説明

路面形成用コンクリート製品

【課題】 歩行ないし走行路面を形成するための路面形成用コンクリート製品において、好ましい滑り止め効果を得しめて、路面利用上の安全性を確保するとともに、美観性の向上や大気汚染改善等の付加価値を与える。
【解決手段】 歩行または車両走行路面を形成するためのコンクリート製品であって、その表面に方形、円形またはその他適宣の形状をしたタイル状突出板面、あるいは周囲を凹状溝とした板状体を形成し、該突出板面や板状体表面に複数個の突出部を配設したり、粗面化層または接着性塗料を用いた粉状材層またはゴム質材層を全面に、あるいはモザイク状の絵や幾何学模様として形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は路面形成用コンクリート製品に係り、歩行ないし走行路面を形成するためのコンクリート製品において、好ましい滑り止め作用を得しめ、路面利用上における安全性を確保し、あわせて美観性向上や大気汚染改善等の付加価値を与えようとするものである。
【0002】
【従来の技術】コンクリート製品によって路面の少なくとも一部を形成することが多い。すなわち今日においては、踏板状に路面に敷き詰められるコンクリート板は勿論、側溝類の頂面やその開口部に対する蓋、さらには境界ブロックなどが少なくともその一部、ないし過半数の表面が路面に露出した状態で用いられることから、そうした露出面は道路面の少なくとも一部を形成している。しかし、上記のような路面形成用のコンクリート製品は、単に平坦なコンクリート面を露出した状態で設置されることが一般的である。
【0003】なお、近時において上記したような路面形成用のコンクリート製品に関し、道路面の外観を改善するためにタイル模様などを配設することについて、本出願人は実願平3−103250号、あるいは意匠第1019614号(意願平3−31751号)などのような提案をなし、それによって従来の単なるコンクリート面における外観を改善し、道路面や市街地などの美化を図ることが発表されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来技術によるものは、コンクリート面において、とくに降雨時の如きにおいて滑りを生ずる可能性が高い。すなわち、単に平滑なコンクリート面においては、歩行者の靴裏面との間において水分が潤滑剤的に作用し、滑りを生じやすいことは明らかで、とくに降雨時や散水および降雪時などにおいては相当の注意を払いながら歩行することが必要であり、このことは車輪走行時などにおいてもタイヤとの間で同様である。
【0005】前記したタイル模様を配設したものにおいては、路面に凹凸を形成することとなることから、それなりの滑り止め作用が得られる如くであるが、単なるタイル模様列では、該タイル模様列の間に形成される溝部が排水作用をなさしめ得るとしても、水の付着ないし吸着作用、または飛来した粉塵や土粒子の堆積によって、溝内に水の滞留する傾向などが見られ、十分な排水が達成されず、水分がそれなりに残留し、そうした残留水分が水の表面張力によって突出したタイル模様列の表面をも被覆することから、やはり滑りを発生しやすく、殊に列設されたタイル模様列は、全体として方向性を示すので、滑り作用に対してガイド作用をなす可能性があり、何れにしても降雨時などにおいて滑り発生の可能性が高い。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記したような従来技術における課題を解決することについて検討を重ね、前記したような路面形成用コンクリート製品において、その表面に特定の突部等を形成することによって、歩行者などの滑りを有効に防止し、安全な歩行を得しめるとともに、美観性を高めたり、大気中の有害ガスを無害化すること等の付加価値を与えることに成功したものであって、以下の如くである。
【0007】(1) 歩行または車両走行路面を形成するためのコンクリート製品であって、その表面に、方形や円形またはその他適宣の形状をしたタイル状突出板面、あるいは周囲を凹状溝とした板状体を形成し、該突出板面や板状体表面に複数個の突出部を配設したり、粗面化層または接着性塗料を用いた粉状材層、あるいはゴム質材層を形成したことを特徴とする路面形成用コンクリート製品。
【0008】(2) タイル状突出板面や板状体の表面に、モザイク状の記号や数字、シンボルマーク、あるいは花や虫、動物や舟等の絵や、各種の幾何学模様として形成したことを特徴とする前記(1)項に記載の路面形成用コンクリート製品。
【0009】(3) 光触媒作用を持つ粉末もしくは粒状の酸化チタンを混入し、大気中に含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物、および悪臭物質や有機ハロゲン化合物などの有害ガスを、酸化還元反応により無害化することを特徴とする前記(1)〜(2)項の何れか1つに記載した路面形成用コンクリート製品。
【0010】
【発明の実施の形態】前記したような本発明によるものの具体的な実施態様を添付図面に示すものについて説明すると、図1〜図3には本発明が側溝蓋として採用された態様が各々示されており、手掛け部11を適宣に配設した側溝蓋1表面には、図4〜図7の方形または図8の円形、あるいは図9の楕円形の如きであるタイル状突出板面9が、側溝蓋1表面から1〜3mm程度の厚さとして図示のように配設されている。
【0011】さらに該タイル状突出板面9には、別に図4R>4〜図9に示すような高さが0.5〜2mmで、円形や方形あるいは星形状の各種形状とされた突出部10が、各々複数個配設されており、各突出部10の1辺または直径は、板面9の各辺長さの10分の1〜3程度、とくに6分の1〜4程度とされたものである。
【0012】前記突出部10は、上記したように、直径ないし一辺の長さの1〜3倍、好ましくは1.5〜2.2倍の間隔で配設されていることは図4〜図9に各々示す如くで、また各突出部10は、同心状の立体的突出形状の模様として形成されることは各図に示す如くであり、何れにしても各突出部10は、図1〜図3に示したような側溝蓋1表面からタイル状突出板面9の高さと、それら突出部10の高さを加えた高さとして突出し、したがって製品1の表面が単にフラットな場合には、図10に示すように全表面に一様な厚さで雨水などによる水膜20が貯留吸着されたような状態となるのに対し、上記したようなタイル状突出板面9が形成された場合には、図11のようにタイル状突出板面9、9間の溝状部12に、周囲の水が導入され、突出板面9、9においては比較的薄い水膜20が形成される程度である。
【0013】さらに本発明においては、上記したようにこれらの突出板面9においても突出部10が複数個配設されているので、図12に示す如く歩行者等の靴底が載置的に接触する突出部10の頂面における水分は著しく僅少であり、図4〜図9に示すように形成された模様に、靴底面が直接的に接触し踏圧を受けることとなる。すなわち、靴底の滑り防止の凹凸部が突出部10に対し有効に嵌合係止することとなり、個体としての構造上および潤滑剤的作用をなす水分の何れの面からしても、滑りの発生を的確に防止する。なお、突出部10は、側溝あるいは蓋全面に均等に分散配置されているので、あらゆる方向からの歩行者や車両に対して滑り発生を防止できる。
【0014】図13〜図16には、上記したような本発明のものが、道路において使用される具体的なコンクリート製品に採用された態様が示されている。すなわち、図13と図14のものは道路側溝として採用された場合であって、U型側溝2において、開口部15の両側に形成された側壁状立ち上がり部13の上面14と、開口部15に連続的に嵌合設定される側溝蓋1表面において、それぞれ上述したようなタイル状板面9、および該板面9に施される突出部10を用いた本発明の構成が採用されている。また、図14に示すように、単に蓋の全面、あるいは蓋の全幅より若干小さい幅に、突出部10を形成したタイル状突出板面9を用いたとしても、側壁状立ち上がり部13の上面14の面積は十分小さいことから、ほぼ同様の滑り止め効果を得ることができる。また、図14で示すような、側溝の全表面ではなく部分幅にのみタイル状突出板面を施す場合、全幅の表面を同一高さとするために、該突出板面に代えて、周囲を凹状溝とした板状体を採用したとしても、同程度の好ましい滑り止め作用を得しめることができる。
【0015】図15の門型側溝3の場合においては、その頂面16および該頂面16に形成された中央開口部17に嵌合設定される側溝蓋1の全表面に対し、本発明のタイル状板面9および突出部10から成る滑り止め構成が採用されている。図14で示したU型側溝と同様に図1616の如くしても、あるいはさらに板面の採用幅を狭くしても、ほぼ同様の効果を得ることができることは前記したとおりである。図16も図14同様、タイル状突出板面に代えて、側溝天端と同じ高さで周囲を凹状溝とした板状体を採用したものであって、好ましい滑り止め効果を得しめることができることは前述の通りである。
【0016】図17には頂面16中間部に路面排水用の落とし込みスリット18が、また図18には部分的にスリット孔18aが形成された、落とし込み型水路ブロック4が示されている。また、図19には頂面16が閉塞状態とされた暗渠型水路ブロック5が、図20には頂面16が傾斜して、端部に歩車道境界ブロックを設置するための切欠部19を形成した、暗渠型水路ブロック5aが示されているが、何れもそれらの頂面16に、タイル状突出板面9および突出部10を主体とした構成が採用されることにより、有効な滑り止め作用を得しめることができる。
【0017】図21は、歩道路面に使用する平板型路面ブロック6に本発明を採用した場合、図22は車道および歩道路面に使用するインターロッキングブロック7が本発明製品とされた場合を示し、さらに図23には歩車道境界ブロック8に本発明が実施された場合を示したが、これらの場合においてもその表面ないし頂面において、有効な滑り止め特性を得しめて、降雨時などにおける歩行者などの安全性を確保することは前述したとおりである。
【0018】さらに図24〜図27には、本発明の別の構成を用いたタイル状突出板面9を示している。すなわち、適当な長さとした線状突出部10aを、方向を変えて適宣に組み合わせて採用された場合が、図24、図25R>5および図26に示されており、また、くの字状突出部10bを組み合わせて成る板面9が図27に示されている。これらの突出部10aおよび10bもまた、前述したように滑りを有効に防止せしめる。
【0019】図28には、上記した図24のものを側溝蓋1において採用した態様が示されているが、線状の突出部10aあるいはくの字状の突出部10bの方向を、種々に変化させて組み合わせることにより、全般として線状模様であっても好ましい滑り止めを得しめるとともに、景観上のデザインにも変化をもたらすことができる。
【0020】さらに図29として、上記したような本発明の製品を用いて構成される、道路歩道部の態様が示されている。すなわち、歩道部分には図22に示したようなインターロッキングブロック7が採用され、その民地側には前記したようなU型側溝2を採用し、車道側には直接歩車道境界ブロック8を載置できるようにした、図1717の落とし込み水路ブロック4などを採用することによって、降雨時もしくは降雪時において、好ましい滑り止め機構を持った歩道と、車両の滑動防止を加味した車道端部等の舗装路面が、適切に形成されることは明らかである。
【0021】また別に、本発明によるものとして、前述したようなタイル状突出板面に配設された突出部に代えて、図30〜図32に示す如くタイル状突出板面9の表面全面を微細な粗面化層としたり、ゴム質材層や接着性塗料を用いた粉状材層による薄層を形成したりして、突出部と同様の滑り止め効果を得しめることができる。
【0022】すなわち、図30のものはタイル状突出板面9に対し、洗い出し加工またはブラスト加工をなして0.2〜2.0mm程度の微細な突起による滑り止め加工面21を形成したものであり、前述した突出部と同様の滑り止め効果を得しめることができる。
【0023】さらに図31のものは、ゴム質材層の例として、リサイクルした1〜2mm程度のゴムチップを、接着剤等でタイル状突出板面9に装着したゴムチップ層22が形成されたものを示している。ゴム質を利用することで、好ましい滑り止め作用を得しめることができるし、カラーのゴムチップ層とすることで、目地部がはっきりしてタイル部が浮き上がり、明確にすっきりしたものとなって、周囲の景観に即応せしめた美観を形成することができるとともに、適度なクッション性により感触が柔らかく、万一転倒しても安全で、歩行者に喜ばれる舗装面を提供することができる。
【0024】また図32のものは、粉状材層の例として、珪砂やリサイクルしたガラスなどの硬質材粒子と接着性樹脂塗料とが混入した塗布層23を、タイル状突出板面9に塗布したものを示している。硬質材粒子を用いることで、前述した突出部と同様の滑り止め効果を得しめることができるとともに、樹脂塗料に適当な色彩を与えることで、カラーのゴムチップによるものと同様に、明確にすっきりとしたものとなって、周囲の景観にマッチした風景を醸し出すことができる。さらに、図30〜32で示した滑り止め加工面やゴムチップ層、塗布層などを、溝状部12を含めた全面に施すことで、より周囲の景観に合わせることも可能である。
【0025】これまではタイル状突出板面の全面に、突出部ないし粗面化層やゴム質材層、粉状材層を採用した例を説明してきたが、部分的に採用した場合でも、同程度の滑り止め効果を得しめるとともに、全面に採用することに比べて経済的でもあって、現在の世情に適応している。また、このことは、周囲を凹状溝とした板状体の表面に採用する場合においても、同様のことが言える。
【0026】また、突出部や粗面化層、もしくはゴム質材層や接着性塗料を用いた粉状材層においては、1〜4色程度の多色として採用して、モザイク状の記号や数字や番地、県章や市章等のシンボルマーク、または花や虫、動物、あるいは舟や車等の絵や模様とすることで、街並みの景観に変化を付けられるとともに、始めて訪れた人でも場所を認識できるし、小さな子供や低学年生に遊び心を与えることができるし、特に色を使用することで、歩行する人々の目にもやさしく楽しい気分にさせることができる。
【0027】上記したモザイク状の記号やシンボルマーク等の絵や模様の例として、図33に県章(宮城県)を、図34に花(チューリップ)を、図35に果物(リンゴ)を、図36に舟(ヨット)を、図37に道案内を、図38に車としたものを示す。とくに図36のように、突出部の有無で構成される場合においては、1色で表現できる簡単な絵や模様に採用が限定され、これは、粗面化層においても同様である。
【0028】また、全面にタイル状突出板面を形成した図15と同様の門型側溝に、上記モザイク状の絵を施した場合の例として、梁部の一方にチョウチョを、他方にサクランボを施したものを図39に示す。また、部分的にタイル状突出板面、もしくは周囲を凹状溝とした板状体を形成した、図16と同様の門形側溝の蓋部分に、道案内用のモザイク絵を施した例として、図40に示す。図では、側溝の梁部分にのみ、もしくは蓋部分にのみモザイク状の絵を施しているが、梁と蓋にまたがって施しても良いことは言うまでもない。前述したモザイク絵は、黒色24、緑色25、赤色26、青色27等の塗布層から構成されているが、このほかにもゴムチップや接着性樹脂塗料の色を、黄色、灰色、茶色等とすることで、さらに種々多様なモザイク状の絵と成すことができる。また、図示していないが、タイル状突出板面や周囲を凹状溝とした板状体の大きさを、図で表したものの1/2〜1/4と小さくしたり、突出板面間の間隔を狭くして密にすることで、より細かく鮮明で多種多様なモザイク状の絵を形成できる。
【0029】図33〜図40のモザイク状の絵は、側溝の梁や蓋などの表面の一部に施す場合として表したが、全表面もしくは数個にまたがって施される場合も考えられる。そのような例として、門型側溝の全表面に楽譜を表したものを図41に、U型側溝の開口部に嵌合設定する側溝蓋を全部使用して、水の流れを表した場合を図42R>2として示す。このような側溝を設置する場合、全長に使用することで滑り止め効果を適宣に得しめるとともに、モザイク状の記号や絵や模様などに一貫性を持たせることができ、より周囲の景観に調和させることができるが、滑り止め効果を得しめたい部分のみに、ワンポイント的に使用することで、より経済的に目的を達せられる。あるいは逆に、全長、全表面に滑り止め加工を施し、モザイク状の絵としたい箇所のみ滑り止め加工を施さないで、記号や絵を浮き上がらせて形成することもできる。これは、平板や歩車道境界ブロック、あるいはインターロッキングブロック等の他のコンクリート製品全般に亘って対応できることは、前述したとおりである。
【0030】次に、タイル状突出板面や周囲を凹状溝とした板状体に、突出部や粗面化層、もしくはゴム質材層や接着性塗料を用いた粉状材層等を部分的に採用し、単なる幾何学模様を施した例を示すが、説明しやすいように、すべて黒色の塗布層24を採用したものとして説明する。図33〜38で示した方形状の突出板面、あるいは板状体の9個をワンセットとして、交互に黒色の塗布層を施し、大きな市松模様とした場合を図43に示す。図のように、突出板面や板状体を複数個採用して、模様を大きくすることができるし、逆に1〜2個だけ採用して、小さい模様とすることもできる。また、市松模様以外にも、単に縦縞や横縞、斜線や波線、あるいは格子模様などの種々の模様も簡単に施すことができる。このような幾何学模様を、路面形成用コンクリート製品の全表面、あるいは部分的に施すことで、モザイク状の絵の場合と同様に、好ましい滑り止め効果を得しめながら、容易に美観性を向上できる。
【0031】図44も幾何学模様の例を示しており、とくに円形状とした突出板面、あるいは板状体に本発明を採用したものである。これらの四角枠模様も、隣り合う数個の突出板面をワンセットとして色を施すことで、線の太さを自在に変えることができるし、また、市松模様や縦縞、横縞、もしくは斜線や格子模様などの種々の模様も容易に施すことができる。
【0032】図45は、大小の方形状および角を丸くした長方形状の突出板面あるいは板状体を、適宣に組み合わせて形成された路面形成用コンクリート製品に、黒色の塗布層24で幾何学模様を施したものである。このように、路面形成用コンクリート製品に採用する突出板面や板状体は、今までのように1種類のみ、あるいは図45R>5のように数種類ほど組み合わせたものでも、本発明を採用することができる。
【0033】図46は、菱形状とされた突出板面あるいは板状体に、部分的に黒色の塗布層24を施して幾何学模様としている。このように、突出板面や板状体がどのような形状、もしくは組み合わせであっても、単なる幾何学模様であれば本発明を採用することができる。これらの幾何学模様は説明上すべて黒色の塗布層としてきたが、赤や青や緑など他の色を1色もしくは多色として採用できることも言うまでもなく、その場合、彩りが鮮やかになり、目にも楽しく、側を通る人の気分をウキウキさせることができる。また、塗布層以外にも、もちろん突出部や粗面化層、もしくはゴム質材層を採用しても、滑り止め作用を適宣に与えながら、路面形成用コンクリート製品に好ましい美観性を付加することができる。
【0034】一方、タイル状突出板面や周囲を凹状溝とした板状体に施す、タイル面を含む突出部や粗面化層のコンクリート、あるいは粉状材層やゴム質材層に、光触媒作用を持つ紛状もしくは粒状の酸化チタンを混入することで、好ましい滑り止め作用を得しめながら、大気中の有害ガスである窒素酸化物や硫黄酸化物、および悪臭物質や有機ハロゲン化合物などを軽減できるようになる。
【0035】つまり、太陽光に含まれる紫外線が酸化チタンに当たることで、電子が励起され、酸化チタンから放出される。この放出された電子が、大気中の酸素や水と反応して活性酸素(フリーラジカル)を生じさせる。次に該活性酸素が、上記した有害ガスと酸化還元反応を行うことで、窒素酸化物は硝酸に、硫黄酸化物は硫酸に変化し、悪臭物質や有機ハロゲン化合物などは二酸化炭素を主とする無害物質となる。これら変化後の物質の一部は、酸化チタン表面で吸着され光触媒作用が損なわれるが、降雨によって該吸着物が水に溶出し、酸化チタン表面から除外されることで再び光触媒作用が回復される。また、溶出した硝酸や硫酸などの物質は、きわめて微量なので環境に悪影響を及ぼさない。このように、酸化チタンを突出部や粗面化層、あるいは紛状材層やゴム質材層に混入することで、大気中に含まれる有害ガスを無害化できるし、酸化チタンの光触媒作用は半永久的に維持され得る。
【0036】以上説明したような本発明は、歩行または車両走行路面を形成するためのコンクリート製品の表面に施されるものであって、表面に方形や円形、あるいは楕円形のタイル状突出板面、もしくは周囲を凹状溝とした板状体を形成して、該突出板面や板状体に複数個の突出部を配設したもので、該突出部の高さがコンクリート製品の表面から前記タイル状突出板面や板状体の高さを含んで採用されたことにより、タイル状突出板面や板状体と、複数個の突出部との合体化によって、降雨時などにおいて板面や板状体における排水作用のなされた条件下で、複数個の突出部による滑り止め作用を得しめることができ、したがって、前述した複数個の突出部が比較的小さい突出量であっても、安定した滑り止め効果を得しめ、ひいては突出部の強度、耐用性を高めて安定した滑り止め作用を確保することが可能となる。
【0037】タイル状突出板面や周囲を凹状溝とした板状体に、粗面化層、または接着性を有する塗料を用いた粉状材層、あるいはゴム質材層を形成したことにより、突出部と同様の滑り止め効果を得しめることができる。
【0038】突出部や粗面化層、あるいは種々の色彩を成したゴム質材層や接着性塗料を用いた粉状材層を採用することで、モザイク状の記号や数字、絵や幾何学模様を構成でき、子供に遊び心を与え、人の目にやさしく、歩行による期待感や楽しみを与えてくれるとともに街並みの美観を向上させ得る。
【0039】突出部や粗面化層、あるいはゴム質材層や粉状材層に酸化チタンを混入することで、大気中の窒素酸化物や硫黄酸化物、悪臭物質や有機ハロゲン化合物などのような有害ガスを無害化できるとともに、その効果は半永久的に継続させられるなどの付加価値を与えることができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるときは、歩行面や走行路面の形成するためのコンクリート製品において、好ましい滑り止め作用を的確に得しめて、歩行者や走行車両の安全性を向上することができ、また、道路面の美観性を向上したり、大気汚染を改善することができるなどの付加価値を有し、工業的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】側溝蓋に対する本発明の実施態様を示した斜面図である。
【図2】別の側溝蓋に対する本発明の実施態様を示した斜面図である。
【図3】さらに別の側溝蓋に対する本発明の実施態様を示した斜面図である。
【図4】本発明の構成例を示した斜面図である。
【図5】本発明の別の構成例を示した斜面図である。
【図6】本発明のさらに別の構成例を示した斜面図である。
【図7】本発明のさらに別の構成例を示した斜面図である。
【図8】本発明のさらに別の構成例を示した斜面図である。
【図9】本発明のさらに別の構成例を示した斜面図である。
【図10】従来の一般的なコンクリート製品面における降雨時水たまり状態の部分的な説明図である。
【図11】タイル状突出板面や板状体が形成された場合のコンクリート製品面における降雨時水たまり状態の部分的な説明図である。
【図12】本発明コンクリート製品面における降雨時水たまり状態の部分的な説明図である。
【図13】U型側溝に対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図14】U型側溝の蓋のみに対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図15】門型側溝に対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図16】門型側溝に対して側壁立ち上がり部以外の表面に対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図17】落とし込み型水路ブロックに対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図18】部分的に落とし込みスリットを有する水路ブロックに対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図19】暗渠型水路ブロックに対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図20】頂面が傾斜して端部に切欠部を形成した暗渠型水路ブロックに対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図21】歩道路面用平板ブロックに対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図22】インターロッキングブロックに対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図23】歩車道境界ブロックに対する本発明の構成状態を示した斜面図である。
【図24】本発明のさらに別の構成例を示した斜面図である。
【図25】本発明のさらに別の構成例を示した斜面図である。
【図26】本発明のさらに別の構成例を示した斜面図である。
【図27】本発明のさらに別の構成例を示した斜面図である。
【図28】図24のものを側溝蓋に採用した態様についての1例を示した平面図である。
【図29】本発明によるものを複合して採用した、設定状態の一例である。
【図30】本発明のさらに別の構成例を示すもので、突出部に代えて粗面化層を形成したものの断面図である。
【図31】本発明のさらに別の構成例を示すもので、突出部に代えてゴムチップ層を形成したものの断面図である。
【図32】本発明のさらに別の構成例を示すもので、突出部に代えて塗布層を形成したものの断面図である。
【図33】ゴムチップ層あるいは塗布層を部分的に採用することで、モザイク状の絵としたものの1例である。
【図34】ゴムチップ層あるいは塗布層を部分的に採用することで、モザイク状の絵としたものの別の1例である。
【図35】ゴムチップ層あるいは塗布層を部分的に採用することで、モザイク状の絵としたもののさらに別の1例である。
【図36】突出部を部分的に採用することで、モザイク状の絵としたものの1例である。
【図37】ゴムチップ層あるいは塗布層を部分的に採用することで、モザイク状の絵としたもののさらに別の1例である。
【図38】ゴムチップ層あるいは塗布層を部分的に採用することで、モザイク状の絵としたもののさらに別の1例である。
【図39】ゴムチップ層あるいは塗布層によるモザイク状の絵を、門型側溝の梁部分に採用したものの平面図である。
【図40】ゴムチップ層あるいは塗布層によるモザイク状の絵を、門型側溝の蓋部分に採用したものの平面図である。
【図41】ゴムチップ層あるいは塗布層によるモザイク状の絵を、門型側溝の表面全面に採用したものの平面図である。
【図42】突出部によるモザイク状の絵を、U型側溝蓋の表面全面に採用したものの平面図である。
【図43】本発明を採用して、幾何学模様を表したものの1例である。
【図44】本発明を採用して、幾何学模様を表したものの別の1例である。
【図45】本発明を採用して、幾何学模様を表したもののさらに別の1例である。
【図46】本発明を採用して、幾何学模様を表したもののさらに別の1例である。
【符号の説明】
1 側溝蓋
2 U型側溝
3 門型側溝
4 落とし込み型水路ブロック
5、5a 暗渠型水路ブロック
6 平板型路面ブロック
7 インターロッキングブロック
8 歩車道境界ブロック
9 タイル状突出板面
10、10a、10b 突出部
11 手掛け部
12 溝状部
13 立ち上がり部
14 上面
15 開口部
16 頂面
17 中央開口部
18、18a 落とし込みスリット
19 切欠部
20 水膜
21 滑り止め加工
22 ゴムチップ層
23 塗布層
24 黒色の塗布層
25 緑色の塗布層
26 赤色の塗布層
27 青色の塗布層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 歩行または車両走行路面を形成するためのコンクリート製品であって、その表面に、方形や円形またはその他適宣の形状をしたタイル状突出板面、あるいは周囲を凹状溝とした板状体を形成し、該突出板面や板状体表面に複数個の突出部を配設したり、粗面化層または接着性塗料を用いた粉状材層、あるいはゴム質材層を形成したことを特徴とする路面形成用コンクリート製品。
【請求項2】 タイル状突出板面や板状体の表面に、モザイク状の記号や数字、シンボルマーク、あるいは花や虫、動物や舟等の絵や、各種の幾何学模様として形成したことを特徴とする請求項1に記載の路面形成用コンクリート製品。
【請求項3】 光触媒作用を持つ粉末もしくは粒状の酸化チタンを混入し、大気中に含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物、および悪臭物質や有機ハロゲン化合物などの有害ガスを、酸化還元反応により無害化することを特徴とする請求項1〜2の何れか1つに記載した路面形成用コンクリート製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図24】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図21】
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【図22】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図32】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図23】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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