説明

超電導回転機械のトルク伝達アセンブリ

ロータアセンブリは、同ロータアセンブリの極低温区域内に配置された超電導巻線アセンブリを備える。超電導巻線アセンブリは、その動作時にステータアセンブリに繋がる磁束を発生させる。ロータアセンブリは、第1チューブ及び第2チューブを含むトルク伝達アセンブリを更に備える。これら第1チューブ及び第2チューブは、超電導巻線アセンブリの外部において放射状の空間に配置され、ロータアセンブリの長手方向軸に沿って延びる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導回転機械の構造及び運転に関し、特に、超電導回転機械におけるトルク伝達アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
1960年代初期から、超電導電子機械が開発されている。これら機械における超電導巻線の利用により、その巻線によって生成された起磁力を有効に増大させるとともに、同機械における磁束の密度を増大させることができた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、超電導巻線が適切に動作するには、極低温が要求される。そのため、ロータアセンブリと出力軸との間でトルクを伝達するとともに、該機械の極低温区域に伝達される熱量を制限するアセンブリを含む超電導のモータ及び発電機が開発されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ロータアセンブリ及びこのようなロータアセンブリを備える回転機械(例えばモータ或いは発電機)に関する。このロータアセンブリは、回転機械のステータアセンブリ内において回転可能に構成されたタイプのものであり、同ロータアセンブリの非極低温区域に配列されたシャフトを有する。
【0005】
本発明の一形態において、ロータアセンブリは、同ロータアセンブリの極低温区域内に配置された超電導巻線アセンブリを備える。前記超電導巻線アセンブリは、その動作時にステータアセンブリに繋がる磁束を発生させる。前記ロータアセンブリは、第1チューブ及び第2チューブを含むトルク伝達アセンブリを更に備える。これら第1チューブ及び第2チューブは、前記超電導巻線アセンブリの外部において放射状の空間に配置され、前記ロータアセンブリの長手方向軸に沿って延びる。
【0006】
本発明のこの形態の実施例は、下記特徴のうち1又は2以上の特徴を有してもよい。前記トルク伝達アセンブリは、前記超電導巻線アセンブリに機械的に連結され、前記ロータアセンブリの前記非極低温区域と前記極低温区域との間において延びてもよい。前記ロータアセンブリは、フランジを更に備え、前記トルク伝達アセンブリは、軸方向に沿って前記フランジから前記超電導巻線アセンブリの一部を超えるように延びてもよい。前記第1チューブ及び前記第2チューブの長さは、前記超電導巻線アセンブリを確実に熱的隔離するように設定されてもよい。前記トルク伝達アセンブリは、同トルク伝達アセンブリを超電導巻線アセンブリに機械的に連結するリングを備えてもよい。例えば、第1リングが前記第1チューブを前記超電導巻線アセンブリに機械的に連結し、第2リングが前記第2チューブを前記超電導巻線アセンブリに連結してもよい。フランジは、チューブに機械的に連結してもよい。例えば、1つのチューブは、1つのフランジに機械的に連結されるとともに、軸方向に沿って前記超電導巻線アセンブリの一部を超えるように延び、別のチューブは、別のフランジに機械的に連結されるとともに、軸方向に沿って前記超電導巻線アセンブリの別の部分を超えるように延びてもよい。それらチューブの長さは、等しい値に設定されても、異なる値に設定されてもよい。それらチューブの間には、前記超電導巻線アセンブリを確実に熱的隔離する空間が設けられてもよい。その空間は、前記超電導巻線アセンブリを支持可能に形成されてもよい。それらチューブは、熱伝導材料(例えばインコネル)等、種々の材料により形成されてもよい。前記ロータアセンブリは、複数のスポークを備え、これらスポークは、前記超電導巻線アセンブリを前記シャフトに機械的に取り付けてもよい。前記チューブの1つは、溶接継手を介して前記リングに機械的に連結されてもよい。前記超電導巻線アセンブリは、高温の超電導体を備えてもよい。前記超電導巻線アセンブリは、支持チューブを備えてもよい。前記ロータアセンブリは、相対的に高速状態で応用されてもよい。例えば、少なくとも3000rpmの回転速度が応用されてもよい。
【0007】
本発明の一形態において、ロータ機械は、同ロータ機械の非極低温区域に配置されるシャフトとステータアセンブリとを備える。前記ロータ機械は、前記ステータアセンブリによって囲まれるロータアセンブリを更に備える。前記ロータアセンブリは、同ロータアセンブリの極低温区域内に配置された超電導巻線アセンブリを備える。前記超電導巻線アセンブリは、その動作時に前記ステータアセンブリに繋がる磁束を発生させる。前記ロータ機械は、トルク伝達アセンブリを更に備え、前記トルク伝達アセンブリは、前記超電導巻線アセンブリの外部における放射状空間に配置されて前記ロータアセンブリの長手方向軸に沿って延びる2つのチューブを備える。
【0008】
本発明のこの形態の実施例は、下記特徴のうち1又は2以上の特徴を有してもよい。前記ロータアセンブリは、フランジを備え、前記トルク伝達アセンブリは、軸方向に沿って前記フランジから前記超電導巻線アセンブリの一部を超えるように延びてもよい。前記チューブの長さは、前記超電導巻線アセンブリを確実に熱的隔離するように設定されてもよい。前記チューブの間には、前記超電導巻線アセンブリを確実的に熱的隔離する空間が設けられてもよい。前記チューブの間には、前記超電導巻線アセンブリを支持可能な空間が設けられてもよい。前記トルク伝達アセンブリは、前記第1チューブを前記超電導巻線アセンブリに機械的に連結するリングと、前記第2チューブを前記超電導巻線アセンブリに連結する別のリングとを備えてもよい。第1チューブは、第1フランジに機械的に連結されるとともに、軸方向に沿って前記超電導巻線アセンブリの一部を超えるように延び、第2チューブは、第2フランジに機械的に連結されるとともに、軸方向に沿って前記超電導巻線アセンブリの別の部分を超えるように延びてもよい。これらチューブは、1又は2以上の種類の熱伝導材料(例えばインコネル)及び合成材料から構成されていてもよい。
【0009】
本発明の1又は2以上の実施形態の詳細は、以下に添付の図面及び説明にある。本発明の他の特徴、目的及び利点は、それら説明、図面及び請求項により明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ロータアセンブリの断面斜視図。
【図1A】図1の部分拡大断面図。
【図2】ロータアセンブリの一具体例の2次元断面図。
【図3】ロータアセンブリの別の具体例の2次元断面図。
【図3A】図3におけるロータアセンブリのスポークの配列態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図1Aに、超電導同期機のロータアセンブリ10が示されている。この斜視図において、ロータアセンブリ10の内部構成を示すために、電磁シールド12の一部が切り取られている。例えば、ロータアセンブリ10の長手方向軸16に沿って延びるシャフト14が示されている。超電導巻線18は、運転中に、ステータアセンブリ(図示しない)に繋がる磁束を発生させる。所定の実施例において、電極を生成するために、超電導巻線は1つ或いは複数の位相に配列されてもよい(例えば、6極位相)。引用により本発明に組み入れられたアメリカ特許出願第09/359,497号に記載されたように(他の詳細構造とともに)、超電導巻線18は、磁束を有効に発生できる形状(例えばレーストラック状)に構成されてもよい。ロータアセンブリ10は、励磁機(図示しない)を更に備えている。引用により本発明に組み入れられたアメリカ特許出願第09/480,430号において、この励磁機の複数の例がより詳細に記載されている。
【0012】
ロータアセンブリ10は、巻線支持チューブ20を備えている。この巻線支持チューブ20は、極低温に維持されており、強度が高く、且つ延性のある金属(例えばステンレス鋼、インコネル、9ニッケル鋼、12ニッケル鋼等)により形成されている。9ニッケル鋼又は12ニッケル鋼の強磁性により、ステータアセンブリに繋がっている磁路における磁場を強めることができるため、9ニッケル鋼又は12ニッケル鋼により巻線支持チューブ20を構成することが好ましい。ロータアセンブリ10の外部におけるクライオクーラ(図示しない)は、ヘリウム等の冷却剤を同ロータアセンブリに供給する。以下においてより詳細に記載されるように、ロータアセンブリ10及びその構成要素は、特にトルクが大きい又は小さい状態で回転速度が相対的に高い場合に(例えば、3000rpm超過)、発電機の全体的な性能を向上させる特徴を有している。なお、このロータアセンブリ10の技術及び特性は、トルクが大きい又は小さい状態で回転速度が低い場合においても適用されることが可能である。
【0013】
より詳細には、ロータアセンブリ10は、同ロータアセンブリによって生成された回転力をシャフト14に伝達するための2つのトルクチューブ22,24を含んでいる。この実施形態において、ロータアセンブリ10からシャフト14に力を伝達するためのトルクチューブ22,24には、フランジ26,28がそれぞれ連結されている。そして、シャフト14は、例えばプロペラ、トランスミッションシステム、或いは他の類似の装置又はシステムに、この回転エネルギを伝達する。シャフト14は、一般的に、スチールによって形成され、冷却されない(即ち、周囲の温度に維持される)。所定の実施例において、単独のシャフト14又は周囲のスリーブに連結されたシャフト14を磁性の鋼や鉄等の強磁性の材料により形成することにより、磁気抵抗を低減することができる。これにより、ステータアセンブリに繋がっている磁路を通る磁束の量を増加させることができる。
【0014】
巻線支持チューブ20は、超電導巻線18がその巻かれた形状(例えばレーストラック状)を維持できるように、同超電導巻線18を支持している。回転速度が相対的に高い使用状態においては、超電導巻線18は、巻線支持チューブ20の内部に取り付けられる。こうした構成において、巻線支持チューブ20は、超電導巻線18よりも長手方向軸16から径方向に沿って離れた位置に配置される。このような回転速度では、求心力が巻線を径方向に沿って外側に押すことがある。超電導巻線18が支持チューブ20によって被覆されることにより、巻線は、確実に適切な位置に保持されてその形状を維持する。
【0015】
トルクチューブ22,24は、ロータアセンブリ10の相対的に高い回転速度での使用のために設けられた巻線支持チューブ20の径方向の外部に配置されている。図1において強調されたロータアセンブリ10の部分は、図1Aにおいて拡大されている。図1Aにより明瞭に示されるように、トルクチューブ22は、巻線支持チューブ20と電磁シールド12との間に配置され、ロータアセンブリ10の長手方向軸16に沿って延びている。図示していないが、トルクチューブ24は、巻線支持チューブ20と電磁シールと12との間において、径方向における類似の位置に配置されている。
【0016】
ロータアセンブリ10の回転力を伝達するとともに、高温部品と低温部品との間の熱量伝達を最小限にするために、トルクチューブ22の一端は、その外周においてシャフト14から放射状に延びるフランジ26に機械的に(例えば溶接)連結されている。同様に、ロータアセンブリ10の反対側の端部に位置するフランジ28(図1に示す)は、トルクチューブ24に連結されている。これらトルクチューブ22,24は、長手方向軸16に沿って延びることにより、巻線支持チューブ20及び超電導巻線18の端部を被覆している。
【0017】
トルクの伝達及び超電導巻線18に対する機械的な支持に加えて、トルクチューブ22,24は、巻線の極低温部分とシャフト14等、ロータアセンブリ10における周囲温度の部分とを熱的に隔離することができる。機械的な支持及び熱的隔離を可能にするために、例えばインコネル(例えばインコネル718)、チタン合金(例えばTi6Al4V)、又は他の類似の金属材料等、剛性が高く、且つ熱伝導率が低い材料により、トルクチューブ22,24の一方又は双方を形成することができる。上述の構造特性及び熱特性を提供するために、合成材料、又は金属材料と合成材料との組合せによりこれらトルクチューブ22,24を形成することもできる。
【0018】
トルクチューブ22,24が高剛性の材料により形成されるため、ロータアセンブリ10が相対的に高速運転の状態にある場合であっても、それらトルクチューブの長手方向軸16に沿った長さが相対的に長く設定されることが可能である。トルクチューブ22,24の長さ及びそれらの低熱伝導率により、高温部品から低温部品(例えば超電導巻線18、巻線支持チューブ20)への熱伝達を低減するとともに、巻線からシャフト14にトルクを有効に伝達することができる。以下に説明するように、トルクチューブの長さを調整することにより、適切な支持及び熱的隔離を提供することができる。
【0019】
巻線支持チューブ20が極低温に保持されているため、同支持チューブのサイズが縮小することがある。例えば、その低温により、巻線支持チューブ20の長さが縮小することがある。トルクチューブ22,24は、一般的に巻線支持チューブ20よりも堅い。例えば、トルクチューブ22のバネ定数が巻線支持チューブ20のバネ定数よりも遥かに小さく設定されてもよい。トルクチューブ22,24が変形し難いため、これらトルクチューブにおいて発生する応力が少ない。更に、これらトルクチューブの低い熱伝導性により、ロータアセンブリ10における極低温区域と周囲温度区域との間の熱伝達を低減することができる。
【0020】
図2において、ロータアセンブリ10の2次元断面図は、極低温に保持され、超電導巻線18及び巻線支持チューブ20等の部品を備える超電導巻線アセンブリ30を示している。ロータアセンブリ10の放射相称により、ここでは、同アセンブリの上部のみについて説明する。なお、この説明は、同アセンブリの下部にも該当する。ロータアセンブリ10は、トルク伝達アセンブリ32を更に備えており、このトルク伝達アセンブリ32は、2つのフランジ26,28を介してトルクをシャフト14にそれぞれ伝達する2つのトルクチューブ22,24等の部品を含む。トルク伝達アセンブリ32は、ロータアセンブリ10における環境温度の部分から超電導巻線アセンブリ30を熱的に隔離している。
【0021】
この実施形態において、各トルクチューブ22,24の端部は、巻線支持チューブ20の径方向の外部に位置するリング34,36にそれぞれ取り付けられている。例えば、トルクチューブ22の1つの端部は、リング34に機械的に取り付けられており(例えば溶接)、トルクチューブ24の1つの端部は、リング36に取り付けられている。ロータアセンブリ10の長手方向軸16において、それらトルクチューブは所定の距離で分離されている。距離X1によって示されるようにトルクチューブ22,24の間隔は、これらトルクチューブの長さ、ロータアセンブリ10の長さ、及び長手方向軸16におけるリング34,36の位置によって決められる。
【0022】
本実施形態において、トルクチューブ22,24のいずれもが巻線支持チューブ20の一部を越えるように延びている。例えば、トルクチューブ22は、巻線支持チューブ20において長さXOL1を有する部分を越えるように延びており、トルクチューブ24は、巻線支持チューブにおいて長さXOL2によって示される部分を越えるように延びている。トルクチューブ22,24と巻線支持チューブ20とのオーバーラップにより、長手方向軸16に沿ってロータアセンブリ10の長さを延長せずに、トルクチューブ22,24を相当な長さに延長することができる。トルクチューブ22,24が巻線支持チューブ20と平行に配置された場合(径方向における長手方向軸との距離が同じ)には、そのようにならない。
【0023】
トルクチューブ22,24の長さが増加することにより、分離距離X1が減少し、トルク伝達アセンブリ10において応力が低減される。更に、トルクチューブの材料の低い熱伝導率により、それらの長さの増加に伴い、トルクチューブから伝達される熱負荷が減少する。例えば、付録Aに示されるように、図2に示されるロータアセンブリ10のためのトルク分析が実行される。この分析では、分離距離X1の値は、22.5インチ(57.2cm)に設定されている。この計算(Mathsoft Corporation of Needham,MAにより作成されたMathCadプログラムにおいて述べられる)により、トルクチューブにおける応力は約53ksi(365Mpa)であり、トルクチューブから伝達される熱負荷は約39ワットである。以下に説明するように、その分離距離を減少させることにより、熱負荷とともに応力を低減することができる。その分離距離を「0」に向けて減少させることにより、応力と熱負荷とを最小限に低減することができる。しかしながら、分離距離の値が「0」になると、2つのリング34,36が隣接する位置に配設されることとなり、これらリング34,36と巻線支持チューブ20との接触点が1つのみになる。これにより、機械的安定性が低下するおそれがある。そのため、分離距離は、一般的に非「0」の値に設定される。
【0024】
所定の実施例において、巻線支持チューブ20は、ステンレス鋼等の金属材料又は合成材料等の非金属材料により形成される。同様に、リング34,36の一方又は双方が金属材料(例えばインコネル)、合成材料、又は金属材料と合成材料との組合せにより形成されてもよい。
【0025】
図3に、ロータアセンブリ10の別の実施形態の2次元断面が示されている。この実施形態において、2つのトルクチューブ22,24の長さは、図2に示されるトルクチューブよりも長い。これに対応して、2つのトルクチューブの分離距離X2は、図2の分離距離X1よりも小さい。トルクチューブ22,24の分離距離を減少させることにより、これらトルクチューブにおける応力及びトルクチューブから伝達される熱負荷が減少する。例えば、各トルクチューブ22,24のバネ定数が巻線支持チューブ20のバネ定数よりも小さいため、各トルクチューブが巻線支持チューブよりも遥かに小さく収縮する。例えば、トルクチューブ22は、巻線支持チューブ20が収縮する長さの半分だけ収縮することが可能である。
【0026】
付録Bには、7.5インチ(19.1cm)にまで減少した分離距離X2のためのトルクチューブ22,24のトルク分析が示されている。この分析に示されるように、応力は約44ksi(303Mpa)であり、この値は、それらトルクチューブが距離X1(即ち、53ksi((365Mpa)))分離した場合の応力と比較して、遥かに低減された。また、この分析に示されるように、トルクチューブから伝達される熱負荷は約33ワットであり、この値は、分離距離X1に対応する熱負荷よりも小さい。このように、トルクチューブ22,24の長さを延長するとともに、これに対応してその分離距離を減少させることにより、それらトルクチューブにおける応力及び熱負荷が低減される。
【0027】
図2及び図3に示される典型的なロータアセンブリにおいて、トルクチューブ22,24は等しい長さを有しているが、所定の実施形態において、それらトルクチューブが異なる長さを有してもよい。また、ロータアセンブリ10において、トルクチューブ22,24は、分離距離(即ちX1又はX2)の中点に関して対称に配置されている。しかしながら、所定の実施形態において、トルクチューブがその分離距離の中点に対して非対称に配置されてもよい。
【0028】
例えばロータアセンブリ10が相対的に高い速度で運転している発電機に搭載された場合には、巻線支持チューブ20への補助支持があってもよい。例えばスポーク38(図3に示す)がロータアセンブリ10に組み込まれることにより、径方向において巻線支持チューブ20を補助的に支持することができる。図3Aに示されるように、スポーク38を均等に(即ち、45°間隔)配置することができるが、所定の実施形態において、同スポークが非均等に配置されてもよい。スポーク38は、ロータアセンブリ10の他の部品を支持するように配置されてもよい。例えば、スポーク38は、シャフト14とトルクチューブ22との間に配置されることが可能である。必要な支持に基づき、スポークの間隔とともにスポークの数を変更することができる。更に、例えばインコネル718、チタン合金(例えばTi6A14V)、又は合成材料等の高強度且つ低熱伝導率の材料によりスポーク38を形成することにより、周囲温度のシャフト14とロータアセンブリ10の低温部品との間の熱伝達を低減することができる。
【0029】
請求項の範囲には、更なる実施形態が含まれている。例えば、図3に示されるロータアセンブリは、シャフト14を巻線支持チューブ20に連結するスポーク38を一組備えているが、巻線支持チューブの反対側の端部において一組又は二組以上のスポークを追加して配置することにより支持を提供することができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械のステータアセンブリ内に回転可能に設けられたロータアセンブリであって、同ロータアセンブリにおける非極低温区域内に設けられたシャフトを備えるロータアセンブリにおいて、
前記ロータアセンブリの極低温区域内に配置されて動作時に前記ステータアセンブリに繋がる磁束を発生させる超電導巻線アセンブリと、
前記超電導巻線アセンブリの外部における放射状空間に配置されて前記ロータアセンブリの長手方向軸に沿って延びる第1チューブと第2チューブとを有するトルク伝達アセンブリとを備える
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記トルク伝達アセンブリは、前記超電導巻線アセンブリに機械的に連結され、前記ロータアセンブリの前記非極低温区域と前記極低温区域との間において延びる
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
フランジを更に備え、
前記トルク伝達アセンブリは、軸方向に沿って前記フランジから前記超電導巻線アセンブリの一部を越えるように延びる
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記第1チューブ及び前記第2チューブの長さは、確実に前記超電導巻線アセンブリを熱的に隔離するように設定される
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記トルク伝達アセンブリは、同トルク伝達アセンブリを超電導巻線アセンブリに機械的に連結するリングを備える
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記トルク伝達アセンブリは、前記第1チューブを前記超電導巻線アセンブリに機械的に連結する第1リングと、前記第2チューブを前記超電導巻線アセンブリに連結する第2リングとを備える
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記第1チューブは、第1フランジに機械的に連結されるとともに、軸方向に沿って前記超電導巻線アセンブリの一部を越えるように延び、
前記第2チューブは、第2フランジに機械的に連結されるとともに、軸方向に沿って前記超電導巻線アセンブリの別の部分を越えるように延びる
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記第1チューブの長さと前記第2チューブの長さとは異なる
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記第1チューブと前記第2チューブとの間には、確実に前記超電導巻線アセンブリを熱的に隔離する空間が設けられる
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記第1チューブ及び前記第2チューブの長さは、前記超電導巻線アセンブリを支持可能に設定される
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記第1チューブは、熱伝導材料を含む
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のロータアセンブリにおいて、
前記熱伝導材料は、インコネルを含む
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項13】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
複数のスポークを更に備え、
各前記スポークは、径方向において前記超電導巻線アセンブリを前記シャフトに機械的に取り付ける
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記第1チューブは、溶接継手を介してリングに機械的に連結される
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項15】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記超電導巻線アセンブリは、高温の超電導体を備える
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項16】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
前記超電導巻線アセンブリは、支持チューブを備える
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項17】
請求項1に記載のロータアセンブリにおいて、
少なくとも3000rpmのスピードで回転可能に構成される
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項18】
非極低温区域と、前記非極低温区域に配置されたシャフトと、ステータアセンブリと、前記ステータアセンブリによって囲まれるロータアセンブリとを備えるロータ機械であって、
前記ロータアセンブリは、同ロータアセンブリの極低温区域内に配置されて動作時に前記ステータアセンブリに繋がる磁束を発生させる超電導巻線アセンブリと、前記超電導巻線アセンブリの外部における放射状空間に配置されて前記ロータアセンブリの長手方向軸に沿って延びる第1チューブと第2チューブとを有するトルク伝達アセンブリを備える
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項19】
請求項18に記載のロータ機械において、
前記ロータアセンブリは、フランジを備え、
前記トルク伝達アセンブリは、軸方向に沿って前記フランジから前記超電導巻線アセンブリの一部を越えるように延びる
ことを特徴とするロータ機械。
【請求項20】
請求項18に記載のロータ機械において、
前記第1チューブ及び前記第2チューブの長さは、確実に前記超電導巻線アセンブリを熱的に隔離するように設定される
ことを特徴とするロータ機械。
【請求項21】
請求項18に記載のロータ機械において、
前記第1チューブと前記第2チューブとの間には、確実に前記超電導巻線アセンブリを熱的に隔離する空間が設けられる
ことを特徴とするロータ機械。
【請求項22】
請求項18に記載のロータ機械において、
前記第1チューブと前記第2チューブとの間には、前記超電導巻線アセンブリを支持可能な空間が設けられる
ことを特徴とするロータ機械。
【請求項23】
請求項18に記載のロータ機械において、
前記トルク伝達アセンブリは、前記第1チューブを前記超電導巻線アセンブリに機械的に連結する第1リングと、前記第2チューブを前記超電導巻線アセンブリに連結する第2リングとを備える
ことを特徴とするロータ機械。
【請求項24】
請求項18に記載のロータ機械において、
前記第1チューブは、第1フランジに機械的に連結されるとともに、軸方向に沿って前記超電導巻線アセンブリの一部を越えるように延び、
前記第2チューブは、第2フランジに機械的に連結されるとともに、軸方向に沿って前記超電導巻線アセンブリの別の部分を越えるように延びる
ことを特徴とするロータ機械。
【請求項25】
請求項18に記載のロータ機械において、
前記第1チューブは、インコネルを含む
ことを特徴とするロータ機械。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【公表番号】特表2010−502172(P2010−502172A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526954(P2009−526954)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/078384
【国際公開番号】WO2008/036545
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(500117059)アメリカン スーパーコンダクター コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】AMERICAN SUPERCONDUCTOR CORPORATION
【Fターム(参考)】