超音波治療用のクランプ
焦点組織を凝固壊死させるための超音波治療用のクランプは、超音波治療用のヘッド(6,7)と、これら超音波治療用のヘッド(6,7)と接続されたハンドル(1)とを有している。このハンドル(1)は、クランプ形状である。2つの超音波治療用のヘッド(6,7)は、クランプ形状のハンドル(1)のジョーに互いに対向して配置されている。これら2つのジョー間には、平行移動メカニズムが接続されている。この平行移動メカニズムは、2つの超音波治療用のヘッド(6,7)を平行状態で移動させつつ、2つの超音波治療用のヘッドをジョーと一緒に移動させるのを確実にしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に属し、高密度焦点式超音波治療用の装置、特に超音波治療用のクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波、特に高密度焦点式超音波は、患者の診断や治療のために、医療産業で広く使用されている。高密度焦点式超音波療法は、超音波を患部に集束させることである。この患部には、高密度並びに連続の超音波エネルギーが形成され、瞬間的な熱的効果(60℃ないし100℃)、キャビテーション効果、機械的効果、並びに音響化学効果が生まれて、細胞膜並びに核膜を破壊してたんぱく質を凝固させる。従って、高密度焦点式超音波療法は、患部を選択的に凝固壊死させて、増殖、浸潤、並びに転移の可能性のある患部を取り除くことができる。更に、高密度焦点式超音波療法は、腫瘍切除に使用されるだけでなく、他の疾患の治療にも使用され、臨床使用に承認されている。
【0003】
米国特許第5882302号、5993389号、並びに6083159号は、高密度焦点式超音波を使用した体内の止血術用の超音波装置を提供している。また、米国特許第6007499号、並びに6432067号は、手術前に麻酔の組織領域を形成して手術時に血管出血を回避するように、高密度焦点式超音波を使用した外科用超音波装置を提供している。このような装置の超音波振動子は、焦点式超音波を発生させて患部の所定のポイントに連続的に照射する。焦点の治療の深さは、超音波振動子の位置を変更することにより変えることができる。
【0004】
上述された米国特許により開示されている超音波装置は、高い血管新生の素質を有する組織の切除時に、ある程度、止血を与えることができるが、これら装置の使用において、幾つかの制限がある。第1に、操作者は、異なる外科的切開に従って大きいサイズの超音波振動子を手で同じ角度に連続的に移動させる必要がある。従って、操作手順が、非常に複雑であり、また、取り扱いを誤り易い。第2に、治療される組織が、柔軟で大きいとき、上述されたような装置により対象の組織に生じる圧力は、十分でなく、従って、対象の組織を効果的に切除することは、不可能である。また、対象の組織が制御され得ない場合、超音波エネルギーは、対象の組織に到達することができず、期待した止血が、得られない。第3に、上述された超音波装置は、患部内に一つの焦点のみを形成し、通常は、超音波エネルギーが、音響パスで減衰される。かくして、治療中に相対的に厚みのある組織(例えば、肝臓並びに脾臓)を凝固壊死させるのには長い時間がかかり、従って、コストが増える。
【発明の開示】
【0005】
上述されたような従来技術の欠点のために、技術的な問題は、コンパクトな構造、簡単な操作、低い治療コスト、患者の過度の失血を回避するように患部を素早く凝固壊死させる機能、並びに広い用途を有した超音波治療用のクランプを提供することにより本発明で解決される。
【0006】
技術的な問題を解決する技術的な解決策は、以下の通りである。即ち、超音波治療用のクランプが、超音波療法アプリケータと、これら超音波療法アプリケータに接続されたハンドルとを有している。これらハンドルは、クランプ形状である。互いにオーバーラップしている中央軸線を有する2つの超音波療法アプリケータが、クランプ形状のハンドルの2つのクランプ部分に互いに面するように夫々装着されている。クランプ部分と一緒に移動するときにこれら2つの超音波療法アプリケータを平行に維持するための平行移動メカニズムが、2つのクランプ部分間に接続されている。
【0007】
この超音波療法用のクランプは、接続チューブを更に有している。これら接続チューブの一端部は、超音波療法アプリケータに接続され、他端部は、クランプ形状のハンドルのクランプ部分に接続されている。また、前記平行移動メカニズムは、互いに対向した2つの接続チューブ間に接続されている。
【0008】
好ましくは、前記接続チューブは、ジョイントを介してクランプ形状のハンドルのクランプ部分に接続されている。接続チューブとジョイントとを接続している一端部の所に、流体並びに電気信号用の通路がある。流体用の通路は、治療中に超音波振動子を冷却するように、本発明では冷却通路として使用されている。この冷却流体は、通常、液体水である。
【0009】
実際の使用では、対象の組織のサイズ並びに形状が異なるので、前記ジョイントは、回動ジョイントにより超音波療法アプリケータに接続されることができる。この回動ジョイントは、自由に回動することができるので、超音波療法アプリケータは、回動ジョイントを中心として自由に回動することができ、即ち、超音波を横方向又は縦方向に集中させることができる。
【0010】
前記平行移動メカニズムは、2つの超音波療法アプリケータの焦点領域が、治療用のクランプのいずれの開成度でも同じ直線上にあることを可能にしている。即ち、平行移動メカニズムは、2つのアプリケータの中央軸線を、常に、互いにオーバーラップし続けることができる。かくして、高密度超音波エネルギーが治療のために必要とされたとき、超音波エネルギーは、収集されることができ、即ち、2つのアプリケータは、同じ患部に同時に超音波エネルギーを与える。従って、療法効果が、向上されることができる。治療中に、本発明のアプリケータを使用して厚みのある患部(例えば、肝臓又は膵臓)を凝固壊死させる時間は、従来技術の超音波アプリケータを使用したものよりも非常に短い。従って、治療コストが減じられる。これと同時に、超音波エネルギーは、2つ以上の超音波アプリケータから照射され、他の内臓が傷つけられることはない。
【0011】
前記平行移動メカニズムは、互いにヒンジ接続された複数のリンクブロックにより形成された平行四辺形の伸縮式メカニズムを有することができる。前記接続チューブには、前後に摺動する摺動スリーブがある。平行移動メカニズムの外側部分の一方のコーナーの所のリンクブロックは、前記摺動スリーブとヒンジ接続され、また、外側部分の他方のコーナーの所のリンクブロックは、前記クランプ部分に固定されている。
【0012】
前記平行移動メカニズムは、直径が異なる大径の中空のパイプと小径の中空のパイプとを有する入れ子式のパイプ部材であり得る。小さい中空のパイプは、大径の中空のパイプ内に収容され、延出並びに摺動することができる。
【0013】
前記超音波療法アプリケータは、超音波振動子と、流体容器とを有している。超音波振動子は、流体容器中に配置され、この流体容器の開口部分には、音響透過膜が、気密装置により固定されている。
【0014】
前記流体は、脱気水であることが好ましい。前記超音波振動子は、実際の必要に応じて、焦点式又は非焦点式の超音波振動子を用いることができる。かくして、本発明の装置は、腫瘍、皮膚病等の他の病気を治療するために広く使用されることができる。
【0015】
前記流体容器中には、ブラケットが設けられ、このブラケットに、超音波振動子が配置されている。好ましくは、流体容器には、更に、焦点距離調整装置が設けられている。流体容器中に延びている焦点距離調整装置の一端部は、ブラケットに接続されている。
【0016】
この焦点距離調整装置は、前記ブラケットに接続されたねじと、ねじにカバーされたシールリング並びにシールナットと、このシールナットに設けられた調整ノブと、この調整ノブに設けられた固定ボルトとを有することができる。前記シールリングは、流体容器の外壁に密着している。
【0017】
前記超音波振動子には、超音波治療の案内アッセンブリを装着するためのスロットが形成されている。この案内アッセンブリは、半導体の照明装置、又は、Bモードの超音波探触子であり得る。この半導体の照明装置は、スロット内に固定され、正確な治療を行うように超音波振動子を案内するために使用される。治療の前に、半導体の照明装置から照射される光線の位置に従って、操作者は、超音波振動子を対象の組織の表面に位置させることができる。また、超音波振動子の焦点/ラインとダイオードの光線との交差ポイントは、確認される。このようなBモードの超音波接触子の超音波映像装置は、対象の組織を映像化して超音波治療を案内するように、前記スロット内に固定されることができる。
【0018】
対象の組織に対する熱傷を回避するために、超音波療法アプリケータは、前記2つの超音波振動子の対向した側部(即ち、超音波振動子によりクランプされる対象の組織の側)に固定された温度センサーを更に有している。膜タイプの温度センサーは、軽くて薄いので、温度センサーは、膜タイプの温度センサーであることが好ましい。
【0019】
前記ハンドルを固定するためのロック部材が、2つのハンドル間に設けられることができる。かくして、ハンドルにより駆動される平行移動メカニズムが、予め決定された位置に延びた後、ロック部材は、治療の利便性のために2つのハンドルの現在の位置を固定するのに使用されることができる。
【0020】
本発明では、高い血管新生の素質を有する組織(例えば、脾臓、)の切除の前に、高密度焦点式超音波が、切除されるエリアと保存されるエリアとの間に凝固壊死エリアを生じさせるために与えられる。従って、肝臓のような組織の切除の間に、この凝固壊死エリアは、メスにより切除されるエリアとしてみなされる。本発明の治療用のクランプの構造は、操作者による簡単な手動操作を与えている。2つのクランプの操作により、2つの超音波療法アプリケータは、対象の組織をしっかりとクランプすることができる。かくして、対象の組織は、効果的に制御されることができる。このような切除は、過度の失血を生じさせず、かくして、輸血の可能性を低減し、また、手術後の合併症の発生も、減じられる。更に、本発明の2つの超音波療法アプリケータは、同時に動作することができ、これにより、切開の凝固壊死を生じさせる時間は短くされ、対象の組織の止血は確実にされる。
【0021】
本発明は、また、構造がコンパクトであり、治療コストが低く、並びに広い用途(異なる使用を有した超音波振動子が、異なる必要性に従って選択されることができる)を有するなどの他の効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1ないし12に示されているように、本発明は、ハンドル1と、互いに対面するように配置された2つの超音波療法アプリケータと、これら2つの超音波療法アプリケータをクランプ部分と一緒に移動させるときに互いに平行に維持するための平行移動メカニズムとを有している。前記ハンドル1は、クランプ形状である。2つの超音波療法アプリケータは、このクランプ形状のハンドル1の2つの前端部に互いに対面するように夫々装着され、また、2つのアプリケータの中央軸は、互いにオーバーラップしている。
【0023】
前記超音波療法アプリケータは、超音波振動子9と、流体容器8とを有している。この超音波振動子9は、流体容器8中に配置されている。この流体容器8の開口部分には、音響透過膜11が、気密装置により固定されている。
【0024】
前記超音波振動子9は、焦点又は非焦点式の超音波振動子を用いることができる。このような焦点式の振動子は、手術時に止血するため、また、例えば肝臓がん、骨肉腫、深部の筋肉腫等の組織の深い患部を治療するために、主に使用される。焦点式の超音波振動子は、焦点を合わせるためのレンズを有した単一の円形の圧電セラミック結晶であっても良いし、単一の球面又は単一のアーク面の圧電セラミックク結晶であっても良いし、同じサイズ又は異なるサイズの複数の圧電セラミック結晶を有した圧電セラミック結晶アレイであっても良い。このような超音波振動子の駆動モードは、位相制御時に、単一チャネルの信号の駆動モードであっても良いし、多重チャネルの信号の駆動モードであっても良い。また、非焦点式の超音波振動子は、皮膚病、並びに、皮膚の表面の患部のために主に使用される。この非焦点式の超音波振動子は、単一の平坦な圧電セラミック結晶であっても良いし、同じサイズ又は異なるサイズの複数の平坦な圧電セラミック結晶を有する圧電セラミック結晶アレイであっても良い。このような超音波振動子の駆動モードは、位相制御時に、単一チャネルの信号の駆動モードであっても良いし、多重チャネルの信号の駆動モードであっても良い。
【0025】
また、前記超音波振動子9には、スロット16が形成されている。このスロット16中には、超音波治療を案内するための半導体の照明装置又はBモードの超音波探触子が固定されることができる。また、2つのハンドル間には、これらハンドルを固定するためのロック部材が設けられることができる。
【0026】
好ましくは、前記超音波療法アプリケータは、2つの超音波振動子によりクランプされる対象の組織の側面に固定される温度センサー19を更に有している。
【0027】
前記超音波療法アプリケータは、接続チューブ3を更に有している。この接続チューブの一端部は、前記流体容器8に接続され、他端部は、ジョイント5を介してクランプ形状のハンドル1のクランプ部分に接続されている。前記平行移動メカニズムは、互いに対向した2つの接続チューブ3間に接続されている。チューブ3とジョイント5とが接続されている一端部には、流体並びに電気信号のための通路がある。流体並びに電気信号のためのこれら通路の両方は、超音波療法アプリケータに接続されている。
【0028】
本発明は、好ましい実施形態と添付図面とを参照して以下に更に説明される。
【0029】
実施形態1:
図1に示されているように、本発明は、ハンドル1と、超音波療法アプリケータと、平行移動メカニズムとを有している。前記ハンドル1は、クランプ形状であり、このハンドル1の2つのクランプ部分は、ピン2により互いに接続されている。このクランプ形状のハンドル1の2つの前端部に互いに対面するように装着された2つの超音波療法アプリケータ、即ち、第1の超音波アプリケータ6と第2の超音波アプリケータ7とがある。これら2つのアプリケータの中心軸は、互いに重なっている。
【0030】
この第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7との各々は、流体容器8と、超音波振動子9と、音響透過膜11と、カバーボード12と、接続チューブ3とを有している。この接続チューブ3は、一端部が、超音波振動子9に接続され、他端部が、ハンドル1のクランプ部分に接続されている。超音波振動子9は、流体容器8中に配置されている。また、前記音響透過膜11は、気密装置、即ちカバーボード12を介して、流体容器8の開口部分に固定されている。また、流体容器8には、脱気水が充填されている。この実施形態では、流体は、純水である。この超音波振動子は、焦点を合わせ得る単一の球面の圧電セラミック結晶を用い、小さなサイズを有する深い患部を処置するのに使用される。
【0031】
図2に示されているように、前記超音波振動子9は、ブラケット10に配置されている。このブラケット10には、超音波振動子9の焦点距離調整装置14が接続されている。この焦点距離調整装置14は、前記流体容器8に配置されている。
【0032】
前記焦点距離調整装置14は、ねじ141と、シールリング142と、シールナット143と、調整ノブ144と、固定ボルト145とを有している。前記ねじ141の突出部を有する端部は、ねじ接続によりブラケット10に接続され、また、ねじ141の他端部は、流体容器8に通じ、シールナット143に接続されている。調整ノブ144は、固定ボルト145により固定されている。シールを確実にするために、ねじ141が流体容器8の外壁に通じる外側に、シールリング142が導入されている。調整ノブ144を回転させると、ブラケット10は、ねじ141の動きを受けて前後に移動し、従って、このブラケット10に配置された超音波振動子9が、前後に移動する。焦点距離調整装置を有するこの種の超音波振動子は、組織が同じ厚さを有する場合に、患部の異なる処置の深さを満足させることができる。
【0033】
前記第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7との超音波振動子9は、同じ振動数又は異なる振動数を有することができ、これら2つの超音波振動子は、2セットの駆動装置により夫々駆動される。実際の状況に従えば、処置は、1つのアプリケータだけを使用しても良いし、2つのアプリケータを同時に使用しても良い。
【0034】
本発明の超音波治療用のクランプのクランプ部分のいずれの開成度で2つの超音波療法アプリケータを互いに平行に維持するのを確実にするために、即ち、2つのアプリケータの中心軸線を常に同じラインにするのを確実にするために、平行移動メカニズムが、前記ハンドル1の2つのクランプ部分間に設けられている。
【0035】
この平行移動メカニズムを実現する多くの方法がある。図1に示されているように、平行四辺形の伸縮式メカニズムが、この実施形態に用いられている。平行四辺形は、頂点がどのように移動したとしても平行四辺形を常に維持するので、平行四辺形の対辺は、いつでも平行状態を維持する。この平行移動メカニズムは、互いに対向した2つの接続チューブ3間に接続され、ピンにより互いにヒンジ接続された複数のリンクブロック15を有している。この平行移動メカニズムの最外端部の一方のコーナーの所のリンクブロック15は、接続チューブ3に設けられ前後に摺動し得る摺動スリーブ4とヒンジ接続されている。また、平行移動メカニズムの最外端部の他方のコーナーの所のリンクブロック15は、前記クランプ部分に固定されている。摺動スリーブ4は、平行移動メカニズムが外力を受けて自由に延びるのを可能にする主要部分である。
【0036】
前記第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、互いに対向した2つの接続チューブ3に夫々固定されているので、2つの接続チューブ3の両方は、ハンドル1のクランプ部分がどれ程の開成度であっても、常に平行を維持する。かくして、第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、常に平行に移動することができる。クランプ部分は、超音波アプリケータに接続されたジョイント5とヒンジ接続されているので、ハンドル1の開閉が、2つの超音波アプリケータの平行移動のための動力源を形成している。
【0037】
図1に示されているように、前記接続チューブ3は、流体容器8の側壁を通って、流体容器8にしっかりと接続されている。この接続チューブ3の他端部は、ジョイント5によりハンドル1のクランプ部分に接続されている。図3に示されているように、ジョイント5には3つの通路があり、これら全ての通路は、超音波療法アプリケータに接続され、取水チャネル、戻りチャネル、並びに超音波療法アプリケータ9の電気信号のためのチャネルとして夫々使用されている。従って、ジョイント5は、摺動スリーブ4用の支持部、並びに、本発明の回路並びに水用のチャネルである。この実施形態では、前記取水チャネルと戻りチャネルとは、流体容器8に接続されている。この流体容器8内の純水は、超音波振動子9用の冷却液並びに超音波接触媒質として使用されることができる。処置中に超音波振動子9により発生された熱は、この冷却液により、素早く除去されることができる。
【0038】
この実施形態では、処置用のクランプ部分の移動ジョイントの全ては、ピン2の接続を用いている。このようなピン接続を用いる目的は、移動ジョイントの所で一次元のみの回転が生じ多次元での移動が制限されて、クランプ部分が開閉するたびに超音波療法アプリケータがバランスを維持するように、捩れ、振動等が、本発明で生じないことを確実にすることである。
【0039】
図14に示されているように、この実施形態の超音波治療用のクランプは、外部のメインフレーム制御システム25と組み合わせて使用されることができる。2つの小径の複数の出口のホース24が、2つのジョイント5に夫々接続されている。そして、これら2つの小径の複数の出口のホース24は、コネクタを介して大径の複数の出口のホース26に接続されている。この大径の複数の出口のホース26内には、2つの複数の出口のホース24の通路と連通した通路がある。この大径の複数の出口のホース26は、メインフレーム制御システム25に接続されている。
【0040】
図14に示されているように、前記メインフレーム制御システム25では、信号ワイヤー257が、電気信号を超音波振動子9に与えるように、制御ユニット253に接続されている。水ポンプ254が、水タンク255上に位置され、制御ユニット253に接続されている。この制御ユニット253の制御を受けて、水タンク255中の純水は、取水パイプ259中に入ることができる。この取水パイプ259は、前記大きな複数の出口のホース26の取水通路に接続され、純水が、最終的に、戻りパイプ258を通して水タンク255に戻る。
【0041】
図14に示されているように、本実施形態の処置用のクランプが使用されるとき、最初に、メインフレーム制御システム25を対象の組織に近づけ得るようにキャスター256を押す。処置に要する超音波療法アプリケータの数は、外科手術の必要性に従って決定されなければならない。例えば、2つの超音波療法アプリケータが、処置中に同時に使用されるように選択されることができ、そして、ハンドル1の動作により、これら2つのアプリケータは、対象の組織をしっかりとクランプすることができる。超音波振動子9の焦点距離は、焦点距離調整装置14により調整される。ジョイント5の3つの通路では、制御ユニット253の制御を受けて、所定のセットの信号ワイヤー257が、電気的な駆動信号を2つの超音波振動子9に夫々与える。一方、超音波振動子9の冷却液並びに超音波接触媒質としての役割を果たしている純水は、取水パイプ259を通して流体容器8中に入力される。この水を最良に使用するために、純水は、最終的に、戻りパイプ258を通して戻る。前記平行移動メカニズムが、ハンドル1の動きを受けて延びるとき、2つのアプリケータは、常に平行状態を維持する。超音波振動子9は、超音波エネルギーを放射し、最終的に、対象の組織内に凝固壊死エリアを形成する。本発明が止血のために使用される場合、集束された超音波は、切除されるエリアと保存されるエリアとの間に凝固壊死エリアを生じさせるように適用される。組織の壊死は、この凝固壊死エリア内で生じ、血液は、凝固される。医者が、患部をメスで切除するとき(例えば、肝組織等の切除)、このような切除は、過度の失血をもたらすことはなく、輸血の可能性が減じられ、手術後の合併症の発生も、低減される。患部が、処置されるべき腫瘍である場合、最終的に、本発明は、増殖、浸潤、並びに転移の可能性の患部を切除する。
【0042】
実施形態2
図4に示されているように、この実施形態と実施形態1との間の主な違いは、以下の点、即ち、この実施形態の超音波振動子が、焦点式の単一のアーク面の圧電セラミック結晶を用いている点である。この種の超音波振動子は、主に、手術中の止血のため、並びに、深部及び大きなサイズの患部を処置するために使用される。同時に、この実施形態では、2つの超音波療法アプリケータが、これらアプリケータに設けられる焦点距離調整装置14を有しておらず、従って、超音波振動子9のブラケット10の形状は、実施形態1のものとは異なる。この実施形態では、ブラケット10には支持脚部があり、この支持脚部は、ブラケットをより固定並びに安定させるように超音波療法アプリケータに固定されている。
【0043】
この実施形態の構造並びに使用方法は、実施形態1のものと同じである。
【0044】
実施形態3:
図5に示されているように、この実施形態では、スロット16が、2つの超音波振動子9に夫々形成されている。これらスロット内には、半導体の照明装置17が、正確な処置を果たすために超音波振動子9を案内するように、ボンディングにより固定されている。処置の前に、半導体の照明装置17から放射される光線の位置に従って、操作者は、対象の組織の表面に超音波アプリケータを位置させることができ、療法アプリケータの焦点エリアと、半導体の照明装置17の光線の位置との交差ポイントは、正確な処置が果たされ得るように確認される。
【0045】
この実施形態では、超音波振動子9は、同じサイズ又は異なるサイズの複数の圧電セラミック結晶を有する圧電セラミック結晶アレイを用いている。このアレイの駆動モードは、位相制御の多重チャネル信号の駆動モードであり、かくして、操作者は、焦点がより正確であり、超音波エネルギーがより適切であり得るように、患部の深さのような実際の状態に従って、超音波振動子9を駆動することができる。
【0046】
本発明の超音波治療用のクランプが、メインフレーム制御システム25と組み合わせて使用されるとき、1セットの信号ワイヤー257が、電気的な駆動信号を2つの超音波振動子9に夫々与える。他のセットの信号ワイヤー257は、電気的な駆動信号を2つの半導体の照明装置17に夫々与える。
【0047】
この発明の他の構造並びに使用方法は、実施形態2のものと同じである。
【0048】
実施形態4
図6に示されているように、スロット16が、超音波振動子9に形成されている。このスロット16内には、超音波画像装置が固定されている。この実施形態では、超音波画像装置は、対象の組織を画像化して、本発明の超音波治療用のクランプにより果たされる治療を案内するように、Bモードの超音波探触子18を用いている。このようなBモード超音波探触子18は、第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とのいずれかのスロット16内に装着されることができる。この実施形態では、Bモードの超音波探触子18は、第1の療法アプリケータ6のスロット16中に装着されている。
【0049】
超音波治療用のクランプが、メインフレーム制御システム25と組み合わせて使用されるとき、Bモードの超音波探触子18は、対象の組織を映像化するために使用され、この対象の組織は、映像化の結果に基づいて処置される。
【0050】
この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態2のものと同じである。
【0051】
実施形態5
図7に示されているように、実際の使用では、超音波振動子の必要な焦点モードは、対象の組織の異なるサイズ並びに形状のために、異なる。ジョイント5と、第1の療法アプリケータ6又は第2の療法アプリケータ7との間には、90°回動し得る回動ジョイント22がある。第1の療法アプリケータ6又は第2の療法アプリケータ7は、この回動ジョイント22を中心として自由に回動することができ、即ち、超音波を横方向又は縦方向に集束させることができる。
【0052】
一方、ロック部材26が、ハンドル1に加えられている。平行移動メカニズムがハンドル1の動きを受けて適切な位置に延びるとき、このロック部材26は、2つのハンドル1の位置を固定するのに使用されることができる。
【0053】
この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態2のものと同じである。
【0054】
実施形態6
図8に示されているように、この実施形態の平行移動メカニズムは、入れ子式のパイプ構造体、即ち入れ子式のパイプ部材20を用いることができる。この入れ子式のパイプ部材20は、互いに異なる直径を有し一緒に装着された中空のパイプを有している。自由に摺動並びに延びることができる小さい方の中空のパイプは、大きいパイプ内に装着されている(入れ子式アンテナの原理と同じ)。図9は、単一の入れ子式のパイプ21の構造的な概略図である。各中空のパイプは、小径の中空のパイプが延出中に大径の中空のパイプから外に引き出されないように、制限用の突出部を有している。処置の必要性に従って、異なる直径を有した複数の中空のパイプが、与えられることができる。自由な摺動並びに延出を確実にするために、入れ子式のパイプ構造体20は、異なる直径を有し互いに装着された少なくとも2つの単一の入れ子式のパイプ21からなっている。3つの単一の入れ子式のパイプが、この実施形態に用いられている。
【0055】
この実施形態では、超音波振動子9が、皮膚病、皮膚の表面の患部等のために、非焦点式の円形の圧電セラミック結晶を用いている。図10に示されているように、超音波振動子9は、ブラケット10に固定されている。超音波振動子9が、丸い形状であるために、互いに対向した2つの超音波療法アプリケータの形状も、また、丸い形状である。第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、これらに設けられる焦点距離調整装置14を有しておらず、従って、ブラケット10の形状は、実施形態1のものとは異なる。この実施形態では、ブラケット10に支持脚部があり、この支持脚部は、ブラケットを固定並びに安定させ得るように超音波療法アプリケータに固定されている。
【0056】
この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態1のものと同じである。
【0057】
この実施形態では、第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、ジョイント5によりハンドル1の2つのクランプ部分の2つの前端部に夫々固定されている。入れ子式のパイプ部材20の2つの端部は、互いに対向した2つの接続チューブ3に夫々接続されている。この入れ子式のパイプ部材20が、ハンドル1の動きを受けて延びるとき、第1の超音波療法アプリケータ6と第2の超音波療法アプリケータ7とは、常に平行状態を維持している。
【0058】
実施形態7
図11に示されているように、この実施形態の平行移動メカニズムが、入れ子式のパイプ部材20を用いていることを除いて、この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態3のものと同じである。
【0059】
実施形態8
図12に示されているように、この実施形態の平行移動メカニズムが、入れ子式のパイプ部材20を用いていることを除いて、この実施形態他の構造並びに使用方法は、実施形態4のものと同じである。
【0060】
実施形態9
図13に示されているように、この実施形態の平行移動メカニズムは、入れ子式のパイプ部材20を用いている。更に、対象の組織に対する熱傷を回避するために、第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、2つの超音波振動子9によりクランプされる対象の組織の側部に固定される温度センサー19を有している。膜タイプの温度センサーは、軽くて薄いので、この実施形態の温度センサーは、膜タイプの温度センサーを用いている。
【0061】
この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態2のものと同じである。
【0062】
図14に示されているように、この実施形態の超音波治療用のクランプが、メインフレーム制御システム25と組み合わせて使用される場合、一方のセットの信号ワイヤー257が、電気的な駆動信号を2つの超音波振動子9に夫々与える。また、他方のセットの信号ワイヤー257が、温度監視信号を温度センサー19に与える。検出された温度は、制御ユニット253により処理された後に、メインフレーム制御システム25のディスプレイ251に表示される。この表示されたデータに基づいて、操作者は、処置を続けるかどうかを決定することができる。処置が停止される必要がある場合、処置を停止するように操作ノブ252を操作する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態1の構造的な概略図である。
【図2】本発明の実施形態1の超音波振動子9と焦点距離調整装置14との構造的な概略図である。
【図3】本発明の実施形態1の構造的な概略図である。
【図4】本発明の実施形態2の構造的な概略図である。
【図5】本発明の実施形態3の構造的な概略図である。
【図6】本発明の実施形態4の構造的な概略図である。
【図7】本発明の実施形態5の構造的な概略図である。
【図8】本発明の実施形態6の構造的な概略図である。
【図9】本発明の実子形態6の単一の入れ子式のパイプ21の構造的な概略図である。
【図10】本発明の実施形態6の超音波療法アプリケータのブラケット10と、このブラケットに設けられた超音波振動子9との構造的な概略図である。
【図11】本発明の実施形態7の構造的な概略図である。
【図12】本発明の実施形態8の構造的な概略図である。
【図13】本発明の実施形態9の構造的な概略図である。
【図14】本発明の実施形態とメインフレーム制御システム25との組み合わされた使用を示す構造的な概略図である。
【符号の説明】
【0064】
1…ハンドル、2…ピン、3…接続チューブ、4…摺動スリーブ、5…ジョイント、6…第1の療法アプリケータ、7…第2の療法アプリケータ、8…流体容器、9…超音波振動子、10…ブラケット、11…音響透過膜、12…カバーボード、13…ボルト、14…焦点距離調整装置、141…ねじ、142…シールリング、143…シールナット、144…調整ノブ、145…固定ボルト、15…リンクブロック、16…スロット、17…半導体の照明装置、18…Bモードの超音波探触子、19…温度センサー、20…入れ子式のパイプ部材、21…単一の入れ子式のパイプ、22…回動ジョイント、23…ロック部材、24…小径の複数の出口のホース、25…メインフレーム制御システム、251…ディスプレイ、252…操作ノブ、253…制御ユニット、254…水ポンプ、255…水タンク、256…キャスター、257…信号ワイヤー、258…戻りパイプ、259…取水パイプ、26…大径の複数の出口のホース
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に属し、高密度焦点式超音波治療用の装置、特に超音波治療用のクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波、特に高密度焦点式超音波は、患者の診断や治療のために、医療産業で広く使用されている。高密度焦点式超音波療法は、超音波を患部に集束させることである。この患部には、高密度並びに連続の超音波エネルギーが形成され、瞬間的な熱的効果(60℃ないし100℃)、キャビテーション効果、機械的効果、並びに音響化学効果が生まれて、細胞膜並びに核膜を破壊してたんぱく質を凝固させる。従って、高密度焦点式超音波療法は、患部を選択的に凝固壊死させて、増殖、浸潤、並びに転移の可能性のある患部を取り除くことができる。更に、高密度焦点式超音波療法は、腫瘍切除に使用されるだけでなく、他の疾患の治療にも使用され、臨床使用に承認されている。
【0003】
米国特許第5882302号、5993389号、並びに6083159号は、高密度焦点式超音波を使用した体内の止血術用の超音波装置を提供している。また、米国特許第6007499号、並びに6432067号は、手術前に麻酔の組織領域を形成して手術時に血管出血を回避するように、高密度焦点式超音波を使用した外科用超音波装置を提供している。このような装置の超音波振動子は、焦点式超音波を発生させて患部の所定のポイントに連続的に照射する。焦点の治療の深さは、超音波振動子の位置を変更することにより変えることができる。
【0004】
上述された米国特許により開示されている超音波装置は、高い血管新生の素質を有する組織の切除時に、ある程度、止血を与えることができるが、これら装置の使用において、幾つかの制限がある。第1に、操作者は、異なる外科的切開に従って大きいサイズの超音波振動子を手で同じ角度に連続的に移動させる必要がある。従って、操作手順が、非常に複雑であり、また、取り扱いを誤り易い。第2に、治療される組織が、柔軟で大きいとき、上述されたような装置により対象の組織に生じる圧力は、十分でなく、従って、対象の組織を効果的に切除することは、不可能である。また、対象の組織が制御され得ない場合、超音波エネルギーは、対象の組織に到達することができず、期待した止血が、得られない。第3に、上述された超音波装置は、患部内に一つの焦点のみを形成し、通常は、超音波エネルギーが、音響パスで減衰される。かくして、治療中に相対的に厚みのある組織(例えば、肝臓並びに脾臓)を凝固壊死させるのには長い時間がかかり、従って、コストが増える。
【発明の開示】
【0005】
上述されたような従来技術の欠点のために、技術的な問題は、コンパクトな構造、簡単な操作、低い治療コスト、患者の過度の失血を回避するように患部を素早く凝固壊死させる機能、並びに広い用途を有した超音波治療用のクランプを提供することにより本発明で解決される。
【0006】
技術的な問題を解決する技術的な解決策は、以下の通りである。即ち、超音波治療用のクランプが、超音波療法アプリケータと、これら超音波療法アプリケータに接続されたハンドルとを有している。これらハンドルは、クランプ形状である。互いにオーバーラップしている中央軸線を有する2つの超音波療法アプリケータが、クランプ形状のハンドルの2つのクランプ部分に互いに面するように夫々装着されている。クランプ部分と一緒に移動するときにこれら2つの超音波療法アプリケータを平行に維持するための平行移動メカニズムが、2つのクランプ部分間に接続されている。
【0007】
この超音波療法用のクランプは、接続チューブを更に有している。これら接続チューブの一端部は、超音波療法アプリケータに接続され、他端部は、クランプ形状のハンドルのクランプ部分に接続されている。また、前記平行移動メカニズムは、互いに対向した2つの接続チューブ間に接続されている。
【0008】
好ましくは、前記接続チューブは、ジョイントを介してクランプ形状のハンドルのクランプ部分に接続されている。接続チューブとジョイントとを接続している一端部の所に、流体並びに電気信号用の通路がある。流体用の通路は、治療中に超音波振動子を冷却するように、本発明では冷却通路として使用されている。この冷却流体は、通常、液体水である。
【0009】
実際の使用では、対象の組織のサイズ並びに形状が異なるので、前記ジョイントは、回動ジョイントにより超音波療法アプリケータに接続されることができる。この回動ジョイントは、自由に回動することができるので、超音波療法アプリケータは、回動ジョイントを中心として自由に回動することができ、即ち、超音波を横方向又は縦方向に集中させることができる。
【0010】
前記平行移動メカニズムは、2つの超音波療法アプリケータの焦点領域が、治療用のクランプのいずれの開成度でも同じ直線上にあることを可能にしている。即ち、平行移動メカニズムは、2つのアプリケータの中央軸線を、常に、互いにオーバーラップし続けることができる。かくして、高密度超音波エネルギーが治療のために必要とされたとき、超音波エネルギーは、収集されることができ、即ち、2つのアプリケータは、同じ患部に同時に超音波エネルギーを与える。従って、療法効果が、向上されることができる。治療中に、本発明のアプリケータを使用して厚みのある患部(例えば、肝臓又は膵臓)を凝固壊死させる時間は、従来技術の超音波アプリケータを使用したものよりも非常に短い。従って、治療コストが減じられる。これと同時に、超音波エネルギーは、2つ以上の超音波アプリケータから照射され、他の内臓が傷つけられることはない。
【0011】
前記平行移動メカニズムは、互いにヒンジ接続された複数のリンクブロックにより形成された平行四辺形の伸縮式メカニズムを有することができる。前記接続チューブには、前後に摺動する摺動スリーブがある。平行移動メカニズムの外側部分の一方のコーナーの所のリンクブロックは、前記摺動スリーブとヒンジ接続され、また、外側部分の他方のコーナーの所のリンクブロックは、前記クランプ部分に固定されている。
【0012】
前記平行移動メカニズムは、直径が異なる大径の中空のパイプと小径の中空のパイプとを有する入れ子式のパイプ部材であり得る。小さい中空のパイプは、大径の中空のパイプ内に収容され、延出並びに摺動することができる。
【0013】
前記超音波療法アプリケータは、超音波振動子と、流体容器とを有している。超音波振動子は、流体容器中に配置され、この流体容器の開口部分には、音響透過膜が、気密装置により固定されている。
【0014】
前記流体は、脱気水であることが好ましい。前記超音波振動子は、実際の必要に応じて、焦点式又は非焦点式の超音波振動子を用いることができる。かくして、本発明の装置は、腫瘍、皮膚病等の他の病気を治療するために広く使用されることができる。
【0015】
前記流体容器中には、ブラケットが設けられ、このブラケットに、超音波振動子が配置されている。好ましくは、流体容器には、更に、焦点距離調整装置が設けられている。流体容器中に延びている焦点距離調整装置の一端部は、ブラケットに接続されている。
【0016】
この焦点距離調整装置は、前記ブラケットに接続されたねじと、ねじにカバーされたシールリング並びにシールナットと、このシールナットに設けられた調整ノブと、この調整ノブに設けられた固定ボルトとを有することができる。前記シールリングは、流体容器の外壁に密着している。
【0017】
前記超音波振動子には、超音波治療の案内アッセンブリを装着するためのスロットが形成されている。この案内アッセンブリは、半導体の照明装置、又は、Bモードの超音波探触子であり得る。この半導体の照明装置は、スロット内に固定され、正確な治療を行うように超音波振動子を案内するために使用される。治療の前に、半導体の照明装置から照射される光線の位置に従って、操作者は、超音波振動子を対象の組織の表面に位置させることができる。また、超音波振動子の焦点/ラインとダイオードの光線との交差ポイントは、確認される。このようなBモードの超音波接触子の超音波映像装置は、対象の組織を映像化して超音波治療を案内するように、前記スロット内に固定されることができる。
【0018】
対象の組織に対する熱傷を回避するために、超音波療法アプリケータは、前記2つの超音波振動子の対向した側部(即ち、超音波振動子によりクランプされる対象の組織の側)に固定された温度センサーを更に有している。膜タイプの温度センサーは、軽くて薄いので、温度センサーは、膜タイプの温度センサーであることが好ましい。
【0019】
前記ハンドルを固定するためのロック部材が、2つのハンドル間に設けられることができる。かくして、ハンドルにより駆動される平行移動メカニズムが、予め決定された位置に延びた後、ロック部材は、治療の利便性のために2つのハンドルの現在の位置を固定するのに使用されることができる。
【0020】
本発明では、高い血管新生の素質を有する組織(例えば、脾臓、)の切除の前に、高密度焦点式超音波が、切除されるエリアと保存されるエリアとの間に凝固壊死エリアを生じさせるために与えられる。従って、肝臓のような組織の切除の間に、この凝固壊死エリアは、メスにより切除されるエリアとしてみなされる。本発明の治療用のクランプの構造は、操作者による簡単な手動操作を与えている。2つのクランプの操作により、2つの超音波療法アプリケータは、対象の組織をしっかりとクランプすることができる。かくして、対象の組織は、効果的に制御されることができる。このような切除は、過度の失血を生じさせず、かくして、輸血の可能性を低減し、また、手術後の合併症の発生も、減じられる。更に、本発明の2つの超音波療法アプリケータは、同時に動作することができ、これにより、切開の凝固壊死を生じさせる時間は短くされ、対象の組織の止血は確実にされる。
【0021】
本発明は、また、構造がコンパクトであり、治療コストが低く、並びに広い用途(異なる使用を有した超音波振動子が、異なる必要性に従って選択されることができる)を有するなどの他の効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1ないし12に示されているように、本発明は、ハンドル1と、互いに対面するように配置された2つの超音波療法アプリケータと、これら2つの超音波療法アプリケータをクランプ部分と一緒に移動させるときに互いに平行に維持するための平行移動メカニズムとを有している。前記ハンドル1は、クランプ形状である。2つの超音波療法アプリケータは、このクランプ形状のハンドル1の2つの前端部に互いに対面するように夫々装着され、また、2つのアプリケータの中央軸は、互いにオーバーラップしている。
【0023】
前記超音波療法アプリケータは、超音波振動子9と、流体容器8とを有している。この超音波振動子9は、流体容器8中に配置されている。この流体容器8の開口部分には、音響透過膜11が、気密装置により固定されている。
【0024】
前記超音波振動子9は、焦点又は非焦点式の超音波振動子を用いることができる。このような焦点式の振動子は、手術時に止血するため、また、例えば肝臓がん、骨肉腫、深部の筋肉腫等の組織の深い患部を治療するために、主に使用される。焦点式の超音波振動子は、焦点を合わせるためのレンズを有した単一の円形の圧電セラミック結晶であっても良いし、単一の球面又は単一のアーク面の圧電セラミックク結晶であっても良いし、同じサイズ又は異なるサイズの複数の圧電セラミック結晶を有した圧電セラミック結晶アレイであっても良い。このような超音波振動子の駆動モードは、位相制御時に、単一チャネルの信号の駆動モードであっても良いし、多重チャネルの信号の駆動モードであっても良い。また、非焦点式の超音波振動子は、皮膚病、並びに、皮膚の表面の患部のために主に使用される。この非焦点式の超音波振動子は、単一の平坦な圧電セラミック結晶であっても良いし、同じサイズ又は異なるサイズの複数の平坦な圧電セラミック結晶を有する圧電セラミック結晶アレイであっても良い。このような超音波振動子の駆動モードは、位相制御時に、単一チャネルの信号の駆動モードであっても良いし、多重チャネルの信号の駆動モードであっても良い。
【0025】
また、前記超音波振動子9には、スロット16が形成されている。このスロット16中には、超音波治療を案内するための半導体の照明装置又はBモードの超音波探触子が固定されることができる。また、2つのハンドル間には、これらハンドルを固定するためのロック部材が設けられることができる。
【0026】
好ましくは、前記超音波療法アプリケータは、2つの超音波振動子によりクランプされる対象の組織の側面に固定される温度センサー19を更に有している。
【0027】
前記超音波療法アプリケータは、接続チューブ3を更に有している。この接続チューブの一端部は、前記流体容器8に接続され、他端部は、ジョイント5を介してクランプ形状のハンドル1のクランプ部分に接続されている。前記平行移動メカニズムは、互いに対向した2つの接続チューブ3間に接続されている。チューブ3とジョイント5とが接続されている一端部には、流体並びに電気信号のための通路がある。流体並びに電気信号のためのこれら通路の両方は、超音波療法アプリケータに接続されている。
【0028】
本発明は、好ましい実施形態と添付図面とを参照して以下に更に説明される。
【0029】
実施形態1:
図1に示されているように、本発明は、ハンドル1と、超音波療法アプリケータと、平行移動メカニズムとを有している。前記ハンドル1は、クランプ形状であり、このハンドル1の2つのクランプ部分は、ピン2により互いに接続されている。このクランプ形状のハンドル1の2つの前端部に互いに対面するように装着された2つの超音波療法アプリケータ、即ち、第1の超音波アプリケータ6と第2の超音波アプリケータ7とがある。これら2つのアプリケータの中心軸は、互いに重なっている。
【0030】
この第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7との各々は、流体容器8と、超音波振動子9と、音響透過膜11と、カバーボード12と、接続チューブ3とを有している。この接続チューブ3は、一端部が、超音波振動子9に接続され、他端部が、ハンドル1のクランプ部分に接続されている。超音波振動子9は、流体容器8中に配置されている。また、前記音響透過膜11は、気密装置、即ちカバーボード12を介して、流体容器8の開口部分に固定されている。また、流体容器8には、脱気水が充填されている。この実施形態では、流体は、純水である。この超音波振動子は、焦点を合わせ得る単一の球面の圧電セラミック結晶を用い、小さなサイズを有する深い患部を処置するのに使用される。
【0031】
図2に示されているように、前記超音波振動子9は、ブラケット10に配置されている。このブラケット10には、超音波振動子9の焦点距離調整装置14が接続されている。この焦点距離調整装置14は、前記流体容器8に配置されている。
【0032】
前記焦点距離調整装置14は、ねじ141と、シールリング142と、シールナット143と、調整ノブ144と、固定ボルト145とを有している。前記ねじ141の突出部を有する端部は、ねじ接続によりブラケット10に接続され、また、ねじ141の他端部は、流体容器8に通じ、シールナット143に接続されている。調整ノブ144は、固定ボルト145により固定されている。シールを確実にするために、ねじ141が流体容器8の外壁に通じる外側に、シールリング142が導入されている。調整ノブ144を回転させると、ブラケット10は、ねじ141の動きを受けて前後に移動し、従って、このブラケット10に配置された超音波振動子9が、前後に移動する。焦点距離調整装置を有するこの種の超音波振動子は、組織が同じ厚さを有する場合に、患部の異なる処置の深さを満足させることができる。
【0033】
前記第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7との超音波振動子9は、同じ振動数又は異なる振動数を有することができ、これら2つの超音波振動子は、2セットの駆動装置により夫々駆動される。実際の状況に従えば、処置は、1つのアプリケータだけを使用しても良いし、2つのアプリケータを同時に使用しても良い。
【0034】
本発明の超音波治療用のクランプのクランプ部分のいずれの開成度で2つの超音波療法アプリケータを互いに平行に維持するのを確実にするために、即ち、2つのアプリケータの中心軸線を常に同じラインにするのを確実にするために、平行移動メカニズムが、前記ハンドル1の2つのクランプ部分間に設けられている。
【0035】
この平行移動メカニズムを実現する多くの方法がある。図1に示されているように、平行四辺形の伸縮式メカニズムが、この実施形態に用いられている。平行四辺形は、頂点がどのように移動したとしても平行四辺形を常に維持するので、平行四辺形の対辺は、いつでも平行状態を維持する。この平行移動メカニズムは、互いに対向した2つの接続チューブ3間に接続され、ピンにより互いにヒンジ接続された複数のリンクブロック15を有している。この平行移動メカニズムの最外端部の一方のコーナーの所のリンクブロック15は、接続チューブ3に設けられ前後に摺動し得る摺動スリーブ4とヒンジ接続されている。また、平行移動メカニズムの最外端部の他方のコーナーの所のリンクブロック15は、前記クランプ部分に固定されている。摺動スリーブ4は、平行移動メカニズムが外力を受けて自由に延びるのを可能にする主要部分である。
【0036】
前記第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、互いに対向した2つの接続チューブ3に夫々固定されているので、2つの接続チューブ3の両方は、ハンドル1のクランプ部分がどれ程の開成度であっても、常に平行を維持する。かくして、第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、常に平行に移動することができる。クランプ部分は、超音波アプリケータに接続されたジョイント5とヒンジ接続されているので、ハンドル1の開閉が、2つの超音波アプリケータの平行移動のための動力源を形成している。
【0037】
図1に示されているように、前記接続チューブ3は、流体容器8の側壁を通って、流体容器8にしっかりと接続されている。この接続チューブ3の他端部は、ジョイント5によりハンドル1のクランプ部分に接続されている。図3に示されているように、ジョイント5には3つの通路があり、これら全ての通路は、超音波療法アプリケータに接続され、取水チャネル、戻りチャネル、並びに超音波療法アプリケータ9の電気信号のためのチャネルとして夫々使用されている。従って、ジョイント5は、摺動スリーブ4用の支持部、並びに、本発明の回路並びに水用のチャネルである。この実施形態では、前記取水チャネルと戻りチャネルとは、流体容器8に接続されている。この流体容器8内の純水は、超音波振動子9用の冷却液並びに超音波接触媒質として使用されることができる。処置中に超音波振動子9により発生された熱は、この冷却液により、素早く除去されることができる。
【0038】
この実施形態では、処置用のクランプ部分の移動ジョイントの全ては、ピン2の接続を用いている。このようなピン接続を用いる目的は、移動ジョイントの所で一次元のみの回転が生じ多次元での移動が制限されて、クランプ部分が開閉するたびに超音波療法アプリケータがバランスを維持するように、捩れ、振動等が、本発明で生じないことを確実にすることである。
【0039】
図14に示されているように、この実施形態の超音波治療用のクランプは、外部のメインフレーム制御システム25と組み合わせて使用されることができる。2つの小径の複数の出口のホース24が、2つのジョイント5に夫々接続されている。そして、これら2つの小径の複数の出口のホース24は、コネクタを介して大径の複数の出口のホース26に接続されている。この大径の複数の出口のホース26内には、2つの複数の出口のホース24の通路と連通した通路がある。この大径の複数の出口のホース26は、メインフレーム制御システム25に接続されている。
【0040】
図14に示されているように、前記メインフレーム制御システム25では、信号ワイヤー257が、電気信号を超音波振動子9に与えるように、制御ユニット253に接続されている。水ポンプ254が、水タンク255上に位置され、制御ユニット253に接続されている。この制御ユニット253の制御を受けて、水タンク255中の純水は、取水パイプ259中に入ることができる。この取水パイプ259は、前記大きな複数の出口のホース26の取水通路に接続され、純水が、最終的に、戻りパイプ258を通して水タンク255に戻る。
【0041】
図14に示されているように、本実施形態の処置用のクランプが使用されるとき、最初に、メインフレーム制御システム25を対象の組織に近づけ得るようにキャスター256を押す。処置に要する超音波療法アプリケータの数は、外科手術の必要性に従って決定されなければならない。例えば、2つの超音波療法アプリケータが、処置中に同時に使用されるように選択されることができ、そして、ハンドル1の動作により、これら2つのアプリケータは、対象の組織をしっかりとクランプすることができる。超音波振動子9の焦点距離は、焦点距離調整装置14により調整される。ジョイント5の3つの通路では、制御ユニット253の制御を受けて、所定のセットの信号ワイヤー257が、電気的な駆動信号を2つの超音波振動子9に夫々与える。一方、超音波振動子9の冷却液並びに超音波接触媒質としての役割を果たしている純水は、取水パイプ259を通して流体容器8中に入力される。この水を最良に使用するために、純水は、最終的に、戻りパイプ258を通して戻る。前記平行移動メカニズムが、ハンドル1の動きを受けて延びるとき、2つのアプリケータは、常に平行状態を維持する。超音波振動子9は、超音波エネルギーを放射し、最終的に、対象の組織内に凝固壊死エリアを形成する。本発明が止血のために使用される場合、集束された超音波は、切除されるエリアと保存されるエリアとの間に凝固壊死エリアを生じさせるように適用される。組織の壊死は、この凝固壊死エリア内で生じ、血液は、凝固される。医者が、患部をメスで切除するとき(例えば、肝組織等の切除)、このような切除は、過度の失血をもたらすことはなく、輸血の可能性が減じられ、手術後の合併症の発生も、低減される。患部が、処置されるべき腫瘍である場合、最終的に、本発明は、増殖、浸潤、並びに転移の可能性の患部を切除する。
【0042】
実施形態2
図4に示されているように、この実施形態と実施形態1との間の主な違いは、以下の点、即ち、この実施形態の超音波振動子が、焦点式の単一のアーク面の圧電セラミック結晶を用いている点である。この種の超音波振動子は、主に、手術中の止血のため、並びに、深部及び大きなサイズの患部を処置するために使用される。同時に、この実施形態では、2つの超音波療法アプリケータが、これらアプリケータに設けられる焦点距離調整装置14を有しておらず、従って、超音波振動子9のブラケット10の形状は、実施形態1のものとは異なる。この実施形態では、ブラケット10には支持脚部があり、この支持脚部は、ブラケットをより固定並びに安定させるように超音波療法アプリケータに固定されている。
【0043】
この実施形態の構造並びに使用方法は、実施形態1のものと同じである。
【0044】
実施形態3:
図5に示されているように、この実施形態では、スロット16が、2つの超音波振動子9に夫々形成されている。これらスロット内には、半導体の照明装置17が、正確な処置を果たすために超音波振動子9を案内するように、ボンディングにより固定されている。処置の前に、半導体の照明装置17から放射される光線の位置に従って、操作者は、対象の組織の表面に超音波アプリケータを位置させることができ、療法アプリケータの焦点エリアと、半導体の照明装置17の光線の位置との交差ポイントは、正確な処置が果たされ得るように確認される。
【0045】
この実施形態では、超音波振動子9は、同じサイズ又は異なるサイズの複数の圧電セラミック結晶を有する圧電セラミック結晶アレイを用いている。このアレイの駆動モードは、位相制御の多重チャネル信号の駆動モードであり、かくして、操作者は、焦点がより正確であり、超音波エネルギーがより適切であり得るように、患部の深さのような実際の状態に従って、超音波振動子9を駆動することができる。
【0046】
本発明の超音波治療用のクランプが、メインフレーム制御システム25と組み合わせて使用されるとき、1セットの信号ワイヤー257が、電気的な駆動信号を2つの超音波振動子9に夫々与える。他のセットの信号ワイヤー257は、電気的な駆動信号を2つの半導体の照明装置17に夫々与える。
【0047】
この発明の他の構造並びに使用方法は、実施形態2のものと同じである。
【0048】
実施形態4
図6に示されているように、スロット16が、超音波振動子9に形成されている。このスロット16内には、超音波画像装置が固定されている。この実施形態では、超音波画像装置は、対象の組織を画像化して、本発明の超音波治療用のクランプにより果たされる治療を案内するように、Bモードの超音波探触子18を用いている。このようなBモード超音波探触子18は、第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とのいずれかのスロット16内に装着されることができる。この実施形態では、Bモードの超音波探触子18は、第1の療法アプリケータ6のスロット16中に装着されている。
【0049】
超音波治療用のクランプが、メインフレーム制御システム25と組み合わせて使用されるとき、Bモードの超音波探触子18は、対象の組織を映像化するために使用され、この対象の組織は、映像化の結果に基づいて処置される。
【0050】
この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態2のものと同じである。
【0051】
実施形態5
図7に示されているように、実際の使用では、超音波振動子の必要な焦点モードは、対象の組織の異なるサイズ並びに形状のために、異なる。ジョイント5と、第1の療法アプリケータ6又は第2の療法アプリケータ7との間には、90°回動し得る回動ジョイント22がある。第1の療法アプリケータ6又は第2の療法アプリケータ7は、この回動ジョイント22を中心として自由に回動することができ、即ち、超音波を横方向又は縦方向に集束させることができる。
【0052】
一方、ロック部材26が、ハンドル1に加えられている。平行移動メカニズムがハンドル1の動きを受けて適切な位置に延びるとき、このロック部材26は、2つのハンドル1の位置を固定するのに使用されることができる。
【0053】
この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態2のものと同じである。
【0054】
実施形態6
図8に示されているように、この実施形態の平行移動メカニズムは、入れ子式のパイプ構造体、即ち入れ子式のパイプ部材20を用いることができる。この入れ子式のパイプ部材20は、互いに異なる直径を有し一緒に装着された中空のパイプを有している。自由に摺動並びに延びることができる小さい方の中空のパイプは、大きいパイプ内に装着されている(入れ子式アンテナの原理と同じ)。図9は、単一の入れ子式のパイプ21の構造的な概略図である。各中空のパイプは、小径の中空のパイプが延出中に大径の中空のパイプから外に引き出されないように、制限用の突出部を有している。処置の必要性に従って、異なる直径を有した複数の中空のパイプが、与えられることができる。自由な摺動並びに延出を確実にするために、入れ子式のパイプ構造体20は、異なる直径を有し互いに装着された少なくとも2つの単一の入れ子式のパイプ21からなっている。3つの単一の入れ子式のパイプが、この実施形態に用いられている。
【0055】
この実施形態では、超音波振動子9が、皮膚病、皮膚の表面の患部等のために、非焦点式の円形の圧電セラミック結晶を用いている。図10に示されているように、超音波振動子9は、ブラケット10に固定されている。超音波振動子9が、丸い形状であるために、互いに対向した2つの超音波療法アプリケータの形状も、また、丸い形状である。第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、これらに設けられる焦点距離調整装置14を有しておらず、従って、ブラケット10の形状は、実施形態1のものとは異なる。この実施形態では、ブラケット10に支持脚部があり、この支持脚部は、ブラケットを固定並びに安定させ得るように超音波療法アプリケータに固定されている。
【0056】
この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態1のものと同じである。
【0057】
この実施形態では、第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、ジョイント5によりハンドル1の2つのクランプ部分の2つの前端部に夫々固定されている。入れ子式のパイプ部材20の2つの端部は、互いに対向した2つの接続チューブ3に夫々接続されている。この入れ子式のパイプ部材20が、ハンドル1の動きを受けて延びるとき、第1の超音波療法アプリケータ6と第2の超音波療法アプリケータ7とは、常に平行状態を維持している。
【0058】
実施形態7
図11に示されているように、この実施形態の平行移動メカニズムが、入れ子式のパイプ部材20を用いていることを除いて、この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態3のものと同じである。
【0059】
実施形態8
図12に示されているように、この実施形態の平行移動メカニズムが、入れ子式のパイプ部材20を用いていることを除いて、この実施形態他の構造並びに使用方法は、実施形態4のものと同じである。
【0060】
実施形態9
図13に示されているように、この実施形態の平行移動メカニズムは、入れ子式のパイプ部材20を用いている。更に、対象の組織に対する熱傷を回避するために、第1の療法アプリケータ6と第2の療法アプリケータ7とは、2つの超音波振動子9によりクランプされる対象の組織の側部に固定される温度センサー19を有している。膜タイプの温度センサーは、軽くて薄いので、この実施形態の温度センサーは、膜タイプの温度センサーを用いている。
【0061】
この実施形態の他の構造並びに使用方法は、実施形態2のものと同じである。
【0062】
図14に示されているように、この実施形態の超音波治療用のクランプが、メインフレーム制御システム25と組み合わせて使用される場合、一方のセットの信号ワイヤー257が、電気的な駆動信号を2つの超音波振動子9に夫々与える。また、他方のセットの信号ワイヤー257が、温度監視信号を温度センサー19に与える。検出された温度は、制御ユニット253により処理された後に、メインフレーム制御システム25のディスプレイ251に表示される。この表示されたデータに基づいて、操作者は、処置を続けるかどうかを決定することができる。処置が停止される必要がある場合、処置を停止するように操作ノブ252を操作する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態1の構造的な概略図である。
【図2】本発明の実施形態1の超音波振動子9と焦点距離調整装置14との構造的な概略図である。
【図3】本発明の実施形態1の構造的な概略図である。
【図4】本発明の実施形態2の構造的な概略図である。
【図5】本発明の実施形態3の構造的な概略図である。
【図6】本発明の実施形態4の構造的な概略図である。
【図7】本発明の実施形態5の構造的な概略図である。
【図8】本発明の実施形態6の構造的な概略図である。
【図9】本発明の実子形態6の単一の入れ子式のパイプ21の構造的な概略図である。
【図10】本発明の実施形態6の超音波療法アプリケータのブラケット10と、このブラケットに設けられた超音波振動子9との構造的な概略図である。
【図11】本発明の実施形態7の構造的な概略図である。
【図12】本発明の実施形態8の構造的な概略図である。
【図13】本発明の実施形態9の構造的な概略図である。
【図14】本発明の実施形態とメインフレーム制御システム25との組み合わされた使用を示す構造的な概略図である。
【符号の説明】
【0064】
1…ハンドル、2…ピン、3…接続チューブ、4…摺動スリーブ、5…ジョイント、6…第1の療法アプリケータ、7…第2の療法アプリケータ、8…流体容器、9…超音波振動子、10…ブラケット、11…音響透過膜、12…カバーボード、13…ボルト、14…焦点距離調整装置、141…ねじ、142…シールリング、143…シールナット、144…調整ノブ、145…固定ボルト、15…リンクブロック、16…スロット、17…半導体の照明装置、18…Bモードの超音波探触子、19…温度センサー、20…入れ子式のパイプ部材、21…単一の入れ子式のパイプ、22…回動ジョイント、23…ロック部材、24…小径の複数の出口のホース、25…メインフレーム制御システム、251…ディスプレイ、252…操作ノブ、253…制御ユニット、254…水ポンプ、255…水タンク、256…キャスター、257…信号ワイヤー、258…戻りパイプ、259…取水パイプ、26…大径の複数の出口のホース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波療法アプリケータを具備する超音波治療用のクランプにおいて、超音波療法アプリケータに接続されているクランプ形状のハンドルと、互いにオーバーラップしている中央軸線を有し、前記クランプ形状のハンドルの2つのクランプ部分に互いに面するように夫々装着されている2つの前記超音波療法アプリケータと、前記クランプ部分と一緒に移動するときに前記2つの超音波療法アプリケータを平行に維持するための、2つのクランプ部分間に接続された平行移動メカニズムとを具備していることを特徴とする超音波治療用のクランプ。
【請求項2】
前記超音波療法アプリケータの各々は、接続チューブを更に有し、この接続チューブは、一端部が、超音波療法アプリケータに接続され、他端部が、前記クランプ形状のハンドルのクランプ部分に接続され、また、前記平行移動メカニズムは、互いに対向した2つの前記接続チューブ間に接続されていることを特徴とする請求項1の超音波治療用のクランプ。
【請求項3】
前記接続チューブの各々は、ジョイントにより、前記クランプ形状のハンドルのクランプ部分に接続され、この接続チューブとジョイントとの接続部分の所には、流体並びに電気信号用の通路があり、これら流体並びに電気信号用の通路は、前記超音波療法アプリケータに接続されていることを特徴とする請求項2の超音波治療用のクランプ。
【請求項4】
前記接続チューブの各々は、回動ジョイントにより、前記超音波療法アプリケータに接続されていることを特徴とする請求項2の超音波治療用のクランプ。
【請求項5】
前記平行移動メカニズムは、互いにヒンジ接続された複数のリンクブロックにより形成された平行四辺形の伸縮式メカニズムを有し、また、前記接続チューブには、前後に摺動し得る摺動スリーブが設けられ、平行移動メカニズムの外端部の一方のコーナーの所の前記リンクブロックは、前記摺動スリーブとヒンジ接続され、また、平行移動メカニズムの外端部の他方のコーナーの所の前記リンクブロックは、前記クランプ部分に固定されていることを特徴とする請求項2の超音波治療用のクランプ。
【請求項6】
前記平行移動メカニズムは、大径の中空のパイプと、この大径の中空のパイプ中に収容され延出並びに摺動可能である小径の中空のパイプとを有している入れ子式のパイプ部材であることを特徴とする請求項2の超音波治療用のクランプ。
【請求項7】
前記超音波療法アプリケータの各々は、超音波振動子と、流体を収容する流体容器とを有し、前記超音波振動子は、流体容器中に配置され、この流体容器の開口部分には、音響透過膜が、気密装置により固定されていることを特徴とする請求項1の超音波治療用のクランプ。
【請求項8】
前記流体は、脱気水であることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項9】
前記超音波振動子は、焦点又は非焦点式の超音波振動子を用いていることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項10】
前記流体容器中には、ブラケットが設けられ、このブラケットに、前記超音波振動子が配置されていることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項11】
前記流体容器には、焦点距離調整装置が設けられ、流体容器中へと延びているこの焦点距離調整装置の一端部は、前記ブラケットに接続されていることを特徴とする請求項10の超音波治療用のクランプ。
【請求項12】
前記焦点距離調整装置は、前記ブラケットに接続されたねじと、このねじにカバーされたシールリング並びにシールナットと、このシールナットに設けられた調整ノブと、この調整ノブに設けられた固定ボルトとを有することが可能であり、前記シールリングは、前記流体容器の外壁に密着していることを特徴とする請求項11の超音波治療用のクランプ。
【請求項13】
前記超音波振動子には、超音波治療の案内アッセンブリを装着するためのスロットが形成されていることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項14】
前記超音波治療の案内アッセンブリは、半導体の照明装置、又は、Bモードの超音波探触子であることを特徴とする請求項13の超音波治療用のクランプ。
【請求項15】
前記超音波療法アプリケータは、2つの超音波振動子の互いに対向した側部に固定された温度センサーを更に有していることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項16】
2つの前記ハンドル間には、ハンドルの位置を固定するためのロック部材が設けられていることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項1】
超音波療法アプリケータを具備する超音波治療用のクランプにおいて、超音波療法アプリケータに接続されているクランプ形状のハンドルと、互いにオーバーラップしている中央軸線を有し、前記クランプ形状のハンドルの2つのクランプ部分に互いに面するように夫々装着されている2つの前記超音波療法アプリケータと、前記クランプ部分と一緒に移動するときに前記2つの超音波療法アプリケータを平行に維持するための、2つのクランプ部分間に接続された平行移動メカニズムとを具備していることを特徴とする超音波治療用のクランプ。
【請求項2】
前記超音波療法アプリケータの各々は、接続チューブを更に有し、この接続チューブは、一端部が、超音波療法アプリケータに接続され、他端部が、前記クランプ形状のハンドルのクランプ部分に接続され、また、前記平行移動メカニズムは、互いに対向した2つの前記接続チューブ間に接続されていることを特徴とする請求項1の超音波治療用のクランプ。
【請求項3】
前記接続チューブの各々は、ジョイントにより、前記クランプ形状のハンドルのクランプ部分に接続され、この接続チューブとジョイントとの接続部分の所には、流体並びに電気信号用の通路があり、これら流体並びに電気信号用の通路は、前記超音波療法アプリケータに接続されていることを特徴とする請求項2の超音波治療用のクランプ。
【請求項4】
前記接続チューブの各々は、回動ジョイントにより、前記超音波療法アプリケータに接続されていることを特徴とする請求項2の超音波治療用のクランプ。
【請求項5】
前記平行移動メカニズムは、互いにヒンジ接続された複数のリンクブロックにより形成された平行四辺形の伸縮式メカニズムを有し、また、前記接続チューブには、前後に摺動し得る摺動スリーブが設けられ、平行移動メカニズムの外端部の一方のコーナーの所の前記リンクブロックは、前記摺動スリーブとヒンジ接続され、また、平行移動メカニズムの外端部の他方のコーナーの所の前記リンクブロックは、前記クランプ部分に固定されていることを特徴とする請求項2の超音波治療用のクランプ。
【請求項6】
前記平行移動メカニズムは、大径の中空のパイプと、この大径の中空のパイプ中に収容され延出並びに摺動可能である小径の中空のパイプとを有している入れ子式のパイプ部材であることを特徴とする請求項2の超音波治療用のクランプ。
【請求項7】
前記超音波療法アプリケータの各々は、超音波振動子と、流体を収容する流体容器とを有し、前記超音波振動子は、流体容器中に配置され、この流体容器の開口部分には、音響透過膜が、気密装置により固定されていることを特徴とする請求項1の超音波治療用のクランプ。
【請求項8】
前記流体は、脱気水であることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項9】
前記超音波振動子は、焦点又は非焦点式の超音波振動子を用いていることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項10】
前記流体容器中には、ブラケットが設けられ、このブラケットに、前記超音波振動子が配置されていることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項11】
前記流体容器には、焦点距離調整装置が設けられ、流体容器中へと延びているこの焦点距離調整装置の一端部は、前記ブラケットに接続されていることを特徴とする請求項10の超音波治療用のクランプ。
【請求項12】
前記焦点距離調整装置は、前記ブラケットに接続されたねじと、このねじにカバーされたシールリング並びにシールナットと、このシールナットに設けられた調整ノブと、この調整ノブに設けられた固定ボルトとを有することが可能であり、前記シールリングは、前記流体容器の外壁に密着していることを特徴とする請求項11の超音波治療用のクランプ。
【請求項13】
前記超音波振動子には、超音波治療の案内アッセンブリを装着するためのスロットが形成されていることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項14】
前記超音波治療の案内アッセンブリは、半導体の照明装置、又は、Bモードの超音波探触子であることを特徴とする請求項13の超音波治療用のクランプ。
【請求項15】
前記超音波療法アプリケータは、2つの超音波振動子の互いに対向した側部に固定された温度センサーを更に有していることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【請求項16】
2つの前記ハンドル間には、ハンドルの位置を固定するためのロック部材が設けられていることを特徴とする請求項7の超音波治療用のクランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−523507(P2009−523507A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550607(P2008−550607)
【出願日】平成18年7月17日(2006.7.17)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001716
【国際公開番号】WO2007/082422
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(507232087)チョンチン・ハイフ(エイチアイエフユー)・テクノロジー・カンパニー・リミテッド (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月17日(2006.7.17)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001716
【国際公開番号】WO2007/082422
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(507232087)チョンチン・ハイフ(エイチアイエフユー)・テクノロジー・カンパニー・リミテッド (11)
【Fターム(参考)】
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