説明

超音波フェイズドアレイ送受波器

【課題】 必要とされる超音波振動子の数および変成器の数が少なく、組立が簡単で安価な超音波フェイズドアレイ送受波器を提供すること。
【解決手段】 放射面に設置された表面電極と対向面に設置された裏面電極とを有する超音波振動子2が平面上に10行、10列に配置された超音波振動子群と、平衡2次側の端子F1、F2を有する変成器T1、および平衡2次側の端子R1、R2を有する変成器T2とを備え、各行の中心間隔および各列の中心間隔Pを、超音波の水中での波長をλとするとき、0.75λ≦P≦1.25λに設定し、表面電極を各行毎に結線して行結線群31とし、裏面電極を各列毎に結線して列結線群32とし、行結線群31を奇数行の結線群と偶数行の結線群とに分けて、一方の変成器T1の平衡2次側の端子F1、F2に接続し、列結線群32を奇数列の結線群と偶数列の結線群とに分けて他方の変成器T2の平衡2次側の端子R1、R2に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中超音波ビームを形成する超音波振動子のフェイズドアレイに関し、特に超音波振動子の配列接続方法と駆動方式の改善によって小型軽量化した超音波フェイズドアレイ送受波器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中においては、超音波のドップラー効果を利用する速度計や超音波の伝搬時間を利用する高度計が多く使用されている。この種の高度計や速度計に用いられる代表的な送受波器は、放射された超音波ビームの先端が超音波の到達平面に形成された正方形の頂点に位置するように4つの超音波ビームを放射する直交4ビームと呼ばれる超音波ビームを持つ送受波器である。
【0003】
直交4ビームは到達平面図上の配置として+字型と×字型とがあり、超音波ビームの放射角度は、水平方向からの角度である俯角が60度、すなわち、鉛直線を基準としたビーム仰角で30度とするのが代表的である。
【0004】
従来の送受波器は、水中音波の波長の10〜20倍の直径を有する円盤状の超音波振動子を4個使用し、それらを超音波振動子の放射面の方向に予め仰角を持たせて送受波器内に配置する構造となっている。
【0005】
しかしこの構造による送受波器は形状が大きいため、これを小型にすべく、各種の試みがなされている。例えば、矩形板状の小さな超音波振動子を平面上に配列し、前記の円盤状の超音波振動子1個と同程度の大きさで直交4ビームを放射できる送受波器の提案がされている。
【0006】
このように矩形板状の小さな超音波振動子を平面配列してなる送受波器は、超音波フェイズドアレイ送受波器と呼ばれる。速度や高度等の算出方法は、前記の従来の送受波器と同じであり、4つの超音波ビームの反射波を検出しその受信信号から速度や高度等が算出できる。このような超音波フェイズドアレイ送受波器は、特許文献1または特許文献2に開示されている。
【0007】
図4は、従来の超音波フェイズドアレイ送受波器で得られる送信指向性のチャート図の一例である。超音波振動子の超音波の放出面に垂直な方向から±30度の方向に2つの超音波ビームが放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−197595号公報
【特許文献2】特開2001−305217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記の特許文献1に記載の超音波フェイズドアレイ送受波器を用いた場合は、矩形板状の小さな超音波振動子が数百個必要になるため組立が複雑で高価になるという問題があった。また、特許文献2に記載の超音波フェイズドアレイ送受波器を用いた場合は、超音波振動子の必要数は減少するが、超音波振動子に接続される変成器が4個必要となり、装置構成や動作が複雑になるという問題があった。
【0010】
従って、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、必要とされる超音波振動子の数および変成器の数が少なく、組立が簡単で安価な超音波フェイズドアレイ送受波器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の超音波フェイズドアレイ送受波器は、超音波を放射する放射面に設置された表面電極とその対向する面に設置された裏面電極とを有する超音波振動子が平面上にN行、M列(NとMは正の整数)となるように行列配置されてなる超音波振動子群と、それぞれ2つの平衡2次側の端子と1次側の端子とを有する第一の変成器および第二の変成器とを有し、前記N行の各行を成す超音波振動子の中心間の間隔P1および前記M列の各列を成す超音波振動子の中心間の間隔P2が、前記超音波が伝播する媒体中での波長をλとするとき、0.75λ≦P1≦1.25λ、0.75λ≦P2≦1.25λであって、前記表面電極を各行毎に結線してN本の行結線群とし、前記裏面電極を各列毎に結線してM本の列結線群とし、Kを0または正の整数とするとき、前記N本の行結線群を(1+2K)行を成す奇数行結線群と(2+2K)行を成す偶数行結線群との2つのグループに分けてそれぞれのグループを結線し、前記M本の列結線群を(1+2K)列を成す奇数列結線群と(2+2K)列を成す偶数列結線群との2つのグループに分けてそれぞれのグループを結線し、前記奇数行結線群と前記偶数行結線群をそれぞれ前記第一の変成器の平衡2次側の端子に接続し、前記奇数列結線群と前記偶数列結線群をそれぞれ前記第二の変成器の平衡2次側の端子に接続したことを特徴とする。
【0012】
また、前記第一の変成器および第二の変成器の1次側の端子にそれぞれ接続され該1次側の端子へ送信波を送出しかつ該1次側の端子から受信波を受信する機能を有する2つの送受波切替回路と、該2つの送受波切替回路に送信波を送出する機能を有する送波ビーム切替回路と、前記2つの送受波切替回路からの受信波の一方のみを切り替えて出力する機能を有する受波ビーム切替回路と、該受波ビーム切替回路からの受信信号を入力し該受信信号を高速フーリエ変換処理する機能を有する高速フーリエ変換処理回路とを有してもよい。
【0013】
また、前記第一の変成器への送信波の送出により、前記超音波振動子群のほぼ中心を通り前記放射面に垂直な直線、すなわち中心線を含み、前記N行に配列された超音波振動子の行間隔方向に平行な平面内にあって、かつ前記中心線に対して互いに対称な方向に伝播軸を有する2つの超音波ビーム、すなわち縦ツインビームを送出する機能と、前記第二の変成器への送信波の送出により、前記中心線を含み、前記M列に配列された超音波振動子の列間隔方向に平行な平面内にあって、かつ前記中心線に対して互いに対称な方向に伝播軸を有する2つの超音波ビーム、すなわち横ツインビームを送出する機能とを有し、前記高速フーリエ変換処理回路は、前記縦ツインビームを成す2つの超音波ビームのそれぞれの超音波ビームの反射による受信信号の周波数を分離する機能、および前記横ツインビームを成す2つの超音波ビームのそれぞれの超音波ビームの反射による受信信号の周波数を分離する機能を有してもよい。
【0014】
また、当該超音波フェイズドアレイ送受波器は移動体に搭載されるものであって、前記縦ツインビームを成す2つの超音波ビームの伝播軸を含む面および前記横ツインビームを成す2つの超音波ビームの伝播軸を含む面が前記移動体の進行方向に対して45度の角度を成すように配置してもよい。
【0015】
また、前記超音波振動子の放射面は正方形または円形であることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の超音波フェイズドアレイ送受波器では、上記のように、従来の矩形板状の小さな超音波振動子の寸法、配列方法および接続方法を従来の方法より変更し、さらに高速フーリエ変換(FFT)処理回路を追加することにより、必要とされる超音波振動子の数および変成器の数が少なく、組立が簡単で安価な超音波フェイズドアレイ送受波器が得られる。例えば、特許文献1の超音波フェイズドアレイ送受波器では、超音波振動子の数量が292個必要であったのに対し、本発明では超音波振動子の数量を60個に減らすことができ、また、変成器の数も2個と少ない。本発明の超音波フェイズドアレイ送受波器により組立が簡単で安価な小型の高度計や速度計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による超音波フェイズドアレイ送受波器の一実施の形態の構成図。
【図2】本実施の形態の超音波フェイズドアレイ送受波器による超音波ビームを示す斜視図。
【図3】本実施の形態の超音波フェイズドアレイ送受波器で得られる送信指向性のチャート図の一例。
【図4】従来の超音波フェイズドアレイ送受波器で得られる送信指向性のチャート図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明による超音波フェイズドアレイ送受波器の一実施の形態の構成図であり、超音波振動子の配列とそれらと変成器との結線の状態、および信号処理の入出力回路の構成、さらに放射される超音波ビームの方向を示している。
【0020】
図1において、本実施の形態の超音波フェイズドアレイ送受波器1Aは超音波を放射する正方形の放射面に設置された表面電極とその対向する面に設置された裏面電極とを有する超音波振動子2が平面上にN行、M列(ここでは、N=10、M=10)となるように行列配置されてなる超音波振動子群と、2つの平衡2次側の端子F1、F2と1次側の端子とを有する変成器T1、および、2つの平衡2次側の端子R1、R2と1次側の端子とを有する変成器T2とを備えている。また、10行の各行を成す超音波振動子2の中心間の間隔P1および10列の各列を成す超音波振動子2の中心間の間隔P2は、超音波が伝播する水中での波長をλとするとき、0.75λ≦P1≦1.25λ、0.75λ≦P2≦1.25λを満たす値に設定している。さらに、超音波振動子2の表面電極を各行毎に結線して10本の行結線群31とし、超音波振動子2の裏面電極を各列毎に結線して10本の列結線群32とし、さらに10本の行結線群31を奇数行を成す奇数行結線群と偶数行を成す偶数行結線群との2つのグループに分けてそれぞれのグループを結線し、同様に10本の列結線群32を奇数列を成す奇数列結線群と偶数列を成す偶数列結線群との2つのグループに分けてそれぞれのグループを結線し、奇数行結線群と偶数行結線群をそれぞれ変成器T1の平衡2次側の端子F1、F2に接続し、奇数列結線群と偶数列結線群をそれぞれ変成器T2の平衡2次側の端子R1、R2に接続している。
【0021】
また、本実施の形態では、変成器T1および変成器T2の1次側の端子にそれぞれ接続されこれらの1次側の端子へ送信波を送出しかつこれらの1次側の端子から受信波を受信する機能を有する2つの送受波切替回路4A、4Bと、送受波切替回路4Aおよび4Bに送信波を送出する機能を有する送波ビーム切替回路5と、送受波切替回路4Aおよび4Bからの受信波の一方のみを切り替えて出力する機能を有する受波ビーム切替回路6と、受波ビーム切替回路6からの受信信号を入力しその受信信号を高速フーリエ変換処理する機能を有するFFT処理回路7とを備えている。
【0022】
超音波振動子2の具体的一例としては、その形状を、縦9.5mm、横9.5mm、高さ約10mmのブロックとし、このブロックの縦と横の成す正方形面の2面に電極を設け一方を正極、他方を負極としたものを使用することができる。
【0023】
また、図1に示すように、超音波振動子2の数を60個とし、上から下に行番号を1行目〜10行目とし、右から左に列番号を1列目〜10列目となるように行列配列する。超音波振動子2の配列は、超音波振動子2の正極を表面電極にし、負極を裏面電極として表面電極が表になるように揃える。ここで、図1のように、各行、各列とも同数個の超音波振動子2を配列するのではなく、配列された超音波振動子群の超音波放出面の外形を円形に近づけるように、各行、各列とも配列する超音波振動子2の数を調整している。
【0024】
送受波切替回路4A、4Bは、送信信号と受信信号の流れる方向の切り替えを行う。ここで、送波ビーム切替回路5は、送受波切替回路4Aおよび送受波切替回路4Bに送波信号を切り替えて送る回路である。
【0025】
図2は、図1に示した本実施の形態の超音波フェイズドアレイ送受波器による超音波ビームを示す斜視図である。送波ビーム切替回路5から送受波切替回路4Aを通して変成器T1へ送出された送信波により、超音波振動子群1Bのほぼ中心を通り放射面に垂直な中心線10を含み、各行に配列された超音波振動子2の行間隔方向に平行な平面内にあって、中心線10に対して互いに対称な方向に伝播軸を有する2つの超音波ビーム9A,9Cからなる縦ツインビームが送出され、送受波切替回路4Bを通して変成器T2へ送出された送信波により、中心線10を含み、各列に配列された超音波振動子2の列間隔方向に平行な平面内にあって、中心線10に対して互いに対称な方向に伝播軸を有する2つの超音波ビーム9B,9Dからなる横ツインビームが送出される。超音波振動子2の配列方向に対する超音波ビームの放射方向を図1の破線に示す。
【0026】
本実施の形態の超音波フェイズドアレイ送受波器を移動体に搭載するとき、図2に示すように、その移動体の進行方向をX方向とするとき、縦ツインビームを成す2つの超音波ビーム9A、9Cの伝播軸9AP、9CPを含む面および横ツインビームを成す2つの超音波ビーム9B、9Dの伝播軸9BP、9DPを含む面がX方向に対して45度の角度を成すように配置する。すなわち、進行方向に対して×字型に配置する。
【0027】
FFT処理回路7は、超音波ビーム9A、9Cのそれぞれの超音波ビームの反射による受信信号の周波数を分離する機能、および超音波ビーム9B、9Dのそれぞれの超音波ビームの反射による受信信号の周波数を分離する機能を有している。すなわち、超音波ビーム9Aと超音波ビーム9Cからの反射波の合成波信号にFFT処理を実施し、それぞれの反射波の周波数を算出する。速度計として使用する場合、移動体が停止していればドップラー周波数偏倚はなく超音波ビーム9Aと超音波ビーム9Cの反射波からは送信周波数と同じ周波数foの1つの周波数が算出される。移動体が航走していれば水中で使用する主な航走体の航走方向は波等によりX方向からのずれが生ずるが、超音波ビーム9Aは前方であるためその反射波の周波数として前方向と右方向の合成周波数fo+Δf、超音波ビーム9Cは後方であるためその反射波の周波数として後方向と左方向の合成周波数fo−Δf(ここでΔfはドップラー周波数偏倚)の2つの周波数が算出される。
【0028】
同様に、超音波ビーム9Bと超音波ビーム9Dからの反射波の合成波信号にFFT処理を実施し、それぞれの反射波の周波数を算出する。速度計として使用する場合、移動体が停止していればドップラー周波数偏倚はなく同じ周波数foの1つの周波数が算出され、航走していれば前方にある超音波ビーム9Bの反射波の周波数として前方向と左方向の合成周波数fo+Δf、後方にある超音波ビーム9Dの反射波の周波数として後方向と右方向の合成周波数fo−Δf、の2つの周波数が算出される。
【0029】
図3は、本実施の形態の超音波フェイズドアレイ送受波器で得られる送信指向性のチャート図の一例を示す。送波ビーム切替回路5により送受波切替回路4Aに送信信号を送り発生させた超音波ビーム9Aと超音波ビーム9Cからなる縦ツインビームと、送波ビーム切替回路5により送受波切替回路4Bに送信信号を送り発生させた超音波ビーム9Bと超音波ビーム9Dからなる横ツインビームについてシミュレーションした結果である。図4に示した従来の超音波フェイズドアレイ送受波器と同様に超音波振動子の超音波の放出面に垂直な方向から±30度の方向に2つの超音波ビームが放出されており、従来よりもサイドローブの少ない良好な指向性が得られている。
【0030】
以上のように、本発明による超音波フェイズドアレイ送受波器では、超音波振動子を行および列方向をおよそ超音波の波長の間隔で配列し、それらの電極を適切に結線して2つの変成器に接続すること、縦及び横ツインビームからの反射による受波信号をFFT処理で分離検出することにより、超音波振動子の数および変成器の数が減り、配線等の組立が容易になる。
【0031】
本発明による超音波フェイズドアレイ送受波器は、ドップラー効果を利用する速度計や伝搬時間を利用する高度計などの測定や測量を水中で行う計測機器に広く利用することができる。
【0032】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではないことはいうまでもなく、目的や用途に応じて設計変更可能である。例えば、変成器に送信信号を送出する部分の回路の構成や変成器からの受信信号を検出する部分の回路の構成は上記の実施の形態に限定されるものではなく、超音波フェイズドアレイ送受波器に対する要求機能、要求性能によって回路機能の変更や追加が可能である。また、超音波振動子の放射面の形状も正多角形、正方形に近い長方形、円形に近い楕円形なども可能であり、その配列の間隔についても多少のばらつきは許容可能である。超音波振動子の数も要求性能によって設計可能である。
【符号の説明】
【0033】
2 超音波振動子
5 送波ビーム切替回路
6 受波ビーム切替回路
7 FFT処理回路
10 中心線
31 行結線群
32 列結線群
1A 超音波フェイズドアレイ送受波器
1B 超音波振動子群
4A、4B 送受波切替回路
9A、9B、9C、9D 超音波ビーム
9AP、9BP、9CP、9DP 伝播軸
F1、F2、R1、R2 平衡2次側の端子
T1、T2 変成器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を放射する放射面に設置された表面電極とその対向する面に設置された裏面電極とを有する超音波振動子が平面上にN行、M列(NとMは正の整数)となるように行列配置されてなる超音波振動子群と、それぞれ2つの平衡2次側の端子と1次側の端子とを有する第一の変成器および第二の変成器とを有し、
前記N行の各行を成す超音波振動子の中心間の間隔P1および前記M列の各列を成す超音波振動子の中心間の間隔P2が前記超音波が伝播する媒体中での波長をλとするとき、0.75λ≦P1≦1.25λ、0.75λ≦P2≦1.25λであって、
前記表面電極を各行毎に結線してN本の行結線群とし、前記裏面電極を各列毎に結線してM本の列結線群とし、Kを0または正の整数とするとき、前記N本の行結線群を(1+2K)行を成す奇数行結線群と(2+2K)行を成す偶数行結線群との2つのグループに分けてそれぞれのグループを結線し、前記M本の列結線群を(1+2K)列を成す奇数列結線群と(2+2K)列を成す偶数列結線群との2つのグループに分けてそれぞれのグループを結線し、
前記奇数行結線群と前記偶数行結線群をそれぞれ前記第一の変成器の平衡2次側の端子に接続し、前記奇数列結線群と前記偶数列結線群をそれぞれ前記第二の変成器の平衡2次側の端子に接続したことを特徴とする超音波フェイズドアレイ送受波器。
【請求項2】
前記第一の変成器および第二の変成器の1次側の端子にそれぞれ接続され該1次側の端子へ送信波を送出しかつ該1次側の端子から受信波を受信する機能を有する2つの送受波切替回路と、該2つの送受波切替回路に送信波を送出する機能を有する送波ビーム切替回路と、前記2つの送受波切替回路からの受信波の一方のみを切り替えて出力する機能を有する受波ビーム切替回路と、該受波ビーム切替回路からの受信信号を入力し該受信信号を高速フーリエ変換処理する機能を有する高速フーリエ変換処理回路とを有することを特徴とする請求項1に記載の超音波フェイズドアレイ送受波器。
【請求項3】
前記第一の変成器への送信波の送出により、前記超音波振動子群のほぼ中心を通り前記放射面に垂直な直線、すなわち中心線を含み、前記N行に配列された超音波振動子の行間隔方向に平行な平面内にあって、かつ前記中心線に対して互いに対称な方向に伝播軸を有する2つの超音波ビーム、すなわち縦ツインビームを送出する機能と、前記第二の変成器への送信波の送出により、前記中心線を含み、前記M列に配列された超音波振動子の列間隔方向に平行な平面内にあって、かつ前記中心線に対して互いに対称な方向に伝播軸を有する2つの超音波ビーム、すなわち横ツインビームを送出する機能とを有し、
前記高速フーリエ変換処理回路は、前記縦ツインビームを成す2つの超音波ビームのそれぞれの超音波ビームの反射による受信信号の周波数を分離する機能、および前記横ツインビームを成す2つの超音波ビームのそれぞれの超音波ビームの反射による受信信号の周波数を分離する機能を有することを特徴とする請求項2に記載の超音波フェイズドアレイ送受波器。
【請求項4】
当該超音波フェイズドアレイ送受波器は移動体に搭載されるものであって、前記縦ツインビームを成す2つの超音波ビームの伝播軸を含む面および前記横ツインビームを成す2つの超音波ビームの伝播軸を含む面が前記移動体の進行方向に対して45度の角度を成すように配置することを特徴とする請求項3に記載の超音波フェイズドアレイ送受波器。
【請求項5】
前記超音波振動子の放射面は正方形または円形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波フェイズドアレイ送受波器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−171872(P2010−171872A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14285(P2009−14285)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】