説明

超伝導電気モータ

【課題】 動作の同期モードで作動するが、モータ(1)の超伝導部品(30)がその超伝導特性を失った場合(例えば、冷却系の故障による)には誘導モードで作動可能である超伝導モータ(1)を提供する。
【解決手段】 超伝導電気モータ(1)は、稼動中にロータアセンブリ(5)内に磁束通路を生成する、少なくとも1本の超伝導巻線(30)と、この少なくとも1本の超伝導巻線を支持する支持部材(20)とからなるロータアッセンブリを有する。ロータアセンブリ(5)は、超伝導巻線(5)が超伝導特性を示す温度では同期モードで動作する構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景技術
本発明は、超伝導電気モータを含む、超伝導電気機械の構造、及び操作に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアモータやロータリモータを含む多様な電気モータがある。一般的なロータリ電気モータには、AC誘導モータ、及びAC同期モータがある。両方のモータにおいて、モータを回転させる方法は、ロータとステータとの磁界の相互作用を伴う。
【0003】
AC誘導モータにおいてステータ巻線は通常、一相、或いは三相の形式で電源に接続される。
巻線を横断して電圧を印加することにより、放射状の回転磁界が形成される。ロータは、その周囲に沿った伝導性のストランド層を有する。ストランドは伝導性の閉ループを形成するべく一般に短絡されている。ステータにより生成された回転磁界は、ロータの伝導性のループに電流を誘導する。一旦電流が生じると、磁界は導体を通過する電流に作用する力を生じ、これがロータのトルクに帰着する。
【0004】
AC誘導モータの利点及び簡便性は、ロータ内の電流がDCモータにおいて行うように整流子により供給される必要がないことである。ステータの回転磁界速度は、
V=nrf/p
の式により計算することが可能である。
ここで、pは軸の数量である。
rは空隙の半径である。
fは周波数である。
【0005】
ロータは磁界に反応するが、同一の速度で移動しない。ロータの速度は、実際には磁界速度より遅れる。ロータの磁界に比べて低い速度を定量化するため、一般に「スリップする」という用語が使用される。ロータは任意の位置へロックされないため、運動の全体にわたりスリップし続ける。スリップの量は、負荷の増加に比例して増加する。より最近では、誘導モータはAC変速ドライブ(インバータ)により制御されている。これらのドライブは巻線に供給されたAC電流の周波数を制御して、以前はDCモータにより支配されていた速度制御の市場において誘導モータを成長中の競争相手としている。しかし、2つを連結する前に、モータがインバータにより定格されていることを保証する必要がある。速度のフィードバックが提供されない限り、スリップの問題は依然として存在する。
【0006】
AC同期モータは、AC誘導モータのものと非常に類似したステータを有する。AC同期モータのステータは、その中に巻線が載置される、外周上の溝を有する。巻線と溝の数量は、部分的には、位相の数(通常は三位相、又は一位相)、及び軸の数(通常2つ、又は4つ)によって決定される。ステータは、供給された周波数に比例する回転磁界を生成する。AC誘導モータの場合と同様に、AC同期モータ中の回転磁界の速度は、
V=nrf/p
の式で計算される。
【0007】
同期モータと誘導モータの主な差異は、このモータのロータが回転磁界と同じ速度で移動するということである。ロータの磁界がもはや誘導ないため、このことが可能である。ロータは、別の磁界がかかったときに一定の位置へロックされる、永久磁石、又は直流の励起電流を有する。このため、変化する負荷によるスリップや速度変化に関する問題は低
減される。
【0008】
最近では、誘導、及び同期電気モータの両方を含む、電気機械に極低温技術を適用するための努力がなされている。これらの機械における超伝導巻線の使用は、巻線によって生成された起磁力顕著な増加、及び、機械の増加した磁束及び出力密度に帰着した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(発明の要約)
本発明は、動作の同期モードで作動するが、モータの超伝導部品がその超伝導特性を失った場合(例えば、冷却系、或いは他のハードウェアの故障による)には誘導モードで作動可能である超伝導モータに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態において超伝導電気モータは、稼動中にロータアセンブリ内に磁束通路を生成する少なくとも1本の超伝導巻線と、この少なくとも1本の超伝導巻線を支持する支持部材とからなるロータアッセンブリを有する。ロータアセンブリは、超伝導巻線が超伝導特性を示す温度では同期モードで動作し、超伝導巻線が超伝導特性を示さない温度では定常状態での誘導モードで動作する構造である。
【0011】
このような構造の超伝導モータは、モータの電力減少にも関わらず継続的な動作を可能とすることを含む、多数の長所を有する。例えば、超伝導モータは船舶推進システムの一部として有利に使用可能である。この用途では、超伝導巻線の冷却に使用される冷却システムが故障した場合には、モータを誘導モードで操作することが可能であるため、その定格回転速度のある割合で船舶が航海し続けることを可能にする。冷却システムの問題が解消された場合には、超伝導モータは単に、その通常の、フルパワーの同期モードの動作に戻されればよい。
【0012】
本発明におけるこの形態の実施態様には以下の特徴の1つ以上を含まれていてもよい。
ロータアセンブリは、定常状態での動作の誘導モードを可能とするレベルの電流を流すために誘導構造を有する。誘導電流が誘導モードでロータアセンブリに生成されるため、この電流を維持するための構造が必要である。誘導構造は、超伝導モータが誘導モードの動作において定格されたトルクの少なくとも50%の起動トルクを生成することを可能とするような構造である。さらに、誘導構造は、超伝導モータが誘導モードの動作において定格されたトルクの少なくとも約2倍のピークトルク(破壊トルク)を生成することを可能とするような構造である。
【0013】
一実施態様において、誘導構造は少なくとも部分的に、少なくとも1つの超伝導巻線から熱分離真空領域によって離隔している。即ち、誘導構造の一部は、電磁気遮蔽部材部材のようなロータアセンブリの加熱された領域にある。誘導構造はさらに、熱分離真空領域と電磁気遮蔽部材部材との間に設けられた低温保持装置を有することもある。従って、低温保持装置はロータアセンブリの超伝導巻線を冷却する役割を果たすのみならず、モータが誘導モードで作動する場合に誘導電流を維持する役割を果たす。
【0014】
電磁気遮蔽部材部材は、導電性、及び非磁性を有する材料(例えば、銅、アルミニウム)からなる。支持部材は複数の薄層からなり、それぞれの薄層は、超伝導電気モータの動作中に薄層を貫通する磁界の磁束線と平行な平面にある。少なくとも1つの超伝導巻線を支持する低温支持部材は、さらに誘導構造の一部として機能することが可能である。好適な実施形態において低温支持部材は、モータの低温環境での電気加熱を回避するために、一連の薄層構造として形成される必要がある。
【0015】
超伝導電気モータは、ロータアセンブリに電磁結合されたステータアセンブリと、このステータアセンブリに電気信号を出力する可変速度ドライブとをさらに有していてもよい。可変速度ドライブは、超伝導モータを同期モードの動作で起動させるべく第1の周波数にてステータに信号を出力し、定常状態の誘導モードの動作では、第1の周波数より小さい第2の周波数でステータに信号を出力する。
【0016】
超伝導巻線は、高温超伝導体(HTS)からなり、レーストラック形状に形成されていてもよい。支持部材は、非磁性体(例えばアルミニウム)から形成される。
本発明の他の実施形態においては、上記された種類の超伝導電気モータの作動方法は、次の工程からなる。超伝導巻線の温度が、(例えばセンサによって)モニタされる。超伝導モータは、超伝導巻線が超伝導特性を示す温度では同期モードで作動される。しかし、超伝導巻線が超伝導特性を示さない温度では、超伝導モータは、定常状態での誘導モードで動作する。
【0017】
本発明におけるこの形態の一実施態様において、超伝導モータを同期モードで作動させる場合には、ロータアセンブリに電磁結合されたステータアセンブリに第1の周波数を有する電気信号が出力される。超伝導モータを定常状態の誘導モードで作動させる場合には、第1の周波数よりも小さい第2の周波数の信号がステータアセンブリに出力される。
【0018】
本発明の他の長所、及び特徴は、以下の記載、及びクレームから明白となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(詳細な説明)
図1を参照する。超伝導同期モータ1は、低温保持装置12及び外側の電磁気遮蔽部材14により包囲された4軸位相を有するロータアセンブリ5からなる。これらの両方がアセンブリ5の低温ロータ部10から半径方向において真空層16により離隔されている。次に電磁気遮蔽部材14は、三相ステータ巻線2、及びここでは鉄から形成された薄層磁束シールド4によって包囲される。他の実施形態においては、鉄の磁束遮蔽部材4を非磁性材料(例えば、銅、又はアルミニウム)からなる固体金属遮蔽部材により置換可能である。電磁気遮蔽部材14は、好適には非磁性材料(例えば銅、アルミニウム、鋼等)から形成される。ロータ低温部10はさらに、高強度であり、かつ展性を有する材料(例えばアルミニウム)から形成された低温支持部材20を有する。以下により詳細に記載されるように、低温保持装置12、電磁気遮蔽部材14、及び低温支持部材20は、その典型的な機能に加え、同期モータ1が超伝導状態で動作しなくなったとき(例えば冷却の不具合)には、集合として付加的な目的を果たす。
【0020】
図1,2を参照する。この実施形態では、低温支持部材20は、4つの段差形状24を備えた外部表面22を有する外部円筒部材20bによって包囲された内部円筒部材20aとして示される。しかし、代替の実施形態では、低温支持部材20は単一の一体化されたユニットである。各段差形状24は、4つの超伝導巻線アセンブリ30(ここでは1つのみが図示されている)のうちの1つを支持し、各巻線アセンブリはモータの軸に結合している。より詳細には、径方向に対向する1組の第1の巻線アセンブリの各々は、第1の軸26に巻回される。径方向に対向する1組の第2の超伝導巻線アセンブリの各々は、軸26に直交する第2の軸27に巻回される。巻線アセンブリは電気接続され、軸26,27に沿って形成された、段差形状24において支持部材の外周上で支持される。
【0021】
図2に最も明白に示されるように、この実施形態では、巻線アセンブリ30が低温支持部材20の端部を越えて延在している。これらの端部領域では、巻線アセンブリ30が、一般的には多層の絶縁体(例えば、アルミニウムで処理されたマイラーの層)で充填され
た真空層31(図1)によって低温支持部材20から離隔される。この構造は、ロータアセンブリ及びモータの長さを減少させることを可能にしながら、巻線アセンブリが極低温に維持されることを保証する。
【0022】
低温支持部材20は、周囲環境とロータアセンブリの極低温に冷却された部分との間の温暖/低温遷移領域を規定する端部長尺部材21を有する。低温支持部材20はさらに、低温支持部材の長手方向に延伸して、超伝導巻線アセンブリの冷却に必要な液体又はガスの冷媒を運搬する、多数の冷却ダクト28を有する。巻線アセンブリ30は、ロータの4つの軸の位置に取り付けられる軸キャップ40、及び均等に離間され、それぞれの軸キャップ間に軸26,27からの45°だけオフセットされている方形キャップ42によって低温支持部材20に取り付けられている。軸キャップ、及び方形キャップ40,42は、一般的には低温支持部材20と同じ材料から形成され、低温支持部材と共に、完全な円筒形状を形成する。
【0023】
図3を参照する。各超伝導巻線アセンブリ30は、モータの各軸に結合し、コイル支持シェル46内に設けられたレーストラック形の二重「パンケーキ」コイルからなる。二重パンケーキコイルの各々は、共に平行に巻回された後、互いの上部に同軸に重ねられた導体からなる。本実施形態において、導体は、例えば一般的にBSCCO 2223と呼ばれるBi2Sr2Ca2Cu3xなどの高温酸
化銅セラミック超伝導材料であることが可能である。YBCO(或いはイットリウムが希土類元素で置換された超伝導体)、TBCCO(即ち、タリウム−バリウム−カルシウム−酸化銅系)、及びHgBCCO(即ち、水銀−バリウム−カルシウム−酸化銅系)を含む、他の高温超伝導体も、本発明の範囲内にある。ここで示されるように、二重パンケーキコイル44の1つ以上は、二重パンケーキのうちのそれに結合しているパンケーキコイルより小さな直径を有するパンケーキコイルからなるのでもよい。2個1組のコイルは連続した同一の長さの超伝導テープが巻回されている。この方法でコイルを形成するためのアプローチは、本発明の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に組込まれる米国特許第5,581,220号に記載されている。好適な実施形態は、好適には超伝導酸化セラミックを含み、最適には酸化銅系の高温超伝導組成物の磁気及び熱的特性に基づく。
【0024】
稼動中に超伝導モータ1は同期モードで作動されて、ロータアセンブリ5は周囲のステータ巻線(図1)によって生成された回転磁界と同一速度で回転する。基本的には、超伝導巻線30によって生成されたDC励磁場は、ステータの磁界と同期した方式にロックされる。このモードでは、磁界相互作用ステータの磁場に制限されて、超伝導巻線アセンブリではロータアセンブリの周囲の構造に事実上電流が誘導されない。起動の短期間を除いて、同期モータは、一定速度で動作し、スリップ、及び速度変動の問題が低減される。
【0025】
しかし、超伝導ロータアセンブリ5が冷却の不具合を経験する場合、巻線アセンブリ30はその超伝導特性を失う。この場合、超伝導ロータアセンブリ5は、誘導モードで作動される。誘導モードにおいてロータアセンブリ5は、ステータの磁場の同期速度より小さな速度で回転する。ロータ速度とステータの磁場との間の相対的な変化は、低温保持装置12、電磁気遮蔽部材14、及び低温支持部材20の周囲の構造にて電流を生成する。これらの電流は、ステータの磁場と相互作用して、シャフトトルクを生成する。従って、低温保持装置12、電磁気遮蔽部材14、及び低温支持部材20は、誘導モードでモータを駆動するために十分なトルクを生成すべく、十分な質量を有する材料から形成される必要がある。十分なトルクとは、モータ1が誘導モードで定格されたトルクの少なくとも50%の起動トルクを生成可能であることをいう。さらに、ピークトルクは、定格されたトルクの少なくとも2倍である必要がある。電流が流れるのに不十分な材料がある場合、多量の熱が生成され、その結果モータの故障を引き起こす。これらの電流は、より低い電力にも関わらず、モータの継続的動作を可能とさせるために十分なトルクを生成する。定格さ
れたトルクの30%を供給することですら、多数の用途において一般的に認容され得る。連続的な定常状態の動作を(例えば冷却の故障に対応されるまで)誘導モードで可能とするために、ステータ電流の定格値を超過しないことは重要である。定格値を超過しないことを保証するための1つのアプローチは、より低い定格された端子電圧(例えば定格電圧の50%)でモータを作動することである。この条件では、モータが、定格されたトルクの約30%を生成する。同一の結果を達成するための他のアプローチは、減少された端子電圧で定格周波数の30%の電流をステータ巻線に供給することである。例えば、ステータ巻線に供給される電流の信号は、60Hzから18Hzに減少される。この条件では、モータが、その定格回転速度の約30%で定格されたトルクの10%を生成する。低温保持装置12及び電磁気遮蔽部材14の適切なデザインにより、所望のトルク速度特性を最適化することが可能である。
【0026】
一実施形態では、ステータ巻線に出力される信号の周波数を低下させるために、可変速度ドライブ(ASD)が誘導モードにおいて使用される。同期モードの起動に同一のASDが有利に使用可能である。
【0027】
低温支持部材は固体の一体化された部材として形成されてもよいが、積層された1組の薄層構造が好適である。例えば、図4を参照する。低温支持部材200は、一連の積層された薄層構造200aとして形成される。軸キャップ40aも、一連の隣接した薄層構造に分割された状態で示されている。低温支持部材を薄層構造により形成することは、これらの低温部品中の渦電流加熱を減少させる役割を果たす。各薄層構造は、ステータ磁界(B磁界)の方向と平行の向きに設けられる。同期モードの動作では、事実上部品に電流が生成されないため、これらの部品の区分化は効果がほとんどない。しかし、誘導モードでは、低温保持装置12、電磁気遮蔽部材14、及び低温支持部材200を通過して流れる誘導電流は、渦電流損により顕著な加熱を生成する。熱負荷がより大きいほど、熱の除去に必要な冷却システムのサイズ及びコストは大きい。低温保持装置12、及び電磁気遮蔽部材14に生成された電流はトルクの生成に使用される。低温支持部材中の渦電流損は、薄層構造を貫通する磁束線と平行な平面に各薄層構造があるように部品を区分化することにより著しく減少される。
【0028】
特定の実施形態では、薄膜構造の径方向において可塑性強度を増加させるために、補強層(例えば繊維ガラス)が薄層構造の間に設けられてもよい。そして、薄層構造と補強層には、例えばエポキシ樹脂を含浸させることが可能である。
【0029】
他の実施形態はクレームの範囲内にある。例えば、図1〜4に関連して上記にレーストラック形の二重パンケーキ構造が記載されたが、本発明には他の形態の超伝導巻線を等しく適用可能である。例えば、「超伝導マグネットコイル」と題され、1999年7月23日に出願された同時係属中の出願第______号に記載されたようなテーパー形状の超伝導コイルを使用してもよい。本発明の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に組み込まれるこの特許出願は、円筒構造の外面に有利に一致するテーパー形状の超伝導コイルを記載している。従って、本明細書では、低温支持部材20及び120の段差形状を割愛することも可能である。
【0030】
さらなる他の実施形態において、例えば強制空気、強制水、或いは噴射した水などにより電磁気遮蔽部材に追加の冷却を設けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による超伝導同期モータの一部分の端面を示す断面図。
【図2】図1の超伝導同期機械に使用されるロータアセンブリの低温ロータ部を部分的に切り取った等角投影図。
【図3】図1の超伝導同期機械に使用されるレーストラック形超伝導巻線を部分的に切り取った等角投影図。
【図4】図1のロータアセンブリの端面を示す断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
稼働中に、ロータアセンブリ(5)内に磁束通路を生成する、少なくとも1本の超伝導巻線(30)と、
前記少なくとも1本の超伝導巻線(30)を支持する支持部材(200)とを備えるロータアセンブリ(5)を有した超伝導電気モータにおいて、
前記ロータアセンブリは、前記モータを定常状態での誘導モードで駆動するために十分なトルクを提供すべく、誘導電流を流す誘導構造(12,14)を備え、
前記ロータアセンブリ(5)は、超伝導巻線(30)が超伝導特性を示す温度では同期モードで動作し、超伝導巻線(30)が超伝導特性を示さない温度では定常状態での誘導モードで動作し、
前記支持部材は積層された支持部材であり、
前記誘導構造(12,14)の少なくとも一部は、前記少なくとも1本の超伝導巻線(30)から熱分離真空領域(16)によって離隔し、前記誘導構造の少なくとも一部は電磁気遮蔽部材(14)を備える、超伝導電気モータ。
【請求項2】
前記誘導構造(12,14)は、定常状態で誘導モードの動作を可能とさせるために十分な電流量を流すために十分な質量を有する、請求項1に記載の超伝導電気モータ。
【請求項3】
前記ロータアセンブリ(5)は、前記誘導モードにおいて定格されたトルクの少なくとも50%の起動トルクを生成することを可能とする構造である誘導構造(12,14)を有する請求項1に記載の超伝導電気モータ。
【請求項4】
前記ロータアセンブリ(5)は、誘導モードにおいて定格されたトルクの少なくとも2倍のピークトルクを生成することを可能とする構造である誘導構造(12,14)を有する請求項3に記載の超伝導電気モータ。
【請求項5】
前記熱分離真空領域(16)と前記電磁気遮蔽部材(14)との間に設けられた低温保持装置(12)を有する請求項1に記載の超伝導電気モータ。
【請求項6】
前記電磁気遮蔽部材(14)が導電性、及び非磁性を有する材料からなる請求項1に記載の超伝導電気モータ。
【請求項7】
前記誘導構造(12,14)が、前記少なくとも1つの超伝導巻線(30)を支持する支持部材(200)からなる請求項4に記載の超伝導電気モータ。
【請求項8】
前記誘導構造(12,14)が、前記少なくとも1本の超伝導巻線(30)から熱分離真空領域(16)によって離隔されている電磁気遮蔽部材(14)を有する請求項7に記載の超伝導電気モータ。
【請求項9】
前記支持部材(24)が複数の薄層(200a)からなり、それぞれの薄層は、前記超伝導電気モータの動作中に薄層(200a)を貫通する磁界の磁束線と平行な平面上にある請求項8に記載の超伝導電気モータ。
【請求項10】
前記ロータアセンブリ(5)に電磁結合されたステータアセンブリ(2,4)と、
前記ステータアセンブリに電気信号を出力する可変速度ドライブとをさらに有する請求項1に記載の超伝導電気モータ。
【請求項11】
前記可変速度ドライブは超伝導モータを同期モードの動作で起動させるべくステータアセンブリ(2,4)に第1の周波数の信号を出力し、定常状態の誘導モードでは、ステータ
アセンブリに前記第1の周波数より小さい第2の周波数の信号を出力する請求項10に記載の超伝導電気モータ。
【請求項12】
前記超伝導巻線(30)が高温超伝導体からなる請求項1に記載の超伝導電気モータ。
【請求項13】
前記超伝導巻線(30)がレーストラック形の巻線である請求項1に記載の超伝導電気モータ。
【請求項14】
前記支持部材(200)がアルミニウムから形成される請求項1に記載の超伝導電気モータ。
【請求項15】
前記少なくとも1本の超伝導巻線(30)を極低温に保持すべく、前記ロータアセンブリ(5)を包囲する低温保持装置(12)と、前記低温支持装置(12)及び前記少なくとも1本の超伝導巻線(30)を包囲する電磁気遮蔽部材(14)をさらに備える、請求項2に記載の超伝導電気モータ。
【請求項16】
前記ロータアセンブリ(5)に電磁結合されたステータアセンブリ(2,4)と、
前記ステータアセンブリに電気信号を出力する可変速度ドライブとを有する請求項15に記載の超伝導電気モータ。
【請求項17】
前記可変速度ドライブは超伝導モータを同期モードで起動させるべくステータに第1の周波数の信号を出力し、定常状態の誘導モードでは、ステータアセンブリ(2,4)に前記第1の周波数より小さい第2の周波数の信号を出力する前記請求項16に記載の超伝導電気モータ。
【請求項18】
前記支持部材(200)が複数の薄層(200a)からなり、それぞれの薄層は、前記超伝導電気モータの動作中に薄層(200a)を貫通する磁界の磁束線と平行な平面上にある請求項15に記載の超伝導電気モータ。
【請求項19】
少なくとも1つの超伝導巻線からなるロータアセンブリ(5)と、動作中にロータアセンブリ内に磁束を生成することと、前記少なくとも1つの超伝導巻線(30)を支持する支持部材(24)と、前記モータを定常状態での誘導モードで駆動するために十分なトルクを提供すべく、誘導電流を流す誘導構造(12,14)と、前記誘導構造(12,14)の少なくとも一部は、前記少なくとも1本の超伝導巻線(30)から熱分離真空領域(16)によって離隔し、前記誘導構造の少なくとも一部は電磁気遮蔽部材(14)を備えることとからなる種類の超伝導電気モータの動作方法において、該動作方法は、
前記超伝導巻線(30)の温度をモニタする工程と、
前記超伝導巻線(30)が超伝導特性を示す温度では前記超伝導モータを同期モードで作動する工程と、
前記超伝導巻線(30)が超伝導特性を示さない温度では定常状態の誘導モードで超伝導モータを作動する工程とからなる超伝導電気モータの動作方法。
【請求項20】
前記超伝導モータを同期モードで作動する工程は、前記ロータアセンブリ(5)に電磁接続されたステータアセンブリ(2,4)に電気信号を出力する工程を含み、前記信号は第1の周波数を有し、
前記超伝導モータを定常状態の誘導モードで動作する工程は、前記ステータアセンブリ(2,4)に前記第1の周波数より小さい第2の周波数の信号を出力する工程を含む請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−237020(P2008−237020A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169063(P2008−169063)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【分割の表示】特願2001−524211(P2001−524211)の分割
【原出願日】平成12年8月10日(2000.8.10)
【出願人】(500117059)アメリカン スーパーコンダクター コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】AMERICAN SUPERCONDUCTOR CORPORATION
【Fターム(参考)】