説明

超音波診断装置

【課題】複雑な制御をすることなく、プローブ表面温度を安全規格値以下にできる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波プローブの表面温度を非接触で測定する温度測定機能を有し、プローブ表面温度が安全温度条件を満たしているか否かを判定する判定部と、判定結果に応じて表面温度を低減する手段として送信エネルギー減衰手段、使用者への注意喚起手段、送信エネルギー停止手段、装置の電源断手段、の少なくとも一つを有し、複雑な制御をすることなく、プローブ表面温度を安全規格値以下にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、プローブ表面温度を安全規格値以下に制御するようにした超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波診断装置は、図4に示すように、操作者により操作卓100から指示された送信設定にしたがって、超音波プローブの表面温度を安全規格値以下にするために、送信エネルギー計算手段90は、トータルパワーと、求められた温度上昇係数とに基づいて、超音波の送信開始から所定時間経過後のプローブ表面の温度上昇分を演算し、その温度から送信エネルギーを計算し、そのエネルギーを超音波送信手段80によってプローブ送信切替手段70を経由してプローブ20に印加されるものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−70784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の超音波診断装置においては、超音波送信エネルギーを抑制制御する際、一般に送信エネルギー計算ではプローブ表面温度と多種の送信条件の組み合わせの関係が複雑で温度が安全規格値であるのに温度のフィードバック系が存在しないためプローブ表面温度が安全規格値を超えないようにするための制御がしきれず、送信条件の組み合わせによってはプローブ表面温度が安全規格値以上になる危険性があった。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、複雑な制御をすることなく、プローブ表面温度を安全規格値以下にすることのできる超音波診断装置を提供するを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波診断装置は、
超音波プローブの表面温度を非接触で測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段の出力が所定の温度を満たしているか否かを判定する安全温度判定手段と、
前記安全温度判定部の判定結果に応じて送信するエネルギー量を計算する送信エネルギー計算手段を有することを特徴としたものである。
これにより、超音波プローブの温度上昇を安全規格値以下にすることが出来る。
【0006】
さらに、超音波診断装置において、前記送信エネルギー計算手段は、前記安全温度判定部が所定の温度を超えたと判断した場合に、送信エネルギーを減衰もしくは停止することを特徴としたものである。
これにより、超音波プローブの温度上昇を安全規格値以下にすることが出来る。
【0007】
さらに、超音波診断装置において、前記送信エネルギー計算手段は、前記安全温度判定部が所定の温度を超えたと判断した場合に、装置の電源を切ることを特徴としたものである。
これにより、超音波プローブに異常が発生したときにも、安全に装置を使用不可にすることが出来る。
【0008】
さらに、超音波診断装置において、前記温度測定機能は、少なくとも一つ以上を有することを特徴としたものである。
これにより、複数の超音波プローブの温度上昇を安全規格値以下にすることが出来る。
【0009】
さらに、超音波診断装置において、前記温度測定機能は、監視範囲が可変可能であることを特徴としたものである。
これにより、複数の超音波プローブの温度上昇を安全規格値以下にすることが出来る。
【0010】
さらに、超音波診断装置において、前記安全温度判定部が所定の温度を超えたと判断した場合に、使用者へ認識させるための報知手段を備えることを特徴としたものである。
これにより、使用者が超音波プローブの温度上昇を確認することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば超音波プローブの表面温度を安全規格値以下にできる効果を有する超音波診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態の超音波診断装置について、図面を用いて説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の本発明の実施の形態1における共通の超音波診断装置の説明図である。
非使用時のプローブ10、使用時のプローブ20、プローブ非使用時の非接触温度計40、プローブ使用時の非接触温度計50、被験者30を示している。
【0014】
図2は本発明の実施の形態1における超音波診断装置のブロック図である。
図1に加え、プローブ送信切替手段70、超音波送信手段80、送信エネルギー計算手段90、操作卓100、安全温度判定手段110、最高温度検出手段120
、温度異常状態表示手段130から構成される。操作卓100から送信条件が送信エネルギー計算手段90に指示され超音波送信手段80から送信された超音波はプローブ送信切替手段70を経てプローブ20に印加される。
【0015】
プローブは、非使用時においても超音波を送信している場合が有り、その間に規定以上の高温になっている場合がある。そこで、非使用時にプローブを格納する位置に対し、非接触温度計40を設置することにより、未使用時のプローブの温度も、常に測定するようにしている。また、使用時のプローブの温度を監視するために、被験者30に向けて、非接触温度計50を設置している。
【0016】
最高温度検出手段120は、非接触温度計40と非接触温度計50のうち高いほうの温度を検出し、高い方の温度は安全温度判定手段110により安全温度上限値(国際電気標準会議IEC60601−2−37の例で空中放射50℃)以下かどうかが評価され、安全温度上限値を超える可能性のある場合には、送信エネルギー計算手段90に指示され超音波送信エネルギーを低減しプローブ表面温度が安全温度を超えないようエネルギーを低減する。判断基準となる温度は、安全温度上限値を超えない値であり、かつ、超音波送信エネルギーを低減してから温度が低下を始めるまでの時間差を吸収できる余裕を持った温度にするのが良い。
【0017】
また、温度異常状態表示手段130にて使用者に状況を伝え注意喚起し診断継続判断を支援したり、装置の電源を切ることで安全な診断ができるようにしても良い。
このように温度情報を送信エネルギー計算手段90、超音波送信手段80へとフィードバックすることで、複雑な制御をすることなく、使用中のプローブ20の表面温度を安全規格値以下にすることが出来る。
【0018】
(実施の形態2)
図3は本発明の本発明の実施の形態2における超音波診断装置のブロック図である。
図2に加え実施の形態1の温度計40,50と最高温度検出手段120部分に代わって実施の形態2では測定範囲可変な非接触温度計60で構成される。
【0019】
一般的に、赤外線温度計などは、測定範囲が低く、広範囲な領域を一度に見ることが出来ない。そこで、非接触温度計60は扇風機のような首振り機構を有する。ここでは、非使用時にプローブを格納する位置から、被験者30までの範囲で首を振る。
【0020】
操作卓100から送信条件が送信エネルギー計算手段90に指示され超音波送信手段80から送信された超音波はプローブ送信切替手段70を経てプローブ20に印加される。非使用時のプローブ1と使用時のプローブ2をまたぐように非接触温度計60の向きを変化させ、両方のプローブの温度を測定する。
【0021】
非使用時のプローブ10と使用時のプローブ20のうち、高い方の温度が検出されると、高い方の温度は安全温度判定手段110により安全温度上限以上かどうかが評価され、上限値以上の場合は送信エネルギー計算手段90に指示され超音波送信エネルギーを低減しプローブ表面温度が安全温度を超えないようエネルギーを低減する。また温度異常状態表示手段130にて使用者に状況を伝え注意喚起し診断継続判断を支援したり、装置の電源を切ることで安全な診断ができるようにする。
【0022】
このように温度情報を送信エネルギー計算手段90、超音波送信手段80へとフィードバックすることで、複雑な制御をすることなく、使用中のプローブ20の表面温度を安全規格値以下にすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明にかかる超音波診断装置は、温度のフィードバック系を構成することにより、送信条件の組み合わせによる、超音波プローブの表面温度が安全規格値以上になることを防ぐ効果があり、超音波診断装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における超音波診断装置の説明図
【図3】本発明の実施の形態1における超音波診断装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における超音波診断装置のブロック図
【図4】従来の超音波診断装置のブロック図
【符号の説明】
【0025】
10 非使用時の超音波プローブ
20 使用時の音波プローブ
30 被験者
40 非使用時の超音波プローブ温度測定用非接触温度計
50 使用時の超音波プローブ温度測定用非接触温度計
60 測定範囲自動可変の非接触温度計
70 プローブ送信切替手段
80 超音波送信手段
90 送信エネルギー計算手段
100 操作卓
110 安全温度判定手段
120 最高温度検出手段
130 温度異常状態表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブの表面温度を非接触で測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段の出力が所定の温度を満たしているか否かを判定する安全温度判定手段と、
前記安全温度判定部の判定結果に応じて送信するエネルギー量を計算する送信エネルギー計算手段を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記送信エネルギー計算手段は、前記安全温度判定部が所定の温度を超えたと判断した場合に送信エネルギーを減衰もしくは停止することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記送信エネルギー計算手段は、前記安全温度判定部が所定の温度を超えたと判断した場合に装置の電源を切ることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記温度測定手段を少なくとも一つ以上有することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記温度測定手段は、監視範囲が変更可能であることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記安全温度判定部が所定の温度を超えたと判断した場合に、使用者へ認識させるための報知手段を備えることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−148339(P2009−148339A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326909(P2007−326909)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】