説明

超音波プローブ

【課題】超音波振動子の電荷を適切に解放し、品質の高い超音波信号を得ることができる超音波プローブを提供すること。
【解決手段】超音波プローブ3は、プローブヘッド5と、その先端側に配列される複数の超音波振動子8と、複数の超音波振動子8にそれぞれ電気的に接続される複数本の信号線21を有する信号ケーブル4と、超音波診断装置本体側に接続されるプローブ側コネクタ6とを備える。プローブ側コネクタ6のコネクタハウジング22に収納される配線基板23において、複数の抵抗27が表面実装される。各抵抗27は、信号ケーブル4の複数本の信号線21にそれぞれ電気的に接続されており、各超音波振動子8に蓄積された電荷を解放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に用いられる超音波プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野では、超音波を用いて疾患の検査、診断を行う超音波診断装置が実用化されている。超音波診断装置は、超音波プローブを用いて生体に超音波を送受信して超音波像(例えば、Bモードによる断層画像)を表示させるものであり、患部や胎児などの動きをリアルタイムで見ることができる。
【0003】
この種の超音波診断装置において、検査、診断を適切に行うために、診断部位に応じた複数種類の超音波プローブが用意されている。例えば、腹部の検査にはコンベックスプローブが用いられ、表在組織(甲状腺や頸動脈)の検査にはリニアプローブが用いられ、心臓の検査にはフェイズドアレイプローブが用いられている。このように、複数種類の超音波プローブを着脱自在に構成した超音波診断装置が特許文献1等に開示されている。
【0004】
また、各超音波プローブの先端部には、複数の超音波振動子が配列されている。例えば、腹部検査用のコンベックスプローブでは、複数の超音波振動子が扇状に配列されており、表在組織検査用のリニアプローブでは、複数の超音波振動子が直線的に配列されている。そして、高電圧の励起パルスを用いて、各超音波振動子をパルス励起させて各振動子を振動させることにより、振動子から超音波を出力している。
【0005】
各超音波振動子は圧電素子からなるため、パルス励起後の超音波振動子には電荷が蓄積される。このため、超音波診断装置における超音波信号の受信回路側には、超音波振動子の電荷を解放するための抵抗が設けられている。
【0006】
ところで、電荷解放用の抵抗としては、超音波プローブに用いられる超音波振動子の種類、信号線のケーブルの種類等によって、最適な抵抗値が異なる。この最適な抵抗値は、信号線を通過する超音波信号Sの品質と、超音波信号Sの基準電圧V1への戻り時間t1とのバランスで決定される(図4参照)。
【0007】
超音波診断装置では、超音波プローブにおける各超音波振動子をパルス励起させるために、高電圧(例えば、±50V〜±100V程度の電圧)の励起パルスが用いられている。受信回路側では、その高電圧の信号が直接入力されると処理回路が壊れるため、電流制限や電圧制限をする保護回路が設けられている。そして、その保護回路を設けることにより、受信回路では、所定電圧以上の信号が除去された状態で超音波信号Sが取り込まれる(図5参照)。
【0008】
プローブ表面から至近距離にある診断部位での反射波の信号は、基準電圧V1に信号電圧が戻る際のなだらかな信号波形の部分S1に含まれている。このため、基準電圧V1への戻り時間t1が長くなると、保護回路によってその信号が除去されてしまうこととなる。従って、電荷解放用の抵抗を設けて、超音波信号の電圧を迅速に落とすことにより、プローブ表面から至近距離にある診断部位の反射波の信号を捕捉するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−104304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、従来の超音波診断装置において、電荷解放用の抵抗は、装置本体側の受信回路上に配置されていたため、超音波プローブの種類に応じた最適な抵抗値を採用することができなかった。つまり、従来の超音波診断装置では、装着される各種の超音波プローブについてそれぞれの超音波振動子に蓄積される電荷を考慮して、平均的な抵抗値の抵抗を配置していた。
【0011】
また、超音波診断装置において、超音波プローブの種類毎に異なる抵抗値の抵抗を配置し、切り替え回路を設けることによって、装着される超音波プローブの種類に応じた最適な抵抗値の抵抗を信号線に接続する構成も考えられる。この場合、切り替え回路として高圧に耐えうる回路素子を使用する必要があり、部品コストが嵩む。さらに、切り替え回路の部分で信号ロスが生じ、超音波信号の品質が低下してしまうといった問題も生じる。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波振動子の電荷を適切に解放し、品質の高い超音波信号を得ることができる超音波プローブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明は、超音波を送受信し、得られた超音波信号に基づいて超音波像を表示する超音波診断装置に用いられる超音波プローブであって、プローブ本体と、前記プローブ本体の先端側に配列され、パルス励起されることによって振動して超音波を出力するとともに、前記超音波の反射波を受信して電気信号に変換する複数の超音波振動子と、超音波診断装置本体側に設けられた本体側コネクタに接続されるプローブ側コネクタと、前記複数の超音波振動子にそれぞれ電気的に接続され、送受信信号を前記プローブ側コネクタを介して前記超音波診断装置本体側に伝達する複数本の信号線を有する信号ケーブルと、前記複数本の信号線にそれぞれ電気的に接続されることで、パルス励起後における前記複数の超音波振動子の電荷を解放する複数の抵抗とを備えたことを特徴とする超音波プローブをその要旨とする。
【0014】
従って、手段1に記載の発明によると、プローブ本体の先端側に複数の超音波振動子が配列されており、信号ケーブルの複数本の信号線が各超音波振動子に接続されている。また、信号ケーブルの各信号線は、プローブ側コネクタを介して本体側コネクタに接続されている。そして、プローブ側コネクタ及び信号線を介して超音波診断装置本体側から各超音波振動子に送信信号が伝達され、その送信信号によって各超音波振動子がパルス励起される。これによって、超音波振動子が振動して超音波が出力される。また、超音波の反射波が超音波振動子で受信され電気信号に変換された後、反射波の受信信号(超音波信号)が各信号線及びプローブ側コネクタを介して超音波診断装置本体に伝達される。そして、超音波診断装置本体では、超音波信号に基づいて、超音波像が生成されて表示される。ここで、パルス励起後の各超音波振動子には電荷が蓄積される。この電荷は、各信号線に接続されている複数の抵抗を介して解放される。本発明において、電荷解放用の抵抗は、従来技術のように超音波診断装置本体側に設けられるのではなく、超音波プローブ側に設けられている。この場合、超音波プローブの種類に応じて各超音波振動子に蓄積される電荷は異なるが、その電荷に対応する適切な抵抗値の抵抗をそれぞれの超音波プローブに設けることができ、各超音波振動子の電荷を速やかに解放することができる。この結果、品質の高い超音波信号を得ることができ、超音波像を正確に表示することができる。
【0015】
手段2に記載の発明は、手段1において、前記プローブ側コネクタのコネクタハウジング内には配線基板が収容されるとともに、その配線基板上には、前記複数本の信号線の途中にそれぞれ直列に接続された複数のインダクタと、前記複数の抵抗としての複数のチップ抵抗とが表面実装されていることをその要旨とする。
【0016】
手段2に記載の発明によれば、プローブ側コネクタのコネクタハウジング内に配線基板が収納され、その配線基板には、複数のインダクタが表面実装されている。複数のインダクタは、各超音波振動子に接続される複数本の信号線の途中にそれぞれ直列に接続されており、各インダクタによってインピーダンスのマッチングが行われる。また、コネクタハウジング内の配線基板には、それらインダクタとともに電荷解放用のチップ抵抗が表面実装される。このようにすると、プローブ本体側にチップ抵抗の搭載スペースを設ける必要がないため、プローブ本体のサイズアップを回避することができる。また、インダクタを表面実装している既存の配線基板に、電荷解放用のチップ抵抗を実装することにより、部品コストの増加を抑えることができる。
【0017】
手段3に記載の発明は、手段2において、前記複数のチップ抵抗の一端は、前記複数本の信号線において前記複数のインダクタよりも前記超音波診断装置本体側の端子に電気的に接続され、前記複数のチップ抵抗の他端は、前記配線基板における接地パターンに電気的に接続されていることをその要旨とする。
【0018】
従って、手段3に記載の発明によると、複数本の信号線において複数のインダクタよりも超音波診断装置本体側の端子に電荷解放用のチップ抵抗が接続されるので、インダクタによるインピーダンスマッチングに与える影響を抑えることができる。
【0019】
なお、前記チップ抵抗としては、全て同じ抵抗値を有する抵抗を用いてもよい。この場合、超音波プローブの製造コストを抑えることができる。また、製造バラツキにより超音波振動子毎に蓄積される電荷が異なる場合がある。その場合には、前記チップ抵抗として、各超音波振動子の電荷に適した異なる抵抗値を有する抵抗を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によると、超音波振動子の電荷を適切に解放し、品質の高い超音波信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施の形態の超音波診断装置を示す正面図。
【図2】超音波診断装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】超音波プローブの電気的構成を示すブロック図。
【図4】パルス励起前後の信号波形を示すタイムチャート。
【図5】保護回路の通過後の信号波形を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の超音波診断装置1を示す正面図であり、図2は、その超音波診断装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【0023】
図1及び図2に示されるように、超音波診断装置1は、超音波診断装置本体2と、その装置本体2に接続される超音波プローブ3とを備えている。詳しくは、超音波プローブ3は、信号ケーブル4と、信号ケーブル4の先端に接続されるプローブヘッド5(プローブ本体)と、信号ケーブル4の基端に設けられるプローブ側コネクタ6とを備える。超音波診断装置本体2にはコネクタ7(本体側コネクタ7)が設けられ、そのコネクタ7には超音波プローブ3のプローブ側コネクタ6が接続されている。
【0024】
図2に示されるように、超音波プローブ3のプローブヘッド5は、その先端部にて扇状に並べて配列した複数の超音波振動子8を有し、被検査体9に対して先端部を接触させた状態で超音波を送受信する。超音波プローブ3は、例えば、コンベックス式電子走査を行うためのコンベックスプローブであり、5MHzの超音波を扇状に走査する。なお、超音波診断装置1では、コンベックスプローブ以外に、リニアプローブやフェイズドアレイプローブなどの異なる種類の超音波プローブが着脱可能に構成されている。
【0025】
超音波診断装置本体2は、送信回路11、受信回路12、信号処理回路13、画像処理回路14、表示装置15等を備える。
【0026】
送信回路11は、プローブヘッド5における超音波振動子8の素子数(例えば128素子)に対応した複数の遅延回路(図示略)を含み、各超音波振動子8に応じて遅延させた駆動パルス(送信信号)を送信する。そして、駆動パルスによってプローブヘッド5の各超音波振動子8がパルス励起される。これによって、各超音波振動子8が振動して、所定の照射点で焦点を結ぶように各超音波振動子8から超音波が出力される。
【0027】
受信回路12は、保護回路(例えばダイオードブリッジからなる電流リミッタ)16、図示しない信号増幅回路、A/D変換回路、遅延回路、整相加算回路を含む。受信回路12では、超音波プローブ3における各超音波振動子8で受信された各反射波の受信信号(超音波信号としての反射波信号)が電流リミッタ16を介して取り込まれる。そして、各反射波信号が増幅されかつA/D変換されるとともに、受信指向性を考慮した遅延時間が各反射波信号に付加された後、整相加算される。この加算によって、各超音波振動子8の受信信号の位相差が調整される。
【0028】
信号処理回路13は、図示しない対数変換回路、包絡線検波回路などを含む。信号処理回路13において、受信回路12で受信された反射波信号が対数変換された後、その信号の包絡線が検波される。そして、信号処理回路13において対数変換、包絡線検波といった信号処理が行われた反射波信号が画像処理回路14に出力される。
【0029】
画像処理回路14は、信号処理回路13から出力される反射波信号に基づいて、画像処理を行い超音波像(Bモード画像)の画像データを生成する。具体的には、画像処理回路14は、反射波信号の振幅(信号強度)に応じた輝度の画像データを生成する。画像処理回路14で生成された画像データは、表示装置15に転送される。そして、その画像データに基づいて、被検査体9の超音波像が白黒の濃淡で表示装置15に表示される。なお、表示装置15は、例えば、LCDやCRTなどのディスプレイであり、被検査体9の超音波像や、各種設定の入力画面を表示するために用いられる。
【0030】
次に、本実施の形態における超音波プローブ3の構成について詳述する。
【0031】
図3に示されるように、超音波プローブ3において、プローブヘッド5の先端部に配列された各超音波振動子8には、信号ケーブル4に設けられる複数本の信号線21がそれぞれ電気的に接続されている。また、信号ケーブル4の基端に接続されるプローブ側コネクタ6において、そのコネクタハウジング22内に配線基板23が収納されている。
【0032】
配線基板23には、信号ケーブル4の各信号線21に接続される配線パターン24や接地パターン25が設けられるとともに、各配線パターン24を介して各信号線21に直列に接続される複数のインダクタ26が表面実装されている。これらインダクタ26を設けることによって、各信号線21のインピーダンスマッチングが行われ、各信号線21を伝搬する超音波信号の損失(伝送ロス)が低減される。このインピーダンスマッチングを行うための配線基板23は、一般的な超音波プローブで採用される既存の構成であり、通常は、超音波プローブ3の端部となるコネクタハウジング22内に設けられている。
【0033】
さらに、本実施の形態の配線基板23には、複数のインダクタ26に加えて、複数のチップ抵抗27が表面実装されている。これらチップ抵抗27は、パルス励起後の各超音波振動子8に蓄積された電荷を解放する電荷解放用の抵抗であり、各超音波振動子8に対して並列に接続されている。詳しくは、各信号線21の配線パターン24においてインダクタ26よりも装置本体側に設けられた端子28にチップ抵抗27の一端が電気的に接続され、チップ抵抗27の他端は接地パターン25に電気的に接続されている。本実施の形態において、インダクタ26とチップ抵抗27とは、全ての超音波振動子8に対してそれぞれ設けられている。なお、各チップ抵抗27の抵抗値は、超音波振動子8に蓄積される電荷に応じて設定されるものであり、それぞれ同一の抵抗値(例えば、100Ω)となっている。
【0034】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0035】
(1)本実施の形態の超音波プローブ3では、複数の超音波振動子8に接続される複数本の信号線21には電荷解放用の複数のチップ抵抗27がそれぞれ接続されている。超音波プローブ3において、超音波を送信するために各超音波振動子8をパルス励起すると、各超音波振動子8に電荷が蓄積され、その電荷は信号線21及びチップ抵抗27を介して解放される。各チップ抵抗27は、従来技術のように超音波診断装置本体2側に設けられるのではなく、超音波プローブ3側に設けられている。このため、超音波プローブ3の種類に応じた最適な抵抗値の抵抗27を用いることができ、各超音波振動子8の電荷を速やかに解放することができる。この結果、超音波プローブ3を用いて品質の高い超音波信号を得ることができ、その超音波信号に基づいて、表示装置15に超音波像を正確に表示することができる。
【0036】
(2)本実施の形態の超音波プローブ3では、プローブ側コネクタ6のコネクタハウジング22内に収納される配線基板23に、インダクタ26とともにチップ抵抗27が表面実装されている。この場合、プローブヘッド5側にチップ抵抗27の搭載スペースを設ける必要がないため、プローブヘッド5のサイズアップを回避することができる。また、インダクタ26を表面実装している既存の配線基板23に、電荷解放用のチップ抵抗27を表面実装することにより、部品コストも抑えることができる。因みに、プローブ側コネクタ6と本体側コネクタ7との間に、アタッチメント的な中継コネクタを新規に設け、その中継コネクタに収納する配線基板にチップ抵抗27を表面実装するといった手法も考えられる。この場合、コネクタハウジングや配線基板などの部品コストが嵩むことに加えて、コネクタ間の接触抵抗などによって超音波信号の伝送ロスも生じてしまう。これに対して、本実施の形態のようにプローブ側コネクタ6に収納される既存の配線基板23を用いる場合、配線基板23における配線パターンを設計変更して、その配線基板23に比較的に安価なチップ抵抗27を実装すればよい。このようにすれば、部品コストの増加や信号の伝送ロスを抑えることができる。
【0037】
(3)本実施の形態では、配線基板23において、複数のインダクタ26よりも装置本体2側の端子28に電荷解放用のチップ抵抗27が接続されるので、インダクタ26によるインピーダンスマッチングに与える影響を抑えることができる。因みに、超音波プローブ3では、信号ケーブル4のインピーダンスマッチングを行うためにインダクタ26が設けられているが、チップ抵抗27をインダクタ26よりもプローブヘッド5側に接続すると、インダクタ26によるインピーダンスマッチングの効果がなくなってしまう。この場合、インピーダンスマッチングの再調整が必要となってしまうが、本実施の形態のように装置本体2側の端子28にチップ抵抗27を接続することにより、その問題を回避することができる。
【0038】
(4)本実施の形態の超音波プローブ3では、全ての超音波振動子8に対して電荷解放用の抵抗27が設けられているので、各超音波振動子8に蓄積された電荷を確実に解放することができる。また、複数のチップ抵抗27は、同一の抵抗値を有しているので、抵抗値が異なる抵抗を用いる場合と比較して、超音波プローブ3の製造コストを抑えることができる。
【0039】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0040】
・上記実施の形態の超音波診断装置1では、受信回路12を保護する保護回路16として電流リミッタを用いるものであったが、電圧リミッタを保護回路として用いてもよい。なおこの場合には、各超音波振動子8に対して直列に接続されるように各チップ抵抗27を配線基板23に実装し、各チップ抵抗27によって、各超音波振動子8に蓄積された電荷の放電スピードを調整する。このように構成しても、超音波プローブ3の種類に応じて、適切な抵抗値の抵抗をそれぞれの超音波プローブ3に設けることができ、各超音波振動子8に蓄積される電荷を速やかに解放することができる。なお、電流リミッタ用チップ抵抗及び電圧リミッタ用チップ抵抗の両方を備えた構成とすることも可能であり、例えばこの場合には後者を前者よりも低抵抗値にすることが好ましい。
【0041】
・上記実施の形態において、プローブ側コネクタ6に収納される配線基板23に電荷解放用のチップ抵抗27を実装するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、プローブヘッド5のハウジング内に収納される配線基板に、チップ抵抗27を設けてもよい。
【0042】
・上記実施の形態では、電荷解放用の抵抗として、同一の抵抗値を有するチップ抵抗27を用いる構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、製造バラツキによって超音波振動子8毎に蓄積される電荷が異なる場合がある。この場合には、チップ抵抗27として、各超音波振動子8の電荷に応じた異なる抵抗値を有する抵抗を用いてもよい。
【0043】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0044】
(1)手段1乃至3のいずれかにおいて、前記超音波診断装置本体側に設けられる受信回路には、保護回路として電流リミッタが設けられており、前記複数の抵抗は、各超音波振動子に対して並列に接続されていることを特徴とする超音波プローブ。
【0045】
(2)手段1乃至3のいずれかにおいて、前記超音波診断装置本体側に設けられる受信回路には、保護回路として電圧リミッタが設けられており、前記複数の抵抗は、各超音波振動子に対して直列に接続されていることを特徴とする超音波プローブ。
【0046】
(3)手段1乃至3のいずれかにおいて、前記複数の抵抗は、同じ抵抗値を有することを特徴とする超音波プローブ。
【0047】
(4)手段1乃至3のいずれかにおいて、前記複数の抵抗は、異なる抵抗値を有することを特徴とする超音波プローブ。
【0048】
(5)手段2において、前記複数の超音波振動子における全ての振動子に、前記インダクタと前記抵抗とがそれぞれ設けられていることを特徴とする超音波プローブ。
【0049】
(6)手段1において、前記プローブ本体のハウジング内には配線基板が収納されるとともに、その配線基板に前記複数の抵抗が実装されていることを特徴とする超音波プローブ。
【符号の説明】
【0050】
1…超音波診断装置
2…超音波診断装置本体
3…超音波プローブ
4…信号ケーブル
5…プローブ本体としてのプローブヘッド
6…プローブ側コネクタ
7…本体側コネクタ
8…超音波振動子
21…信号線
22…コネクタハウジング
23…配線基板
25…接地パターン
26…インダクタ
27…チップ抵抗
28…端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信し、得られた超音波信号に基づいて超音波像を表示する超音波診断装置に用いられる超音波プローブであって、
プローブ本体と、
前記プローブ本体の先端側に配列され、パルス励起されることによって振動して超音波を出力するとともに、前記超音波の反射波を受信して電気信号に変換する複数の超音波振動子と、
超音波診断装置本体側に設けられた本体側コネクタに接続されるプローブ側コネクタと、
前記複数の超音波振動子にそれぞれ電気的に接続され、送受信信号を前記プローブ側コネクタを介して前記超音波診断装置本体側に伝達する複数本の信号線を有する信号ケーブルと、
前記複数本の信号線にそれぞれ電気的に接続されることで、パルス励起後における前記複数の超音波振動子の電荷を解放する複数の抵抗と
を備えたことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
前記プローブ側コネクタのコネクタハウジング内には配線基板が収容されるとともに、その配線基板上には、前記複数本の信号線の途中にそれぞれ直列に接続された複数のインダクタと、前記複数の抵抗としての複数のチップ抵抗とが表面実装されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記複数のチップ抵抗の一端は、前記複数本の信号線において前記複数のインダクタよりも前記超音波診断装置本体側の端子に電気的に接続され、前記複数のチップ抵抗の他端は、前記配線基板における接地パターンに電気的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の超音波プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−273979(P2010−273979A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131282(P2009−131282)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】