説明

走行装置および作業機械

【課題】カバーにより走行モータを確実に保護するとともに、カバーの内側へのアクセスを容易化した下部走行装置を提供する。
【解決手段】走行フレーム12に設けるカバー本体65に保守用の穴部76を設け、穴部76を開閉可能な補強カバー67をカバー本体65に着脱可能に設ける。砕石場などでの油圧ショベルの稼動時に岩石などの突上げがあった際でも、補強カバー67が変形することでカバー本体65への荷重を分散させてカバー本体65の変形を防止して保護し、カバー38が覆う走行モータ18を確実に保護できる。カバー本体65から補強カバー67を取外すことで穴部76を経てリリーフ弁55に容易にアクセスでき、保守点検が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動輪を回転駆動させる流体圧モータを備えた走行装置およびこれを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば油圧ショベルなどの作業機械の走行装置は、長尺状に設けられた走行フレームを備え、この走行フレームの一端部に駆動輪が回転可能に軸支されるとともに、他端部に従動輪が回転自在に軸支され、これら駆動輪と従動輪とに亘って無端状の履帯が走行フレームに巻き掛けられている。
【0003】
そして、走行フレームの一端部の内側には、駆動輪を回転駆動させる油圧モータが取付けられており、この油圧モータは、走行フレームに取付けられたカバーにより覆われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
具体的に、図7および図8に示されるように、履帯1が巻き掛けられた走行フレーム2の一端部には、図示されない油圧モータを収容するモータ収容部4が設けられ、このモータ収容部4には、走行フレーム2の内側に開口した開口部5が設けられ、この開口部5には、この開口部5を閉塞するカバー6が取付けられている。このカバー6は、周囲を多数のボルトにより締め付けられて走行フレーム2に固定されている。
【0005】
さらに、油圧モータには、この油圧モータの内圧を制御して油圧モータの正常な動作を維持するリリーフ弁が設けられている。このリリーフ弁は、油圧モータをモータ収容部4に収容した状態で開口部5側に臨んでいる。
【特許文献1】特開2002−348912号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような走行装置は、作業機械の下側に位置しているため、例えば砕石場などで作業機械を稼動させる際に、岩石などの突上げによりカバー6が変形し、この変形により油圧モータが破損するおそれがある。
【0007】
特に、油圧モータのリリーフ弁が破損すると、油圧モータの正常な動作が容易でなくなるおそれがある。
【0008】
このため、油圧モータを確実に保護するためのカバー6の一層の改善が望まれている。
【0009】
また、油圧モータのリリーフ弁などは、油圧モータの正常な動作を確保するために定期的にメンテナンスすることが望ましいが、上述のような走行装置では、作業者がカバー6の内側にアクセスする際に、油圧モータを覆うカバー6を一旦取外さなければならない。そして、このカバー6は、周囲が多数のボルトにより走行フレーム2に固定されているので、カバー6を取外す際に手間が掛かり、内側へのアクセスが容易でない。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、カバーにより流体圧モータを確実に保護するとともに、カバーの内側へのアクセスを容易化した走行装置およびこれを備えた作業機械を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、開口部を備えた走行フレームと、この走行フレームに回転可能に設けられた駆動輪と、この駆動輪を回転駆動させる流体圧モータと、この流体圧モータを覆って開口部を閉塞するように走行フレームに設けられたカバーとを具備し、カバーが、保守用の穴部を有し、走行フレームに設けられたカバー本体と、このカバー本体に着脱可能に設けられ、この着脱により穴部を開閉可能な補助板とを備えている走行装置であり、流体圧モータを覆って開口部を閉塞するカバーの走行フレームに設けられるカバー本体に保守用の穴部を設け、この穴部を開閉可能な補助板をカバー本体に着脱可能に設けることにより、例えば岩石などの突上げの際でも、補助板が変形することで外力を分散してカバー本体を保護し、流体圧モータを確実に保護するとともに、カバー本体から補助板を取外すことで穴部を経てカバーの内側へ容易にアクセス可能となり、保守点検が容易になる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の走行装置において、流体圧モータが、内圧を制御する圧力制御弁を備え、この圧力制御弁が開口部から臨むように走行フレームに配設され、カバー本体が、圧力制御弁に対向し流体圧モータの外形形状に対応して傾斜状に屈曲された屈曲部を備え、穴部が、屈曲部に設けられているものであり、開口部に臨む流体圧モータの圧力制御弁に対向する屈曲部を流体圧モータの外形形状に対応してカバー本体に傾斜状に屈曲し、この屈曲部に穴部を設けることで、穴部が圧力制御弁に近付き、圧力制御弁へのアクセスが容易になるとともに、屈曲部により小さくなる圧力制御弁とカバーとの隙間を穴部により確保する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の走行装置において、補助板が、屈曲部を跨いでカバー本体に取付けられるものであり、屈曲部を跨いで補助板をカバー本体に取付けることで、補助板に加わった外力を屈曲部に伝えにくくしてカバー本体をより確実に保護する。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の走行装置において、補助板が、ボルトによりカバー本体に着脱されるものであり、補助板をボルトによりカバー本体に着脱可能とすることで、補助板の着脱が容易になる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の走行装置と、この走行装置に旋回可能に設けられた旋回体と、この旋回体に作動可能に設けられた作業装置とを具備した作業機械であり、流体圧モータを覆って開口部を閉塞するカバーの走行フレームに設けられるカバー本体に保守用の穴部を設け、この穴部を開閉可能な補助板をカバー本体に着脱可能に設けることにより、例えば岩石などの突上げの際でも、補助板が変形することで外力を分散してカバー本体を保護し、流体圧モータを確実に保護するとともに、カバー本体から補助板を取外すことで穴部を経てカバーの内側へ容易にアクセス可能となり、保守点検が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、走行フレームに設けられるカバー本体に保守用の穴部を設け、この穴部を開閉可能な補助板をカバー本体に着脱可能に設けることにより、例えば岩石などの突上げの際でも、補助板が変形することでカバー本体を保護し、流体圧モータを確実に保護できるとともに、カバー本体から補助板を取外すことで穴部を経てカバーの内側へ容易にアクセスでき、保守点検が容易になる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、開口部に臨む流体圧モータの圧力制御弁に対向する屈曲部を流体圧モータの外形形状に対応してカバー本体に傾斜状に屈曲し、この屈曲部に穴部を設けることで、穴部が圧力制御弁に近付き、圧力制御弁へ容易にアクセスできるとともに、屈曲部により小さくなる圧力制御弁とカバーとの隙間を穴部により確保できる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、屈曲部を跨いで補助板をカバー本体に取付けることで、補助板に加わった外力を屈曲部に伝えにくくしてカバー本体をより確実に保護できる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、補助板をボルトによりカバー本体に着脱可能とすることで、補助板を容易に着脱できる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、カバー本体に保守用の穴部を設け、この穴部を開閉可能な補助板をカバー本体に着脱可能に設けることにより、例えば岩石などの突上げの際でも、補助板が変形することで外力を分散してカバー本体を保護し、流体圧モータを確実に保護できるとともに、カバー本体から補助板を取外すことで穴部を経てカバーの内側へ容易にアクセスでき、保守点検が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図1乃至図6に示された実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図4および図6は、作業機械としての油圧ショベルを示し、走行装置としての下部走行装置11は、長尺状の一対の走行フレーム(この走行フレームは「トラックフレーム」などと呼ばれる)12を左右両側部に備え、それら走行フレーム12の間に設けられたセンターフレーム13上に、旋回軸受部14を介して旋回体としての上部旋回体15が旋回可能に設けられ、この上部旋回体15の前部左側には、オペレータを保護するキャブ16が搭載され、また、上部旋回体15の前部中央には、作業装置17が作動可能に設けられている。
【0023】
そして、下部走行装置11は、図1および図6に示されるように、油圧ショベルの左右両側にそれぞれ位置する走行フレーム12の一端部に流体圧モータとしての油圧モータである走行モータ18および減速機としてのファイナルドライブ19を備えた走行部20により回転駆動される駆動輪としてのギア状のスプロケット21が軸支され、各走行フレーム12の他端部に従動輪としてのアイドラ22が回動自在に軸支され、これらスプロケット21およびアイドラ22に亘って、走行フレーム12に履帯(この履帯は「トラック」または「クローラ」などと呼ばれる)23が回行移動自在に掛け回して装着されている。
【0024】
この履帯23の下側部は、各走行フレーム12の下部に配列され回動自在に軸支された複数の下部ローラ(これらの下部ローラは「トラックローラ」などと呼ばれる)25によって上側より移動自在に受け支持され、また、履帯23の上側部は、各走行フレーム12の上部に支持ブラケット26を介して回動自在に軸支された複数の上部ローラ(これらの上部ローラは「キャリヤローラ」などと呼ばれる)27によって下側より移動自在に支持されている。
【0025】
なお、以下、スプロケット21側を前側、アイドラ22側を後側として説明する。
【0026】
各走行フレーム12は、図4および図5に示されるように、前後方向に長尺状のフレーム本体28と、このフレーム本体28の前端部に設けられ走行部20が取付けられる取付部29とを有している。
【0027】
フレーム本体28は、略角筒状に設けられ、各上部ローラ27を回転自在に軸支する支持ブラケット26が上部に突設され、各下部ローラ25を回転自在に軸支する図示されない下部支持ブラケットが下部に突設され、また、それぞれ補強用のリブ状の立上り部32が油圧ショベルの幅方向中心側に向けて上部および下部から略水平に突設され、さらに、これら上下の立上り部32間に亘って補強用の複数のリブ33が設けられ、かつ、取付部29と反対側の後端側に図6に示されるアイドラ22が回転自在に軸支されている。
【0028】
また、取付部29は、図1、図4および図5に示されるように、フレーム本体28の前端部に左右方向に設けられたブラケット34の前側に突設されており、前側が略円形状に湾曲し前後方向に突出し略垂直な板状の取付板部35と、この取付板部35の周縁部から油圧ショベルの幅方向中心側に向けて略水平に突設されたリブ部36とを備え、これらブラケット34、取付板部35およびリブ部36により外周縁部が区画された開口部37が形成され、かつ、この開口部37を覆う例えばスチール製のカバー38が着脱可能に取付けられて、内部にモータ収容部39が区画される。
【0029】
ブラケット34には、走行モータ18に接続される油圧配管としての図3に示されるホース41,42がそれぞれ挿通される上下方向に長孔状の図示されないホース挿通孔が、前後方向に穿設されている。
【0030】
これらホース41,42は、図3乃至図5に示されるように、ホース挿通孔に嵌着されるグロメット44、センターフレーム13に穿設された挿通孔45に嵌着されるグロメット46などに挿通されるとともに、ストラップ47,47により互いに纏められ、ブラケット34の後部に着脱可能に取付けられるホースカバー48により覆われるとともに、上部旋回体15の旋回中心に配設されたスイベルジョイント49を介して図示されないコントロール弁、あるいは走行速度切換え用の図示されないパイロットマニホールドにそれぞれ接続されている。
【0031】
また、取付板部35は、図1に示されるように、ファイナルドライブ19が嵌合する丸孔状の嵌合孔51が略中央部に穿設され、この嵌合孔51の周囲に、ファイナルドライブ19の固定用の図示されないボルト孔が多数設けられている。
【0032】
さらに、リブ部36は、カバー38の固定用のボルト止め部52が内周縁部に多数設けられている。そして、このリブ部36の下部は、油圧ショベルの幅方向の中心側の端部から、カバー38の屈曲形状に応じて切欠部が切り欠き形成されている。
【0033】
ここで、走行モータ18は、例えば略円筒状のアキシャルピストンモータであり、図示されない斜板、シリンダブロックおよびピストンなどを内部に備え、上部旋回体15に設けられた図示されない作動油タンクからホース41を経由して給排される作動油により作動される。さらに、この走行モータ18は、一端側に図示されない出力軸が突設され、図1に示されるように、他端側に設定圧を調整して内圧を制御する圧力制御弁としてのリリーフ弁55が突設されている。
【0034】
そして、走行モータ18は、出力軸をファイナルドライブ19側すなわち油圧ショベルの外側方に向け、リリーフ弁55をファイナルドライブ19と反対側、すなわち開口部37に臨む側の下側に偏倚するようにモータ収容部39に配設されている。したがって、リリーフ弁55は、走行モータ18の取付け状態で開口部37に取付けられたカバー38に対向する。
【0035】
さらに、ファイナルドライブ19は、図1および図3に示されるように、嵌合孔51に嵌着される略有底円筒状のケーシング57を備え、このケーシング57は、一端側に走行モータ18が挿入される第1ハウジング部58と、この第1ハウジング部58の走行モータ18と反対側に、この第1ハウジング部58に対して相対的に回転自在に設けられた内歯ギアである第2ハウジング部59とを有している。そして、ケーシング57の内部には、走行モータ18の出力軸に接続されるとともに第2ハウジング部59に歯合された図示されない減速機構部が収容されている。
【0036】
また、第1ハウジング部58の外周面には、取付板部35のモータ収容部39と反対側の側面に取付けられモータ収容部39側からボルト締めされる第1フランジ部61が全周に亘って突設されている。さらに、第2ハウジング部59の外周面には、図3に示されるように、第2フランジ部62が全周に亘って突設され、この第2フランジ部62には、図1に示されるスプロケット21がボルト締めにより取付けられる。
【0037】
そして、カバー38は、図1乃至図5に示されるように、開口部37に複数のボルト64にて取付けられるカバー本体65と、このカバー本体65に対して着脱可能な補助板としての補強カバー67とを有している。
【0038】
カバー本体65は、図2および図5に示されるように、本体上部71と、この本体上部71の下部に連続した屈曲部72と、この屈曲部72の下部に連続した本体下部73とを備え、側面視で開口部37の内縁に沿った外形形状を有しているとともに、本体上部71と本体下部73との外周縁部よりも若干内側の位置に、ボルト64が挿入される複数のボルト孔75がそれぞれ穿設されている。そして、このカバー本体65は、屈曲部72の前側が後側に対して上側に傾斜するように開口部37に取付けられる。
【0039】
本体上部71は、カバー38を開口部37に取付けた状態でリブ部36の切欠部よりも上側にて開口部37を覆うもので、上側および後側の縁部が直線状に形成され、前側の縁部が円弧状に形成されて、後側がブラケット34の前側面に密着するとともに、上側から前側に亘ってリブ部36の内縁面に密着する。
【0040】
さらに、屈曲部72は、本体上部71の下端部から、走行モータ18の外形形状に対応して下方向に向けて走行フレーム12に近付くように直線傾斜状に屈曲された前後方向に長手状の平面部であり、カバー38を開口部37に取付けた状態で前後両端部がリブ部36の切欠部の前後部に隙間なく嵌合し、かつ、走行モータ18のリリーフ弁55に対向して位置している。このため、モータ収容部39は、カバー38と走行モータ18との隙間が屈曲部72の位置で最も狭くなっている。
【0041】
そして、屈曲部72の中心には、角穴状の穴部76が穿設されている。この穴部76は、例えば前後方向に長手方向を有するとともに、屈曲部72の上下幅の略全体に亘る上下寸法を有している。さらに、この穴部76には、カバー38を開口部37に取付けた状態でリリーフ弁55の先端が臨む。このため、この穴部76を経てリリーフ弁55の保守点検および設定圧の調整などが可能となっている。
【0042】
また、本体下部73は、カバー38を開口部37に取付けた状態でリブ部36の切欠部よりも下側にて開口部37を覆うもので、下側の縁部が円弧状に形成されてリブ部36の内縁面に密着する。
【0043】
一方、補強カバー67は、カバー本体65の本体上部71に複数のボルト81により取付けられる平面状の補強カバー本体82と、この補強カバー本体82の下端部に連続して屈曲された曲面状の曲面部83と、この曲面部83の下端部に連続して屈曲され本体下部73に複数のボルト84により取付けられる平面状の取付フランジ部85とを備えている。
【0044】
補強カバー本体82は、上側の縁部が直線状に形成されるとともに、曲面部83との連続部となる下端部が下側に凸状の円弧状に形成されている。そして、この補強カバー本体82は、ボルト81がそれぞれ挿入されるボルト挿入孔87が上側に複数穿設され、これらボルト挿入孔87に対応して本体上部71の下端側に穿設された上側ボルト孔88にボルト81を締付けることにより、側面視で下端側が屈曲部72および本体下部73側に突出するように本体上部71に取付けられる。
【0045】
また、曲面部83は、補強カバー本体82の下端部から略垂直に屈曲された円周面であり、先端が屈曲部72の外側面に当接するように傾斜状に形成されている。したがって、補強カバー67は、カバー本体65に取付けた状態で補強カバー本体82の下側および曲面部83がカバー本体65の屈曲部72を跨ぎ、これら補強カバー本体82および曲面部83と屈曲部72との間に、穴部76が内部に位置する空間部91が形成されている。
【0046】
そして、取付フランジ部85は、曲面部83の先端側の下端部の前後方向の中心域から補強カバー本体82と略平行に下方に向けて突設され、ボルト84が挿入されるボルト挿入孔部93が複数穿設され、これらボルト挿入孔部93に対応して本体下部73に穿設された下側ボルト孔94にボルト84を締付けることにより本体下部73に取付けられる。
【0047】
次に、上記図1乃至図6に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0048】
走行フレーム12に設けられるカバー本体65に保守用の穴部76を設け、この穴部76を開閉可能な補強カバー67をカバー本体65に着脱可能に設けることにより、例えば砕石場などでの油圧ショベルの稼動時に岩石などの突上げがあった際でも、補強カバー67が変形することでカバー本体65への荷重を分散させてカバー本体65の変形を防止して保護し、カバー38に覆われた走行モータ18を確実に保護できるとともに、カバー本体65から補強カバー67を取外すことで穴部76を経てカバー38の内側へ、具体的にはリリーフ弁55に容易にアクセスでき、保守点検が容易になる。
【0049】
また、開口部37に臨む走行モータ18のリリーフ弁55に対向する屈曲部72を、走行モータ18の外形形状に対応してカバー本体65に傾斜状に屈曲し、この屈曲部72に穴部76を設ける、すなわち走行モータ18とカバー38との隙間が最も小さい部分に穴部76を位置させることで、穴部76がリリーフ弁55に近付き、穴部76を経てリリーフ弁55へより容易にアクセスでき、かつ、屈曲部72により小さくなるリリーフ弁55とカバー本体65との隙間を穴部76により確保できる。
【0050】
さらに、屈曲部72を跨いで補強カバー67をカバー本体65に取付けることで、補強カバー67に加わった外力を屈曲部72に伝えにくくして、カバー本体65をより確実に保護できる。
【0051】
そして、補強カバー67をボルト81,84によりカバー本体65に着脱可能とすることで、カバー本体65を容易に着脱でき、カバー38の内側へのアクセスがより容易になる。
【0052】
また、走行モータ18に接続されるホース41,42をホースカバー48にて覆うことで、ホース41,42の破損を防止でき、走行モータ18の良好な作動性を確保できる。
【0053】
さらに、上記下部走行装置11を油圧ショベルに適用することで、油圧ショベルの保守点検が容易となり、油圧ショベルの信頼性を向上できる。
【0054】
なお、上記一実施の形態において、穴部76に臨む走行モータ18の一部は、リリーフ弁55に限定されるものではなく、保守点検が必要となる走行モータ18の任意の部分に臨むように穴部76を設けることで、走行モータ18の保守点検が容易となる。
【0055】
また、カバー38のカバー本体65および補強カバー67の形状、あるいは穴部76の形状などは、上記構成に限定されるものではない。
【0056】
さらに、上記下部走行装置11は、油圧ショベル以外の作業機械にも対応させて適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る走行装置の一実施の形態の要部を示す正面図である。
【図2】同上走行装置の要部を示す側面図である。
【図3】同上走行装置の内部構造の一部を示す斜視図である。
【図4】同上走行装置を備えた作業機械の要部を示す平面図である。
【図5】同上走行装置の図4に示すA−A断面図である。
【図6】同上作業機械を示す側面図である。
【図7】従来例の走行装置の要部を示す斜視図である。
【図8】同上走行装置の要部を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
11 走行装置としての下部走行装置
12 走行フレーム
15 旋回体としての上部旋回体
17 作業装置
18 流体圧モータとしての走行モータ
21 駆動輪としてのスプロケット
37 開口部
38 カバー
55 圧力制御弁としてのリリーフ弁
65 カバー本体
67 補助板としての補強カバー
72 屈曲部
76 穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備えた走行フレームと、
この走行フレームに回転可能に設けられた駆動輪と、
この駆動輪を回転駆動させる流体圧モータと、
この流体圧モータを覆って開口部を閉塞するように走行フレームに設けられたカバーとを具備し、
カバーは、
保守用の穴部を有し、走行フレームに設けられたカバー本体と、
このカバー本体に着脱可能に設けられ、この着脱により穴部を開閉可能な補助板とを備えている
ことを特徴とする走行装置。
【請求項2】
流体圧モータは、内圧を制御する圧力制御弁を備え、この圧力制御弁が開口部から臨むように走行フレームに配設され、
カバー本体は、圧力制御弁に対向し流体圧モータの外形形状に対応して傾斜状に屈曲された屈曲部を備え、
穴部は、屈曲部に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
【請求項3】
補助板は、屈曲部を跨いでカバー本体に取付けられる
ことを特徴とする請求項2記載の走行装置。
【請求項4】
補助板は、ボルトによりカバー本体に着脱される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の走行装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか記載の走行装置と、
この走行装置に旋回可能に設けられた旋回体と、
この旋回体に作動可能に設けられた作業装置と
を具備したことを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−219871(P2006−219871A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33147(P2005−33147)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)