説明

超吸収体を備えた連続気泡フォーム

本発明は、連続気泡フォーム及び超吸収体を含み、最高30mmの厚みを有する平面構造体の形にある、超吸収体を備えた連続気泡フォームに関する。本発明はさらにその製造方法並びに湿分制御のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、超吸収体を備えた連続気泡フォーム、その製造方法並びに湿分制御のためのその使用に関する。
【0002】
超吸収体は知られている。この種の材料には、「高膨潤性ポリマー」、「ヒドロゲル」(しばしば乾燥形態のためにも使用される)、「ヒドロゲル形成ポリマー」、「水吸収ポリマー」、「吸収性ゲル形成材料」、「膨潤性樹脂」、「吸水性樹脂」等の名称も一般に使用される。この場合に、前記材料は、架橋した親水性ポリマー、特に(共)重合された親水性モノマーからのポリマー、適当なグラフト主鎖上の1種以上の親水性モノマーのグラフト(共)重合体、架橋されたセルロースエーテル又はデンプンエーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分的に架橋されたポリアルキレンオキシド又は水性液体中で膨潤可能な天然製品、例えばグアール誘導体であり、その際、部分中和したアクリル酸を基礎とする吸水性ポリマーが極めて広範に広まっている。超吸収体の本質的特性は、その固有質量の数倍の水性液体を吸収でき、この液体を所定の圧力下でも再放出しないその能力である。乾燥超吸収体は、液体吸収するとゲルに、通常の水吸収をすると相応してヒドロゲルに変換する。架橋は、合成超吸収体のために本質的であり、かつ、通常の純粋な増粘剤に対する重要な相違点であり、というのも、これは水中でのポリマーの不溶性を生じるからである。溶解性物質は、超吸収体としては利用できないものである。群を抜いて極めて重要な超吸収体の使用領域は、体液の吸収である。超吸収体は例えば小児のためのおむつにおいて、成人のための失禁製品又は婦人用衛生製品において使用される。他の使用領域は、例えば、農業園芸において水保持剤として、火事から保護するために水貯蔵剤として、食品包装における液体吸収のために、又は極めて一般的に湿分の吸収のためである。超吸収不織布中では、超吸収体は当該不織布の成分であり、これは例えば、不織布上に設けられる相応するモノマー溶液又はモノマー懸濁液の不織布上での重合により生じるか、又は完成した粉末状又は繊維状超吸収体として当該不織布の製造の際にこの中に導入される。
【0003】
超吸収体に関する先行技術は例えばモノグラフ「"Modern Superabsorbent Polymer Technology"」、F.L. Buchholz及びAT. Graham, Wiley-VCH, 1998, 69〜117頁において要約して記載されている。
【0004】
WO01/56625A2、EP1178149A1及びUS5962068は、水吸収性複合材の製造方法を記載し、ここでは、水吸収ポリマーが繊維状担体材料、特に不織布に対して重合される。WO02/094328A2の教示によれば、不織布は両側で超吸収体を備えている。WO2006/106096A1は、湿分を制御する複合材を記載し、前記複合材は、少なくとも1の平面状担体材料、少なくとも1の水溶性吸湿性物質、及び、水溶性吸湿性物質の存在下で前記担体材料に対して重合する吸水性ポリマー少なくとも1を含有する。JP05−105705は、非潮解性乾燥剤に関し、前記剤は、担体材料及び吸湿性塩からなり、その際、前記吸湿性塩は吸水性ポリマーを用いて担体材料に固定される。WO2007/023085A1は、湿分を制御する複合材を教示し、前記複合材は、比較的高い液体量との接触の際に(例えば、前記複合材に対する液体の散布の際に)不所望な不均一性を形成しない。WO2007/023086A1の湿分を制御する複合材は、不所望な剛性を回避すべく可塑剤を含有する。
【0005】
WO00/64311A1は、超吸収体が担体材料上で重合した複合材を開示する。前記担体材料は、不織布又は開放孔プラスチックフォームであり、この場合には好ましくはポリウレタンフォームである。この複合材は、シートクッションにおける湿分制御に使用される。WO2004/067826A1は、多層のテキスタイル平面構造体、特に片側で編み目被覆された不織布材料からの多層テキスタイル平面構造体を教示し、これは機能材、例えば超吸収体を含有でき、かつ、クッション材として適している。DE4001207A1、DE4034920A1、DE4127337A1、DE4206895A1、DE19726810C1及びDE19809156A1は、座具における、特に車両シートにおける湿分制御複合材の使用に関する。
【0006】
WO2009/106496A1及びWO2009/106501A1は、平面構造体及び超吸収体を含有する多層複合材料を教示する。この平面構造体は、シート、フォーム材又は好ましくはテキスタイル平面構造体、特に織布又は不織布である。特に平面構造体がテキスタイル平面構造体である場合には、超吸収体は平面構造体に対して重合されることができる。DE10349060A1は、親水性ラテックスフォームを基礎とする吸水構造を記載する。このような構造の開示された製造方法の1つは、ラテックスフォームに対する超吸収体の重合である。
【0007】
先行技術が広範に開発されているにもかかわらず、さらに、湿分を制御できる平面構造体に関する要求が存在する。この要求は特に、湿分に対する透過性であり、湿分の貯蔵及び放出の能力を有し、フレキシブルでかつ薄く、並びに、複合材の成分として適していることが望ましい。
【0008】
これに応じて、最高で30mmの厚みであることを特徴とする、連続気泡フォーム及び超吸収体を含有する平面構造体が見出された。さらに、前記平面構造体の製造方法並びに適用が見出された。
【0009】
本発明の平面構造体は一般に最高30mmの厚さである。好ましくは前記構造体は最高で15mmの厚さであり、その特に好ましい形態において最高5mmの厚さである。この最小厚さはフォームの必要な機械的安定性によってだけ定められ、相応して選択される。一般に、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mmの厚さが十分である。
【0010】
本発明は、平面構造体に関する。平面構造体とは、本発明との関連において、通常のように、デカルト座標系の3つの空間方向のうちの1つにおいて、他の両方の空間方向に比較して広がりが顕著に少ない成形体が理解される。「厚さ」とは、本発明との関連において、平面構造体の広がりが最も少ない空間方向のものが理解される。簡単には次のとおりである:平面構造体は、厚さよりも長さ及び幅がより大きい。典型的な平面構造体の例は、本発明の範囲内においては、フォームテープであり、これは例えばロール物品として又は裁断物として取引され、並びに、この切片である。
【0011】
本発明の平面構造体の基礎は、連続気泡フォームである。原則的に全てのフォームが適する。好ましくはポリウレタンフォーム、ポリエステルフォーム、合成又は天然のラテックスフォームである。この種のフォーム及びその製造は知られている。このフォームはロール物品又は裁断された流通商品の形にもある。
【0012】
本発明の範囲で適したフォームは一般に、少なくとも10kg/m3、好ましくは少なくとも15kg/m3、特に好ましい形では少なくとも20kg/cm3の、並びに、一般に、最高150kg/m3、好ましくは最高120kg/m3、特に好ましい形では最高100kg/m3の密度を有する。
【0013】
本発明の平面構造体は、担体材料として使用されるフォーム上に超吸収体を含有する。これは例えば、フォームに設けられた相応するモノマー溶液又はモノマー懸濁液をフォーム上で重合することにより生じるか、又は、完成した粉末状又は繊維状超吸収体をフォームの製造の際にこの上に設ける。このために全ての知られている超吸収体を使用できる。
【0014】
比較的簡易な本発明の平面構造体の製造方法は以下工程を含む:i)フォームを調製する工程、ii)少なくとも1の酸基を有するエチレン性不飽和モノマー少なくとも1を含有する混合物を前記フォーム上に設ける工程、及びiii)前記混合物を重合して超吸収体とする工程。前記フォーム上に設けられたモノマー混合物の重合は典型的には、特に固く付着しかつ均一に分散される超吸収体粒子を生じ、加えてこれは技術的に比較的簡易であり、従って、本発明の平面構造体の好ましい製造方法である。
【0015】
この方法において引き続く重合のために調製されたフォーム上に設けられた(例えば吹き付けられたか又は含浸により設けられた)モノマー溶液又はモノマー懸濁液は典型的に次のものを含有する:
a)少なくとも1の酸基を有するエチレン性不飽和モノマー少なくとも1つ、前記モノマーは任意に、少なくとも部分的に中和されている;
b)少なくとも1の架橋剤;
c)少なくとも1の開始剤;
d)任意に、1又は複数の、a)で挙げたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー;
e)任意に、1又は複数の水溶性ポリマー;
f)少なくとも1の溶剤;及び
g)任意に、更なる添加剤及び/又は助剤。
【0016】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、すなわち、23℃での水中溶解度は、典型的には少なくとも1g/水 100g、好ましくは少なくとも5g/水 100g、特に有利には少なくとも25g/水 100g、極めて特に好ましくは少なくとも35g/水 100gである。
【0017】
適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が特にとりわけ好ましい。
【0018】
更なる適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0019】
不純物は、重合に重大な影響を与えかねない。従って、使用される原料は、可能な限り高い純度を有していることが望ましい。従って、多くの場合、モノマーa)を特別に精製することが好ましい。適した精製法は、例えばWO2002/055469A1、WO2003/078378A1及びWO2004/035514A1に記載される。適したモノマーa)は、例えばWO2004/035514A1によれば、精製されたアクリル酸であって、99.8460質量%アクリル酸、0.0950質量%酢酸、0.0332質量%水、0.0203質量%プロピオン酸、0.0001質量%フルフラール、0.0001質量%無水マレイン酸、0.0003質量%ジアクリル酸及び0.0050質量%ヒドロキノンモノメチルエーテルを有する。
【0020】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%、とりわけ好ましくは少なくとも95モル%である。
【0021】
通常はモノマーa)の一部は中和されている。無論、理論的には、このモノマーを中和していない状態で重合し、引き続きこの生じるポリマーゲルを中和することができるが、本発明の平面構造体のような構造では、この工程での十分均質な中和は大抵手間がかかり、従って経済的でない。好ましくは、従って、モノマーは部分中和される。通常、これは、中和剤を水溶液として又は好ましくは固形としてモノマー又はモノマー溶液中に混入することによって行われる。モノマーの中和度は一般に、少なくとも25mol%、好ましくは少なくとも50mol%、特に好ましくは少なくとも60%、並びに、一般に最高95mol%、好ましくは最高80mol%、特に好ましくは最高75mol%であり、その際、通常の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属カーボナート又はアルカリ金属ヒドロゲンカーボナート並びにその混合物が使用されることができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムはアルカリ金属として特に好ましいが、しかし、極めて好ましいのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにこれらの混合物である。
【0022】
モノマー溶液は、不所望に早期の重合に対する安定剤として、そのつど中和されていないモノマーa)に対して、ヒドロキノン半エーテルを、好ましくは250質量ppmまで、有利には最高130質量ppm、特に好ましくは最高70質量ppm、とりわけ少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、とりわけ50質量ppm含有する。例えば、モノマー溶液の製造のために、相応する含有量のヒドロキノン半エーテルと一緒に、酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。前記安定剤は、これによって単に、制御されないか又は予定より早くなった重合の抑制が意図され、かつ、超吸収剤への所望の重合の抑制が意図されない場合にも、折に触れて「重合抑制剤」とも呼ばれる。
【0023】
好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。前記安定剤は最適な作用のために溶解した酸素を必要とする。従って、重合前に不活化によって、すなわち、不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素による流過によって溶解した酸素をモノマー溶液から取り除き、かつこのようにして重合に対するモノマーの安定化を簡易に低下させることができる。好ましくは、重合前のモノマー溶液の酸素含有率は、1質量ppm未満に、特に好ましくは0.5質量ppm未満に、極めて好ましくは0.1質量ppm未満に低下される。
【0024】
適した架橋剤b)は、架橋に適した基を少なくとも2つ有する化合物である。かかる基は、例えば、ポリマー鎖中にラジカル重合導入されることができるエチレン性不飽和基、及び、モノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0025】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマー網目にラジカル重合導入できる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(例えばEP530438A1に記載)、ジアクリレート及びトリアクリレート(例えばEP547847A1、EP559476A1、EP632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリレート基の他にさらなるエチレン性不飽和基を含有する混合アクリレート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/32962A2に記載)である。
【0026】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、テトラアルコキシエタン、メチレンビス−メタクリルアミド、15箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0027】
極めて特に好ましい架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、ジアクリレート又はトリアクリレートを得るためにアクリル酸又はメタクリル酸とエステル化された多重エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10箇所でエトキシル化されたグリセリンのジ−及び/又はトリアクリレートが特に好ましい。特にとりわけ好ましくは、1〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジアクリレート又はトリアクリラートである。最も好ましいのは、3〜5箇所エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレート、特に3箇所エトキシ化されたグリセリンのトリアクリレートである。
【0028】
架橋剤b)の量は、そのつどモノマーa)に対して、一般に0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%、特にとりわけ好ましくは0.3〜0.6質量%である。
【0029】
開始剤c)としては、重合条件下でラジカルを生じる化合物全てが使用されることができ、これは例えば熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤である。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。しばしば、熱開始剤とレドックス開始剤からなる混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸を使用する。しかしながら還元性成分として好ましくは、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩と、重亜硫酸ナトリウムとからの混合物を使用する。このような混合物は、Brueggolite(R)FF6及びBrueggolite(R)FF7(Brueggeman Chemicals;Heilbronn;Germany)として入手可能である。超吸収不織布の製造には、しかし、しばしば光重合もされ、この場合には適した光開始剤が使用される。好ましい開始剤には水溶性アゾ化合物、例えば2,2′−アゾビス(2−(2−イミダゾール−2−イル))プロパンジヒドロクロリド及び2,2′−アゾビス(アミジノ)プロパンジヒドロクロリド、水溶性ベンゾフェノン、例えば4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼン−メタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−3−N,N,N−トリメチル−1−プロパン−アミニウムクロリド一水和物、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオアキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパン−アミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−1−[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルベンゼンメタンアミニウムクロリドが属する。特に好ましい開始剤組み合わせは、アゾ開始剤も2−ヒドロキシ−1−[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパンも含む。
【0030】
モノマー溶液又はモノマー懸濁液は、前記モノマー溶液又はモノマー懸濁液中に含まれる超吸収体を形成するモノマーを十分重合することができる十分な量の1種又は複数種の開始剤を含む。典型的には、この開始剤量は、モノマーa)の質量に対して、0.01〜5.0質量%の範囲内、好ましくは0.2〜2.0質量%の範囲内にある。
【0031】
酸基を有するエチレン性不飽和モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0032】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースを使用することができる。
【0033】
モノマー溶液は通常は溶剤又は懸濁剤f)を含む。大抵は溶液又は比較的少ない割合の不溶性成分を含有する懸濁液(例えば飽和溶液)で作業するので、以下には簡略化のために溶液のみを話題とする。不織布上へのモノマー溶液の満足のいく施与が可能である全ての溶剤又は溶剤混合物を使用できる。大抵は好ましくは水が使用される。前記モノマー溶液の水含有量は一般に少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも45質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%並びに一般に最高75質量%、特に最高70質量%、特に好ましくは最高65質量%である。前記モノマー溶液が不織布上に吹付けにより設けられる場合には、この水量は、良好に散布可能な溶液が得られるように調節される。任意に、このことは、増粘剤の使用によっても達成できる。一般にスプレー溶液の粘度は、そのつどブルックフィールド粘度計中で測定して、少なくとも20センチポワズ、好ましくは少なくとも30センチポワズ、特に好ましくは少なくとも40センチポワズ並びに一般に最高400センチポワズ、好ましくは最高150センチポワズ、特に好ましくは最高100センチポワズに調節される。水含有量が増えるにつれて、引き続く乾燥に際してのエネルギー消費量が増大し、水含有量が下がるにつれて、重合熱は不十分にしか除去することができない。
【0034】
モノマー溶液は任意に更なる添加剤又は助剤を含有する。このような添加剤又は助剤の例は、吸湿性物質(特に塩化ナトリウム、例えばWO2006/106096A1又はJP05/105705Aに記載されているようなもの)、可塑剤(例えばWO2007/023085A1に記載されているようなもの)、増粘剤又はそのように作用する物質、例えば微細分割した粒状超吸収体(WO01/56625A2に記載されているようなもの)である。
【0035】
モノマー溶液の製造の際のモノマー溶液の成分の添加順序は自体で特に重要でなく、しかし、安全技術的理由から開始剤を最後に添加することが好ましい。
【0036】
本発明の平面構造体の製造にはまず、モノマー溶液が担体材料として使用されるフォームに設けられる。設けるための簡易な方法は、フォームへのモノマー溶液の吹付け又は滴下、又はモノマー溶液でのフォームの含浸であり、より簡易にはパジング機又は比較可能な装置中でのモノマー溶液を通じたフォームテープ又はフォーム裁断物の導通であり、これによって、前もって定めた量の液体を平面構造体に設けることができる。
【0037】
モノマー溶液は典型的には、完成した超吸収体の含有量が引き続く乾燥後に一般に少なくとも20g/m2、好ましくは少なくとも40g/m2、特に好ましくは少なくとも40g/m2並びに一般に最高700g/m2、好ましくは最高500g/m2、特に好ましくは最高400g/m2を達成するような量で設けられる。
【0038】
好ましくは吹き付けられる。このスプレーは従来の全てのスプレー装置を用いて行うことができ、例えばノズルを通じて行うことができる。一成分ノズルも二成分ノズル(モノマー溶液をガスによって散霧する)も使用できる。ガスとして空気又は不活性ガス、例えば窒素、アルゴン又はヘリウムを使用でき、好ましくは空気、窒素又は窒素−空気−混合物の使用である。不活性ガス、例えば窒素の使用では、モノマー溶液からの酸素の除去を促進し、かつ、このようにして安定剤、例えばMEHQの重合抑制作用を減少する利点を有する。
【0039】
モノマー溶液をフォームに設けた後に、モノマーが重合するこの条件に供する。モノマー溶液中に含有される開始剤に応じて、この条件は、例えば熱、紫外線、電子線又はその組み合わせのモノマー溶液を有するフォームに対する影響を含む。重合は、例えばモノマー溶液を有するフォームをベルトコンベヤ、照射区域又は加熱区域を進行させることにより、不連続的に又は連続的に実施されることができる。
【0040】
重合が熱により開始される場合には、この反応装置には特別な制限は課せられない。不連続的に実施される重合では、このフォームに設けたモノマー溶液を炉中で空気又は不活性雰囲気又は真空中でも重合できる。連続的実施では、このフォームは乾燥器、例えば赤外線乾燥器、空気導通乾燥器等を進行する。重合温度は、フォームの厚さ、モノマー濃度及び/又はモノマー溶液中で使用される熱開始剤の種類及び量に依存して、個々の場合に許容できる残留モノマー濃度を別にして、完全な重合が達成されるように、選択される。熱重合は典型的には温度範囲20〜150℃、好ましくは40〜100℃で行われる。この重合時間は重合温度に適合されるが、しかし、典型的には数秒間〜2時間の範囲内、好ましくは数秒間〜10分間の範囲内にある。
【0041】
紫外線照射を用いた重合の開始では、通常は従来のUVランプの適用下で照射される。この照射条件、例えば照射強度及び照射時間は、使用されるフォームのタイプ、フォームに設けられるモノマー量、開始剤量及び/又は種類に応じて適合され、かつ、当業者に通常のように選択する。典型的にはこの照射はUVランプの適用下で、100〜700ワット/インチの範囲内で、好ましくは400〜600ワット/インチの範囲内の強度で、UVランプとフォームとの間隔2〜30センチメーターをおいて、0.1秒間〜10分間の時間で行われる。紫外線を用いた照射は、真空中で、不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等の存在下で又は空気中で行われることができる。この照射温度は重要でなく、その際、満足のいく結果を伴うこの吹き付けられたフォームの照射は大抵は室温で実施されることができる。
【0042】
電子線を用いた重合の開始では、例えば市販の電子線照射ユニット、例えばElectrocurtain(R) C B 175 (Energy Sciences, Inc., Wilmington, USA)が適する。150〜300キロボルトの範囲内で稼働する照射ユニットが使用できる。この典型的には1〜10ミリアンペアの範囲内にあるこのような設備の照射電流は、このイオン化照射線の所望の線量に調節されることができる。イオン化照射線のそのつどの線量はいくらか変動し、かつ、架橋性に作用するモノマーの存在又は非存在、ポリマーの所望の重合度、所望の架橋度等といった因子に応じて適合される。通常は、モノマー溶液を加えたフォームを線量約1〜16メガラド、好ましくは2〜8メガラドで照射することが所望される。特に、より少ない線量の適用の場合には、例えばフォームを設ける前に溶液を通じて窒素をバブリングすることによって、このモノマー溶液から酸素を取り除くことが所望される。この線量は好ましくは、フォームが劣化しないように選択される。
【0043】
重合後に、平面構造体を通常は乾燥し、例えば循環空気炉中での乾燥、加熱空気乾燥器の導通、赤外線ランプで照射した区域の導通又は平面状テープの乾燥のために他の好適かつ既知の他の手段及び装置によって乾燥される。超吸収体の所望の湿分含有量に達するまで乾燥させる。
【0044】
担体材料として使用されるフォームは、片側又は両側で重合すべきモノマー溶液を付加し、このようにして片側又は両側に超吸収体を備えることができる。
【0045】
所望の場合には、平面構造体は後処理されることができる。可能な後処理の例は、可塑剤、界面活性剤、その他のテキスタイル助剤を設けること、所望の湿分含有量を調節すること、又は、この超吸収体粒子の表面後架橋(しばしば単に「後架橋」ともいう)を行うことである。この手段は、組み合わせることもできる。添加剤は通常のように設けられ、例えば、平面構造体を前記添加剤(添加剤が液状である場合)、又はこの溶液中に浸漬及びパジング機中で過剰な液体の分離、液状又は溶解した添加剤での吹付け、ブラシ塗布又はスポンジ塗布及び引き続き通常のように乾燥することによって設けられる。
【0046】
適した表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2つのカルボキシラート基と共有結合を形成することができる基を含有する化合物である。適した化合物は、例えば多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(例えばEP83022A2、EP543303A1及びEP937736A2に記載)、二官能性又は多官能性のアルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。加えて、DE4020780C1の中で環状カーボネートが、DE19807502A1の中で2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1の中でビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1の中で2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE19854574A1の中でN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1の中で環状尿素が、DE10334584A1の中で二環状アミドアセタールが、EP1199327A2の中でオキセタン及び環状尿素が、またWO2003/31482A1の中でモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が適した後架橋剤として記載されている。好ましい後架橋剤は、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物及びプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールとからの混合物である。特にとりわけ好ましい後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。さらに、DE3713601A1に記載されているような、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を含有する後架橋剤も使用することができる。
【0047】
後架橋の場合には、後架橋剤の量は一般に、そのつど不織布中の超吸収体量に対して0.001〜2質量%、好ましくは0.02〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.2質量%である。
【0048】
本発明の更なる一実施態様においては、後架橋の前、間又は後に、後架橋剤の他に又は後架橋剤として多価カチオンが粒子表面上に設けられる。本発明による方法において使用することができる多価カチオンは例えば二価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、三価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、四価カチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウムが好ましい。金属塩以外に、多価カチオンとしてポリアミンも使用することができる。
【0049】
多価カチオンの使用量は、そのつどポリマー粒子に対して、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、特に好ましくは0.02〜0.8質量%である。
【0050】
通常、この後架橋は、後架橋剤の溶液を、乾燥した平面構造体に吹き付けるように実施される。この吹付けに引き続き、乾燥を行い、その際、後架橋反応は乾燥前にも乾燥中にも生じうる。吹付け(原則的に含浸によって設けることも可能である)及び乾燥は、モノマー溶液の重合について上記したように実施される。
【0051】
後架橋剤は、典型的には水溶液として使用される。非水性溶剤の含有量又は全溶剤量によって、超吸収体粒子中への後架橋剤の侵入深さを調整することができる。溶剤として水のみを用いる場合、界面活性剤を添加することが好ましい。それによって、濡れ挙動が改善され、かつ凝塊形成傾向が減少する。しかし、好ましくは、溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水及びプロピレングリコール/水が使用され、その際この混合質量比は好ましくは20:80〜40:60である。
【0052】
本発明の平面構造体は、任意に、テキスタイル材又は非テキスタイル材の更なる層1又は複数と積層して、湿分制御複合材又は湿分制御テキスタイルとすることができる。このような更なる層の例は、フォーム、クッション、不織布、織布、編地、ニット、人工皮革又は他のプラスチック平面構造体である。この種の更なる層のための材料は知られており、かつ、使用目的に応じて選択される。この積層は通常のように行われる。この場合に所望される物質結合(stoffschluessigen Verbindung)を生ずるためには、例えば面で又は接着剤ネットで接着するか又は、繊維を溶融、溶接(例えば熱又は超音波による)により結合させる。しかし、縫合又はステッチングにより層を積層することも同様に可能である。
【0053】
「複合材」とは、多層平面構造体を理解すべきである。大抵は、前記複合材は2層又は3層であり、しかし、その際、使用目的又は所望の特性に応じて更なる層も付加できる。経済的理由から、所望の特性を有する複合材を可能な限り少ない層から製造することが、常に試みられている。この種の複合材は例えば、座具又はマットレスのための被覆として、シートカバー、ヘッドライナー、フットマット又は内張として車両において又はその他のテキスタイル表面として使用される。
【0054】
複合材の1層はこの場合に上張材を形成し、これは複合材の使用箇所で、その外側にある、観察者又は利用者に向いた表面を形成し、かつ、複合材の少なくとも1の更なる層は本発明の平面構造体により形成される。本発明の平面構造体は複合材に湿分制御特性を付与する。
【0055】
本発明の平面構造体及び複合材は、特にマットレス及びシートクッションにおいて、例えば座具又は自動車シートにおいて並びにその他の室内内張又はフットマットにおいて湿分制御に素晴らしく適している。特に、本発明の平面構造体及び複合材が良好な耐湿性により優れていることが確認された。従ってこれらは常に湿分のある雰囲気における使用にも、例えば創傷被覆物としての使用にも適する。これらは特に良好に洗浄可能でもあり、かつ、テキスタイル、例えば安全被服及び機能被服において又はスポンジ又はワイプクロスにおける使用に適してもいる。
【0056】
本発明による平面構造体又は複合材を含むシートクッション又はマットレスは高められた座り心地又は寝心地を示し、というのも、複合材中の平面構造体が相対的な空気湿分を快い程度に制御し、かつ、過度の発汗を妨げるからである同時に、本発明の複合材は、吸収した湿分を未使用の相中に最適に再放出し、迅速に再生されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最高30mmの厚さを有することを特徴とする、連続気泡フォーム及び超吸収体を含む平面構造体。
【請求項2】
最高15mmの厚さを有することを特徴とする請求項1記載の平面構造体。
【請求項3】
最高5mmの厚さを有することを特徴とする請求項2記載の平面構造体。
【請求項4】
前記フォームが、ポリウレタンフォーム、ポリエステルフォーム、合成又は天然ラテックスフォームであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の平面構造体。
【請求項5】
前記超吸収体が、部分中和したアクリル酸を基礎とする架橋したポリマーであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の平面構造体。
【請求項6】
次の工程
i)フォームを調製する工程、
ii)少なくとも1の酸基を有するエチレン性不飽和モノマー少なくとも1を含む混合物を前記フォームに設ける工程、及び、
iii)前記混合物を重合して超吸収体にする工程
を含む、請求項1から5のいずれか1項に定義した平面構造体の製造方法。
【請求項7】
前記少なくとも1の酸基を有するエチレン性不飽和モノマーが、部分中和されたアクリル酸であることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記アクリル酸が少なくとも25mol%中和されていることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
湿分制御のための、請求項1から5のいずれか1項記載の平面構造体の使用。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか1項記載の平面構造体少なくとも1つを含む、複合材。

【公表番号】特表2013−505310(P2013−505310A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529211(P2012−529211)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063094
【国際公開番号】WO2011/032862
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】