説明

超音波探触子

【課題】超音波探触子を確実に摘み持てるようにする。
【解決手段】先端部12における第1の側面12A及び第3の側面12Cには窪み面ペア18が形成されている。窪み面ペア18は下段窪み面20と上段窪み面22とで構成される。第2の側面12B及び第4の側面12Dには窪み面24が形成されている。各窪み面は凹球面状に緩やかに窪んだ湾曲面として構成される。これにより、窪み面と指の腹との密着性を高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波探触子に関し、特に超音波探触子の形態に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探触子(プローブ)は、超音波診断のために超音波を送受波する送受波器である。超音波探触子は先端部(ヘッド)と本体部(ボディ)とで構成される。先端部にはアレイ振動子が内蔵されている。一般に、先端部は本体部に対して肥大しており、先端部はそれ全体として丸みをもっている。一般に、本体部は棒状あるいは円柱状の形態を有する。従来において、先端部は4つの側面を有し、通常、各側面は緩やかな凸面あるいは平坦面を構成している。特許文献1には、コンベックス型超音波探触子が示されている。プローブケースの4つの側面には隆起した張出部分が認められ、その張出部分の上側斜面に指先をあてがった状態では、その張出部分が滑り止め作用あるいは下方への押圧力を受ける作用を発揮するものと推察される。しかしながら、同公報に開示された超音波探触子には凹球面状の窪み面は形成されていない。特許文献2−6には、体表面上に当接される様々な超音波探触子が開示されている。しかしながら、それらにも凹球面状の窪み面は示されていない。
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1143145号公報
【特許文献2】意匠登録第1018641号公報
【特許文献3】意匠登録第1074612号公報
【特許文献4】意匠登録第1096902号公報
【特許文献5】意匠登録第1166141号公報
【特許文献6】意匠登録第1237581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波探触子、特に小型で棒状の超音波探触子においては、ペンを持つ時と同じような態様で保持され、あるいは、親指の腹と人差し指の腹とで先端部をつまむ態様で保持される場合が多い。つまり、手の全体で超音波探触子の全体を握り持つというよりも、先端部を複数の指の腹で挟み持つような場合が多い。
【0005】
そのような保持態様では、主に各指の腹から応力が伝達されることになるので、各指の腹と超音波探触子の表面(側面)との間における密着性、保持性を高めることが望まれる。その一方で、先端部を大きく肥大させたり、そこに大きな張出部分を形成したりすると、視野を確保できない、操作性や機動性が低下する、などの問題が生じる。よって、そのような問題が生じることなく、複数の指先による保持を容易かつ確実に行えることが望まれる。なお、走査面と生体組織構造との関係から、被検体の表面に対して様々な向き及び姿勢で超音波探触子が当接されることになる。よって、ある程度、保持態様に多様性、自由度が必要となる。
【0006】
本発明の目的は、超音波探触子を容易かつ確実に保持できるようにすることにある。
【0007】
本発明の他の目的は、超音波探触子を色々な態様で容易かつ確実につまみ持てるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る超音波探触子は、超音波を送受波するアレイ振動子を内蔵した先端部と、前記先端部から伸長した細長い本体部と、を有し、前記先端部は、前記アレイ振動子の電子走査方向と平行な関係にある第1及び第3の側面と、前記アレイ振動子の電子走査方向と直交する関係にある第2及び第4の側面と、を有し、前記第1乃至第4の側面の内で少なくとも1つの側面に少なくとも1つの窪み面が形成され、前記窪み面は、指の腹を受け入れることが可能な凹球面状に緩やかに窪んだ面である、ことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、先端部が有する4つの側面の内で少なくとも1つの側面に窪み面が形成される。窪み面は凹球面状に緩やかに窪んだ面であるので、その窪み面に指の腹を当てると、窪み面と指の腹(の面)との密着性が高まるので、超音波探触子の保持を容易に行うことができる。望ましくは、超音波探触子の全体が棒状に形成され、それをペン持ちした場合におけるいずれかの指の腹が当接される位置に窪み面が形成される。あるいは、超音波探触子の先端部を親指と人差し指でつまみ持つ場合における、親指及び人差し指の腹が当接される位置に窪み面を形成するのが望ましい。窪み面は、超音波探触子の軸方向及びそれに直交する方向の両方向に湾曲した面であるが、各方向の曲率は適宜定めればよく、また各方向の曲率が一定である必要はない。各窪み面が凹球面状であるので、指の腹が窪み面から滑り出てしまうことを防止できる。
【0010】
望ましくは、前記第1乃至第4の側面の内で少なくとも対称関係にある2つの側面に前記窪み面が形成される。この構成によれば、先端部の両側から2本の指でそれをつまみ持つ場合において各指の腹が各窪み面に密着し、超音波探触子の保持状態を安定化することができる。例えば、診断部位によっては先端部を生体表面にかなり強く押し当てることが必要となるが、そのような場合においても、上記構成によれば十分な保持作用を発揮することができる。
【0011】
望ましくは、前記第1乃至第4の側面のそれぞれに前記窪み面が形成される。この構成によれば、超音波探触子を多様な方向からつまみ持つことができる。隣接側面間に丸みを帯びた角部分を生じさせれば、その角部分を押して超音波探触子をその中心軸回りにおいて回転操作することも容易となる。
【0012】
望ましくは、前記第1及び第3の側面の内の少なくとも一方に探触子中心軸方向に並んだ2つの窪み面からなる窪み面ペアが形成され、前記窪み面ペアにおいては2つの窪み面の境界に隆起した尾根が形成される。この構成によれば、超音波探触子をつまみ持つ高さに自由度をもたせることができる。
【0013】
望ましくは、前記第1及び第3の側面は幅の広い側面であり、前記第2及び第4の側面は幅の狭い側面である。すなわち、幅の広い側面に窪み側面ペアが形成される。
【0014】
望ましくは、前記第1及び第3の側面のそれぞれに前記窪み面ペアが形成される。この構成によれば、対称関係にある幅広の側面をその両側から挟んで持つことが容易となる。
【0015】
望ましくは、前記先端部における送受波面は円筒面として構成され、前記アレイ振動子は前記送受波面に沿って円弧状に配列された複数の振動素子を有する。望ましくは、当該超音波探触子はそれ全体として棒状の形態を有する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、超音波探触子を容易かつ確実に保持できる。あるいは、本発明によれば、超音波探触子を色々な態様で容易かつ確実につまみ持てる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明に係る超音波探触子の好適な実施形態が示されており、図1は超音波探触子の第1斜視図である。この超音波探触子は、図示されていない超音波診断装置本体に対してケーブルを介して接続されるものである。本実施形態に係る超音波探触子は、人体又は動物の超音波診断を行うために超音波を送受波するプローブであって、それ全体として棒状の形態を有している。
【0019】
図1に示される超音波探触子は本体部10、先端部12及びケーブル取付部14を有している。本体部10は概略的に見て円筒形状を有しており、先端部12から伸長している。なお、図1においてZ方向は超音波探触子の中心軸方向であり、X方向は超音波ビームが走査される電子走査方向であり、これは振動素子配列方向あるいは走査面形成方向に相当する。Y方向はX方向及びZ方向に直交する方向である。
【0020】
本体部10は上述のようにそれ全体として円筒形状を有しているが、本実施形態においてはその中間部分が若干括れている。本体部10におけるZ方向の各位置において断面は基本的に円形である。ただし、後に説明するように特定側面上において一部分が面取り加工されており、すなわち平坦面28が存在する。その平坦面28は平面であり、それが存在する位置においては本体部10の断面は完全には円形ではない。
【0021】
先端部12は、本体部10よりもやや肥大した形態を有している。送受波面16は、円筒面として構成されている。先端部12の内部にはアレイ振動子が設けられている。アレイ振動子は、円筒形状をもった送受波面16の内面に沿って円弧状に配列された複数の振動素子によって構成されている。アレイ振動子によって超音波ビームが形成され、その超音波ビームは電子的に走査される。本実施形態においては電子走査方式として電子リニア走査が適用されている。すなわち円弧状に配列された複数の振動素子に対して電子リニア走査を適用することにより、いわゆるコンベックス走査が行われる。すなわち扇状の形態をもった走査面を形成することができる。
【0022】
先端部12は、図示されるように4つの側面を有する。具体的には第1の側面12A、第2の側面12B、第3の側面12C及び第4の側面12Dを有する。第1の側面12A及び第2の側面12Cは図示されるように幅広の側面であり、それらはX方向に平行な側面である。第2の側面12B及び第4の側面12Dは幅の狭い側面であって、それらはX方向に直交する側面である。
【0023】
本実施形態において、第1の側面12A及び第3の側面12Cには窪み面ペア18が形成されている。これについて詳述する。窪み面ペア18は、2つの窪み面20,22によって構成される。それぞれの窪み面20,22は、その中央部が奥側に若干引っ込んだ全体として凹球面形状を有するものである。すなわち、指の腹を当てがった場合においてその指の腹の面に密着するすり鉢形状を有している。各窪み面20,22は、X方向及びY方向の両方向において円弧状に窪んでおり、それらの方向における曲率は適宜定めることが可能である。また各位置の曲率を連続的に可変するようにしてもよい。下段の窪み面20と上段の窪み面22との間には外側に張り出した尾根として稜線23が形成されている。この稜線23も円弧状のラインとして構成されており、その中央部分がやや奥側に下がっている。なお、第3の側面12Cにおいても上記同様の窪み面ペア18が形成されている。
【0024】
先端部12における第2の側面12B及び第4の側面12Dにも窪み面が形成されている。図1には第2の側面12Bに形成された窪み面24が現れている。窪み面24は本体部10から先端部にかけて立ち上がった斜面上に形成されており、上記の窪み面20,22と同様に凹球面状の湾曲面を構成している。窪み面24の位置は、Z方向において、上記の窪み面22の位置とほぼ同じであるが、厳密には窪み面22よりも窪み面24の方がやや先端側まで広がっている。
【0025】
本体部10における特定側面、具体的には第2の側面12B上には平坦面28が形成されている。この平坦面28は本体部10における特定側面を部分的に面取りした平面として構成されており、その先端側は上記の窪み面24に連絡している。図1には示されていないが、平坦面28と窪み面24との間には稜線が存在する。
【0026】
平坦面28には図示されるように突状部26が形成されている。突状部26は平坦面28から外側に膨らんだ形態を有し、それはZ方向に伸長している。具体的には、突状部26は流線形状あるいは涙滴形状を有する。ただし、その前端及び後端は面取り加工されており、これについては後に説明する。この突状部26は本実施形態において2つの機能を有している。第1の機能はいわゆるフロントマークとしての機能である。すなわち、アレイ振動子における電子走査方向の基準端(開始端)を表すマークとして機能する。ちなみに、アレイ振動子に対する電子走査は基準端側から繰り返し実行されるが、もちろん、電子走査が往復走査の方式によって行われてもよい。フロントマークとしての突状部26を目視確認し、あるいは超音波探触子を把持している手によって触れることにより、基準端を容易に知覚することが可能である。第2の機能は超音波探触子に対して穿刺アダプタを装着する場合における係合機能である。すなわち、この突状部26を用いて穿刺アダプタの位置決めを行うことが可能である。これについては後に詳述する。
【0027】
突状部26が上述のように流線形状を有しており、すなわちY方向について観察した場合に丸みをもって形成され、Z方向において観察した場合にも丸みをもって形成されているため、超音波探触子を保持した場合において突状部26がその保持の妨げとなったり、違和感を与えたりするような問題は生じない。
【0028】
ケーブル取付部14はケーブルブーツとして機能するものであり、そのケーブル取付部14にはいわゆるプローブケーブルが挿通される。そのプローブケーブルを介して超音波探触子を超音波診断装置本体に接続することが可能である。プローブケーブルについては図示省略されている。これは図2以降に示す各図において同様である。
【0029】
図2には、超音波探触子の第2斜視図が示されている。図2においては第4の側面12Dが現れており、そこに形成された窪み面30が示されている。第2の側面に形成された窪み面と第4の側面12Dに形成された窪み面30は、互いに対称の位置に形成され、かつ、同一形状を有している。これは、第1の側面12Aと第3の側面に形成された窪み面ペアについても同様である。図2においては、第1の側面12Aに形成された窪み面ペアを構成する2つの窪み面20,22が現れている。
【0030】
図3は超音波探触子の正面図である。本体部10における特定側面としての第3側面には上述したように平坦面28が形成されており、そこには突状部26が突出形成されている。突状部26の前端側には平坦面28から起立した水平面26Bが形成されている。これと同様に、突状部26の後端側には平坦面28から起立した平面26Aが形成されている。それらの平面26A,26Bは平坦面28から見て垂直面に相当する。また、それらは流線形状をもった突状部26の両端を面取り加工した後の端面として理解できる。このように突状部26における両端部に平面26A,26Bを形成することにより、後に詳述するように、穿刺アダプタの装着状態において、その取付機構の一部を成す結合体を突状部26に結合した場合、両者を一体的に連結させることが可能となる。特に、Z方向における位置ずれを防止することが可能となる。
【0031】
図4には、図3に示すA−A断面が示されている。すなわち、図4には第1の側面及び第3の側面にそれぞれ形成された窪み面ペアが現れている。具体的には、第1の側面には窪み面20,22が形成され、それらの間には稜線23が存在する。同様に、第3の側面には窪み面32,34が形成され、それらの間には稜線35が存在する。上述したように、各窪み面20,22,32,34はその中央部が引っ込んでおり、すり鉢状の形態を有する。但し、上段にある窪み面22,34の方が下段にある窪み面20,32よりもより大きな窪み量を有している。なお、図4においては内部機構は図示省略されている。
【0032】
図5には、超音波探触子の底面図が示されている。第4の側面には上述した窪み面30が存在している。図6には、図5に示すB−B断面が示されている。図示されるように第2の側面及び第4の側面にはそれぞれ窪み面24,30が存在している。また第2の側面上には突状部26が平坦面28から起立して形成されている。図6においても内部機構が図示省略されている。
【0033】
本実施形態に係る超音波探触子は以上の構成を有するため、以下の図7〜図13に示すような効果を得ることができる。図7には超音波探触子の先端部が拡大図として示されている。図8及び図9には超音波探触子をペン持ち状態で保持した様子が示されている。図8及び図9に示されるように、ペン持ち状態においては、親指の腹が例えば第1の側面に形成された上段の窪み面に当接され、その場合において人差し指の腹が第2の側面に形成された窪み面に当接される。その際、人差し指の腹が第3の側面に形成された下段の窪み面に当てられる。その他の指は人差し指に添えられることになる。
【0034】
すなわち、超音波探触子をペン持ち状態で保持した場合、親指及び人差し指などの腹がそれぞれの窪み面に当接されることになり、指の腹と窪み面との面接合によって指の腹が超音波探触子の表面から滑ってしまうことを防止することができ、超音波探触子をしっかりと摘んで持つことが可能となる。例えば、動物などの超音波診断においては、体毛を介して超音波探触子の送受波面を体表面に強く当接する必要があるが、その場合において、本実施形態の超音波探触子によれば複数の窪み面が形成されているため、それらの1つ又は複数の窪み面に1又は複数の指の腹を当てて、超音波探触子の保持力を高め、それをもって超音波探触子を体表面に強く当てることが容易である。
【0035】
図10及び図11には、超音波探触子を摘んで保持した状態が示されている。すなわち、図10に示す例では第1側面及び第3の側面に形成された上段の窪み面がその両側から親指の腹と人差し指の腹によって挟まれており、その状態においても指の腹と窪み面との密着度を高められるので、超音波探触子を確実に保持することができる。なお、その場合において人差し指の腹は必要に応じて第3の側面における下段の窪み面に当接される。
【0036】
図11に示す例では、第2の側面及び第4の側面に形成された窪み面を親指及び人差し指の腹で挟み持つ状態が示されている。このような場合においても、指の腹と窪み面との面接合により超音波探触子を確実に保持することができる。
【0037】
更に、図12には、超音波探触子における第1の側面及び第3の側面を摘んで持った状態が示されている。この場合においては、第1の側面及び第3の側面に形成された下段の窪み面に親指及び人差し指の腹が当接されており、このような状態においても確実に超音波探触子を保持することができる。ちなみに、図12に示すような持ち方を採用すると、被検者の体表に親指及び人差し指の一部分を接触させることが容易であるので、そのような接触を介して超音波診断部位の表面あるいは内部を触覚をもって認識できるという利点がある。例えば、肋骨の存在を触感によって認識し、肋間に超音波探触子の送受波面を適切に当接することも可能である。
【0038】
図13には、超音波探触子をペン持ちした状態が示されている。符号100で示されるように、突状部が流線形状を有しているため、それが超音波探触子を保持する手を妨げることはなく、しかも電子走査の基準端をその接触によって容易に認識することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る超音波探触子は、複数の側面のそれぞれに窪み面を形成したので、いろいろな方向から超音波探触子を確実に摘み持つことが可能である。また、第1の側面及び第3の側面には上段及び下段にそれぞれ窪み面を形成したため、摘み持つ高さに自由度をもたせることが可能である。もちろん、各窪み面の周囲あるいは隣接する窪み面の間はある程度の丸みをもって形成されているため、窪み面に指を当てずに自由な持ち方を採用した場合においても苦痛が生じることはない。また4つの側面にそれぞれ窪み面を形成したため結果として隣接する窪み面間に丸みをもった角部分が生じており、超音波探触子を持った際に面の向きを直感的に認識し易いという利点がある。更にその角部分を利用して超音波探触子を手の中で回転させることも容易である。
【0040】
なお、上記実施形態においては、4つの側面にそれぞれ窪み面が形成されていたが、少なくとも1つの側面に窪み面を形成すれば、その窪み面と指の腹とが接合できる状態がある限りにおいて上記同様の効果を得られる。また、上記実施形態においては第1の側面及び第2の側面に窪み面ペアを形成したが、少なくとも1つの側面に窪み面ペアを形成すれば上記同様の効果を得ることができる。
【0041】
送受波面の形状を円筒形状から平坦な形状に変えるようにしてもよい。その場合において電子リニア走査あるいは電子セクタ走査を適用するようにしてもよい。また、場合によっては2Dアレイ振動子を設けて三次元エコーデータの取込みを行うようにしてもよい。
【0042】
次に、穿刺アダプタが取付けられた超音波探触子について図14〜図16を用いて説明する。図4に示される超音波探触子は、上記において図1等を用いて示した超音波探触子と基本的に同一である。図14においては超音波探触子が符号6によって示されており、穿刺アダプタが符号8によって示されている。
【0043】
穿刺アダプタ8は取付機構40とホルダ48とを有している。取付機構40は超音波探触子6に対して穿刺アダプタ8を取り付けるための金具として機能する。ホルダ48は取付機構40に連結されており、ホルダ48によって穿刺針50を案内、保持することができる。穿刺針50は体内における組織の採取あるいは薬剤注入などの用途で用いられる。すなわち、超音波診断を行って断層画像を観察しながら穿刺を行う場合に穿刺アダプタ8が利用される。
【0044】
取付機構40は半リング状の形態を有する第1部材42及び第2部材44を有し、それらの連結によってそれらの内部に超音波探触子6の本体部が保持される。取付機構40は後に詳述するように、結合手段としての枠体46を有する。
【0045】
図15には、穿刺アダプタが取付けられた超音波探触子の上面図である。穿刺アダプタは上記のように枠体46を有し、枠体は突状部26を取り囲む矩形の形状を有する。具体的には、枠体46は後に説明するように突状部26を収容する開口部を有している。
【0046】
図16には、上記の取付機構についての斜視図が示されている。図16においてはホルダが図示省略されている。
【0047】
第1部材42と第2部材44とによって超音波探触子の本体部が挟み込まれる。第1部材42と第2部材44は、ヒンジ60を介して互いに開閉することができ、それらの部材42,44はピン62によって連結される。枠体46は上述したように開口部64を有しており、その開口部64内に突状部が差し込まれる。枠体46の内面すなわち底面は平坦面46Aとして構成されており、その平坦面46Aは本体部に形成された平坦面と面接合する。すなわち、平面と平面の接合によって取付機構を安定して超音波探触子に装着することができる。特に、取付機構が超音波探触子の軸回り方向にぐらつくことを防止することができる。
【0048】
開口部64の長さは上述した突状部の長さに合致しており、開口部46の幅は上述した突状部の幅に合致している。突状部の前端面は開口部64における前側内面に当接し、突状部における後端面は開口部64における後側内面66に当接する。これによって軸方向すなわちZ方向における位置ずれが確実に防止される。
【0049】
本実施形態においては、各図に示したように、突状部を除いて、超音波探触子の全体が滑らかな連続面として構成されており(送受波面を構成する音響レンズの周囲には部材接合が生じるがその部分は事実上無視できる)、すなわち、従来の超音波探触子のように、穿刺アダプタを取り付ける際に利用される突起あるいは孔が存在しないため、それらによって操作性が低下する問題を回避することができる。特に、孔を設けるとその内部にゴミなどが進入してしまうこともあるが、本実施形態においてはそのようなものは設けられていないため、当該問題を解消することができる。
【0050】
図14〜図16には突状部を完全にくわえ込む枠体が利用されていたが、同様の作用効果を得られる限りにおいて他の構造を採用することも可能である。また穿刺針の保持方式としては従来から採用されている各種の方式を採用することができ、本実施形態においては走査面上に穿刺針が差し込まれているが、走査面を交差する方向に穿刺針を進入させる方式を採用してもよい。また、穿刺針の穿刺角度を自在に設定できる機構を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態に係る超音波探触子の第1斜視図である。
【図2】本実施形態に係る超音波探触子の第2斜視図である。
【図3】本実施形態に係る超音波探触子の正面図である。
【図4】本実施形態に係る超音波探触子のA−A断面図である。
【図5】本実施形態に係る超音波探触子の底面図である。
【図6】本実施形態に係る超音波探触子のB−B断面図である。
【図7】先端部の拡大図である。
【図8】ペン持ちした状態を示す図である。
【図9】ペン持ちした状態を示す図である。
【図10】一対の上段窪み面を摘みもった状態を示す図である。
【図11】一対の上段窪み面を摘みもった状態を示す図である。
【図12】一対の下段窪み面を摘みもった状態を示す図である。
【図13】超音波探触子をペン持ちした状態を示す拡大図である。
【図14】超音波探触子に穿刺アダプタを装着した状態を示す正面図である。
【図15】超音波探触子に穿刺アダプタを装着した状態を示す上面図である。
【図16】取付機構の斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
6 超音波探触子、8 穿刺アダプタ、10 本体部、12 先端部、14 ケーブル取付部、16 送受波面、18 窪み面ペア、20,22,24 窪み面、23 稜線、26 突状部、28 平坦面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受波するアレイ振動子を内蔵した先端部と、
前記先端部から伸長した細長い本体部と、
を有し、
前記先端部は、
前記アレイ振動子の電子走査方向と平行な関係にある第1及び第3の側面と、
前記アレイ振動子の電子走査方向と直交する関係にある第2及び第4の側面と、
を有し、
前記第1乃至第4の側面の内で少なくとも1つの側面に少なくとも1つの窪み面が形成され、
前記窪み面は、指の腹を受け入れることが可能な凹球面状に緩やかに窪んだ面である、
ことを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
請求項1記載の超音波探触子において、
前記第1乃至第4の側面の内で少なくとも対称関係にある2つの側面に前記窪み面が形成された、
ことを特徴とする超音波探触子。
【請求項3】
請求項2記載の超音波探触子において、
前記第1乃至第4の側面のそれぞれに前記窪み面が形成された、
ことを特徴とする超音波探触子。
【請求項4】
請求項1記載の超音波探触子において、
前記第1及び第3の側面の内の少なくとも一方に探触子中心軸方向に並んだ2つの窪み面からなる窪み面ペアが形成され、
前記窪み面ペアにおいては2つの窪み面の境界に隆起した尾根が形成された、
ことを特徴とする超音波探触子。
【請求項5】
請求項4記載の超音波探触子において、
前記第1及び第3の側面は幅の広い側面であり、
前記第2及び第4の側面は幅の狭い側面である、
ことを特徴とする超音波探触子。
【請求項6】
請求項5記載の超音波探触子において、
前記第1及び第3の側面のそれぞれに前記窪み面ペアが形成された、
ことを特徴とする超音波探触子。
【請求項7】
請求項1記載の超音波探触子において、
前記先端部における送受波面は円筒面として構成され、
前記アレイ振動子は前記送受波面に沿って円弧状に配列された複数の振動素子を有する、
ことを特徴とする超音波探触子。
【請求項8】
請求項1記載の超音波探触子において、
当該超音波探触子はそれ全体として棒状の形態を有する、
ことを特徴とする超音波探触子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図14】
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【図15】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−117127(P2007−117127A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309232(P2005−309232)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】