説明

超音波モータの回転子加圧バネ

【目的】この発明は、超音波モータの回転子に特殊な形状のバネを一体で形成させた装置に関する物である。
【構成】回転子2に円盤状のバネ5を一体で形成させ、バネ5の中心部にボス6を設け軸11を圧入する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、超音波モータの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、超音波モータの固定子に回転子を加圧する手段としてコイルスプリングや皿バネ等を使っていたが、構造上大きなスペースを必要としたり、回転子と軸との廻り止めにガタが出やすかった。一方、本出願人により出願(実願平4ー47477)された回転子加圧バネはバネ定数が大きいために、わずかな寸法変化で加圧力が変動しやすかった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本案は、その欠点を除いて、最小限のスペースの中に納め、加圧力の安定性と、回転子と軸とがしっかりと固定された超音波モータを開発しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
いま、その解決手段を図面を追いながら説明すれば、(イ)回転子2と一体で請求項記載のバネ5を形成させ、バネ5の中央部にボス6を設ける。(ロ)ボス6に、軸11を圧入するか、軸にローレット加工を施して圧入する。
回転子2、バネ5、ボス6が同一材質であれば、切削加工またはプレス加工で製作することが出来、異種材質であれば、それぞれの部材は溶接、接着、圧接、圧入等の方法で製作することが出来る。
【0005】
【作用】
本案は、以上のような構造であるから、固定子1に回転子2を加圧するときは、軸受9を介してボス6を加圧するとバネ5は弾力により、第2図(b)のように変形する。
【0006】
【実施例】
(1)第2図(a)及び(b)に示すごとく、バネ5は、外周点P1から中間点P2までの外周部5Aは平行な板厚とし、中間点P2から内周点P3(ボスの外周)に向かって板厚が増加する形状とすることにより部材に作用する応力を最小限におさえ、たわみ量Sを大きくすることが出来る。
(2)第3図に示すごとく、バネ5は外周点P1の板厚をt1、中間点P2の板厚をt2,内周点P3の厚さをt3としたとき、t2<t1<t3となるように形成すると部材に作用する応力をほぼ均一にすることが出来、その結果、たわみ量を大きくすることが可能になる。
(3)第4図に示すごとく、バネ5は、同心円状に断面が複数の波形に形成することにより、より大きなたわみ量を得ることが出来る。
(4)第5図に示すごとく、バネ5は、同心円状に複数のミゾを形成することにより、大きなたわみ量を得ている。
【0007】
【考案の効果】
したがって、コンパクトで低コスト、かつ高信頼の超音波モータである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案による超音波モータの断面図
【図2】(a)本考案のバネ5と回転子2及びボス6が一体で形成された断面図。
【図3】、
【図4】、
【図5】本考案の他の実施例で、バネ5と回転子2及びボス6が一体で形成された断面図
【符号の説明】
1固定子
2回転子
3弾性体
4圧電体
5バネ
6ボス

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 弾性体3に、複数の圧電素子4を固定配置した固定子1と、この固定子1の弾性体表面に加圧接触させた回転子2とからなる超音波モータにおいて、バネ5は円板状であって、外周部5Aの板厚が平行な厚さで、内周部5Bの板厚が円周に向かって増加している形状をしている超音波モータの回転子加圧バネ。
【請求項2】 バネ5は円板状であって、外周部5Aの板厚は外周から内周に向かって減少し、内周部5Bの板厚は内周に向かって増加している形状をしている超音波モータの回転子加圧バネ。
【請求項3】 バネ5は、同心円状に複数の波形に形成された請求項1及び2の超音波モータの回転子加圧バネ。
【請求項4】 バネ5は、同心円状に複数のミゾが形成された請求項1及び2の超音波モータの回転子加圧バネ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3037951号
【登録日】平成9年(1997)3月19日
【発行日】平成9年(1997)6月6日
【考案の名称】超音波モータの回転子加圧バネ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−5839
【出願日】平成8年(1996)5月31日
【出願人】(390010250)株式会社新生工業 (8)