説明

足温浴器

【課題】
使用中の足浴槽内の水の温度が適温かどうを容易に確認することができる足温浴器を提供する。
【解決手段】
本体1に内蔵され上面が開口した足浴槽2と、この足浴槽2内に入れられた水3を加熱する加熱手段4と、前記足浴槽2の水温を検出する温度検出手段8と、前記足浴槽2の水温を設定する温度設定手段11とを備え、前記足浴槽2の水面より上方に前記足浴槽2の水面を照射する発光手段12を設け、前記温度検出手段8の出力と前記温度設定手段11の出力により前記加熱手段4を制御して水温を制御するとともに、前記温度検出手段8の出力に応じて前記発光手段12の点灯状態を制御する制御手段6を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お湯を用いて足を温める足温浴器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の足温浴器は、図5に示すような構造のものが知られている。すなわち、電気絶縁材料で成形され、上面が開口した内容器(足浴槽)16の外側に、該内容器16の耐熱温度以下の温度で飽和する防水性の発熱体(図示せず)を設けるとともに、これらの内容器16及び発熱体を電気絶縁材料で成形され、外郭を構成する外容器17と内容器16の上面開口を塞ぐ外蓋(図示せず)で覆い、さらに前記発熱体の通電や発熱量を設定する操作部14と、湯温をディジタル式で数字表示する湯温表示装置15を外容器17の上部に備え、前記発熱体は底面発熱体と側面発熱体とに分け、該発熱体の発熱量配分は底面発熱体側を全体に対して15%以上50%以下としている。
【0003】
使用時には、内容器16に適当な温度(38℃〜45℃)に温めた湯を適量注ぎ、発熱体の加熱により一定温度に保持し、それに浴用薬剤を溶かし、図4に示すように椅子13に腰掛けた姿勢で内容器16内に両足を浸し、適当な時間保持することによって湯のエネルギーと浴用薬剤の作用で足の皮膚を通して人体を加温し、血液の流れにより全身に湯の熱や薬剤の作用を伝え、血行を良くして疲労回復,健康の維持,増進を図るものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−314264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術において、ディジタル式の湯温表示装置により内容器に溜められた水温を数字で表示して適温であるかどうかの確認ができるようになっているものの、実際には内容器内の水に手をつけて確認しているのが現状であり、外容器の上部にディジタル式の湯温表示装置を設置していても水温が適温かどうかが判りにくく、使い勝手が良くないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本体に内蔵され上面が開口した足浴槽と、この足浴槽内に入れられた水を加熱する加熱手段と、前記足浴槽の水温を検出する温度検出手段と、前記足浴槽の水温を設定する温度設定手段とを備え、前記足浴槽の水面より上方に前記足浴槽の水面を照射する発光手段を設け、前記温度検出手段の出力と前記温度設定手段の出力により前記加熱手段を制御して水温を制御するとともに、前記温度検出手段の出力に応じて前記発光手段の点灯状態を制御する制御手段を設けたものである。
【0007】
また、本体に内蔵され上面が開口した足浴槽と、この足浴槽内に入れられた水を加熱する加熱手段と、前記足浴槽の水温を検出する温度検出手段と、前記足浴槽の水温を設定する温度設定手段とを備え、前記足浴槽の水面より上方に前記足浴槽の水面を照射する複数色発光可能な発光手段を設け、前記温度検出手段の出力と前記温度設定手段の出力により前記加熱手段を制御して水温を制御するとともに、前記温度検出手段の出力に応じて前記発光手段の発光色を切替え制御する制御手段を設けたものである。
【0008】
また、前記発光手段は、前記温度検出手段の出力に応じて前記発光手段を連続発光または点滅発光させるようにしたものである。
【0009】
また、前記発光手段は、前記足浴槽の水面から上方の本体後側で足浴槽内に指向して設けられたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の足温浴器は、上記のように構成したことにより、足浴槽内の水温が設定温度に達したかどうかを発光手段から足浴槽内の水面に照射される光の色や点滅点灯等の点灯状態を見て確認することができることにより、水温の状態が判りやすくなり、使用開始時に水の中に手を入れて温度を確認するという動作が必要とならなくなり、非常に使い勝手の良い足温浴器を提供することができる。
【0011】
また、使用中に足浴槽の水面が発光手段の光で照明されるため、趣のある使用感が得られる。
【0012】
また、発光手段を足浴槽の水面上に設けているため、発光手段の防水構造が簡単になり低コストとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図1〜図4を参照して説明する。図1は本発明の一実施例を示す足温浴器の側面縦断面図、図2は同じく制御手段のシステムブロック図、図3は同じく制御手段の動作フローチャート図、図4は足温浴器の使用状態を示す図である。
【0014】
図において、本体1には上面が開口した足浴槽2が内蔵されており、耐熱温度が120℃程度のポリプロピレン樹脂等の電気絶縁材料により形成され、使用者の両足を収納するのに適した容積を有している。足浴槽2の底面外側及び側面外側には足浴槽2内に注水した水3を加熱するための加熱手段4が取り付けられており、本実施例ではコード状の発熱体で、電熱線をガラス繊維等で構成した芯糸に巻き、シリコンゴム等の電気絶縁材料で被覆されており、その飽和温度は約100℃になるように設定されている。本体1の外郭5はポリプロピレン樹脂等の電気絶縁材料により形成されている。
【0015】
本体1内には足温浴器の運転制御を行う制御手段6が内蔵されており、制御手段6には、加熱手段4への通電制御を行うヒータ通電制御手段7が設けられている。加熱手段4はヒータ通電制御手段7に接続されている。また、足浴槽2の底面外側には、足浴槽2内の水温を検出する温度検出手段8が取り付けられている。温度検出手段8は、制御手段6の温度調節手段9と発光器制御手段10へ接続されている。
【0016】
温度調節手段9には、温度検出手段8の他に使用者が足浴槽2内に注水した水3の温度を好みの温度に設定する温度設定手段11が接続されており、温度検出手段8が検出した温度の信号と温度設定手段11からの信号を基に足浴槽2内の水3の温度を好みの温度に保つべく加熱手段4への通電率を決定する。決定された通電率の情報はヒータ通電制御手段7へ送られ、その情報に基づき加熱手段4への通電制御を行う。なお、温度設定手段11は使用者が水3の温度を好みの温度に設定するためのものであり、本体1の上部に使用者がダイヤル等を操作し設定することができるように設けてある。
【0017】
温度検出手段8が接続されているもう一方の発光器制御手段10には、温度設定手段11が接続されており、発光器制御手段10は、温度検出手段8で検出した温度Tと温度設定手段11で設定された温度T0との差により、発光器制御手段10に接続された発光手段12の発光器12a,発光器12b,発光器12cをそれぞれ個別に点灯、または点滅させる機能を有している。具体的に説明すると、設定温度T0より1℃低い温度をT1とし、設定温度T0より1℃高い温度をT2とし、温度TがT1からT2の範囲内にあるときは適温であるとみなす。この二種類の温度T1とT2は発光器制御手段10に予め記憶され、温度検出手段8で検出した温度TがT<T1の時、発光器12aのみが点灯し、T1≦T≦T2の時(適温とみなす時)発光器12bのみが点灯し、T2<Tの時発光器12cのみが点灯するようになっている。尚、発光器12a,12b,12cは発光色が異なり、本実施例では発光器12aは緑色、発光器12bはオレンジ色、発光器12cは赤色で光る。従ってオレンジ色を発光する発光器12bが点灯した時が適温であることを告知することになる。このように、見る人に水3の温度に応じて寒そうな色から暖かそうな色として感じさせることができる。
【0018】
発光器12a,12b,12cは、足浴槽2内に入れられる規定水量の水3の水面より上方の位置で本体1の後側に足浴槽2内を指向するような角度を持って取り付けられている。したがって、使用者が本体1の前面側から足浴槽2内を覗き込む時、発光器12a,12b,12cから発光した光が足浴槽2内の水面に照射されるので、その照射光を本体1の前面側から容易に視認することができる。
【0019】
なお、T1,T2は上記の値に限定されるものではなく、同等の効果を奏する範囲内に設定すれば良い。
【0020】
また、発光器12a,12b,12cの発光色は上記色に限定されるものではなく、同等の効果を奏する範囲内に設定すれば良い。
【0021】
次に、以上の構成による作用を説明する。
【0022】
あらかじめ適当な温度に調整した湯を足浴槽2内に入れ、電源を接続し、温度設定手段11により好みの温度に設定する。
【0023】
温度調節手段9は、温度設定手段11の設定温度T0の情報と温度検出手段8が検出した水3の温度Tより、加熱手段4への通電制御を行う。設定温度T0より水3の温度Tが低い時は、加熱手段4への通電を行う信号をヒータ通電制御手段7に送り、ヒータ通電制御手段7はその信号により、加熱手段4への通電を行う。加熱手段4への通電が行われると、足浴槽2内の水3の温度が上昇するが、温度検出手段8が検出した水3の温度Tが設定温度T0まで上昇すると、温度調節手段9は、加熱手段4への通電を停止させる指示を出し、ヒータ通電制御手段7はその信号により、加熱手段4への通電を停止する。その後、温度検出手段8が検出した水3の温度Tが設定温度T0より低くなると、温度調節手段9は、再度加熱手段4への通電を開始する信号をヒータ通電制御手段7へ送る。このような温度調節手段9の機能により、足浴槽2内の水3の温度は使用者が設定する任意の温度に保たれる。
【0024】
一方、この間、発光器制御手段10は温度検出手段8が検出した水3の温度TがT<T1の関係が成立する時は、緑色に発光する発光器12aを点灯させる。発光器12aから発光された光は足浴槽2内の水面を照射し、使用者に水面が緑色と視認させる。その後、足浴槽2内の水3の温度Tが上昇し、T1≦T≦T2の関係が成立すると、オレンジ色に発光する発光器12bを点灯させる。12bから発光された光は足浴槽2内の水面を照射し、使用者に水面がオレンジ色と視認させる。この時、使用者はオレンジ色の発光色を視認することにより足浴槽2内の水温が適温であることを認識することが出来る。さらにその後、水温が上昇し、温度検出手段8が検出した水3の温度TがT2<Tの関係になると、赤色に発光する発光器12cを点灯させる。発光器12cから発光された光は足浴槽2内の水面を照射し、使用者に水面が赤色と視認させる。T2<Tの関係が成立するのは、温度調節手段9,ヒータ通電制御手段7等が故障し、水温が設定温度T0に達しても加熱手段4への通電が継続されている場合も考えられるので、この場合は、発光器12cを連続点灯させるのではなく、異常状態を使用者に認識させるという目的で点滅点灯させるようにすれば、いっそう使用者に水温状態を知らしめることができる。
【0025】
使用者は、足浴槽2内の水面の色がオレンジ色であることを見て水温が適温に達したことを認識した後、湯の中に浴用薬剤を規定量投入し、図4に示すように椅子13に腰掛け足浴槽2内の湯に足を入れ、15〜30分間その状態を保つ。これによって、使用者自身の血行を良くすることができる。
【0026】
また、使用中に足浴槽2内の水面の色を見て設定した温度に水温が達しているのかを確認するとともに、設定した温度が高い又は低いと感じられたら、温度設定手段11により設定温度T0を変更して好みの温度に設定し直すようにする。
【0027】
なお、前記実施例において、発光器12a,12b,12cの発光色として、緑,オレンジ,赤としたが、これに限らず使用者に判り易い色とすればよい。
【0028】
また、発光器12a,12b,12cはこのような3個でなく1個の発光器による単色発光により、水3の温度TがT<T1,T1≦T≦T2,T2<Tの関係式が成立する時に発光器の点滅周期を変えるようにして発光させるようにしてもよい。例えば発光器の発光色をオレンジとし、水3の温度TがT<T1の場合0.5秒 周期で点滅させ、水3の温度TがT1≦T≦T2の場合連続点灯させ、水3の温度TがT2<Tの場合0.2秒 周期で点滅点灯させるようにして発光させる。
【0029】
このように、足浴槽2内の水温が設定温度T0に達したかどうかを発光手段12から足浴槽2内の水面に照射される光の色や点滅点灯等の点灯状態を見て確認することができることにより、水温の状態が判りやすくなり、使用開始時に水の中に手を入れて温度を確認するという動作が必要とならなくなり、非常に使い勝手の良い足温浴器を提供することができる。
【0030】
また、使用中に足浴槽2の水面が発光手段12の光で照明されるため、趣のある使用感が得られる。
【0031】
また、発光手段12を足浴槽2の水面上に設けているため、発光手段12の防水構造が簡単になり低コストとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例を示す足温浴器の側面縦断面図である。
【図2】同じく制御手段のシステムブロック図である。
【図3】同じく制御手段の動作フローチャート図である。
【図4】足温浴器の使用状態を示す図である。
【図5】従来例を示す足温浴器の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 本体
2 足浴槽
4 加熱手段
6 制御手段
8 温度検出手段
11 温度設定手段
12a,12b,12c 発光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に内蔵され上面が開口した足浴槽と、この足浴槽内に入れられた水を加熱する加熱手段と、前記足浴槽の水温を検出する温度検出手段と、前記足浴槽の水温を設定する温度設定手段とを備え、前記足浴槽の水面より上方に前記足浴槽の水面を照射する発光手段を設け、前記温度検出手段の出力と前記温度設定手段の出力により前記加熱手段を制御して水温を制御するとともに、前記温度検出手段の出力に応じて前記発光手段の点灯状態を制御する制御手段を設けたことを特徴とする足温浴器。
【請求項2】
本体に内蔵され上面が開口した足浴槽と、この足浴槽内に入れられた水を加熱する加熱手段と、前記足浴槽の水温を検出する温度検出手段と、前記足浴槽の水温を設定する温度設定手段とを備え、前記足浴槽の水面より上方に前記足浴槽の水面を照射する複数色発光可能な発光手段を設け、前記温度検出手段の出力と前記温度設定手段の出力により前記加熱手段を制御して水温を制御するとともに、前記温度検出手段の出力に応じて前記発光手段の発光色を切替え制御する制御手段を設けたことを特徴とする足温浴器。
【請求項3】
前記発光手段は、前記温度検出手段の出力に応じて前記発光手段を連続発光または点滅発光させるようにしたことを特徴とする請求項1、又は2記載の足温浴器。
【請求項4】
前記発光手段は、前記足浴槽の水面から上方の本体後側で足浴槽内に指向して設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の足温浴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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