説明

赤泥を含む硫黄固化体およびその製造方法

【課題】 硫黄スラリーを用いる赤泥を含む硫黄固化体の製造方法を提供する。
【解決手段】 溶融硫黄を圧送用エアシリンダー13で噴射ノズルから噴霧して500μm以下に微粒化し、ダイヤフラムポンプ16で界面活性剤を含む水を水用スプレーノズルから噴霧して500μm以下に微粒化し、この微粒化した水滴と硫黄の液滴とを接触させることにより、硫黄の液滴を固化して硫黄粒子が高分散した硫黄スラリーを形成する。次に、この硫黄スラリーを赤泥の発生場所まで輸送し、硫黄スラリーを常温で赤泥あるいは赤泥と補強用骨材と均一に混合して混合物とし、この混合物を加熱して水分を蒸発させた後、硫黄を溶融して硫黄固化体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボーキサイトの副生物である赤泥を硫黄で固化した硫黄固化体およびその製造方法に関し、特に、硫黄スラリーを用いて赤泥を固化した硫黄固化体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイヤー法によってボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物として「赤泥」が排出される。「赤泥」の排出量は、原料のボーキサイトの組成によって異なるが、例えば、生産されるアルミナ1t当たり0.5〜0.8tである(非特許文献1)。この「赤泥」には、酸化鉄、チタニア、アルミナ、シリカ、ナトリウムなど多くの有効成分が含まれている。そこで、赤泥から各有効成分を分離して資源として再利用することが検討されているが、「赤泥」中に含まれる有効成分は比較的少量ずつ含まれているため、その分離工程は煩雑となり経済性に問題があるので、現在のところ赤泥の各有効成分を分離して工業的に再利用する試みはなされていない。そこで、年間160万トン以上の赤泥は資源として再利用されずそのまま陸上の埋め立てや海洋投棄などにより処理されているのが現状である(非特許文献2)。
【0003】
しかしながら、赤泥をそのまま埋め立てや海洋投棄などにより処理することは環境汚染の観点からみると好ましくない場合も考えられる。また、有効利用されていない赤泥を資源として有効活用できるならば、環境汚染の防止の観点からも資源の再利用の観点からも望ましいと思われる。
【0004】
ところで、融点が119℃と低く、常温では固体で化学的にも安定している硫黄を産業廃棄物と結合させることにより産業廃棄物を土木・建築用資材として再利用する試みが提案されている(例えば、特許文献1)。この方法は、硫黄を150℃程度の高温で溶融して溶融硫黄で産業廃棄物を被覆し、得られる溶融物を冷却することによって硫黄固化体を製造するものであり、硫黄を産業廃棄物の結合材および産業廃棄物に含まれる重金属の溶出封鎖剤として用いている。この時用いられる硫黄としては、例えば、石油精製時の脱硫工程などで副産物として得られる溶融硫黄を利用する。但し、硫黄は、引火点が207℃と低く着火性物質であるため石油精製工場に設置された専用タンク内に溶融状態で貯蔵されている。そのため、上記の方法により硫黄固化体を製造する装置は、石油精製工場内などに設置されることになる。
【非特許文献1】杉山:軽金属,10(5),311(1960)
【非特許文献2】金原幹夫:工業と製品,No58,P.42−46
【特許文献1】特許第1319603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記の方法により赤泥を硫黄と結合して硫黄固化体を製造して再利用することが考えられるが、赤泥を含む硫黄固化体を製造する場合には、以下の問題がある。例えば、赤泥は各地で発生するため、石油精製工場に設置する代わりに赤泥の発生場所に硫黄固化体の製造装置を設置した方が便利な場合もある。このような場合には、硫黄を石油精製工場から各地に輸送しなければならないが、従来行われている硫黄の輸送方法は、溶融硫黄を特別な輸送方法、例えば、専用タンカーや専用タンク車輌などによって高温に貯蔵した状態でのみ行う方法に限られている。そのため輸送コストがかさみ、その取り扱いも面倒であるので、各地に簡単に輸送できるという訳にはいかないという制約がある。
【0006】
また、上記の方法により赤泥を含む硫黄固化体を製造する場合には、以下に示す製造上の問題の問題が発生する。上記の方法では、予め十分に加熱した産業廃棄物を混合し、次に加熱した産業廃棄物を溶融硫黄と接触させて溶融硫黄によって産業廃棄物が被覆されるように混練し、この混練物を所定形状に成形してから冷却して硫黄固化体を製造する。しかしながら、赤泥は水を45〜55重量%含有するため、上記の方法ではスラリー状の赤泥に溶融硫黄を接触させて混練すると、溶融硫黄は瞬時に固化し赤泥と硫黄との均一な溶融混練物を得ることができないため、均一な硫黄固化体が得られない。
【0007】
また、上記の方法において、予め赤泥を乾燥させてから溶融硫黄と混練することも考えられるが、溶融硫黄を乾燥させた赤泥と混練する際に微細な赤泥成分の微粒子と溶融硫黄との混練が不十分な場合には、溶融硫黄による赤泥の被覆が不十分となり均一な溶融混練物(硫黄固化体)は得られない。そのため溶融硫黄と赤泥との均一な溶融混練物を得るには高温下において十分な混練時間が必要となり、操業時間の増加による装置上の問題や経済的な負担の増加などが発生する。また、上記の方法において、赤泥の予備加熱が不十分な場合や不均一な場合には、混練時に部分的な硫黄の固化が生じる可能性もあり、このような場合には混練処理時間を十分とっても均一な硫黄固化体が得られない場合も考えられる。
【0008】
本発明は、上記説明した従来技術の問題点を解決することを出発点としてなされたものであり、その目的は、赤泥を含む硫黄固化体の製造に適した硫黄粒子(例えば、硫黄スラリーの形態で提供される)を用いてボーキサイトの副生物である赤泥を固化することにより、赤泥を含む硫黄固化体を例えばその製造に適した場所などで容易に製造することができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法は、以下の構成を有する。すなわち、ボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物である赤泥を含む硫黄固化体の製造方法であって、界面活性剤を含む水溶液中に硫黄粒子が分散された硫黄スラリーと、少なくとも赤泥とを常温で混合して混合物を形成する混合物形成工程と、前記混合物を加熱して水分を除去し前記硫黄粒子を溶融して溶融混練物を形成する工程と、前記溶融混練物を冷却固化して赤泥を含む硫黄固化体を生成する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
ここで例えば、前記混合物形成工程では、前記硫黄スラリーと赤泥とを常温で混合して混合物を形成することが好ましい。
【0011】
ここで例えば、前記赤泥を含む硫黄固化体は、赤泥を30〜90重量%含むことが好ましい。
【0012】
ここで例えば、前記赤泥を含む硫黄固化体は、曲げ強度が50〜100kg/cmの範囲であることが好ましい。
【0013】
ここで例えば、前記混合物形成工程では、前記硫黄スラリーと赤泥と補強用骨材とを常温で混合して混合物を形成することが好ましい。
【0014】
ここで例えば、前記赤泥を含む硫黄固化体は、赤泥を10〜50重量%と、硫黄を20〜50重量%と、補強用骨材を30〜70重量%とを含むことが好ましい。
【0015】
ここで例えば、前記赤泥を含む硫黄固化体は、圧縮強度が200〜260kg/cm、曲げ強度90〜120kg/cmの範囲であることが好ましい。
【0016】
ここで例えば、前記補強用骨材が産業廃棄物であることが好ましい。
【0017】
ここで例えば、前記産業廃棄物は、フライアッシュ、銅スラグ、製鋼スラグ、石炭灰および都市ゴミ焼却灰のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0018】
ここで例えば、前記フライアッシュの粒径は100μm以下であり、前記銅スラグの粒径は3mm以下であり、前記製鋼スラグの粒径は10mm以下であることが好ましい。
【0019】
ここで例えば、前記赤泥の見かけ粒径は10〜30μmであることが好ましい。
【0020】
ここで例えば、界面活性剤を含む水溶液をノズルから噴霧する工程と、溶融硫黄をノズルから噴霧する工程と、前記噴霧された溶融硫黄と前記噴霧された水溶液とを接触させることにより前記水溶液中に前記硫黄粒子が分散された硫黄スラリーを形成する工程と、前記硫黄スラリーと赤泥とを常温で混合して混合物を形成する工程と、を更に有することが好ましい。
【0021】
ここで例えば、界面活性剤を含む水溶液を形成する工程と、溶融硫黄をノズルから噴霧する工程と、前記噴霧された溶融硫黄を前記水溶液と接触させて前記水溶液中に硫黄粒子が分散された硫黄スラリーを形成する工程と、前記硫黄スラリーと赤泥とを常温で混合して混合物を形成する工程と、を更に有することが好ましい。
【0022】
ここで例えば、界面活性剤を含む水溶液を形成する工程と、硫黄を粉砕する工程と、前記粉砕された硫黄を前記水溶液と接触させて前記水溶液中に硫黄粒子が分散された硫黄スラリーを形成する工程と、前記硫黄スラリーと赤泥とを常温で混合して混合物を形成する工程と、を更に有することが好ましい。
【0023】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の赤泥を含む硫黄固化体は、以下の構成を有する。すなわち、ボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物である赤泥を含む硫黄固化体であって、30〜90重量%の赤泥と、10〜70重量%の硫黄と、を含むことを特徴とする。
【0024】
ここで例えば、前記赤泥を含む硫黄固化体は、曲げ強度が50〜100kg/cmの範囲であることが好ましい。
【0025】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の赤泥を含む硫黄固化体は、以下の構成を有する。すなわち、ボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物である赤泥を含む硫黄固化体であって、10〜50量%の赤泥と、20〜50重量%の硫黄と、30〜70重量%補強用骨材とを含むことを特徴とする。
【0026】
ここで例えば、前記赤泥を含む硫黄固化体は、圧縮強度が200〜260kg/cm、曲げ強度90〜120kg/cmの範囲であることが好ましい。
【0027】
ここで例えば、前記補強用骨材が産業廃棄物であることが好ましい。
【0028】
ここで例えば、前記産業廃棄物は、フライアッシュ、銅スラグ、製鋼スラグ、石炭灰および都市ゴミ焼却灰のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0029】
ここで例えば、前記フライアッシュの粒径は100μm以下であり、前記銅スラグの粒径は3mm以下であり、前記製鋼スラグの粒径は10mm以下であることが好ましい。
【0030】
ここで例えば、前記赤泥の見かけ粒径は10〜30μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、赤泥を含む硫黄固化体の製造に適した硫黄粒子(例えば、硫黄スラリーの形態で提供される)を用いてボーキサイトの副生物である赤泥を固化することにより、赤泥を含む硫黄固化体を例えばその製造に適した場所などで容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素、数値などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0033】
はじめに、本明細書で使用する用語について説明する。「硫黄スラリー」とは、500μm以下の硫黄粒子が界面活性剤などを含む水溶液中に均一に分散され懸濁状態となっている水溶液のことを指すものとする。また「赤泥」とは、ボーキサイトからアルミナを製造する際に排出される副生物であり、酸化鉄、チタニア、アルミナ、ケイ酸アルミニウム・ナトリウムなどの成分を含み、平均粒径10〜30μm程度のものであり、水分を35〜45重量%含むものである。「赤泥」の化学組成と形態の一例を図6に示す。
【0034】
<赤泥を含む硫黄固化体>
最初に、本実施形態の赤泥を含む硫黄固化体およびその製造方法の概要を説明する。本発明は、ボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物として排出される「赤泥」(酸化鉄、チタニア、アルミナ、ケイ酸アルミニウム・ナトリウム等を含む)をそのまま埋め立てや海洋投棄した場合に発生する可能性のある環境汚染を未然に防止し、「赤泥」を土木用あるいは建設用等の資材に変換して再利用しようとするものである。すなわち、本発明によれば、「赤泥」を硫黄粒子を含む硫黄スラリーと均一に混合した後、水分を除去し、硫黄を溶融することにより硫黄と赤泥とが均一に結合した赤泥を含む硫黄固化体を安価に製造することができる。またこの赤泥を含む硫黄固化体中に含まれる赤泥の各成分は硫黄と結合して硫黄固化体中に閉じこめられて保持されるため流出しないので、赤泥をそのまま埋め立てや海洋投棄した場合に発生する可能性のある環境汚染を未然に防止することができる。この硫黄固化体の最適な配合比の範囲は、赤泥:硫黄=30〜90:70〜10重量%である。得られた赤泥を含む硫黄固化体の機械的特性は、例えば、圧縮強度が70〜130kg/cm、曲げ強度が50〜100kg/cmである。この機械的特性を普通コンクリートの機械的特性(圧縮強度が200〜400kg/cm、曲げ強度は圧縮強度の1/8〜1/5(25〜80kg/cm)と比較すると、曲げ強度は同等以上である。そのため、この赤泥を含む硫黄固化体は、土木用、建設用等の資材として、例えば、あまり圧縮強度を必要としない海洋の埋め立て材、人工漁礁等で使用することができる。
【0035】
[補強用骨材を含む赤泥を含む硫黄固化体:図1]
また、この赤泥を含む硫黄固化体は、土木用、建設用の資材である普通コンクリートが使用できるような機械的特性を必要とする用途に使用したい場合には、この硫黄固化体中に補強用骨材を添加してその機械的特性を改善すればよい。この補強用骨材には用途に応じた種々のものを使用することができるが、例えば、安価に入手できる産業廃棄物を利用することができる。なお、産業廃棄物には重金属を含む場合もあるが、重金属は硫黄により硫黄固化体中に保持され流出しない。補強用骨材として産業廃棄物である製鋼スラグ、銅スラグ、フライアッシュを使用する場合の機械的特性は、例えば、圧縮強度が200〜260kg/cm、曲げ強度90〜120kg/cmである。この機械的特性を普通コンクリートの機械的特性と比較すると、圧縮強度が同等であり、曲げ強度は普通コンクリートより優れている。従って、補強用骨材で強化した赤泥を含む硫黄固化体は普通コンクリートが使用できる土木用、建設用等の用途、例えば、テトラポットや空港拡張のための海中埋め立て用バルク体等で使用することができる。図1に、普通コンクリート並の機械的特性を有し、土木・建設用等の資材として使用できる赤泥を含む硫黄固化体における赤泥:補強用骨材:硫黄の最適な配合比の範囲を示す。すなわち、この硫黄固化体の最適な配合比の範囲は、赤泥:補強用骨材:硫黄=10〜50:30〜70:20〜60重量%である。
【0036】
<赤泥を含む硫黄固化体の製造:図2>
図2に赤泥を含む硫黄固化体の製造方法の一例を示す。本発明の赤泥を含む硫黄固化体は、硫黄固化体の製造に適した硫黄スラリーを製造し、次に、この硫黄スラリーを用いて硫黄固化体を製造する2段階の工程により製造される。このため、硫黄スラリーの製造100を溶融硫黄の入手しやすい場所で行い、硫黄スラリーを用いた硫黄固化体の製造200を赤泥の発生場所で行うことにより別々に行うことができる。通常、石油精製工場と赤泥の発生場所とは離れているため、硫黄固化体の製造200で使用する硫黄スラリーは、硫黄スラリー製造100で製造された硫黄スラリーをドラム缶に充填し、通常のトラック300などで目的地まで輸送する。このときドラム缶に充填された硫黄スラリーは常温で輸送することができるため、従来のように溶融硫黄を専用タンカーや専用タンク車輌などで輸送する必要が無くなる。そのため輸送コストを低減できるとともに、その取り扱いも簡単になるので、各地に容易に硫黄スラリーを輸送することができる。
【0037】
また、硫黄固化体の製造200では、硫黄固化体を製造する際には、硫黄微粒子が均一に分散されている硫黄スラリー中に赤泥を混ぜるだけで硫黄微粒子と赤泥とを常温で均一に混合することができる。そのため、この均一な混合物から水分を除去し硫黄を溶融させることで均一な赤泥を含む硫黄固化体を容易に製造することができる。
【0038】
以下、上記説明した赤泥を含む硫黄固化体およびその製造方法について、(1)硫黄スラリーの製造、(2)硫黄スラリーの評価、(3)赤泥を含む硫黄固化体の製造、(4)赤泥を含む硫黄固化体の評価の順に詳しく説明し、さらに、実施例を用いて具体的に説明する。
【0039】
<硫黄スラリーの製造>
硫黄スラリーの製造方法としては、1)溶融硫黄を専用の噴射ノズルから噴霧して得られる硫黄粒子(以下、噴霧硫黄と略称する)から硫黄スラリーを製造する方法と、2)溶融硫黄を一旦固化後、粉砕して得られる硫黄粒子(以下、粉砕硫黄と略称する)から硫黄スラリーを製造する方法がある。以下、硫黄スラリーの製造に用いる原料を説明する。
【0040】
[原料]
硫黄スラリーの原料としては、水、硫黄、界面活性剤を使用する。
【0041】
[水]
水は、界面活性剤と混合した水溶液として使用する。この水溶液は、溶融硫黄との混合に適したように専用の噴射ノズルで噴射して微細な液滴、例えば、500μm以下にして使用しても良いし、所定容器中に界面活性剤と混合した水溶液を入れて使用しても良い。
【0042】
[硫黄]
硫黄は、天然で得られるものでも各種工場における脱硫工程により得られるものでもよく、液体の状態でも固体の状態でも使用することができる。例えば、石油精製時の脱硫工程などで副生する溶融硫黄をそのまま使用することができるし、この溶融硫黄を一旦固化してから再度溶融して使用することもできる。硫黄スラリー中に含まれる硫黄は、500μm以下の粒径を有する硫黄粒子として高分散されていることが望ましい。
【0043】
[噴霧硫黄]
溶融硫黄から硫黄粒子を調製する場合には、例えば、専用の噴射ノズルから溶融硫黄を直接噴射し500μm以下の液滴として、この液滴を専用の噴射ノズルで噴射された水溶液の液滴、例えば、100〜200μmと接触させることにより溶融硫黄を固化して硫黄粒子が高分散された硫黄スラリーを形成しても良い。あるいは専用の噴射ノズルによって500μm以下の液滴にされた溶融硫黄を所定容器中に入れられた界面活性剤を含む水溶液と接触させることにより溶融硫黄を固化して硫黄粒子が高分散された硫黄スラリーを形成しても良い。
【0044】
[粉砕硫黄]
また溶融硫黄を上記説明したように噴射ノズルから直接噴射して500μm以下の液滴にする代わりに、溶融硫黄を一旦塊状体(例えば、こぶし大のサイズ位)に固化してから、この固化した塊状体を粉砕することによって500μm以下の微粒子にし、所定容器中に入れられた界面活性剤を含む水溶液と接触させることにより硫黄粒子が高分散された硫黄スラリーを形成しても良い。
【0045】
[硫黄濃度]
硫黄スラリーに含まれる硫黄濃度は、[水+硫黄]の合計量に対し50〜80重量%、好ましくては60〜75重量%がよい。硫黄が50重量%以下の場合、硫黄スラリー粘度が低過ぎて硫黄粒子が沈降し好ましい硫黄スラリーが得られない。また硫黄が80重量%以上の場合にも、硫黄スラリー粘度が高過ぎ、流動性に欠けるため好ましい硫黄スラリーが得られない。例えば、硫黄スラリーを配管で移送する場合、配管内の移送性が著しく低下する。
【0046】
[界面活性剤]
硫黄固化体の製造に必要な硫黄を多量に含む高濃度の硫黄スラリーを製造するためにおよび硫黄粒子の凝集・沈降を防止するために分散剤としての界面活性剤の添加が不可欠である。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤が効果的に作用するので、各々の界面活性剤を単独で用いても、併用して用いてもよい。
【0047】
陰イオン界面活性剤としては、例えば、一般に市販されている高分子陰イオン系のポリスターOM、マリアリムAKM−0531(商品名、日本油脂製)を使用することができ、非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル系のニッサンノニオンOT−221、LT−221、ST−221(商品名、日本油脂製)等を使用することができる。
【0048】
界面活性剤は、[水+硫黄]の合計量に対し、0.01〜1.0重量%好ましくは0.05〜0.5重量%添加するのが好ましい。界面活性剤の添加量が0.01重量%以下では水と硫黄との親和性が不十分で、流動性にすぐれたスラリーが得られにくく、1.0重量%以上になると硫黄スラリーが泡立ち、湿潤の度合が過剰になるため硫黄スラリーの状態が崩壊し易くなる。
【0049】
[噴霧硫黄を使用する硫黄スラリーの製造:図3,4]
図3に一例を示す硫黄スラリー製造装置を用いて、溶融硫黄を専用の噴射ノズルから噴霧して硫黄スラリーの製造方法について図3,4を参照しながら説明する。図3の硫黄スラリー製造装置では、硫黄投入口19から硫黄供給部11に供給された固体の硫黄を加熱ヒータ12で溶融して圧送用エアシリンダー13を用いて硫黄噴霧ノズル14から500μm以下に微粒化された溶融硫黄3を噴霧させる(噴霧工程6)。
【0050】
一方、貯蔵タンク15からダイヤフラムポンプ16を用いて分散剤1(界面活性剤)を含む水2を水用スプレーノズル17に供給し、500μm以下、例えば、100〜200μmに微粒化された水滴を噴霧する(噴霧工程5)。水用スプレーノズル17および硫黄噴霧ノズル14として、例えば、充円錐ノズルあるいは充角錐ノズル((株)イケウチ製)などを用いることができる。各ノズル径は、例えば、3.5mmφであり、各ノズル穴径は、例えば、1.0mmφである。硫黄噴霧ノズル14および水用スプレーノズル17からの噴射量、噴射圧力は任意に設定することができるが、例えば、溶融硫黄の噴射量は、8〜10L/分、分散剤を含む水の噴射量は1〜2L/分であり、噴射圧力は溶融硫黄が2〜4kg/cm、水が2〜3.5kg/cmである。
【0051】
次に、噴霧された水溶液と溶融硫黄とを硫黄スラリー製造容器中で接触させることにより、溶融硫黄は噴霧された水溶液で冷却され固化して硫黄スラリー7が形成される。ここで、硫黄スラリー製造容器中の硫黄スラリーと接触する部分は、テフロン(登録商標)加工されていることが好ましい。
【0052】
なお上記説明した硫黄スラリーの製造は一例であり、例えば、界面活性剤を含む水を噴射する代わりに硫黄スラリー製造容器中に入れて撹拌し、この攪拌中の界面活性剤を含む水の中に溶融硫黄を噴射することにより硫黄スラリーを製造してもよい。
【0053】
得られる硫黄スラリー中に含まれる硫黄粒子の粒径は500μm以下で、硫黄濃度は、[水+硫黄]の合計量に対し50〜80重量%、好ましくては60〜75重量%含まれる。また界面活性剤は、[水+硫黄]の合計量に対し、0.01〜1.0重量%好ましくは0.05〜0.5重量%含まれる。
【0054】
[粉砕硫黄を使用する硫黄スラリーの製造:図5]
次に、図5に示す硫黄スラリーの製造方法を用いて、溶融硫黄を一旦固化後、粉砕して得られる硫黄粒子から硫黄スラリーを製造する方法について説明する。石油精製時の脱硫工程などで副生する溶融硫黄3をこぶし大程度の塊状サイズに固化し、この塊状体を採取する(固化工程104)。次に、採取した塊状体をクラッシャー(例えば、マキノ式ハンマークラッシャー、EE−300−3.7(槇野産業(株))にて、数mmの大きさまで粉砕し(粗粉砕工程105)、さらに、粉砕機(例えば、マキノ式粉砕機、DD−2−3.7(槇野産業(株))にて、500μm以下の粒径まで粉砕する(微粉砕工程106)。一方、分散剤1と水2とは、分散剤1が所定濃度となるように混合されて水溶液を形成したのち(混合工程4)、この水溶液は、例えば、図3で説明したような硫黄スラリー製造容器18内に所定量入れられ撹拌混合される。次に、撹拌混合されている水溶液中に500μm以下の粒径まで粉砕された硫黄粒子を所定量添加するることにより硫黄スラリー107が形成される。なお、得られる硫黄スラリー中に含まれる硫黄粒子の粒径は500μm以下で、硫黄濃度は、[水+硫黄]の合計量に対し50〜80重量%、好ましくては60〜75重量%含まれる。また界面活性剤は、[水+硫黄]の合計量に対し、0.01〜1.0重量%好ましくは0.05〜0.5重量%含まれる。
【0055】
<硫黄スラリーの評価>
次に、上記製造方法で製造した硫黄スラリーの性能評価について説明する。硫黄スラリーの性能は、1)固液の分離評価試験、2)泡立ち状態評価試験、3)流動性評価試験を行い、それぞれの性能を評価するとともに、さらに総合評価として3つの評価試験に合格したものを硫黄固化体の製造に適した硫黄スラリーとした。以下各試験方法とその評価基準を示す。
【0056】
[固液の分離評価試験]
調製した硫黄スラリーを500mlメスシリンダー(JIS R3505)に300ml充填して静置し18時間後および6ヵ月保存後に固液の分離状態を観察して評価した。判断基準を以下に示す。
【0057】
○(分離性良好):固液の分離層が30ml以下
△ :固液の分離層が30〜100ml
×(分離性不良):固液の分離層が100ml以上
[泡立ち状態の評価試験]
調製した硫黄スラリーを500ml全量フラスコ(JIS R3505)に300ml充填しコルクで密栓して30秒間はげしく振動した直後、及び6ヵ月静置状態で保存後泡立ち状態を評価した。判断基準を以下に示す。
【0058】
○(泡立ち性良好):泡が認められない(無泡状態)
△ :全体に泡立ちしているが5分以内に無泡状態になる
×(泡立ち性不良):泡が消失しない
[流動性の評価]
硫黄スラリーを調製し、500mlのポリエチレン容器に充填した直後、及び6ヵ月保存後の粘度をブルックフィールド(Brook field)形回転粘度計による方法(JIS K7117-1)で回転数を6rpmと60rpmで測定し、下式で求められるTI値(チキソトロピーインデックス)を流動性の尺度として評価した。
【0059】
TI値=低回転の時の粘度(6rpm)/高回転の時の粘度(60rpm)
○(流動性良好):TI値5以下(ニュートン流体)
×(流動性不良):TI値5以上(非ニュートン流体、チキソトロピー状)
<赤泥を含む硫黄固化体の製造>
次に、赤泥を含む硫黄固化体の製造方法について説明する。
【0060】
[原料]
赤泥を含む硫黄固化体の原料としては、赤泥、硫黄(硫黄スラリー)、補強骨材を使用する。
【0061】
[赤泥]
図6に、乾燥した赤泥の化学組成とその含有量、X線回折で分析された形態、赤泥の比重、赤泥の見かけ粒径の一例を示す。赤泥は、ボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物として排出されるものであり、酸化鉄、アルミナ、シリカ、チタニア、ケイ酸アルミニウム・ナトリウム等を含み、さらに水分を35〜45重量%含む。通常、ボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物として工場外に排出されるときには、固体濃度600g/l程度のスラリーとして配管輸送される。
【0062】
[硫黄]
上記調製した硫黄スラリー、すなわち、界面活性剤を含む水溶液中に500μm以下の硫黄粒子が高分散したものを用いる。
【0063】
[補強用骨材]
赤泥を含む硫黄固化体には、その機械的特性を向上させるため補強用骨材を添加してもよい。補強用骨材としてはどのようなものでも使用できるが、経済的な観点から安価な産業廃棄物を使用するのが望ましい。産業廃棄物としては、各種の産業廃棄物を使用することができる。例えば、製鉄などの際副生される製鋼スラグ、鉄鋼スラグ、製鋼ダスト、銅スラグなど、都市ゴミ焼却灰、石炭火力力発電設備から排出される石炭灰、焼却灰、フライアッシュなどを単独または複合して使用することができる。その成分、粒径の一例を図7に示す。
【0064】
[硫黄固化体の製造方法:図4,5]
次に、図4または図5に示す硫黄固化体の製造方法を説明する。硫黄固化体の製造に用いる硫黄スラリーとしては、図3に示す硫黄スラリー製造装置で、溶融硫黄を専用の噴射ノズルから噴霧して製造された硫黄スラリー7、あるいは、図5に示すように、溶融硫黄を一旦塊状に固化後、この塊状体を粉砕して得られる硫黄粒子から製造された硫黄スラリー107を用いる。本硫黄固化体は、図4または図5の混合工程101において、輸送されてきた硫黄スラリー7または硫黄スラリー107を硫黄固化体製造容器内に入れ、この硫黄スラリー中に赤泥8または赤泥8および補強用骨材9およびまたは10(所定粒径に調製されたフライアッシュ,製鋼スラグ、銅スラグなどから選択された1あるいは2以上の骨材)を入れ常温で混合する。混合工程101では、硫黄スラリー7または硫黄スラリー107中に均一に高分散された硫黄粒子を用いるので、骨材と硫黄粒子との均一混合を常温で短時間で実現することができる。
【0065】
次に、混練工程102において、この混合物を加熱し水分を除去してから続いて硫黄を溶融させて溶融硫黄と骨材とを混練して均一な溶融混練物を形成する。次に、成形・固化工程103でこの溶融混練物を所定形状に成形後、固化して硫黄固化体を製造する。成形される硫黄固化体の形状や大きさは、使用用途によって変化するものでありどのようなものでも使用することができる。例えば、硫黄固化体は、粒状であってもペレット状であってもよいし、外形寸法の一例を示すと1〜5mmである。
【0066】
<赤泥を含む硫黄固化体の評価>
上記硫黄固化体の製造方法で製造された硫黄固化体を土木・建設用の骨材として使用するためその機械的特性を評価した。機械的特性としては、硫黄固化体の圧縮強度と曲げ強度を用いた。ここで、圧縮強度は、上記製造方法で製造される硫黄固化体を100φ×200mmの円柱体に3個ずつ成形後、JIS A1108の試験方法に準拠して測定した。一方、曲げ強度は、上記製造方法で製造される硫黄固化体を100×100×400mmの角柱体に3個ずつ成形し、JIS A1106の試験方法に準拠して測定した。
【0067】
<その他の実施形態>
なお以上の説明では、硫黄スラリーに赤泥(又は赤泥と補強用骨材)を混合して硫黄粒子と赤泥等との均一な混合物を形成する例を説明した。しかしながら、硫黄粒子と赤泥等との均一な混合物の形成方法は上記の例に限ることはなく、例えば、スラリー状の赤泥中に粉砕した硫黄粒子、界面活性剤および必要に応じて補強用骨材などを添加して硫黄粒子と赤泥等との均一な混合物を形成するようにしてもよい。
【実施例】
【0068】
上記説明した製造方法によって製造される硫黄スラリーを用いた赤泥含む硫黄固化体、又は赤泥と補強用骨材とを含む硫黄固化体の性能について、製造例、製造比較例により具体的に説明する。以下の説明では、1)噴霧硫黄または粉砕硫黄を用いて製造した硫黄スラリーの性能について説明し、2)これらの硫黄スラリーを用いて製造した赤泥含む硫黄固化体、又は赤泥と補強用骨材とを含む硫黄固化体の性能について説明する。
【0069】
<噴霧硫黄で調製した硫黄スラリーの性能>
まず、噴霧硫黄(溶融硫黄を専用の噴射ノズルから噴霧して得られる硫黄粒子)を用いて製造される硫黄スラリーの性能について説明する。図8は、図3の硫黄スラリー製造装置で調製した硫黄スラリー(製造例1〜13)の配合とその性能評価試験結果である。図9は、同様の方法で調製した硫黄スラリー(製造比較例1〜10)の配合とその性能評価試験結果である。
【0070】
[硫黄スラリー(噴霧硫黄)の製造(図8、9)]
図3に示す硫黄スラリー製造装置を用いて、図8の製造例1に示す配合の硫黄スラリーを調製した。すなわち、内容量3Lの表面がテフロン(登録商標)加工された容器内に界面活性剤を含む水1kgをスプレーノズルから噴射しながら、さらに145〜155℃に加熱された溶融硫黄1kgを硫黄噴射ノズルから噴射し、噴霧された硫黄と水滴とを接触させて混合することにより500μm以下の硫黄粒子が分散された硫黄スラリーを調製した。硫黄スラリー中の硫黄濃度は50%、界面活性剤量は0.01%である。界面活性剤としては、マリアリムAKM−0531(陰イオン系)を用いた。次に、製造例1と同様な方法により、図8の製造例2〜13に示す配合の硫黄スラリーを調製した。なお、界面活性剤としては、マリアリムAKM−0531(陰イオン系)および/またはニッサンノニオンOT−221(非イオン系)を用いた。また、製造例1と同様な方法により、図9の製造比較例1〜10に示す配合の硫黄スラリーを調製した。
【0071】
[硫黄スラリー(噴霧硫黄)の性能評価(図8、9)]
次に、製造例1〜13と製造比較例1〜10に示す配合の硫黄スラリー(噴霧硫黄)について、1)固液の分離評価試験、2)泡立ち状態評価試験、3)流動性評価試験を行い、それぞれの試験の評価と総合評価を行った結果を図8,9に示す。
【0072】
[固液の分離評価試験結果]
図8より、製造例1〜13で得られた硫黄スラリーは、6カ月保存後の製造例1,6、11を除いて全て良好であった。なお、製造例1,6、11は、6カ月保存後に低下するもののこれらの硫黄スラリーでは簡単に撹拌するだけで硫黄粒子が再び調製直後のように均一に分散されることから再分散性がよいため実用的に問題ないと判断した。一方、図9より、製造比較例では、製造比較例1〜5、7に示すように、界面活性剤の添加率が0.01%以下あるいは1.0%以上で十分なスラリーにならず、分離が著しいため実用性に欠けると判断した。
【0073】
[泡立ち状態評価試験結果]
図8より、製造例1〜13で得られた硫黄スラリーは、6カ月保存後の評価で全て良好であった。一方、図9より、製造比較例では、製造比較例4、7に示すように、界面活性剤の添加率が1.0%以上となると、6ヵ月経過しても泡が消失せず実用性に欠けると判断した。
【0074】
[流動性評価試験結果]
図8より、製造例1〜13で得られた硫黄スラリーは、TI値が5以下のスラリー状であり全て良好であった。一方、図9より、製造比較例では、製造比較例5、6、8〜10に示すように、界面活性剤の添加率が0.01%以下あるいは1.0%以上にではTI値が5以上でチキソトロピー性が強いペースト状となり全く流動性を示さないので実用性に欠けると判断した。
【0075】
[硫黄スラリー(噴霧硫黄)のまとめ]
以上まとめると、図8.9の総合評価に示すように、製造例1〜13に示す硫黄スラリーの総合評価は、全て良好であり、製造比較例1〜10の総合評価は全て不良であった。更に、図8,9の比較から以下の結果が得られる。
1)製造例1,6,11と製造比較例1,8より、硫黄スラリー中への界面活性剤の添加率が0.01重量%のとき、硫黄濃度は50〜80重量%の範囲が良い。
2)製造例2,8,13と製造比較例2,10より、硫黄スラリー中への界面活性剤の添加率が1重量%のとき、硫黄濃度は50〜80重量%の範囲が良い。
3)製造例1〜3,6〜8、11〜13より、硫黄スラリー中の硫黄濃度は50〜80重量%において、界面活性剤の添加率が0.01〜1重量%の範囲が良い。
以上の1)〜3)の結果より、噴霧硫黄を用いて調製した硫黄スラリーは、硫黄濃度が50〜80重量%、かつ界面活性剤濃度が0.01〜1.0重量%の場合に、優れた硫黄スラリーとしての特性が示されることを見いだした。
【0076】
<粉砕硫黄で調製した硫黄スラリーの性能>
次に、溶融硫黄を一旦固化後、粉砕して得られる硫黄粒子(粉砕硫黄)を用いて製造される硫黄スラリーを用いる場合について説明する。図10に図5に示す粉砕硫黄を用いる硫黄スラリー製造方法で調製した製造例14〜20および同様の方法で調製した製造比較例11〜17の配合とその性能評価試験結果である。
【0077】
[硫黄スラリー(粉砕硫黄)の製造(図10)]
以下に示す方法で、図10の製造例14に示す配合の硫黄スラリー(粉砕硫黄)を調製した。原料の硫黄は、石油精製時の脱硫工程で副生した溶融硫黄をこぶし大の大きさの塊状に固化したものを用いた。この塊状の硫黄を直径210mmの乳鉢に入れ、乳棒を用いて粉砕し40メッシュの金網のふるいを用いて、粒子径が500μm以下の硫黄粒子を調製した。次に、3Lのホーロー容器に所定量の界面活性剤を含む水1kgを入れ、次にこの水溶液中に粉砕した硫黄1kg加えてホモミキサーにより均一に混合することにより硫黄を高分散させることにより、製造例18に示す配合の硫黄スラリー(粉砕硫黄)を調製した。硫黄スラリー中の硫黄濃度は50%、界面活性剤量は0.01%である。界面活性剤としては、ニッサンノニオンOT−221(非イオン系)を用いた。次に、製造例1と同様の方法により、図10の製造例19〜24に示す配合の硫黄スラリー(粉砕硫黄)を調製した。なお、界面活性剤としては、マリアリムAKM−0531(陰イオン系)および/またはニッサンノニオンOT−221(非イオン系)を用いた。また製造例14と同様の方法により、図10の製造比較例11〜17に示す配合の硫黄スラリー(粉砕硫黄)を調製した。
【0078】
[硫黄スラリー(粉砕硫黄)の性能評価結果(図10)]
次に、製造例14〜20と製造比較例11〜17に示す配合の硫黄スラリー(粉砕硫黄)について、1)固液の分離評価試験、2)泡立ち状態評価試験、3)流動性評価試験を行い、それぞれの試験の評価と総合評価を行った結果を図10に示す。
【0079】
[固液の分離評価試験結果]
図10より、製造例14〜20で得られた硫黄スラリー(粉砕硫黄)は、6カ月保存後の製造例14を除いて全て良好であった。なお、製造例14は、6カ月保存後に低下するもののこれらの硫黄スラリーでは簡単に撹拌するだけで硫黄粒子が再び調製直後のように均一に分散されることから再分散性がよいため実用的に問題ないと判断した。一方、製造比較例では、製造比較例11〜17の場合、固液分離が著しいため実用性に欠けると判断した。
【0080】
[泡立ち状態評価試験結果]
図10より、製造例14〜20で得られた硫黄スラリー(粉砕硫黄)は、6カ月保存後の評価で全て良好であったが、製造比較例では、製造比較例13に示すように、界面活性剤の添加率が1.0%以上となると、6ヵ月経過しても泡が消失せず実用性に欠けると判断した。
【0081】
[流動性評価試験結果]
図10より、製造例14〜20で得られた硫黄スラリー(粉砕硫黄)は、TI値が5以下のスラリー状であり全て良好であったが、製造比較例では、製造比較例14〜17の場合はTI値が5以上でチキソトロピー性が強いペースト状となり全く流動性を示さないので実用性に欠けると判断した。
【0082】
[硫黄スラリー(粉砕硫黄)のまとめ]
以上まとめると、図10の総合評価に示すように、製造例14〜20に示す硫黄スラリー(粉砕硫黄)の総合評価は、全て良好であり、製造比較例11〜17の総合評価は全て不良であった。更に、図10の比較から以下の結果が得られる。
1)製造例14,19と製造比較例11,16より、硫黄スラリー中への界面活性剤の添加率が0.01重量%のとき、硫黄濃度は50〜75重量%の範囲が良い。
2)製造例15,20と製造比較例12,17より、硫黄スラリー中への界面活性剤の添加率が1重量%のとき、硫黄濃度は50〜80重量%の範囲が良い。
3)製造例14,15,19,20より、硫黄スラリー中の硫黄濃度は50〜80重量%において、界面活性剤の添加率が0.01〜1重量%の範囲が良い。
以上の1)〜3)の結果より、硫黄スラリー(粉砕硫黄)に含まれる硫黄濃度が50〜80重量%、かつ界面活性剤濃度が0.01〜1.0重量%の場合に、優れた硫黄スラリーとしての特性が示されることを見いだした。
【0083】
<硫黄スラリーの性能のまとめ>
噴霧硫黄および粉砕硫黄を用いた硫黄スラリーの性能試験結果をまとめると、噴霧硫黄および粉砕硫黄によらず硫黄の粒子径が500μm以下の硫黄粒子を硫黄濃度として50〜80重量%含み、かつ界面活性剤濃度を0.01〜1.0重量%含む硫黄スラリーは、固液分離を起こさず流動性がよい優れた硫黄スラリーとなることをを見いだした。従って、上記条件を満たす硫黄スラリーを調製する場合、噴霧硫黄を用いても粉砕硫黄を用いてもその性能に差異はない。
【0084】
<赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄)の製造>
[赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄)の製造(図11)]
次に、図3に示す硫黄スラリー製造装置を用いて、図11の実施例1に示す配合の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄)を調製した。すなわち、実施例1に示す配合の硫黄固化体の調製では、図8の製造例9に示される配合(スラリー中の硫黄濃度75重量%)の硫黄スラリーを表面がテフロン(登録商標)加工された容器に所定量13.3重量%(硫黄のみ10重量%)入れ、続いて、赤泥(赤泥中の赤泥固形分60重量%)として150重量%(赤泥固形分90重量%)入れて常温にて混練して均一に混合する。次に、容器を100℃まで加温して水分を蒸発させてから、さらに150℃まで容器を昇温して硫黄を溶融させながら混練し、得られる均一の混練物を型枠に注ぎ込み、放冷することにより赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄)を成形した。実施例1と同様の方法により、製造例9に示される配合の硫黄スラリーを用いて図11の実施例2〜7および比較例1、2に示す配合の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄)を調製した。
【0085】
[赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄)の性能(図11)]
実施例1〜7および比較例1、2に示す赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄)の機械的特性として、圧縮強度と曲げ強度を測定した結果を図11に示す。実施例1〜7の赤泥を含む硫黄固化体の機械的特性は、圧縮強度が75〜113kg/cm、曲げ強度が55〜88kg/cmであり、比較例1、2の圧縮強度が66〜71kg/cm、曲げ強度が29〜38kg/cmである。図11には、この機械的特性を普通コンクリートの機械的特性(圧縮強度が200〜400kg/cm、曲げ強度は圧縮強度の1/8〜1/5(25〜80kg/cm)と比較すると、曲げ強度は同等以上(図中に○で表示)である。従って、実施例1〜7に示す赤泥を含む硫黄固化体は、普通コンクリート並の圧縮強度を要求される土木用、建設用等の用途には使用できないが、あまり高い圧縮強度を要求されない用途、例えば、海洋の埋め立て材、人工漁礁等では使用することができる。
【0086】
[赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄+補強用骨材)の製造(図12,13)]
次に、図3に示す硫黄スラリー製造装置を用いて、硫黄スラリー(噴霧硫黄)を調製し、図12の実施例12に示す配合の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄+補強用骨材)を調製した。すなわち、実施例12に示す配合の硫黄固化体の調製では、図8の製造例9に示される配合(スラリー中の硫黄濃度75重量%)の硫黄スラリー(噴霧硫黄)を表面がテフロン(登録商標)加工された容器に所定量53.3重量%(硫黄のみ40重量%)入れ、続いて、赤泥(赤泥中の赤泥固形分60重量%)として50.0重量%(赤泥固形分30.0重量%)入れ、さらに補強用骨材としてフライアッシュ30.0重量%入れて常温にて混練して均一に混合する。なお、補強用骨材として銅スラグを使用する場合は、製銅の際副生する銅スラグの炉外加工水砕(3mm以下)を使用し、製鋼スラグを使用する場合は、鉄鋼スラグは、製鉄の際副生する製鋼スラグの炉外加工水砕(2mm以下)を使用した。次に、容器を100℃まで加温して水分を蒸発させてから、さらに150℃まで容器を昇温して硫黄を溶融させながら混練し、得られる均一の混練物を型枠に注ぎ込み、放冷することにより硫黄固化体を成形した。実施例12と同様な方法により、製造例9に示される配合の硫黄スラリーを用いて図12,13の実施例14,16、18,23に示す配合の硫黄固化体を調製した。また、製造例9に示される配合の硫黄スラリーを用いて図14の比較例12、14,16に示す配合の硫黄固化体を調製した。
【0087】
次に、製造例18の粉砕硫黄スラリー(粉砕硫黄)を用い、図5に示す硫黄固化体の製造方法に従い、図12の実施例11に示す配合の硫黄固化体(赤泥+硫黄+補強用骨材)を調製した。すなわち、実施例11に示す配合の硫黄固化体の調製では、製造例18に示される配合(スラリー中の硫黄濃度75重量%)の硫黄スラリーを表面がテフロン(登録商標)加工された容器に所定量26.7重量%(硫黄のみ20重量%)入れ、続いて、赤泥(赤泥中の赤泥固形分60重量%)として83.4重量%(赤泥固形分50重量%)いれ、さらに補強用骨材として製鋼スラグ30重量%入れて常温にて混練して均一に混合する。なお補強用骨材として銅スラグを使用する場合は、製銅の際副生する銅スラグの炉外加工水砕(3mm以下)を使用し、石炭灰を使用する場合は、石炭火力発電所で石炭を燃焼した時に回収されたフライアッシュ(100μm以下)を使用した。次に、容器を100℃まで加温して水分を蒸発させてから、さらに150℃まで容器を昇温して硫黄を溶融させながら混練し、得られる均一の混練物を型枠に注ぎ込み、放冷することにより硫黄固化体を成形した。実施例11と同様な方法により、製造例18に示される配合の硫黄スラリー(粉砕硫黄)を用いて図12,13の実施例13,15,17,19〜22に示す配合の硫黄固化体を調製した。
【0088】
[赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄+補強用骨材)の性能(図12〜14)]
実施例11〜23および比較例11〜16に示す赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄)の機械的特性として、圧縮強度と曲げ強度を測定した結果を図12〜14に示す。すなわち、図12,13より実施例11〜23の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄+補強用骨材)の機械的特性は、圧縮強度が201〜240kg/cm、曲げ強度が92〜116kg/cmである。この機械的特性を普通コンクリートの機械的特性(圧縮強度が200〜400kg/cm、曲げ強度は圧縮強度の1/8〜1/5(25〜80kg/cm)と比較すると、補強用骨材で強化した赤泥を含む硫黄固化体の圧縮強度は普通コンクリートと同等であり、曲げ強度は普通コンクリートより高い。
【0089】
一方、図14より比較例11〜16の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄+補強用骨材)の機械的特性は、圧縮強度が86〜160kg/cm、曲げ強度が53〜78kg/cmである。この機械的特性を普通コンクリートの機械的特性と比較した場合、比較例11〜16の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄+補強用骨材)の曲げ強度は普通コンクリートと同等(図中に○で表示)であるが、圧縮強度は劣る(図中に×で表示)。
【0090】
そこで、実施例11〜23と比較例11〜16の比較から、普通コンクリートと同等の圧縮強度と、普通コンクリートより大きな曲げ強度を有する赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+硫黄+補強用骨材)の赤泥:補強用骨材:硫黄の配合比は、以下の範囲となる。
【0091】
すなわち、硫黄20重量%の場合、赤泥10〜50重量%、補強用骨材30〜70重量%であり、硫黄30重量%の場合、赤泥10〜40重量%、補強用骨材30〜60重量%であり、硫黄40重量%の場合、赤泥10〜30重量%、補強用骨材30〜50重量%であり、硫黄50重量%の場合、赤泥10〜20重量%、補強用骨材30〜40重量%であり、硫黄60重量%の場合、赤泥10重量%、補強用骨材30重量%である。図1に、普通コンクリートと同程度以上の機械的特性を有し、土木・建設用等の資材として使用できる赤泥を含む硫黄固化体における赤泥:補強用骨材:硫黄の最適な配合比の範囲を示す。すなわち、赤泥と補強用骨材とを含む硫黄固化体の最適な配合比の範囲は、赤泥:補強用骨材:硫黄=10〜50:30〜70:20〜60重量%である。
【0092】
従って、補強用骨材で強化した赤泥を含む硫黄固化体は普通コンクリートが使用できる土木用、建設用等の用途、例えば、テトラポットや空港拡張のための海中埋め立て用バルク体等で使用することができる。
【0093】
[まとめ]
以上説明したように、噴霧硫黄または粉砕硫黄を用いて製造した硫黄スラリーを用いて製造される赤泥を含む硫黄固化体は、以下の利点を有する。すなわち、
(1)500μm以下の硫黄粒子が高分散した硫黄スラリーの製造方法として、溶融硫黄を噴射ノズルから直接噴霧して硫黄粒子を生成する方法や溶融硫黄を一旦固化してから微粉砕して硫黄粒子を得る方法など種々の製造方法を利用することができる。この硫黄スラリーは、ドラム缶詰にすることにより、常温でトラックなどの通常の交通手段を用いて、各地の赤泥の発生場所等に簡単に輸送できるようになり、赤泥を含む硫黄固化体の製造場所を広域化することができる。また、溶融硫黄を専用タンク車輌などによって高温に貯蔵した状態で輸送する場合に比べ、輸送上の安全管理が容易になり、輸送コストを低減することもできる。
(2)上記の方法で製造した硫黄スラリーを用いると、赤泥と硫黄とを常温で簡単に均一に混合できるため赤泥と硫黄とが均一に結合した硫黄固化体を容易に製造できる。この硫黄固化体における赤泥:硫黄の最適な配合比の範囲は、赤泥:硫黄=30〜90:10〜70重量%である。
(3)また赤泥を含む硫黄固化体を補強用骨材で強化することによりに普通コンクリート並の機械的特性を有する土木・建設用等の資材を製造できる。この硫黄固化体における赤泥:補強用骨材:硫黄の最適な配合比の範囲は、赤泥:補強用骨材:硫黄=10〜50:30〜70:20〜60重量%である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】赤泥を含む硫黄固化体における赤泥:補強用骨材:硫黄の最適な配合比の範囲を示す図である。
【図2】赤泥を含む硫黄固化体の製造方法の一例を説明する図である。
【図3】本発明の硫黄スラリー製造装置(噴霧硫黄)の一例を示す図である。
【図4】硫黄スラリー(噴霧硫黄)を用いた赤泥を含む硫黄固化体の製造方法の一例を示す図である。
【図5】硫黄スラリー(粉砕硫黄)を用いた赤泥を含む硫黄固化体の製造方法の一例を示す図である。
【図6】乾燥した赤泥の化学組成とその含有量、X線回折で分析された形態、赤泥の比重、赤泥の見かけ粒径の一例を示す図である。
【図7】補強用骨材の一例を示す図である。
【図8】製造例の硫黄スラリー(噴霧硫黄)の配合および性能試験結果を示す図である。
【図9】製造比較例の硫黄スラリー(噴霧硫黄)の配合および性能試験結果を示す図である。
【図10】製造例および製造比較例の硫黄スラリー(粉砕硫黄)の配合および性能試験結果を示す図である。
【図11】本発明の実施例および比較例の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥のみ)の配合および機械的特性を示す図である。
【図12】本発明の実施例11〜17の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+補強用骨材)の配合および機械的特性を示す図である。
【図13】本発明の実施例18〜23の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+補強用骨材)の配合および機械的特性を示す図である。
【図14】比較例の赤泥を含む硫黄固化体(赤泥+補強用骨材)の配合および機械的特性を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 分散剤
2 水
3 溶融硫黄
4 混合工程
5 噴霧工程
6 噴霧工程
7 硫黄スラリー
8 赤泥
9 補強用骨材
10 補強用骨材
11 硫黄供給部
12 加熱ヒータ
13 圧送用エアシリンダー
14 硫黄噴射ノズル
15 貯蔵タンク
16 ダイヤフラムポンプ
17 水用スプレーノズル
18 硫黄スラリー製造容器
19 硫黄投入口
101 混合工程
102 混練工程(水分除去、硫黄溶融)
103 成形・固化工程(硫黄固化体)
100 硫黄スラリーの製造(石油精製工場等)
104 塊状に固化工程
105 粉砕工程
106 微粉砕工程
107 硫黄スラリー
200 硫黄スラリーを用いた赤泥を含む硫黄固化体の製造
300 トラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物である赤泥を含む硫黄固化体の製造方法であって、
界面活性剤を含む水溶液中に硫黄粒子が分散された硫黄スラリーと、少なくとも赤泥とを常温で混合して混合物を形成する混合物形成工程と、
前記混合物を加熱して水分を除去し前記硫黄粒子を溶融して溶融混練物を形成する工程と、
前記溶融混練物を冷却固化して赤泥を含む硫黄固化体を生成する工程と、
を有することを特徴とする赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項2】
前記混合物形成工程では、前記硫黄スラリーと赤泥とを常温で混合して混合物を形成することを特徴とする請求項1に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項3】
前記赤泥を含む硫黄固化体は、赤泥を30〜90重量%含むことを特徴とする請求項2に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項4】
前記赤泥を含む硫黄固化体は、曲げ強度が50〜100kg/cmの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項5】
前記混合物形成工程では、前記硫黄スラリーと赤泥と補強用骨材とを常温で混合して混合物を形成することを特徴とする請求項1に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項6】
前記赤泥を含む硫黄固化体は、赤泥を10〜50重量%と、硫黄を20〜50重量%と、補強用骨材を30〜70重量%とを含むことを特徴とする請求項5に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項7】
前記赤泥を含む硫黄固化体は、圧縮強度が200〜260kg/cm、曲げ強度90〜120kg/cmの範囲であることを特徴とする請求項6に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項8】
前記補強用骨材が産業廃棄物であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項9】
前記産業廃棄物は、フライアッシュ、銅スラグ、製鋼スラグ、石炭灰および都市ゴミ焼却灰のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項10】
前記フライアッシュの粒径は100μm以下であり、前記銅スラグの粒径は3mm以下であり、前記製鋼スラグの粒径は10mm以下であることを特徴とする請求項9に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項11】
前記赤泥の見かけ粒径は10〜30μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項12】
界面活性剤を含む水溶液をノズルから噴霧する工程と、
溶融硫黄をノズルから噴霧する工程と、
前記噴霧された溶融硫黄と前記噴霧された水溶液とを接触させることにより前記水溶液中に前記硫黄粒子が分散された硫黄スラリーを形成する工程と、
前記硫黄スラリーと赤泥とを常温で混合して混合物を形成する工程と、
を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項13】
界面活性剤を含む水溶液を形成する工程と、
溶融硫黄をノズルから噴霧する工程と、
前記噴霧された溶融硫黄を前記水溶液と接触させて前記水溶液中に硫黄粒子が分散された硫黄スラリーを形成する工程と、
前記硫黄スラリーと赤泥とを常温で混合して混合物を形成する工程と、
を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項14】
界面活性剤を含む水溶液を形成する工程と、
硫黄を粉砕する工程と、
前記粉砕された硫黄を前記水溶液と接触させて前記水溶液中に硫黄粒子が分散された硫黄スラリーを形成する工程と、
前記硫黄スラリーと赤泥とを常温で混合して混合物を形成する工程と、
を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の赤泥を含む硫黄固化体の製造方法。
【請求項15】
ボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物である赤泥を含む硫黄固化体であって、
30〜90重量%の赤泥と、
10〜70重量%の硫黄と、
を含むことを特徴とする赤泥を含む硫黄固化体。
【請求項16】
前記赤泥を含む硫黄固化体は、曲げ強度が50〜100kg/cmの範囲であることを特徴とする請求項15に記載の赤泥を含む硫黄固化体。
【請求項17】
ボーキサイトからアルミナを製造する際の副生物である赤泥を含む硫黄固化体であって、
10〜50量%の赤泥と、
20〜50重量%の硫黄と、
30〜70重量%補強用骨材と
を含むことを特徴とする赤泥を含む硫黄固化体。
【請求項18】
前記赤泥を含む硫黄固化体は、圧縮強度が200〜260kg/cm、曲げ強度90〜120kg/cmの範囲であることを特徴とする請求項17に記載の赤泥を含む硫黄固化体。
【請求項19】
前記補強用骨材が産業廃棄物であることを特徴とする請求項17に記載の赤泥を含む硫黄固化体。
【請求項20】
前記産業廃棄物は、フライアッシュ、銅スラグ、製鋼スラグ、石炭灰および都市ゴミ焼却灰のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項19に記載の赤泥を含む硫黄固化体。
【請求項21】
前記フライアッシュの粒径は100μm以下であり、前記銅スラグの粒径は3mm以下であり、前記製鋼スラグの粒径は10mm以下であることを特徴とする請求項20に記載の赤泥を含む硫黄固化体。
【請求項22】
前記赤泥の見かけ粒径は10〜30μmであることを特徴とする請求項15乃至請求項21のいずれか1項に記載の赤泥を含む硫黄固化体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−272061(P2006−272061A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91750(P2005−91750)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(503228583)株式会社ジーン (1)
【Fターム(参考)】