説明

資産情報管理システムと資産情報管理プログラム

【課題】
ネットワークに接続された端末の資産情報を効率的に管理する資産情報管理技術を提供する。
【解決手段】
管理されている端末の端末識別情報を含む資産情報を記憶する資産情報記憶部と、端末における操作を表す操作情報を記憶する操作情報記憶部とを有しており、未使用端末決定部は、前記資産情報記憶部から端末識別情報を取得し、前記操作情報記憶部に記憶されている操作情報に基づいて使用されていない端末を未使用端末として決定する。資産情報変更判定部は、前記資産情報記憶部に含まれる前記未使用端末の操作情報を用いて、当該未使用端末の移行に係る前記資産情報の変更の必要性を判定し、その判定結果に応じて、制御部は所定の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ端末の資産情報を管理する資産情報管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークに接続される端末等の機器の資産情報を効率的に管理する技術に関する様々な検討が行われている。例えば、特許文献1の技術では、ネットワークを流通する情報のヘッダ部分からIPアドレスやMACアドレスを管理対象資産の管理情報として取得し、資産の所在を確認している。このとき、管理している資産の管理情報と取得した管理情報とが異なっていれば、管理情報が更新され、管理者の負担が低減される。また、各資産にインストールされているソフトウェアや接続されているハードウェアの情報を資産の管理情報とするために、これらの情報を自動的に送信するソフトウェアを各資産にインストールしておき、ソフトウェアの新規インストールやバージョンアップ、ハードウェアの増設等を検知する技術も開示されている。
【0003】
特許文献2の技術では、管理装置において、各情報処理装置の利用期間を集中的に管理しており、管理装置のマネージャプログラムは、各情報処理装置のエージェントに対して、利用期間内であるか否かの情報を伝えている。情報処理装置のエージェントは、マネージャプログラムから利用期間が終了した旨の情報を受け取ると、アプリケーションの起動の制限等を行い、利用期間が満了した情報処理装置を不正に利用することを防いでいる。
【0004】
特許文献3の技術では、資産機器から資産機器の識別情報および位置情報を取得し、資産機器の移動を管理している。このとき、一定期間、資産機器から識別情報や位置情報が取得できなければ、資産機器が廃棄された、もしくは盗難にあったか否かをユーザに問い合わせをおこない、管理者の負担を低減している。
【0005】
【特許文献1】特開2001−290937号公報(段落番号0009−0014、図6、8)
【特許文献2】特開2003−162623号公報(段落番号0004−0006、図2)
【特許文献3】特開2005−275616号公報(段落番号0008−0011)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、上述のように、ソフトウェアのバージョンアップやハードウェアの増設等を検出し、管理することは可能である。しかし、資産自体が使われなくなったことや資産が入れ替えられたことを検知することはできない。そのため、資産が廃棄された場合や、入れ替えられた場合には、管理者は変更された資産情報を確認し、更新しなければならず、管理者の管理負担を低減することはできない。一方、特許文献2の技術では、予め各情報処理装置に対して利用期間を設定しておかなければならず、管理者の負担を低減することはできない。また、情報処理装置の操作をロックする等により、不正な利用を抑制することはできるが、資産情報を更新することができないため、資産情報の更新は管理者が行う必要がある。他方、特許文献3の技術では、資産機器からの情報が、一定期間取得できなければ、資産機器の廃棄や盗難をユーザに問い合わせているが、資産機器が起動していない場合や、ネットワークに接続していない場合などにも、同様のことが起こり得るため、上述の情報からだけでは、資産機器の廃棄等を十分な精度で検知することは困難である。そのため、資産機器の管理は管理者によらなければならず、管理者の負担を低減することはできない。さらに、管理者は、使用されていない資産がある場合には、入れ替え等により使用されなくなったのかといった理由を確認した上で資産情報を更新しなければならず、上述の特許文献のいずれにおいても、管理者の負担を低減することはできない。
【0007】
本発明の課題は、上記実状に鑑み、ネットワークに接続された端末の資産情報を効率的に管理する資産情報管理技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の資産情報管理システムは、管理されている端末のの端末識別情報を含む資産情報を記憶する資産情報記憶部と、端末における操作を表す操作情報を記憶する操作情報記憶部と、前記操作情報記憶部に記憶されている操作情報に基づき、前記資産情報記憶部の端末の内、使用されていない端末を未使用端末として決定する未使用端末決定部と、前記前記資産情報記憶部に含まれる前記未使用端末の操作情報を用いて、当該未使用端末の移行に係る前記資産情報の変更の必要性を判定する資産情報変更判定部と、を備えている。
【0009】
上述した本発明の構成により、管理されている端末において、使用されていない端末を未使用端末として決定し、その未使用端末において移行のための操作を行ったかを、その未使用端末の操作情報を用いて判定することができる。これによって、使用されていない端末の資産情報の変更が必要であるかについて自動で判定することができる。
【0010】
本発明における「移行」とは、端末の使用状態を変化・変更させることを意味している。例えば、端末の使用終了、廃棄、入れ替え等がこれに該当する。
【0011】
本発明の資産情報管理システムの好適な実施形態の一つでは、前記資産情報記憶部は、端末の端末識別情報と当該端末の使用者のユーザ識別情報とを関連付けて記憶しており、前記未使用端末の使用者のユーザ識別情報を前記資産情報記憶部から取得し、当該ユーザ識別情報を用いて、前記操作情報記憶部の操作情報からその使用者が使用している新規端末を特定する新規端末特定部を更に備え、前記資産情報変更判定部は、前記未使用端末の操作情報と前記新規端末の操作情報とを用いて、当該未使用端末の移行に係る前記資産情報の変更の必要性を判定する。これにより、端末の移行により使用者が新しく使用している新規端末と未使用端末との入れ替え等によって資産情報の変更が必要になっているかを自動で判定することができる。
【0012】
本発明の資産情報管理システムの好適な実施形態の一つでは、前記資産情報変更判定部は、前記判定に用いる操作情報と所定の移行条件との比較を行い、移行の度合いを表す移行充足度を算出することで前記資産情報の変更の必要性を判定する。移行充足度とは、端末における操作が、どれだけ所定の移行条件と合致しているかを表す度合いであり、詳細については後述する。これにより、未使用端末において、移行作業などの基準となる所定の移行条件と比較することで、移行による操作が行われたか、もしくは、どのくらい行われているかを判定することができ、資産情報の変更の必要性をより正確に判定することができる。
【0013】
上述した本発明による資産情報管理システムの技術的特徴は、同様の資産情報管理プログラムにも適用可能である。例えば、管理されている端末の端末識別情報を記憶する資産情報記憶部と、端末における操作を表す操作情報を記憶する操作情報記憶部とを備えた資産管理システムのための資産管理プログラムであって、前記操作情報記憶部に記憶されている操作情報に基づき、前記資産情報記憶部の端末の内、使用されていない端末を未使用端末として決定する未使用端末決定機能と、前記資産情報記憶部に含まれる前記未使用端末の操作情報を用いて、当該未使用端末の移行に係る前記資産情報の変更の必要性を判定する端末移行判定機能とをコンピュータにおいて実現する。当然ながら、このような資産情報管理プログラムも上述した資産情報管理システムで述べた作用効果を得ることができ、さらに上述した付加的技術を組み込むことも可能である。
【発明の効果】
【0014】
上述のように構成された本発明によれば、操作情報に基づいて未使用端末を決定し、その未使用端末に係る操作情報を用いて、その端末に係る資産情報の変更の必要性を判定することとしたので、未使用端末の資産情報を変更する必要があるかを自動で判定できるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の資産情報管理システムの全体の構成図を示す。本発明は、図1に示すように、管理対象となる端末Cが通信ネットワーク(以下、「ネットワーク」という)Nを介して、サーバSと接続されている。前記ネットワークNは、企業や学校等の限られた施設内において情報を物理的に送るケーブルと、LANスイッチやハブ等でなる中継機器を備えたCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式のイーサネット(Ethernet)(商標)型のLANとして構成されたものであるが、このネットワークNとしてイーサネット型のLAN以外に、インターネットの技術を用いたイントラネットで構築されたものや、WAN(Wide Area Network)の技術によって構築されるものでも良い。
【0016】
図2は、サーバSのハードウェア構成の一例を模式的に示したものである。サーバSは、プログラムの演算処理を実行するCPU等の演算装置1と、情報を記憶するRAMやハードディスク等の記憶装置2と、演算装置1の処理結果や記憶装置2に記憶する情報をインターネットやLAN等のネットワークを介して送受信する通信装置5とを少なくとも有している。サーバSは、必要に応じてディスプレイ(画面)等の表示装置3と、キーボードやマウスやテンキー等の入力装置4とを備えた構成としてもよい。サーバS上で実現する各機能は(各手段)は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュール等)が演算装置1に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は、記憶装置2に記憶した情報をその処理において使用する場合には、該当する情報を当該記憶装置2から読み出し、読み出した情報を適宜、演算装置1における処理に用いる。また、サーバSは、複数の端末またはサーバに、その機能が分散配置されていても良い。
【0017】
端末Cのハードウェア構成は、サーバSとほぼ同様で、図2に示したとおり、演算装置1と、記憶装置2と、表示装置3と、入力装置4と、通信装置5とを有している。
【0018】
図3は、本発明の資産情報管理システムを構成するサーバSと端末Cの機能ブロック図を示している。端末Cは、端末Cにおける様々な操作を表す操作情報を生成すると共にサーバSに送信する操作情報送信部11を備えている。本実施形態では、操作情報には端末Cを一意に識別可能な端末識別情報、端末Cを操作しているユーザを一意に特定可能なユーザ識別情報、操作内容、操作対象、付随情報および操作が行われた日時情報等が含まれている。ここで、端末識別情報は、端末CのIPアドレス、MACアドレス、端末名や端末C毎に割り振られた一意の数字等を用いることができ、ユーザ識別情報は、ユーザ名、ユーザ毎に割り振られた一意の数字等を用いることができる。日時情報には、年月日時分秒を表す文字列、特定日時(例えば、1970年1月1日午前0時)からの経過時間を示す数値等、日時を特定可能な情報を用いることができる。なお、操作情報、端末識別情報、ユーザ識別情報は上述のものに限定されるものではなく、本発明の目的を達する限りにおいて、必要に応じて一部のみを使用しても良いし、他の情報を用いても構わない。
【0019】
ここで、操作内容とは、端末Cにおいて実行された内容であって、ミドルウェアまたはOS等において処理されるアプリケーションやハードウェア等に対する制御のことをいう。具体的には、キー入力、ポインティングデバイスの操作(クリック、移動、領域選択等)、外部記憶媒体の着脱、外部機器(プリンタ等)との接続や通信、ファイル操作(作成、削除、閲覧、更新、コピー、移動、ファイル名変更等)、フォルダ操作(作成、削除、コピー、移動、フォルダ名変更等)、アプリケーション操作(起動、終了等)、インストール、アンインストール、ドライブの追加・削除・検知、IPアドレスの変更、コンピュータ名変更、印刷、クリップボードへのコピー、ログイン、ログアウト、ユーザの切り替え、ユーザの追加、ユーザの削除、ドメインへの追加、ドメインからの削除、レジストリの操作(登録、更新、削除等)、OS(Operating System)の設定等を示す情報である。これらは、一例であって限定されるものではない。
【0020】
操作対象とは、操作内容に従って実行される対象のことをいう。具体的には、操作されたファイルのファイル識別情報(ファイル名、フォルダ名等、ファイルを一意に識別可能な情報)、操作されたアプリケーション名、切り替えたユーザ識別情報、IPアドレス、ドライブ名等を示す情報である。これらは、一例であって限定されるものではない。
【0021】
付随情報には、操作内容に伴って取得できる様々な情報を含ませることができる。具体的には、ファイルコピーの場合にはコピー先・コピー元のフォルダ名、ファイル移動の場合には移動先・移動元のフォルダ名、ファイル名やフォルダ名の変更の場合には変更前・変更後のファイル名やフォルダ名、ユーザ切り替えの場合には切り替え前・切り替え後のユーザ識別情報、IPアドレス変更の場合には変更前・変更後のIPアドレス等を付随情報とすることができる。これらは、一例であって限定されるものではない。
【0022】
サーバSは、管理されている端末Cの端末識別情報を含む資産情報を記憶する資産情報記憶部23、端末Cから送信される操作情報を取得する操作情報取得部21、取得した前記操作情報を記憶する操作情報記憶部22、前記資産情報記憶部23に記憶されている端末Cの操作情報に基づいて未使用端末Cnを決定する未使用端末決定部24、前記未使用端末Cnの操作情報を用いて、当該未使用端末Cnの移行に係る資産情報の変更の必要性を判定する資産情報変更判定部25、前記資産情報変更判定部25の判定結果に応じて制御を行う制御部26と、を備えている。
【0023】
通常、端末CおよびサーバSの内部にある各構成部は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュール等)がハードウェアに読み込まれることでその処理が実行されるが、これらをハードウェアとの組み合わせにより構成しても良いし、ロジック等を組み合わせたハードウェアのみで構成しても構わない。
【0024】
端末Cにおいてユーザが操作を行うと、操作情報送信部11により操作情報が生成され、ネットワークNを介してサーバSに送信される。生成された操作情報は、随時または所定のタイミングで送信してよい。ここで所定のタイミングとは、所定の操作が行われたタイミング、一定間隔を意味するが、これに限定されるものではなく、本発明の目的を達する限りにおいて、他のタイミングを用いても構わない。そして、送信された操作情報は、サーバSの操作情報取得部21により取得され、操作情報記憶部22に記憶される。
【0025】
資産情報記憶部23は、管理されている端末Cの端末識別情報を含む資産情報を記憶している。ここで、資産情報には、端末識別情報の他に、端末Cの端末名、ユーザ識別情報、ドメイン、使用目的、設置場所、保有する部署、導入日、切り替え予定日、インストールしているアプリケーションを示すアプリケーション情報等の情報を含んでいるものであってもよい。資産情報に含まれる情報は、上述に限られず、端末Cに関係する様々な情報を含ませても構わない。さらに、上述した様々な情報は、端末毎に端末識別情報と関連付けて資産情報記憶部23に記憶されている。
【0026】
未使用端末決定部24は、資産情報記憶部23に記憶されている端末Cから一の端末を判定対象の端末Cとし、この判定対象の端末Cが現在使用されているかを判定する。当該端末Cが使用されていないと判定された場合、当該端末Cを未使用端末Cnと決定する。判定対象の端末Cは管理者が指定したもの、本システムにおいて自動的に選択されたものとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本実施形態では、操作情報に基づいて一定時間以上使用されていないと判定することにより、未使用端末を決定するものとする。未使用端末決定部24は、判定対象の端末Cの端末識別情報を資産情報記憶部23から取得し、取得した端末識別情報を用いて、その端末Cにおける最終の操作情報(以下、「最終操作情報」という)を操作情報記憶部22から取得する。この最終操作情報とは、端末Cにおける使用者によって最後に行われた操作の操作情報であってもよいし、使用者の操作とは関係なく最後に記録された操作情報であってもよいし、最後に記録された所定の操作情報であってもよい。
【0028】
そして、取得した最終操作情報から日時情報を抽出し、この日時情報と判定時点の日時とを比較する。つまり、この日時情報と現在の日時との差(以下、「未使用時間」という)を算出する。そして、この未使用時間と所定の時間THnとを比較することで、判定対象の端末Cが未使用であるかを判定する。判定の結果、未使用時間が所定の時間THnを超えている場合には、判定対象の端末Cを未使用端末Cnと決定し、決定した未使用端末Cnの端末識別情報と、最終操作情報もしくは最終操作情報の日時とを資産情報変更判定部25に送る。ここで、所定の時間THnは、一日、一週間、一ヶ月等、任意の時間を設定することができる。ここでは、日時の差を用いたが、これに限らず、所定の過去の日時以前かを判定するようにしても良い。
【0029】
資産情報変更判定部25は、未使用端末決定部24から受け取った未使用端末Cnの端末識別情報を用いて、未使用端末Cnの操作情報を操作情報記憶部22から抽出する。そして、抽出した操作情報と所定の移行条件とを比較することにより、未使用端末Cnの移行による資産情報の変更の必要性を判定する。そして、未使用端末Cnの資産情報の変更の必要性の判定結果を制御部26に送る。
【0030】
ここで、所定の移行条件には、端末において移行作業が行われているかどうかの判定基準となる条件が含まれている。この移行条件には、様々な判定基準を設定することが可能であり、移行の際に行う操作や操作の組み合わせ、時間・時刻、手順(順番)等を含ませることができる。移行の際に行う操作としては、ファイル、電子メール、アドレス帳、ブックマーク等のデータを他の端末Cやファイルサーバに移動、各データを削除する操作、端末Cのアプリケーション、ユーザ、レジストリ、各種登録情報等を登録・更新・削除する操作であるが、もちろん他の操作を用いても構わない。
【0031】
制御部26は、資産情報変更判定部25における判定結果に応じて制御を行う。この制御としては、未使用端末Cnに係る資産情報の自動変更(資産情報の削除・変更、資産情報への移行済みである旨の記録、未使用端末Cnに係るアプリケーション情報の削除等)、管理者への通知、不許可端末としての登録、移行を行った未使用端末の一覧表示や報告書の出力、端末一覧表示において移行を行った未使用端末Cnの表示形態の変更(太文字、文字色の変更、アイコンの表示等)、様々な制御を行うことができる。また、資産情報変更判定部25の判定結果の内容に応じて制御を変えることも当然に可能である。
【0032】
次に、図4のフローチャートを用いて、本実施形態の資産情報管理システムの処理の流れを説明する。なお、本実施形態では、操作情報記憶部22に記憶されている操作情報が図5であり、所定の移行条件として図6に示すような端末移行操作が設定されているとして説明する。ここで、端末移行操作とは、使用者の移行作業により行われる操作内容と、その操作内容の対象となる操作対象(アプリケーション名、ファイル名等)、付随情報を含んでいる。
【0033】
未使用端末決定部24は、管理されている端末Cの内、一の端末Cを判定対象として指定され、判定対象の端末Cの最終操作情報を操作情報記憶部22より取得し、当該端末Cが未使用端末であるかを決定する。そして、未使用端末Cnの端末識別情報と、最終操作情報とを資産情報変更判定部25に送る(#01)。
【0034】
具体的には、一の端末を端末「AB123456」とすると、図5において、最終操作情報の日時が2008年10月10日17時04分になる。この判定の実行日時が2008年11月10日とすると、端末「AB123456」は31日間使用されていないことがわかる。ここで、未使用時間の閾値THnが30日であった場合、端末「AB123456」の未使用時間が閾値THnを超えることとなり、これによって端末「AB123456」を未使用端末と決定する。一方、端末「AB123456」が、未使用端末でない場合には、処理を終了する。
【0035】
資産情報変更判定部25は、未使用端末決定部24から受け取った未使用端末Cnの端末識別情報を用いて、操作情報記憶部22から当該未使用端末Cnの所定の期間における操作情報を抽出する(#02)。ここで、所定の期間とは、最終操作情報の日時から1日前、1週間前、1ヶ月前まで等、任意の期間を用いることができる。そして、抽出した操作情報と所定の移行条件を比較し、資産情報の変更の必要性を示す移行充足度を算出する(#03)。
【0036】
移行充足度は、抽出した未使用端末Cnの操作情報と端末移行操作とを比較することで算出する。算出の方法としては、未使用端末Cnにて行われた操作情報の内、端末移行操作と一致する操作の数の端末移行操作の数に対する割合を算出する。つまり、移行充足度の算出にあたり、未使用端末Cnの操作情報と所定の移行条件である端末移行操作とを順次比較し、未使用端末Cnにて行われた操作情報の内、端末移行操作に該当する操作情報を特定する。この算出方法によると、図5の操作情報では、日時情報が2008年10月10日13時10分、2008年10月10日14時40分、2008年10月10日16時16分、2008年10月10日17時04分である操作情報が端末移行操作に該当する操作であると判定することができる。そして、端末移行操作に該当すると判定した操作情報の数が4件であり、所定の移行条件である端末移行操作の数が10件であることから、移行充足度は4/10=40%であると算出される。この算出された移行充足度が所定の閾値THを超えているかによって資産情報の変更の必要性が判定される。
【0037】
さらに、端末移行操作に該当する操作が開始された時点から所定の時間以内に行われているかを判定し、所定の時間以内でない場合には、移行充足度を0にリセットし、当該操作を移行充足度の算出の開始時点とするようにしても良い。これにより、操作情報において、偶然、端末移行に該当する操作を行っていた場合に、その操作を端末移行作業として誤判定されることを防ぐことができる。
【0038】
上述では、移行充足度の算出にあたり端末移行操作の数を用いたが、各端末移行操作に重みを付与して算出しても構わない。重みを付与して算出した場合、上述の移行充足度は、14/28=50%と算出されることとなる。
【0039】
さらに、端末移行操作として操作の種類だけでなく、操作順序を含めるようにしても構わない。この場合には、操作順序に従っていない端末移行操作や、複数回実施している端末移行操作を移行充足度の算出から除外することが可能となり、移行充足度の精度を上げることができる。
【0040】
資産情報変更判定部25は、算出した移行充足度が、所定の閾値THを超えていない場合は、未使用端末Cnの資産情報の変更の必要性なしと判定し、一方、移行充足度が、所定の閾値THを超える場合は、未使用端末Cnの資産情報の変更の必要性ありと判定する。そして、この判定結果と未使用端末Cnの端末識別情報を制御部に送る。(#04)
【0041】
上述では、移行充足度の閾値THは、未使用端末Cnの未使用時間の長さに関らず一定の値を用いることを記載しているが、これに限らず、未使用端末Cnの未使用時間の長さに応じて移行充足度の閾値THを設定することも可能である。つまり、未使用時間が長くなるほど、移行充足度の閾値THを低く設定することで、移行に伴う作業の一部しか行っていない未使用端末Cn、例えば、使用終了や廃棄の対象となっている未使用端末Cnであって、ドメインからの削除やアカウントの削除といった限られた操作しか行っていない未使用端末Cnについても確実に移行の検出を行うことが可能となり、移行に伴った資産情報の変更の漏れを防止することもできる。
【0042】
制御部26は、資産情報変更判定部25から受け取った判定結果に応じて所定の制御を行う(#05)。判定結果が、資産情報の変更の必要性なしの場合には、制御を行わない。一方、判定結果が資産情報の変更の必要性ありの場合には、管理者端末に端末「AB123456」の資産情報の変更を促すポップアップ通知を表示する。また、管理者端末において端末一覧を表示する際に、端末「AB123456」の表示形態(太文字、文字色の変更、アイコンの表示等)を変更するようにすることもできる。所定の制御については上述に限定されず、未使用端末Cnに係る資産情報記憶部23の資産情報の自動変更(資産情報の削除、資産情報への移行済みである旨の記録、未使用端末Cnに係るアプリケーション情報の削除等)、管理者への通知(メール通知等)、不許可端末としての登録、移行を行った未使用端末の一覧表示や報告書の出力等、様々な制御を行うことができる。
【0043】
また、上述では、資産情報変更判定部25から資産情報の変更の必要性のあり/なしを判定結果として受け取ったが、資産情報変更判定部25において閾値THによる判定を行わず、移行充足度を資産情報の変更の必要性の判定の結果として受け取るようにしても構わない。このように構成することで、移行充足度の値ごとに様々な制御を行うことができることとなり、未使用端末Cnの移行状況に即した適切な制御が実施できる。
【0044】
上述の処理(#01〜#05)については、管理者が判定対象の端末Cを指定した際に実施したり、所定のタイミング(1日、1週間、1ヶ月等)にて管理されている端末Cについて順次実施したりする等、様々な処理形態において用いることができる。
【0045】
このように、本実施形態では、使用されていない未使用端末Cnにおける資産情報の変更の必要性を判定することができ、管理者の未使用端末Cnに係る管理負担を軽減することが可能となる。また、未使用端末Cnを決定した上で移行判定を行うため、本システムにおける判定処理を軽減することができる。
【0046】
[第2実施形態]
図7は、本実施形態の資産情報管理システムを構成するサーバSと端末Cの機能ブロックを示している。本実施形態の資産情報管理システムでは、第1実施形態の構成に加え、未使用端末Cnと同一の使用者が新たに使用している新規端末Cdを特定する新規端末特定部27を更に備え、特定した未使用端末Cnと特定した新規端末Cdの操作情報に基づいて未使用端末Cnの移行を判定する点において第1実施形態とは異なる。また、資産情報記憶部23は、管理されている端末Cの端末識別情報とその使用者のユーザ識別情報とを関連付けて記憶している。
【0047】
未使用端末決定部24における未使用端末の決定方法については、第1実施形態と同様であるため、ここでの詳細な記載は省略する。この未使用端末決定部24で決定した未使用端末Cnの端末識別情報と、最終操作情報もしくは最終操作情報の日時とが、新規端末特定部27と資産情報変更判定部25に送られる。
【0048】
新規端末特定部27は、未使用端末決定部24から受け取った未使用端末Cnの端末識別情報を用いて当該未使用端末Cnの使用者のユーザ識別情報を資産情報記憶部23から取得する。そして、取得したユーザ識別情報に従って未使用端末Cn以外の端末Cの操作情報を操作情報記憶部22から抽出し、抽出した操作情報に含まれる端末識別情報を新規端末Cdとして特定する。これにより、未使用端末Cnの使用者が新たに使用している新規端末Cdが特定される。そして、特定した新規端末Cdの端末識別情報が、資産情報変更判定部25に送られる。この新規端末Cdの特定においては、未使用端末Cnが使用されなくなった日時以降に使用されている操作情報のみを抽出して特定すると好適である。つまり、最終操作情報の日時以降の日時情報および未使用端末Cn以外の端末識別情報を含んでいる操作情報を操作情報記憶部22から抽出することで新規端末Cdを特定する。これにより、より精度よく新規端末Cdを特定することが可能となる。なお、新規端末Cdを特定するために操作情報を抽出する方法は、上述したものに限定されず、過去1日、過去1週間、過去1ヶ月などの所定の期間内の操作情報を抽出してもよく、目的を達する限りにおいて必要な条件を付加して操作情報を抽出する構成としても構わない。
【0049】
上述の新規端末Cdを特定する処理において、未使用端末Cnの使用者が新たに使用している新規端末Cdがない、つまり、未使用端末Cnの使用者のユーザ識別情報により未使用端末Cn以外の端末Cの操作情報を操作情報記憶部22から抽出できない場合がある。この場合には、未使用端末Cnの使用者が新たに使用している新規端末Cdがない旨を資産情報変更判定部25に送る。そして、資産情報変更判定部25は、新規端末Cdがないことから、未使用端末Cnにおいて移行を行っていないと判定しても良いし、未使用端末Cnの操作情報のみに基づいて図6に示す端末移行操作を行っているかを判定するようにしても良い。
【0050】
また、上述の新規端末Cdの特定処理において、複数の端末Cが新規端末Cdとして使用していると検出される場合がある。この場合には、複数の新規端末Cdを特定結果としてもよいし、一の新規端末Cdのみに絞りこんでも構わない。一の新規端末Cdに絞りこむ方法としては、新規端末Cdと特定された複数の端末Cの操作情報を操作情報記憶部22から抽出し、抽出した操作情報に基づいて操作の頻度や操作時間の長さ等から端末Cの利用の度合いを示す利用度を端末C毎に算出する。この算出した利用度を用いて、各々の端末Cの利用度を比較し、利用度の一番高い端末Cを新規端末Cdと特定すると好適である。一の新規端末Cdの絞り込み方法は、上述に限定されず、未使用端末Cnの操作情報と各端末Cの操作情報とを比較し、操作傾向等について類似度を算出し、その類似度の一番高いものを新規端末Cdとすることも可能であり、目的を達する限りにおいていかなる方法を用いても構わない。こうすることにより、複数の新規端末Cdが特定された場合においても、その操作情報から日常的に使用されている可能性の高いものを新規端末Cdとして絞り込むことが可能となる。
【0051】
資産情報変更判定部25は、未使用端末決定部24から未使用端末Cnの端末識別情報を受け取り、新規端末特定部27から新規端末Cdの端末識別情報を受け取る。受け取った未使用端末Cnと新規端末Cdのそれぞれの端末識別情報を用いて、操作情報記憶部22から未使用端末Cnの操作情報と新規端末Cdの操作情報を抽出する。そして、抽出した操作情報と所定の移行条件とを比較することにより、未使用端末Cnと新規端末Cdにおける移行を判定し、当該未使用端末Cnの資産情報の変更の必要性を判定する。そして、未使用端末Cnの資産情報の変更の必要性の判定結果を制御部26に送る。
【0052】
資産情報変更判定部25は、新規端末特定部27で複数の新規端末が特定され、それらの端末識別情報を受け取っている場合、未使用端末Cnと特定された新規端末Cdとの間における移行を新規端末Cd毎に判定し、その結果の統計をとることにより未使用端末Cnの資産情報の変更の必要性の判定を行う。具体的には、個々の新規端末Cdと未使用端末Cnとで、個別に未使用端末Cnの資産情報の必要性の判定を行うようにしても構わない。この場合には、閾値を超えた新規端末Cdの内、最大値の移行充足度を資産情報の変更の必要性とすると好適である。また、最大値の移行充足度を資産情報の必要性としていたが、これに限定されず、平均値、最小値であっても構わない。
【0053】
次に、図8のフローチャートを用いて、本実施形態の資産情報管理システムの処理の流れを説明する。なお、本実施例においては、新規端末特定部27において一の新規端末Cdが特定されたものとして説明する。
【0054】
まず、未使用端末決定部24は、管理されている端末Cの内、一の端末Cを判定対象とし、判定対象の端末Cが現在使用されているかを判定し、使用されていない場合には、当該端末Cを未使用端末Cnとして決定(#11)し、資産情報変更判定部25と新規端末特定部27にその未使用端末Cnの端末識別情報と最終操作情報とを送る。未使用端末Cnの決定方法については、第1実施形態と同様であるため、記載を省略する。
【0055】
新規端末特定部27は、未使用端末決定部24から受け取った未使用端末Cnの端末識別情報を用いて、資産情報記憶部23から未使用端末Cnの使用者のユーザ識別情報を取得する。そして、最終操作情報の日時より後で、かつ、そのユーザ識別情報を用いて、使用者が未使用端末Cn以外に使用した端末Cの操作情報を操作情報記憶部22から抽出する。抽出した操作情報に含まれる端末識別情報を新規端末Cdと特定する(#12)。図5において、端末「AB123456」の最終操作情報の日時が2008年10月10日17時04分であり、端末「AB123456」の使用者のユーザ識別情報が「USR−IP−1837」である。この最終操作情報の日時以降で、ユーザ識別情報「USR−IP−1837」である使用者が使用した端末Cは、端末「CD789012」であるため、この端末「CD789012」を新規端末Cdと特定することができる。そして、特定した新規端末Cdの端末識別情報を、資産情報変更判定部25に送る。
【0056】
資産情報変更判定部25は、未使用端末決定部24から受け取った未使用端末Cnの端末識別情報を用いて、操作情報記憶部22から未使用端末Cnの操作情報(以下、「未使用端末操作情報」という。)を抽出する。また、新規端末特定部27から受け取った新規端末Cdの端末識別情報を用いて、操作情報記憶部22から新規端末Cdの操作情報(以下、「新規端末操作情報」という。)を抽出する。抽出した未使用端末操作情報と新規端末操作情報とを所定の移行条件と比較することにより、移行充足度を算出する(#13)。
【0057】
例えば、図9の端末移行操作が設定されており、移行充足度を、未使用端末Cnと新規端末Cdにおける操作情報の内、端末移行操作と一致する操作の数の端末移行操作の数に対する割合として算出することとすると、未使用端末Cn「AB123456」の操作情報から順序4〜7、順序12〜13の端末移行操作が得られ、新規端末Cd「CD789012」の操作情報から順序1〜2、順序10〜11の端末移行操作が得られたとすると、移行充足度は10/15≒67%と算出される。また、第1実施形態と同様に重みを付加して移行充足度を算出することも可能である。さらに、移行充足度の算出にあたって操作順序を加味することも可能であり、図9に示す順序通りに操作情報が取得できない場合には、移行充足度がリセットされる構成とすることもできる。
【0058】
なお、本実施形態では、端末移行操作として、第1実施形態と同様に、データの移行作業やデータの削除を用いるが、特に未使用端末Cnから新規端末Cdへのデータの移行操作とすると好適である。この未使用端末Cnから新規端末Cdへのデータの移行操作とは未使用端末Cnから新規端末Cdへ直接データが移行される場合だけでなく、他の端末Cを経由する場合も含まれる。さらに、新規端末Cdにおける各種設定操作や、インストール操作、ユーザの切り替え操作等をも端末移行操作として用いる。このような端末移行操作を用いることにより、未使用端末Cnから新規端末Cdへの端末移行作業を的確に判定することができる。
【0059】
資産情報変更判定部25は、このようにして算出した移行充足度を、未使用端末Cnの端末識別情報と新規端末Cdの端末識別情報と共に制御部に送る。
【0060】
制御部26は、資産情報変更判定部25から受け取った移行充足度に応じて所定の制御を行う(#14)。所定の制御としては、資産情報記憶部23の端末「AB123456」に係る資産情報の自動変更をすることが好適である。例えば、移行充足度が所定の閾値THcを超える場合には、移行の可能性が十分に高いとして、資産情報記憶部23から未使用端末Cn「AB123456」の資産情報を削除する、資産情報記憶部23から未使用端末Cn「AB123456」にインストールしているアプリケーションを示すアプリケーション情報を削除する等を行う。さらに、移行充足度が所定の閾値THcを超えない場合には、資産情報記憶部23の未使用端末Cn「AB123456」の資産情報に新規端末Cd「CD789012」に移行した可能性がある旨を記録することもできる。また、未使用端末Cn「AB123456」に係る資産情報の自動変更だけではなく、新規端末Cd「CD789012」に係る資産情報の自動変更を行うことも可能である。具体的には、資産情報記憶部23の端末「CD789012」の資産情報に含まれる移行元の情報に、移行元である未使用端末Cn「AB123456」の端末識別情報、移行を判定した日時等を記録する等を行う。上述は一例に過ぎず、所定の制御として、未使用端末Cnが新規端末Cdに移行した旨の管理者への通知、未使用端末Cnの不許可端末としての登録、移行を行った未使用端末の一覧表示や報告書の出力、端末一覧表示において移行を行った未使用端末Cnの表示形態の変更(太文字、文字色の変更、アイコンの表示等)、様々な制御を行うことができる。
【0061】
さらに、上述では、資産情報変更判定部25から受け取った移行充足度の値によって処理を変えるようにしているが、これに限られず、第1実施形態と同様に、資産情報の変更の必要性のあり/なしの判定結果をうけとり、その判定結果に応じて制御を行うようにしても構わない。
【0062】
上述の処理(#11〜#14)については、管理者が判定対象の端末Cを指定した際に実施したり、所定のタイミング(1日、1週間、1ヶ月等)にて管理されている全ての端末Cについて順次実施したりする等、様々な処理形態において用いることができる。
【0063】
このように、本実施形態では、未使用端末Cnを決定し、未使用端末Cnの使用者により使用されている新規端末Cdを特定し、当該未使用端末Cnと当該新規端末Cdとにおいて、端末移行に係る操作を行っているかを判定することで、未使用端末Cnから新規端末Cdへの移行に伴う資産情報の変更の必要性を的確に判定できるため、管理者の未使用端末に係る管理負担を低減することが可能となっている。
【0064】
[別実施形態]
(1)上述の実施形態では、端末の移行を定義する所定の移行条件として端末移行操作を定義しているが、これに限られず、次のものを含めることも可能である。
(a)操作の組み合わせ
(b)操作したユーザの権限
(c)端末の使用期間
(d)操作の時間と操作量
(e)端末間の距離
以下に、上記のそれぞれについて具体的に説明する。
【0065】
(a)操作の組み合わせ
所定の移行条件は、端末Cにおける移行作業を判定するための操作の組み合わせを含む集合としてもよい。例えば、メールデータの移行の場合、メールアプリケーションからメールデータをエクスポートし、その後、エクスポートにより作成したファイルを他の端末Cにコピーするということが考えられる。このような場合、操作の組み合わせとして、第1の操作を「メールデータのエクスポート」、第2の操作を「エクスポートファイルのコピー」として組み合わせ、所定の移行条件として設定しておくことができる。これにより、所定の移行条件に含まれている操作の組み合わせが第1の操作、第2の操作という順で、操作情報に存在しているかを判定することにより、未使用端末Cnや新規端末Cdにおいて移行作業が行われていることを的確に判定することができる。ここでは、メールデータの移行の場合を記載しているが、これに限られず、ブックマーク、アドレス帳、ファイル等の移行等、移行を行うにあたり一定の順序で操作をすることで完了する操作の組み合わせを所定の移行条件に含めても構わない。組み合わせとして設定される操作は、上述の操作に限られず、データのインポート、ユーザの切り替え、ファイルの圧縮、ファイルの展開等、他の操作を用いても構わない。また、ここでは、2つの操作の組み合わせを所定の移行条件としているが、これに限られず2以上の操作を組み合わせた条件を設定することも可能である。
【0066】
(b)操作したユーザの権限
所定の移行条件として、操作を行ったユーザの権限を含めてもよい。アプリケーションを削除する場合やアカウントを削除する場合等には、その端末の管理権限を有するユーザ(例えば、Administrator権限を有するユーザ)で操作を行う必要がある。そのため、ユーザ情報記憶部を更に備え、未使用端末Cnや新規端末Cdにおける操作情報に含まれているユーザ識別情報に基づいて、ユーザ情報記憶部からユーザの権限を取得し、取得したユーザ権限に管理権限が含まれているかを判定し、操作が管理権限のあるユーザで行ったものであるかを判定することができる。これにより、移行作業が行われているかの判定の精度を上げることができる。
【0067】
(c)端末の使用期間
所定の移行条件に、端末の使用期間に関する条件を含めることも可能である。アプリケーションのインストールやデータの移行という操作が完了しても、すぐに新規端末Cdにユーザが移行し、その端末で操作を行うとは限らない。そのため、新規端末Cdの使用期間が所定時間を超えることを条件に含めると好適である。これによって、一時的に使用した端末を除外することができる。
【0068】
(d)操作の時間と操作量
所定の移行条件として、操作の時間に関する条件を含めることも可能である。端末移行によって、未使用端末Cnにおける操作の時間は減少し、新規端末Cdにおける操作の時間は増加する。そのため、未使用端末Cnにおける操作の時間に関する条件や新規端末Cdにおける操作の時間に関する条件を所定に条件に含めると好適である。つまり、未使用端末Cnにおける所定期間あたりの操作時間が所定値以下や新規端末Cdにおける操作時間が所定時間以上といった条件を含むことができる。ここで、端末における操作時間について記載したが、アプリケーション毎の操作時間やファイル毎の操作時間等、操作の時間に関する条件であれば如何なる条件を含んでもよい。
【0069】
また、操作の時間だけではなく、操作量に関する条件も所定の移行条件に含めると好適である。上述と同様に、端末移行によって未使用端末Cnにおける操作量は減少し、新規端末Cdにおける操作量は増加する。未使用端末Cnにおける所定期間あたりの操作量が所定値以下や新規端末Cdにおける操作量が所定時間以上といった条件を含むことができる。ここで、端末における操作量について記載したが、アプリケーション毎の操作量やファイル毎の操作量等、操作量に関する条件であれば如何なる条件を含んでもよい。このように、操作の時間や操作量に関する情報を所定の移行条件に含めることにより、端末移行の判定の精度を向上させ、適切な時点での制御を行うことが可能となる。
【0070】
(e)端末間の距離
所定の移行条件として、端末間の距離に関する条件を含めることも可能である。端末移行を実施する場合、未使用端末Cnと新規端末Cdとを近い距離に置き作業を行うことが通常である。そのため、未使用端末Cnと新規端末Cdとがネットワーク上の同一セグメント上にあるという条件を含めることができる。さらに、別途端末位置情報を用いることにより、物理的に未使用端末Cnと新規端末Cdとが近い距離にあるという条件を含むこともできる。つまり、未使用端末Cnと新規端末Cdとの距離に関する条件であれば、上述に限定されず、目的を達する限りにおいて如何なるものでも構わない。これにより、端末移行の判定の精度を向上することが可能となる。
【0071】
(2)第2実施形態では、資産情報変更判定部25にて抽出した未使用端末Cnの操作情報と新規端末Cdの操作情報と所定の移行条件とを比較し、資産情報の変更の必要性を判定した、資産情報変更判定部25において、未使用端末Cnの操作情報と新規端末Cdの操作情報とを比較し、その操作情報の類似度を算出し、所定の閾値を超えた場合に、移行が完了したと判定することもできる。これによって、予め移行操作の手順を設定しておかなくても、資産情報の変更の必要性を判定することが可能となる。また、本実施形態を第2実施形態と組合せて判定の精度を上げることもできる。さらに、未使用端末Cnと新規端末Cdの操作情報の類似度が所定の閾値を超えている場合であって、所定の移行条件との比較による移行充足度が所定の閾値THを超えている場合に、資産情報の変更の必要性があると判定してもよい。このようにすることで、ユーザによる新規端末Cdにおける操作が、移行前に使用していた未使用端末Cnの操作に類似してきた時点を加味することが可能となり、資産情報の変更の必要性の判定の精度が向上する。
【0072】
(3)資産情報記憶部23において、未使用端末Cnにおける移行の検知結果を記憶しておくことも可能である。これにより、ソフトウェア等の資産を管理するために、ソフトウェアの使用台数を計数する際、移行作業が行われた未使用端末Cnを除外することや移行作業が行われた未使用端末Cnにおけるソフトウェアの使用台数を別途計数する等、未使用端末Cnに関する移行作業の検知結果を、ソフトウェア等の資産の管理にも活用することができる。上述ではソフトウェア等の資産の管理に使用台数の計数を記載したが、これに限定されるものではなく、目的を達する限りにおいて、資産を管理する上で必要な処理を行っても構わず、そのような処理において、未使用端末Cnにおける移行作業の判定結果を用いることも当然ながら可能である。
【0073】
(4)上述の実施形態では、判定対象の端末Cが一定時間以上使用されていないことを判定して、未使用端末を特定したが、これ以外にも、判定対象の端末Cが使用目的に沿った使用がされていないことを判定して未使用端末とすることも可能である。例えば、判定対象の端末Cの使用目的がソフトウェアの開発である場合、その端末Cにおいて行う操作内容(ビルド、コンパイル等)や操作対象(統合開発環境ソフトウェア、ソースファイル、定義ファイル等)等を使用目的操作記憶部(図示せず)に予め設定しておくことにより、判定対象の端末Cにおける操作が使用目的に合致しているかを操作情報と比較することで判定する。つまり、使用目的に合致する操作の対象(以下、「目的操作対象」という)の最後の操作情報を取得し、この最後の操作情報の日時と現在日時とから使用目的に沿った使われ方をしていない時間を算出することで、この時間が所定の閾値を超える場合に未使用端末であると判定することができる。さらに、一定期間における目的操作対象に対する操作頻度が、所定の頻度以下である場合に、未使用端末であると判定することもできる。上述では、使用目的としてソフトウェア開発を一例としてあげているが、これに限定されるものではない。
【0074】
(5)上述の実施形態では、操作情報記憶部22から最終操作情報を判定する様にしたが、端末Cの端末識別情報と最終使用日時とを関連付けて記憶する端末使用情報記憶部(図示せず)を新たに設け、端末使用情報記憶部から端末Cの最終使用日時を取得することで、未使用端末Cnの決定を行うようにしても良い。つまり、操作情報取得部21で端末Cから操作情報を受け取る都度、端末Cの使用日時を操作情報から抽出し、その使用日時と端末識別情報とを関連付けて端末使用情報記憶部(図示せず)に記憶させる。そして、資産情報の変更の必要性の判定の対象となる端末Cの端末識別情報を用いて、端末使用情報記憶部から最終使用日時を取得し、この最終使用日時と判定時点の日時(現在日時など)との差を未使用時間として算出する。算出した未使用時間と所定の時間THnとを比較し、未使用時間が所定の時間THnを超えている場合に、判定対象の端末Cを未使用端末Cnと決定する。さらに、端末使用情報記憶部から取得した最終使用日時が、所定の過去の日時以前であるかによって未使用端末Cnを決定することもできる。なお、端末使用情報記憶部に記憶する日時は、所定の操作情報の日時としてもよい。これにより、未使用端末Cnを決定する際の処理負荷を軽減することができる。
【0075】
(6)第2実施形態では、新規端末Cdを操作情報記憶部22に記憶されている操作情報を用いて特定するとしたが、資産情報を用いて特定することもできる。つまり、新規端末特定部27において、未使用端末Cnの使用者のユーザ識別情報を用いて、資産情報記憶部23から同一のユーザ識別情報に関連づいた未使用端末Cn以外の端末Cの端末識別情報を取得し、取得した端末識別情報を新規端末Cdとして特定する。これにより、新規端末Cdを特定する際の処理負荷を軽減することができる。
【0076】
(7)資産情報の変更の必要性の判定の対象となる端末Cを資産情報記憶部23で管理されている端末としているが、これに限らず、操作情報を取得した端末Cを対象とすることもできる。例えば、操作情報を取得している端末Cの最後の操作情報を所定のタイミングで取得し、その端末Cにおける未使用時間を判定することで、未使用端末Cnを特定する形態としても構わない。
【0077】
(8)上述の実施形態では、資産変更の対象を端末としているが、これに限られず、ソフトウェアやハードウェア、プリンタやスキャナ等の外部機器、USBメモリ等の外部記憶装置等、管理する必要のあるものであれば如何なるものをその対象としても構わない。
【0078】
(9)上述の実施形態では、資産情報管理システムは、複数の端末CおよびサーバSから構成されていたが、サーバSの機能部の一部を備えた管理端末を設置し、負荷分散を図ることもできる。また、サーバSの操作情報取得部21、操作情報記憶部22、未使用端末決定部24、資産情報変更判定部25を端末Cに備える構成とすることもできる。また、サーバSの全ての機能部を端末Cに備える構成とすることもできる。このように、資産情報管理システムの機能部は、適宜、分散配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明による資産情報管理システムのシステム構成図
【図2】ハードウェア構成の一例を示す概念図
【図3】本発明による資産情報管理システムの第1実施形態における機能ブロック図
【図4】本発明による資産情報管理システムの第1実施形態における処理の流れを表すフローチャート
【図5】本発明による資産情報管理システムの第1実施形態における操作情報の例
【図6】本発明による資産情報管理システムの第1実施形態における端末移行操作の例
【図7】本発明による資産情報管理システムの第2実施形態における機能ブロック図
【図8】本発明による資産情報管理システムの第2実施形態における処理の流れを表すフローチャート
【図9】本発明による資産情報管理システムの第2実施形態における端末移行操作の例
【符号の説明】
【0080】
S:サーバ
C:端末
Cn:未使用端末
Cd:新規端末
11:操作情報送信部
21:操作情報取得部
22:操作情報記憶部
23:資産情報記憶部
24:未使用端末決定部
25:資産情報変更判定部
26:制御部
27:新規端末特定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理されている端末の端末識別情報を含む資産情報を記憶する資産情報記憶部と、
端末における操作を表す操作情報を記憶する操作情報記憶部と、
前記操作情報記憶部に記憶されている操作情報に基づき、前記資産情報記憶部の端末の内、使用されていない端末を未使用端末として決定する未使用端末決定部と、
前記資産情報記憶部に含まれる前記未使用端末の操作情報を用いて、当該未使用端末の移行に係る前記資産情報の変更の必要性を判定する資産情報変更判定部と
を備えた資産情報管理システム。
【請求項2】
前記資産情報記憶部は、端末の端末識別情報と当該端末の使用者のユーザ識別情報とを関連付けて記憶しており、
前記未使用端末の使用者のユーザ識別情報を前記資産情報記憶部から取得し、当該ユーザ識別情報を用いて、前記操作情報記憶部の操作情報からその使用者が使用している新規端末を特定する新規端末特定部を更に備え、
前記資産情報変更判定部は、
前記未使用端末の操作情報と前記新規端末の操作情報とを用いて、当該未使用端末の移行に係る前記資産情報の変更の必要性を判定する
ことを特徴とする請求項1記載の資産情報管理システム。
【請求項3】
前記資産情報変更判定部は、
前記判定に用いる操作情報と所定の移行条件との比較を行い、移行の度合いを表す移行充足度を算出することで前記資産情報の変更の必要性を判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の資産情報管理システム。
【請求項4】
管理されている端末の端末識別情報を記憶する資産情報記憶部と、
端末における操作を表す操作情報を記憶する操作情報記憶部と
を備えた資産管理システムのための資産管理プログラムであって、
前記操作情報記憶部に記憶されている操作情報に基づき、前記資産情報記憶部の端末の内、使用されていない端末を未使用端末として決定する未使用端末決定機能と、
前記資産情報記憶部に含まれる前記未使用端末の操作情報を用いて、当該未使用端末の移行に係る前記資産情報の変更の必要性を判定する端末移行判定機能と
をコンピュータに実現させる資産情報管理プログラム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−146455(P2010−146455A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325331(P2008−325331)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)