説明

足首関節用テーピングテープ

【課題】足首の関節の動作範囲を所定の方向および範囲に好適に抑制することができるとともに、自分自身の手で簡単かつ正確に足首にテーピングをすることのできる足首関節用テーピングテープを提供すること。
【解決手段】長尺の本体部(20)と、長尺の本体部の略中心部から斜め方向に延設された少なくとも一つの脚部(30)と、を有し、本体部は、使用時において足裏に貼着される足裏貼着部(26)と、足裏貼着部の一方側から延設された一方側延設部(20a)と、足裏貼着部の他方側から延設された他方側延設部(20b)と、から構成されるとともに、脚部(30)は、使用時において本体部(20)よりも足の踵側に位置し、足首の裏側から足首の表側に向かって貼着されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足首関節用テーピングテープに関し、より詳しくは、足首の関節の動作範囲を所定の方向および範囲に抑制するため、足首およびその周囲へ貼着して使用される足首関節用テーピングテープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、伸縮性を有する布製の基材と、この基材の片面に粘着材層を有する粘着テープを人体の所定部位に貼着、巻装して、人体の関節部の動作範囲を所定の範囲に抑制することがスポーツ,医療,介護などの現場で行われている。
【0003】
これは、関節部の怪我を未然に防止する目的や怪我の応急処理などを目的とする技法であり、一般に「テーピング」と呼ばれている。
テーピングに用いられる粘着テープはテーピングテープと呼ばれている。テーピングテープは、通常、1本もののテープがロール状に巻かれた状態で流通しており、使用時において適当な長さに切断、加工されて使用される。
【0004】
ところで、このようなロール状のテーピングテープを用いて正しくテーピングを行うには、高度な技量と専門的な知識が必要であり、誰でも簡単に行えるというものではない。特に足首は人体の中でも複雑な動きをする部位であり、この足首に正しくテーピングを行うのは素人ではなかなか難しく、医療従事者やスポーツトレーナーなどに処置してもらうのが一般的である。しかしながら、テーピングが必要なその都度、医療従事者やスポーツトレーナーの元に出向くことはなかなか難しく、例えば足腰が弱くなった高齢者にとっては、テーピングのための通院自体が大変な労力である。
【0005】
そこで予め所定の形状にカットされた粘着テープを作成しておき、これを用いることで自分自身でも簡単にテーピングを行えるようにした足首関節用テーピングテープが、特許文献1,2に開示されている。
【0006】
図8は、特許文献1に示されている従来の足首関節用テーピングテープを示した図、図9は、特許文献1に示されている従来の足首関節用テーピングテープを足首に貼着した状態を示した図である。また、図10は、特許文献2に示されている従来の足首関節用テーピングテープを示した図、図11は、特許文献2に示されている従来の足首関節用テーピングテープを足首に貼着した状態を示した図である。
【0007】
この特許文献1に示されている従来の足首関節用テーピングテープ100は、粘着テープを予め図8に示したような所定の形状にカットすることで形成されている。なお、図8に示されている足の形状は、左足の裏側の形状を示している。
【0008】
この足首関節用テーピングテープ100は、図8に示したように、一方側延設部122および他方側延設部124とから構成された長尺帯状の本体部120と、この本体部120の略中心部から図中の斜め一方側方向に延設された帯状の脚部130とから構成されている。
【0009】
そして、本体部120に形成されている湾曲部120aを目印にして足の踵部分を合わせて、本体部120を足裏に貼着し、その一方側延設部122を足首の一方側(内側)の側面に貼着するとともに、他方側延設部124を足首の他方側(外側)の側面に貼着する。そして、脚部130を足裏の他方側(外側)から足首の表側および足首の一方側(内側)の側面を通って足首の裏側に巻きつけるように貼着して、図9に示したように、足首関節用テーピングテープ100が足首に貼着されるようになっている。
【0010】
また、特許文献2に示されている従来の足首関節用テーピングテープ200は、粘着テープを予め図10に示したような所定の形状にカットすることで形成されている。
この特許文献2に示されている従来の足首関節用テーピングテープ200は、図10に示したように、使用時において足裏に貼着される足裏貼着部226と、この足裏貼着部226の一方側から延設された帯状の一方側第1延設部222aおよび一方側第2延設部224aと、足裏貼着部226の他方側から延設された帯状の他方側第1延設部222bおよび他方側第2延設部224bとから構成されている。
【0011】
そして、足裏貼着部226を足裏に貼着し、一方側第2延設部224aを足首の一方側(内側)の側面に貼着するとともに、他方側第2延設部224bを足首の他方側(外側)の側面に貼着する。そして、一方側第1延設部222aを足裏の一方側(内側)から足首の表側および足首の他方側(外側)の側面を通って足首の裏側に巻きつけるように貼着する。また、この一方側第1延設部222aと足首の表側で交差するように、他方側第1延設部222bを足裏の他方側(外側)から足首の表側および足首の一方側(内側)の側面を通って足首の裏側に巻きつけるように貼着して、図11に示したように、足首関節用テーピングテープ200が足首に貼着されるようになっている。
【0012】
このように、これら特許文献1,2に開示されている従来の足首関節用テーピングテープ100,200では、粘着テープを予め所定の形状にカットされているため、ロール状のテーピングテープを用いてテーピングを行う場合よりも、比較的簡単に自分自身の手で足首にテーピングを施すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−360627号公報
【特許文献2】意匠登録第1208004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した従来の足首関節用テーピングテープ100は、脚部130を足裏の一方側から足首の表側および足首の他方側の側面を通って足首の裏側に巻きつけるように貼着する必要があるが、このような貼着方法だと、足首の裏側でテープを持つ手を入れ替えなければならない。粘着材層が露出した状態で、足の裏側でテープを持つ手を入れ替えようとすると、テープが捩れてくっついてしまったり、予期せぬ部位にテープが貼着したりすることがあり、この従来の足首関節用テーピングテープ100であっても、自分自身の手で簡単かつ正確に足首にテーピングを施すのは難しかった。
【0015】
また、上述した従来の足首関節用テーピングテープ200も、その一方側第1延設部222aおよび他方側第1延設部222bを貼着する際に、上述した足首関節用テーピングテープ100と同様の問題が生ずるものであった、
本発明は、このような現状に鑑みなされた発明であって、足首の関節の動作範囲を所定の方向および範囲に好適に抑制することができるとともに、自分自身の手で簡単かつ正確に足首にテーピングをすることのできる足首関節用テーピングテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、
本発明の足首関節用テーピングテープは、
片面に粘着材層を有するテープ基材から形成された足首関節用テーピングテープであって、
長尺の本体部と、該長尺の本体部の略中心部から斜め方向に延設された少なくとも一つの脚部と、を有し、
前記本体部は、使用時において足裏に貼着される足裏貼着部と、該足裏貼着部の一方側から延設された一方側延設部と、該足裏貼着部の他方側から延設された他方側延設部と、から構成されるとともに、
前記脚部は、使用時において前記本体部よりも足の踵側に位置し、足首の裏側から足首の表側に向かって貼着されるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
このように構成される本発明の足首関節用テーピングテープは、特にその脚部が足首の裏側から足首の表側に向かって貼着されるように構成されているため、足の裏側でテープを持つ手を入れ替える必要がなく、簡単に貼着することができるようになっている。したがって、自分自身の手で簡単かつ正確に足首にテーピングをすることができる。
【0018】
上記発明において、
前記脚部が、
帯状の本体部の略中心部から斜め一方側方向に延設された一方側脚部と、
帯状の本体部の略中心部から斜め他方側方向に延設された他方側脚部と、の少なくとも2つから構成され、
前記一方側脚部は、足首の裏側から足首の他方側の側部を通って足首の表側に向かって貼着されるように構成されているとともに、
前記他方側脚部は、足首の裏側から足首の一方側の側部を通って足首の表側に向かって貼着されるように構成されていることが望ましい。
【0019】
このように構成されていれば、上述した脚部が一方側脚部と他方側脚部の2つの脚部から構成されるとともに、これら一方側脚部と他方側脚部とは、足首の裏側で交差するようにして貼着されるため、この2つの脚部によって、より確実に足首を固定することができるテーピングテープとすることができる。
【0020】
この際、上記発明において、
前記一方側脚部と前記他方側脚部とは、互いに所定距離だけ離間した位置より前記本体部から延設されていることが望ましい。
【0021】
このように構成されていれば、踵の後端部が一部露出するようにしてテーピングテープを貼着することができるため、貼着されたテーピングテープがずれるなどの問題が生じ難くなる。
【0022】
また、上記発明において、
前記脚部が、前記本体部の一方側延設部および他方側延設部の延設方向と略垂直な方向にだけ伸縮するように形成されていることが望ましい。
【0023】
このように構成されていれば、足首の裏側から足首の表側に向かって貼着された状態における脚部の伸縮方向と、足首を前後に動かす際に脚部に作用する引張力および圧縮力の作用方向とがほぼ一致するため、足首の関節の動作範囲を所定の方向および範囲に好適に抑制することができる。
【0024】
また、上記発明において、
前記一方側延設部が、
前記足裏貼着部の一方側から延設されるとともに、使用時において足裏の一方側から足首の表側を通って足首の他方側の側部に向かって貼着される一方側第1延設部と、
前記足裏貼着部の一方側から延設されるとともに、使用時において足裏の一方側から足首の一方側の側部に向かって貼着される一方側第2延設部と、からなる二股状に構成されるとともに、
前記他方側延設部が、
前記足裏貼着部の他方側から延設されるとともに、使用時において足裏の他方側から足首の表側を通って足首の一方側の側部に向かって貼着される他方側第1延設部と、
前記足裏貼着部の他方側から延設されるとともに、使用時において足裏の他方側から足首の他方側の側部に向かって貼着される他方側第2延設部と、からなる二股状に構成されていることが望ましい。
【0025】
このように、一方側延設部および他方側延設部がそれぞれ二股状に形成されているとともに、その各々が上述した足の部位に貼着されるように構成されていれば、本発明の足首関節用テーピングテープをより確実に足首に貼着することが可能となる。
【0026】
この際、上記発明において、
前記テープ基材の粘着材層の上には剥離層が形成されており、
前記剥離層には、
前記本体部の足裏貼着部と前記一方側第1延設部との境界部分、
前記本体部の足裏貼着部と前記一方側第2延設部との境界部分、
前記本体部の足裏貼着部と前記他方側第1延設部との境界部分、
前記本体部の足裏貼着部と前記他方側第2延設部との境界部分、
前記本体部と前記一方側脚部との境界部分、
前記本体部と前記他方側脚部との境界部分、のそれぞれにミシン目が形成されていることが望ましく、
さらに、上記発明において、
前記ミシン目によって区分される前記剥離層の各部には、使用時におけるに貼着順序を示す順序指標が付されていることが望ましい。
【0027】
このように、各部の境界部分にミシン目が入れられていれば、使用時において、想定していない箇所が予期せぬ部位に貼り付いてしまうことなどを防止することができ、確実にテーピングを行うことができる。
【0028】
また、このように順序指標が付されていれば、使用時において、各部の貼着順序が明らかであるため、誰でも間違うことなく正しい順序でテーピングを行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、足首の関節の動作範囲を所定の方向および範囲に好適に抑制することができるとともに、自分自身の手で簡単かつ正確に足首にテーピングをすることのできる足首関節用テーピングテープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の足首関節用テーピングテープの断面を示した概略図である。
【図2】図2は、本発明の足首関節用テーピングテープを正面側から視認した平面図である。
【図3】図3は、本発明の足首関節用テーピングテープを背面側から視認した平面図である。
【図4】図4は、本発明の本発明の足首関節用テーピングテープを背面側から視認した斜視図であり、剥離層の一部が剥がされている状態を示した図である。
【図5A】図5Aは、本発明の足首関節用テーピングテープの使用手順を説明するための図であり、足裏貼着部を貼着した状態を示した図である。
【図5B】図5Bは、本発明の足首関節用テーピングテープの使用手順を説明するための図であり、一方側第1延設部を貼着した状態を示した図である。
【図5C】図5Cは、本発明の足首関節用テーピングテープの使用手順を説明するための図であり、他方側第1延設部を貼着した状態を示した図である。
【図5D】図5Dは、本発明の足首関節用テーピングテープの使用手順を説明するための図であり、一方側第2延設部を貼着した状態を示した図である。
【図5E】図5Eは、本発明の足首関節用テーピングテープの使用手順を説明するための図であり、他方側第2延設部を貼着した状態を示した図である。
【図5F】図5Fは、本発明の足首関節用テーピングテープの使用手順を説明するための図であり、他方側脚部を貼着した状態を示した図である。
【図5G】図5Gは、本発明の足首関節用テーピングテープの使用手順を説明するための図であり、一方側脚部を貼着した状態を示した図である。
【図6】図6は、本発明の足首関節用テーピングテープの変形例を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の足首関節用テーピングテープの他の変形例を説明するための図である。
【図8】図8は、特許文献1に示されている従来の足首関節用テーピングテープを示した図である。
【図9】図9は、特許文献1に示されている従来の足首関節用テーピングテープを足首に貼着した状態を示した図である。
【図10】図10は、特許文献2に示されている従来の足首関節用テーピングテープを示した図である。
【図11】図11は、特許文献2に示されている従来の足首関節用テーピングテープを足首に貼着した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<足首関節用テーピングテープ10>
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいてより詳細に説明する。
本発明の足首関節用テーピングテープ10は、足首の関節の動作範囲を所定の範囲に抑制するため、足首およびその周囲へ貼着して用いられるものである。
【0032】
図1は、本発明の足首関節用テーピングテープの断面を示した概略図である。
図1に示したように、本発明の足首関節用テーピングテープ10は、片面に粘着材層14を有するテープ基材12と、この粘着材層14の上に設けられた剥離層16と、を有する積層体からなり、使用時においては、剥離層16を剥がして使用されるものである。
【0033】
テープ基材12の材質としては、一般的なテーピングテープに用いられているものが使用でき、例えば伸縮性を有する天然ゴム,合成ゴム,布などを用いることができる。
また粘着材層14の材質についても、一般的なテーピングテープに用いられているものが使用でき、例えばアクリル系,ゴム系,ビニルエーテル系,シリコーン系などを用いることができる。中でもアクリル系は、貼着された際に皮膚への刺激が少ないため好ましい。
【0034】
剥離層16についても、一般的なテーピングテープに用いられているものが使用でき、例えばシリコーンモノマーで表面処理された紙などを用いることができる。
本発明の足首関節用テーピングテープ10は、上述した積層体が、図2,3に示したような、所定の形態に形成されることで構成されている。
【0035】
ここで図2は、本発明の足首関節用テーピングテープを正面側から視認した平面図、図3は、本発明の足首関節用テーピングテープを背面側から視認した平面図である。
なお、図2および図3において、「一方側」と「他方側」とは、図中においてその左右が逆になっていることに留意されたい。
【0036】
図2に示したように、本発明の足首関節用テーピングテープ10は、足裏貼着部26を中心として、この足裏貼着部26の一方側から延設された一方側延設部20aと、この足裏貼着部26の他方側から延設された他方側延設部20bと、から構成される長尺の本体部20を有している。
【0037】
また、図2に示したように、本発明の足首関節用テーピングテープ10は、上述した長尺の本体部20の略中心部から斜め一方側方向に延設された帯状の一方側脚部32aと、本体部20の略中心部から斜め他方側方向に延設された帯状の他方側脚部32bと、から構成される脚部30を有している。
【0038】
これら本体部20および脚部30は、図中の矢印Y方向にだけ、それぞれ伸縮するように形成されている。すなわち、本体部20および脚部30を構成するテープ基材12は、上述した本体部20の一方側延設部20aおよび他方側延設部20bの延設方向と略垂直な方向にだけ伸縮するように形成されている。
【0039】
また、上述した本体部20の一方側延設部20aには、その延設方向に切れ目28aが形成されており、帯状の一方側第1延設部22aと一方側第2延設部24aとからなる二股状に形成されている。そして、一方側第1延設部22aの方が、一方側第2延設部24aよりも若干長く形成されている。
【0040】
また同様に、上述した本体部20の他方側延設部20bには、その延設方向に切れ目28bが形成されており、帯状の他方側第1延設部22bと他方側第2延設部24bとからなる二股状に形成されている。そして、他方側第1延設部22bの方が、他方側第2延設部24bよりも若干長く形成されている。
【0041】
また、図2に示したように、上述した脚部30を構成する一方側脚部32aと他方側脚部32bとは、その基端部が互いに所定距離Dだけ離間した位置に形成されている。このように構成されていれば、後述する図5Gなどに示すように、踵の後端部が一部露出するようにしてテーピングテープを貼着することができるため、貼着されたテーピングテープがずれるなどの問題が生じ難くなる。
【0042】
なお、本発明の足首関節用テーピングテープ10において、上述した一方側脚部32aの基端部と他方側脚部32bの基端部との離間距離Dは、特に限定されるものではないが、後述するように、足裏貼着部26には、使用時において足の踵が置かれることとなる。このため、一方側脚部32aおよび他方側脚部32bを足首に好適に貼着できるように、この離間距離Dは足の踵幅と同じか、それよりも僅かに広いように形成されていることが好ましい。
【0043】
また、図2に示したように、上述した一方側脚部32aと他方側脚部32bとは、本体部20の延設方向に対して角度θをなして、それぞれ斜め方向に延設されている。
本発明の足首関節用テーピングテープ10において、この一方側脚部32aおよび他方側脚部32bの延設角度θは、特に限定されるものではないが、30°〜60°の範囲で形成されているが好ましく、特に45°に形成されているのが好ましい。延設角度θがこのような角度に形成されていれば、後述するように、一方側脚部32aおよび他方側脚部32bを足首の裏側から足首の表側に向かって貼着する際に、テープが捩れることなく簡単に貼着することができるとともに、一方側脚部32aおよび他方側脚部32bの伸縮方向と、足首を前後に動かす際に一方側脚部32aおよび他方側脚部32bに作用する引張力および圧縮力の作用方向とがほぼ一致するため、足首の関節の動作範囲を所定の方向および範囲に好適に抑制することができるようになる。
【0044】
また図2に示したように、一方側脚部32a,他方側脚部32bのそれぞれの内側辺34a,34bには、その基端部において、上記角度θよりも急な角度で本体部20と接続している傾斜辺部36a,36bが形成されている。このような傾斜辺部36a,36bが形成されていれば、使用時において、一方側脚部32aおよび他方側脚部32bを足首の裏側から足首の表側に向かって貼着する際に、テープが捩れることなくよりスムーズに貼着することができるようになる。
【0045】
また図3に示したように、足首関節用テーピングテープ10の背面側に位置する剥離層16には、足裏貼着部26と一方側第1延設部22aとの境界部分、足裏貼着部26と一方側第2延設部24aとの境界部分、足裏貼着部26と他方側第1延設部22bとの境界部分、および足裏貼着部26と他方側第2延設部24bとの境界部分、のそれぞれにミシン目が形成されていることが好ましい。
【0046】
さらには、本体部20と一方側脚部32aとの境界部分、および本体部20と他方側脚部32bとの境界部分との境界部分にも、それぞれにミシン目が形成されているが好ましい。
【0047】
このようなミシン目が剥離層16に予め形成されていれば、一度に全ての部分の剥離層16を剥がすのではなく、貼着する部分だけの剥離層16を剥がしてから足首に貼着することができるため、使用時において、想定していない箇所が予期せぬ部位に貼り付いてしまうことなどを防止できる。
【0048】
また図3に示したように、剥離層16には、使用の際に貼着されるべき順序を示す順序指標Mが付されていることが好ましい。このような順序指標Mは、図3に示した数字のように、貼着順序が一目見て分かるような指標であれば如何なるものであっても良く、数字以外にもアルファベット,ひらがな,カタカナ,絵など特に限定されるものではない。
【0049】
なお図4は、足裏貼着部26の剥離層16が剥がされているとともに、一方側第1
延設部22aが部分的に剥がされており、剥離層16の下にある粘着材層14が部分的に露出している状態を示している。
【0050】
この図4に示したように、粘着材層14は、上述したテープ基材12の伸縮方向(図中の矢印Y方向)に沿って直線状に列状に塗布されている。なお、図4には示されていないが、剥離層16が剥がされていない他の部分、例えば、一方側脚部32aや他方側脚部32bの粘着材層14についても同様に、図中の矢印Y方向に沿って直線状に列状に塗布されている。
【0051】
このように、テープ基材12の伸縮方向に沿って粘着材層14が列状に塗布されていれば、テープ基材12の伸縮に合わせて粘着材層14も伸縮されるため、好ましい。さらに、各形状の条間に通気路が形成されることになるため、皮膚への接触面積も少なくて済み、通気性が悪く皮膚への接触面積が大きい場合に生ずる炎症などを極力防止することができる。
【0052】
このようにして構成される本発明の足首関節用テーピングテープ10の製造方法は、特に限定されるものではないが、本実施形態の足首関節用テーピングテープ10では、図1に示した積層体を大きなシート状にし、これを足首関節用テーピングテープ10の形に合わせた抜き型で打ち抜き加工することで、簡単に製造することで可能である。
【0053】
本実施形態において、このような打ち抜き加工によって製造することができるのは、本実施形態の足首関節用テーピングテープ10では、上述したように、各部において、そのテープ基材12の伸縮方向および粘着材層14の塗布方向が同じに形成されているからである。
【0054】
これに対して、例えば、本体部20と脚部30とで、テープ基材12の伸縮方向や粘着材層14の塗布方向が異なっている場合は、本体部20と脚部30とを別々に形成し、これらを繋ぎ合わせるなどして製造する必要があるため、手間がかかることとなる。
【0055】
<足首関節用テーピングテープ10の使用手順>
以下、上述した足首関節用テーピングテープ10の使用手順について説明する。
図5A〜図5Gは、本発明の足首関節用テーピングテープの使用手順を説明するための図である。
【0056】
なお、図5A〜図5Gは、本発明の足首関節用テーピングテープ10を左足の足首に装着する際の使用手順を示したものであるが、本発明の足首関節用テーピングテープ10は、左右対称に形成されており、左足にも右足にも使用可能なものである。
【0057】
先ず、図5Aに示したように、本体部20の足裏貼着部26の剥離層16(図3の符号1)を剥がす。そして、足の踵を脚部30側に向けた状態で、足裏に足裏貼着部26を貼着する。この際、足裏貼着部26から踵が少しはみ出す程度に貼着すれば、後に一方側脚部32aおよび他方側脚部32bが貼着しやすくなる。
【0058】
次に、図5Bに示したように、一方側第1延設部22aの剥離層16(図3の符号2)を剥がす。そして、この一方側第1延設部22aを足裏の一方側(内側)から足首の表側を通って足首の他方側(外側)の側部にあるくるぶしに向かって貼着する。この際、一方側第1延設部22aを引っ張らないで貼着した方が、足首を前後に動かす際の妨げとならないので、好ましい。
【0059】
同様に、図5Cに示したように、他方側第1延設部22bの剥離層16(図3の符号3)を剥がす。そして、この他方側第1延設部22bを足裏の他方側(外側)から足首の表側を通って足首の一方側(内側)の側部にあるくるぶしに向かって引っ張らずに貼着する。
【0060】
次に、図5Dに示したように、一方側第2延設部24aの剥離層16(図3の符号4)を剥がす。そして、この一方側第2延設部24aを足裏の一方側(内側)から足首の一方側(内側)の側部にあるくるぶし向かって貼着する。
【0061】
同様に、図5Eに示したように、他方側第2延設部24bの剥離層16(図3の符号5)を剥がす。そして、この他方側第2延設部24bを足裏の他方側(外側)から足首の他方側(外側)の側部にあるくるぶし向かって貼着する。
【0062】
この際、一方側第2延設部24aを引っ張らずに貼着するとともに、他方側第2延設部24bを少し引っ張った状態で貼着すれば、足首の内側への動きが抑制されるため、内反捻挫の防止に効果的である。
【0063】
また反対に、他方側第2延設部24bを引っ張らずに貼着するとともに、一方側第2延設部24aを少し引っ張った状態で貼着すれば、足首の外側への動きが抑制されるため、外反捻挫の防止に効果的である。
【0064】
そして最後に、図5Fに示したように、他方側脚部32bの剥離層16(図3の符号6)を剥がす。そして、この他方側脚部32bを足首の裏側から足首の一方側(内側)の側部にあるくるぶしを通って足首の表側に向かって、足首を一周させるようにして貼着する。
【0065】
また同様に、図5Gに示したように、一方側脚部32aの剥離層16(図3の符号7)を剥がす。そして、この一方側脚部32aを足首の裏側から足首の他方側(外側)の側部にあるくるぶしを通って足首の表側に向かって、足首を一周させるようにして貼着することで、本発明の足首関節用テーピングテープ10の足首への貼着が完了する。
【0066】
このように、本発明の足首関節用テーピングテープ10は、足首に貼着し易い所定の形状に予めカットされているため、自分自身の手で簡単かつ正確に足首にテーピングを施すことができるようになっている。
【0067】
また特に、足首にテーピングを施す場合には、足首を一周させるようにテーピングする際の貼着作業が最も困難であるが、本発明の足首関節用テーピングテープ10にあっては、一方側脚部および他方側脚部を足首の裏側から表側に向かって貼着するように構成されていることから、足の裏側でテープを持つ手を入れ替える必要がなく、簡単に足首の周りに貼着することができるようになっている。
【0068】
また、本発明の本発明の足首関節用テーピングテープ10にあっては、一方側脚部32aおよび他方側脚部32bが、足裏から足首の上側に向かって、足首に対して斜め方向に貼着される。したがって、図5Fおよび図5Gに示したように、足首に貼着された状態において、そのテープ基材12の伸縮方向(矢印Y)とアキレス腱の延伸方向とがほぼ同じ方向となる。このため、足首の前後方向の動きが妨げられないようになっている。
【0069】
以上、本発明の好ましい形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではない。本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、脚部30は、一方側脚部32aと他方側脚部32bの2つから構成されていたが、本発明の足首関節用テーピングテープ10にあっては、本体部20の略中心部から斜め方向に延設された脚部が少なくとも1つ以上形成されていればよく、脚部30の本数は特に限定されないものである。
【0070】
例えば、図6に示したように、本体部20の略中心部から他方側に向かって延設された一方側脚部32aの1つだけから、脚部30が構成されていてもよいものである。
また図示しないが、本体部20の略中心部から一方側に向かって、2本の一方側脚部32aが延設されるとともに、本体部20の略中心部から他方側に向かって、2本の他方側脚部32bが延設されており、脚部30が計4本の脚部32a,32bから構成されていてもよいものである。
【0071】
また、上述した実施形態では、本体部20の一方側延設部20aおよび他方側延設部20bは、2股状に形成されていたが、本発明の足首関節用テーピングテープ10はこれに限定されない。例えば、図7に示したように、一方側延設部20aおよび他方側延設部20bが、それぞれ1つの帯状に形成されていてもよいものである。
【0072】
また図示しないが、一方側延設部20aおよび他方側延設部20bのそれぞれが、例えば3股状に形成されていてもよいものである。
【符号の説明】
【0073】
10 足首関節用テーピングテープ
12 テープ基材
14 粘着材層
16 剥離層
20 本体部
20a 一方側延設部
20b 他方側延設部
22a 一方側第1延設部
22b 他方側第1延設部
24a 一方側第2延設部
24b 他方側第2延設部
26 足裏貼着部
28a 切れ目
28b 切れ目
30 脚部
32a 一方側脚部
32b 他方側脚部
34a,34b 内側辺
36a,36b 傾斜辺部
100 足首関節用テーピングテープ
120 本体部
120a 湾曲部
122 一方側延設部
124 他方側延設部
130 脚部
200 足首関節用テーピングテープ
222a 一方側第1延設部
222b 他方側第1延設部
224a 一方側第2延設部
224b 他方側第2延設部
226 足裏貼着部
M 順序指標

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に粘着材層を有するテープ基材から形成された足首関節用テーピングテープであって、
長尺の本体部と、該長尺の本体部の略中心部から斜め方向に延設された少なくとも一つの脚部と、を有し、
前記本体部は、使用時において足裏に貼着される足裏貼着部と、該足裏貼着部の一方側から延設された一方側延設部と、該足裏貼着部の他方側から延設された他方側延設部と、から構成されるとともに、
前記脚部は、使用時において前記本体部よりも足の踵側に位置し、足首の裏側から足首の表側に向かって貼着されるように構成されていることを特徴とする足首関節用テーピングテープ。
【請求項2】
前記脚部が、
帯状の本体部の略中心部から斜め一方側方向に延設された一方側脚部と、
帯状の本体部の略中心部から斜め他方側方向に延設された他方側脚部と、の少なくとも2つから構成され、
前記一方側脚部は、足首の裏側から足首の他方側の側部を通って足首の表側に向かって貼着されるように構成されているとともに、
前記他方側脚部は、足首の裏側から足首の一方側の側部を通って足首の表側に向かって貼着されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の足首関節用テーピングテープ。
【請求項3】
前記一方側脚部と前記他方側脚部とは、互いに所定距離だけ離間した位置より前記本体部から延設されていることを特徴とする請求項2に記載の足首関節用テーピングテープ。
【請求項4】
前記脚部が、前記本体部の一方側延設部および他方側延設部の延設方向と略垂直な方向にだけ伸縮するように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の足首関節用テーピングテープ。
【請求項5】
前記一方側延設部が、
前記足裏貼着部の一方側から延設されるとともに、使用時において足裏の一方側から足首の表側を通って足首の他方側の側部に向かって貼着される一方側第1延設部と、
前記足裏貼着部の一方側から延設されるとともに、使用時において足裏の一方側から足首の一方側の側部に向かって貼着される一方側第2延設部と、からなる二股状に構成されるとともに、
前記他方側延設部が、
前記足裏貼着部の他方側から延設されるとともに、使用時において足裏の他方側から足首の表側を通って足首の一方側の側部に向かって貼着される他方側第1延設部と、
前記足裏貼着部の他方側から延設されるとともに、使用時において足裏の他方側から足首の他方側の側部に向かって貼着される他方側第2延設部と、からなる二股状に構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の足首関節用テーピングテープ。
【請求項6】
前記テープ基材の粘着材層の上には剥離層が形成されており、
前記剥離層には、
前記本体部の足裏貼着部と前記一方側第1延設部との境界部分、
前記本体部の足裏貼着部と前記一方側第2延設部との境界部分、
前記本体部の足裏貼着部と前記他方側第1延設部との境界部分、
前記本体部の足裏貼着部と前記他方側第2延設部との境界部分、
前記本体部と前記一方側脚部との境界部分、
前記本体部と前記他方側脚部との境界部分、のそれぞれにミシン目が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の足首関節用テーピングテープ。
【請求項7】
前記ミシン目によって区分される前記剥離層の各部には、使用時におけるに貼着順序を示す順序指標が付されていることを特徴とする請求項6に記載の足首関節用テーピングテープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−228300(P2012−228300A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97053(P2011−97053)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(509245430)株式会社ジーオーエヌ (2)