足水虫用洗浄容器
【課題】
足の効果的な洗浄が手軽に行え、足水虫の治療や予防、再発防止のために、足の洗浄を効果的に、しかも手軽に行えるようにすると。
【解決手段】
上端が開口した有底状の足収容空間14を有する容器本体12を設け、該容器本体12の内底面に、弾力性を有する多孔質部材および/または繊維製部材からなる洗浄体15を備えた足水虫用洗浄容器11。上記足収容空間14内に、酵素入り合成洗剤を溶かした洗浄液16を溜めるとともに、足を入れて足踏みして使用する。
足の効果的な洗浄が手軽に行え、足水虫の治療や予防、再発防止のために、足の洗浄を効果的に、しかも手軽に行えるようにすると。
【解決手段】
上端が開口した有底状の足収容空間14を有する容器本体12を設け、該容器本体12の内底面に、弾力性を有する多孔質部材および/または繊維製部材からなる洗浄体15を備えた足水虫用洗浄容器11。上記足収容空間14内に、酵素入り合成洗剤を溶かした洗浄液16を溜めるとともに、足を入れて足踏みして使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、足水虫の治療や予防、再発防止、足臭防止等に有効である足の洗浄を行うのに好適な、水虫用洗浄容器に関する。
【背景技術】
【0002】
水虫治療は、塗り薬を用いて行うのが一般的である。
そして、この治療に際して最も大事なのが、水虫薬の塗布前に患部をよく洗って表面の汚れを落とすことである。この洗浄作業をぬきにしては、水虫薬を浪費するばかりで、効果は期待できない。
【0003】
ところが、患部の洗浄作業は、かがんで行わなければならず、腰に負担がかかる。しかも、足水虫にかかりやすい人は、靴や靴下を長時間履き続けている人が多いので、疲労もあり、また時間的制約もあって、こまめに洗浄することはなかなかできない。
【0004】
このように、足の洗浄は、入浴時以外に行うのは面倒であり、気軽に行えるものではなかった。
しかし、足の洗浄が気軽に行えるようにする簡素な器具は、これまでに提案されていない。
【0005】
一方で、足に対して水虫薬を簡単に塗ろうとするための技術は提案されている。たとえば、下記特許文献1に開示された水虫治療用靴である。
【0006】
この水虫治療用靴は、足に履く長靴状に形成された靴本体の上端開口周縁に、口ゴム等の絞り手段を施したもので、靴本体の内部底面には、足裏刺激用凹凸面が形成されている。
【0007】
この水虫治療用靴によれば、靴本体内に水虫治療薬を溜めてから足を入れて使用する。絞り手段を有しているので、水虫治療薬が零れることはなく、家事などをしながら水虫治療薬の塗布が可能であるという利点を有する。また、内部底面に形成した足裏刺激用凹凸面が水虫治療薬の浸透をしやすくするという効果も記載されている。
【0008】
しかし、水虫治療用靴は、足を水虫治療薬に浸して、水虫治療薬の浸透を自動的に行えるようにするためのものであって、足を洗浄するものではない。このため、たとえ靴本体内に水を入れてから履いても、足を充分に洗浄することはできない。
【0009】
【特許文献1】実開昭62−30830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
最近、足の清潔を意識する人が多くなり、医療機関でスリッパを消毒して再使用するところが多くなってきたが、水虫菌が皮膚の奥深く浸入して、住み着くと治療が困難になる。
【0011】
この発明は、足の効果的な洗浄が手軽に行え、足水虫の初期治療や予防、再発防止、足臭の改善効果を発揮する。
【0012】
水虫の初期感染を食い止めることこそ水虫治療の基本である。足が、手を洗う様に洗浄できるようにすることで、水虫の保菌者を減少させ、水虫で悩む人を激減することが可能な水虫用洗浄容器の提供を主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのための手段は、上端が開口した有底状の足収容空間を有する容器本体を設け、該容器本体の内底面に、弾力性を有する多孔質部材および/または繊維製部材からなる洗浄体を備えた足水虫用洗浄容器であることを特徴とする。
【0014】
すなわち、容器本体の内底面に、洗浄体を有しているので、足収容空間内に足を入れることにより、洗浄体が荷重により圧縮される。また、足を上げて洗浄体にかかる荷重を取り除くと、洗浄体の形状は復元する。
【0015】
このため、足収容空間内に水や湯、洗浄液などを入れておけば、足踏みしたり、歩行したりして足収容空間内で足を動かすことによって、水等が足収容空間内を激しく移動する。この激しい移動により、噴流が生じ、足は洗浄される。そして、洗浄体は足の接触面に対し変形しながら摩擦する。洗浄体が変形するので、上記摩擦を受けるのは、足の裏面の突出した部分のみではなく、その周辺部分も含めた広範囲に及ぶ。
このようにして、足は噴流と摩擦により洗浄される。洗浄後は、きれいな水や湯で洗い流す。
【0016】
なお、上記足収容空間は、足を収容可能とする空間ではあるが、足を収容した時に、足収容空間内で足踏みができるような余裕を持った大きさに形成されるのが好ましい。つまり、足に対応する大きさの仮想空間の周囲に、靴の場合とは異なり、足踏み時に足が動けるようにするためのあそび空間を有した大きさである。
【0017】
このようにあそび空間を設けると、足踏みするだけで足の洗浄が行え、気分転換や軽い運動の要領で気軽に足の洗浄が行えるようになる。
【0018】
また、上記洗浄体は、容器本体の内底面に対して着脱可能に取付けられるものであるとよい。充分な洗浄が容易で、清潔に保つことができる。そのうえ、磨り減った場合に新しいものと交換したり、水虫の状態に応じて作用の異なるものと取り替えたりすることもできる。
ここで、上記構成要件は、つぎのように構成することができる。
【0019】
上記洗浄体の厚さは、踏まれた時に少なくとも足の裏面を埋没可能にする厚さであるとよい。足の裏面とは、足の最も外側に位置する外周縁位置から下側の部分のことであり、このように構成することにより、たとえば余分な荷重を無理にかけるようにしなくとも、足の裏全体を確実に洗浄することができるようになる。また、足を少し傾けるだけで、足の裏より上側の部分を摩擦することもできる。
【0020】
上記洗浄体は、足をのせ得る大きさを有し、その表面における、足の爪先部分、足の土踏まず部分、足の外側の縁部分、または足の踵部分のうち少なくともいずれか一箇所に対応する部分に、その他の部分よりも隆起する隆起部を形成したものであるとよい。隆起部が、足における水虫のできやすい部分をより強く摩擦作用するので、足の効果的な洗浄が行える。
【0021】
上記容器本体は、足の爪先側部分を包囲する包囲部を突設した靴型であるとよい。包囲部が圧の爪先側部分を包囲するので、足収容空間内に入れた水等の使用量を抑えることができるとともに、水虫のできやすい爪先部分を集中して洗浄することができる。
【0022】
上記容器本体の内側面には、上記洗浄体が圧縮された時に下から上がる噴流の方向を規制して循環を促進させる循環促進面を形成するとよい。循環促進面が噴流を循環させるので、よどむ部分を少なくして効果的な洗浄作用が実現する。
【0023】
別の手段は、上記足水虫用洗浄容器の足収容空間内に、酵素入り合成洗剤を溶かした洗浄液を溜めるとともに、足を入れて足踏みする足水虫用洗浄容器の使用方法であることを特徴とする。
【0024】
すなわち、足踏みするだけで、洗浄液の噴流と洗浄体による摩擦とによる洗浄が行える。洗浄液には、酵素入り合成洗剤を溶かしたものを使用するので、高価な水虫薬が不要である。このため、安価に使用することができる。また、酵素入りであるので、水虫の原因である白癬菌を分解し、死滅させるのに有効である。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、この発明によれば、容器本体内に水や湯、洗浄液などを溜めて足を入れ、足踏みや歩行を行うことで、簡単に足の洗浄が行える。
【0026】
しかも、足を洗うのに屈む必要がないので、疲れていたり、腰が痛かったりしても、手を洗うごとく比較的容易に洗浄が行える。このため、休憩時間を利用するなど、入浴時以外でも気軽に洗浄が行え、水虫治療や予防、再発防止に効果的である。特に、足踏みをして洗浄を行う場合には、歩くスペースは不要であり、また気分転換や軽い運動にもなるので、足を洗浄するわずらわしさを低減できる。
【0027】
また、電動ポンプなどを用いて水等を強制的に噴射して洗浄するものとは異なり、電力は不要で、構成も簡素である。そのうえ、使用方法も簡単である。これらの点からも、必要な時に手軽に使用できる足水虫用洗浄器が得られるといえる。
【0028】
さらに、上記水等に代えて水虫薬を使用すれば、足に対する水虫薬の塗布も簡単に行える。このとき、洗浄体の存在により、水虫薬を患部に対して擦り込み、速やかに浸透させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、足水虫用洗浄容器11(以下、洗浄容器という)の斜視図であり、この図に示すように、洗浄容器11は、上端が開口した有底状で、ずんどうな形状の容器本体12を有する。
【0030】
容器本体12は、平面視方形状で、左右の足を並べて入れられる大きさである(図1の仮想線参照)。そして、その高さは、足全体と、脚のふくらはぎ部分から下側の適宜部分を収容できる寸法である。素材には、液体を通さない合成樹脂、たとえばポリエチレン等を用い、これを成形して得る。透明または半透明等の透光性を有し、内部が透視可能なものであるも、そうではない有色のものであるもよい。
【0031】
上端開口部の外周縁には、断面逆L字形状に曲がる鍔状の縁部13を形成して、形態の安定化と持ちやすさの向上を図っている。
【0032】
なお、容器本体12の周壁12aは、適度な弾性を有するものであるのが好ましい。接触した時の当たりをやわらかくすることができる。
【0033】
この容器本体12の内部空間は、足を収容する足収容空間14である。この足収容空間14は、足踏みができるような余裕を持った大きさに設定される。すなわち、図2に示したように、足と脚の下部に対応する大きさの仮想空間14aの周囲に、足踏み時に足と脚の下部が積極的に動けるようにするためのあそび空間14bを有した大きさである。上記仮想空間14aとあそび空間14bは、図面上、一点鎖線で区切って図示している。
【0034】
そして、この足収容空間14を形成する容器本体12の内底面には、表面が平らなマット状の洗浄体15を取付けている。取付けは、接着剤を用いるなど、適宜の方法で行えばよい。
【0035】
洗浄体15は、弾力性を有し、踏みつけたときに足を埋没可能にするものがよく、たとえば軟質の発泡樹脂からなるスポンジで構成される。スポンジに代えて、たとえばヘチマ皮などの天然素材を用いるもよい。その他に、たとえば織物、編物、不織布、フェルト、立体編織物、ループパイル・カットパイルを有した絨毯・カーペット・タオル等のマット・シート状の繊維製部材などを採用することもできる。
【0036】
また、洗浄体の厚みは、踏みつけたときに、図3に示した如く、足の裏を完全に埋没させることができる厚さに設定している。具体的には例えば、およそ8〜10cm以上に設定するとよい。
【0037】
このように構成した洗浄容器11は、酵素入りの合成洗剤を水または湯に溶かして洗浄液16を入れて使用する。すなわち、洗浄液16を足収容空間14内に溜めて足を入れ、その場で足踏みをする。洗浄液16は、図3に示したように、洗浄体15の表面位置より上の位置まで入れるとよい。また、洗浄液16を入れるのは、足を入れた後であるもよい。
【0038】
そして、上述のように足踏みをすることによって、足の爪先部分、土踏まず部分、足の外側の縁部分、足の踵部分を含めた、主として足の裏側全体が洗浄される。すなわち、足を交互に上下動させることによって、洗浄体15は圧縮と膨張を繰り返し、そのたびに洗浄液16の噴流が発生する。噴流は、足収容空間14内を巡り、その勢いと洗浄力で足を洗浄する。同時に、洗浄体15は、その表面の微細な凹凸で、弾力的に変形しながら足の表面をこすり、その摩擦によって洗浄する。
【0039】
しかも、洗浄体15は、弾力性を有するとともに、足の裏を完全に埋没させる厚みに設定されているので、足の裏全体を満遍なく洗浄できる。そのうえ、その弾力性によって足をやさしく変形させながら摩擦するので、水虫のできやすい趾間部分などは、足指を広げながら洗うことができる。また、土踏まずや足の外側の縁部分に対しても、足を余り傾けずに洗浄が行える。このように、足を全体的に効率よく洗浄できる。
【0040】
なお、足踏みは、図4(a)に示したように、足を平行に保った状態で上下動して行うもののほか、(b)に示したように、足の踵側のみを上下動するものであるも、(c)に示したように、足の爪先側のみを上下動するものであるも、いずれでもよい。
【0041】
このようにして洗浄液16による洗浄を行った後は、水や湯できれいに洗って、洗浄液を除去すれば、足の表面の汚れが落ち、悪臭が除去された状態になる。また、洗浄液の酵素成分により、水虫の原因である白癬菌を分解し、死滅させることもできる。
【0042】
この後は、必要に応じて、水虫薬を塗布すれば、水虫の治療ができる。また、治療を目的とするのではなく、予防、再発防止として、洗浄のみを行うもよい。
また、洗浄液16を使用せずに、水や湯で洗浄するのも治療、予防、再発防止に貢献できる。
【0043】
さらに、洗浄容器11は、洗浄体15に水虫薬を塗布し、または染込ませてから、足を入れて足踏みすれば、足に対する水虫薬の塗布が簡単に行える。
以上のように、簡単に足の洗浄が行える。
【0044】
しかも、足を洗うのに屈む必要がないので、疲れていたり、腰が痛かったりしても、比較的容易に洗浄が行える。このため、休憩時間を利用するなど、入浴時以外でも気軽に洗浄が行え、水虫治療や予防、再発防止に効果的である。
【0045】
また、洗浄は、足踏みをして行うので、歩くスペースは不要であり、また気分転換や軽い運動にもなるので、足を洗浄するわずらわしさを低減できる。
【0046】
さらに、電動ポンプなどを用いて水等を強制的に噴射して洗浄するものとは異なり、電力は不要で、構成も簡素である。そのうえ、使用方法も簡単である。
【0047】
また、洗浄液16には、酵素入り合成洗剤を溶かしたものを使用するので、高価な水虫薬が不要である。このため、安価に使用することができるという効果も有する。
【0048】
更にまた、足踏みをして足を洗うときに、履いていた靴下を足収容空間14内に投入することで、足と一緒に靴下も洗浄できる。靴下は、その他の洗濯物と別に洗濯する人もあったが、足の洗浄とともに靴下を洗うことによって、これが予洗いとなる。このため、この予洗いの後に、靴下を他の洗濯物と一緒にして洗濯機にかけることは、何ら躊躇することなく行える。
【0049】
以下、この発明を実施するためのその他の形態について説明する。この説明に際して、上記構成と同一または同等の部位については、同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0050】
図5は、容器本体12の周壁12aを、足踏みによって生じた噴流によって弾性変位可能に構成した例で、このように弾性変位することによって、足踏みしたときに洗浄液16等が上にはねるのを抑えることができる。
【0051】
図6は、洗浄体15の表面に隆起部15a,15b,15c,15dを形成した例である。すなわち、図7にも示したように、足の爪先部分、足の土踏まず部分、足の外側の縁部分、足の踵部分に対応する部分に、その他の部分よりも隆起する隆起部15a,15b,15c,15dを形成している。各隆起部15a,15b,15c,15dの平面視形状と、隆起高さ、隆起形状は、適宜設定される。
【0052】
このように、隆起部部15a,15b,15c,15dを形成すると、隆起部部15a,15b,15c,15dが、足における水虫のできやすい部分をより強く摩擦作用するので、足の効果的な洗浄が行える。
【0053】
図8は、左右の足をそれぞれ別々に洗浄できるようにした洗浄容器の例で、足踏みを可能とする大きさの足収容空間14を有した左右一対の容器本体12,12を有する。
【0054】
図9、図10は、容器本体12が、足の爪先側部分を包囲する包囲部12bを有した靴型をなす洗浄容器11の例である。図9の洗浄容器11は、左右の足を一緒に入れるタイプのもので、図10の洗浄容器11は、左右の足を別々に入れるタイプのものである。
【0055】
これらのように構成した洗浄容器11は、包囲部12bが圧の爪先側部分を包囲するので、足収容空間14内に入れる洗浄液等の使用量を抑えることができるとともに、水虫のできやすい爪先部分を集中して洗浄することができる。また、上端の開口部を小さくできるので、洗浄液等を入れすぎた場合でも、足踏み時の洗浄液等の跳ね上がりを抑制できる。
【0056】
そして、このように容器本体12を靴型に形成する場合には、図11に仮想線で示したように、容器本体12の内側面に、足踏みにより洗浄体15が圧縮された時に下から上がる噴流の方向を規制して循環を促進する循環促進面17を形成するとよい。つまり、包囲部12bの上面に断面アーチ形の循環促進面17を形成する。
【0057】
このように構成すると、図11に矢印で示したように、循環促進面に当たった噴流が、足収容空間14の内側に向けられ、噴流の循環範囲が広げられて、洗浄液の循環が促進される。この結果、よどむ部分が少なくなり、洗浄により汚れた洗浄液が同じところに作用することを防止して、効果的な洗浄作用を実現することができる。
【0058】
このような循環促進面17は、靴型をなす容器本体12の場合のほか、上述したようなずんどう形状の容器本体12でも、形成できる。すなわち、図12に示したように、容器本体12の周壁12aにおける高さ方向の中間部に、断面視円弧状の循環促進面17を形成して、この循環促進面17より上側の部分を若干幅狭に形成する。
【0059】
このように構成した場合でも、循環促進面17に当たった噴流は、足収容空間14の内側に向けられ、噴流の循環範囲が広げられて、洗浄液16の循環が促進され、効果的な洗浄がなされる。
【0060】
図13は、靴型をなす容器本体12に対して、内底面の上記洗浄体15のほかに、同様の材料かなる、複数の補助洗浄体18,19,20を備えた例を示す洗浄容器11の断面図である。補助洗浄体18,19,20は、足の爪先部分と足の踵部分に対応する位置に設けられている。
【0061】
足の爪先部分には、包囲部12bの天井面に取付けられる第1補助洗浄体18と、爪先の足指に対応する位置に取付けられる第2補助洗浄体19とを取付ける。第1補助洗浄体18はマット状であるのに対して、第2補助洗浄体19は、足指間に入る複数の突片19aを足側に有した、平面視くし歯状をなす。
【0062】
足の踵部分には、足の踵の後ろ側から上の、アキレス腱部分に対向する第3補助洗浄体20を取付けている。
【0063】
このように、足の裏に対向する内底面以外の部分で、足水虫のできやすい部分に足をこする各補助洗浄体18,19,20を備えると、足踏みしたり歩行したりした時に、それだけで足を全体的に摩擦することができる。特に、上記第2補助洗浄体19は、足指間もこすることができる。このため、より積極的に足の洗浄が行える。
【0064】
以上、この発明を実施するための形態を説明したが、この発明は、上記構成のみに限定されるものではなく、そのための様々な形態を採用し得る。
【0065】
たとえば、容器本体の上端開口部の内周縁に、脚との接触を和らげ、使用時に洗浄液が飛び出すのを防止する、クッション体を備えるもよい。クッション体は、軟質の発泡樹脂等で構成できる。洗浄液の飛び出し防止作用は、容器本体が靴型の場合が、より効果的である。
【0066】
また、洗浄体は、たとえば面ファスナなどの適宜の固定手段を用いることによって着脱自在に取付けることもできる。着脱自在であると、多孔質体の充分な洗浄が容易で、洗浄容器を清潔に保つことができる。そのうえ、磨り減った場合に新しいものと交換したり、水虫の状態に応じて作用の異なるものと取り替えたりすることもできるようになる。
【0067】
さらに、洗浄体15は、容器本体12の内底面全体を覆うマット状ではなく、たとえば爪先部分、土踏まず部分、踵部分などに対して、部分的に取付けるもよい。
【0068】
さらにまた、洗浄体15は、スポンジ状の多孔質部材と繊維製部材とを組み合わせて形成することもできる。また、これら以外の適宜部材を組み合わせて形成するもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】足水虫洗浄容器の斜視図。
【図2】足水虫洗浄容器の断面図。
【図3】使用状態を示す断面図。
【図4】使用状態の説明図。
【図5】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【図6】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【図7】他の例に係る洗浄体の部分平面図。
【図8】他の例に係る足水虫用洗浄容器の斜視図。
【図9】他の例に係る足水虫用洗浄容器の斜視図。
【図10】他の例に係る足水虫用洗浄容器の斜視図。
【図11】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【図12】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【図13】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【符号の説明】
【0070】
11…足水虫用洗浄容器
12…容器本体
12b…包囲部
14…足収容空間
15…洗浄体
15a,15b,15c,15d…隆起部
16…洗浄液
17…循環促進面
【技術分野】
【0001】
この発明は、足水虫の治療や予防、再発防止、足臭防止等に有効である足の洗浄を行うのに好適な、水虫用洗浄容器に関する。
【背景技術】
【0002】
水虫治療は、塗り薬を用いて行うのが一般的である。
そして、この治療に際して最も大事なのが、水虫薬の塗布前に患部をよく洗って表面の汚れを落とすことである。この洗浄作業をぬきにしては、水虫薬を浪費するばかりで、効果は期待できない。
【0003】
ところが、患部の洗浄作業は、かがんで行わなければならず、腰に負担がかかる。しかも、足水虫にかかりやすい人は、靴や靴下を長時間履き続けている人が多いので、疲労もあり、また時間的制約もあって、こまめに洗浄することはなかなかできない。
【0004】
このように、足の洗浄は、入浴時以外に行うのは面倒であり、気軽に行えるものではなかった。
しかし、足の洗浄が気軽に行えるようにする簡素な器具は、これまでに提案されていない。
【0005】
一方で、足に対して水虫薬を簡単に塗ろうとするための技術は提案されている。たとえば、下記特許文献1に開示された水虫治療用靴である。
【0006】
この水虫治療用靴は、足に履く長靴状に形成された靴本体の上端開口周縁に、口ゴム等の絞り手段を施したもので、靴本体の内部底面には、足裏刺激用凹凸面が形成されている。
【0007】
この水虫治療用靴によれば、靴本体内に水虫治療薬を溜めてから足を入れて使用する。絞り手段を有しているので、水虫治療薬が零れることはなく、家事などをしながら水虫治療薬の塗布が可能であるという利点を有する。また、内部底面に形成した足裏刺激用凹凸面が水虫治療薬の浸透をしやすくするという効果も記載されている。
【0008】
しかし、水虫治療用靴は、足を水虫治療薬に浸して、水虫治療薬の浸透を自動的に行えるようにするためのものであって、足を洗浄するものではない。このため、たとえ靴本体内に水を入れてから履いても、足を充分に洗浄することはできない。
【0009】
【特許文献1】実開昭62−30830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
最近、足の清潔を意識する人が多くなり、医療機関でスリッパを消毒して再使用するところが多くなってきたが、水虫菌が皮膚の奥深く浸入して、住み着くと治療が困難になる。
【0011】
この発明は、足の効果的な洗浄が手軽に行え、足水虫の初期治療や予防、再発防止、足臭の改善効果を発揮する。
【0012】
水虫の初期感染を食い止めることこそ水虫治療の基本である。足が、手を洗う様に洗浄できるようにすることで、水虫の保菌者を減少させ、水虫で悩む人を激減することが可能な水虫用洗浄容器の提供を主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのための手段は、上端が開口した有底状の足収容空間を有する容器本体を設け、該容器本体の内底面に、弾力性を有する多孔質部材および/または繊維製部材からなる洗浄体を備えた足水虫用洗浄容器であることを特徴とする。
【0014】
すなわち、容器本体の内底面に、洗浄体を有しているので、足収容空間内に足を入れることにより、洗浄体が荷重により圧縮される。また、足を上げて洗浄体にかかる荷重を取り除くと、洗浄体の形状は復元する。
【0015】
このため、足収容空間内に水や湯、洗浄液などを入れておけば、足踏みしたり、歩行したりして足収容空間内で足を動かすことによって、水等が足収容空間内を激しく移動する。この激しい移動により、噴流が生じ、足は洗浄される。そして、洗浄体は足の接触面に対し変形しながら摩擦する。洗浄体が変形するので、上記摩擦を受けるのは、足の裏面の突出した部分のみではなく、その周辺部分も含めた広範囲に及ぶ。
このようにして、足は噴流と摩擦により洗浄される。洗浄後は、きれいな水や湯で洗い流す。
【0016】
なお、上記足収容空間は、足を収容可能とする空間ではあるが、足を収容した時に、足収容空間内で足踏みができるような余裕を持った大きさに形成されるのが好ましい。つまり、足に対応する大きさの仮想空間の周囲に、靴の場合とは異なり、足踏み時に足が動けるようにするためのあそび空間を有した大きさである。
【0017】
このようにあそび空間を設けると、足踏みするだけで足の洗浄が行え、気分転換や軽い運動の要領で気軽に足の洗浄が行えるようになる。
【0018】
また、上記洗浄体は、容器本体の内底面に対して着脱可能に取付けられるものであるとよい。充分な洗浄が容易で、清潔に保つことができる。そのうえ、磨り減った場合に新しいものと交換したり、水虫の状態に応じて作用の異なるものと取り替えたりすることもできる。
ここで、上記構成要件は、つぎのように構成することができる。
【0019】
上記洗浄体の厚さは、踏まれた時に少なくとも足の裏面を埋没可能にする厚さであるとよい。足の裏面とは、足の最も外側に位置する外周縁位置から下側の部分のことであり、このように構成することにより、たとえば余分な荷重を無理にかけるようにしなくとも、足の裏全体を確実に洗浄することができるようになる。また、足を少し傾けるだけで、足の裏より上側の部分を摩擦することもできる。
【0020】
上記洗浄体は、足をのせ得る大きさを有し、その表面における、足の爪先部分、足の土踏まず部分、足の外側の縁部分、または足の踵部分のうち少なくともいずれか一箇所に対応する部分に、その他の部分よりも隆起する隆起部を形成したものであるとよい。隆起部が、足における水虫のできやすい部分をより強く摩擦作用するので、足の効果的な洗浄が行える。
【0021】
上記容器本体は、足の爪先側部分を包囲する包囲部を突設した靴型であるとよい。包囲部が圧の爪先側部分を包囲するので、足収容空間内に入れた水等の使用量を抑えることができるとともに、水虫のできやすい爪先部分を集中して洗浄することができる。
【0022】
上記容器本体の内側面には、上記洗浄体が圧縮された時に下から上がる噴流の方向を規制して循環を促進させる循環促進面を形成するとよい。循環促進面が噴流を循環させるので、よどむ部分を少なくして効果的な洗浄作用が実現する。
【0023】
別の手段は、上記足水虫用洗浄容器の足収容空間内に、酵素入り合成洗剤を溶かした洗浄液を溜めるとともに、足を入れて足踏みする足水虫用洗浄容器の使用方法であることを特徴とする。
【0024】
すなわち、足踏みするだけで、洗浄液の噴流と洗浄体による摩擦とによる洗浄が行える。洗浄液には、酵素入り合成洗剤を溶かしたものを使用するので、高価な水虫薬が不要である。このため、安価に使用することができる。また、酵素入りであるので、水虫の原因である白癬菌を分解し、死滅させるのに有効である。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、この発明によれば、容器本体内に水や湯、洗浄液などを溜めて足を入れ、足踏みや歩行を行うことで、簡単に足の洗浄が行える。
【0026】
しかも、足を洗うのに屈む必要がないので、疲れていたり、腰が痛かったりしても、手を洗うごとく比較的容易に洗浄が行える。このため、休憩時間を利用するなど、入浴時以外でも気軽に洗浄が行え、水虫治療や予防、再発防止に効果的である。特に、足踏みをして洗浄を行う場合には、歩くスペースは不要であり、また気分転換や軽い運動にもなるので、足を洗浄するわずらわしさを低減できる。
【0027】
また、電動ポンプなどを用いて水等を強制的に噴射して洗浄するものとは異なり、電力は不要で、構成も簡素である。そのうえ、使用方法も簡単である。これらの点からも、必要な時に手軽に使用できる足水虫用洗浄器が得られるといえる。
【0028】
さらに、上記水等に代えて水虫薬を使用すれば、足に対する水虫薬の塗布も簡単に行える。このとき、洗浄体の存在により、水虫薬を患部に対して擦り込み、速やかに浸透させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、足水虫用洗浄容器11(以下、洗浄容器という)の斜視図であり、この図に示すように、洗浄容器11は、上端が開口した有底状で、ずんどうな形状の容器本体12を有する。
【0030】
容器本体12は、平面視方形状で、左右の足を並べて入れられる大きさである(図1の仮想線参照)。そして、その高さは、足全体と、脚のふくらはぎ部分から下側の適宜部分を収容できる寸法である。素材には、液体を通さない合成樹脂、たとえばポリエチレン等を用い、これを成形して得る。透明または半透明等の透光性を有し、内部が透視可能なものであるも、そうではない有色のものであるもよい。
【0031】
上端開口部の外周縁には、断面逆L字形状に曲がる鍔状の縁部13を形成して、形態の安定化と持ちやすさの向上を図っている。
【0032】
なお、容器本体12の周壁12aは、適度な弾性を有するものであるのが好ましい。接触した時の当たりをやわらかくすることができる。
【0033】
この容器本体12の内部空間は、足を収容する足収容空間14である。この足収容空間14は、足踏みができるような余裕を持った大きさに設定される。すなわち、図2に示したように、足と脚の下部に対応する大きさの仮想空間14aの周囲に、足踏み時に足と脚の下部が積極的に動けるようにするためのあそび空間14bを有した大きさである。上記仮想空間14aとあそび空間14bは、図面上、一点鎖線で区切って図示している。
【0034】
そして、この足収容空間14を形成する容器本体12の内底面には、表面が平らなマット状の洗浄体15を取付けている。取付けは、接着剤を用いるなど、適宜の方法で行えばよい。
【0035】
洗浄体15は、弾力性を有し、踏みつけたときに足を埋没可能にするものがよく、たとえば軟質の発泡樹脂からなるスポンジで構成される。スポンジに代えて、たとえばヘチマ皮などの天然素材を用いるもよい。その他に、たとえば織物、編物、不織布、フェルト、立体編織物、ループパイル・カットパイルを有した絨毯・カーペット・タオル等のマット・シート状の繊維製部材などを採用することもできる。
【0036】
また、洗浄体の厚みは、踏みつけたときに、図3に示した如く、足の裏を完全に埋没させることができる厚さに設定している。具体的には例えば、およそ8〜10cm以上に設定するとよい。
【0037】
このように構成した洗浄容器11は、酵素入りの合成洗剤を水または湯に溶かして洗浄液16を入れて使用する。すなわち、洗浄液16を足収容空間14内に溜めて足を入れ、その場で足踏みをする。洗浄液16は、図3に示したように、洗浄体15の表面位置より上の位置まで入れるとよい。また、洗浄液16を入れるのは、足を入れた後であるもよい。
【0038】
そして、上述のように足踏みをすることによって、足の爪先部分、土踏まず部分、足の外側の縁部分、足の踵部分を含めた、主として足の裏側全体が洗浄される。すなわち、足を交互に上下動させることによって、洗浄体15は圧縮と膨張を繰り返し、そのたびに洗浄液16の噴流が発生する。噴流は、足収容空間14内を巡り、その勢いと洗浄力で足を洗浄する。同時に、洗浄体15は、その表面の微細な凹凸で、弾力的に変形しながら足の表面をこすり、その摩擦によって洗浄する。
【0039】
しかも、洗浄体15は、弾力性を有するとともに、足の裏を完全に埋没させる厚みに設定されているので、足の裏全体を満遍なく洗浄できる。そのうえ、その弾力性によって足をやさしく変形させながら摩擦するので、水虫のできやすい趾間部分などは、足指を広げながら洗うことができる。また、土踏まずや足の外側の縁部分に対しても、足を余り傾けずに洗浄が行える。このように、足を全体的に効率よく洗浄できる。
【0040】
なお、足踏みは、図4(a)に示したように、足を平行に保った状態で上下動して行うもののほか、(b)に示したように、足の踵側のみを上下動するものであるも、(c)に示したように、足の爪先側のみを上下動するものであるも、いずれでもよい。
【0041】
このようにして洗浄液16による洗浄を行った後は、水や湯できれいに洗って、洗浄液を除去すれば、足の表面の汚れが落ち、悪臭が除去された状態になる。また、洗浄液の酵素成分により、水虫の原因である白癬菌を分解し、死滅させることもできる。
【0042】
この後は、必要に応じて、水虫薬を塗布すれば、水虫の治療ができる。また、治療を目的とするのではなく、予防、再発防止として、洗浄のみを行うもよい。
また、洗浄液16を使用せずに、水や湯で洗浄するのも治療、予防、再発防止に貢献できる。
【0043】
さらに、洗浄容器11は、洗浄体15に水虫薬を塗布し、または染込ませてから、足を入れて足踏みすれば、足に対する水虫薬の塗布が簡単に行える。
以上のように、簡単に足の洗浄が行える。
【0044】
しかも、足を洗うのに屈む必要がないので、疲れていたり、腰が痛かったりしても、比較的容易に洗浄が行える。このため、休憩時間を利用するなど、入浴時以外でも気軽に洗浄が行え、水虫治療や予防、再発防止に効果的である。
【0045】
また、洗浄は、足踏みをして行うので、歩くスペースは不要であり、また気分転換や軽い運動にもなるので、足を洗浄するわずらわしさを低減できる。
【0046】
さらに、電動ポンプなどを用いて水等を強制的に噴射して洗浄するものとは異なり、電力は不要で、構成も簡素である。そのうえ、使用方法も簡単である。
【0047】
また、洗浄液16には、酵素入り合成洗剤を溶かしたものを使用するので、高価な水虫薬が不要である。このため、安価に使用することができるという効果も有する。
【0048】
更にまた、足踏みをして足を洗うときに、履いていた靴下を足収容空間14内に投入することで、足と一緒に靴下も洗浄できる。靴下は、その他の洗濯物と別に洗濯する人もあったが、足の洗浄とともに靴下を洗うことによって、これが予洗いとなる。このため、この予洗いの後に、靴下を他の洗濯物と一緒にして洗濯機にかけることは、何ら躊躇することなく行える。
【0049】
以下、この発明を実施するためのその他の形態について説明する。この説明に際して、上記構成と同一または同等の部位については、同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0050】
図5は、容器本体12の周壁12aを、足踏みによって生じた噴流によって弾性変位可能に構成した例で、このように弾性変位することによって、足踏みしたときに洗浄液16等が上にはねるのを抑えることができる。
【0051】
図6は、洗浄体15の表面に隆起部15a,15b,15c,15dを形成した例である。すなわち、図7にも示したように、足の爪先部分、足の土踏まず部分、足の外側の縁部分、足の踵部分に対応する部分に、その他の部分よりも隆起する隆起部15a,15b,15c,15dを形成している。各隆起部15a,15b,15c,15dの平面視形状と、隆起高さ、隆起形状は、適宜設定される。
【0052】
このように、隆起部部15a,15b,15c,15dを形成すると、隆起部部15a,15b,15c,15dが、足における水虫のできやすい部分をより強く摩擦作用するので、足の効果的な洗浄が行える。
【0053】
図8は、左右の足をそれぞれ別々に洗浄できるようにした洗浄容器の例で、足踏みを可能とする大きさの足収容空間14を有した左右一対の容器本体12,12を有する。
【0054】
図9、図10は、容器本体12が、足の爪先側部分を包囲する包囲部12bを有した靴型をなす洗浄容器11の例である。図9の洗浄容器11は、左右の足を一緒に入れるタイプのもので、図10の洗浄容器11は、左右の足を別々に入れるタイプのものである。
【0055】
これらのように構成した洗浄容器11は、包囲部12bが圧の爪先側部分を包囲するので、足収容空間14内に入れる洗浄液等の使用量を抑えることができるとともに、水虫のできやすい爪先部分を集中して洗浄することができる。また、上端の開口部を小さくできるので、洗浄液等を入れすぎた場合でも、足踏み時の洗浄液等の跳ね上がりを抑制できる。
【0056】
そして、このように容器本体12を靴型に形成する場合には、図11に仮想線で示したように、容器本体12の内側面に、足踏みにより洗浄体15が圧縮された時に下から上がる噴流の方向を規制して循環を促進する循環促進面17を形成するとよい。つまり、包囲部12bの上面に断面アーチ形の循環促進面17を形成する。
【0057】
このように構成すると、図11に矢印で示したように、循環促進面に当たった噴流が、足収容空間14の内側に向けられ、噴流の循環範囲が広げられて、洗浄液の循環が促進される。この結果、よどむ部分が少なくなり、洗浄により汚れた洗浄液が同じところに作用することを防止して、効果的な洗浄作用を実現することができる。
【0058】
このような循環促進面17は、靴型をなす容器本体12の場合のほか、上述したようなずんどう形状の容器本体12でも、形成できる。すなわち、図12に示したように、容器本体12の周壁12aにおける高さ方向の中間部に、断面視円弧状の循環促進面17を形成して、この循環促進面17より上側の部分を若干幅狭に形成する。
【0059】
このように構成した場合でも、循環促進面17に当たった噴流は、足収容空間14の内側に向けられ、噴流の循環範囲が広げられて、洗浄液16の循環が促進され、効果的な洗浄がなされる。
【0060】
図13は、靴型をなす容器本体12に対して、内底面の上記洗浄体15のほかに、同様の材料かなる、複数の補助洗浄体18,19,20を備えた例を示す洗浄容器11の断面図である。補助洗浄体18,19,20は、足の爪先部分と足の踵部分に対応する位置に設けられている。
【0061】
足の爪先部分には、包囲部12bの天井面に取付けられる第1補助洗浄体18と、爪先の足指に対応する位置に取付けられる第2補助洗浄体19とを取付ける。第1補助洗浄体18はマット状であるのに対して、第2補助洗浄体19は、足指間に入る複数の突片19aを足側に有した、平面視くし歯状をなす。
【0062】
足の踵部分には、足の踵の後ろ側から上の、アキレス腱部分に対向する第3補助洗浄体20を取付けている。
【0063】
このように、足の裏に対向する内底面以外の部分で、足水虫のできやすい部分に足をこする各補助洗浄体18,19,20を備えると、足踏みしたり歩行したりした時に、それだけで足を全体的に摩擦することができる。特に、上記第2補助洗浄体19は、足指間もこすることができる。このため、より積極的に足の洗浄が行える。
【0064】
以上、この発明を実施するための形態を説明したが、この発明は、上記構成のみに限定されるものではなく、そのための様々な形態を採用し得る。
【0065】
たとえば、容器本体の上端開口部の内周縁に、脚との接触を和らげ、使用時に洗浄液が飛び出すのを防止する、クッション体を備えるもよい。クッション体は、軟質の発泡樹脂等で構成できる。洗浄液の飛び出し防止作用は、容器本体が靴型の場合が、より効果的である。
【0066】
また、洗浄体は、たとえば面ファスナなどの適宜の固定手段を用いることによって着脱自在に取付けることもできる。着脱自在であると、多孔質体の充分な洗浄が容易で、洗浄容器を清潔に保つことができる。そのうえ、磨り減った場合に新しいものと交換したり、水虫の状態に応じて作用の異なるものと取り替えたりすることもできるようになる。
【0067】
さらに、洗浄体15は、容器本体12の内底面全体を覆うマット状ではなく、たとえば爪先部分、土踏まず部分、踵部分などに対して、部分的に取付けるもよい。
【0068】
さらにまた、洗浄体15は、スポンジ状の多孔質部材と繊維製部材とを組み合わせて形成することもできる。また、これら以外の適宜部材を組み合わせて形成するもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】足水虫洗浄容器の斜視図。
【図2】足水虫洗浄容器の断面図。
【図3】使用状態を示す断面図。
【図4】使用状態の説明図。
【図5】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【図6】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【図7】他の例に係る洗浄体の部分平面図。
【図8】他の例に係る足水虫用洗浄容器の斜視図。
【図9】他の例に係る足水虫用洗浄容器の斜視図。
【図10】他の例に係る足水虫用洗浄容器の斜視図。
【図11】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【図12】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【図13】他の例に係る足水虫用洗浄容器の断面図。
【符号の説明】
【0070】
11…足水虫用洗浄容器
12…容器本体
12b…包囲部
14…足収容空間
15…洗浄体
15a,15b,15c,15d…隆起部
16…洗浄液
17…循環促進面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が開口した有底状の足収容空間を有する容器本体を設け、
該容器本体の内底面に、弾力性を有する多孔質部材および/または繊維製部材からなる洗浄体を備えた
足水虫用洗浄容器。
【請求項2】
前記洗浄体の厚さが、踏まれた時に少なくとも足の裏面を埋没可能にする厚さである
請求項1に記載の足水虫用洗浄容器。
【請求項3】
前記洗浄体が、足をのせ得る大きさを有し、その表面における、足の爪先部分、足の土踏まず部分、足の外側の縁部分、または足の踵部分のうち少なくともいずれか一箇所に対応する部分に、その他の部分よりも隆起する隆起部を形成したものである
請求項1または請求項2に記載の足水虫用洗浄容器。
【請求項4】
前記容器本体が、足の爪先側部分を包囲する包囲部を突設した靴型である
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の足水虫用洗浄容器。
【請求項5】
前記容器本体の内側面に、前記多孔質体が圧縮された時に下から上がる噴流の方向を規制して循環を促進させる循環促進面を形成した
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の足水虫用洗浄容器。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の足水虫用洗浄容器の足収容空間内に、酵素入り合成洗剤を溶かした洗浄液を溜めるとともに、足を入れて足踏みする
足水虫用洗浄容器の使用方法。
【請求項1】
上端が開口した有底状の足収容空間を有する容器本体を設け、
該容器本体の内底面に、弾力性を有する多孔質部材および/または繊維製部材からなる洗浄体を備えた
足水虫用洗浄容器。
【請求項2】
前記洗浄体の厚さが、踏まれた時に少なくとも足の裏面を埋没可能にする厚さである
請求項1に記載の足水虫用洗浄容器。
【請求項3】
前記洗浄体が、足をのせ得る大きさを有し、その表面における、足の爪先部分、足の土踏まず部分、足の外側の縁部分、または足の踵部分のうち少なくともいずれか一箇所に対応する部分に、その他の部分よりも隆起する隆起部を形成したものである
請求項1または請求項2に記載の足水虫用洗浄容器。
【請求項4】
前記容器本体が、足の爪先側部分を包囲する包囲部を突設した靴型である
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の足水虫用洗浄容器。
【請求項5】
前記容器本体の内側面に、前記多孔質体が圧縮された時に下から上がる噴流の方向を規制して循環を促進させる循環促進面を形成した
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の足水虫用洗浄容器。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の足水虫用洗浄容器の足収容空間内に、酵素入り合成洗剤を溶かした洗浄液を溜めるとともに、足を入れて足踏みする
足水虫用洗浄容器の使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−262913(P2006−262913A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52745(P2005−52745)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(505067612)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(505067612)
【Fターム(参考)】
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