説明

超音波プローブの曲がりセンサ

【課題】過度の応力がプローブに付与されていることを外科医に警告して、このプローブに対する損傷を防止する超音波装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの管から所定の距離で位置付けられ、そして振動のために超音波発電機14に作動的に接続されるように適合されている、電気を伝導するように構成された、超音波プローブ21;ならびに、二次電源および指示器を備え、その電源は、その少なくとも1つの管、その超音波プローブ21、およびその指示器に電流を供給するように構成されており、その回路は、その超音波プローブ21がその少なくとも1つの管の方へと曲がる場合に、その超音波プローブがその少なくとも1つの管と接触することに応答して閉じ、これによって、その指示器を作動させるように構成されている、曲がり検出回路、を備える超音波外科手術器具12が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、外科手術用途のための超音波切開および凝固システムに関する。より特定すると、本開示は、超音波プローブの曲がりを検出するための検出回路を備える、超音波器具に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術用途のための超音波器具、およびこれらの器具に関連する利点は、周知である。例えば、超音波発電機を外科手術用小刀と一緒に使用することによって、生体組織のより迅速かつより容易な切断が促進され、そして凝固が加速される。改善された切断は、身体組織に対する小刀の刃の振動の周波数が高いことにより引き起こされる、身体組織と小刀との増加した接触から生じる。改善された凝固は、小刀の刃が高周波数で振動させられる際の、この小刀の刃と身体組織との間の接触によって発生する熱から生じる。
【0003】
従来の超音波器具は、特別な医療手順のために適合された、種々のプローブ(例えば、切断刃、鋏、フック、ボールなど)を備える。超音波プローブは、この超音波器具の遠位端(外科医から最も遠い端部)に配置される。これらの超音波器具は、主として、内視鏡手順を伴う医療手順において使用される。この手順において、外科医は、周囲の組織に対して、限られたプローブの位置の可視化を有する。その結果、このプローブが、厚い組織または他の閉塞物と接触する危険があり、この接触は、このプローブに過度の応力を与え、そしてこのプローブが超音波器具から外れ得る。このような応力は、高価な医療設備に損傷を与えるのみでなく、外来破片(プローブの外れた先端)に外科手術部位を汚染させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、過度の応力がプローブに付与されていることを外科医に警告して、このプローブに対する損傷を防止する、超音波装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
超音波外科手術器具であって、その超音波外科手術器具は、
電気を伝導するように構成された超音波プローブであって、その超音波プローブは、少なくとも1つの管から所定の距離で位置付けられ、そして振動のために超音波発電機に作動的に接続されるように適合されている、超音波プローブ;ならびに
曲がり検出回路であって、その曲がり検出回路は、二次電源および指示器を備え、その電源は、その少なくとも1つの管、その超音波プローブ、およびその指示器に電流を供給するように構成されており、その回路は、その超音波プローブがその少なくとも1つの管の方へと曲がる場合に、その超音波プローブがその少なくとも1つの管と接触することに応答して閉じ、これによって、その指示器を作動させるように構成されている、曲がり検出回路、
を備える、超音波外科手術器具。
(項目2)
上記少なくとも1つの管が、ステンレス鋼およびチタンからなる群より選択される、医療等級の導電性材料から形成されている、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目3)
上記超音波プローブが、ステンレス鋼およびチタンからなる群より選択される、医療等級の導電性材料から形成されている、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目4)
上記少なくとも1つの管が、電気を伝導するように構成された細長管であり、その細長管は、ハウジングから延び、長手方向軸を規定し、そして近位部分および遠位部分、ならびにその細長管を通って延びる管腔を有し、上記超音波プローブが、その管腔内に配置される、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目5)
上記器具が、
ハウジング;ならびに
そのハウジングに隣接して位置付けられた回転ノブであって、上記超音波プローブおよび上記少なくとも1つの管が、その回転ノブに作動的に接続されており、その回転ノブは、その少なくとも1つの管およびその超音波プローブを、上記長手方向軸の周りで回転させて、組織に対するその少なくとも1つの管およびその超音波プローブの配向を変化させるように、回転可能である、回転ノブ、
をさらに備える、項目4に記載の超音波外科手術器具。
(項目6)
上記器具が、上記ハウジングに取り外し可能に接続された変換機をさらに備える、項目4に記載の超音波外科手術器具。
(項目7)
上記変換機が、電気力学的材料、圧電材料、および磁気ひずみ材料からなる群より選択される材料から形成されている、項目6に記載の超音波外科手術器具。
(項目8)
上記指示器が、視覚的アラームである、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目9)
上記視覚的アラームが、発光ダイオードおよび電球からなる群より選択される、項目8に記載の超音波外科手術器具。
(項目10)
上記指示器が、聴覚的アラームである、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目11)
上記聴覚的アラームが、スピーカーである、項目10に記載の超音波外科手術器具。
(項目12)
上記指示器が、触覚的アラームである、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目13)
上記電源が、DC電源である、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目14)
上記DC電源が、電池である、項目13に記載の超音波外科手術器具。
(項目15)
上記DC電源が、上記超音波発生器に電気的に接続されている、項目13に記載の超音波外科手術器具。
(項目16)
上記プローブが、刃、鋏、フック、ボール、および吸引器からなる群より選択される、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目17)
上記所定の距離が、約1ミリメートル〜約4ミリメートルである、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目18)
上記少なくとも1つの管が、ストリップおよびワイヤのうちの1つである、項目1に記載の超音波外科手術器具。
(項目19)
超音波外科手術器具であって、その超音波外科手術器具は、
少なくとも1つの振動結合器から所定の距離で位置付けられた超音波プローブであって、その振動結合器は、振動のために、変換機に作動的に接続されるように適合されている、超音波プローブ;ならびに
曲がり検出回路であって、その曲がり検出回路は、二次電源、磁気近接センサおよび指示器を備え、その電源は、その磁気近接センサおよびその指示器に電流を供給するように構成されており、その磁気近接センサは、その超音波プローブの曲がりを感知し、そしてその感知に応答してその指示器を作動させるように適合されている、曲がり検出回路、
を備える、超音波外科手術器具。
(項目20)
超音波外科手術器具であって、その超音波外科手術器具は、
電気を伝導するように構成された超音波プローブであって、その超音波プローブは、少なくとも1つの管から所定の距離で位置付けられ、そして振動のために、変換機に作動的に接続されるように適合されている、超音波プローブ;ならびに
曲がり検出回路であって、その曲がり検出回路は、二次電源、インピーダンスセンサおよび指示器を備え、その電源は、電流を、その超音波プローブおよびその指示器に供給し、そのインピーダンスセンサは、その超音波プローブのインピーダンスの、所定の閾値からの偏差を感知し、そしてその感知に応答して、その指示器を作動させるように適合されている、曲がり検出回路、
を備える、超音波外科手術器具。
【0006】
曲がり検出回路を有する超音波外科手術器具が、開示される。この器具は、超音波プローブを備え、この超音波プローブは、電気を伝導するように構成され、そして1つ以上の管から所定の距離に位置付けられる。この超音波プローブは、振動のために、超音波発生器に作動的に接続されるように適合される。この器具はまた、曲がり検出回路を備え、この曲がり検出回路は、二次電源および指示器を備え、この電源は、管、プローブ、および指示器に電流を供給するように構成されており、この回路は、このプローブが管の方へと曲がった場合に、このプローブがこの管に接触することに応答して閉じ、これによって、この指示器を作動させるように構成されている。
【0007】
(要旨)
本開示は、超音波プローブおよび曲がり検出回路を有する、超音波器具を提供する。この曲がり検出回路は、二次電源を備え、この二次電源は、超音波プローブ、管、ならびに視覚的アラームおよび/または聴覚的アラームに電流を供給する。この視覚的アラームおよび/または聴覚的アラームは、超音波プローブが過度に応力を受けると、外科医に知らせる。この知らせは、プローブにおける過度の応力を判断するために位置付けられた管にこのプローブが接触し、これによって検出回路が閉じる場合に起こる。
【0008】
本開示の1つの実施形態によれば、超音波外科手術器具が提供される。この器具は、電気を伝導するように構成された超音波プローブを備える。この超音波プローブは、1つ以上の管から所定の距離で位置付けられる。この超音波プローブは、振動のために、超音波発生器に作動的に接続される。この器具はまた、曲がり検出回路を備え、この曲がり検出回路は、二次電源および指示器を有し、この電源は、管、プローブおよび指示器に電流を供給するように構成されており、この回路は、プローブが管の方へと曲がる場合に、このプローブがこの管に接触することに応答して閉じ、これによって、アラームを作動させるように構成される。
【0009】
本開示の別の局面によれば、超音波外科手術器具が開示される。この器具は、少なくとも1つの管から所定の距離に位置付けられる、超音波プローブを備える。この超音波プローブは、振動のために、変換機に作動的に接続されるように適合される。この器具はまた、曲がり検出回路を備え、この曲がり検出回路は、二次電源、磁気近接センサおよび指示器を備える。この電源は、この磁気近接センサに電流を供給するように構成され、この磁気近接センサは、超音波プローブの曲がりを感知し、そしてこの感知に応答して、この指示器を作動させるように適合される。
【0010】
本開示のさらなる局面によれば、超音波外科手術器具が開示される。この器具は、電気を伝導するように構成され、細長振動結合器から延びる、超音波プローブを備える。この超音波プローブは、少なくとも1つの管から所定の距離で位置付けられる。この振動結合器は、振動のために、変換機に作動的に接続されるように適合される。この器具はまた、曲がり検出回路を備え、この曲がり検出回路は、二次電源、インピーダンスセンサ、および指示器を備える。この電源は、超音波プローブおよび指示器に電流を供給するように構成され、このインピーダンスセンサは、超音波プローブのインピーダンスの、所定の閾値からの偏差を感知し、そしてこの感知に応答して、この指示器を作動させるように適合される。
【0011】
本開示のこれらおよび他の局面、特徴、および利点は、添付の図面と組み合わせて読まれる場合に、以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、過度の応力がプローブに付与されていることを外科医に警告して、このプローブに対する損傷を防止する、超音波装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、超音波器具がカニューレを通して部分的に挿入されている、超音波切開および凝固システムの斜視図である。
【図2】図2は、図1の超音波器具のクランプの、部品を分解した斜視図である。
【図3】図3は、図1の超音波器具の細長本体部分の、部品を分解した斜視図である。
【図4】図4は、図1の超音波器具の、部品を分解した斜視図である。
【図5】図5は、図1の超音波器具の回転アセンブリの、部品を分解した斜視図である。
【図6】図6は、本開示の1つの実施形態を図示する、図1の超音波器具の断面概略図である。
【図7】図7は、本開示の別の実施形態を図示する、図1の超音波器具の断面概略図である。
【図8】図8は、本開示の別の実施形態を図示する、図1の超音波器具の断面概略図である。
【図9】図9は、本開示の別の実施形態を図示する、図1の超音波器具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
本開示の好ましい実施形態は、本明細書中以下で、添付の図面を参照して、記載される。以下の説明において、周知の機能または構成は、本開示を不必要な細部において不明瞭にすることを回避するために、詳細には記載されない。本明細書中で使用される場合、用語「遠位」とは、使用者から遠い方の部分をいい、一方で、用語「近位」とは、使用者または外科医に近い方の部分をいう。
【0015】
本開示は、曲がり検出回路を有する超音波器具を提供し、この曲がり検出回路は、超音波プローブが過度の応力を受ける場合(例えば、このプローブが、その正常な動作範囲外で使用される場合、または所定のモーメントがこのプローブに付与される場合)、警告を発する。この警告は、触覚的であっても、聴覚的であっても、そして/または視覚的であってもよい。応力が付与される場合、このプローブは、管または他の隣接構造体(例えば、管状本体、接点など)と接触する。二次電源から供給される電流が、このプローブおよびこの外側の管に流れる。その結果、このプローブは、スイッチとして働き、そして検出回路を閉じ、そして警告を発する。
【0016】
図1は、一般に10として示される、超音波切開および凝固システムを図示する。切開および凝固システム10は、超音波器具12、発電機モジュール14、および遠隔アクチュエータ16を備える。発電機モジュール14は、導電性ケーブル18によって、超音波器具12に作動的に接続され、そして超音波器具12に供給される電力および電流の周波数を制御するように機能する。電力を超音波器具12に送達し得る任意の適切な制御器が、使用され得る。遠隔アクチュエータ16(例えば、ペダルアクチュエータ)は、導電性ケーブル20によって、発電機モジュール14に作動的に接続され、そして作動されると、発電機モジュール14を介する超音波器具12への電力の供給を開始させ、組織を切断し、そして組織を凝固させるために、超音波器具12の振動運動を生じさせ得る。
【0017】
超音波器具12は、ハウジング22、およびこのハウジングから遠位に延びる細長本体部分24を備える。ハウジング22は、好ましくは、成形されたハウジング半セクション22aおよび22bから形成され、そしてバレル部分26および静止ハンドル部分28を備え、このバレル部分26は、本体部分24の長手方向軸と整列する長手方向軸を有し、そしてこの静止ハンドル部分28は、バレル部分26から斜めに延びる。超音波変換機30は、ハウジング22の近位端の内部に支持され、そしてこの近位端から延び、そしてケーブル18を介して、発電機モジュール14に接続される。変換機30は、超音波器具12とは別の構成要素であっても、超音波器具12に組み込まれてもよい。発電機モジュール14は、超音波周波数を有する電気エネルギーを変換機30に供給して、この変換機の振動を引き起こす。変換機30(これは、種々の電気機械的型のもの(例えば、電気力学的型、圧電型、磁気ひずみ型)であり得る)は、超音波プローブ21(図1)に接続され、この超音波プローブの振動を引き起こす。
【0018】
超音波プローブ21は、細長本体部分24を通って延びる。可動ハンドル36および静止ハンドル部分28は、それぞれ開口部38および40を備えて、超音波器具12の把持および作動を容易にし得る。細長本体24は、回転可能ノブ34内に支持され、そしてノブ34をハウジング22に対して回転させることによって、選択的に回転され、超音波器具12の遠位端の配向を変化させ得る。
【0019】
当業者は、超音波プローブ21が、超音波プローブの例示的な実施形態であること、ならびに他の型および/または形態の超音波器具(例えば、刃、フック、もしくはボール、および/または吸引器アセンブリ)が予測されることを理解する。超音波吸引器具の例は、同一人に譲渡された、米国特許第4,922,902号(発明の名称「METHOD FOR REMOVING CELLULAR MATERIAL WITH ENDOSCOPIC ASPIRATOR」、この全開示は、本明細書中に参考として援用される)に図示および記載されている。
【0020】
図2および図3は、細長本体部分24を、部品を分解して図示する。細長本体部分24は、外側管42を備え、この外側管は、好ましくは、円筒形であり、そして近位に位置する環状フランジ44を有する。この環状フランジ44は、以下に記載されるように、回転可能ノブ34(図1)と係合するような寸法にされる。細長アクチュエータ管46(これもまた、好ましくは、円筒形である)は、外側管42の内部にスライド可能に受容されるように構成され、そして近位に位置する環状フランジ48を備える。この環状フランジ48は、以下に詳細に記載されるように、ハウジング22(図1)内に支持される結合部材98(図4)と係合するような寸法にされる。超音波プローブ21は、細長結合器50を備え、この細長結合器50は、細長アクチュエータ管46および切断顎58を通って延びるような寸法にされる。細長結合器50の近位端52は、変換機30(図4)と係合するように構成された、直径が減少した部分54を有し、そして遠位端56は、切断顎58に作動的に接続されるように適合される。他の実施形態において、超音波プローブ21は、複数の部品ではなく、1つの部品として形成される。複数のシリコンリング51が、超音波プローブ21に沿った節点に成形されるか、または他の様式で取り付けられて、超音波プローブ21とアクチュエータ管46との間をシールし得る。好ましくは、切断顎58は、内部の近位めねじボア(図示せず)を備え、このめねじボアは、超音波プローブ21のねじ切りされた遠位端56を受容するような寸法にされる。あるいは、切断顎58は、細長結合器50と一体的に形成され得るか、切断顎58は、細長結合器50に形成されたねじ切りされたボアに受容されるように構成された、ねじ切りされた近位端を備え得るか、または他の取り付けデバイスが、使用され得る。
【0021】
クランプ体62と、クランプ体62に固定された組織接触部材64とを有する、クランプ60は、外側管42およびアクチュエータ管46の遠位端に、作動的に接続される。クランプ体62は、1対の組織係合止め71を、露出した刃表面59の近位端に備える。組織接触部材64は、好ましくは、Teflon(登録商標)から構成され、そして好ましくは、さねはぎアセンブリ(それぞれ、参照番号61および65)によって、クランプ体62に固定されるが、他の固定アセンブリもまた、予測される。組織接触部材64は、クランプ60(これは、好ましくは、金属である)を、顎58(これもまた、好ましくは、金属である)から絶縁して、金属と金属との接触を防止するように機能する。
【0022】
組織接触部材64はまた、組織を把持して、振動する切断顎58と一緒に組織が動くことを防止するように機能する。あるいは、少なくとも1列の歯が、クランプ60上に位置付けられて、組織を把持し得る。旋回部材(ここでは、ピン66として示され、クランプ体62の近位端に位置する)が、外側管42の遠位端に形成された開口部68内に受容されるように構成される。アクチュエータ管46の遠位端に形成された案内スロット70は、アクチュエータ管46がピン66に対して移動することを可能にすることによって、アクチュエータ管46とクランプ体62との間の相対運動を可能にする。1対のカム部材(ここでは、突出部72として示される)もまた、クランプ体62に形成され、そしてアクチュエータ管46の遠位端に形成されたカムスロット74内に受容されるように位置付けられる。アクチュエータ管46とクランプ60との動きは、以下に詳細に記載される。
【0023】
切断顎58は、湾曲した刃表面59を備え、この湾曲した刃表面は、遠位方向に下向きおよび外向きに傾斜し、そして切断縁部を備え得る。好ましくは、刃表面59全体が組織に対して曝露される。すなわち、刃表面59の、組織係合止め71と刃表面59の遠位端との間の部分は、細長本体部分24の長手方向軸に対して、刃表面59の長さに沿って約5°から約75°まで変化する角度を規定する接線を有する。理想的には、刃表面の接線と細長本体部分24の長手方向軸とによって規定される角度は、この刃表面の長さに沿って、約5°から約45°まで変化する。この湾曲した刃表面は、外科手術部位における、より良好な可視性を提供する。クランプ60は、開位置からクランプ位置まで移動可能である。この開位置において、組織接触部材64は、刃表面59から間隔を空けており、そしてこのクランプ位置において、組織接触部材は、刃表面59に並置して精密に整列し、組織接触部材と刃表面との間に組織をクランプする。組織接触部材64の内部表面は、刃表面59に対応するように湾曲している。開位置からクランプ位置へのクランプ60の作動は、以下に詳細に記載される。
【0024】
ここで図4および図5を参照して、ハンドルアセンブリおよび回転アセンブリが、ここで議論される。ハウジングの半セクション22aおよび22bは、超音波変換機30の一部分を受容するように構成された、チャンバ76を規定する。チャンバ76は、ハウジング22の内部と連絡する開口部78を有する。超音波変換機30は、超音波プローブ21の近位端52を受容するように構成されたボア80を備える。組み立てられた状態において、近位端52は、開口部78を通ってボア80内へと延びる。超音波変換機30は、公知の取り付け装置のいずれか(例えば、トルクレンチ)を使用して、振動結合器50に固定され得る。これらの図に開示されるように、変換機30の近位端は、トルクレンチと係合するように構成され得る。可動ハンドル36は、ハウジングの半セクション22aと22bとの間に、旋回ピン82の周りで旋回可能に接続される。この旋回ピン82は、可動ハンドル36のレッグ86に形成された穴84を通って延びる。各レッグ86に形成されたカムスロット88は、結合部材98(図5)から外向きに突出する突出部90を受容するように構成される。
【0025】
図5に図示されるように、結合部材98は、可動ハンドル36をアクチュエータ管46に作動的に接続し、そして好ましくは、成形された半セクション98aおよび98bから形成されて、貫通ボア100を規定する。この貫通ボアは、超音波プローブ21の近位端をスライド可能に受容するような寸法にされる。結合部材98は、遠位に位置する内側の環状溝102および近位に位置する外側の環状溝104を有し、この内側の環状溝102は、アクチュエータ管46の環状フランジ48を受容するような寸法にされる。溝104は、スイベル部材108(図4)の内壁に形成された、環状リブ106を受容するように位置付けられる。スイベル部材108は、好ましくは、成形された半セクション108aおよび108bから形成され、そして可動ハンドル36に対する結合部材98の回転を可能にする。突出部91は、スイベル部材108の側壁から外向きに突出し、そして可動ハンドル36のカムスロット88(図4)を通って延びる。
【0026】
図4および図5を参照すると、回転ノブ34は、好ましくは、成形された半セクション34aおよび34bから形成され、そして結合部材98をスライド可能に支持するための近位空洞110、および外側管42を受容するような寸法にされた遠位ボア112を備える。ボア112内に形成された環状溝114は、外側管42の環状フランジ44を受容するように位置付けられる。ノブ34の外壁は、近位に位置する環状リング116を有し、この環状リングは、ハウジング22の開口部120に形成された環状スロット118内に回転可能に受容されるような寸法にされる。ノブ34の外壁はまた、回転可能ノブ34の把持を容易にするための、襞を付けられた表面112を備える。環状リング116は、ハウジング22に対するノブ34の回転を可能にし、一方で、このハウジングに対する軸方向の動きを防止する。1対の円柱形の棒124が、半セクション34aと34bとの間で、結合部材98に形成された矩形開口部126を通って延びる。棒124は、超音波プローブ21の取付具130に形成された1対の凹状凹部128と係合し、その結果、ノブ34の回転が、超音波プローブ21の回転を引き起こし、従って、顎58およびクランプ60の回転を引き起こす。あるいは、凹部128は、超音波プローブ21とモノリシックに形成され得る。
【0027】
図6を参照すると、超音波プローブ21から所定の距離だけ離れた位置に、接触構造体201が配置される。この接触構造体201は、電気を伝導するように構成され、そして好ましくは、医療等級の伝導性材料(例えば、ステンレス鋼、チタンなど)から形成される。接触構造体201は、接触ストリップの形状を有し、そして超音波プローブ21から約1mm〜約4mm離れた所定の距離に位置し、そしてこの超音波プローブの任意の面に位置付けられ得る。1つより多くの接触構造体201が、超音波プローブ21の周りに位置付けられ得ることもまた、予測される。接触構造体201は、複数の形状および形態(例えば、湾曲したストリップ、ワイヤなど)を有し得ることが、さらに予測される。アクチュエータ管46は、接触ストリップ27の代わりに使用され得、そして接触ストリップ27の機能を実施し得ることが、さらに予測される。
【0028】
図6は、二次電源202および視覚的アラーム指示器204を備える、曲がり検出回路200を示す。1つの実施形態において、検出回路200は、アクチュエータ管46と超音波プローブ21と(これらは全て、電源202に接続される)の間の電気回路であることが予測される。超音波プローブ21が過度の応力を受ける場合、この超音波プローブ21は、接触構造体201および/またはアクチュエータ管46に接触し、これによって、この回路を閉じ、そして指示器204を起動させる。
【0029】
別の実施形態において、検出回路200は、電源202を備え、この電源は、接触構造体201および少なくとも1つの超音波プローブ21に電気エネルギーを供給する。この実施形態において、過度の応力を受けたプローブ21は、接触構造体201と接触し、そしてアクチュエータ管46とは接触しない。
【0030】
電源202は、発電機モジュール14に電気的に接続されたDC電源であっても、独立した電池であってもよい。さらに、電源202は、アラーム指示器204に電力を供給するためには充分であるが、発電機25によって超音波プローブ21に供給される一次電力に干渉する(例えば、患者を感電死させる)ほど充分に大きくはない、低電圧電流を供給するように構成される。当業者は、この目的のために適切な電圧範囲を、容易に理解する。電源202は、独立型であっても、発電機モジュール14内に備えられてもよい。
【0031】
アラーム指示器204は、ハウジング部分18に埋め込まれる発光デバイス(例えば、発光ダイオードまたは電球)であり得る。アラーム指示器204は、検出回路200が閉じると作動する。この回路の閉じは、プローブ21が管状本体20と接触する場合に起こる。当業者は、視覚的アラーム指示器204が、聴覚的アラーム(例えば、スピーカー)または別のアラームデバイス(例えば、触覚的アラームデバイス(例えば、ハウジング部分22の内部に配置される振動機構(明白には示さない)))で置き換えられ得ることを理解する。
【0032】
第一の実施形態を参照して、アクチュエータ管46および超音波プローブ21は、器具10の正常な動作の(例えば、超音波プローブ21が過度の応力を受けていない)間は、物理的に接触しない。さらに、アクチュエータ管46および超音波プローブ21は、絶縁される。なぜなら、これらは、シリコンリング51によって離して維持されるからである。その結果、器具10の正常な動作の間は、検出回路200は開いているので、アラーム指示器204は、作動しない。
【0033】
図6を参照すると、超音波プローブ21が過度の応力を受ける場合、この超音波プローブは、アクチュエータ管46の内側表面と接触する。正常な動作の間、超音波プローブ21は、アクチュエータ管46の底部および頂部において、それぞれギャップ距離Aおよびギャップ距離Bだけ、アクチュエータ管46から離れている。ギャップ距離A、Bは、約1mm〜約4mmであり得る。一旦、超音波プローブ21が過度の付加を受けると、超音波プローブ21は、外側管42の内側表面と接触する。例えば、下向きの圧力が付与される場合、超音波プローブ21は、点206aにおいて、アクチュエータ管46と接触する。同様に、上向きの圧力が付与される場合、超音波プローブ21は、点206bにおいて、接触する。当業者は、超音波プローブ21が、この超音波プローブに対して付与される圧力に依存して、任意の方向に傾斜し得、そして点206a、206bは例示であることを理解する。
【0034】
超音波プローブ21は、超音波プローブ21に充分な圧力が付与される場合に、アクチュエータ管46の内側表面と接触し、これによって、検出回路200を閉じ、これにより、アラーム指示器204が作動する。これは、外科医に、超音波プローブ21が過度に応力を受けていること、ならびに超音波プローブ21の損傷および/または外れを回避するために、器具10の現在の使用を中止しなければならないことを警告する。
【0035】
第二の実施形態を参照すると、接触構造体201および超音波プローブ21は、超音波プローブ21の正常な動作の間には物理的に接触せず、従って、互いから絶縁される。超音波プローブ21が過度の応力を受ける場合(例えば、プローブ21が正常パラメータ外で動作している場合)、正常範囲外である振動運動を生じ得る。過度の応力はまた、プローブに付与される、大きいモーメントの結果であり得る。正常動作の間、超音波プローブ21が傾斜し得る最大範囲は、ギャップ距離Cにより表される。ギャップ距離Cは、超音波プローブ21と接触構造体201との間の距離であり、これは、約1ミリメートル〜約4ミリメートルである。正常動作パラメータは、超音波プローブ21が過度の応力を受け、これによって、超音波プローブ21が接触構造体201の方へと傾斜し、点206cにおいてギャップ距離Cを閉じる場合に、超過される。検出回路200がまた閉じ、そしてアラーム指示器204に電力を供給する。
【0036】
1つより多くの接触構造体201が、超音波プローブ21の周囲に位置付けられて、曲がり検出を容易にし得ることが、さらに予測される。
【0037】
図7は、検出回路200の別の実施形態を示し、これは、電源202およびアラーム指示器204に接続された、磁気近接センサ208を備える。磁気近接センサ208は、超音波プローブ21の近くに配置される。磁気近接センサ208は、超音波プローブ21が、その所定の移動範囲の外側で振動する場合(これにより、超音波プローブ21は、磁気近接センサ208に接近する)に検出するように、校正される。この検出に応答して、磁気近接センサ208は、アラーム指示器204の起動を誘発する。
【0038】
図8は、検出回路200の別の実施形態を示し、これは、超音波プローブ21に接続されたインピーダンスセンサ210を備える。インピーダンスセンサ210は、超音波プローブ21内のインピーダンスを測定する。これは、低電圧電流を、超音波プローブ21に(例えば、電源202を介して)流すことによって、達成され得る。インピーダンスセンサ210は、超音波プローブ21を通る電圧信号および電流信号に基づいて、インピーダンスを測定する。正常な動作の間、超音波プローブ21のインピーダンスは、所定の範囲内のままである。超音波プローブ21が正常パラメータ外で動作している場合(例えば、超音波プローブ21が(例えば、応力に起因して)過熱している場合)、この超音波プローブのインピーダンスもまた同様に、変化する。なぜなら、インピーダンスは、温度とともに変化するからである。インピーダンスセンサ210は、インピーダンスのこのような変化を感知するように較正され、そして一旦検出されると、インピーダンスセンサ210は、アラーム指示器204に信号を送る。
【0039】
図9は、検出回路200の1つの他の実施形態を示し、これは、超音波変換機30および発電機モジュール14に接続されたセンサ回路212を備える。センサ回路212は、超音波変換機30および発電機モジュール14の内部の、種々の電気パラメータを測定する。センサ回路212は、発電機モジュール14の内部電圧、電流、電力、および周波数を測定するように構成される。超音波プローブ21の異常動作の間、電圧は、超音波変換機30の圧電スタックにわたって低下する。さらに、発電機モジュール14の周波数、電力、電圧および電流もまた、超音波プローブ21が通常パラメータ外で動作する場合に、変動する。センサ回路212は、超音波変換機30および発電機モジュール14における、電圧、周波数、および電力の偏差を検出し、そしてアラーム指示器204を作動させる。
【0040】
本開示の記載された実施形態は、限定ではなく例示であることが意図され、そして本開示の全ての実施形態を代表することを意図されない。種々の改変および変更が、以下の特許請求の範囲において文言により、および法律上認識される均等物において記載されるような本開示の精神または範囲から逸脱することなくなされ得る。
【符号の説明】
【0041】
10 超音波切開および凝固システム
12 超音波器具
14 発電機モジュール
16 遠隔アクチュエータ
18、20 導電性ケーブル
21 超音波プローブ
22 ハウジング
22a、22b ハウジング半セクション
24 細長本体部分
26 バレル部分
28 静止ハンドル部分
30 超音波変換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−210445(P2012−210445A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145743(P2012−145743)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2007−164251(P2007−164251)の分割
【原出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】