説明

資産管理方法、資産管理システムおよび資産管理プログラム

【課題】端末のログオン情報を収集し、より高い精度で資産を管理する。
【解決手段】端末1は、ユーザIDを含むログオン要求をサーバ2へ送信するログオン要求送信ステップと、ログオン情報を収集するための情報収集プログラムを、サーバ2から受信する受信ステップと、記憶部に記憶された前回のログオン情報のユーザIDと、ログオン要求送信ステップで送信されたユーザIDとが同じか否かを判別する判別ステップと、 記憶部のユーザIDとログオン要求送信ステップのユーザIDとが異なる場合、記憶部のユーザIDをログオン要求送信ステップのユーザIDに変更する変更ステップと、変更した記憶部のログオン情報をサーバ2に送信するログオン情報送信ステップと、を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータなどの資産を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業では、所有する各種の資産について、資産の名称、製品名などをデータベースに登録し、資産管理を行っている。例えば、特許文献1には、ネットワークを上で流通する情報を用いて資産管理情報を収集し、データベースに登録された資産管理情報を更新する資産管理システムが記載されている。
【特許文献1】特開2001−290937
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、企業などが所有するパソコンなど資産は、業務のシステム化に伴い増加する傾向にある。また、新規に資産を購入した場合、資産を移設・廃棄した場合など、資産情報に変更が生じた場合は、資産情報の管理データベースのメンテナンスを行う必要がある。しかしながら、管理する資産が膨大な場合は、資産情報の変更を迅速に取得し、管理データベースに反映させることは困難である。
【0004】
また、資産がノートパソコンなどのモバイルコンピュータの場合、設置場所を特定することは難しい。例えば、ノートパソコンなどが、実際には、管理データベースに登録されている設置場所やユーザとは異なる場所やユーザで使用されている場合であっても、ユーザからの変更申請(報告)を受け付けないかぎり、その変更情報を取得することは困難である。そのため、管理データベースに登録されている資産情報と実態とが合わなくなる場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、より高い精度で資産を管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、例えば、少なくとも1つの端末と、端末を管理するサーバとを有する資産管理システムにおける資産管理方法である。端末は、サーバへのログオン情報を記憶する端末記憶部と、端末処理部と、を有し、端末処理部は、ユーザIDを含むログオン要求をサーバへ送信するログオン要求送信ステップと、ログオン情報を収集するための情報収集プログラムをサーバから受信する受信ステップと、端末記憶部に記憶された前回のログオン情報のユーザIDと、ログオン要求送信ステップで送信されたユーザIDとが同じか否かを判別する判別ステップと、端末記憶部のユーザIDとログオン要求送信ステップのユーザIDとが異なる場合、端末記憶部のユーザIDをログオン要求送信ステップのユーザIDに変更する変更ステップと、変更した端末記憶部のログオン情報をサーバに送信するログオン情報送信ステップと、を行う。サーバは、情報収集プログラムおよび端末各々を管理する資産管理テーブルを記憶するサーバ記憶部と、サーバ処理部と、を有し、サーバ処理部は、端末各々から送信されたログオン要求を受け付け、サーバ記憶部の情報収集プログラムを要求元の端末に送信するプログラム送信ステップと、 端末各々からログオン情報を受け付けて、資産管理テーブルを更新する更新ステップと、を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、端末のログオン情報を収集し、より高い精度で資産を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態が適用された資産管理システムの全体構成図である。
【0010】
図示するように、本実施形態の資産管理システムは、少なくとも1つの端末1と、資産管理サーバ2とを有する。そして、端末1各々は、インターネットなどのネットワーク3により、資産管理サーバ2と接続されている。
【0011】
端末1は、資産管理サーバ2の管理対象の装置であって、例えばPC(Personal Computer)などユーザが使用する装置である。端末1各々は、各種の処理を行う処理部11と、記憶部12とを有する。そして、記憶部12は、レジストリ13と、管理ファイル14と、未検査ファイル15と、インベントリファイル16と、を有する。
【0012】
レジストリ13は、OS(Operating System)やアプリケーションプログラムの設定データが記憶されるファイルである。本実施形態のレジストリ13には、各端末固有の管理IDが設定されるものとする。管理ファイル14は、資産管理サーバ2へのログオン情報が設定されるファイルである。未検査ファイル15は、端末1が資産管理サーバ2の管理対象外の場合に作成されるファイルである。インベントリファイル16は、端末1のCPU、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)など、端末1の仕様(スペック)が設定されるファイルである。なお、管理ファイル14、未検査ファイル15およびインベントリファイル16については後述する。
【0013】
資産管理サーバ2は、ネットワーク3に接続された各端末1(資産)を管理する装置である。資産管理サーバ2は、ログオン処理部21と、ログオン情報管理部22と、インベントリ情報管理部23と、記憶部24と、を有する。ログオン処理部21は、端末1からのログオン要求を受け付けて、記憶部24の情報収集プログラム29を要求元の端末1に送信する。ログオン情報管理部22は、端末1から送信された管理ファイル14および未検査ファイル15に基づいて、記憶部24の資産情報管理テーブル25、ログオン履歴テーブル26および未検査管理テーブル27を更新する。インベントリ情報管理部23は、端末1から送信されたインベントリファイル16に基づいてインベントリ管理テーブル28を更新する。
【0014】
記憶部24は、資産情報管理テーブル25と、ログオン履歴テーブル26と、未検査管理テーブル27と、インベントリ管理テーブル28と、情報収集プログラム29と、を有する。資産情報管理テーブル25は、資産管理サーバ2が管理する各端末1の情報が登録されたテーブルである。なお、資産情報管理テーブル25については後述する。ログオン履歴テーブル26は、端末1各々から受信した管理ファイルを、端末1毎に所定の回数分だけ履歴として保持(記憶)するテーブルである。
【0015】
未検査管理テーブル27は、管理対象外の端末1の情報が記憶されたテーブルである。インベントリ管理テーブル28は、端末1各々から受信したインベントリファイル16を、端末1毎に所定の回数分だけ履歴として保持(記憶)するテーブルである。情報収集プログラム29は、端末1のログオン情報およびインベントリ情報を収集するためのプログラムであって、端末1のログオン時に実行されるプログラム(例えば、ログオンスクリプト)である。
【0016】
上記説明した、端末1および資産管理サーバ2は、いずれも、例えば図2に示すようなCPU901と、メモリ902と、HDD等の外部記憶装置903と、キーボードやマウスなどの入力装置904と、ディスプレイやプリンタなどの出力装置905と、ネットワーク接続するための通信制御装置906と、を備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、各装置の各機能が実現される。
【0017】
例えば、端末1および資産管理サーバ2の各機能は、端末1用のプログラム(情報収集プログラム29を含む)の場合は端末1のCPU901が、そして、資産管理サーバ2用のプログラムの場合は資産管理サーバ2のCPU901が、それぞれ実行することにより実現される。なお、端末1の記憶部12には端末1のメモリ902または外部記憶装置903が、資産管理サーバ2の記憶部24には資産管理サーバ2のメモリ902または外部記憶装置903が用いられる。また、外部記憶装置903、入力装置904および出力装置905については、各装置が必要に応じて備えるものとする。
【0018】
次に、資産管理サーバ2の記憶部24に記憶された資産情報管理テーブル25について説明する。
【0019】
図3は、資産情報管理テーブル25の一例を示した図である。図示する資産情報管理テーブル25は、端末1毎に、管理ID251と、コンピュータ名252と、型番253と、共用端末フラグ254と、ユーザID255と、を有する。管理ID251は、各端末1を識別するための識別情報であって、資産管理を行うために設定された情報である。コンピュータ名252は、各端末固有の識別情報であって、システム運用上用いられる情報である。なお、コンピュータ名252として、端末1のシリアル番号(製品番号)を用いることとしてもよい。
【0020】
型番253は、端末1のメーカーが設定する製品種別を示す番号である。共用端末フラグ254は、複数のユーザが共有して使用する共用端末か、または、1人のユーザのみが使用する専用端末かを識別するためのフラグである。本実施形態では、共用端末の場合は「ON」が、専用端末(非共用端末)の場合は「OFF」が設定されるものとする。ユーザID255には、端末1を使用するユーザのユーザIDが設定される。
【0021】
次に、端末1の記憶部12に記憶された管理ファイル14、未検査ファイル15、インベントリファイル16について説明する。
【0022】
図4は、管理ファイル14の一例を示した図である。管理ファイル14は、管理ID141と、ユーザID142と、ログオン日時143と、コンピュータ名144と、共用端末フラグ145、ログオン回数146と、共用端末更新日時147と、ログオンID148と、を有する。共用端末フラグ145は、前述の通り、共有端末か専有端末かを示すフラグである。また、共用端末更新日時147は、後述する利用者変更ダイアログでユーザが「共有端末の利用」のラジオボタンを選択した日時が設定される。また、ログオンID148には、ログオン要求時に実際に入力されたユーザIDが設定される。なお、資産管理サーバ2のログオン履歴テーブル26は、管理ID毎に作成され、図示する管理ファイル14のデータを所定の件数分だけ記憶したテーブルである。
【0023】
図5は、未検査ファイル15の一例を示した図である。未検査ファイル15は、端末1が資産管理サーバ2の管理対象外の場合、すなわち、管理IDが付与されていない場合に作成されるファイルである。図示する未検査ファイル154、ユーザID151と、IPアドレス152と、コンピュータ名153と、ログオン日時154と、を有する。なお、資産管理サーバ2の未検査管理テーブル27は、図示する未検査ファイル15のデータを記憶したテーブルである。
【0024】
図6は、インベントリファイル16の一例を示した図である。インベントリファイル16は、管理ID161と、コンピュータ名162と、IPアドレス163と、CPUモデル名164と、CPUクロック数165と、物理メモリ容量166と、HDD全容量167と、HDD空き容量168と、OSバージョン169と、OSパッチ(OSの修正を行うための差分情報)レベル170と、を有する。なお、資産管理サーバ2のインベントリ管理テーブル28は、管理ID毎に作成され、図示するインベントリファイル16のデータを所定の件数分だけ記憶したテーブルである。
【0025】
次に、本システムのログオン時の処理について説明する。なお、本実施形態では、資産管理サーバ2の管理対象の端末1各々には、各端末1の管理IDが印刷された管理IDシールがあらかじめ貼付されているものとする。資産管理サーバ2の資産情報管理テーブル25には、管理対象の端末1の情報が設定されているものとする。
【0026】
図7は、本システムのログオン時の全体処理フロー図である。
【0027】
まず、端末1は、資産管理サーバ2にログオンする(S11)。すなわち、端末1の処理部11は、入力装置から入力されたユーザID(ログオンID)およびパスワードを含むログオン要求を資産管理サーバ2に送信する(S11)。
【0028】
資産管理サーバ2のログオン処理部21は、ログオン要求を受信し、ユーザIDおよびパスワードの認証を行う。そして、ユーザIDおよびパスワードの認証に成功した場合、ログオン処理部21は、記憶部24に記憶された情報収集プログラム29を、ログオン要求の送信元端末1に送信する(S12)。
【0029】
そして、端末1の処理部11は、情報収集プログラム29を実行して、管理ファイル14、インベントリファイル16または未検査ファイル15を作成する。そして、処理部11は、作成したファイルを資産管理サーバ2に送信する(S13)。そして、資産管理サーバ2は、端末1から送信されたファイル14〜16に基づいて、記憶部24のテーブル25〜28を更新する。(S14)。なお、S13およびS14の処理については後述する。
【0030】
次に、端末1が実行する情報収集プログラム29の処理(図7:S13)について、より詳細に説明する。
【0031】
図8は、情報収集プログラムを実行した場合の処理フロー図である。まず、端末1の処理部11は、記憶部12のレジストリ13に当該端末1の管理IDが記憶されているか否かを判別する(S21)。なお、端末1が資産管理サーバ2の管理対象であって、以前にログオン済みの場合では、レジストリ13に当該端末1の管理IDが記憶されているものとする。また、端末1が資産管理サーバ2の管理対象外の場合、または、管理対象であっても初回のログオン要求時の場合、レジストリ13には当該端末1の管理IDが記憶されていないものとする。
【0032】
レジストリ13に管理IDが記憶されている場合(S21:YES)、処理部11は、ログオン要求時に入力されたユーザID(図7:S11)が、管理ファイル14(図4参照)に設定されたユーザID142と同じか否かを判別する(S22)。ユーザIDが同じ場合(S22:YES)、処理部11は、管理ファイル14のログオン日時143と、ログオン回数146とを更新する(S23)。すなわち、処理部11は、OS(Operating System)などの機能を用いて現在の日時(時刻)を取得し、取得した日時をログオン日時143に設定する。また、処理部11は、ログオン回数146の値に「1」を加算する。
【0033】
一方、ユーザIDが異なる場合(S22:NO)、処理部11は、管理ファイル14の共用端末フラグ145を参照し、共用端末か否かを判別する(S24)。共用端末の場合、すなわち共用端末フラグが「ON」の場合(S24:YES)、処理部11は、現在の日時が管理ファイル14の共用端末更新日時147から所定の期間内(例えば、1ヶ月以内)か否かを判別する(S25)。この判別処理により、処理部11は、所定の期間が経過した場合にのみ後述する利用者変更ダイアログを表示し、ユーザに端末1の利用状況を再入力させる。これにより、ユーザは、利用者変更ダイアログが表示されたタイミングで、現時点の端末1の利用状況を再確認し、利用状況が以前と異なる場合は変更することができる。
【0034】
所定の期間内の場合(S25:YES)、処理部11は、管理ファイル14のユーザID142およびログオンID148を、ログオン要求時に入力されたユーザIDに変更する。また、処理部11は、S23と同様に、管理ファイルのログオン日時143と、ログオン回数146とを更新する(S26)。
【0035】
非共用端末の場合、すなわち共用端末フラグが「OFF」の場合(S24:NO)、または、所定の期間を経過した場合(S25:NO)、処理部11は、利用者変更ダイアログを出力装置に表示する(S27)。利用者変更ダイアログは、出力装置に表示されるウィンドウ(dialog box)であって、ユーザの操作・指示を受け付けるための入力画面である。なお、利用者変更ダイアログは、情報収集プログラム29に含まれているものとする。
【0036】
図9は、利用者変更ダイアログの一例を示したものである。図示する利用者変更ダイアログは、「共用端末を利用」のラジオボタン61と、「他ユーザの端末を一時借用」のラジオボタン62と、「利用者変更」のラジオボタン63とを有する。また、利用者変更ダイアログは、「利用者変更」のラジオボタン63が選択された場合にのみ、ログオン要求時に入力されたユーザIDが表示されるユーザID表示欄64と、OKボタン65と、を有する。
【0037】
ユーザは、出力装置に表示された利用者変更ダイアログを参照し、現在使用している端末の状況に応じて、いずれかのラジオボタン61〜63を選択する。なお、「利用者変更」のラジオボタン63が選択された場合、処理部11は、ユーザID表示欄64にユーザIDを表示する。これにより、ユーザは、自分が入力したユーザIDに間違いがないかを確認することができる。そして、ユーザは、いずれかのラジオボタン61〜63を選択した後、OKボタン65をクリックする。
【0038】
処理部11は、選択されたラジオボタンの種別に応じて、管理ファイル14を更新する(S28)。すなわち、「共用端末を利用」のラジオボタン61が選択された場合、処理部11は、管理ファイル14の共用端末フラグ145を「ON(共有)」に変更し、ユーザID142およびログオンID148をログオン要求時に入力されたユーザIDに変更する。これにより、共用端末の場合であっても、ログオン要求を行った現在使用中のユーザIDを、管理(取得)することができる。また、処理部11は、共用端末更新日時147を現在の日時に変更する。これにより、共有端末については、現在の日時から所定の期間が経過するまでは、利用者変更ダイアログは表示されない。また、処理部11は、S23と同様に、管理ファイル14のログオン日時143と、ログオン回数146とを更新する。
【0039】
また、「他ユーザの端末を一時借用」のラジオボタン62が選択された場合、処理部11は、管理ファイル14のユーザID142は変更せず、ログオンID148のみをログオン要求時に入力されたユーザIDに変更する。また、処理部11は、S23と同様に、管理ファイル14のログオン日時143と、ログオン回数146とを更新する。
【0040】
また、「利用者変更」のラジオボタン63が選択された場合、処理部11は、管理ファイル14のユーザID142およびログオンID148を、ログオン要求時に入力されたユーザIDに変更する。そして、処理部は、S23と同様に、管理ファイル14のログオン日時143と、ログオン回数146とを更新する。
【0041】
そして、処理部11は、管理ファイルの更新後(S23、S26、S28)、インベントリ情報を収集し、インベントリファイル16(図6参照)を作成する(S29)。なお、処理部11は、ログオン要求の度にインベントリ情報を作成するのではなく、例えば、管理ファイル14のログオン回数146が「1」の場合にのみインベントリファイル16を作成することとしてもよい。そして、処理部11は、更新後の管理ファイル14、および作成したインベントリファイル16を資産管理サーバ2に送信する(S30)。
【0042】
また、レジストリ13に管理IDが記憶されていない場合(S21:NO)、処理部11は、管理ID入力ダイアログを出力装置に出力する(S31)。すなわち、処理部11は、端末1が資産管理サーバ2の管理対象外の場合、または初回のログオン要求時に、管理ID入力ダイアログを表示する。管理ID入力ダイアログは、出力装置に表示される小さなウィンドウ(dialog box)であって、端末1に貼付された管理IDシールの管理IDをユーザに入力させるための入力画面である。なお、管理ID入力ダイアログは、情報収集プログラム29に含まれているものとする。
【0043】
図10は、管理ID入力ダイアログの一例を示したものである。図示する管理ID入力ダイアログは、管理ID入力欄71と、管理IDがない場合にクリック(チェック)するチェックボックス72と、OKボタン73と、を有する。端末1に管理IDシールが貼付されている場合、ユーザは、管理ID入力欄71に管理IDシールに記載された管理IDを、入力装置を用いて入力する。また、端末1に管理IDシールが貼付されていない場合、ユーザは、チェックボックス72をクリックする。そして、ユーザは、管理ID入力欄71またはチェックボックス72に入力後、OKボタン73を押下する。
【0044】
そして、処理部11は、管理ID入力ダイアログで、管理IDの入力を受け付けたか否かを判別する(S32)。管理IDの入力を受け付けた場合(S32:YES)、処理部11は、受け付けた管理IDをレジストリ13に書き込み、管理ファイル14を作成する(S33)。すなわち、処理部11は、管理ファイル14の管理ID141には入力された管理IDを、ユーザID142およびログオンID148にはログオン要求に入力したユーザIDを、ログオン日時143には現在の日時を、コンピュータ名144には記憶部12に記憶されたコンピュータ名を、共用端末フラグ145には「OFF(非共用)」を、ログオン回数には「1」を、それぞれ設定する。なお、処理部11は、共用端末更新日時147にはスペースを設定する。
【0045】
そして、処理部11は、前述のとおり、インベントリ情報を収集し、インベントリファイル16を作成する(S29)。そして、処理部は、管理ファイル14およびイベントリファイル16を資産管理サーバ2に送信する(S30)。一方、チェックボックス72がクリックされた場合(S32:NO)、処理部11は、未検査ファイル15(図5参照)を作成し、資産管理サーバ2に送信する(S34)。すなわち、ログオン要求に入力したユーザIDと、記憶部12にあらかじめ記憶されたIPアドレスおよびコンピュータ名と、現在の日時と、を設定した未検査ファイル15を作成し、送信する。
【0046】
次に、資産管理サーバ2の各種テーブルの更新処理(図7:S14)について、より詳細に説明する。
【0047】
図11は、資産管理サーバ2の更新処理の処理フロー図である。まず、ログオン処理部21は、端末1各々から送信された管理ファイル14、未検査ファイル15またはインベントリファイル16を受信し、受信したファイル14〜16を記憶部24に一時的に記憶する(S41)。
【0048】
そして、ログオン情報管理部22は、所定のタイミング(例えば、オンライン終了後の夜間バッチなど)で、記憶部24に記憶された管理ファイル各々を読み出し、資産情報管理テーブル25およびログオン履歴テーブル26を更新する(S42)。すなわち、ログオン情報管理部22は、管理ファイル各々について、以下の処理を行う。まず、ログオン情報管理部22は、管理ファイルに設定された管理IDが資産情報管理テーブル25に存在するか否かを判別する。管理IDが資産情報管理テーブル25に存在する場合、ログオン情報管理部22は、管理ファイル14の共用端末フラグ145およびユーザID142と、資産情報管理テーブル25の対応する管理IDの共用端末フラグ254およびユーザID255とを比較する。これらが異なっている場合、ログオン情報管理部22は、管理ファイル14に設定された値で資産情報管理テーブル25の共用端末フラグ254およびユーザID255を更新する。
【0049】
そして、ログオン情報管理部22は、当該管理IDのログオン履歴テーブル26に、処理対象の管理ファイルのデータを追加する。なお、ログオン履歴テーブル26は、1つの管理IDに対して所定の数(例えば8件分)の管理ファイル14のデータを履歴として保持するものとする。したがって、ログオン情報管理部22は、所定の数を超えた管理ファイル14(例えば、9件目以降の管理ファイル14)については、ログオン日時143が最も古い管理ファイル14のデータを削除し、新しい管理ファイル14のデータを追加するものとする。なお、管理IDが資産情報管理テーブル25に存在しない場合、ログオン情報管理部22は、処理対象の管理ファイル14のデータをエラーファイル(不図示)に出力する。
【0050】
全ての管理ファイル14の処理を終了した後、ログオン情報管理部22は、記憶部24に一時的に記憶された未検査ファイル15各々を読み出し、未検査管理テーブル27に追加する(S43)。なお、未検査管理テーブル27に設定された端末(未検査ファイルを送信した端末)は、資産管理サーバ2の管理対象外の端末である。そのため、管理者は、未検査管理テーブルに設定された未検査ファイルのデータ毎に、ユーザIDおよびIPアドレスからユーザの連絡先を特定する。そして、管理者は、連絡先を特定したユーザにヒアリングして、必要に応じて管理IDを付与(管理IDシールを発行)し、資産情報管理テーブル25に当該端末を登録する。
【0051】
そして、インベントリ情報管理部23は、記憶部24に一時的に記憶されたインベントリファイル各々について、以下の処理を行う。まず、インベントリ情報管理部23は、インベントリファイルに設定された管理IDが資産情報管理テーブル25に存在するか否かを判別する。管理IDが資産情報管理テーブル25に存在する場合、当該管理IDのインベントリ管理テーブル28に、処理対象のインベントリファイルのデータを追加する。なお、インベントリ管理テーブル28は、1つの管理IDに対して所定の数(例えば2件分)のインベントリファイル16のデータを履歴として保持するものとする。したがって、インベントリ情報管理部23は、所定の数を超えたインベントリファイル16(例えば、3件目以降のインベントリファイル16)については、更新時刻が最も古いインベントリファイル16のデータを削除し、新しいインベントリファイル16のデータを追加するものとする。なお、管理IDが資産情報管理テーブル25に存在しない場合、インベントリ情報管理部23は、処理対象のインベントリファイル16をエラーファイル(不図示)に出力する。
【0052】
以上、本発明の一実施形態を説明した。
【0053】
本実施形態では、端末1は、ログオン時に資産管理サーバ2から受信した情報収集プログラムを実行し、ログオン情報を収集した管理ファイル、および、インベントリファイルを資産管理サーバ2に送信する。これにより、資産管理サーバ2は、より高い精度で端末(資産)を管理することができる。すなわち、資産の管理漏れを防止することができる。
【0054】
また、本実施形態では、管理ID入力ダイアログ(図10参照)を出力し、管理ID(管理IDシール)が付与された端末か否かをユーザに入力させる。これにより、管理対象外の端末からのログオン要求については未検査ファイルを出力し、不明な端末を捕捉(検知)することができる。
【0055】
また、本実施形態では、前回ログオンした際のユーザIDと今回ログオンした際のユーザIDとを比較し、異なる場合は利用者変更ダイアログ(図9参照)を出力してユーザに使用状況を選択させる。このように、ログオン時にユーザIDのチェックを行うことにより、実態と合ったユーザの管理を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態の管理ファイルおよび資産情報管理テーブルでは共用端末フラグを有し、複数のユーザで共有する共用端末についても柔軟に管理することができる。例えば、共用端末の場合であっても、所定のタイミングで利用者変更ダイアログを表示し、ユーザに端末の利用状況を再入力させる(図8:S25)。これにより、ユーザは、利用者変更ダイアログが表示されたタイミングで、現時点の端末の利用状況を再確認し、利用状況が以前と異なる場合は変更することができる。
【0057】
また、本実施形態の管理ファイルおよび資産情報管理テーブルではユーザIDを有する。すなわち、本実施形態では、端末の設置場所ではなく、端末の使用ユーザを特定することで、端末を管理する。これにより、ノートパソコンや携帯情報端末など設置場所の特定が困難なモバイルコンピュータであっても、より高い精度で端末を管理することができる。
【0058】
また、ユーザIDを用いて端末を管理することにより、部署単位での端末の課金を、より正確に行うことができる。また、端末の一斉入れ替え時に、端末の所有者(ユーザ)を容易に把握することができる。また、端末が故障した場合、迅速な対応を取ることができる。
【0059】
また、本実施形態の管理ファイルおよびログオン履歴テーブルは、ログオン日時を有する。これにより、一定期間以上(例えば、3ヶ月以上)ログオンされない端末については、休眠資産(未使用資産)と判別し、休眠資産を回収(または適切に再配置)することができる。
【0060】
また、本実施形態のイベントリファイルおよびインベントリ管理テーブルは、メモリ容量、HDD空き容量などを有する。これより、ソフトウェアを一斉配信する際に、必要に応じて事前にHDDを増設するなどの対策を行うことができる。
【0061】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、資産管理サーバ2は、所定のタイミング(例えば、夜間バッチ)で各種テーブルの更新を行うこととした(図11参照)。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば、端末1から各種ファイルを受信するタイミングで(すなわち、リアルタイムで)、各種テーブルの更新を行うこととしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、端末1は、初回のログオン時に管理ID入力ダイアログから入力された管理IDをレジストリ13に設定することとした(図8:S33)。しかしながら、端末1は、資産管理サーバ2から送信された管理IDを、レジストリ13に設定することとしてもよい。例えば、端末1は、ログオン要求時に、ユーザID/パスワードとともにコンピュータ名を資産管理サーバ2に送信する(図7:S11)。そして、資産管理サーバ2は、受信したコンピュータ名に対応する管理IDを資産情報管理テーブル25から特定し、情報収集プログラム29とともに端末1に送信する(S12)。そして、端末1は、資産管理サーバ2から受信した管理IDをレジストリ13に設定し、その後、情報収集プログラム29を実行する。これにより、ユーザは、初回のログオン要求時であっても、管理IDを入力する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態が適用された資産管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】各装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】資産情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】管理ファイルの一例を示す図である。
【図5】未検査ファイルの一例を示す図である。
【図6】インベントリファイルの一例を示す図である。
【図7】ログオン処理の全体処理フロー図である。
【図8】ログオン情報収集処理の処理フロー図である。
【図9】利用者変更ダイアログの一例を示す図である。
【図10】管理ID入力ダイアログの一例を示す図である。
【図11】テーブル更新処理の処理フロー図である。
【符号の説明】
【0064】
1:端末、11:処理部、12:記憶部、13:レジストリ、14:管理ファイル、15:未検査ファイル、16:インベントリファイル、2:資産管理サーバ、21:ログオン処理部、22:ログオン情報管理部、23:インベントリ情報管理部、24:記憶部、25:資産情報管理テーブル、26:ログオン履歴テーブル、27:未検査管理テーブル、28:インベントリ管理テーブル、29:情報収集プログラム、3:ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの端末と、前記端末を管理するサーバとを有する資産管理システムにおける資産管理方法であって、
前記端末は、前記サーバへのログオン情報を記憶する端末記憶部と、端末処理部と、を有し、
前記端末処理部は、
ユーザIDを含むログオン要求を、前記サーバへ送信するログオン要求送信ステップと、
前記ログオン情報を収集するための情報収集プログラムを、前記サーバから受信する受信ステップと、
前記端末記憶部に記憶された前回のログオン情報のユーザIDと、前記ログオン要求送信ステップで送信されたユーザIDとが同じか否かを判別する判別ステップと、
前記端末記憶部のユーザIDと前記ログオン要求送信ステップのユーザIDとが異なる場合、前記端末記憶部のユーザIDを、前記ログオン要求送信ステップのユーザIDに変更する変更ステップと、
前記変更した端末記憶部のログオン情報を、前記サーバに送信するログオン情報送信ステップと、を行い、
前記サーバは、前記情報収集プログラムおよび前記端末各々を管理する資産管理テーブルを記憶するサーバ記憶部と、サーバ処理部と、を有し、
前記サーバ処理部は、
前記端末各々から送信されたログオン要求を受け付け、前記サーバ記憶部の前記情報収集プログラムを前記要求元の端末に送信するプログラム送信ステップと、
前記端末各々から前記ログオン情報を受け付けて、前記資産管理テーブルを更新する更新ステップと、を行うこと
を特徴とする資産管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の資産管理方法であって、
前記端末処理部は、前記端末記憶部のユーザIDと前記ログオン要求送信ステップのユーザIDとが異なる場合、当該端末の利用状況の入力を受け付ける入力画面を出力する出力ステップと、
前記入力画面から入力された利用状況に基づいて、前記端末記憶部のログオン情報を変更する利用状況変更ステップと、をさらに行うこと
を特徴とする資産管理方法。
【請求項3】
請求項1記載の資産管理方法であって、
前記端末処理部は、当該端末の識別情報の入力を受け付ける入力画面を出力する出力ステップと、
前記入力画面から入力された前記識別情報を前記端末記憶部に設定する設定ステップと、をさらに行うこと
を特徴とする資産管理方法。
【請求項4】
少なくとも1つの端末と、前記端末を管理するサーバとを有する資産管理システムであって、
前記端末は、
前記サーバへのログオン情報を記憶する端末記憶手段と、
ユーザIDを含むログオン要求を、前記サーバへ送信するログオン要求送信手段と、
前記ログオン情報を収集するための情報収集プログラムを、前記サーバから受信する受信手段と、
前記情報収集プログラムを実行する実行手段とを有し、
前記実行手段は、
前記端末記憶手段に記憶された前回のログオン情報のユーザIDと、前記ログオン要求送信手段が送信したユーザIDとが同じか否かを判別する判別ステップと、
前記端末記憶手段のユーザIDと前記ログオン要求送信手段が送信したユーザIDとが異なる場合、前記端末記憶手段のユーザIDを、前記ログオン要求送信手段が送信したユーザIDに変更する変更ステップと、
前記変更した端末記憶手段のログオン情報を、前記サーバに送信するログオン情報送信ステップと、を行い、
前記サーバは、
前記情報収集プログラムおよび前記端末各々を管理する資産管理テーブルを記憶するサーバ記憶手段と、
前記端末各々から送信されたログオン要求を受け付け、前記サーバ記憶手段の前記情報収集プログラムを前記要求元の端末に送信するプログラム送信手段と、
前記端末各々から前記ログオン情報を受け付けて、前記資産管理テーブルを更新する更新手段と、を有すること
を特徴とする資産管理システム。
【請求項5】
少なくとも1つの端末と、前記端末を管理するサーバとを有する資産管理システムにおいて、前記端末が実行する資産管理プログラムであって、
前記端末は、前記サーバへのログオン情報を記憶する記憶部と、処理部と、を有し、
前記処理部に、
ユーザIDを含むログオン要求を、前記サーバへ送信するログオン要求送信ステップと、
前記ログオン情報を収集するための情報収集プログラムを、前記サーバから受信する受信ステップと、
前記記憶部に記憶された前回のログオン情報のユーザIDと、前記ログオン要求送信ステップで送信されたユーザIDとが同じか否かを判別する判別ステップと、
前記記憶部のユーザIDと前記ログオン要求送信ステップのユーザIDとが異なる場合、前記記憶部のユーザIDを、前記ログオン要求送信ステップのユーザIDに変更する変更ステップと、
前記変更した記憶部のログオン情報を、前記サーバに送信するログオン情報送信ステップと、を実行させること
を特徴とする資産管理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−221284(P2006−221284A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32167(P2005−32167)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)