説明

資金を移動するためのデータを生成する方法、システム及びプログラム

【課題】三者間取引における購入者からの商品代金の入金に連動して販売者へ仕入代金の支払いを行い、仲介者の利益を明示できるような資金移動に関する資金移動データを提供する。
【解決手段】商品の購入者から商品代金(資金)が入金される専用口座の口座番号、仲介者及び販売者へ分配される資金の額、分配された資金の移動先の口座番号等を登録データとして予めデータベースに登録しておき、当該専用口座に資金が入金されたことを検出することで当該資金の入金に連動して、登録データを構成する情報を資金の移動に関するデータのフィールドにマッピングして、当該データ(振込データ、振替データ)を作成する。当該マッピングにおいては、購入者の情報は、販売者には開示されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資金を移動するためのデータを生成する方法、システム及びプログラムに関し、より詳細には、三者間取引における決済に関する資金を口座間で移動するためのデータを生成する方法、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品等の売買においては購入者と販売者の間に仲介者が介在する三者間取引が行われている。仲介者は、購入者と商品の売買に関する契約(以下、本明細書において「売買契約」という。)を締結するとともに、販売者と商品の仕入れに関する契約(以下、本明細書において「仕入契約」という。)を締結する。購入者は、売買契約において定めた商品代金を支払い、仲介者は商品代金を受け取る。また仲介者は、販売者へ仕入契約において定めた仕入代金を支払い、販売者は仕入代金を受け取る。このような三者間取引における商品代金の授受及び仕入代金の授受は、契約(売買契約、仕入契約)毎に当事者(購入者と仲介者、仲介者と販売者)間で銀行振込を使用して行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
仲介者においては、銀行が提供するオンラインバンキングサービス等を利用して、購入者からの商品代金の入金を確認し、販売者への仕入代金の支払いを行う。ここで、仲介者の資金繰り計画として、商品代金を仕入代金の原資としたいというニーズが存在する。また、仲介者は、三者間取引における自らの利益(商品代金と仕入代金との差分)を別途に管理する必要がある。このような業務は、人手により行われており、業務の自動化に対するニーズが存在する。他方、販売者においては、早く販売代金を回収したいというニーズが存在する。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、三者間取引における購入者からの商品代金等の入金に連動して仕入代金等の支払いを行い、三者間取引における仲介者の利益を明示できるような資金移動に関する資金移動データを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、入出力インターフェース手段(104)及び記憶手段(106)を備えたコンピュータで三者間取引についての資金(例えば、10万円)を分配して移動するためのデータ(振込データ,振替データ)を生成する方法であって、前記記憶手段は登録データを格納するデータベース(図3)を記憶し、前記登録データは、前記三者間取引のための前記資金が移動される専用口座を識別する情報(例えば、普通9999999)と、前記資金を分配した第1の資金の額および第2の資金の額(例えば、7万円および3万円)と、前記第1の資金の移動先である第1の口座を識別する情報(例えば、当座2222222)と、前記第2の資金の移動先である第2の口座を識別する情報(例えば、普通1111111)と、前記専用口座から第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名(例えば、A商事)と前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名(例えば、C製作所)と、前記専用口座へ移動される前記資金の額(10万円)とを有して構成され、前記方法は、前記コンピュータが、前記入出力インターフェース手段を介して勘定系システムからの情報を受信して前記専用口座に前記資金が移動されたことを検出し、前記資金が移動された口座を識別する情報を含む前記勘定系システムからの情報を前記記憶手段に格納するステップ(204)と、前記検出に応答して、前記勘定系システムからの情報に含まれる前記資金が移動された口座番号と一致する専用口座の口座番号を有する登録データを前記記憶手段から取得するステップ(206)と、取得した前記登録データのうちの前記専用口座を識別する情報(普通9999999)、前記第1の口座を識別する情報(当座2222222)、前記第1の資金の額(7万円)及び前記専用口座から前記第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名(A商事)を、前記第1の資金を前記第1の口座へ移動するための第1のデータ(振込データ、図4(a))を構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド(振込先口座)、移動金額フィールド及び前記第1の資金の移動の依頼人名フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第1のデータを作成するステップ(208)と、取得した前記登録データのうちの前記専用口座を識別する情報(普通9999999)、前記第2の口座を識別する情報(普通1111111)、前記第2の資金の額(3万円)、前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名(C製作所)及び前記専用口座へ移動される前記資金の額(10万円)を、前記第2の資金を前記第2の口座へ移動するための第2のデータ(振替データ、図5(a))を構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド(振込先口座)、移動金額フィールド、前記第2の資金の移動の依頼人名フィールド及びに付加情報フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第2のデータを作成するステップ(212)とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、入出力インターフェース手段及び記憶手段を備えた、三者間取引についての資金を分配して移動するためのデータを生成するシステムであって、前記記憶手段は、前記三者間取引のための前記資金が移動される専用口座を識別する情報と、前記資金を分配した第1の資金の額および第2の資金の額と、前記第1の資金の移動先である第1の口座を識別する情報と、前記第2の資金の移動先である第2の口座を識別する情報と、前記専用口座から第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名と前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名と、前記専用口座へ移動される前記資金の額とを有して構成された登録データを記憶し、前記システムは、前記入出力インターフェース手段を介して勘定系システムからの情報を受信して前記専用口座に前記資金が移動されたことを検出し、前記資金が移動された口座を識別する情報を含む前記勘定系システムからの情報を前記記憶手段に格納する手段と、前記検出に応答して、前記勘定系システムからの情報に含まれる前記資金が移動された口座を識別する情報と一致する専用口座を識別する情報を有する登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第1の口座を識別する情報、前記第1の資金の額及び前記専用口座から前記第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名を、前記第1の資金を前記第1の口座へ移動するための第1のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド及び前記第1の資金の移動の依頼人名フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第1のデータを作成する第1のデータ作成手段と、前記検出に応答して、前記勘定系システムからの情報に含まれる前記資金が移動された口座を識別する情報と一致する専用口座を識別する情報を有する登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第2の口座を識別する情報、前記第2の資金の額、前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名及び前記専用口座へ移動される前記資金の額を、前記第2の資金を前記第2の口座へ移動するための第2のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド、前記第2の資金の移動の依頼人名フィールド及びに付加情報フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第2のデータを作成する第2のデータ作成手段と を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、入出力インターフェース手段及び記憶手段を備えたコンピュータで、三者間取引についての資金を分配して移動するためのデータを生成するプログラムであって、前記コンピュータに、前記三者間取引のための前記資金が移動される専用口座を識別する情報と、前記資金を分配した第1の資金の額および第2の資金の額と、前記第1の資金の移動先である第1の口座を識別する情報と、前記第2の資金の移動先である第2の口座を識別する情報と、前記専用口座から第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名と前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名と、前記専用口座へ移動される前記資金の額とを有して構成された登録データを、前記記憶手段に格納されたデータベースに記憶するステップと、前記入出力インターフェース手段を介して勘定系システムからの情報を受信して前記専用口座に前記資金が移動されたことを検出し、前記資金が移動された口座を識別する情報を含む前記勘定系システムからの情報を前記記憶手段にするステップと、前記検出に応答して、前記勘定系システムからの情報に含まれる前記資金が移動された口座を識別する情報と一致する専用口座を識別する情報を有する登録データを前記記憶手段から取得するステップ、取得した前記登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第1の口座を識別する情報、前記第1の資金の額及び前記専用口座から前記第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名を、前記第1の資金を前記第1の口座へ移動するための第1のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド及び前記第1の資金の移動の依頼人名フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第1のデータを作成するステップ、及び取得した前記登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第2の口座を識別する情報、前記第2の資金の額、前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名及び前記専用口座へ移動される前記資金の額を、前記第2の資金を前記第2の口座へ移動するための第2のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド、前記第2の資金の移動の依頼人名フィールド及びに付加情報フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第2のデータを作成するステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、従来仲介者において人手で行われていた仕入代金の支払いの為の振込データの作成が不要となり、仲介者の売買契約の相手方である購入者の情報を販売者に開示することなく仕入代金を支払うことができ、当該仕入代金の支払いが商品代金の支払いに連動するため仕入代金の支払いまでのタイムラグが短縮され、また仲介者における利益の管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態にかかる資金移動システムを示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる資金移動方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態にかかる資金移動システムの記憶装置に作成されたデータベースに登録される登録データを示す図である。
【図4】(a)は本発明の一実施形態にかかる資金移動システムで作成される振込データを示す図であり、(b)は本発明の一実施形態の資金移動方法を実施した場合の販売者の口座における入金明細(仕入代金の振込明細)を示す図である。
【図5】(a)は本発明の一実施形態にかかる資金移動システムで作成される振替データを示す図であり、(b)は本発明の一実施形態の資金移動方法を実施した場合の仲介者の口座における入金明細(商品代金の振込明細)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、A商事株式会社(仲介者)がB部品株式会社(販売者)から商品を7万円で仕入れる仕入契約を締結し、A商事株式会社(仲介者)がC製作所株式会社(購入者)へ当該商品を10万円で販売する売買契約を締結する形態の三者間取引を例として説明する。売買契約においてC製作所株式会社(購入者)は商品代金(10万円)をA商事株式会社(仲介者)が指定する口座(以下、本明細書において、専用口座という。)へ振り込むことに合意しているものとし、また仕入契約においてA商事株式会社はB部品株式会社(販売者)が指定する口座へ仕入代金(7万円)を振り込むことに合意しているものとする。また、A商事株式会社は、C製作所株式会社から受け取った商品代金(10万円)を原資として仕入代金(7万円)をB部品株式会社へ支払い、商品代金と仕入代金との差額(3万円)をA商事株式会社の利益をとして管理するものとする。専用口座は、上記三者間取引用における商品代金の受け取り用に設けられた口座であり、本実施形態にしたがって商品代金の受け取り、仕入れ代金の支払いおよび利益の移動が完了するまでの間は他の取引に関する商品代金の受け取りに用いない口座である。
【0011】
本実施形態によれば、A商事株式会社が銀行に開設した当該取引用専用の口座(専用口座)に対して商品代金が振り込まれる(入金される)ことに連動して、仕入代金が専用口座からB部品株式会社の口座へ振り込まれる(出金される)。また、専用口座へ商品代金が振り込まれる(入金される)ことに連動して、A商事株式会社の利益は専用口座とは異なる口座に振り替えられ、管理される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態にかかる資金移動システム102を示す構成図である。資金移動システム102は、銀行が運用するデータセンター等のコンピュータに実装することができる。資金移動システム102は、入出力インターフェース(IF)部104と、記憶装置106と、振込データ作成部108、振替データ作成部110とを備える。
【0013】
入出力インターフェース(IF)部104は、入力装置112に入力されたデータを受信する機能を提供する。また、入出力インターフェース(IF)部104は、通信ネットワーク114を介して端末装置116、勘定系システム118、他銀行システム120との間でデータを送受信する機能を提供する。通信ネットワーク114は、LAN、WAN、インターネット、一般社団法人全国銀行協会が運用する決済用ネットワーク等の通信回線である。端末装置116は、銀行のオペレータが操作する専用端末、銀行が提供するオンラインバンキングサービスを利用するユーザ(A商事株式会社)が操作するコンピュータである。
【0014】
記憶装置106は、プロセッサを、後述する振込データ作成部108および振替データ作成部110として機能させるプログラムを格納する。また、記憶装置106は、本実施形態にかかるデータベースを格納する。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態にかかる資金移動方法を示すフローチャートである。ステップ202において、銀行のオペレータが入力装置112または端末装置116で登録データを作成し、資金移動システム102へ送信して登録を要求する。あるいは、A商事株式会社の担当者が端末装置116で登録データを作成し、資金移動システム102へ送信して登録を要求する。資金移動システム102は、入出力インターフェース(IF)部104を介して登録データを受信し、記録装置106に作成されたデータベースに格納することで登録する。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態にかかる資金移動システムの記憶装置に作成されたデータベースに登録される登録データの構成を示す図である。登録データは、次のフィールドで構成される。
・専用口座フィールド:商品代金の振込先である専用口座を指定するフィールド。このフィールドには専用口座を識別する情報(口座番号(普通9999999))が含まれる。図中の「普通9999999」は、口座種別が「普通」、口座番号が「9999999」として識別される口座を専用口座として指定する場合を例示している。銀行、支店の番号は省略している。
・入金口座1フィールド:仕入代金の振込先である口座(B部品株式会社の口座)を指定するフィールド。このフィールドには分配された第1の資金の移動先である第1の口座を識別する情報(口座番号(当座2222222))が含められる。図中の「当座2222222」は、口座種別が「当座」、口座番号が「2222222」として識別される口座を第1の口座として指定する場合を例示している。銀行、支店の番号は省略している。
・入金口座2フィールド:利益の振替先である口座(A商事株式会社の口座)を指定するフィールド。このフィールドには分配された第2の資金の移動先である第2の口座を識別する情報(口座番号(普通1111111))が含められる。図中の「普通1111111」は、口座種別が「普通」、番号が「1111111」として識別される口座を第2の口座として指定する場合を例示している。銀行、支店の番号は省略している。
・金額1フィールド:専用口座に入金されたことに連動して専用口座から入金口座1フィールドで指定された口座へ資金移動される(振り込まれる)金額(7万円)を指定するフィールド。
・金額2フィールド:専用口座に入金されたことに連動して専用口座から入金口座2フィールドで指定された口座へ資金移動される(振り替えられる)金額(3万円)を指定するフィールド。
・会社コード1フィールド:入金口座1フィールドで指定された口座へ資金移動する際の振込データの振込人(A商事株式会社)に銀行が割り当てた会社コード(0001234567)を指定するフィールド。会社コードは、振込データフォーマットにおけるヘッダ情報として必要な情報である。
・会社コード2フィールド:専用口座へ商品代金を振り込む振込人(C製作所株式会社)に銀行が割り当てた会社のコードを指定するフィールド。会社コードは、振替データフォーマットにおけるヘッダ情報として必要な情報である。なお、本実施形態では、C製作所株式会社は、資金移動システム102を運用する銀行の口座を保有せず、会社のコードが割り当てられていないため、当該フィールドにはダミーコード(0009999999)が設定されているものとしている。
・振込人名義1フィールド:入金口座1フィールドで指定された口座へ資金移動する際の振込データに含める振込人名(A商事株式会社)を指定するフィールド。
・振込人名義2フィールド:入金口座2フィールドで指定された口座(A商事株式会社の口座)へ資金移動する際の振替データに含める振替人名(C製作所株式会社)を指定するフィールド。A商事株式会社の専用口座とA商事株式会社の口座との間の資金移動(振り替え)において、振替人名をC製作所株式会社と指定することで、利益を管理する口座における入金明細では、振り替えられた資金がC製作所株式会社からのものであることが容易に把握できるようになる。
・付加EDI1フィールド:入金口座1フィールドで指定された口座へ資金移動する際の振込データに含める付加情報を指定するフィールド。
・付加EDI2フィールド:入金口座2フィールドで指定された口座へ資金移動する際の振替データに含める付加情報を指定するフィールド。
なお、上記フィールドの他に、入金口座1フィールドで指定された口座(当座2222222)の口座名(B部品株式会社)を指定する入金口座名1フィールドや、入金口座2フィールドで指定された口座(普通1111111)の口座名(A商事株式会社)を指定する入金口座名2フィールドを登録データに追加して登録しても良い。
【0017】
再び図2を参照する。ステップ204において、資金移動システム102が、勘定系システム118からの情報により、専用口座に商品代金の振り込みがあったことを検出する。勘定系システム118からの情報は、専用口座に対する振り込みについての振込データを含む。振込データは専用口座を識別する情報として口座番号(普通9999999)を含む。資金移動システム102は振込データを記憶装置106に格納する。資金移動システム102は、能動的に勘定系システム118からの通信を監視して情報を取得するように構成できる。あるいは、資金移動システム102は、主体的にポーリング等の要求を送信することにより、勘定系システム118から情報を取得するよう構成できる。
【0018】
勘定系システム118からの情報の取得に連動して、すなわち、専用口座への商品代金の振込(入金)に連動して、ステップ206において、振込データ作成部108が、ステップ204で勘定系システム118から取得された振込データに含まれた専用口座を識別する情報に基づいて、記憶装置106に作成されたデータベースに格納された1つの登録データを取得する。より具体的には、データベースに格納された複数の登録データから、専用口座フィールドの値が取得された振込データに含まれた専用口座の口座番号(普通9999999)に一致する登録データを検索し、検索された登録データを取得する。
【0019】
ステップ208において、振込データ作成部108は、取得された登録データを用いて、口座番号(普通9999999)の専用口座からB部品株式会社(販売者)の口座へ資金を移動する(仕入代金を振り込む)ための振込データを作成する。
【0020】
図4(a)は本実施形態にかかる資金移動システムの振込データ作成部108がステップ208において作成する振込データを示す図である。振込データは、次のフィールドを含む。
・出金口座フィールド:資金の出所である口座の口座番号を指定するフィールド。
・振込先口座フィールド:資金の移動先である口座の口座番号を指定するフィールド。
・振込金額フィールド:移動する資金の金額を指定するフィールド。
・振込人コードフィールド:資金移動する際の振込人に銀行が割り当てた会社コードを指定するフィールド。振込人コードフィールドの値は、振込データのヘッダ情報として必要な情報である。
・振込人名フィールド:資金移動する際の振込データに含める振込人名を指定するフィールド。
・付加情報フィールド:資金移動する際に振込人が振込データに含めることのできるメッセージ等を指定するフィールド。
なお、上記フィールドの他に、振込先口座フィールドで指定された口座(当座2222222)に対応する口座名(B部品株式会社)を指定する振込先口座名フィールドを含めても良い。
【0021】
振込データ作成部108は、ステップ208において、取得した登録データのフィールド値を(図3)を振込データのフィールド(図4(a))にマッピングすることで、振込データを作成することができる。より具体的には、振込データ作成部108は、振込データの出金口座フィールドに登録データの専用口座フィールドの値(普通9999999)を、振込データの振込先口座フィールドに登録データの入金口座1フィールドの値(当座2222222)を、振込データの振込金額フィールドに登録データの金額1フィールドの値(7万円)を、振込データの振込人コードフィールドに登録データの会社コード1フィールドの値(0001234567)を、振込データの振込人名フィールドに登録データの振込人名義1フィールドの値(A商事株式会社)を、振込データの付加情報フィールドに登録データの付加EDI1フィールドの値(null値)をそれぞれマッピングする。振込データ作成部108は、作成した振込データを入出力IF部へ出力する。振込データが、勘定系システム118へ送信され振込処理が行われる。図4(b)に本実施形態の資金移動方法を実施した場合の販売者(B部品株式会社)の口座における入金明細(仕入代金の振込明細)を示す。
【0022】
再び図2を参照する。ステップ210において、ステップ206と同様に、振替データ作成部110は、勘定系システム118から取得された振込データに含まれた専用口座を識別する情報に基づいて、記憶装置106に作成されたデータベースに格納された1つの登録データを取得する。より具体的には、データベースに格納された複数の登録データから、専用口座フィールドの値が取得された振込データに含まれた専用口座の口座番号(普通9999999)に一致する登録データを検索し、検索された登録データを取得する。
【0023】
ステップ210において、振替データ作成部110は、ステップ204で取得された登録データを用いて、口座番号(普通9999999)の専用口座からA商事株式会社(仲介者)の口座へ資金を移動する(A商事株式会社の利益の振り替える)ための振替データを作成する。振込データに振込先口座名フィールドがある場合は、登録データ中の入金口座名1フィールドの値(B部品株式会社)をマッピングする。
【0024】
図5(a)は本実施形態にかかる資金移動システムにかかる振替データ作成部110がステップ210で作成する振替データを示す図である。振替データは、図4(a)を参照して説明したフィールドを含む。
【0025】
振替データ作成部110は、ステップ210において、取得した登録データのフィールド値を(図3)を振替データのフィールド(図5(a))にマッピングすることで、振替データを作成することができる。より具体的には、振替データ作成部110は、振替データの出金口座フィールドに登録データの専用口座フィールドの値(普通9999999)を、振込データの振込先口座フィールドに登録データの入金口座2フィールドの値(普通1111111)を、振込データの振込金額フィールドに登録データの金額2フィールドの値(3万円)を、振込データの振込人コードフィールドに登録データの会社コード2フィールドの値(00099999)を、振込データの振込人名フィールドに登録データの振込人名義2フィールドの値(C製作所株式会社)を、振込データの付加情報フィールドに登録データの付加EDI2フィールドの値(10万円)をそれぞれマッピングする。振替データに振込先口座名フィールドがある場合は、登録データ中の入金口座名2フィールドの値(A商事株式会社)をマッピングする。振替データ作成部110は、作成した振替データを入出力IF部へ出力する。振込データが、勘定系システム118へ送信され振替処理が行われる。図5(b)に本実施形態の資金移動方法を実施した場合の仲介者(A商事株式会社)の口座(普通1111111)における入金明細(利益の振替明細)を示す。利益を管理する口座における入金明細に、入金額(3万円)とともに、振込人名義2フィールド及び付加EDI2フィールドの情報(C製作所株式会社及び10万円)が提示される。したがって、A商事株式会社の担当者は、入金明細を確認することで、C製作所株式会社から入金された10万円を原資として仕入代金が支払われた結果、3万円が利益として口座(普通1111111)へ振り替えられたと容易に把握できるようになる。
【0026】
なお、ステップ206〜212の順序は上記の順序に限定されない。ステップ210、212、206及び208の順序で実行してもよい。あるいは、ステップ206とステップ210を同時に実行してもよい。
【0027】
また、本願発明は、商品の売買に関する三者間取引に限定されるものではなく、サービスの提供に関する三者間取引に適用することは言うまでもない。
【0028】
以上、説明したように、本願発明によれば、従来仲介者において人手で行われていた仕入代金の支払いの為の振込データの作成が不要となり、仲介者の売買契約の相手方である購入者の情報を販売者に開示することなく仕入代金を支払うことができ、当該仕入代金の支払いが商品代金の支払いに連動するため仕入代金の支払いまでのタイムラグが短縮され、また仲介者における利益の管理が容易になる。
【符号の説明】
【0029】
102 資金移動システム
104 入出力インターフェース部
106 記憶装置
108 振込データ作成部
110 振替データ作成部
112 入力装置
114 通信ネットワーク
116 端末装置
118 勘定系システム
120 他銀行システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力インターフェース手段及び記憶手段を備えたコンピュータで三者間取引についての資金を分配して移動するためのデータを生成する方法であって、前記記憶手段は登録データを格納するデータベースを記憶し、前記登録データは、前記三者間取引のための前記資金が移動される専用口座を識別する情報と、前記資金を分配した第1の資金の額および第2の資金の額と、前記第1の資金の移動先である第1の口座を識別する情報と、前記第2の資金の移動先である第2の口座を識別する情報と、前記専用口座から第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名と前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名と、前記専用口座へ移動される前記資金の額とを有して構成され、
前記方法は、前記コンピュータが
前記入出力インターフェース手段を介して勘定系システムからの情報を受信して前記専用口座に前記資金が移動されたことを検出し、前記資金が移動された口座を識別する情報を含む前記勘定系システムからの情報を前記記憶手段に格納するステップと、
前記検出に応答して、
前記勘定系システムからの情報に含まれる前記資金が移動された口座を識別する情報と一致する専用口座を識別する情報を有する登録データを前記記憶手段から取得するステップと、
取得した前記登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第1の口座を識別する情報、前記第1の資金の額<7万>及び前記専用口座から前記第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名を、前記第1の資金を前記第1の口座へ移動するための第1のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド及び前記第1の資金の移動の依頼人名フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第1のデータを作成するステップと、
取得した前記登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第2の口座を識別する情報、前記第2の資金の額、前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名及び前記専用口座へ移動される前記資金の額を、前記第2の資金を前記第2の口座へ移動するための第2のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド、前記第2の資金の移動の依頼人名フィールド及びに付加情報フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第2のデータを作成するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
入出力インターフェース手段及び記憶手段を備えた、三者間取引についての資金を分配して移動するためのデータを生成するシステムであって、
前記記憶手段は、前記三者間取引のための前記資金が移動される専用口座を識別する情報と、前記資金を分配した第1の資金の額および第2の資金の額と、前記第1の資金の移動先である第1の口座を識別する情報と、前記第2の資金の移動先である第2の口座を識別する情報と、前記専用口座から第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名と前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名と、前記専用口座へ移動される前記資金の額とを有して構成された登録データを記憶し、
前記システムは、
前記入出力インターフェース手段を介して勘定系システムからの情報を受信して前記専用口座に前記資金が移動されたことを検出し、前記資金が移動された口座を識別する情報を含む前記勘定系システムからの情報を前記記憶手段に格納する手段と、
前記検出に応答して、前記勘定系システムからの情報に含まれる前記資金が移動された口座を識別する情報と一致する専用口座を識別する情報を有する登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第1の口座を識別する情報、前記第1の資金の額及び前記専用口座から前記第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名を、前記第1の資金を前記第1の口座へ移動するための第1のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド及び前記第1の資金の移動の依頼人名フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第1のデータを作成する第1のデータ作成手段と、
前記検出に応答して、前記勘定系システムからの情報に含まれる前記資金が移動された口座を識別する情報と一致する専用口座を識別する情報を有する登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第2の口座の口座を識別する情報、前記第2の資金の額、前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名及び前記専用口座へ移動される前記資金の額を、前記第2の資金を前記第2の口座へ移動するための第2のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド、前記第2の資金の移動の依頼人名フィールド及びに付加情報フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第2のデータを作成する第2のデータ作成手段と
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項3】
入出力インターフェース手段及び記憶手段を備えたコンピュータで、三者間取引についての資金を分配して移動するためのデータを生成するプログラムであって、前記コンピュータに、
前記三者間取引のための前記資金が移動される専用口座を識別する情報と、前記資金を分配した第1の資金の額および第2の資金の額と、前記第1の資金の移動先である第1の口座を識別する情報と、前記第2の資金の移動先である第2の口座を識別する情報と、前記専用口座から第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名と、前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名と、前記専用口座へ移動される前記資金の額とを有して構成された登録データを、前記記憶手段に格納されたデータベースに記憶するステップと、
前記入出力インターフェース手段を介して勘定系システムからの情報を受信して前記専用口座に前記資金が移動されたことを検出し、前記資金が移動された口座を識別する情報を含む前記勘定系システムからの情報を前記記憶手段にするステップと、
前記検出に応答して、
前記勘定系システムからの情報に含まれる前記資金が移動された口座を識別する情報と一致する専用口座を識別する情報を有する登録データを前記記憶手段から取得するステップ、
取得した前記登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第1の口座を識別する情報、前記第1の資金の額及び前記専用口座から前記第1の口座へ資金を移動する際の依頼人名を、前記第1の資金を前記第1の口座へ移動するための第1のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド及び前記第1の資金の移動の依頼人名フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第1のデータを作成するステップ、及び
取得した前記登録データのうちの前記専用口座を識別する情報、前記第2の口座を識別する情報、前記第2の資金の額、前記専用口座へ前記資金を移動する際の依頼人名及び前記専用口座へ移動される前記資金の額を、前記第2の資金を前記第2の口座へ移動するための第2のデータを構成する出金口座フィールド、移動先口座フィールド、移動金額フィールド、前記第2の資金の移動の依頼人名フィールド及びに付加情報フィールドにそれぞれマッピングすることにより、当該第2のデータを作成するステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−109702(P2013−109702A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256056(P2011−256056)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(397077955)株式会社三井住友銀行 (120)