説明

路線案内装置

【課題】駅構内やバス停等に設置され、鉄道やバスの交通機関を利用する乗客が所有する情報記録媒体を利用して、容易に路線や運賃を検索でき情報を取得することができる路線情報案内装置を提供する。
【解決手段】
交通機関を利用する情報記録媒体を利用して当該交通機関の路線を検索し情報を提供する路線案内装置(10)において、情報記録媒体受信部(101)で受信した情報記録端末識別子をネットワーク情報送受信部(109)からネットワークを通じて外部端末へ送信し、その後、外部端末から当該情報記録端末識別子に対応する利用者属性情報及び路線情報とをネットワーク情報送受信部(109)で受信し、その情報に基づいて処理部(103)で処理された路線検索情報を表示部(108)に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅やバス停、観光の拠点などに設置され、乗客が操作することにより、観光地および駅・バス停留所・乗り場・路線図などの情報を表示する路線案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話等の個人用の情報通信端末の普及に伴い、今まで時刻表等で調べていた情報を簡易に調べることが可能になっている。例えば、パソコンや携帯電話から、出発地、到着地(目的地)、出発予定時刻等を入力することにより、最短時間(あるいは最小金額、最小乗換回数)で移動できる便や、出発地から到着地までの利用可能な路線(経路)や乗換駅の情報等からなる乗換案内情報を容易に取得することができる。
【0003】
また、従来、駅の構内などで利用される自動券売機においては、タッチパネルからなる可変表示操作板の画面を路線全体が表示された画面から路線を部分的に拡大する画面に切換えられるようにし、部分拡大路線画面に駅名と、当駅から各駅までの運賃を表示し、該運賃が表示された料金キーをタッチすることにより目的駅までの乗車券を購入すことができるようにした、路線案内と運賃検索機能付の自動券売機がある(特許文献1)。この自動券売機を利用する場合には、利用客が乗車する直前に、路線案内を容易に知ることができるというメリットがある。その他にも、これに類似する自動券売機が開示されている(特許文献2〜6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−16206号公報
【特許文献2】特開平2−96890公報
【特許文献3】特開平10−232958公報
【特許文献4】特許第23084932号公報
【特許文献5】特開2002−298164公報
【特許文献6】特開2007−4335公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、非接触ICカード、あるいはこれを内蔵した携帯端末装置等の情報記録端末を使用して鉄道やバスの運賃の精算を行う方法が主流になりつつある。非接触ICカード等の利用客は、現金を用いて交通機関を利用しないため、通常、予め自宅等において、路線や運賃、時刻等の情報をインタネットを通じて取得するか、あるいは、所持する携帯電話等の携帯通信端末によって情報検索するなどして情報を得ることが多くなっている。
【0006】
しかし、非接触ICカード等の利用客にとって、予めこのような情報を得ていない場合には、鉄道を利用する際に切符を購入する必要はないことから、前述のような路線検索機能付きの自動券売機を利用することはないため、路線情報を知ることができない。また、主要な鉄道駅ターミナルからバスを利用する乗客にとっては、どの路線を利用したらよいか分からないために、一々、バス路線図と停留所を確認しなければならなかった。このように、通常利用しない路線を利用する乗客や、交通機関の乗車を急いでいる乗客にとっては、路線情報を容易に知る術が無く大変、不便であった。故に、駅構内やバス停においては、自動券売機とは別に、路線や運賃情報を容易に検索できる装置の設置が望まれていた。特に、年配者や身障者にとっては、所持する携帯端末の検索操作は煩わしさが伴うものであり、より容易に情報提供がされる機器の提供が要望されていた。
【0007】
そこで、本発明は、駅構内やバス停等に設置され、非接触ICカードあるいは非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置(以下、情報記録媒体)を利用して鉄道やバスの交通機関を利用する乗客が、容易に路線や運賃を検索でき情報を取得することができる路線案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、交通機関を利用する情報記録媒体を利用して当該交通機関の路線を検索し情報を提供する路線案内装置(10)であって、
現在時刻データを記録する時計(104)と、
前記情報記録媒体に記録された情報を受信する情報記録媒体受信部(101)と、
前記情報記録媒体から受信した情報記録端末識別子と当該情報記録端末識別子に対応する利用者属性情報及び路線情報とを送受信するネットワーク情報送受信部(109)と、
前記現在時刻データ及び前記路線情報に基づいて乗客が必要とする情報への変換処理を行う処理部(103)と、
前記処理部(103)による結果に基づき路線検索情報を報知する報知手段(108)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前述の記載内容について、以下のように定義する。
・ 「情報記録媒体」とは、非接触ICカード、あるいは非接触ICカードを内蔵した携帯情報端末(携帯電話やPDA:Personal Digital Assistants)などである。
・ 「情報記録端末識別子」とは、情報記録端末の持つ固有の識別子である。
・ 「利用者属性情報」とは、情報記録媒体の持つ固有識別子や個人属性情報(言語、年齢、音声案内の必要性、色弱や聴弱の度合いなどの個人情報)である。
【0010】
・ 「路線情報」とは、出着地、出着時刻、路線番号、運賃などの路線運賃情報を提供するための源情報であって、現在時刻、出発地情報、目的地情報などである。
・ 前記「出着地」とは、出発または到着する停留所や駅名を指す。
・ 前記「出着時刻」とは、出発または到着する時刻を指す。
【0011】
・ 「出発地情報」および「目的地情報」とは、乗客が利用する交通機関の駅名やバス停の名称に限定されず、観光地名や、各施設、店名などの情報であってもよい。
・ 「路線検索情報」とは、前記「路線情報」に基づいて検索処理された結果の情報であって、出着地、出着時刻、路線番号、運賃等を含む。
・ 「報知手段」とは、文字、模様等を表示する表示部や、音声報知、振動などによる報知を含む。
【0012】
この構成によれば、路線案内装置に情報記録媒体受信部(101)を設け、受信した情報記録媒体の情報のうち固有識別子を利用し、ネットワークを通じて、利用者属性情報や路線情報を知ることができる。即ち、前記固有識別子のみを利用しているので、様々な情報記録媒体を本発明の路線情報案内装置に汎用的に適用することが可能であり、本装置を使用するための特別仕様の情報記録端末を設ける必要がない。
【0013】
また、予め利用者属性情報を利用者が保有する情報記録端末に記録していないため、情報記録端末を紛失した場合でも個人情報の漏洩を防ぐことができる。
【0014】
また、利用者の所望する路線情報をネットワークを通じて予め外部情報端末に登録しておくことができるので、目的地の情報を入力する手間が省くことが出来る。特に年配者や身障者にとっては有益である。
【0015】
また、同様に利用者が個人属性情報をネットワークを通じて予め外部情報端末に登録しておくことができるので、駅構内やバス停などで、路線情報案内装置が利用者に適した報知手段を選択して報知することができる。ひいては、年配者や身障者にとっては有益な報知手段で情報を提供できる。なお、「外部情報端末」とは、情報記録媒体に関連する情報や路線情報などを記憶し管理するネットワークを通じて情報を交換できる端末装置である。
【発明の効果】
【0016】
以上の発明によれば、駅構内やバス停等に設置され、鉄道やバスの交通機関を利用する乗客が所有する情報記録媒体を利用して、容易に路線や運賃を検索でき情報を取得することができる路線情報案内装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態による路線案内装置10の外観を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態による路線案内装置10の外観を示す正面図、背面図、側面図、平面図及び底面図である。
【図3】第1の実施形態による路線案内装置10の内部構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態による路線案内装置10の液晶画面に表示される表示内容の一例である。
【図5】第1の実施形態による路線案内装置10の前面パネルの構成を示す模式図である。
【図6】第1の実施形態による路線案内装置10と接続される外部情報端末を含むネットワークの説明図である。
【図7】第1の実施形態による路線案内装置10の目的地情報の登録を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態による路線案内装置10の操作手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態によるバス交通情報のネットワークの概観図である。
【図10】バス接近案内表示器の外観を示す斜視図である。
【図11】バス接近案内表示器の外観を示す正面図、背面図、側面図、平面図及び底面図である。
【図12】バス接近案内表示器の外観を示す斜視図である。
【図13】バス接近案内表示器の外観を示す正面図、背面図、側面図、平面図及び底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態による路線案内装置10の外観に関する全体構成例を示す。本実施形態では、バス路線の案内の事例について説明する。路線運賃情報案内装置10には、非接触ICカード、あるいは非接触ICカードを内蔵した携帯情報端末を翳す(あるいはタッチする)ためのアンテナ部12、目的地の表示や、路線や運賃などの情報を表示する液晶画面11、この液晶画面11に表示された複数の目的地を選択するための選択釦13a,13b、14a、14b、外部のネットワークを通じて路線における運行状況を得るためのアンテナ部15、液晶画面11に表示された内容を印刷して打ち出す路線案内シート出口部16が設けられている。図2は、路線案内装置10の外観を示す正面図、背面図、左側面図、平面図及び底面図である。右側面図は、左側面図と左右対称に現れるので省略している。
【0019】
図3は、路線案内装置10の内部構成を示すブロック図である。路線案内装置10は、情報記録媒体受信部101,第1記憶部102,処理部103,時計104、第2記憶部106、選択部107、表示部108,ネットワーク情報送受信部109およびこれらの各部と接続された制御部105から構成されている。なお、本発明において、表示部108は報知手段に相当する。
【0020】
図4は、路線案内装置10の液晶画面に表示される表示内容の一例であり、図5は、 この路線案内装置10の前面パネル10aの構成を示す模式図である。前面パネル10aは、液晶画面11、選択釦13a、13b,14a、14b、アンテナ部12および路線案内シート出力部16が設けられている。液晶画面11には、目的地情報表示部11a、路線検索結果表示部11b、現在時刻表示部11e、バス停地図表示部11c、および指示案内表示部11dに区画されている。
【0021】
図6は、路線案内装置10と接続される外部情報端末を含むネットワークの説明図である。ネットワーク24を通じて、本実施形態の路線案内装置10、路線や運賃の情報を保有し案内するための情報を提供する路線・運賃案内サーバ21,交通機関の運行状況を提供する交通機関運行状況端末22,各種ユーザ端末23a、23b、23c…、および情報記録端末のデータを管理する情報記録端末データ管理サーバ25が有線、無線を問わず接続される状態が確保されている。ネットワーク24で接続されたこれらの部位(ユーザ端末23a、23b、23c…および路線案内装置10を除く)は、「外部情報端末」に相当する。
【0022】
図3において、情報記録媒体受信部101は、アンテナ12によって利用客が所有する情報記録端末から受信された情報のうち、情報記録媒体識別子(以下、ID)のみを受信する。そして、その受信されたIDは、第1記憶部102に記憶される。
【0023】
表示部108では、目的地情報や路線・運賃の情報等を表示する機能を有し、液晶表示画面11を含む。選択部107は、複数の目的地情報を得て、どの目的地情報を優先的に検索して結果を表示するのかを選択する機能を有し、選択釦13a,13b、14a、14b(図1参照)を含む。
【0024】
ネットワーク情報送受信部109では、ネットワーク24を通じて外部情報端末から得られた種々のデータを送受信する。具体的には、利用者(乗客)の保有する情報記録端末のIDを情報記録端末データ管理サーバ25に送信する。また、この情報記録端末のIDに対応した目的地情報を情報記録端末データ管理サーバ25から受信する。
【0025】
処理部103では、目的地情報(複数あってもよい)のうち、選択部107によって選択されたひとつの目的地情報に基づいて、第2記憶部に記憶された路線運賃関連データに基づいて検索処理が行われる。その処理の結果は、表示部108に表示される。なお、第2記憶部には、ネットワーク24を通じて、所定時間毎に、路線・運賃案内サーバ21または交通機関運行状況端末22等の外部情報端末から得られた情報を記憶している。
【0026】
路線案内装置10を操作する前提として、予め利用者が目的地情報を登録しておく必要がある。例えば、利用者が所有する自宅のパソコンなどを使って、利用者自身のIDとともに目的地情報をネットワーク24を通じて情報記録端末データ管理サーバ25に記憶(登録)しておく。
【0027】
即ち、図7に示すように、利用者が自身の氏名、IDおよび目的地情報をパソコン(ユーザ端末23a)で入力し、ネットワークを通じて情報記録端末データ管理サーバ25へ送信する(S101)。情報記録端末データ管理サーバ25が氏名、IDおよび目的地情報を受信する(S102)と、氏名とIDとの組み合わせを保有するデータベースとを照合し(S103)、一致すれば、データベース内にこの目的地情報を記録し(S104)し、記録が終了した旨(=登録)の情報をユーザ端末23aへ送信する(S105)。そして、ユーザ端末23aがこれを受信して(S106)終了する。ステップS103において、氏名とIDが一致しない場合は、その旨を送信し(S107)、ユーザ端末23aがこれを受信(S108)して検索を繰り返す。なお、この目的地情報は一つでも良いし、複数であってもよい。また、駅やバス停の名称に限らず、施設名などであってもよい。
【0028】
次に、この実施形態による路線案内装置10の操作手順を図8を用いて説明する。駅構内やバス停近傍に設置された路線案内装置10のアンテナ部12に、利用者自身の非接触ICカードなどの情報記録媒体を翳す(S201)と、情報記録媒体受信部101において、情報記録媒体に記憶されていた利用者IDのみが受信され(S202)るとともに、第1記憶部に記憶される(S203)。ネットワーク情報送受信部109において、この利用者IDがネットワーク24を通じて情報記録端末データ管理サーバ25に送信される(S204)。
【0029】
情報記録媒体データ管理サーバ25において、この利用者IDを受信する(S205)と、この利用者IDが登録されているかを検索(S206)し、登録されていれば、このIDに対応する目的地情報を検索(S207)して、このIDと目的地情報とを対にして路線案内装置10に送信する(S208)。なお、ステップS206において、利用者IDが登録されていない場合は、その旨を路線案内装置10に送信して表示し(S209)て終了する。また、ステップS207において、利用者IDに対応する目的地情報が存在しない場合は、その旨を路線案内装置10に送信して表示し(S210)て終了する。
【0030】
路線案内装置10にあるネットワーク情報送受信部109において、IDと目的地情報を受信し(S211)、制御部105において、第1記憶部に記憶されているIDと一致する否かを判定し(S212)、IDが一致していれば、このIDに対応する目的地情報を表示部108(液晶表示画面11)に表示する(S213)。ステップS212において、IDが一致していなければ、終了する。
その後、選択釦13a,13b、14bを使って目的地情報の一つを選択し、選択釦14aを押下すると、選択部107において一つの目的地情報が選択確定される(S214)。この選択結果に基づいて、処理部103において、現在時刻データおよび第2記憶部に記憶された路線・運賃情報を使って検索され(S215)、処理結果が表示部108に表示される(S216)。この情報を印刷する場合には印刷し(S217)、検索を継続するかどうかを選択する(S218)。検索を継続する場合には、ステップS214に戻り、そうでない場合は終了する。
【0031】
(第1の実施形態の効果)
次に、第1の実施形態から把握される作用・効果を以下に列記する。
(1)利用者の所有する情報記録媒体のIDを使用し、予め登録しておいた目的地情報を利用して路線や運賃を検索し、表示することが可能になる。したがって、利用者(乗客)が駅構内やバス停などで目的地を入力することなく素早く情報を知ることができる。
【0032】
(2)情報記録端末データ管理サーバ25に予め複数の目的地情報を記録しておくことによって、路線運賃情報案内装置を利用する際に、その複数の目的地情報の中からその時点で必要とする目的地情報を素早く選択することができ、容易に路線や運賃情報を検索することができる。特に、年配者や身障者にとっては、文字入力など複雑な操作は必要としないので、煩わしさを感じることなく利用できる。
【0033】
(3)利用者は、予め自身のIDに対応する目的地情報をICカード情報管理サーバに登録しておくようにしている。非接触ICカードなどの情報記録媒体には、各社独自のデータおよび利用者固有のIDが予めが記録されている。つまり、どのようなカードにおいても個人固有の利用者IDが存在するため、そのカードIDと目的地情報を対にして登録してあるので、路線案内装置10をする際には、利用者の個人IDのみの情報を受信して操作されるため、汎用のカードを利用することが可能である。
【0034】
(第1の実施形態の応用例等)
ところで、本発明は前記の実施形態に限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施が可能である。
・ 本実施形態において、時計を搭載しているが、この機能を省略してもい。この場合、出着時刻を除く路線情報を報知することになる。
・ 目的地情報だけでなく出発地情報を登録するようにしてもよい。
・ 本実施形態において、目的地情報、出発地情報を入力するための入力手段を設けてもよい。
・ 本実施形態では、予め路線検索に必要なデータを所定期間毎に外部情報端末(路線・運賃案内サーバ21、交通機関運行状況端末22)からネットワークを通じて収集し、路線案内装置10に記憶させているが、例えば、ステップS215(図8参照)の路線検索の際に、ネットワークを通じて情報を収集するようにしてもよい。この場合、第2記録部の記録容量を少なくすることができる。
【0035】
・ 目的地情報だけでなく、利用者の個人属性情報(言語、年齢、音声案内の必要性、色弱や聴弱の度合いなど)を情報記録端末データ管理サーバ25に登録するようにしてもよい。この場合、言語に英語を指定して英文表示を行い、あるいは、英語での音声案内をすることが可能となる。聴弱の場合は、音声を強くしたりすることも可能である。また、色弱の場合には、表示データにおいて、文字や形状の輪郭を明確に表示することも可能である。このように利用客が予め情報記録端末データ管理サーバ25に個人属性情報を記録させておくことによって、駅構内やバス停などで、利用者に適した報知手段を選択して報知することができる。なお、このような利用者の個人属性情報を利用者自身の情報記録端末に記録しておくということも考えられるが、例えば、利用者が自身の情報記録端末を紛失したり盗難にあった場合には、個人情報が漏洩する危険性がある。しかし、この方法では、利用者自身の情報記録端末に個人属性情報は記録していないため、情報漏洩の危険性が極めて少なくなる。なお、従来から、このような交通系の案内装置においては、様々な人にやさしい報知手段の提供が望まれていた。特に外国人や年配者や身障者に見合った特有の報知手段の提供が有望視されていた。
・ 選択釦13a,13b、14a、14bや、アンテナ部12の表面には、外国語を含む多言語表示をしてもよい。また、点字を標記するようにしても良い。このようにすることで、外国人や、身障者などにも親切な路線検索装置とすることが可能となる。
【0036】
・ 本実施形態では、表示部として液晶表示画面に限定しているが、LED表示器や他の表示手段であってもよい。
・ 検索結果を紙に印刷するための印刷部を設け、利用者にこれを提供するようにしているがこれを省略してもよい。
【0037】
・ 本実施形態の機能を、バス停にあるバス接近表示器や、自動券売機、非接触ICカードの運賃金額積み増し機など、他の機器の機能に付加してもよい。
・ 本実施形態において、バス乗車の運用について説明したが、これに限定されず、鉄道、航空機、船舶、タクシーなど、他の交通機関に関しても応用可能である。
【0038】
(付記)以上の応用例から、以下の技術的思想が把握される。
(A)交通機関を利用する情報記録媒体を利用して当該交通機関の路線を検索し情報を提供する路線案内装置(10)であって、
前記情報記録媒体に記録された情報を受信する情報記録媒体受信部(101)と、
前記情報記録媒体から受信した情報記録端末識別子と当該情報記録端末識別子に対応する利用者属性情報及び路線情報とを送受信するネットワーク情報送受信部(109)と、
前記路線情報に基づいて乗客が必要とする情報への変換処理を行う処理部(103)と、
前記処理部(103)による結果に基づき路線検索情報を報知する報知手段(108)と、を備える路線案内装置(10)。
この技術的思想によれば、出着時刻を除く路線情報を報知することになる。これ以外は、前記(1)〜(3)の効果を奏する。
【0039】
(第2の実施形態)
図9は、バスに設けられた車載装置と、バスの運行情報を管理するサーバと、バス停留所に設けられた停留所装置とから構成されるバスロケーションシステムである。このようなバスロケーションシステムは、特開2004−102411公報などに開示されている。
【0040】
このようなバスロケーションシステムにおいて、バス停や駅構内、あるいは各施設などには、バスロケーション機能を用いたバス接近案内装置が設置されている。図10〜図13は、バス接近案内装置の外観を示す。
【0041】
図10(a)はバス接近案内装置30の斜視図であり、図10(b)はこのバス接近案内装置30の使用状態を示す図であり、天井から延びた支柱から吊り下げられた状態にて使用される。バス接近情報が液晶表示画面31に文字情報によって表示される。図11はバス接近案内装置30の正面図、側面図、平面図、底面図および背面図である。左側面図は、右側面図と左右対称に現れるため省略している。
【0042】
図12(a)はバス接近案内装置40の正面側から見た斜視図であり、図12(b)はこのバス接近案内装置40の背面側から見た斜視図である。このバス接近案内装置40は、駅構内や施設内の壁などに設置され使用される。バス接近情報が液晶表示画面41に文字情報によって表示される。図13はバス接近案内装置40の正面図、側面図、平面図、底面図および背面図である。
【0043】
以上のようなバス接近案内装置においては、バス停や駅へのバスが接近する情報の他に、乗り換え案内、周辺の施設案内、バスの遅延・運休案内、ニュースやコマーシャル、災害時情報や犯罪情報などの緊急情報など、様々な情報を表示または音声によって報知することができる。音声・表示の報知手段として、日本語だけでなく英語、韓国語、中国語など、種々の他国言語で実施してもよい。
【0044】
また、このバスロケーションシステムを利用して、以下のようなセキュリティーシステムを構築することができる。
(1)通常時は、バス接近表示器や他のアプリケーション用として、バス−地上機器間
ネットワーク及び位置情報把握を行う。
(2)非常時には、バスの位置をリアルタイムで把握する。また、バス車内に監視カメラを設置すれば、バス車内の映像を監視・確認することができる。
(3)バス車内に設置した監視カメラから、定期的に画像情報を入手するようにしてもよい。その場合、ネットワークを通じて、バス車内の非常時情報を入手できるため、外部情報端末からネットワークを通じて、バスのLED行き先表示器に異常事態の案内を表示させることができる。
【符号の説明】
【0045】
10…路線案内装置、104…時計、101…情報記録媒体受信部、109…ネットワーク情報送受信部、103…処理部、108…報知手段としての表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関を利用する情報記録媒体を利用して当該交通機関の路線を検索し情報を提供する路線案内装置であって、
現在時刻データを記録する時計と、
前記情報記録媒体に記録された情報を受信する情報記録媒体受信部と、
前記情報記録媒体から受信した情報記録端末識別子と当該情報記録端末識別子に対応する利用者属性情報及び路線情報とを送受信するネットワーク情報送受信部と、
前記現在時刻データ及び前記路線情報に基づいて乗客が必要とする情報への変換処理を行う処理部と、
前記処理部による結果に基づき路線検索情報を報知する報知手段と、
を備える路線案内装置。
【請求項2】
交通機関を利用する情報記録媒体を利用して当該交通機関の路線を検索し情報を提供する路線案内装置であって、
前記情報記録媒体に記録された情報を受信する情報記録媒体受信部と、
前記情報記録媒体から受信した情報記録端末識別子と当該情報記録端末識別子に対応する利用者属性情報及び路線情報とを送受信するネットワーク情報送受信部と、
前記路線情報に基づいて乗客が必要とする情報への変換処理を行う処理部と、
前記処理部による結果に基づき路線検索情報を報知する報知手段と、
を備える路線案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−218244(P2010−218244A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64589(P2009−64589)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】