説明

超音波美顔美容器

【課題】 超音波振動板を肌に接して使用する美顔器や美容器において、ジェルを使わずに、日常使用している美容液や化粧水を使用できるようにすることで、美容液や化粧水の持つ有効成分が肌に働きかけ十分に生かされる超音波美顔美容器を提供する。
【解決手段】 プローブ本体Pのヘッド振動板5にパッド補助具を着脱自在に具備し、該パッド補助具に係合状態で内接し超音波伝播手段且つトリートメント手段としての連続気泡の発泡樹脂を着脱自在に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動板を肌に接触させて使用する美顔器や美容器で、プローブのヘッドの肌接触面をソフトなパッドとする超音波美顔美容器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を使用しない簡易な美顔美容器具として、発泡樹脂を円盤状に成型加工したパッドの一端に設けた棒状の把持部を手に持ち、パッドに化粧水や美容液を適量含侵させ肌を叩いてトリートメントやマッサージを行う技術や製品が知られている。
【0003】
従来、超音波を使用した美顔器や美容器の肌に直接触れるプローブのヘッドには、超音波の伝播特性の良い金属等の素材を使用し、このヘッドおよび肌に粘性を有し潤滑の役割を有するジェルと呼ばれるゲル状物質を塗布し、プローブのヘッドを滑らすように動かしトリートメントやマッサージを行っていた。
【0004】
特許文献として、弾性部材で形成され開口を有するカップ内に、皮膚に電流を流す治療電極、超音波発振手段、導電性の液体を吸収する吸液部材を具備し、これを一対にした美容器用プローブの技術が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
イオン導入の美肌装置に超音波振動付与機構を具備したものに、美肌有効成分を含浸させる含浸部材をイオン導入電極との間で挟み、含浸部材の一部を開口部から露出させた状態で、ケーシングに着脱自在な蓋体を具備する技術が知られている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】 特許公開2003−180843号公報
【特許文献2】 特許公開2004−255018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これは次のような問題点があった。
軟質な発泡樹脂を円盤状に加工したパッドに美顔美容の化粧水や美容液を含侵させ、パッドで肌を叩いて刺激を与えることでトリートメントやマッサージを行うものは、基礎的なトリートメントやマッサージ技術であり、化粧水や美容液を使用することでそれなりの効果は得られるが、皮膚への代謝機能を促進させ血行を促し筋肉の緊張を和らげ、肌の毛穴からの老廃物の除去や清浄化等に満足な効果が期待できるものではなかった。
【0008】
従来の超音波美顔美容器のプローブのヘッドは、ジェルを使用することを前提とし直接肌に接触させて使用する構造のため、美顔美容の化粧水や美容液を直接用いることもできず、使用後には肌上のジェルを拭き取らなければならならないという煩わしさがあった。
【0009】
特許文献1は、カップ内に吸液部材として使用されるスポンジが、治療電極に接触状態のスポンジに化粧水などの導電性の液体を含ませることで、皮膚に接触させ両カップ間に流れる電流を流れ易くするのと、皮膚に接触した時の感触を和らげるもので、使用される化粧水や具備される超音波発振手段は美容効果の促進に間接的に係わるもので、超音波発振手段が積極的に化粧水に係わり働きかけを行う技術ではない。
【0010】
特許文献2は、蓋体で美肌有効成分を含浸させる含浸部材のコットンを開口部から露出するように係止するものであるが、含浸部材のコットンの装着や離脱の度に蓋体を着脱しなければならないという煩わしさに問題があった。
【0011】
また、超音波振動付与機構による超音波振動では、含浸部材内での超音波振動は水を超音波伝播媒体とするため、含浸部材の含水量が超音波伝播効果に大きく関係し、含水容量が少ないと蒸発等でより早く水分不足となり超音波伝播に影響を与えるようになる。
当特許文献2は、蓋体でケーシングに含浸部材を押圧状態で係止するため含浸部材の含水容量が制限され、含浸部材に十分な含水が得られず超音波伝播媒体の水の減少と、超音波振動を伝播する超音波振動板のヘッド面の超音波伝播の有効面積が小さいこともあり、超音波振動が肌に伝播され難いという問題があった。
さらに、含浸部材の素材にコットンを使用例とするが、当素材は微細な木綿の長繊維で構成されるためケーシングに蓋体で含浸部材を装着固定すると、蓋体による押圧で木綿繊維は寝てしまい含浸部材に含浸された超音波伝播媒体の水の毛細管現象は肌への接触面方向に対して効果が得られず、超音波伝播が連続的に繋がらず途切れてしまい超音波振動が肌に伝播されないという問題があった。
本発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
プローブ本体Pのヘッド振動板5にパッド補助具を着脱自在に具備し、該パッド補助具に内接し超音波伝播手段且つトリートメントやマッサージ手段として連続気泡の発泡樹脂を着脱自在に取り付ける。
本発明は、以上の構成よりなる超音波美顔美容器である。
【発明の効果】
【0013】
従来の超音波美顔美容器では不可能だった美顔美容の化粧水や美容液、さらに洗顔用や薬用美容液等を直接使用することができるため、使用目的に応じた美容液の持つ美顔美容効果を十分に生かしたトリートメントやマッサージを行うことができる。
特に、美顔美容に有効な化粧水や美容液の成分が超音波振動の作用と共に直接肌に働き掛け浸透するため、本来化粧水や美容液が持っている肌への美顔美容の効果が十分に生かされるようになる。
また、トリートメント手段として発泡樹脂をフォームパッドとして使用することで、肌に優しいソフトなトリートメントやマッサージを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
プローブ本体Pのヘッド振動板5に、パッド補助具の金属製のアタッチメントリング6を着脱自在に具備し、該アタッチメントリング6に嵌合状態で内接する超音波伝播手段且つトリートメント手段として連続気泡の発泡樹脂を、肌へのトリートメントやマッサージ手段としてフォームパッド10を着脱自在に取り付ける。
【実施例1】
【0015】
図2および図3に示すように、ヘッド振動板5の外周にオスネジ7を形成し、該ヘッド振動板5の外周の該オスネジ7に螺合するメスネジ8をアタッチメントリング6の内周に形成して、該ヘッド振動板5に該アタッチメントリング6をネジ構造で着脱自在とする。
【0016】
円柱状に形成したフォームパッド10は、アタッチメントリング6のリング開口部9の縁より先が突出する様に、該フォームパッド10の寸法を僅かに長くしている。
【0017】
フォームパッド10のアタッチメントリング6への装着はリング開口部9より押し入れる様に装着するが、該アタッチメントリング6からの取り除きは、該リング開口部9の縁の突出部分を指で摘み引き抜くようにして離脱する。
【0018】
本発明ではフォームパッド10に発泡樹脂でも連続気泡構造のものを使用するが、この連続気泡構造の発泡樹脂は、フォーム内部の気泡同士が互いに鎖状に連結された構造なため、化粧水や美容液を内部まで含侵させることが可能となるが、独立気泡構造のフォームは気泡が個々に独立して形成されているため、化粧水や美容液はフォームの表面に付着するだけで気泡内部にまで含侵させることができないため使用に適さない。
なお、連続気泡構造の発泡樹脂を使用しても、乳液やクリームはフォームへの含浸性が悪いため本発明の使用には適さない。
【0019】
本発明を使用する時は、プローブ本体Pのヘッド振動板5にアタッチメントリング6を装着し、該アタッチメントリング6のリング開口部9よりフォームパッド10を挿入するように取り付け、使用目的に応じた美顔美容の化粧水や美容液さらに洗顔用や薬用美容液を、化粧瓶または専用容器等から直接該フォームパッド10に適量を注ぎ含侵させる。
トリートメントやマッサージは、ヘッド振動板5を従来のようにヘッドを肌に接触させて滑らす様に動かすのではなく、フォームパッド10を僅かに肌から浮かせるようにして移動させてトリートメントやマッサージを行う。
【0020】
従来のジェルを使用したものは使用後に洗顔等が必要であったが、本発明では基本的に洗顔が不要なため、使用した化粧水や美容液さらには薬用美容液等の有効成分が肌上に留まり美顔美容効果を長時間維持する。
【0021】
本発明の超音波振動のフォームパッド10への伝播は、図2および図3に示すように、ヘッド振動板5からと、該ヘッド振動板5にネジ構造で螺合されたアタッチメントリング6を介して伝播され、フォームパッド10内部での超音波振動の伝播には伝播媒体として水成分に依存する。
本発明は、フォームパッド10に使用するウレタンフォームに化粧水や美容液等の液体を含侵させるが、ウレタンフォームの連続気泡内に含侵された水成分が超音波振動の伝播媒体として働き超音波振動の伝播が行われるため、水分の減少は超音波振動の伝播の減衰となり、トリートメントやマッサージ時の超音波美容効果に影響を与えるようになる。
【0022】
そこで、使用中にフォームパッド10内の化粧水や美容液が肌に吸収されたり一部蒸発したりして減少するため、該フォームパッド10への適時な補水を必要とする。
使用中に該フォームパッド10の湿潤感が失われたと感じた時は、自身の肌に合う日常使用している化粧水や美容液を該フォームパッド10に補充または補水することで、超音波振動の伝播の減衰も回復して続けての使用が可能となる。
なお、ウレタンフォームに超音波振動が一部吸収されて減衰されるが、美顔美容器としての機能への影響は殆ど無い。
【0023】
超音波の美容作用であるが、超音波の皮膚への作用に皮膚への代謝機能を促進させることで血行を促し筋肉の緊張を和らげ柔軟にすることが知られており、この皮膚への代謝機能が皺や弛みさらには染み等を除去する効果の有る事が知られている。
また、この皮膚への代謝機能は、皮膚表層の殺菌作用や老廃物等の剥離、皮膚の毛穴の皮脂等を除去して清浄化するクレンジング効果の有る事も知られている。
さらに、超音波振動が温熱エネルギーに変換されることで、血液やリンパ液の流れが良くなり新陳代謝を高める効果のあることが知られている。
【0024】
本発明ではヘッド振動板5およびアタッチメントリング6を介してフォームパッド10に伝播される超音波振動が、美顔美容に有効な化粧水や美容液の成分が超音波振動の作用と共に直接肌に働き掛け浸透するため、本来化粧水や美容液が持っている肌への美顔美容の効果が十分に生かされるようになる。
【0025】
なお、超音波の負の美容効果として、超音波振動によりキャビテーションが起こり、このキャビテーションにより水分子同士が衝突することによって微量ながら過酸化物が生成され、これが皮膚に軽度の炎症を起こすことが稀にあることが知られている。
本発明に於いてもフォームパッド10内部でキャビテーションが発生するが、軟質な樹脂の発泡構造がキャビテーションのエネルギーを吸収し減衰や放散させることで、結果としてキャビテーション現象の影響を排除し無効にしている。
【実施例2】
【0026】
当実施例では、フォームパッド10を常に湿潤に保つ貯水手段をプローブ本体P内に付設したものについて説明する。
【0027】
図3の分解断面図に示すように、プローブ本体P内に小型の貯水タンク16を設け、チューブ状の導水管17がヘッド振動板5を貫通し、該ヘッド振動板5の振動面より補水口18の先端を僅かに突設させる。
上記構造により、補水口18の先端がフォームパッド10に常に接触された状態となるため、毛細管現象で該フォームパッド10に確実な補水が可能となり、導水管17を通り該補水口18より清水やイオン水などが常に補水されることで該フォームパッド10の湿潤が常に保たれ使用状態を維持する。
【0028】
この貯水タンク16への注水は清水でも好いが、イオン水のような機能水を注水口19より注貯水することで肌への美顔美容に新たな効果を与えるようになる。
特に弱酸性のイオン水はアストリンゼント効果で肌の収斂作用や美白効果、さらにはニキビ・ソバカス・染み等に効果が有ることが知られており、このような弱酸性の機能水を使用することでフォームパッド10に含浸させた化粧水と共に超音波効果との相乗作用で美顔美容の効果がより促進される。
【実施例3】
【0029】
図4の分解断面図に示すように、アタッチメントリング6aの内側にリング状の永久磁石11を部分的且つ嵌合状態に固着させ、該アタッチメントリング6aを構成する。
また図示せぬが、アタッチメントリング6自体を磁性体とする。
【0030】
アタッチメントリング6aの内側に嵌合固着するリング状の永久磁石11は、リングの両端が互いに異なるN極またはS極となるように着磁した磁石構成とし、軽量で磁気密度の高いフェライト磁石等が適するが、必ずしもフェライト磁石でならないことはない。
硬質の磁石であれば超音波振動は確実にフォームパッド10に伝播されるが、ボンド磁石等の軟質なものは超音波振動の吸収や伝播効率が良くないため使用に適さない。
なお、図4の永久磁石11からの磁力線12の表示で、図中煩雑になるため表示を一部省略している。
【0031】
アタッチメントリング6の内側にリング状の永久磁石11としたものや、該アタッチメントリング6自体を磁性体とする実施例は、皮膚に直接磁気作用を与えるようになる。
この磁気の直接的な皮膚への作用として、血液の電解質解離(イオン化)が促進されることで血液循環が良くなり血行を促進させることが知られており、超音波の皮膚への作用との相乗効果で皺や弛みさらには染み等を除去する効果や、皮膚表層の殺菌作用や老廃物等の清浄化作用が相乗された美顔美容効果が得られる。
【0032】
本発明の洗顔用美容液などをフォームパッド10に含侵させる使用では、超音波振動が肌への浸透作用を促進させ、肌の毛穴に詰まった老廃物や化粧の残存物、さらには余分な皮脂等を遊離させると共にこれ等を該フォームパッド10に付着させ、ウレタンフォームの連続気泡内に取り込み吸着される。
【0033】
このように一度ウレタンフォームの連続気泡内に吸着捕集された老廃物等の取り除きは連続気泡という構造から完全な除去は難しく、フォームパッド10は使い捨てとすることが衛生面からも好ましいが、汚れが少ない場合は清水中で揉み洗いしたものをよく水を切り乾燥させたものを再使用してもよい。
【0034】
フォームパッド10に使用のウレタンフォームは、適度な硬さと緩衝性を有するので最適な素材であるが、連続気泡を有する発泡樹脂で肌に優しい素材あればウレタンフォーム以外の素材でもよく、好みにより硬質のものや軟質のものを選択使用してもよい。
【0035】
アタッチメントリング6はヘッド振動板5からネジ構造で着脱可能なため、該アタッチメントリング6を離脱して該アタッチメントリング6の内側面や、該ヘッド振動板5のヘッド表面の清掃を可能とするため、日常の清掃で清潔衛生の維持管理が容易である。
【0036】
本発明は、アタッチメントリング6のヘッド振動板5への装着方法としてネジ構造が確実な嵌合と超音波の伝播に好ましいが、他に確実な嵌合と超音波の伝播が行われ、着脱が容易であればネジ構造以外の装着方法でもよい。
【0037】
なお、プローブ本体Pに貯水タンク16を具備しない実施例では、ヘッド振動板5からアタッチメントリング6を離脱してジェルを用いた従来の使い方も可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0038】
従来、超音波の技術を利用した美顔美容器では既存の化粧水や美容液を使用することができなかったが、本発明は化粧水や美容液の持つ最良の効果を超音波技術で生かすことができ、肌の美容と健康に貢献するものである。
また、自身が日常使用している化粧水や美容液を使えることへの安心感が購買の動機ともなり、使用目的に応じた使い方を可能とするため美顔美容への潜在的なニーズを掘り起すことができ、幅広い年齢層の女性の新たな需要と購買が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】 本発明の斜視図である。
【図2】 本発明の図1の断面図である。
【図3】 本発明の他の実施例を示す分解断面図である。
【図4】 本発明のアタッチメントリング6aの実施例を示す部分分解断面図である。
【符号の説明】
【0040】
P プローブ本体 2 超音波振動子 5 ヘッド振動板
6 6a アタッチメントリング 10 フォームパッド
11 永久磁石 16 貯水タンク 17 導水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子を有し超音波振動板を肌に接触させて使用する美顔器や美容器で、超音波プローブ本体Pのヘッド振動板5にパッド補助具のアタッチメントリング6を嵌合且つ着脱自在に具備し、該アタッチメントリング6にフォームパッド10が係合状態で内接し、着脱自在とすることを特徴とした超音波美顔美容器。
【請求項2】
プローブ本体P内に貯水タンク16を設け、導水管17の先端がヘッド振動板5より突出することを特徴とした請求項第1項記載の超音波美顔美容器。
【請求項3】
アタッチメントリング6aを磁性体または該アタッチメントリング6a内側にリング状の永久磁石11を嵌合状態で固着し、該永久磁石11の両端が互いに異なる磁極となるように着磁することを特徴とする請求項第1項および第2項記載の超音波美顔美容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−50204(P2007−50204A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264301(P2005−264301)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(596024633)
【Fターム(参考)】