業者は、様々な景品を用意している。例えば、鞄、香水、時計、またはアクセサリなどのブランド品、タバコまたはコーヒなどの嗜好品、食器または日用雑貨などの実用品など、様々な景品を用意している。
【0004】
また、金、銀、および白金などの貴金属地金に興味を持つ消費者が増えている。特許文献1に記載されるように、貴金属地金の小塊を埋め込んだ安価なプラスチックカードが記念品や贈答品として手軽に広く用いられている。よって、今後、貴金属地金を含有する景品が盛んに用いられるようになることが、考えられる。
【特許文献1】特許第2905252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、貴金属地金は、資産運用を目的としても、所有されるようになった。しかし、貴金属地金の景品は、様々な形態のケーシングに入れられていたり、様々な装飾が施されていたりしており、容易に取引することができない。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑み、顧客が獲得した点数と引換えに提供される貴金属地金を従来よりも容易に取引できるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る貴金属地金ストック支援システムは、顧客が獲得した点数と交換する貴金属地金の量である交換量を指定するための交換量指定手段と、前記交換量指定手段によって指定された前記交換量の貴金属地金を預け入れる口座を指定するための口座指定受付手段と、前記交換量指定手段によって指定された前記交換量の貴金属地金を、前記口座指定手段によって指定された前記口座に預け入れる処理を行うように、当該口座を管理する口座管理システムに対して要求する、預入処理要求手段と、を有する。
【0008】
好ましくは、前記口座と、当該口座にストックされている貴金属地金のうちの売却する量である売却量と、を指定するための売却量等指定手段と、前記売却量等指定手段によって指定された前記口座にストックされている前記売却量の貴金属地金を売却相手に売却する処理を行うように、前記口座管理システムに対して要求する、売却処理要求手段と、を有する。
【0009】
または、前記口座には、前記点数と交換された貴金属地金以外の貴金属地金をもストックすることが可能であり、前記売却処理要求手段は、前記売却量等指定手段によって指定された前記売却量が、当該売却量とともに指定された前記口座にストックされている、前記預入処理要求手段からの要求に基づいて当該口座に預け入れられた分でありかつ未売却の分の貴金属地金の量を超えない場合に、当該売却量の貴金属地金を売却する処理を行うように要求する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、顧客が獲得した点数と引換えに提供される貴金属地金を従来よりも容易に取引することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は貴金属景品取引システム4の全体的な構成の例を示す図、図2はPOS端末1の構成の例を示す図、図3はストック受付端末2の構成の例を示す図、図4はATM3の構成の例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、貴金属景品取引システム4は、POS(Point of Sales)端末1、ストック受付端末2、およびATM(Automatic Teller Machine)3などによって構成される。貴金属景品取引システム4は、パチンコ店またはパチスロ店などの店舗に設置される。そして、顧客(遊技者)の獲得した玉またはメダルとの交換用の貴金属景品Gの取引を行うために用いられる。以下、パチンコ店である店舗Aに設置される貴金属景品取引システム4を例に説明する。
【0013】
店舗Aでは、1つの玉および1枚のメダルそれぞれの、景品との交換の際の価値を、定めている。また、一般に貴金属景品には、何種類かの貴金属地金が含まれていることがあるが、店舗Aでは、24金(gold)の地金(以下、単に「地金」と記載する。)を含む景品を貴金属景品Gとして顧客に提供している。なお、地金は、所定の質量(グラム数)ごとにプラスチックのケースに収納された状態で、顧客に提供される。貴金属景品Gは、貴金属商Bが店舗Aに卸している。
【0014】
顧客は、玉またはメダルなどの遊技玉等と交換した貴金属景品Gを、そのまま家に持って帰ってもよいが、貴金属商Bが提携している金融機関Cに預かってもらう(保護預してもらう)ことができる。ただし、預かってもらうために、顧客は、予め、自分の金口座を金融機関Cに開設しておくとともに、保護預のサービスの会員になっておく。金口座を開設しかつ会員登録した顧客には、会員カードRDが貴金属商Bまたは金融機関Cから貸与される。会員カードRDには、金口座の番号(金口座番号)および会員IDのほか、本人の氏名、生年月日、住所、および電話番号などが記憶される。会員カードRDとして、ICカードが用いられる。なお、会員カードを使用する際には、暗証番号を入力しなければならない。
【0015】
POS端末1は、店舗Aのカウンタに設置されており、玉またはメダルを景品に交換するために用いられる。POS端末1のハードウェア構成およびソフトウェア構成は、基本的に、パチンコ店の景品交換用の既存のPOS端末のそれらと同様である。つまり、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、キーボード、およびディスプレイのほか、バーコードリーダ10aおよびプリンタ10bなどのハードウェアによって構成され、景品の在庫管理の処理を行うソフトウェアなどがインストールされている。
【0016】
さらに、POS端末1には、図2に示すような販売価格情報取得部101、貴金属景品価格算出部102、貴金属景品価格記憶部103、交換景品数算出部104、および景品レシート発行処理部105などの機能を実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAMにロードされ、CPUによってプログラムが実行される。
【0017】
ストック受付端末2は、店舗Aのカウンタに設置されており、顧客が玉またはメダルと交換に獲得した貴金属景品Gを金融機関Cに預けるために用いられる。ストック受付端末2として、例えばパーソナルコンピュータが用いられる。ストック受付端末2には、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、ディスプレイ、およびNIC(Network Interface Card)のほか、バーコードリーダ20a、プリンタ20b、ICカードリーダ20c、およびキーボード20kなどのハードウェアによって構成される。
【0018】
さらに、ストック受付端末2には、図3に示す保護預要求部201および確認レシート発行処理部202などの機能を実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAMにロードされ、CPUによってプログラムが実行される。
【0019】
ストック受付端末2は、NICによって、金融機関Cのシステム(以下、「金融機関システム5」と記載する。)に通信回線を介して接続可能である。
【0020】
ATM3は、顧客が自分の金口座に預けた貴金属景品Gを金融機関Cに売却する手続を行うために用いられる。ATM3のハードウェア構成およびソフトウェア構成は、現金の預入および払出などを行うための従来のATMのそれらと基本的に同様である。つまり、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、および通信インタフェースのほか、タッチパネル30a、ICカードリーダライタ30b、プリンタ30c、および現金払出ユニット30dなどのハードウェアによって構成され、現金の預入および払出の処理のためのソフトウェアなどがインストールされている。
【0021】
さらにATM3には、図4に示す買取価格情報取得部301、買取価格情報記憶部302、現価格算出部303、申込受付画面生成部304、売却処理要求部305、払出制御部306、および取引伝票発行処理部307などの機能を実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAMにロードされ、CPUによってプログラムが実行される。
【0022】
ATM3は、通信インタフェースによって、金融機関システム5に通信回線を介して接続可能である。
【0023】
なお、図2、図3、および図4に示す各部の機能の一部または全部を回路などのハードウェアのみによって実現してもよい。
【0024】
以下、図2に示すPOS端末1の各部、図3に示すストック受付端末2の各部、および図4に示すATM3の各部の処理内容などについて、詳細に説明する。
【0025】
〔貴金属景品を金融機関Cに預ける際の処理〕
図5は貴金属景品保護預データHAの例を示す図、図6は地金を預かる際の処理の流れの例を説明するフローチャート、図7はストック確認レシートRCの例を示す図である。
【0026】
図2のPOS端末1において、販売価格情報取得部101は、貴金属景品Gに用いられている地金の単位質量(1グラム)当たりの販売価格(単位販売価格)を示す販売価格情報61を、通信回線を介して貴金属商Bのシステム(例えば、サーバ)から取得する。
【0027】
一般に、地金の相場はほぼ毎日変化している。よって、地金の販売価格もそれに対応して変化する。また、一般に、貴金属商は地金の販売価格を毎日の定時に発表する。そこで、販売価格情報取得部101は、毎日、貴金属商Bが地金の販売価格を発表する時刻に貴金属商Bのシステムにアクセスし、販売価格情報61を取得する。
【0028】
貴金属景品価格算出部102は、販売価格情報取得部101によって販売価格情報61が取得されるごとに、その販売価格情報61に示される単位販売価格と貴金属景品Gに含まれる地金の質量とに基づいて、貴金属景品Gの1つ当たりの販売価格(景品販売価格Vb円)を算出する。すなわち、販売価格情報61に「Va円/1グラム」が示され、1つの貴金属景品Gに含まれる地金の質量が「Mbグラム」である場合は、「Vb=Va×Mb」によって算出される。
【0029】
貴金属景品価格記憶部103は、貴金属景品価格算出部102によって景品販売価格Vbが算出されるごとに、それを記憶する。前回に算出した景品販売価格Vbつまり古い景品販売価格Vbは削除される。
【0030】
交換景品数算出部104は、顧客が獲得した玉またはメダルと交換可能な貴金属景品Gの個数を、次のような手順で算出する。
【0031】
顧客は、玉またはメダルを獲得したら、従来通り、その個数(玉数Np)または枚数(メダル数Nq)を玉計数機またはメダル計数機に計数させる。すると、玉計数機またはメダル計数機は、計数した玉数Npまたはメダル数Nqを表すバーコードを用紙に印刷する。以下、この用紙を「獲得数レシートRA」と記載する。そのほか、獲得数レシートRAには、店舗Aの名称(店舗名)およびこの獲得数レシートRAの発行日時などが印刷される。
【0032】
そして、顧客は、その用紙を持ってカウンタに行き、店舗Aの店員にそれを渡すとともに貴金属景品Gへの交換を依頼する。なお、この際に、自分の会員カードRDも店員に渡しておく。店員は、受け取った用紙に印刷されているバーコードをPOS端末1のバーコードリーダ10aに読み取らせる。
【0033】
すると、販売価格情報取得部101は、バーコードリーダ10aが読み取ったバーコードに示される玉数Npの玉またはメダル数Nqのメダルで何円分の景品に交換可能であるかを算出する。つまり、それらの玉またはメダルに何円分の価値があるのかを算出する。以下、この価値を「玉メダル価値Vc(円)」と記載する。1玉当たりの玉の価値がVp(円)であり、1枚当たりのメダルの価値がVq(円)である場合は、「Vc=Np×Vp」または「Vc=Nq×Vq」によって玉メダル価値Vcが算出される。
【0034】
そして、貴金属景品価格記憶部103に記憶されている景品販売価格Vbを呼び出し、玉メダル価値Vcが貴金属景品G何個に相当するのかを算出する。つまり、その個数をKcとすると、「Kc=Vc/Vb」を算出する。ただし、割り切れない場合は、算出した値の整数部分のみを個数Kcとする。余りの取扱いについては、公知であるので、説明を省略する。
【0035】
景品レシート発行処理部105は、交換景品数算出部104によって算出された貴金属景品Gの個数Kcを示すバーコードを印刷する処理をプリンタ10bに実行させる。以下、プリンタ10bによって得られた印刷物を「景品レシートRB」と記載する。この景品レシートRBは、個数Kcの貴金属景品Gの明細書のような役割を果たす。ただし、本実施形態では、景品レシートRBは顧客に渡されず、店員が持っておく。そして、次に説明するように、店員は、景品レシートRBを用いて、個数Kcの貴金属景品Gに含まれる地金を顧客の金口座に預け入れるための操作をストック受付端末2に対して行う。
【0036】
なお、景品レシートRBには、上記のバーコードのほか、数字および文字によってその個数Kc、店舗Aの名称、およびその景品レシートRBの発行日時が印刷される。
【0037】
図3において、店員は、顧客から渡された会員カードRDに記憶されている金口座番号をストック受付端末2のICカードリーダ20cに読み取らせるとともに、POS端末1によって発行された景品レシートRBに印刷されているバーコードをバーコードリーダ20aに読み取らせる。さらに、個数Kcの全部を預けるのか一部のみを預けるのかを顧客に聞き、預ける個数をキーボードによって指定する。
【0038】
すると、保護預要求部201は、キーボードによって指定された個数の貴金属景品Gに含まれる地金を預かるように、金融機関システム5に対して要求する。この際に、読み取られた金口座番号および指定された個数の貴金属景品Gに含まれる地金の全質量(総グラム数)などを示す保護預要求情報62を金融機関システム5に対して送信する。なお、指定された個数の貴金属景品Gに含まれる地金の全質量は、指定されたその個数と貴金属景品G一つ当たりに含まれる地金の質量との積を求めることによって、算出される。
【0039】
ところで、金融機関システム5は、金融機関Cに開設されている普通預金口座、当座預金口座、および金口座などを管理する。金融機関システム5のハードウェア構成およびソフトウェア構成は、基本的に従来の金融機関システムと同様である。さらに、金融機関システム5には、ストック受付端末2およびATM3と通信を行うためのインタフェースのほか、会員用金口座マスタMSが設けられている。
【0040】
会員用金口座マスタMSには、金融機関Cの金口座を開設している顧客のうちの店舗Aのサービスの会員でもある顧客ごとの貴金属景品保護預データHAが記憶されている。
【0041】
貴金属景品保護預データHAには、図5のように、その顧客の金口座番号および会員IDのほか、ストック受付端末2を介して預けられた(ストックされた)地金に関する情報が示されている。
【0042】
「預合計グラム数」は、その顧客の金口座に現在預けられている地金のうちストック受付端末2を介して預けられた地金の総質量(グラム数)を示している。預合計グラム数の初期値は「0」である。そして、後述するように、ストック受付端末2からの保護預要求情報62に基づいて地金が預けられるごとに、その分の質量を預合計グラム数に加算する。また、ATM3からの売却要求情報65(後述する)に基づいて地金が売却されるごとに、その分の質量を預合計グラム数に減算する。
【0043】
「預履歴リスト」には、ストック受付端末2を介して行われたストック(保護預)の実績の履歴が示されている。この預履歴リストには、過去に行ったすべてのストックの実績を記載しておいてもよいし、最近の数件(例えば、5件)のみを記載しておいてもよい。
【0044】
図4に戻って、保護預要求情報62を受信した金融機関システム5は、その保護預要求情報62に示される金口座に、同じくその保護預要求情報62に示される総グラム数の地金を振り込む処理を、図6に示すような手順で行う。
【0045】
金融機関システム5は、保護預要求情報62を受信すると、会員用金口座マスタMSの中から、その保護預要求情報62に示される金口座番号および会員IDの両方を示す貴金属景品保護預データHAを検索する(図6の#1)。
【0046】
その貴金属景品保護預データHAが見つかったら(#2でYes)、つまり、店舗Aのサービスの会員である顧客の金口座の存在が確認できたら、その保護預要求情報62に示される金口座番号の金口座に、その保護預要求情報62に示されるグラム数(総グラム数)の地金を振り込む処理を行う。つまり、そのグラム数の地金をその金口座にストックする処理を行う(#3)。
【0047】
今回のストックの識別番号(預入番号)を発行し(#6)、その預入番号、今回ストックした地金のグラム数、および現在の日時(預入日時)を示すレコードを生成し預履歴リストに追加する(#7)。ただし、預履歴リストのレコード数が定められている場合であって既に預履歴リストが埋まっている場合は(#4でNo)、最古のレコードを削除した後、ステップ#6、#7の処理を行う。
【0048】
貴金属景品保護預データHAの預合計グラム数に、今回ストックした地金のグラム数を加算する(#8)。
【0049】
そして、要求元のストック受付端末2に対して、ストックの処理が完了した旨の報告を行う(#9)。この際に、ステップ#7で生成したレコードの内容およびステップ#8で更新した預合計グラム数を示すストック完了報告データ63をそのストック受付端末2に送信する。
【0050】
一方、ステップ#1においてその保護預要求情報62に示される金口座番号および会員IDの両方を示す貴金属景品保護預データHAが見つからなかった場合は(#2でNo)、ストックできない旨のエラーメッセージを要求元のストック受付端末2に対して送信する(#10)。
【0051】
ストック受付端末2において、確認レシート発行処理部202は、ストック完了報告データ63を金融機関システム5から受信すると、それに示される各項目の情報のほか、店舗Aの名称および金融機関Cの名称などを用紙に印刷する処理をプリンタ20bに実行させる。以下、プリンタ20bによって得られた印刷物を「ストック確認レシートRC」と記載する。なお、図7に示すように、少なくとも預入番号は、バーコードに変換して印刷するのが望ましい。
【0052】
そして、店員は、今回の交換相手の顧客にそのストック確認レシートRCを渡すとともに、会員カードRDを返却する。また、顧客が今回預けた分の地金は、店舗Aの管理下から金融機関Cの管理下に移される。
【0053】
〔顧客が地金を売却する際の処理〕
図8は申込受付画面HGの例を示す図、図9は地金の売却の際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0054】
顧客は、自分の金口座にストックされている地金のうちの、店舗Aで景品として獲得した分の地金を、ATM3を操作して貴金属商Bに売却することができる。次に、ATM3の各部の処理内容などについて説明する。
【0055】
図4において、ATM3の買取価格情報取得部301は、貴金属商Bが単位質量(1グラム)当たりの地金を顧客から買い取る際の価格(単位買取価格)を示す買取価格情報64を、通信回線を介して貴金属商Bのシステムから取得する。この買取価格情報64は、買取価格情報記憶部302に保存される。なお、前に述べたように、貴金属地金の相場はほぼ毎日変化している。そこで、買取価格情報取得部301は、毎日、貴金属商Bが地金の買取価格を発表する時刻に貴金属商Bのシステムにアクセスし、買取価格情報64を取得する。
【0056】
地金の売却を希望する顧客は、ATM3のICカードリーダライタ30bに自分の会員カードRDをセットする。すると、ICカードリーダライタ30bは、その会員カードRDに記憶されている金口座番号を読み取る。
【0057】
現価格算出部303は、その顧客の金口座にストックされている地金のうちのストック受付端末2を介してストックされた分の地金(以下、「景品分地金」と記載する。)の現在の買取価格を、次のように算出する。
【0058】
金融機関システム5の会員用金口座マスタMSから、ICカードリーダライタ30bによって読み取られた金口座番号を示す貴金属景品保護預データHA(図5参照)をダウンロードする。そして、その貴金属景品保護預データHAに示される預合計グラム数に、貴金属景品価格算出部102に示される単位買取価格を掛ける。この積算値が、景品分地金の現在の買取価格である。
【0059】
申込受付画面生成部304は、図8のような申込受付画面HGをタッチパネル30aに表示させる。
【0060】
申込受付画面HGには、地金の現在の単位買取価格、その顧客の景品分地金の現在の買取価格などが示される。さらに、何グラムの景品分地金を売却するのか、または何円分の景品分地金を売却するのかを指定するためのボタンが設けられている。
【0061】
売却処理要求部305は、顧客が申込受付画面HGに対して指定した分の景品分地金を売却するように、金融機関システム5に対して要求する。この際に、売却する景品分地金の量(グラム数)およびその顧客の金口座番号および会員などを示す売却要求情報65を金融機関システム5に対して送信する。ただし、顧客は、貴金属景品保護預データHAに示される預合計グラム数を超える量を指定することはできない。超える量を指定した場合は、指定し直すように要求される。
【0062】
金融機関システム5は、売却要求情報65を受信すると、それに基づいて顧客の地金の売却の処理を図9に示すような手順で実行する。
【0063】
金融機関システム5は、会員用金口座マスタMSの中から、その売却要求情報65に示される金口座番号および会員IDの両方を示す貴金属景品保護預データHA(図5参照)を検索する(図9の#21)。
【0064】
その貴金属景品保護預データHAが見つかったら(#22でYes)、その売却要求情報65に示されるグラム数の地金を、その売却要求情報65に示される金口座番号の金口座から差し引く処理を、行う(#23)。つまり、顧客からその地金を買い取る処理を行う。そして、その貴金属景品保護預データHAの預合計グラム数から、その売却要求情報65に示されるグラム数を減算し(#24)、地金を差し引いた処理の完了の報告を、要求元のATM3に対して行う(#25)。
【0065】
その貴金属景品保護預データHAが見つからなかった場合は(#22でNo)、取引(売却、買取)できない旨のエラーメッセージを要求元のATM3に対して送信する(#26)。
【0066】
図4に戻って、ATM3において、金融機関システム5からの報告が受信されると、取引伝票発行処理部306は、今回の取引の金額分の現金が現金排出口に送り出されるように現金払出ユニット30dを制御する。取引伝票発行処理部307は、今回の取引の結果(取引した地金の量およびその金額、取引日時、および店舗Aの名称など)を用紙に印刷するようにプリンタ30cを制御する。そして、顧客は、現金および印刷物(レシート)を受け取る。
【0067】
売却された分の地金は、金融機関Cの管理下から貴金属商Bの管理下に移る。そして、売却に要した費用が貴金属商Bから金融機関Cに支払われる。
【0068】
図10はPOS端末1の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャート、図11はストック受付端末2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャート、図12はATM3の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0069】
次に、POS端末1、ストック受付端末2、およびATM3の全体的な処理の手順を、ある顧客Uxが貴金属景品取引システム4を使用する場合を例に、図10、図11、および図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0070】
顧客Uxは、遊技が終わったら、獲得した玉またはメダルを玉計数機またはメダル計数機に計数させ、発行してもらった獲得数レシートRAを持ってカウンタに行く。そして、その獲得数レシートRAおよび自分の会員カードRDを店員に渡し、貴金属景品Gへの交換と自分の金口座への預入を依頼する。
【0071】
店員の操作に従って、POS端末1は、図10に示す処理を行う。その獲得数レシートRAに印刷されているバーコードを読み取る(#31)。そして、そのバーコードに示される玉数Npまたはメダル数Nqの玉またはメダルと交換可能な貴金属景品Gの個数Kcを算出し(#32)、その個数Kcなどを示す景品レシートRBを発行する(#33)。
【0072】
続いて、ストック受付端末2は、店員の操作に従って、図11に示す処理を行う。その景品レシートRBに印刷されているバーコードを読み取る(#41)。顧客から受け取った会員カードRDから金口座番号および会員IDを読み取る(#42)。
【0073】
そのバーコードに示される個数Kcの貴金属景品Gに含まれる地金の総質量を算出し(#43)、その総質量分の地金を、その金口座番号の金口座にストックするように金融機関システム5に対して要求する(#44)。
【0074】
そして、要求が受け付けられストックの処理が完了したら、ストック確認レシートRCを発行する(#45)。このストック確認レシートRCは、顧客Uxに渡される。また、会員カードRDは顧客Uxに返却される。
【0075】
顧客Uxは、ストック確認レシートRCおよび会員カードRDを受け取ると、店舗Aを出る。その後、顧客Uxは、いつでも、店舗Aに来店しATM3を操作して、かつて店舗Aで獲得した地金を売却することができる。
【0076】
顧客Uxは、自分の会員カードRDをATM3にセットする。すると、ATM3は、その会員カードRDから金口座番号および会員IDを読み取る(図12の#51)、その金口座番号および会員IDに対応する貴金属景品保護預データHA(図5参照)を金融機関システム5から取得する(#52)。その貴金属景品保護預データHAに示される預合計グラム数および地金の現在の単位買取価格に基づいて、その預合計グラム数分の地金(景品分地金)の現在の買取価格を算出する(#53)。
【0077】
申込受付画面HG(図8参照)を表示し(#54)、何グラム分または何円分の景品分地金を売却するのかを顧客Uxに指定させる。ここで、顧客Uxは、売却したい量を指定する。なお、金額を指定した場合は、それが何グラムの地金に相当するのかが、単位買取価格に基づいて算出される。
【0078】
顧客Uxが指定した売却量が預合計グラム数を超える場合は(#56でNo)、ATM3は、指定し直すように求める。
【0079】
顧客Uxが指定した売却量が預合計グラム数以下である場合は(#56でYes)、ATM3は、その売却量の地金の売却を金融機関システム5に対して要求する(#57)。
【0080】
そして、ATM3は、金融機関システム5において売却の処理が完了した旨の報告を受信すると(#58)、今回の売却価格(取引金額)の現金を払い出すとともに(#59)、レシートを発行する(#60)。顧客Uxは、現金およびレシートを受け取る。
【0081】
本実施形態によると、顧客は、獲得した点数と引換えに提供される貴金属地金を従来よりも容易に取引することができる。
【0082】
さらに、貴金属商Bは、多くとも、金口座にストックされている地金のうちの店舗Aに卸した分の地金のみを、買い取ればよい。よって、際限ない地金の買取を行わなくてよいので、安定した経営を図ることができる。
【0083】
図13は貴金属景品保護預データHA’の例を示す図、図14は地金の売却の際の処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【0084】
本実施形態では、金融機関Cは、顧客から買い取った地金の代金をATM3を介して現金によって顧客に支払ったが、他の方法を用いてもよい。例えば、その顧客の普通預金の口座に振り込むことによって支払ってもよい。普通預金の口座の番号は、顧客に指定させてもよいし、会員カードRDから読み取ってもよい。または、会員カードRDに電子マネー機能が備わっている場合は、その代金をその会員カードRDにチャージしてもよい。または、これらの方法のうちのいずれかを、顧客に選択させるようにしてもよい。
【0085】
顧客が景品分地金を売却する際にストック確認レシートRC(図7参照)を使用できるようにしてもよい。この場合は、ATM3および金融機関システム5を次のように構成する。
【0086】
ATM3に、バーコードリーダを設ける。金融機関システム5の会員用金口座マスタMSに、図13のような貴金属景品保護預データHA’を会員である顧客ごとに記憶させる。図5の貴金属景品保護預データHAと比較して分かるように、貴金属景品保護預データHA’の預履歴リストの各レコードには、売却フラグが設けられている。なお、売却フラグの初期値は「0」である。
【0087】
顧客は、地金を売却する際に、自分の会員カードRDをATM3のICカードリーダライタ30bにセットするとともに、ストック確認レシートRCに印刷されているバーコードをバーコードリーダに読み取らせる。
【0088】
ATM3は、そのバーコードに示される預入番号および会員カードRDに記憶されている金口座番号および会員番号を示す売却要求情報65’を金融機関システム5に送信することによって、売却の要求を行う。
【0089】
すると、金融機関システム5は、図14に示すような手順で売却のための処理を実行する。
【0090】
売却要求情報65’に示される金口座番号および会員IDの両方を示す貴金属景品保護預データHA’を検索する(図14の#71)。
【0091】
その貴金属景品保護預データHA’が見つかったら(#72でYes)、その売却要求情報65’に預入番号のレコードを検索する(#73)。そのレコードが見つかり、かつそのレコードの売却フラグが「0」であれば(#74でYes)、そのレコードに示される預入グラム数の分だけ地金を売却する処理(金融機関Cが顧客から買い取る処理)を行う(#75)。そして、そのレコードの売却フラグを「1」に更新し(#76)、売却の処理の完了の報告を、要求元のATM3に対して行う(#77)。
【0092】
そのレコードが見つからなかった場合またはそのレコードの売却フラグが「1」である場合は(#74でNo)、そのストック確認レシートRCでは売却の処理ができない旨のエラーメッセージをATM3に送信する(#78)。
【0093】
また、ステップ#71において貴金属景品保護預データHA’が見つからなかった場合は(#72でNo)、取引(売却、買取)できない旨のエラーメッセージをATM3に対して送信する(#79)。
【0094】
本実施形態では、24金の貴金属地金が貴金属景品Gとして用いられる場合を例に説明したが、プラチナまたは銀などの貴金属地金が貴金属地金景品として用いられる場合にも、本発明を適用することができる。または、宝石のような、小粒でも資産価値の高い物品が景品として用いられる場合にも、本発明を適用することができる。
【0095】
図8に示した申込受付画面HGによると、顧客の現在の景品分地金の量および価格を参照することができる。これらの情報を紹介レシートとしてプリンタ30cによって印刷できるようにしてもよい。
【0096】
また、会員カードRDに設定されている暗証番号をATM3で変更できるようにしてもよい。
【0097】
本実施形態では、POS端末1からストック受付端末2への情報のやり取りを、景品レシートRBによって行ったが、POS端末1とストック受付端末2とを通信回線で接続し、景品レシートRBに印刷した情報を、電子的な通信によって行ってもよい。または、ストック受付端末2の機能をPOS端末1に設けてもよい。
【0098】
本実施形態では、景品分地金の現在の価格の算出をATM3が行ったが、金融機関システム5が行ってもよい。また、景品分地金の量を超える売却が要求されたか否かの判別をATM3が行ったが、金融機関システム5が行ってもよい。
【0099】
複数の店舗にPOS端末1、ストック受付端末2、およびATM3を設け、ある店舗のストック受付端末2によって預けられた地金を他の店舗のATM3で売却できるようにしてもよい。
【0100】
本実施形態では、地金を口座に預け入れるための操作を店員がPOS端末1およびストック受付端末2に対して行ったが、顧客が行えるようにしてもよい。この場合は、POS端末1およびストック受付端末2の機能をATM3に具備させ、ATM3を操作することによって行えるようにしてもよい。
【0101】
本実施形態では、会員の貴金属景品保護預データHA、HA’を金融機関システム5の会員用金口座マスタMSによって管理したが、会員ごとの会員カードRDに記憶させておいてもよい。そして、ストック受付端末2およびATM3は、会員カードRDから貴金属景品保護預データHA、HA’を読み出して使用してもよい。
【0102】
本実施形態では、金融機関Cに開設されている金口座に貴金属景品Gの地金をストックさせた。つまり、それ以外の地金をもストックできる金口座を用いた。しかし、貴金属景品Gの地金の専用の金口座を用意し、それにストックするようにしてもよい。または、貴金属商または宝石商などに開設されている金口座を用いてもよい。
【0103】
金口座にストックされている地金の売却先は、貴金属商Bではなく、金融機関Cであってもよい。
【0104】
百貨店またはショッピングモールなどが発行する点数と交換される貴金属景品Gのストックのために、本実施形態の貴金属景品取引システム4を適用することもできる。この場合は、POS端末1およびストック受付端末2をサービスカウンタなどに設置し、ATM3を百貨店またはショッピングモールの中のATMコーナまたは休憩所などに設置すればよい。
【0105】
その他、貴金属景品取引システム4、POS端末1、ストック受付端末2、ATM3の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、各種のデータの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】貴金属地金景品取引システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】POS端末の構成の例を示す図である。
【図3】ストック受付端末の構成の例を示す図である。
【図4】ATMの構成の例を示す図である。
【図5】貴金属地金景品保護預データの例を示す図である。
【図6】地金を預かる際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】ストック確認レシートの例を示す図である。
【図8】申込受付画面の例を示す図である。
【図9】地金の売却の際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図10】POS端末の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図11】ストック受付端末の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図12】ATMの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図13】貴金属地金景品保護預データの例を示す図である。
【図14】地金の売却の際の処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
4 貴金属景品取引システム(貴金属地金ストック支援システム)
201 保護預要求部(預入処理要求手段)
20c ICカードリーダ(口座指定受付手段)
20k キーボード(交換量指定手段)
30a タッチパネル(売却量等指定手段)
30b ICカードリーダライタ(売却量等指定手段)
305 売却処理要求部(売却処理要求手段)
5 金融機関システム(口座管理システム)
G 貴金属景品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が獲得した点数と交換する貴金属地金の量である交換量を指定するための交換量指定手段と、
前記交換量指定手段によって指定された前記交換量の貴金属地金を預け入れる口座を指定するための口座指定受付手段と、
前記交換量指定手段によって指定された前記交換量の貴金属地金を、前記口座指定手段によって指定された前記口座に預け入れる処理を行うように、当該口座を管理する口座管理システムに対して要求する、預入処理要求手段と、
を有することを特徴とする貴金属地金ストック支援システム。
【請求項2】
前記口座と、当該口座にストックされている貴金属地金のうちの売却する量である売却量と、を指定するための売却量等指定手段と、
前記売却量等指定手段によって指定された前記口座にストックされている前記売却量の貴金属地金を売却相手に売却する処理を行うように、前記口座管理システムに対して要求する、売却処理要求手段と、を有する、
請求項1記載の貴金属地金ストック支援システム。
【請求項3】
前記口座には、前記点数と交換された貴金属地金以外の貴金属地金をもストックすることが可能であり、
前記売却処理要求手段は、前記売却量等指定手段によって指定された前記売却量が、当該売却量とともに指定された前記口座にストックされている、前記預入処理要求手段からの要求に基づいて当該口座に預け入れられた分でありかつ未売却の分の貴金属地金の量を超えない場合に、当該売却量の貴金属地金を売却する処理を行うように要求する、
請求項2記載の貴金属地金ストック支援システム。
【請求項4】
顧客が獲得した点数を景品と交換するサービスを行う店舗で用いられる景品交換支援システムに、
前記点数と交換する貴金属地金の量である交換量の指定を受け付ける処理と、
指定された前記交換量の貴金属地金を預け入れる口座の指定を受け付ける処理と、
指定された前記交換量の貴金属地金を、指定された前記口座に預け入れる処理を行うように、当該口座を管理する口座管理システムに対して要求する処理と、
を実行させることを特徴とする貴金属地金ストック支援方法。
【請求項5】
前記景品交換支援システムに、
前記口座と、当該口座にストックされている貴金属地金のうちの売却する量である売却量と、の指定を受け付ける処理と、
指定された前記口座にストックされている前記売却量の貴金属地金を売却相手に売却する処理を行うように、前記口座管理システムに対して要求する処理と、を実行させる、
請求項4記載の貴金属地金ストック支援方法。
【請求項6】
前記口座に、前記点数と交換された貴金属地金以外の貴金属地金をもストックすることが可能である場合は、
指定された前記売却量が、当該売却量とともに指定された前記口座にストックされている、前記点数と交換された分でありかつ未売却の分の貴金属地金の量を超えない場合に、当該売却量の貴金属地金を売却する処理を行うように要求する、
請求項5記載の貴金属地金ストック支援方法。
【請求項1】
顧客が獲得した点数と交換する貴金属地金の量である交換量を指定するための交換量指定手段と、
前記交換量指定手段によって指定された前記交換量の貴金属地金を預け入れる口座を指定するための口座指定受付手段と、
前記交換量指定手段によって指定された前記交換量の貴金属地金を、前記口座指定手段によって指定された前記口座に預け入れる処理を行うように、当該口座を管理する口座管理システムに対して要求する、預入処理要求手段と、
を有することを特徴とする貴金属地金ストック支援システム。
【請求項2】
前記口座と、当該口座にストックされている貴金属地金のうちの売却する量である売却量と、を指定するための売却量等指定手段と、
前記売却量等指定手段によって指定された前記口座にストックされている前記売却量の貴金属地金を売却相手に売却する処理を行うように、前記口座管理システムに対して要求する、売却処理要求手段と、を有する、
請求項1記載の貴金属地金ストック支援システム。
【請求項3】
前記口座には、前記点数と交換された貴金属地金以外の貴金属地金をもストックすることが可能であり、
前記売却処理要求手段は、前記売却量等指定手段によって指定された前記売却量が、当該売却量とともに指定された前記口座にストックされている、前記預入処理要求手段からの要求に基づいて当該口座に預け入れられた分でありかつ未売却の分の貴金属地金の量を超えない場合に、当該売却量の貴金属地金を売却する処理を行うように要求する、
請求項2記載の貴金属地金ストック支援システム。
【請求項4】
顧客が獲得した点数を景品と交換するサービスを行う店舗で用いられる景品交換支援システムに、
前記点数と交換する貴金属地金の量である交換量の指定を受け付ける処理と、
指定された前記交換量の貴金属地金を預け入れる口座の指定を受け付ける処理と、
指定された前記交換量の貴金属地金を、指定された前記口座に預け入れる処理を行うように、当該口座を管理する口座管理システムに対して要求する処理と、
を実行させることを特徴とする貴金属地金ストック支援方法。
【請求項5】
前記景品交換支援システムに、
前記口座と、当該口座にストックされている貴金属地金のうちの売却する量である売却量と、の指定を受け付ける処理と、
指定された前記口座にストックされている前記売却量の貴金属地金を売却相手に売却する処理を行うように、前記口座管理システムに対して要求する処理と、を実行させる、
請求項4記載の貴金属地金ストック支援方法。
【請求項6】
前記口座に、前記点数と交換された貴金属地金以外の貴金属地金をもストックすることが可能である場合は、
指定された前記売却量が、当該売却量とともに指定された前記口座にストックされている、前記点数と交換された分でありかつ未売却の分の貴金属地金の量を超えない場合に、当該売却量の貴金属地金を売却する処理を行うように要求する、
請求項5記載の貴金属地金ストック支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−140427(P2009−140427A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318705(P2007−318705)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(506035832)株式会社 G.T.ミッション (4)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(506035832)株式会社 G.T.ミッション (4)
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