超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置
【課題】 例えば超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を表示する場合において、三次元関心領域の簡単且つ適切な設定を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置を提供すること。
【解決手段】 被検体内の三次元領域に対して超音波を送信し当該三次元領域からの反射波を受信して、三次元領域に関するエコー信号を取得し、三次元領域に関するエコー信号を用いて、三次元領域に関するボリュームデータを取得し、記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する。設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定し、当該三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元画像を生成し表示する。
【解決手段】 被検体内の三次元領域に対して超音波を送信し当該三次元領域からの反射波を受信して、三次元領域に関するエコー信号を取得し、三次元領域に関するエコー信号を用いて、三次元領域に関するボリュームデータを取得し、記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する。設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定し、当該三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元画像を生成し表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を表示する場合において、三次元関心領域の簡単且つ適切な設定を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。この他、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断において用いられる超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
また、超音波診断装置を用いてボリュームデータを取得し、3次元画像を観察することもできる。この様なボリュームデータを取得する際には、一次元アレイプローブの機械的制御により二次元走査面を揺動(二次元走査面と直交する方向への周期的移動)させながらボリュームデータを取得する揺動走査、或いは、二次元アレイプローブの電子的制御による三次元走査が実行される。例えば産科分野では、これらの走査手法によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を生成・表示し、胎児の発育状態を立体的(三次元的)に観察している。
【0004】
ところで、胎盤は胎児全体を包み込む構造である。このため、超音波診断装置を用いて胎児を映像化する際、超音波プローブの当て方、胎盤内部での胎児の顔の向き、表示方向等によっては顔の前に胎盤が見える場合がある。係る場合には、母体の構造物(胎盤) がアーチファクトがとなり、胎児の顔を超音波画像によって描出することが困難になることがある。このため、三次元関心領域を設定し表示領域を超音波プローブと胎児の顔との間に存在する胎盤に対応するデータを切り取ること等で、アーチファクトの低減化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−74225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、生体構造の形に沿って適切な三次元関心領域の設定を行うことは一般的に困難である。このため、従来の超音波診断装置では、例えば胎盤に対応するデータのみならず、胎児の一部に対応するデータをも切り取ってしまうといった具合に、所望する三次元画像を生成・表示できない場合がある。また、胎児の一部に対応するデータを切り取らないように設定しようとすれば、多大な時間を要する等、操作性が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、例えば超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を表示する場合において、三次元関心領域の簡単且つ適切な設定を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0009】
請求項1に記載の発明は、被検体内の三次元領域に対して超音波を送信し当該三次元領域からの反射波を受信して、前記三次元領域に関するエコー信号を取得する送受信手段と、前記三次元領域に関するエコー信号を用いて、前記三次元領域に関するボリュームデータを取得するデータ取得手段と、前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
請求項16に記載の発明は、被検体内の三次元領域を超音波走査することで取得された前記三次元領域に関するボリュームデータを記憶する記憶手段と、前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、を具備することを特徴とする超音波画像処理装置である。
【0011】
請求項17に記載の発明は、被検体内の三次元領域に関するボリュームデータを取得するデータ取得手段と、前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、を具備することを特徴とする医用画像診断装置である。
【0012】
請求項18は、医用画像診断装置を用いて取得された被検体内の三次元領域をに関するボリュームデータを記憶する記憶手段と、前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、を具備することを特徴とする医用画像処理装置である。
【発明の効果】
【0013】
以上本発明によれば、例えば超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を表示する場合において、三次元関心領域の簡単且つ適切な設定を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3(a)、図3(b)は、ステップS3aにおいて、初期画像として表示される二次元画像、三次元画像をそれぞれ示した図である。
【図4】図4は、二次元関心曲線の位置、形状、大きさの変更処理を説明するための図であり、二次元関心曲線として真円が設定された例を示している。
【図5】図5は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る回転軸を中心として回転させることで走査方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図6】図6は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る軸を中心として回転させることで揺動方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図7】図7は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】図9は、ステップS3bにおいて初期画像として表示される三次元画像を示した図である。
【図10】図10は、二次元画像上において任意の位置に設定される三点を例示した図である。
【図11】図11は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る回転軸を中心として回転させることで走査方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図12】図12は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る軸を中心として回転させることで揺動方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図13】図13は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。
【図14】図14は、第3の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図15】図15は、ステップS3cにおいて表示される初期画像としての三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。
【図16】図16は、二次元関心曲線として設定された楕円の回転軸を説明するための図である。
【図17】図17は、二次元関心曲線として設定された楕円の位置、向き、大きさの変更処理を説明するための図である。
【図18】図18は、短軸を回転中心とする、二次元関心曲線として設定された楕円を例示した図である。
【図19】図19は、二次元関心曲線としての楕円を、長軸を回転軸を中心として回転させることで走査方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図20】図20は、二次元関心曲線としての楕円を、長軸を回転軸を中心として回転させることで揺動方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図21】図21は、第3の実施形態において設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。
【図22】図22は、第4の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図23】図23は、第5の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図24】図24は、二次元関心曲線として任意閉曲線を設定した場合の回転軸の設定を説明するための図である。
【図25】図25は、第6の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図26】図26は、二次元関心曲線として解放閉曲線を設定した場合の回転軸の設定を説明するための図である。
【図27】図27は、第7の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図28】図28は、第8の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理における、二次元関心曲線の設定・変更処理を説明するための図である。
【図29】図29は、第8の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理における、二次元関心曲線の設定・変更処理を説明するための図である。
【図30】図30は、VOI座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図である。
【図31】図31は、VOI座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図である。
【図32】図32は、VOI座標系モードにおける三次元関心領域の変更後の表示形態の変形例を示した図である。
【図33】図33は、B面における三次元関心領域の変更処理を示した図である。
【図34】図34は、C面における三次元関心領域の変更処理を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0016】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置11は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、画像メモリ26、画像合成ユニット27、制御プロセッサ(CPU)28、内部記憶ユニット29、インターフェースユニット30を具備している。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0017】
超音波プローブ12は、超音波送受信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0018】
なお、本超音波診断装置が具備する超音波プローブ12は、被検体の三次元領域を超音波走査可能なものである。そのため、超音波プローブ12は、振動子をその配列方向の直交方向に沿って機械的に揺動させ、三次元領域を超音波走査する構成、又は二次元的に配列された二次元振動素子を用いて電気的制御により三次元領域を超音波走査する構成等を有する。前者の構成を採用する場合、被検体の三次元的走査は揺動回路(揺動機構)によって行われるため、検査者はプローブ本体を被検体に接触させるだけで、自動的に複数の二次元断層像を取得することができる。制御された揺動速度から断面間の正確な距離も検知できる。また、後者の構成を採用する場合には、原理的には、従来の二次元断層像を取得するのと同じ時間で、三次元領域を超音波走査することができる。本実施形態では、説明を具体的にするため、超音波プローブ12は、機械的揺動によって三次元領域を超音波走査するものとする。
【0019】
入力装置13は、超音波診断装置11の本体に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0020】
モニター14は、画像生成ユニット25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報(通常のBモード画像)、血流情報(平均速度画像、分散画像、パワー画像等)、広域超音波画像、狭域超音波画像、任意断面超音波画像等を所定の形態で表示する。
【0021】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0022】
なお、超音波送信ユニット21は、制御プロセッサ28の指示に従って所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に送信駆動電圧の変更については、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0023】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0024】
Bモード処理ユニット23は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成ユニット25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。
【0025】
ドプラ処理ユニット24は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0026】
画像生成ユニット25は、一般的には、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。また、画像生成ユニット25は、画像処理装置としての機能を有し、制御プロセッサ28からの制御に従って、後述する三次元関心領域設定支援機能において実行される所定の各処理を実行する。
【0027】
画像メモリ26は、フレーム毎或いはボリューム毎にエコー信号を一時的に記憶する。
【0028】
画像合成ユニット27は、画像生成ユニット25から受け取った画像を種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号としてモニター14に出力する。
【0029】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ28は、内部記憶ユニット29から後述する三次元関心領域設定支援機能を実現するための専用プログラム、所定のスキャンシーケンスを実行するための制御プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0030】
内部記憶ユニット29は、異なる画角設定により複数のボリュームデータを収集するための所定のスキャンシーケンス、後述する三次元関心領域設定支援機能を実現するための専用プログラム、検査情報と二次元関心曲線を設定する際に用いられる初期条件とを予め対応付けた初期条件テーブル、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラム、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。内部記憶ユニット29のデータは、インターフェースユニット30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0031】
インターフェースユニット30は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェースユニット30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0032】
(三次元関心領域設定支援機能)
次に、本超音波診断装置1が有する、三次元関心領域設定支援機能について説明する。この機能は、ボリュームデータに三次元関心領域を設定する際に、二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する曲線(二次元関心曲線)を設定し、当該設定された曲線を利用することで、簡単且つ適切な三次元関心領域の設定を支援するものである。
【0033】
図2は、本三次元関心領域設定支援機能に従う処理(三次元関心領域設定支援処理)の流れを示したフローチャートである。同図に従って、三次元関心領域設定支援処理において実行される各処理の内容について説明する。以下の説明においては、観察対象が胎児である場合を例とする。しかしながら、本三次元関心領域機能は、観察対象が胎児の場合に拘泥されず、臓器等を観察対象として三次元関心領域を設定する場合にも適用可能である。
【0034】
[患者叙情、送受信条件等の入力受:ステップS1a]
操作ユニット33を介して患者情報(例えば、患者ID等)の入力、送受信条件(画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の観察対象を含む三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1a)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0035】
[三次元超音波走査:ステップS2a]
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査を実行する(ステップS2a)。具体的には、揺動プローブを用いて、例えば胎児の顔を含む三次元領域を超音波走査する。この超音波走査によって、胎児の顔を含む三次元領域についてのエコー信号が収集される。
【0036】
取得された各エコー信号は、逐次超音波受信ユニット22を経由してBモード処理ユニット23に送られる。Bモード処理ユニット23は、対数増幅処理、包絡線検波処理等を実行し、信号強度が輝度で表現される画像データを生成する。画像生成ユニット25は、生成された三次元領域についての時系列な画像データに対して、実際の空間座標系(すなわち、複数の走査断面画像データが定義される座標系)からボリュームデータ空間座標系への座標変換を実行し補間処理を行うことで、ボリュームデータを再構成する。
【0037】
[二次元画像、三次元画像の生成・表示:ステップS3a]
画像生成ユニット25は、再構成されたボリュームデータを用いて、任意断面に対応するMPR画像(二次元画像)、及び初期画像としての三次元画像を生成する。生成された二次元画像及び三次元画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において並列表示される(ステップS3a)。
【0038】
図3(a)は、本ステップにおいて表示される二次元画像を、図3(b)は、本ステップにおいて表示される初期画像としての三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を、それぞれ示した図である。初期画像においては、適切な三次元関心領域が設定されていないため、図3(b)において矢印で示すように、鼻の一部が欠けた状態で胎児の顔が描出されているのがわかる。なお、図3(a)の様に表示された二次元画像が所望する断面に対応しない場合には、例えば入力装置13等からの操作により、所望の位置に変更することが可能である。
【0039】
[二次元関心曲線の初期条件取得・二次元関心曲線の設定:ステップS4a、S5a]
次に、制御プロセッサ28は、ステップS1aにおいて入力された患者IDに基づいて、内部記憶ユニット29、或いはネットワーク上のデータベースから当該患者の妊娠周期、当該胎児の頭囲計測データを含む検査情報を取得する。また、制御プロセッサ28は、取得した検査情報と内部記憶ユニット29に格納された初期条件テーブルとを比較し、二次元関心曲線を設定するための初期条件を取得する(ステップS4a)。また、制御プロセッサ28は、取得した初期条件に従って、二次元画像上に二次元関心曲線を設定する(ステップS5a)。
【0040】
なお、二次元関心曲線を設定するための初期条件とは、に二次元画像上に二次元関心曲線を初期設定するための条件であり、例えば、二次元関心曲線を真円とするのであれば、二次元画像上における円の中心位置(座標)、半径等である。
【0041】
[二次元関心曲線の変更:ステップS6a、ステップS7a]
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6a)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7a)。
【0042】
図4は、二次元関心曲線の位置、形状、大きさの変更処理を説明するための図であり、二次元関心曲線として真円が設定された例を示している。同図において、例えばマウスのカーソルを真円の中心Oに合わせドラッグアンドドロップ等の操作をすることにより、二次元関心曲線としての真円の位置を移動させることができる。同じく、例えばマウスのカーソルを真円の輪郭上の所望位置(図4では点A0の位置)に合わせドラッグアンドドロップ等の操作により同径方向に移動させることにより、二次元関心曲線としての真円の大きさを大きくしたり小さくしたりすることができる。今の場合、ステップS3aで初期画像として表示された三次元画像においては、鼻の一部が欠けた状態で胎児の顔が描出されている(図3(b)参照)。従って、制御プロセッサ28は、入力装置13を介した指示に従って、胎児の鼻が真円内に含まれるように二次元関心曲線を変更する(広げる)。
【0043】
[二次元関心曲線に基づく三次元関心領域の設定:ステップS8a]
次に、制御プロセッサ28は、二次元関心曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8a)。なお、回転軸の位置、向きについては、特に限定はない。典型例としては、二次元関心曲線としての真円の中心Oを通過し所定の向き(傾き)を持つ直線、真円内の中心O以外の点(偏心)を通過し所定の向き(傾き)を持つ直線、所定の傾きを有する真円の接線、真円外を通過し所定の向き(傾き)を持つ直線等を挙げることができる。
【0044】
図5は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る回転軸を中心として回転させることで走査方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。また、図6は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る軸を中心として回転させることで揺動方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。各図に示すように、二次元画像上に設定された二次元関心曲線としての真円を用いて、ボリュームデータ上に三次元関心領域を設定することができる。
【0045】
[三次元関心領域の表示:ステップS9a]
次に、制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9a)。
【0046】
図7は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。図7に示した三次元画像と図3(b)に示した初期画像とを比較すると、図7に示した三次元画像では、矢印で示すように鼻が欠けていない状態で胎児の顔が描出されている。これは、ステップS7aにおいて胎児の鼻が含まれるように二次元関心曲線を調整し、調整された二次元関心曲線を用いて、三次元関心領域を設定したからである。
【0047】
以上述べた本超音波診断装置によれば、取得されたボリュームデータに含まれる二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する二次元関心曲線としての真円を設定し、当該設定された真円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る超音波診断装置は、データベースを利用した二次元関心曲線の初期設定を行わずに、例えば二次元画像上に所望の三点を指定することで、所望の位置、所形状、大きさで二次元関心曲線を設定するものである。
【0049】
図8は、第2の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、患者情報(例えば、患者ID等)の入力、送受信条件(画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の観察対象を含む三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1b)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0050】
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査を実行する(ステップS2b)。また、当該三次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、ボリュームデータが再構成される。画像生成ユニット25は、再構成されたボリュームデータを用いて、任意断面に対応するMPR画像(二次元画像)、及び三次元画像を生成する。生成された二次元画像及び三次元画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において並列表示される(ステップS3b)。
【0051】
図9は、本ステップにおいて表示される初期画像としての三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。初期画像では、図9において矢印で示すように、適切な三次元関心領域が設定されていないため、右手が見えず、左目の周囲がはっきりしない状態で胎児の顔を含む領域が描出されている。
【0052】
次に、制御プロセッサ28は、入力装置13を介して指定された所望の三点に基づいて、二次元関心曲線としての真円を設定する(ステップS4b)。すなわち、ステップS3bにおいて表示された二次元画像に対して、例えば図10に示すようなA1、A2、A3の三点がユーザにより入力装置13を介して設定される。制御プロセッサ28は、設定されたA1、A2、A3の三点を通過する様な真円の中心位置及び半径を計算し、同図10に示すように二次元画像上にA1、A2、A3の三点を通過する真円を二次元関心曲線として設定する(ステップS5b)。
【0053】
また、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6b)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7b)。例えば、図10に示すように、例えばマウスのカーソルを真円の中心Oに合わせドラッグアンドドロップ等の操作をすることにより、二次元関心曲線としての真円の位置を移動させることができる。同じく、例えばマウスのカーソルを真円の輪郭上の所望位置に合わせ同径方向に移動させることにより、二次元関心曲線としての真円の半径を大きくしたり小さくしたりすることが可能である。さらに、設定された真円を所定の操作によってリセットし、二次元画像上に少なくとも三点を再度設定することで、二次元関心曲線の設定をやり直すことも可能である。
【0054】
次に、制御プロセッサ28は、二次元関心曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8b)。なお、走査方向から見た三次元関心領域を図11に、揺動方向から見た三次元関心領域を図12に、それぞれ示した。制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。
【0055】
生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9b)。
【0056】
図13は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。図13に示した三次元画像と図9に示した初期画像とを比較すると、図9に示した三次元画像では、矢印で示すように右手及び左目の周囲がはっきりとした状態で胎児の顔を含む領域が描出されている。これは、ステップS4b、5bにおいて胎児の鼻が含まれるように三点を設定し、当該三点を通過するような二次元関心曲線を用いて三次元関心領域を設定したからである。
【0057】
以上述べた構成によれば、二次元画像を観察しながら三点を適切に指定することで、観察対象が確実に含まれるような真円を二次元関心曲線として簡単且つ確実に設定することができる。また、この様に設定された真円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように三点、或いは二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、二次元関心曲線の他の例として、楕円を採用するものである。
【0059】
図14は、第3の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、患者情報(例えば、患者ID等)の入力、送受信条件(画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の観察対象を含む三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1c)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0060】
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査を実行する(ステップS2c)。また、当該三次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、ボリュームデータが再構成される。画像生成ユニット25は、再構成されたボリュームデータを用いて、任意断面に対応するMPR画像(二次元画像)、及び三次元画像を生成する。生成された二次元画像及び三次元画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において並列表示される(ステップS3c)。
【0061】
図15は、本ステップにおいて表示される初期画像としての三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。初期画像では、図15において矢印で示すように、適切な三次元関心領域が設定されていないため、子宮構造は分かるが右手が見えない状態で胎児の顔を含む領域が描出されている。
【0062】
次に、制御プロセッサ28は、ステップS1cにおいて入力された患者IDに基づいて、内部記憶ユニット29、或いはネットワーク上のデータベースから当該患者の妊娠周期、当該胎児の頭囲計測データを含む検査情報を取得する。また、制御プロセッサ28は、取得した検査情報と内部記憶ユニット29に格納された初期条件テーブルとを比較し、二次元関心曲線としての楕円を設定するための初期条件を取得し(ステップS4c)取得した初期条件に従って、二次元画像上に楕円を設定する(ステップS5c)ここでの初期条件は、二次元画像上における楕円の中心位置(座標)、長軸半径(長半径)、短軸半径(短半径)等である。
【0063】
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6c)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7c)。
【0064】
次に、制御プロセッサ28は、二次元関心曲線としての楕円を回転させる回転軸を設定し、楕円を当該回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8c)。楕円を回転させる回転軸としては、例えば図16に示すような短軸、或いは長軸が典型例である。しかしながら、当該例に構成されず、例えば、楕円内の中心O以外の点(偏心)を通過し所定の向き(傾き)を持つ直線、所定の傾きを有する楕円の接線、楕円外を通過し所定の向き(傾き)を持つ直線等を採用することも可能である。また、回転軸の設定と共に、入力装置13からの入力指示に従って、例えば図17に示すように楕円の中心位置の移動、楕円の向き或いは大きさの変更等も可能である。これらの操作の結果、例えば図18に示すような楕円E及び回転軸Ax(図の例の場合、短軸)とを設定することができる。なお、走査方向から見た三次元関心領域を図19に、揺動方向から見た三次元関心領域を図20に、それぞれ示した。
【0065】
制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9c)。
【0066】
図21は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。図15に示した三次元画像と図21に示した初期画像とを比較すると、図21に示した三次元画像では、矢印で示すように右手及び胎児の顔がよりはっきりと描出されている。これは、ステップS7cにおいて胎児の鼻が含まれるように二次元関心曲線を調整し、調整された二次元関心曲線を用いて、三次元関心領域を設定したからである。
【0067】
以上述べた本超音波診断装置によれば、取得されたボリュームデータに含まれる二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する二次元関心曲線としての楕円を設定し、当該設定された楕円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0068】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、データベースを利用した二次元関心曲線としての楕円の初期設定を行わずに、例えば二次元画像上に少なくとも所望の三点を指定することで、所望の位置に、所望の形状、大きさで二次元関心曲線を設定するものである。
【0069】
図22は、第4の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。図22と図14に示すフローチャートとを比較した場合、ステップS4d、S5dの処理が主に異なる。以下、ステップS4d、S5dにおける処理の内容について説明する。
【0070】
ステップS3dにおいて表示された二次元画像に対して、入力装置13を介して所望の位置にも三点が指定される(ステップS4d)。制御プロセッサ28は、設定された三点を通過する楕円の中心位置、長半径、短半径を計算し、二次元画像上に指定した三点を通過する楕円を二次元関心曲線として設定する。(ステップS5d)。
【0071】
以上述べた構成によれば、二次元画像を観察しながら三点を適切に指定することで、観察対象が確実に含まれるような楕円を二次元関心曲線として簡単且つ確実に設定することができる。また、この様に設定された楕円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように三点、或いは二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0072】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、二次元関心曲線として真円や楕円といった形状が決まった閉曲線(特定の閉じた領域を形成する曲線)を用いず、操作者が所望する形状の閉曲線を、所望の位置、大きさで二次元関心曲線として二次元画像上に設定し、これを用いて三次元関心領域を設定するものである。
【0073】
図23は、第5の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、患者情報の入力、送受信条件、超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行され(ステップS1e)、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査が実行される(ステップS2e)。また、当該三次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、ボリュームデータが再構成される。画像生成ユニット25は、再構成されたボリュームデータを用いて、任意断面に対応するMPR画像(二次元画像)、及び三次元画像を生成する。生成された二次元画像及び三次元画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において並列表示される(ステップS3e)。
【0074】
次に、表示された二次元画像に対して、所望の形状、大きさを有する任意の閉曲線が、入力装置13を介して、二次元関心曲線として所望の位置に指定される(ステップS4e)。制御プロセッサ28は、入力装置13を介して指定された閉曲線を、二次元画像上に設定する(ステップS5e)。
【0075】
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6e)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7e)。
【0076】
次に、表示された二次元画像に対して、入力装置13を介して、所望する位置に回転軸としての直線が指定される。制御プロセッサ28は、指定された直線等に基づいて回転軸を設定し、当該回転軸回りに任意閉曲線を回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8e)。なお、任意閉曲線を回転させる回転軸は、どの様なものであってもよい。具体例としては、例えば図24に示すように、任意閉曲線CLの中央部付近を通過する軸Ax1、任意閉曲線CLの中央部から外れた領域を通過する軸Ax2、任意閉曲線CL内を全く通過しない軸Ax3等を挙げることができる。
【0077】
制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9e)。
【0078】
以上述べた本超音波診断装置によれば、取得されたボリュームデータに含まれる二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する二次元関心曲線としての任意の閉曲線を設定し、当該設定された閉曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0079】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、二次元関心曲線として真円や楕円といった閉じた領域を形成する曲線(閉曲線)を用いず、閉じた領域を形成しない曲線(解放曲線)を採用するものである。
【0080】
図25は、第6の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。図25と図23に示すフローチャートとを比較した場合、ステップS4f以降の処理が異なる。以下、ステップS4f以降の各処理の内容について説明する。
【0081】
表示された二次元画像に対して、所望の形状、大きさを有する任意の解放曲線が、入力装置13を介して、二次元関心曲線として所望の位置に指定される(ステップS4f)。制御プロセッサ28は、例えば図26に示すように、入力装置13を介して指定された解放曲線OLを二次元画像上に設定する(ステップS5f)。
【0082】
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6f)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7f)。
【0083】
次に、表示された二次元画像に対して、入力装置13を介して、所望する位置に回転軸としての直線が指定される。制御プロセッサ28は、指定された直線等に基づいて回転軸を設定し、当該回転軸回りに解放曲線を回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8e)。
【0084】
ここで、解放曲線を回転させる回転軸は、どの様なものであってもよい。具体例としては、例えば図26に示すように、解放曲線OLの始点と終点とを結ぶ直線に対応する回転軸Ax4、解放曲線OLと少なくとも一点(図26の例では2点)で交わる直線に対応する回転軸Ax5、解放曲線OLと交点を持たない直線に対応する回転軸Ax6等を挙げることができる。なお、回転軸Ax5或いは回転軸Ax6を用いる場合には、解放曲線と、解放曲線の始点及び終点から回転軸に下ろした垂線と、回転軸とによって形成される閉曲線の回転通過領域が、三次元関心領域となる。
【0085】
制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9f)。
【0086】
以上述べた本超音波診断装置によれば、取得されたボリュームデータに含まれる二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する二次元関心曲線としての任意の解放曲線を設定し、当該設定された解放曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0087】
(第7の実施形態)
既述の各実施形態は、三次元走査によって取得されたボリュームデータから生成されるMPR画像を用いて二次元関心曲線を設定する構成であった。これに対し、本実施形態に係る三次元関心領域設定支援機能は、三次元走査の前段において所望の断面に対応する二次元画像を取得し、当該二次元画像上において二次元関心曲線を設定するものである。なお、この様な本実施形態に係る二次元関心曲線の設定手法は、既述の第1〜第6の実施形態のいずれにおいても適用可能である。以下、説明を具体的にするため、第1の実施形態に係る三次元関心領域設定支援機能に適用した場合について説明する。
【0088】
図27は、第7の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、患者情報(例えば、患者ID等)の入力、送受信条件(画角、焦点位置、送信電圧等)、二次元関心曲線の設定に用いる二次元領域を超音波走査するためのスキャンシーケンス、被検体の観察対象を含む三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1g)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0089】
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む二次元領域を被走査領域として、リアルタイム二次元超音波走査を実行する(ステップS2g)。また、当該二次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、所望する二次元画像が生成され、所定の文字情報等と共にモニター14において表示される(ステップS3g)。
【0090】
次に、制御プロセッサ28は、ステップS1gにおいて入力された患者IDに基づいて、内部記憶ユニット29、或いはネットワーク上のデータベースから当該患者の妊娠周期、当該胎児の頭囲計測データを含む検査情報を取得する。また、制御プロセッサ28は、取得した検査情報と内部記憶ユニット29に格納された初期条件テーブルとを比較し、二次元関心曲線を設定するための初期条件(円の中心位置(座標)、半径)を取得し(ステップS4g)、取得した初期条件に従って、二次元画像上に二次元関心曲線を設定する(ステップS5g)。
【0091】
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6g)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7g)。
【0092】
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査を実行する(ステップS8g)。また、当該三次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、ボリュームデータが再構成される。制御プロセッサ28は、二次元関心曲線が設定された二次元画像とボリュームデータとの位置対応付けを行い、二次元関心曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS9g)。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS10g)。
【0093】
以上述べた構成によれば、所望する断面に対応する二次元画像を取得した後、当該二次元画像上に、観察対象が確実に含まれるような二次元関心曲線として簡単且つ確実に設定することができる。また、この様に設定された真円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0094】
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、二次元関心曲線を用いて三次元関心領域が設定された後の所望のタイミングで、直交三断面(A面、B面、C面)と三次元関心領域との間の位置関係をより好適に設定・調整可能とするインターフェースを有するものである。このようなインターフェースは、医用画像参照装置(ビューワ)等を用いて事後的に詳細な画像観察を行う場合に、特に実益がある。なお、本実施形態に係るインターフェースを用いる三次元関心曲線の調整手法は、既述の第1〜第7の実施形態のいずれにおいても適用可能である。
【0095】
本実施形態に係るインターフェースを用いた三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更は、一般座標系モードとVOI(Volume of Interest)座標系モードとのいずれかの観察モードを用いて実行される。操作者は、いずれの観察モードも自由に選択することが可能である。また、一方のモードから他方のモードへの切り換えも、任意のタイミングで実行することができる。以下、各観察モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理について説明する。
【0096】
(一般座標系モード)
一般座標系モードとは、三次元関心領域を変換により移動した場合であっても、直交三断面(A面、B面、C面)を生成するための観察位置及び観察方向は変換せず移動させないモードである。
【0097】
図28は、一般座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図であり、MPR画像による直交三断面(A面、B面、C面)によって表示される三次元関心領域(球体)、及び当該三次元関心領域に対応する三次元画像(ボリュームレンダリング画像)の一例を示した図である。同図に示すように、入力装置13からの操作により、例えばA面における三次元関心領域の断面(真円)を所望の大きさで所望の位置に(図28の例では、実線の大きさ・位置から点線の大きさ・位置に)変更したとする。制御プロセッサ28は、当該A面上における変更操作に応答して、ボリュームデータ内の変更後の三次元関心領域の各大きさ、位置を計算し、B面、C面のそれぞれにおける三次元関心領域の断面(真円)の大きさ・位置を変更する。さらに、制御プロセッサ28は、当該三次元関心領域の変更に連動させて、変更後の三次元関心領域内のデータを用いて三次元画像を生成し、各断面に対応する二次元画像と共に表示する。結果、A面、B面、C面のそれぞれにおいて、三次元関心領域は変更前の実線の形態から点線で示された変更後の状態に変化することになる。
【0098】
また、図29は、一般座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図であり、MPR画像による直交三断面によって表示される三次元関心領域(回転楕円体)、及び当該三次元関心領域に対応する三次元画像(ボリュームレンダリング画像)の他の例を示した図である。同図に示すように、入力装置13からの操作により、例えばA面における三次元関心領域の断面(楕円)を所望の大きさ及び向きで所望の位置に(図29の例では、実線の大きさ・向き・位置から点線の大きさ・向き・位置に)変更したとする。制御プロセッサ28は、当該A面上における変更操作に応答して、ボリュームデータ内の変更後の三次元関心領域の各大きさ、位置を計算し、B面、C面のそれぞれにおける三次元関心領域の断面(楕円)の大きさ・位置を変更する。さらに、制御プロセッサ28は、当該三次元関心領域の変更に連動させて、変更後の三次元関心領域内のデータを用いて三次元画像を生成し、各断面に対応する二次元画像と共に表示する。結果、A面、B面。C面のそれぞれにおいて、三次元関心領域は変更前の実線の形態から点線で示された変更後の状態に変化することになる。
【0099】
(VOI座標系モード)
VOI座標系モードは、三次元関心領域を変換により移動した場合、直交三断面(A面、B面、C面)を生成するための観察位置及び観察方向も同様の変換により移動させるモードである。
【0100】
図30、図31は、VOI座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図である。各図においては、変更前の直交三断面を(A1、B1、C1)とし、変更後の直交三断面を(A2、B2、C2)としている。ただし、図30、図31の例は、A断面上での変更処理を示すものであるため、A1面とA2面とは同じものとなる。
【0101】
図30に示すように、入力装置13からの操作により、例えばA1面において実線で示した三次元関心領域の断面(楕円)の位置、大きさ、形状等を点線で示すように変更したとする。制御プロセッサ28は、当該A1面上における変更操作に応答して、ボリュームデータ内の変更後の三次元関心領域の各大きさ、位置を計算する。また、制御プロセッサ28は、残りの二断面(B1面、C1面)に関する観察位置及び観察方向につき、移動後のA1面に対応させてそれぞれB2面、C2面に変更すると共に、B2面、C2面のそれぞれにおける三次元関心領域の断面(楕円)の大きさ・位置を変更する。また、制御プロセッサ28は、当該三次元関心領域の変更に連動させて、変更後の三次元関心領域内のデータを用いて三次元画像を生成すると共に、変更後の各観察位置及び各観察方向を用いて各断面に対応する二次元画像を生成し、例えば図31に示すような形態で表示する。
【0102】
一般座標系モードでは、例えば図29に示した様に、A面内において点線で示した様に原点移動及び座標軸の回転移動をした場合であっても、残りの二断面(B面、C面)の観察位置及び観察方向は移動前のまま維持されることになる。従って、例えば胎児が図30の左上のA面画像に示すような状態である場合、A面において三次元関心領域を好適な大きさ・位置に変更したとしても、B面画像では胴体の一部しか観察することができず、またC面画像では下半身しか観察することができない。
【0103】
これに対し、VOI座標系モードにおいては、図30と図31とを比較すると分かるように、A面において三次元関心領域の移動を行った後でも、残りのB面、C面における三次元関心領域の形状は変化せず、変更の前後に亘って同じ三方向から、三次元関心領域するものとなる。これは、VOI座標系モードが、A面内において原点移動及び座標軸の回転移動をした場合、残りの二断面の観察位置及び観察方向についても、移動後のA面に対応して移動させるからである。従って、例えば胎児が図30の左上のA面画像に示すような状態である場合、A2面画像、C2面画像で胎児の全身画像を、B2面画像で胎児の頭部画像を好適に観察することができる。
【0104】
なお、VOI座標系モードにおける三次元関心領域の変更後の表示形態は、図31に示す例に拘泥されない。例えば図32に示すように、変更後の三次元関心領域が常に水平状態となるように表示することも可能である。
【0105】
また、上記例では、A面内において、原点移動及び座標軸の回転移動の双方を伴う三次元関心領域の変更処理を例示した。当然ながら、原点移動のみ或いは座標軸の回転移動のみを伴う三次元関心領域の変更処理についても、上記手法は適用可能である。さらに、当然ながら、A面だけでなく、B面、C面のそれぞれにおいても三次元関心領域の変更処理は実行可能である。なお、図33にB面における三次元関心領域の変更処理を、図34にC面における三次元関心領域の変更処理を、それぞれ例示した。
【0106】
以上述べた構成によれば、二次元関心曲線を用いて設定された三次元関心領域の位置、大きさ、向き、形状等を、直交三断面(A面、B面、C面)を用いて、所望のタイミングで、容易且つ正確に視認することができる。また、視認後、さらに三次元関心領域の位置、大きさ、向き、形状等を変更したい場合には、いずれかのMPR画像における三次元関心領域の断面の位置大きさ、向き、形状等を変更するだけで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を再設定することができる。
【0107】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0108】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0109】
(2)上記各実施形態においては、画像生成ユニット25から出力された超音波画像(すなわち、スキャンコンバート後の超音波画像)を用いて、三次元関心領域設定支援処理を行う構成について説明した。しかしながら、対象とする超音波画像データは、スキャンコンバート後のものに拘泥されず、スキャンコンバート前の生データを対象としてもよい。係る場合、輝度値の代わりに、信号値の大きさを用いることで、同様の効果を達成することができる。
【0110】
(3)上記各実施形態においては、超音波診断装置を用いて取得されたボリュームデータに対して、三次元関心領域設定支援機能を用いて三次元関心領域を設定する場合を例とした。しかしながら、本三次元関心領域設定支援機能を用いた三次元関心領域の設定は、超音波診断装置に拘泥されず、他の医用画像診断装置、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、核医学診断装置等を用いて取得されたボリュームデータに対しても、実現することができる。さらに、医用画像診断装置に拘泥されず、予め取得されたボリュームデータを用いて、医用ワークステーションによって実現される超音波画像処理装置、医用画像処理装置によっても、実現可能である。
【0111】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上本発明によれば、例えば超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を表示する場合において、三次元関心領域の簡単且つ適切な設定を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0113】
10…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成ユニット、26…画像メモリ、27…画像合成ユニット、28…制御プロセッサ、29…内部記憶ユニット、30…インターフェースユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を表示する場合において、三次元関心領域の簡単且つ適切な設定を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。この他、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断において用いられる超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
また、超音波診断装置を用いてボリュームデータを取得し、3次元画像を観察することもできる。この様なボリュームデータを取得する際には、一次元アレイプローブの機械的制御により二次元走査面を揺動(二次元走査面と直交する方向への周期的移動)させながらボリュームデータを取得する揺動走査、或いは、二次元アレイプローブの電子的制御による三次元走査が実行される。例えば産科分野では、これらの走査手法によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を生成・表示し、胎児の発育状態を立体的(三次元的)に観察している。
【0004】
ところで、胎盤は胎児全体を包み込む構造である。このため、超音波診断装置を用いて胎児を映像化する際、超音波プローブの当て方、胎盤内部での胎児の顔の向き、表示方向等によっては顔の前に胎盤が見える場合がある。係る場合には、母体の構造物(胎盤) がアーチファクトがとなり、胎児の顔を超音波画像によって描出することが困難になることがある。このため、三次元関心領域を設定し表示領域を超音波プローブと胎児の顔との間に存在する胎盤に対応するデータを切り取ること等で、アーチファクトの低減化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−74225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、生体構造の形に沿って適切な三次元関心領域の設定を行うことは一般的に困難である。このため、従来の超音波診断装置では、例えば胎盤に対応するデータのみならず、胎児の一部に対応するデータをも切り取ってしまうといった具合に、所望する三次元画像を生成・表示できない場合がある。また、胎児の一部に対応するデータを切り取らないように設定しようとすれば、多大な時間を要する等、操作性が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、例えば超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を表示する場合において、三次元関心領域の簡単且つ適切な設定を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0009】
請求項1に記載の発明は、被検体内の三次元領域に対して超音波を送信し当該三次元領域からの反射波を受信して、前記三次元領域に関するエコー信号を取得する送受信手段と、前記三次元領域に関するエコー信号を用いて、前記三次元領域に関するボリュームデータを取得するデータ取得手段と、前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
請求項16に記載の発明は、被検体内の三次元領域を超音波走査することで取得された前記三次元領域に関するボリュームデータを記憶する記憶手段と、前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、を具備することを特徴とする超音波画像処理装置である。
【0011】
請求項17に記載の発明は、被検体内の三次元領域に関するボリュームデータを取得するデータ取得手段と、前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、を具備することを特徴とする医用画像診断装置である。
【0012】
請求項18は、医用画像診断装置を用いて取得された被検体内の三次元領域をに関するボリュームデータを記憶する記憶手段と、前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、を具備することを特徴とする医用画像処理装置である。
【発明の効果】
【0013】
以上本発明によれば、例えば超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を表示する場合において、三次元関心領域の簡単且つ適切な設定を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3(a)、図3(b)は、ステップS3aにおいて、初期画像として表示される二次元画像、三次元画像をそれぞれ示した図である。
【図4】図4は、二次元関心曲線の位置、形状、大きさの変更処理を説明するための図であり、二次元関心曲線として真円が設定された例を示している。
【図5】図5は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る回転軸を中心として回転させることで走査方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図6】図6は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る軸を中心として回転させることで揺動方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図7】図7は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】図9は、ステップS3bにおいて初期画像として表示される三次元画像を示した図である。
【図10】図10は、二次元画像上において任意の位置に設定される三点を例示した図である。
【図11】図11は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る回転軸を中心として回転させることで走査方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図12】図12は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る軸を中心として回転させることで揺動方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図13】図13は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。
【図14】図14は、第3の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図15】図15は、ステップS3cにおいて表示される初期画像としての三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。
【図16】図16は、二次元関心曲線として設定された楕円の回転軸を説明するための図である。
【図17】図17は、二次元関心曲線として設定された楕円の位置、向き、大きさの変更処理を説明するための図である。
【図18】図18は、短軸を回転中心とする、二次元関心曲線として設定された楕円を例示した図である。
【図19】図19は、二次元関心曲線としての楕円を、長軸を回転軸を中心として回転させることで走査方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図20】図20は、二次元関心曲線としての楕円を、長軸を回転軸を中心として回転させることで揺動方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。
【図21】図21は、第3の実施形態において設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。
【図22】図22は、第4の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図23】図23は、第5の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図24】図24は、二次元関心曲線として任意閉曲線を設定した場合の回転軸の設定を説明するための図である。
【図25】図25は、第6の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図26】図26は、二次元関心曲線として解放閉曲線を設定した場合の回転軸の設定を説明するための図である。
【図27】図27は、第7の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図28】図28は、第8の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理における、二次元関心曲線の設定・変更処理を説明するための図である。
【図29】図29は、第8の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理における、二次元関心曲線の設定・変更処理を説明するための図である。
【図30】図30は、VOI座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図である。
【図31】図31は、VOI座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図である。
【図32】図32は、VOI座標系モードにおける三次元関心領域の変更後の表示形態の変形例を示した図である。
【図33】図33は、B面における三次元関心領域の変更処理を示した図である。
【図34】図34は、C面における三次元関心領域の変更処理を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0016】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置11は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、画像メモリ26、画像合成ユニット27、制御プロセッサ(CPU)28、内部記憶ユニット29、インターフェースユニット30を具備している。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0017】
超音波プローブ12は、超音波送受信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0018】
なお、本超音波診断装置が具備する超音波プローブ12は、被検体の三次元領域を超音波走査可能なものである。そのため、超音波プローブ12は、振動子をその配列方向の直交方向に沿って機械的に揺動させ、三次元領域を超音波走査する構成、又は二次元的に配列された二次元振動素子を用いて電気的制御により三次元領域を超音波走査する構成等を有する。前者の構成を採用する場合、被検体の三次元的走査は揺動回路(揺動機構)によって行われるため、検査者はプローブ本体を被検体に接触させるだけで、自動的に複数の二次元断層像を取得することができる。制御された揺動速度から断面間の正確な距離も検知できる。また、後者の構成を採用する場合には、原理的には、従来の二次元断層像を取得するのと同じ時間で、三次元領域を超音波走査することができる。本実施形態では、説明を具体的にするため、超音波プローブ12は、機械的揺動によって三次元領域を超音波走査するものとする。
【0019】
入力装置13は、超音波診断装置11の本体に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0020】
モニター14は、画像生成ユニット25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報(通常のBモード画像)、血流情報(平均速度画像、分散画像、パワー画像等)、広域超音波画像、狭域超音波画像、任意断面超音波画像等を所定の形態で表示する。
【0021】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0022】
なお、超音波送信ユニット21は、制御プロセッサ28の指示に従って所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に送信駆動電圧の変更については、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0023】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0024】
Bモード処理ユニット23は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成ユニット25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。
【0025】
ドプラ処理ユニット24は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0026】
画像生成ユニット25は、一般的には、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。また、画像生成ユニット25は、画像処理装置としての機能を有し、制御プロセッサ28からの制御に従って、後述する三次元関心領域設定支援機能において実行される所定の各処理を実行する。
【0027】
画像メモリ26は、フレーム毎或いはボリューム毎にエコー信号を一時的に記憶する。
【0028】
画像合成ユニット27は、画像生成ユニット25から受け取った画像を種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号としてモニター14に出力する。
【0029】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ28は、内部記憶ユニット29から後述する三次元関心領域設定支援機能を実現するための専用プログラム、所定のスキャンシーケンスを実行するための制御プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0030】
内部記憶ユニット29は、異なる画角設定により複数のボリュームデータを収集するための所定のスキャンシーケンス、後述する三次元関心領域設定支援機能を実現するための専用プログラム、検査情報と二次元関心曲線を設定する際に用いられる初期条件とを予め対応付けた初期条件テーブル、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラム、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。内部記憶ユニット29のデータは、インターフェースユニット30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0031】
インターフェースユニット30は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェースユニット30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0032】
(三次元関心領域設定支援機能)
次に、本超音波診断装置1が有する、三次元関心領域設定支援機能について説明する。この機能は、ボリュームデータに三次元関心領域を設定する際に、二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する曲線(二次元関心曲線)を設定し、当該設定された曲線を利用することで、簡単且つ適切な三次元関心領域の設定を支援するものである。
【0033】
図2は、本三次元関心領域設定支援機能に従う処理(三次元関心領域設定支援処理)の流れを示したフローチャートである。同図に従って、三次元関心領域設定支援処理において実行される各処理の内容について説明する。以下の説明においては、観察対象が胎児である場合を例とする。しかしながら、本三次元関心領域機能は、観察対象が胎児の場合に拘泥されず、臓器等を観察対象として三次元関心領域を設定する場合にも適用可能である。
【0034】
[患者叙情、送受信条件等の入力受:ステップS1a]
操作ユニット33を介して患者情報(例えば、患者ID等)の入力、送受信条件(画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の観察対象を含む三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1a)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0035】
[三次元超音波走査:ステップS2a]
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査を実行する(ステップS2a)。具体的には、揺動プローブを用いて、例えば胎児の顔を含む三次元領域を超音波走査する。この超音波走査によって、胎児の顔を含む三次元領域についてのエコー信号が収集される。
【0036】
取得された各エコー信号は、逐次超音波受信ユニット22を経由してBモード処理ユニット23に送られる。Bモード処理ユニット23は、対数増幅処理、包絡線検波処理等を実行し、信号強度が輝度で表現される画像データを生成する。画像生成ユニット25は、生成された三次元領域についての時系列な画像データに対して、実際の空間座標系(すなわち、複数の走査断面画像データが定義される座標系)からボリュームデータ空間座標系への座標変換を実行し補間処理を行うことで、ボリュームデータを再構成する。
【0037】
[二次元画像、三次元画像の生成・表示:ステップS3a]
画像生成ユニット25は、再構成されたボリュームデータを用いて、任意断面に対応するMPR画像(二次元画像)、及び初期画像としての三次元画像を生成する。生成された二次元画像及び三次元画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において並列表示される(ステップS3a)。
【0038】
図3(a)は、本ステップにおいて表示される二次元画像を、図3(b)は、本ステップにおいて表示される初期画像としての三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を、それぞれ示した図である。初期画像においては、適切な三次元関心領域が設定されていないため、図3(b)において矢印で示すように、鼻の一部が欠けた状態で胎児の顔が描出されているのがわかる。なお、図3(a)の様に表示された二次元画像が所望する断面に対応しない場合には、例えば入力装置13等からの操作により、所望の位置に変更することが可能である。
【0039】
[二次元関心曲線の初期条件取得・二次元関心曲線の設定:ステップS4a、S5a]
次に、制御プロセッサ28は、ステップS1aにおいて入力された患者IDに基づいて、内部記憶ユニット29、或いはネットワーク上のデータベースから当該患者の妊娠周期、当該胎児の頭囲計測データを含む検査情報を取得する。また、制御プロセッサ28は、取得した検査情報と内部記憶ユニット29に格納された初期条件テーブルとを比較し、二次元関心曲線を設定するための初期条件を取得する(ステップS4a)。また、制御プロセッサ28は、取得した初期条件に従って、二次元画像上に二次元関心曲線を設定する(ステップS5a)。
【0040】
なお、二次元関心曲線を設定するための初期条件とは、に二次元画像上に二次元関心曲線を初期設定するための条件であり、例えば、二次元関心曲線を真円とするのであれば、二次元画像上における円の中心位置(座標)、半径等である。
【0041】
[二次元関心曲線の変更:ステップS6a、ステップS7a]
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6a)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7a)。
【0042】
図4は、二次元関心曲線の位置、形状、大きさの変更処理を説明するための図であり、二次元関心曲線として真円が設定された例を示している。同図において、例えばマウスのカーソルを真円の中心Oに合わせドラッグアンドドロップ等の操作をすることにより、二次元関心曲線としての真円の位置を移動させることができる。同じく、例えばマウスのカーソルを真円の輪郭上の所望位置(図4では点A0の位置)に合わせドラッグアンドドロップ等の操作により同径方向に移動させることにより、二次元関心曲線としての真円の大きさを大きくしたり小さくしたりすることができる。今の場合、ステップS3aで初期画像として表示された三次元画像においては、鼻の一部が欠けた状態で胎児の顔が描出されている(図3(b)参照)。従って、制御プロセッサ28は、入力装置13を介した指示に従って、胎児の鼻が真円内に含まれるように二次元関心曲線を変更する(広げる)。
【0043】
[二次元関心曲線に基づく三次元関心領域の設定:ステップS8a]
次に、制御プロセッサ28は、二次元関心曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8a)。なお、回転軸の位置、向きについては、特に限定はない。典型例としては、二次元関心曲線としての真円の中心Oを通過し所定の向き(傾き)を持つ直線、真円内の中心O以外の点(偏心)を通過し所定の向き(傾き)を持つ直線、所定の傾きを有する真円の接線、真円外を通過し所定の向き(傾き)を持つ直線等を挙げることができる。
【0044】
図5は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る回転軸を中心として回転させることで走査方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。また、図6は、二次元関心曲線としての真円を、中心Oを通る軸を中心として回転させることで揺動方向に設定された三次元関心領域を例示した図である。各図に示すように、二次元画像上に設定された二次元関心曲線としての真円を用いて、ボリュームデータ上に三次元関心領域を設定することができる。
【0045】
[三次元関心領域の表示:ステップS9a]
次に、制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9a)。
【0046】
図7は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。図7に示した三次元画像と図3(b)に示した初期画像とを比較すると、図7に示した三次元画像では、矢印で示すように鼻が欠けていない状態で胎児の顔が描出されている。これは、ステップS7aにおいて胎児の鼻が含まれるように二次元関心曲線を調整し、調整された二次元関心曲線を用いて、三次元関心領域を設定したからである。
【0047】
以上述べた本超音波診断装置によれば、取得されたボリュームデータに含まれる二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する二次元関心曲線としての真円を設定し、当該設定された真円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る超音波診断装置は、データベースを利用した二次元関心曲線の初期設定を行わずに、例えば二次元画像上に所望の三点を指定することで、所望の位置、所形状、大きさで二次元関心曲線を設定するものである。
【0049】
図8は、第2の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、患者情報(例えば、患者ID等)の入力、送受信条件(画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の観察対象を含む三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1b)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0050】
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査を実行する(ステップS2b)。また、当該三次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、ボリュームデータが再構成される。画像生成ユニット25は、再構成されたボリュームデータを用いて、任意断面に対応するMPR画像(二次元画像)、及び三次元画像を生成する。生成された二次元画像及び三次元画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において並列表示される(ステップS3b)。
【0051】
図9は、本ステップにおいて表示される初期画像としての三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。初期画像では、図9において矢印で示すように、適切な三次元関心領域が設定されていないため、右手が見えず、左目の周囲がはっきりしない状態で胎児の顔を含む領域が描出されている。
【0052】
次に、制御プロセッサ28は、入力装置13を介して指定された所望の三点に基づいて、二次元関心曲線としての真円を設定する(ステップS4b)。すなわち、ステップS3bにおいて表示された二次元画像に対して、例えば図10に示すようなA1、A2、A3の三点がユーザにより入力装置13を介して設定される。制御プロセッサ28は、設定されたA1、A2、A3の三点を通過する様な真円の中心位置及び半径を計算し、同図10に示すように二次元画像上にA1、A2、A3の三点を通過する真円を二次元関心曲線として設定する(ステップS5b)。
【0053】
また、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6b)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7b)。例えば、図10に示すように、例えばマウスのカーソルを真円の中心Oに合わせドラッグアンドドロップ等の操作をすることにより、二次元関心曲線としての真円の位置を移動させることができる。同じく、例えばマウスのカーソルを真円の輪郭上の所望位置に合わせ同径方向に移動させることにより、二次元関心曲線としての真円の半径を大きくしたり小さくしたりすることが可能である。さらに、設定された真円を所定の操作によってリセットし、二次元画像上に少なくとも三点を再度設定することで、二次元関心曲線の設定をやり直すことも可能である。
【0054】
次に、制御プロセッサ28は、二次元関心曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8b)。なお、走査方向から見た三次元関心領域を図11に、揺動方向から見た三次元関心領域を図12に、それぞれ示した。制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。
【0055】
生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9b)。
【0056】
図13は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。図13に示した三次元画像と図9に示した初期画像とを比較すると、図9に示した三次元画像では、矢印で示すように右手及び左目の周囲がはっきりとした状態で胎児の顔を含む領域が描出されている。これは、ステップS4b、5bにおいて胎児の鼻が含まれるように三点を設定し、当該三点を通過するような二次元関心曲線を用いて三次元関心領域を設定したからである。
【0057】
以上述べた構成によれば、二次元画像を観察しながら三点を適切に指定することで、観察対象が確実に含まれるような真円を二次元関心曲線として簡単且つ確実に設定することができる。また、この様に設定された真円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように三点、或いは二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、二次元関心曲線の他の例として、楕円を採用するものである。
【0059】
図14は、第3の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、患者情報(例えば、患者ID等)の入力、送受信条件(画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の観察対象を含む三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1c)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0060】
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査を実行する(ステップS2c)。また、当該三次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、ボリュームデータが再構成される。画像生成ユニット25は、再構成されたボリュームデータを用いて、任意断面に対応するMPR画像(二次元画像)、及び三次元画像を生成する。生成された二次元画像及び三次元画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において並列表示される(ステップS3c)。
【0061】
図15は、本ステップにおいて表示される初期画像としての三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。初期画像では、図15において矢印で示すように、適切な三次元関心領域が設定されていないため、子宮構造は分かるが右手が見えない状態で胎児の顔を含む領域が描出されている。
【0062】
次に、制御プロセッサ28は、ステップS1cにおいて入力された患者IDに基づいて、内部記憶ユニット29、或いはネットワーク上のデータベースから当該患者の妊娠周期、当該胎児の頭囲計測データを含む検査情報を取得する。また、制御プロセッサ28は、取得した検査情報と内部記憶ユニット29に格納された初期条件テーブルとを比較し、二次元関心曲線としての楕円を設定するための初期条件を取得し(ステップS4c)取得した初期条件に従って、二次元画像上に楕円を設定する(ステップS5c)ここでの初期条件は、二次元画像上における楕円の中心位置(座標)、長軸半径(長半径)、短軸半径(短半径)等である。
【0063】
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6c)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7c)。
【0064】
次に、制御プロセッサ28は、二次元関心曲線としての楕円を回転させる回転軸を設定し、楕円を当該回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8c)。楕円を回転させる回転軸としては、例えば図16に示すような短軸、或いは長軸が典型例である。しかしながら、当該例に構成されず、例えば、楕円内の中心O以外の点(偏心)を通過し所定の向き(傾き)を持つ直線、所定の傾きを有する楕円の接線、楕円外を通過し所定の向き(傾き)を持つ直線等を採用することも可能である。また、回転軸の設定と共に、入力装置13からの入力指示に従って、例えば図17に示すように楕円の中心位置の移動、楕円の向き或いは大きさの変更等も可能である。これらの操作の結果、例えば図18に示すような楕円E及び回転軸Ax(図の例の場合、短軸)とを設定することができる。なお、走査方向から見た三次元関心領域を図19に、揺動方向から見た三次元関心領域を図20に、それぞれ示した。
【0065】
制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9c)。
【0066】
図21は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて生成された三次元画像(ボリュームレンダリング画像)を示した図である。図15に示した三次元画像と図21に示した初期画像とを比較すると、図21に示した三次元画像では、矢印で示すように右手及び胎児の顔がよりはっきりと描出されている。これは、ステップS7cにおいて胎児の鼻が含まれるように二次元関心曲線を調整し、調整された二次元関心曲線を用いて、三次元関心領域を設定したからである。
【0067】
以上述べた本超音波診断装置によれば、取得されたボリュームデータに含まれる二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する二次元関心曲線としての楕円を設定し、当該設定された楕円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0068】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、データベースを利用した二次元関心曲線としての楕円の初期設定を行わずに、例えば二次元画像上に少なくとも所望の三点を指定することで、所望の位置に、所望の形状、大きさで二次元関心曲線を設定するものである。
【0069】
図22は、第4の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。図22と図14に示すフローチャートとを比較した場合、ステップS4d、S5dの処理が主に異なる。以下、ステップS4d、S5dにおける処理の内容について説明する。
【0070】
ステップS3dにおいて表示された二次元画像に対して、入力装置13を介して所望の位置にも三点が指定される(ステップS4d)。制御プロセッサ28は、設定された三点を通過する楕円の中心位置、長半径、短半径を計算し、二次元画像上に指定した三点を通過する楕円を二次元関心曲線として設定する。(ステップS5d)。
【0071】
以上述べた構成によれば、二次元画像を観察しながら三点を適切に指定することで、観察対象が確実に含まれるような楕円を二次元関心曲線として簡単且つ確実に設定することができる。また、この様に設定された楕円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように三点、或いは二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0072】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、二次元関心曲線として真円や楕円といった形状が決まった閉曲線(特定の閉じた領域を形成する曲線)を用いず、操作者が所望する形状の閉曲線を、所望の位置、大きさで二次元関心曲線として二次元画像上に設定し、これを用いて三次元関心領域を設定するものである。
【0073】
図23は、第5の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、患者情報の入力、送受信条件、超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行され(ステップS1e)、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査が実行される(ステップS2e)。また、当該三次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、ボリュームデータが再構成される。画像生成ユニット25は、再構成されたボリュームデータを用いて、任意断面に対応するMPR画像(二次元画像)、及び三次元画像を生成する。生成された二次元画像及び三次元画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において並列表示される(ステップS3e)。
【0074】
次に、表示された二次元画像に対して、所望の形状、大きさを有する任意の閉曲線が、入力装置13を介して、二次元関心曲線として所望の位置に指定される(ステップS4e)。制御プロセッサ28は、入力装置13を介して指定された閉曲線を、二次元画像上に設定する(ステップS5e)。
【0075】
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6e)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7e)。
【0076】
次に、表示された二次元画像に対して、入力装置13を介して、所望する位置に回転軸としての直線が指定される。制御プロセッサ28は、指定された直線等に基づいて回転軸を設定し、当該回転軸回りに任意閉曲線を回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8e)。なお、任意閉曲線を回転させる回転軸は、どの様なものであってもよい。具体例としては、例えば図24に示すように、任意閉曲線CLの中央部付近を通過する軸Ax1、任意閉曲線CLの中央部から外れた領域を通過する軸Ax2、任意閉曲線CL内を全く通過しない軸Ax3等を挙げることができる。
【0077】
制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9e)。
【0078】
以上述べた本超音波診断装置によれば、取得されたボリュームデータに含まれる二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する二次元関心曲線としての任意の閉曲線を設定し、当該設定された閉曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0079】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、二次元関心曲線として真円や楕円といった閉じた領域を形成する曲線(閉曲線)を用いず、閉じた領域を形成しない曲線(解放曲線)を採用するものである。
【0080】
図25は、第6の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。図25と図23に示すフローチャートとを比較した場合、ステップS4f以降の処理が異なる。以下、ステップS4f以降の各処理の内容について説明する。
【0081】
表示された二次元画像に対して、所望の形状、大きさを有する任意の解放曲線が、入力装置13を介して、二次元関心曲線として所望の位置に指定される(ステップS4f)。制御プロセッサ28は、例えば図26に示すように、入力装置13を介して指定された解放曲線OLを二次元画像上に設定する(ステップS5f)。
【0082】
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6f)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7f)。
【0083】
次に、表示された二次元画像に対して、入力装置13を介して、所望する位置に回転軸としての直線が指定される。制御プロセッサ28は、指定された直線等に基づいて回転軸を設定し、当該回転軸回りに解放曲線を回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS8e)。
【0084】
ここで、解放曲線を回転させる回転軸は、どの様なものであってもよい。具体例としては、例えば図26に示すように、解放曲線OLの始点と終点とを結ぶ直線に対応する回転軸Ax4、解放曲線OLと少なくとも一点(図26の例では2点)で交わる直線に対応する回転軸Ax5、解放曲線OLと交点を持たない直線に対応する回転軸Ax6等を挙げることができる。なお、回転軸Ax5或いは回転軸Ax6を用いる場合には、解放曲線と、解放曲線の始点及び終点から回転軸に下ろした垂線と、回転軸とによって形成される閉曲線の回転通過領域が、三次元関心領域となる。
【0085】
制御プロセッサ28は、設定された三次元関心領域内に含まれるデータを用いて、三次元関心領域画像を生成する。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS9f)。
【0086】
以上述べた本超音波診断装置によれば、取得されたボリュームデータに含まれる二次元画像上の所望の位置に、所望の形状、大きさを有する二次元関心曲線としての任意の解放曲線を設定し、当該設定された解放曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0087】
(第7の実施形態)
既述の各実施形態は、三次元走査によって取得されたボリュームデータから生成されるMPR画像を用いて二次元関心曲線を設定する構成であった。これに対し、本実施形態に係る三次元関心領域設定支援機能は、三次元走査の前段において所望の断面に対応する二次元画像を取得し、当該二次元画像上において二次元関心曲線を設定するものである。なお、この様な本実施形態に係る二次元関心曲線の設定手法は、既述の第1〜第6の実施形態のいずれにおいても適用可能である。以下、説明を具体的にするため、第1の実施形態に係る三次元関心領域設定支援機能に適用した場合について説明する。
【0088】
図27は、第7の実施形態に係る三次元関心領域設定支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、患者情報(例えば、患者ID等)の入力、送受信条件(画角、焦点位置、送信電圧等)、二次元関心曲線の設定に用いる二次元領域を超音波走査するためのスキャンシーケンス、被検体の観察対象を含む三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1g)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0089】
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む二次元領域を被走査領域として、リアルタイム二次元超音波走査を実行する(ステップS2g)。また、当該二次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、所望する二次元画像が生成され、所定の文字情報等と共にモニター14において表示される(ステップS3g)。
【0090】
次に、制御プロセッサ28は、ステップS1gにおいて入力された患者IDに基づいて、内部記憶ユニット29、或いはネットワーク上のデータベースから当該患者の妊娠周期、当該胎児の頭囲計測データを含む検査情報を取得する。また、制御プロセッサ28は、取得した検査情報と内部記憶ユニット29に格納された初期条件テーブルとを比較し、二次元関心曲線を設定するための初期条件(円の中心位置(座標)、半径)を取得し(ステップS4g)、取得した初期条件に従って、二次元画像上に二次元関心曲線を設定する(ステップS5g)。
【0091】
次に、制御プロセッサ28は、設定された二次元関心曲線の位置、形状、大きさを変更するか否かを判定し(ステップS6g)、変更すると判定した場合には、入力装置13からの入力指示に従って、二次元関心曲線の位置、形状、大きさのうちの少なくともいずれかを変更する(ステップS7g)。
【0092】
次に、制御プロセッサ28は、観察対象を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査を実行する(ステップS8g)。また、当該三次元超音波走査によって取得されたエコー信号を用いて、ボリュームデータが再構成される。制御プロセッサ28は、二次元関心曲線が設定された二次元画像とボリュームデータとの位置対応付けを行い、二次元関心曲線を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータ内に三次元関心領域を設定する(ステップS9g)。生成された三次元関心領域画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成された後、モニター14において所定の形態で表示される(ステップS10g)。
【0093】
以上述べた構成によれば、所望する断面に対応する二次元画像を取得した後、当該二次元画像上に、観察対象が確実に含まれるような二次元関心曲線として簡単且つ確実に設定することができる。また、この様に設定された真円を所定の回転軸回りに回転させることで、ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する。従って、操作者は、二次元画像上において観察対象が含まれるように二次元関心曲線の位置、形状、大きさを調整し設定することで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を設定することができる。
【0094】
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、二次元関心曲線を用いて三次元関心領域が設定された後の所望のタイミングで、直交三断面(A面、B面、C面)と三次元関心領域との間の位置関係をより好適に設定・調整可能とするインターフェースを有するものである。このようなインターフェースは、医用画像参照装置(ビューワ)等を用いて事後的に詳細な画像観察を行う場合に、特に実益がある。なお、本実施形態に係るインターフェースを用いる三次元関心曲線の調整手法は、既述の第1〜第7の実施形態のいずれにおいても適用可能である。
【0095】
本実施形態に係るインターフェースを用いた三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更は、一般座標系モードとVOI(Volume of Interest)座標系モードとのいずれかの観察モードを用いて実行される。操作者は、いずれの観察モードも自由に選択することが可能である。また、一方のモードから他方のモードへの切り換えも、任意のタイミングで実行することができる。以下、各観察モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理について説明する。
【0096】
(一般座標系モード)
一般座標系モードとは、三次元関心領域を変換により移動した場合であっても、直交三断面(A面、B面、C面)を生成するための観察位置及び観察方向は変換せず移動させないモードである。
【0097】
図28は、一般座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図であり、MPR画像による直交三断面(A面、B面、C面)によって表示される三次元関心領域(球体)、及び当該三次元関心領域に対応する三次元画像(ボリュームレンダリング画像)の一例を示した図である。同図に示すように、入力装置13からの操作により、例えばA面における三次元関心領域の断面(真円)を所望の大きさで所望の位置に(図28の例では、実線の大きさ・位置から点線の大きさ・位置に)変更したとする。制御プロセッサ28は、当該A面上における変更操作に応答して、ボリュームデータ内の変更後の三次元関心領域の各大きさ、位置を計算し、B面、C面のそれぞれにおける三次元関心領域の断面(真円)の大きさ・位置を変更する。さらに、制御プロセッサ28は、当該三次元関心領域の変更に連動させて、変更後の三次元関心領域内のデータを用いて三次元画像を生成し、各断面に対応する二次元画像と共に表示する。結果、A面、B面、C面のそれぞれにおいて、三次元関心領域は変更前の実線の形態から点線で示された変更後の状態に変化することになる。
【0098】
また、図29は、一般座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図であり、MPR画像による直交三断面によって表示される三次元関心領域(回転楕円体)、及び当該三次元関心領域に対応する三次元画像(ボリュームレンダリング画像)の他の例を示した図である。同図に示すように、入力装置13からの操作により、例えばA面における三次元関心領域の断面(楕円)を所望の大きさ及び向きで所望の位置に(図29の例では、実線の大きさ・向き・位置から点線の大きさ・向き・位置に)変更したとする。制御プロセッサ28は、当該A面上における変更操作に応答して、ボリュームデータ内の変更後の三次元関心領域の各大きさ、位置を計算し、B面、C面のそれぞれにおける三次元関心領域の断面(楕円)の大きさ・位置を変更する。さらに、制御プロセッサ28は、当該三次元関心領域の変更に連動させて、変更後の三次元関心領域内のデータを用いて三次元画像を生成し、各断面に対応する二次元画像と共に表示する。結果、A面、B面。C面のそれぞれにおいて、三次元関心領域は変更前の実線の形態から点線で示された変更後の状態に変化することになる。
【0099】
(VOI座標系モード)
VOI座標系モードは、三次元関心領域を変換により移動した場合、直交三断面(A面、B面、C面)を生成するための観察位置及び観察方向も同様の変換により移動させるモードである。
【0100】
図30、図31は、VOI座標系モードにおける三次元関心領域と直交三断面との間の位置関係の設定・変更処理を説明するための図である。各図においては、変更前の直交三断面を(A1、B1、C1)とし、変更後の直交三断面を(A2、B2、C2)としている。ただし、図30、図31の例は、A断面上での変更処理を示すものであるため、A1面とA2面とは同じものとなる。
【0101】
図30に示すように、入力装置13からの操作により、例えばA1面において実線で示した三次元関心領域の断面(楕円)の位置、大きさ、形状等を点線で示すように変更したとする。制御プロセッサ28は、当該A1面上における変更操作に応答して、ボリュームデータ内の変更後の三次元関心領域の各大きさ、位置を計算する。また、制御プロセッサ28は、残りの二断面(B1面、C1面)に関する観察位置及び観察方向につき、移動後のA1面に対応させてそれぞれB2面、C2面に変更すると共に、B2面、C2面のそれぞれにおける三次元関心領域の断面(楕円)の大きさ・位置を変更する。また、制御プロセッサ28は、当該三次元関心領域の変更に連動させて、変更後の三次元関心領域内のデータを用いて三次元画像を生成すると共に、変更後の各観察位置及び各観察方向を用いて各断面に対応する二次元画像を生成し、例えば図31に示すような形態で表示する。
【0102】
一般座標系モードでは、例えば図29に示した様に、A面内において点線で示した様に原点移動及び座標軸の回転移動をした場合であっても、残りの二断面(B面、C面)の観察位置及び観察方向は移動前のまま維持されることになる。従って、例えば胎児が図30の左上のA面画像に示すような状態である場合、A面において三次元関心領域を好適な大きさ・位置に変更したとしても、B面画像では胴体の一部しか観察することができず、またC面画像では下半身しか観察することができない。
【0103】
これに対し、VOI座標系モードにおいては、図30と図31とを比較すると分かるように、A面において三次元関心領域の移動を行った後でも、残りのB面、C面における三次元関心領域の形状は変化せず、変更の前後に亘って同じ三方向から、三次元関心領域するものとなる。これは、VOI座標系モードが、A面内において原点移動及び座標軸の回転移動をした場合、残りの二断面の観察位置及び観察方向についても、移動後のA面に対応して移動させるからである。従って、例えば胎児が図30の左上のA面画像に示すような状態である場合、A2面画像、C2面画像で胎児の全身画像を、B2面画像で胎児の頭部画像を好適に観察することができる。
【0104】
なお、VOI座標系モードにおける三次元関心領域の変更後の表示形態は、図31に示す例に拘泥されない。例えば図32に示すように、変更後の三次元関心領域が常に水平状態となるように表示することも可能である。
【0105】
また、上記例では、A面内において、原点移動及び座標軸の回転移動の双方を伴う三次元関心領域の変更処理を例示した。当然ながら、原点移動のみ或いは座標軸の回転移動のみを伴う三次元関心領域の変更処理についても、上記手法は適用可能である。さらに、当然ながら、A面だけでなく、B面、C面のそれぞれにおいても三次元関心領域の変更処理は実行可能である。なお、図33にB面における三次元関心領域の変更処理を、図34にC面における三次元関心領域の変更処理を、それぞれ例示した。
【0106】
以上述べた構成によれば、二次元関心曲線を用いて設定された三次元関心領域の位置、大きさ、向き、形状等を、直交三断面(A面、B面、C面)を用いて、所望のタイミングで、容易且つ正確に視認することができる。また、視認後、さらに三次元関心領域の位置、大きさ、向き、形状等を変更したい場合には、いずれかのMPR画像における三次元関心領域の断面の位置大きさ、向き、形状等を変更するだけで、ボリュームデータに対して簡単且つ適切に三次元関心領域を再設定することができる。
【0107】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0108】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0109】
(2)上記各実施形態においては、画像生成ユニット25から出力された超音波画像(すなわち、スキャンコンバート後の超音波画像)を用いて、三次元関心領域設定支援処理を行う構成について説明した。しかしながら、対象とする超音波画像データは、スキャンコンバート後のものに拘泥されず、スキャンコンバート前の生データを対象としてもよい。係る場合、輝度値の代わりに、信号値の大きさを用いることで、同様の効果を達成することができる。
【0110】
(3)上記各実施形態においては、超音波診断装置を用いて取得されたボリュームデータに対して、三次元関心領域設定支援機能を用いて三次元関心領域を設定する場合を例とした。しかしながら、本三次元関心領域設定支援機能を用いた三次元関心領域の設定は、超音波診断装置に拘泥されず、他の医用画像診断装置、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、核医学診断装置等を用いて取得されたボリュームデータに対しても、実現することができる。さらに、医用画像診断装置に拘泥されず、予め取得されたボリュームデータを用いて、医用ワークステーションによって実現される超音波画像処理装置、医用画像処理装置によっても、実現可能である。
【0111】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上本発明によれば、例えば超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータを用いて三次元画像を表示する場合において、三次元関心領域の簡単且つ適切な設定を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像処理装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0113】
10…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成ユニット、26…画像メモリ、27…画像合成ユニット、28…制御プロセッサ、29…内部記憶ユニット、30…インターフェースユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内の三次元領域に対して超音波を送信し当該三次元領域からの反射波を受信して、前記三次元領域に関するエコー信号を取得する送受信手段と、
前記三次元領域に関するエコー信号を用いて、前記三次元領域に関するボリュームデータを取得するデータ取得手段と、
前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記送受信手段は、前記三次元領域に含まれる二次元領域に対して超音波を送信し当該二次元領域からの反射波を受信して、前記二次元領域に関するエコー信号を取得し、
前記データ取得手段は、前記二次元領域に関するエコー信号を用いて、前記二次元領域に関する二次元画像データを取得し、
前記曲線設定手段は、前記二次元画像データを用いて生成される前記二次元画像を用いて、前記所定の曲線を設定すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記曲線設定手段は、前記二次元画像として、前記ボリュームデータを用いて生成されるMPR画像を用いて、前記所定の曲線を設定することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記曲線設定手段は、所定の曲線として任意の閉曲線を設定し、
前記関心領域設定手段は、前記任意の閉曲線を前記二次元画像に含まれる直線を中心として回転させることで、前記閉領域を取得すること、
を特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記曲線設定手段は、前記任意の閉曲線として、楕円形状又は真円形状を有する曲線を設定することを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記曲線設定手段は、前記二次元画像上において、ユーザによって指定された少なくとも3点を基準として、前記楕円形状又は真円形状を有する曲線を設定することを特徴とする請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記曲線設定手段は、ユーザからの入力指示に従って、所定の位置に所定の大きさ、所定の形状で前記二次元画像上に前記任意の閉曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記曲線設定手段は、
予め記憶された条件に従って、所定の位置に所定の大きさ、所定の形状で前記二次元画像上に初期設定としての前記任意の閉曲線を設定し、
ユーザからの入力指示に従って、前記任意の閉曲線の位置、大きさ、形状のうちの少なくとも一つを変更すること、
を特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記曲線設定手段は、所定の曲線として任意の解曲線を設定し、
前記関心領域設定手段は、前記任意の解放曲線の始点と終点とを結ぶ直線を中心として回転させることで、前記閉領域を取得すること、
を特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記曲線設定手段は、所定の曲線として任意の解曲線を設定し、
前記関心領域設定手段は、前記任意の解放曲線と任意の回転軸とを用いて、前記閉領域を取得すること、
を特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記曲線設定手段は、予め記憶された条件に従って、所定の位置に所定の大きさ、所定の形状で前記二次元画像上に前記任意の解放曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記曲線設定手段は、ユーザからの入力指示に従って、所定の位置に所定の大きさ、所定の形状で前記二次元画像上に前記任意の解放曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記曲線設定手段は、ユーザからの入力指示に従って、前記任意の解放曲線の位置、大きさ、形状のうちの少なくとも一つを変更することを特徴とする請求項9乃至12のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記設定された三次元関心領域の直交三段面に関する直交三段面画像を生成する画像生成手段と、
前記設定された三次元関心領域に関する直交三段面画像を表示する表示手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至13のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記表示された直交三段面のいずれかに対して、前記三次元関心領域の位置、大きさ、形状のうちの少なくとも一つについての変更指示を入力するための入力手段と、
前記変更指示が入力された場合には、当該指示に従って、前記三次元関心領域の少なくとも位置を変更する曲線変更手段と、
をさらに具備し、
前記画像生成手段は、前記三次元関心領域と共に変更された観察位置及び観察方向を用いて、前記直交三断面画像を生成すること、
を特徴とする請求項14記載の超音波診断装置。
【請求項16】
被検体内の三次元領域を超音波走査することで取得された前記三次元領域に関するボリュームデータを記憶する記憶手段と、
前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、
を具備することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項17】
被検体内の三次元領域に関するボリュームデータを取得するデータ取得手段と、
前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、
を具備することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項18】
医用画像診断装置を用いて取得された被検体内の三次元領域をに関するボリュームデータを記憶する記憶手段と、
前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項1】
被検体内の三次元領域に対して超音波を送信し当該三次元領域からの反射波を受信して、前記三次元領域に関するエコー信号を取得する送受信手段と、
前記三次元領域に関するエコー信号を用いて、前記三次元領域に関するボリュームデータを取得するデータ取得手段と、
前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記送受信手段は、前記三次元領域に含まれる二次元領域に対して超音波を送信し当該二次元領域からの反射波を受信して、前記二次元領域に関するエコー信号を取得し、
前記データ取得手段は、前記二次元領域に関するエコー信号を用いて、前記二次元領域に関する二次元画像データを取得し、
前記曲線設定手段は、前記二次元画像データを用いて生成される前記二次元画像を用いて、前記所定の曲線を設定すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記曲線設定手段は、前記二次元画像として、前記ボリュームデータを用いて生成されるMPR画像を用いて、前記所定の曲線を設定することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記曲線設定手段は、所定の曲線として任意の閉曲線を設定し、
前記関心領域設定手段は、前記任意の閉曲線を前記二次元画像に含まれる直線を中心として回転させることで、前記閉領域を取得すること、
を特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記曲線設定手段は、前記任意の閉曲線として、楕円形状又は真円形状を有する曲線を設定することを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記曲線設定手段は、前記二次元画像上において、ユーザによって指定された少なくとも3点を基準として、前記楕円形状又は真円形状を有する曲線を設定することを特徴とする請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記曲線設定手段は、ユーザからの入力指示に従って、所定の位置に所定の大きさ、所定の形状で前記二次元画像上に前記任意の閉曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記曲線設定手段は、
予め記憶された条件に従って、所定の位置に所定の大きさ、所定の形状で前記二次元画像上に初期設定としての前記任意の閉曲線を設定し、
ユーザからの入力指示に従って、前記任意の閉曲線の位置、大きさ、形状のうちの少なくとも一つを変更すること、
を特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記曲線設定手段は、所定の曲線として任意の解曲線を設定し、
前記関心領域設定手段は、前記任意の解放曲線の始点と終点とを結ぶ直線を中心として回転させることで、前記閉領域を取得すること、
を特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記曲線設定手段は、所定の曲線として任意の解曲線を設定し、
前記関心領域設定手段は、前記任意の解放曲線と任意の回転軸とを用いて、前記閉領域を取得すること、
を特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記曲線設定手段は、予め記憶された条件に従って、所定の位置に所定の大きさ、所定の形状で前記二次元画像上に前記任意の解放曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記曲線設定手段は、ユーザからの入力指示に従って、所定の位置に所定の大きさ、所定の形状で前記二次元画像上に前記任意の解放曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記曲線設定手段は、ユーザからの入力指示に従って、前記任意の解放曲線の位置、大きさ、形状のうちの少なくとも一つを変更することを特徴とする請求項9乃至12のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記設定された三次元関心領域の直交三段面に関する直交三段面画像を生成する画像生成手段と、
前記設定された三次元関心領域に関する直交三段面画像を表示する表示手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至13のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記表示された直交三段面のいずれかに対して、前記三次元関心領域の位置、大きさ、形状のうちの少なくとも一つについての変更指示を入力するための入力手段と、
前記変更指示が入力された場合には、当該指示に従って、前記三次元関心領域の少なくとも位置を変更する曲線変更手段と、
をさらに具備し、
前記画像生成手段は、前記三次元関心領域と共に変更された観察位置及び観察方向を用いて、前記直交三断面画像を生成すること、
を特徴とする請求項14記載の超音波診断装置。
【請求項16】
被検体内の三次元領域を超音波走査することで取得された前記三次元領域に関するボリュームデータを記憶する記憶手段と、
前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、
を具備することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項17】
被検体内の三次元領域に関するボリュームデータを取得するデータ取得手段と、
前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、
を具備することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項18】
医用画像診断装置を用いて取得された被検体内の三次元領域をに関するボリュームデータを記憶する記憶手段と、
前記三次元領域に含まれる二次元領域に関する二次元画像に対して、所定の曲線を設定する曲線設定手段と、
前記設定された所定の曲線を回転させることで得られる閉領域を用いて、前記ボリュームデータに対して三次元関心領域を設定する関心領域設定手段と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2012−5714(P2012−5714A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145614(P2010−145614)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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