説明

赤外線撮像装置

【目的】 赤外線カメラより入力される映像の一部分を常に最大階調で表示できる赤外線撮像装置を得る。
【構成】 ディスプレイ15上に表示されている被写体にオーバレイ処理部13により重ね表示されたビットプレーンメモリ12上に、操作部17より第1のプロセッサ16経由にて階調変換したい矩形エリアを表示させる。この際第1のプロセッサ16は第2のプロセッサ11に対し矩形エリアの位置を画像メモリ7に対応するメモリアドレスの形で伝える。一方、画像補正部6の出力ディジタル映像信号は入力ルックアップテーブル切換部10に入力されるとともに、一旦、画像メモリ6にディジタル画像データとして一画面分貯えられ第2のプロセッサ11が他の部分の状態にかかわらず矩形エリアに該当する画像メモリ6内の最大値最小値を検出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は被写体から放射される赤外線をとらえ、映像化する赤外線撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は従来のこの種の赤外線撮像装置の図である。図4において、1は被写体の表面から放射される赤外線をとらえアナログ信号に変換する赤外線カメラ、2はこの赤外線カメラ1より出力されるアナログ映像信号の振幅の平均値をアナログ/ディジタル変換部5の入力ダイナミックレンジの中心に合致させるオートペデスタル部、3は上記赤外線カメラ1よりのアナログ映像信号のどこのレベルをアナログ/ディジタル変換部5に与えるかを操作部17よりプロセッサ16を介して設定できるペデスタル設定部、4はこのペデスタル設定部3と上記オートペデスタル部2のどちらを使用するかを操作部17よりプロセッサ16を介して設定できるペデスタル切換部、5はこのペデスタル切換部4より出力されるアナログ信号をディジタル化するアナログ/ディジタル変換部、6はこのアナログ/ディジタル変換部5より出力される補正後ディジタル映像信号から赤外線カメラ1自身が与える影響(素子欠陥、シェーディング等)を補正するための画像補正部、8および9は前記画像補正部6より出力されるディジタル映像信号の階調変換を行う2組の入力ルックアップテーブルRAM、10は前記画像補正部6より出力されるディジタル映像信号をプロセッサ16よりの指令により上記2組の入力ルックアップテーブルRAM8および9のどちらを経由させるかを選択する入力ルックアップテーブル切換部、14はこの入力ルックアップテーブル切換部10より出力される補正後のディジタル映像信号をアナログ映像信号に変換するディジタル/アナログ変換部、15はこのディジタル/アナログ変換部14より出力されるアナログ映像信号を表示するディスプレイ、16は上記各部を制御するプロセッサ、17は人がこのプロセッサ16に対し指示を与えるための操作部、18はこの操作部17よりの指示をディジタル変換する操作部インタフェースである。
【0003】次に動作について説明する。従来の赤外線撮像装置においては、赤外線カメラ1より出力されるアナログ映像信号は操作部17よりの入力によりペデスタル切換部4にてペデスタル設定をオートペデスタル部2にするかペデスタル設定部3で行うかを決定する。オートペデスタル部2においてはアナログ映像信号の振幅の平均値をアナログ/ディジタル変換部5の入力ダイナミックレンジの中心に合致させ、またペデスタル切換部3においては操作部17より任意のペデスタルレベルの設定が可能である。ペデスタル切換部4より出力されたアナログ映像信号は次にアナログ/ディジタル変換部5においてディジタル信号に変換される。
【0004】この変換されたディジタル信号は赤外線カメラ1自身が映像信号に与える影響(素子欠陥による出力レベルの変動、シェーディング等)を補正するための画像補正部6を介して補正され、予めプロセッサ16が階調変換データを書き込んだ入力ルックアップテーブルRAM8及び9の内、入力ルックアップテーブル切換部10で選択されている入力ルックアップテーブルRAM8もしくは9により階調変換を受ける。入力ルックアップテーブル切換部10より出力されたディジタル映像信号はディジタル/アナログ変換部14にてアナログ映像信号に変換された後ディスプレイ15に映し出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の赤外線撮像装置は以上のように構成されているのでディスプレイに表示されている画面の一部分を常に最大階調で分割されるように入力ルックアップテーブルを自動調整することができないという問題点があった。
【0006】この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、ディスプレイに表示されている画面の一部分を常に最大階調で分割されるように入力ルックアップテーブルを自動調整することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る赤外線撮像装置は上記従来装置の構成に対し、画像補正部より出力されるディジタル映像信号を貯える画像メモリと、この画像メモリ内における一部分の最大値、最小値を検出するための矩形エリアを人に対して示すビットプレーンメモリと、前記画像メモリ内の矩形エリア部分に該当するデータの最大値、最小値を検出する第2のプロセッサと、前記ビットプレーンメモリ及び入力ルックアップテーブル切換部よりのディジタル映像信号をディスプレイに重ね表示(オーバレイ)するためのオーバレイ処理部とを付加したものである。
【0008】また、前記構成中の第2のプロセッサを第1のプロセッサより与えられた矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ内データのみを通すフィルタ部と、このフィルタ部より出力される矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ内データの最大値、最小値を検出するメモリデータ比較部にて置き換えたものである。
【0009】
【作用】上記のように構成された赤外線撮像装置においては、ディスプレイ上に表示されている被写体にオーバレイ処理部により重ね表示されたビットプレーンメモリ上に、操作部より第1のプロセッサ経由にて階調変換したい矩形エリアを表示させる。この際第1のプロセッサは第2のプロセッサに対し矩形エリアの位置を画像メモリに対応するメモリアドレスの形で伝える。一方、画像補正部よりの出力ディジタル映像信号は入力ルックアップテーブル切換部に入力されるとともに、一旦画像メモリにディジタル画像データとして一画面分貯えられ第2のプロセッサが他の部分の状態に係わらず矩形エリアに該当する画像メモリ内の最大値と最小値を検出する。この値は第1のプロセッサに伝えられ第1のプロセッサはこの最大値、最小値を最大階調とした階調変換データを作成する。これを繰り返すことによりディスプレイに表示されている画面の一部分を常に最大階調で分割されるようにできる。
【0010】また、画像メモリ内の矩形エリア該当部分の最大値、最小値の検出を、第2のプロセッサの代わりに、第1のプロセッサにより設定された矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ内データのみをデータ比較部に対し与えるフィルタ部と、このフィルタ部より出力される矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ内データ中の最大値、最小値を検出するメモリデータ比較部とで行うことにより第2のプロセッサを使うより高速な処理が可能である。
【0011】
【実施例】実施例1.図1はこの発明の実施例を示す図である。図において、1〜6、8〜10、16〜18は図4に示したものと同じである。7は画像補正部6より出力される補正後ディジタル映像信号を貯える画像メモリ、11は前記画像メモリ7内の、第1のプロセッサ16より指示された矩形エリアの最大値、最小値を検出する第2のプロセッサ、12は前記画像メモリ7内における一部分の最大値、最小値を検出するための矩形エリアを操作者に対して示すビットプレーンメモリ、13はこのビットプレーンメモリ12及び入力ルックアップテーブル切換部10よりのディジタル映像信号をディスプレイ15に重ね表示(オーバレイ)するためのオーバレイ処理部、14はこのオーバレイ処理部13より出力されるビットプレーンメモリ12上の矩形エリアをオーバレイしたディジタル映像信号をアナログ映像信号に変換するディジタル/アナログ変換部、15はこのディジタル/アナログ変換部14より出力されるアナログ映像信号を表示するディスプレイである。
【0012】図2はディスプレイ15に表示されるビットプレーンメモリ12の画像と補正後画像の重ね合わせの例を示す図であり、D1はオーバレイされた画像、D2は補正後画像、Eは矩形エリア、EKは矩形エリアを示すカーソルである。
【0013】上記のように構成された赤外線撮像装置において、赤外線カメラ1より出力されるアナログ映像信号は操作部17よりの入力によりペデスタル切換部4にてペデスタル設定をオートペデスタル部2にするかペデスタル設定部3で行うかを決定する。オートペデスタル部2においてはアナログ映像信号の振幅の平均値をアナログ/ディジタル変換部5の入力ダイナミックレンジの中心に合致させ、またペデスタル切換部3においては操作部17より任意のペデスタルレベルの設定が可能である。ペデスタル切換部4より出力されたアナログ映像信号は次にアナログ/ディジタル変換部5においてディジタル信号に変換される。この変換されたディジタル信号は赤外線カメラ1自身が映像信号に与える影響(素子欠陥による出力レベルの変動、シェーディング等)を補正するための画像補正部6を介して補正され、入力ルックアップテーブル切換部10および画像メモリ7に入力される。
【0014】一方、操作者は図2に示すようにディスプレイ15にオーバレイ表示されたビットプレーンメモリ12上の矩形エリアEを示すカーソルEKを見ながら操作部17のポインティングデバイスを操作して階調変換したいエリアに矩形エリアEを示すカーソルEKを合致させるようにする。この矩形エリアEを示すカーソルEKの位置は第1のプロセッサ16より画像メモリ7上のアドレスに変換された後、第2のプロセッサ11に伝えられ、第2のプロセッサ11は本装置の他の構成部分の状態に係わらずこのアドレス情報をもとに画像メモリ7上の該当メモリを走査し最大値と最小値を検出し第1のプロセッサ16に伝える。
【0015】第2のプロセッサ11よりの最大値、最小値情報を受け、第1のプロセッサ16はこの最大値、最小値を最大階調で分割するような入力ルックアップテーブルRAM8及び9の階調変換データを作成し、入力ルックアップテーブル切換部10で選択されていない入力ルックアップテーブル8又は9にその階調変換データを書き込んだ後入力ルックアップテーブル切換部10を書き込み終った入力ルックアップテーブルRAM8もしくは9に切り換える。
【0016】以上により上記画像補正部6にて補正を受けたディジタル映像信号は前記入力ルックアップテーブルRAM8及び9のどちらかを入力ルックアップテーブル切換部10を介して通ることにより矩形エリアEを示すカーソルEK内の画像が最大階調となるように階調変換される。この階調変換されたディジタル映像信号はビットプレーンメモリ12とのオーバレイをするためのオーバレイ処理部13を経由した後ディジタル/アナログ変換部14にてアナログ映像信号に変換された後ディスプレイ15に表示される。
【0017】また、画像メモリ7内の矩形エリア該当部分の最大値、最小値の検出を、第2のプロセッサ11の代りに図3に示すように、第1のプロセッサ16により設定された矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ7内データのみをデータ比較部20に対し与えるフィルタ部19と、このフィルタ部19より出力される矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ内データ中の最大値、最小値を検出するメモリデータ比較部20とで行うことにより第2のプロセッサを使うより高速な処理が可能となる。
【0018】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、操作者が設定した、ビットプレーンメモリ上の矩形エリアカーソルにて囲まれた部分に対応する画像メモリに貯えられた画像データを、装置制御用のプロセッサとは別のもう一つのプロセッサにより解析、最大値最小値を検出しそれをもとに入力ルックアップテーブルRAMのデータを作成することにより矩形エリア内の画像を常に最大階調で表示できるという効果がある。
【0019】また、第2のプロセッサ2の代りにプロセッサ1により設定された矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ内データのみをデータ比較部に対し与えるフィルタ部と、このフィルタ部より出力される矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ内データ中の最大値、最小値を検出するメモリデータ比較部とで行うことにより第2のプロセッサを使うより高速な処理が可能であるという効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体の放射する赤外線をとらえ、アナログ映像信号に変換する赤外線カメラと、この赤外線カメラより出力されるアナログ映像信号の振幅の平均値をアナログ/ディジタル変換部の入力ダイナミックレンジの中心に合致させるオートペデスタル部と、上記赤外線カメラよりのアナログ映像信号のどこのレベルをアナログ/ディジタル変換部に与えるかを操作部より第1のプロセッサを介して設定できるペデスタル設定部と、このペデスタル設定部とオートペデスタル部のどちらを使用するかを操作部よりプロセッサを介して設定できるペデスタル切換部と、このペデスタル切換部から出力されるアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するアナログ/ディジタル変換部と、このアナログ/ディジタル変換部より出力されるディジタル映像信号に対し赤外線カメラ自身が与える影響(素子欠陥、シェーディング等)を補正するための画像補正部と、この画像補正部より出力される補正後ディジタル映像信号を貯える画像メモリと、前記画像補正部より出力される補正後ディジタル映像信号の階調変換を行う2組の入力ルックアップテーブルRAMと、前記画像補正部よりの出力を上記2組の入力ルックアップテーブルRAMのどちらを経由させるかを選択する入力ルックアップテーブル切換部と、前記画像メモリ内の、第1のプロセッサより指示された矩形エリアの最大値、最小値を検出する第2のプロセッサと、前記画像メモリ内における一部分の最大値、最小値を検出するための矩形エリアを人に対して示すビットプレーンメモリと、このビットプレーンメモリ及び前記入力ルックアップテーブル切換部よりのディジタル映像信号をディスプレイに重ね表示(オーバレイ)するためのオーバレイ処理部と、このオーバレイ処理部より出力されるビットプレーンメモリ上の矩形エリアをオーバレイしたディジタル映像信号をアナログ映像信号に変換するディジタル/アナログ変換部と、このディジタル/アナログ変換部より出力されるアナログ映像信号を表示するディスプレイと、上記第1のプロセッサに対し指示を与えるための操作部と、この操作部よりの指示をディジタル信号に変換する操作部インタフェースとを備えたことを特徴とする赤外線撮像装置。
【請求項2】 被写体の放射する赤外線をとらえ、アナログ映像信号に変換する赤外線カメラと、この赤外線カメラより出力されるアナログ映像信号の振幅の平均値をアナログ/ディジタル変換部の入力ダイナミックレンジの中心に合致させるオートペデスタル部と、上記赤外線カメラよりのアナログ映像信号のどこのレベルをアナログ/ディジタル変換部に与えるかを操作部よりプロセッサを介して設定できるペデスタル設定部と、このペデスタル設定部とオートペデスタル部のどちらを使用するかを操作部よりプロセッサを介して設定できるペデスタル切換部と、このペデスタル切換部から出力されるアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するアナログ/ディジタル変換部と、このアナログ/ディジタル変換部より出力されるディジタル映像信号に対し赤外線カメラ自身が与える影響(素子欠陥、シェーディング等)を補正するための画像補正部と、この画像補正部より出力される補正後ディジタル映像信号を貯える画像メモリと、前記画像補正部より出力される補正後ディジタル映像信号の階調変換を行う2組の入力ルックアップテーブルRAMと、前記画像補正部よりの出力を上記2組の入力ルックアップテーブルRAMのどちらを経由させるかを選択する入力ルックアップテーブル切換部と、上記プロセッサより与えられた矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ内データのみを通すフィルタ部と、このフィルタ部より出力される矩形エリアの存在するアドレス範囲の画像メモリ内データの最大値、最小値を検出するメモリデータ比較部と、前記画像メモリ内における一部分の最大値、最小値を検出するための矩形エリアを人に対して示すビットプレーンメモリと、このビットプレーンメモリ及び前記入力ルックアップテーブル切換部よりのディジタル映像信号をデイスプレイに重ね表示(オーバレイ)するためのオーバレイ処理部と、このオーバレイ処理部より出力されるビットプレーンメモリ上の矩形エリアをオーバレイしたディジタル映像信号をアナログ映像信号に変換するディジタル/アナログ変換部と、このディジタル/アナログ変換部より出力されるアナログ映像信号を表示するディスプレイと、上記プロセッサに対し指示を与えるための操作部と、この操作部よりの指示をディジタル信号に変換する操作部インタフェースとを備えたことを特徴とする赤外線撮像装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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