説明

走行支援装置

【課題】路側機が設置されていない交差点であっても、その交差点での走行を支援するための情報を提供する。
【解決手段】走行支援装置10は、擬似車両分布データ保有処理部22によって、交差点から所定範囲内の道路上に対応付けて設定された基準位置、及び、当該基準位置に対応付けて設定された基準進行方向を記憶し、自車両現在位置検出処理部23によって、自車両の現在位置を検出し、自車両進行方向検出処理部25によって、自車両の進行方向を検出し、自車両の現在位置が基準位置に近付き、かつ、自車両の進行方向が基準進行方向に近似している場合に、制御部11によって、交差点に関する運転支援を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全な走行を支援するための情報を提供する走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば交差点の手前において、その交差点を横断する横断者の有無など当該交差点を安全に走行するために有用な情報を車両の運転者に提供するサービスが考えられている。このような情報は、例えば特許文献1に開示されているように、交差点に設置された路側機と車両に搭載された車載機との間の通信、いわゆる路車間通信によって提供されている。
しかしながら、このような路車間通信を行うための路側機が設置されている交差点は、実際にはまだ少なく、従って、現状では、上記のようなサービスを提供できる交差点が限られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−128690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、路側機が設置されていない交差点であっても、その交差点での走行を支援するための情報を提供することができる走行支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明によれば、走行支援装置は、記憶手段によって、交差点から所定範囲内の道路上に対応付けて設定された基準位置、及び、当該基準位置に対応付けて設定された基準進行方向を記憶し、位置検出手段によって、自車両の現在位置を検出し、進行方向検出手段によって、自車両の進行方向を検出し、自車両の現在位置が基準位置に近付き、かつ、自車両の進行方向が基準進行方向に近似している場合に、制御手段によって、交差点に関する運転支援を実行する。
この構成によれば、自車両の現在位置が基準位置に近付き、かつ、自車両の進行方向が基準進行方向に近似したことをトリガとして、交差点に関する運転支援動作が実行されるようになる。これにより、路側機が設置されていない交差点であっても、その交差点での安全な走行を支援するための情報を提供することができるようになる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、交差点に関する運転支援として、例えば、交差点を横断する横断者への注意を促す動作や、これから走行する交差点が事故多発地点であること知らせる動作など、交差点に関する情報を出力する動作が実行されることを具体的に特定したものである。
【0007】
請求項3に記載した発明によれば、記憶手段は、外部の情報提供源から与えられた基準位置および基準進行方向を記憶して保有する。この外部の情報提供源としては、例えば警察や国土交通省などが保有する公共の情報提供サーバが考えられる。これにより、各車両に搭載された走行支援装置は、それぞれ、公共の情報提供源から正確な基準位置および基準進行方向を得ることができ、より正確な安全走行支援を実現することができる。
【0008】
請求項4に記載した発明によれば、レーン特定手段は、記憶手段が記憶している基準位置に基づいて、当該基準位置が設定された道路のレーンを特定する。これにより、基準位置を極力精度良く特定できるようになり、この基準位置に車両の現在位置が近付いたことを条件の1つとして実行される交差点に関する運転支援動作も極力精度良く実行できるようになる。従って、より安全な安全走行支援を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る走行支援装置を概略的に示す機能ブロック図
【図2】擬似車両分布データの一例を示す図
【図3】地図データ上に擬似車両を配置した状態の一例を示す図
【図4】車両管理データベースの内容の一例を示す図
【図5】車両分布地図の一例を示す図
【図6】走行支援動作の内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、走行支援装置10は、制御部11、位置検出モジュール12、情報通信モジュール13、記憶部14、出力部15、操作入力部16などを備えている。
制御部11は、特許請求の範囲に記載した制御手段に相当するものであり、図示しないCPU、RAM、ROMおよびI/Oバスなどを有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御部11は、ROMあるいは記憶部14などに記憶されているコンピュータプログラムに従って、情報通信動作や情報管理動作、ならびに、後述する衝突警告動作や注意喚起動作など走行支援装置10の動作全般を制御する。
【0011】
また、この制御部11は、コンピュータプログラムを実行することにより、衝突警告動作実行処理部21、擬似車両分布データ保有処理部22、自車両現在位置検出処理部23、レーン特定処理部24、自車両進行方向検出処理部25をソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、擬似車両分布データ保有処理部22は、特許請求の範囲に記載した記憶手段に相当し、自車両現在位置検出処理部23は、特許請求の範囲に記載した位置検出手段に相当し、レーン特定処理部24は、特許請求の範囲に記載したレーン特定手段に相当し、自車両進行方向検出処理部25は、特許請求の範囲に記載した進行方向検出手段に相当する。
【0012】
位置検出モジュール12は、走行支援装置10を搭載した車両、つまり、自車両の現在位置および自車両の進行方向を検出する。この位置検出モジュール12は、方位センサ12a、ジャイロセンサ12b、距離センサ12cおよびGPS受信機12d(GPS:Global Positioning System)などを有している。方位センサ12aは、車両の方位を検出する。ジャイロセンサ12bは、車両の回転角度を検出する。距離センサ12cは、車両の走行距離を検出する。GPS受信機12dは、図示しないGPS衛星から送信される電波を受信し、車両の現在位置を測位する。
【0013】
情報通信モジュール13は、広域通信網31を介して、外部の情報提供源である例えば警察や国土交通省などが保有する公共の情報提供サーバ41から各種の情報を受信する。この情報通信モジュール13が外部の情報提供サーバ41から受信する情報には、擬似的な他車両を擬似車両として分布させた擬似車両分布データD1が含まれる。この擬似車両分布データD1については後述する。なお、情報提供サーバ41は、常に最新の擬似車両分布データD1を配信するようになっている。
【0014】
また、この情報通信モジュール13は、図示しない他車両が備える走行支援装置10とも情報通信可能に構成されており、自車両の現在位置を示す現在位置情報および自車両の進行方向を示す進行方向情報を送信可能であるとともに、他車両の走行支援装置10が送信した当該他車両の現在位置を示す現在位置情報および当該他車両の進行方向を示す進行方向情報を受信可能に構成されている。
【0015】
記憶部14は、例えばハードディスクドライブやメモリカードなどの記憶媒体で構成されており、上記した擬似車両分布データD1や後述する車両管理データベースD2など各種の情報を記憶する記憶領域を有している。
出力部15は、この場合、例えばスピーカなどで構成された音声出力部15a、および、例えば液晶表示器や有機EL表示器などで構成された表示出力部15bを備える。
操作入力部16は、表示出力部15bの画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチ、あるいは、表示出力部15bの画面に設けられているタッチパネルスイッチなど各種のスイッチ群から構成されている。ユーザは、操作入力部16の各スイッチを用いて各種の設定操作が可能である。
【0016】
衝突警告動作実行処理部21は、自車両が他車両に近付いた場合、つまり、他車両と衝突しそうな場合に自車両に対して所定の衝突警告動作を実行する。なお、自車両が他車両に近付いたことの判定、即ち、衝突判定は、例えば、後述するようにして自車両現在位置検出処理部23によって検出された自車両の現在位置と、情報通信モジュール13を介して他車両から受信した当該他車両の現在位置との間の距離が所定距離以下となり、且つ、自車両の進行方向が他車両の進行方向に近似しているか否か、つまり、自車両の進行方向が他車両に向かっているか否かあるいは他車両の進行方向が自車両に向かっているか否かに基づいて判定することができる。また、衝突警告動作実行処理部21は、所定の衝突警告動作として、例えば「この先、車両有り、追突注意」といったメッセージを、出力部15の音声出力部15aを介して音声出力する動作、および/または、出力部15の表示出力部15bを介して表示出力する動作を実行する。また、この衝突警告動作実行処理部21は、詳しくは後述するようにして、この衝突警告動作に代えて自車両の進行道路に関する所定の注意喚起動作を実行することで、交差点に関する運転支援を実行可能に構成されている。
【0017】
擬似車両分布データ保有処理部22は、情報通信モジュール13によって外部の情報提供サーバ41から受信した擬似車両分布データD1を記憶部14などの記憶媒体に保存し保有する。なお、この擬似車両分布データ保有処理部22が保有する擬似車両分布データD1は、情報通信モジュール13を介して最新の擬似車両分布データD1が受信されるたびに更新され、これにより、最新の状態で維持されるようになっている。
自車両現在位置検出処理部23は、位置検出モジュール12による測位情報に基づいて自車両の現在位置を検出する。
レーン特定処理部24は、詳しくは後述するように、擬似車両分布データD1に含まれる擬似車両の分布位置に基づいて、当該疑似車両が存在する道路のレーンを特定する処理を実行する。
【0018】
自車両進行方向検出処理部25は、位置検出モジュール12による検出情報に基づいて自車両の進行方向を検出する。
次に、上記した擬似車両分布データD1について図2を参照して説明する。
図2に示すように、擬似車両分布データD1は、リスト形式のデータとして構成されており、各擬似車両の車両IDに対応付けて、緯度情報、経度情報、進行方向情報、出力メッセージ情報、有効期限情報、確実性レベル情報などが設定されている。車両IDは、例えば、走行支援装置10のMACアドレスやプライベートアドレスを利用して定義してもよいし、仮想的なIDフラグを設定することで定義してもよい。要は、各擬似車両を識別できる情報であれば種々の情報を車両IDとして使用することができる。
【0019】
緯度情報および経度情報は、特許請求の範囲に記載した基準位置に相当する情報であり、対応する擬似車両の位置を示す。ここで、各走行支援装置10に配信するべく外部の情報提供サーバ41にて擬似車両分布データD1を作成する場合には、各擬似車両の緯度情報および経度情報を、例えば交差点などの交通ポイントから所定範囲内の道路上の位置に対応付けて設定する。なお、この所定範囲は、適宜の範囲を設定することができる。
即ち、図3に示すように、地図データ上の例えば道路R上において交差点Kの中央部から所定距離L離れた位置に重ねるようにして擬似車両V1を配置するのである。この場合、所定距離Lは、少なくとも交差点Kに設けられた横断歩道を含む範囲で設定されている。なお、所定距離Lは、横断歩道を含まない範囲で設定してもよい。
【0020】
擬似車両V1の緯度情報および経度情報は、例えば交差点Kを構成する道路が2車線道路や3車線道路など複数車線の道路Rである場合には、その道路Rにおいて擬似車両V1がどの車線に存在しているのか、例えば、擬似車両V1が右折レーンRrに存在しているのか、左折レーンRlに存在しているのか、あるいは、直進レーンRcに存在しているのかなどを特定できるように極力精度良く設定される。なお、図3に示す例では、擬似車両V1は、3車線道路Rの右折レーンRrに位置するように、その緯度情報および経度情報が設定される。上記のレーン特定処理部24は、このように極力精度良く設定された擬似車両V1の分布位置に基づいて、当該疑似車両V1が存在する道路のレーンを特定する。
【0021】
進行方向情報は、特許請求の範囲に記載した基準進行方向に相当する情報であり、各基準位置に設定された各擬似車両が進行する方向を仮想的に設定したものである。この場合、各擬似車両の進行方向は、真北に向かう方向を0°として、この真北に向かう方向を基準として設定される。なお、本実施形態では、実在する自車両の進行方向および他車両の進行方向も、この真北に向かう方向を基準として設定される。
【0022】
出力メッセージ情報は、対応する擬似車両に自車両が近付いた場合に当該自車両に対して出力されるメッセージを設定したものであり、例えば、「この先、右折時、横断者に注意」といった出力メッセージAや、「この先、右折時、事故多発地点」といった出力メッセージBが設定されている。有効期限情報は、対応する擬似車両を擬似車両分布データD1に保持する期限を設定したものである。この有効期限情報は、例えば、秒単位、分単位、時間単位、日単位、週単位、月単位、年単位で設定することができる。
【0023】
確実性レベル情報は、対応する擬似車両の「確実性」のレベルを示すものであり、対応する擬似車両が確実であり信頼できるか否かを示すパラメータである。走行支援装置10の制御部11は、新たに擬似車両分布データD1を受信した場合には、受信前に保有していた擬似車両分布データD1の各擬似車両の確実性レベルと新たに受信した擬似車両分布データD1の各擬似車両の確実性レベルとを比較する。そして、走行支援装置10の制御部11は、その比較処理の結果、より高いレベルの擬似車両が存在する場合には、その擬似車両のデータを最新のデータに更新し、一方、現状のレベルと同等あるいは低いレベルの擬似車両が存在する場合には、その擬似車両のデータを更新することなく現状のまま維持する。
【0024】
走行支援装置10の制御部11は、上記のような擬似車両分布データD1を受信すると、その擬似車両分布データD1を、記憶部14の車両管理データベースD2に格納する。また、走行支援装置10の制御部11は、他車両の走行支援装置10から当該他車両の現在位置を示す現在位置情報および当該他車両の進行方向を示す進行方向情報を受信すると、その情報も実車両分布データD3として記憶部14の車両管理データベースD2に格納する。図4は、擬似車両分布データD1および実車両分布データD3を格納した車両管理データベースD2の内容を示している。即ち、この車両管理データベースD2では、各車両データが擬似車両に係るものであるのか、あるいは、実車両に係るものであるのかを識別するための擬似車両/実車両識別情報が付加されており、擬似車両分布データD1に含まれる車両データと、実在の他車両から受信した車両データとを識別可能な構成となっている。また、実車両に係る出力メッセージ情報には、例えば「この先、車両有り、追突注意」といった出力メッセージCが設定される。
【0025】
図5は、上記の車両管理データベースD2の格納内容を視覚的に表した車両分布地図Mを示しており、この車両分布地図Mには、擬似車両分布データD1に含まれる各擬似車両V1が、それぞれの緯度情報および経度情報よって定められる位置において、それぞれの進行方向情報によって定められる方向に向けてプロットされるとともに、実在の他車両V2が、それぞれの緯度情報および経度情報によって定められる位置において、それぞれの進行方向情報によって定められる方向に向けてプロットされる。なお、図5中、擬似車両V1は破線で示し、実車両V2は実線で示している。また、走行支援装置10の制御部11は、車両管理データベースD2に含まれる擬似車両分布データD1の各車両データに基づいて各擬似車両V1の位置を認識するのであり、各擬似車両V1の位置に対応する交差点などの交通ポイントの位置を認識するものではない。
【0026】
次に、上記した構成の走行支援装置10の動作、つまり、走行支援動作の内容について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
走行支援装置10の制御部11は、外部の他車両の走行支援装置10あるいは情報提供サーバ41から情報を受信したか否かを監視しているとともに(ステップS1)、外部から情報を受信した場合(ステップS1:YES)には、その情報を情報提供サーバ41から受信したのか否かを判定している(ステップS2)。そして、制御部11は、情報提供サーバ41から情報を受信すると(ステップS1:YES、且つ、ステップS2:YES)、その情報を解析して(ステップS3)、擬似車両分布データD1を抽出する(ステップS4)。そして、制御部11は、その抽出した擬似車両分布データD1を車両管理データベースD2に格納する(ステップS5)。
【0027】
一方、制御部11は、他車両の走行支援装置10から情報を受信すると(ステップS1:YES、且つ、ステップS2:NO)、その情報を解析して(ステップS6)、他車両の現在位置情報および進行方向情報を抽出する(ステップS7)。そして、制御部11は、その抽出した他車両の現在位置情報および進行方向情報を実車両分布データD3として車両管理データベースD2に格納する(ステップS8)。
【0028】
このようにして車両管理データベースD2を構築すると、制御部11は、この車両管理データベースD2を参照しながら衝突判定処理を実行する(ステップS9)。この衝突判定処理では、制御部11は、自車両の現在位置および進行方向と、車両管理データベースD2に格納されている擬似車両の配置位置および進行方向、並びに、実在する他車両の現在位置および進行方向とを比較することにより、自車両が擬似車両あるいは他車両に近付いたか否か、つまり、他車両と衝突しそうな状態であるか否かを判断する。なお、自車両が擬似車両あるいは他車両に「衝突しそうな状態」とは、この場合、自車両の現在位置と擬似車両の配置位置、つまり、基準位置との間の距離あるいは自車両の現在位置と他車両の現在位置との間の距離が適宜の距離に設定された所定距離以内となり、しかも、自車両の進行方向が擬似車両の進行方向あるいは実在の他車両の進行方向に近似している状態である。また、進行方向が「近似している状態」は、自車両の進行方向と擬似車両の進行方向、つまり、基準進行方向とが並行している状態、あるいは、対向している状態を含むほか、自車両の進行方向が擬似車両あるいは他車両に向かっている状態、あるいは、擬似車両あるいは他車両の進行方向が自車両に向かっている状態を含む。
【0029】
制御部11は、上記の衝突判定処理の結果、自車両が擬似車両あるいは他車両に衝突しそうでないと判定した場合(ステップS10:NO)には、後述する何れの走行支援動作も実行することなく、この処理を終了する。一方、制御部11は、自車両が擬似車両あるいは他車両に衝突しそうであると判定した場合(ステップS10:YES)には、その衝突しそうな車両、つまり、衝突対象車両が擬似車両であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0030】
制御部11は、衝突対象車両が擬似車両でない場合(ステップS11:NO)には、実車両に対応した走行支援動作として、この場合、衝突警告動作を実行する(ステップS12)。この衝突警告動作では、制御部11は、例えば「この先、車両有り、追突注意」といった出力メッセージCを、出力部15を介して音声出力、および/または、表示出力によって出力する。一方、制御部11は、衝突対象車両が擬似車両である場合(ステップS11:YES)には、擬似車両に対応した走行支援動作として、この場合、注意喚起動作を実行する(ステップS13)。この注意喚起動作では、制御部11は、例えば「この先、右折時、横断者に注意」といった出力メッセージAや、「この先、右折時、事故多発地点」といった出力メッセージBを、出力部15を介して音声出力、および/または、表示出力によって出力する。即ち、制御部11は、この注意喚起動作では、交差点に関する情報を出力する動作を実行することで、交差点に関する運転支援を実行する。
【0031】
以上に説明したように本実施形態によれば、走行支援装置10は、例えば交差点などの交通ポイントの位置に対応して分布する擬似車両を含む擬似車両分布データD1を予め保有しており、自車両がその擬似車両に近付き衝突しそうな状態となったことをトリガとして、所定の衝突警告動作に代えて自車両の進行道路に関する所定の注意喚起動作を実行する。これにより、路側機が設置されていない交差点であっても、その交差点での安全な走行を支援するための情報を提供することができるようになる。また、走行支援に係る情報を取得するに際し、路側機との通信、いわゆる路車間通信を不要とすることができる。
【0032】
また、走行支援装置10は、外部の情報提供源、この場合、例えば警察や国土交通省などが保有する公共の情報提供サーバ41から与えられた擬似車両分布データD1を保有する。これにより、公共の情報提供源から正確な擬似車両分布データを得ることができ、より正確な安全走行支援を実現することができる。
【0033】
また、走行支援装置10は、擬似車両分布データD1に含まれる擬似車両V1の分布位置に基づいて、当該疑似車両V1が存在する道路のレーンを特定可能である。これにより、疑似車両V1の分布位置を極力精度良く特定できるようになり、この疑似車両V1を衝突対象として実行される衝突警告機能を利用した注意喚起動作も極力精度良く実行できるようになる。従って、より安全な安全走行支援を実現することができる。
本実施形態は、自車両が他車両に近付いた場合、つまり、他車両と衝突しそうな場合に所定の衝突警告動作を実行する機能、即ち、衝突警告機能を備えた走行支援装置10において、その衝突警告機能を利用して、安全な走行を支援するための情報を提供可能とした実施形態である。
【0034】
なお、本発明は、上述した一実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
上記の注意喚起動作として、交差点を横断する横断者への注意を促す動作や、これから走行する交差点が事故多発地点であること知らせる動作など、交差点に関する情報を出力する動作を例示したが、注意喚起動作としては、このような交差点に関する運転支援動作に限られるものではなく、その他の動作、例えば、ある地点あるいはその周辺で実施されているイベントに関する情報を出力する動作や、ある地点の天候情報や渋滞情報などを出力する動作など、種々の動作を設定することが可能である。
この場合、情報提供サーバ41は、警察や国土交通省などが保有するサーバに限られるものではなく、例えば、イベントの企画運営者や気象関連機関など種々の情報提供機関が保有するサーバで構成することができる。
【符号の説明】
【0035】
図面中、10は走行支援装置、21は衝突警告動作実行処理部(衝突警告動作実行手段)、22は擬似車両分布データ保有処理部(擬似車両分布データ保有手段)、23は自車両現在位置検出処理部(自車両現在位置検出手段)、24はレーン特定処理部(レーン特定手段)、25は自車両進行方向検出処理部(進行方向検出手段)、41は情報提供サーバ(情報提供源)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点から所定範囲内の道路上に対応付けて設定された基準位置、及び、当該基準位置に対応付けて設定された基準進行方向を記憶する記憶手段と、
自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
自車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、
前記交差点に関する運転支援を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記自車両の現在位置が前記基準位置に近付き、かつ、前記自車両の進行方向が前記基準進行方向に近似している場合に、前記交差点に関する運転支援を実行することを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記交差点に関する運転支援として、前記交差点に関する情報を出力する動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、外部の情報提供源から与えられた前記基準位置および前記基準進行方向を記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記記憶手段が記憶する前記基準位置に基づいて、当該基準位置が設定された道路のレーンを特定するレーン特定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の走行支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88899(P2013−88899A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226717(P2011−226717)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】