説明

距離検出装置

【目的】 目標物に向って光を発射する発光手段と、該発光手段から発射された光が前記目標物で反射して戻る反射光を受光する受光手段とを備えた距離検出装置において、クロックパルスを用いず、低い周波数領域を扱う回路で距離検出を可能にする。
【構成】 基準直流電圧源10と、発光手段が光を発射した第1の時点で閉成されるスイッチS1 と、入力端子がスイッチS1 を介して基準直流電圧源10に接続され、かつスイッチS1 の閉成に伴って基準直流電圧によって充電されるコンデンサC1 を備えた積分回路11と、前記第1の時点で閉成され、かつ受光手段が反射光を受光した第2の時点で開放されるスイッチS2 と、このスイッチS2 を介して積分回路11の出力端子に接続され、かつスイッチS2 が閉成されている間、積分回路11の出力によって充電されるコンデンサC2 と、このコンデンサC2 に充電された電荷量に基づいて距離を演算する演算手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光等の光を用いた距離検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば走行中の車両の前方または後方の目標物に向ってレーザ光等の光を発射し、この光が前記障害物で反射して戻るまでの時間を計測し、この時間から目標物までの距離を検出するようにした距離検出装置が知られている。そして、このような従来の距離検出装置では、一般に、クロックオッシレータから発生するクロックパルスの数をカウンタで計測することによって時間を算出するようにしている(実開昭61−99072号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のようにクロックパルスを用いる場合、クロックパルスが高周波信号よりなるため、このクロックパルスが周辺回路に漏洩して悪影響を与えるという問題があった。そのため上記漏洩を防止する保護回路が必要となり、回路が複雑かつ高価になる欠点があった。
【0004】上述の課題に鑑み、本発明はクロックパルスを用いることなしに、距離を検出することが可能な距離検出装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による距離検出装置は、目標物に向って光を発射する発光手段と、該発光手段から発射された光が前記目標物で反射して戻る反射光を受光する受光手段とを備えた距離検出装置において、基準直流電圧発生源と、前記発光手段が前記光を発射した第1の時点で閉成される第1のスイッチと、入力端子が前記第1のスイッチを介して前記基準直流電圧に接続され、前記第1のスイッチの閉成に伴って充電される第1のコンデンサを備えた積分回路と、前記第1の時点で閉成され、かつ前記受光手段が前記反射光を受光した第2の時点で開放される第2のスイッチと、一端が前記第2のスイッチを介して前記積分回路の出力端子に接続され、前記第2のスイッチが閉成されている期間中、前記積分回路の出力電圧によって充電される第2のコンデンサと、該第2のコンデンサに充電された電荷量に基づいて距離を演算する演算手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0006】また本発明では、上記構成に加えて、前記受光手段が前記第2の時点で閉成されて、前記第1のコンデンサの電荷を放電させる第3のスイッチを備えてなることを特徴とするものである。
【0007】
【作用および効果】本発明による距離検出装置では、発光手段が光を発射した第1の時点で第1スイッチが閉成されるから、積分回路に直流電圧源が接続されて、積分回路の第1のコンデンサに対する充電が開始され、これに伴って積分回路の出力電圧が徐々に上昇する。また第1のスイッチと同時に第2のスイッチも閉成されるから、積分回路の出力電圧によって第2のコンデンサも充電される。そして受光手段が反射光を受光した第2の時点で第2のスイッチが開放されるから、積分回路と第2のコンデンサとの接続が断たれ、第2のコンデンサの両端間には、第1の時点から第2の時点までの期間に応じた電圧が記憶される。したがって、この第2のコンデンサの両端間の電圧値を測定すれば、目標物までの距離を検出できるのである。
【0008】本発明によれば、扱う信号の周波数領域が低いために、クロックパルスを用いた場合のような保護回路を設ける必要がなくなり、回路の簡素化を図ることができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明による距離検出装置の実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】図1は本発明の一実施例のブロック図を示し、1はレーザダイオード、2はレーザダイオード駆動部、3は高電圧発生部、4はタイマコントロール回路で、タイマコントロール回路4から発せられるスタートパルスによって、レーザダイオード2からレーザ光が目標物に向って周期的に発射されるとともに、上記スタートパルスは測定部5に入力される。
【0011】一方、目標物で反射した反射光は受光ダイオード6で受光され、受光アンプ7およびピークホールドアンプ8によって反射光に基づく電気信号が増幅かつ検出され、この検出時点で、パルス発生部9からストップパルスが測定部5に入力され、この測定部で、スタートパルスが発せられた第1の時点T1と、ストップパルスが発せられた第2の時点T2 との間の時間が測定され、この測定された時間から目標物までの距離が演算されるようになっている。
【0012】測定部5は、図2に示すように、基準直流電圧Vref を供給するための基準直流電圧源10を備えており、この基準直流電圧源10は、スタートパルスによって閉成される第1のスイッチS1 を介して積分回路11の入力端子に接続されている。積分回路11は、オペアンプ12と抵抗Rおよび第1のコンデンサC1 とからなるそれ自体は周知の構成を有する。
【0013】積分回路11の出力端子には、ストップパルスがインバータ13によって極性を反転されたパルスによって閉成される第2のスイッチS2 を介して第2のコンデンサC2 の一端が接続され、さらにコンデンサC2 の両端間の電圧をディジタル化し、かつ距離に換算するA/Dコンバータ14とが接続されている。また、積分回路11内の第1のコンデンサC1 の両端には、ストップパルスによって閉成される第3のスイッチS3 (リセットスイッチ)が接続されている。
【0014】次に図2の回路の動作を図3を参照して説明する。まず、図1のレーザダイオード1からレーザ光が目標物に向って発射された時点T1 から、反射光が受光ダイオード6によって受光された時点T2 の間、図3(a)に示すスタートパルスが「L」から「H」となり、このスタートパルスによって制御される第1のスイッチS1 は、図3(b)に示すように、時点T1 からT2 まで閉成される。したがって、積分回路11の出力端子には、図3(c)に示すように、基準直流電圧Vref が印加され、これに伴って、積分回路11のコンデンサC1 に対する充電が開始され(時点数=C1 R)、積分回路11の出力端子には図3(d)に示すような電圧が発生する。
【0015】一方、ストップパルスは、図3(e)に示すように、時点T1で「H」から「L」になり、時点T2 で「L」から「H」となるから、このストップパルスの極性を反転させるインバータ13の出力によって制御される第2のスイッチS2 は、図3(f)に示すように、時点T1 からT2 まで閉成されるから、この間第2のコンデンサC2 が積分回路11の出力電圧によって充電される。そして時点T2 になると、第2のスイッチS2 が開放されて、積分回路11の出力端子とコンデンサC2 との接続が遮断され、この第2のコンデンサC2 の両端間に、時点T1 からT2 までの期間に応じた電圧が記憶される。この第2のコンデンサC2 の両端間の電圧は、8ビットのA/Dコンバータ14によってディジタル化され、かつ後述のような方法によって距離に換算される。すなわち、第2のコンデンサC2 に充電された電荷量は、目標物までの距離に相当するものであるから、この電圧の測定によって、目標物までの距離を検出することができるのである。
【0016】さらにこの場合、上記ストップパルスが時点T2 において「L」から「H」になることにより、ストップパルスによって制御される第3のスイッチS3 が閉成されて第1のコンデンサC1 の両端間を短絡するから、コンデンサC1 に充電されていた電荷は瞬時に放電され、積分回路11がリセットされる。
【0017】ここで、A/Dコンバータ14におけるA/D変換の分解能は、最大測定距離に相当する時間をA/Dコンバータのビット数で除算した商としてあらわされる。例えば8ビットのA/Dコンバータを使用し、最大測定距離を100mとした場合、A/D変換の分解能は、6700nS/256≠26nS/ビット(1m測定時67nS)となり、これを距離に換算すると、100m/256≠0.4m/ビットとなる。
【0018】以上の説明から明らかなように、本実施例によればきわめて簡単な回路によって目標物までの距離検出が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による距離検出装置のブロック図
【図2】図1の測定部の一例構成を示す回路図
【図3】図2の回路の動作を示すタイミングチャート
【符号の説明】
1 レーザダイオード
2 レーザダイオード駆動部
3 高電圧発生部
4 タイマコントロール回路
5 測定部
6 受光ダイオード
7 受光アンプ
8 ピークホールドアンプ
9 パルス発生部
10 基準直流電圧源
11 積分回路
12 オペアンプ
13 インバータ
14 A/Dコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 目標物に向って光を発射する発光手段と、該発光手段から発射された光が前記目標物で反射して戻る反射光を受光する受光手段とを備えてなる距離検出装置において、基準直流電圧源と、前記発光手段が前記光を発射した第1の時点で閉成される第1のスイッチと、入力端子が前記第1のスイッチを介して前記基準直流電圧源に接続され、前記第1のスイッチの閉成に伴って前記基準直流電圧によって充電される第1のコンデンサを備えた積分回路と、前記第1の時点で閉成され、かつ前記受光手段が前記反射光を受光した第2の時点で開放される第2のスイッチと、一端が前記第2のスイッチを介して前記積分回路の出力端子に接続され、前記第2のスイッチが閉成されている期間中、前記積分回路の出力電圧によって充電される第2のコンデンサと、該第2のコンデンサに充電された電荷量に基づいて前記目標物までの距離を演算する演算手段とを備えてなることを特徴とする距離検出装置。
【請求項2】 前記第2の時点で閉成されて、前記第1のコンデンサの電荷を放電させる第3のスイッチを備えてなることを特徴とする請求項1記載の距離検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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