説明

踏板フレーム及び料金収受システム

【課題】車両の押圧や軸重の検出精度を低下させることなく、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を実現することが可能な踏板フレームを提供する。
【解決手段】車両用有料施設における通行処理用の通路を走行する車両の押圧を検知する踏板10を通路に固定するための踏板フレーム20を、通路に埋設されて踏板を収容可能とされたフレーム本体21と、該フレーム本体21における車両進行方向両端に設けられ、通路を走行する車両の軸重を測定する軸重計24とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有料道路や駐車場等の車両用有料施設の料金所において車両の押圧を検知する踏板を設置するための踏板フレーム、及び、上記踏板を備えた料金収受システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所ゲートにおいて、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection Sysem)が導入されている。このETCによる料金収受方法は、車両に搭載された車載器にセットしたICカードと料金所に設置された料金収受システムのアンテナとの間で無線通信を行うことで当該車両の車両特定情報を取得し、通行料金を収受するものである。
【0003】
この料金収受システムにおける料金所の通行処理用の通路には、車両の進入検知を行うための踏板が設けられている(例えば特許文献1参照)。この踏板は、通路に埋設されており、内部に設けられた接点体が車両に重量によって短絡されることで当該車両の押圧を検知する。押圧の有無を示す押圧信号は料金収受システムの車線サーバに出力され、車線サーバは押圧信号に基づいて車両の進入検知や前後進検知を行う。
【0004】
また、この他、車両における車輪の左右間の距離(トレッド)を検知可能な踏板も知られている(例えば特許文献2参照)。
このような踏板によって検出される車両の押圧に基づく情報(以下、踏板検出情報と称する)は、アンテナが取得する車両特定情報と車線サーバにて紐付けられ、有料道路の円滑な運用に供されている。
【0005】
一方、有料道路の料金所の手前には、上記料金収受システムとは別個に軸重計が設けられている(例えば特許文献3参照)。この軸重計は、道路保全等の目的から、通行する車両の軸重を測定してその過積載の可能性有無を判定するものである。
また、車両の軸重を歪ゲージ等の感圧センサで検出するとともに当該検出された軸重情報に基づいて車両の軸数やトレッド、前後進等の踏板検出情報を取得可能な踏板も知られている(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2941650号公報
【特許文献2】特開昭61−166688号公報
【特許文献3】特開2008−039489号公報
【特許文献4】特開平07−225891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、現状の道路交通システムでは、料金収受システムにおける踏板と軸重計とは車両進行方向にある程度離間して配置されて別個独立に管理されている。したがって、例えば車両の軸重情報を料金収受システムで一括して管理しようとした場合、アンテナが取得する車両特定情報と軸重計が取得する軸重情報とを紐付けての一元的な管理が困難であるという問題があった。
【0008】
即ち、例えば先行車両が軸重計を一旦通過した後に後退して別のレーンに移動した場合、アンテナによって取得される後続車両の車両特定情報が先行車両の軸重情報と紐付けられてしまうおそれがある。また、大型トレーラー等のように軸数が多く車長の大きな車両の場合、最後輪の軸重情報が後続車両の車両特定情報と紐付けられてしまうおそれがある。よって、いかなる車両が過積載の可能性があるかの特定を誤るおそれがあり、車両特定情報と軸重計とを紐付けての一元的な管理が困難であった。
【0009】
ここで、例えば特許文献4に記載の踏板のように、車両の軸重情報も検出することが可能な踏板ならば、当該軸重情報とアンテナが取得する車両特定情報との一元的な管理を行うことができるとも考えられる。
【0010】
ところが、この特許文献4に記載の踏板では、例えば特許文献1に記載のような接点体を備えた踏板と比較して処理が複雑となるため、信頼性や寿命が不足するという欠点がある。また、特許文献4に記載の踏板はそもそも過積載を検出することを想定していないため、車両から過剰な軸重が作用した際にはその軸重計測を適切に行うことができないおそれがある。
したがって、特許文献4に記載の踏板では、過積載判定をできるだけの軸重の計測精度を担保しつつ車両の押圧の検知を信頼性高く行うことができないという問題がある。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、車両の押圧や軸重の検出精度を低下させることなく、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を実現することが可能な踏板フレーム、及び、料金収受システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る踏板フレームは、車両用有料施設の通行処理用の通路を走行する車両の押圧を検知する踏板を、前記通路に設置するための踏板フレームであって、前記通路に埋設されて前記踏板を収容可能とされたフレーム本体と、該フレーム本体の車両進行方向両端の少なくとも一方に一体に設けられ、前記通路を走行する車両の軸重を測定する軸重計とを備えることを特徴としている。
【0013】
このような特徴の踏板フレームによれば、車両の押圧を検出する踏板と車両の軸重を検出する軸重計とをそれぞれ別体として構成しながらも、これら踏板と軸重計とを一体的に配置することができる。これにより、通路を走行する車両に踏板と軸重計とを連続的に通過させることができる。
【0014】
また、本発明に係る踏板フレームにおいて、前記フレーム本体は、前記通路に形成された凹部の底面に敷設される底板部と、該底板部の車両進行方向両端から立ち上がり前記踏板に対して車両進行方向両側から当接する一対の端板部とを有し、前記軸重計は、前記一対の端板部の少なくとも一方の上端から前記踏板フレームの外側に張り出す受圧板部と、該受圧板部に設けられ、該受圧板部に対して下方に向かって作用する荷重を検出する荷重検出素子とを有することが好ましい。
【0015】
踏板フレームが底板部と端板部とから構成されているため、踏板を通路に対して強固に固定することができる。また、フレーム本体の端板部に一体に設けられた受圧板部に作用する車両の荷重を荷重検出素子が検出することで、車両の軸重を容易に検出することができる。そして、このように踏板及び軸重計が踏板フレームに一体に設けられることで、通路を走行する車両に踏板と軸重計とを連続的に通過させることができる。
【0016】
また、本発明に係る踏板フレームにおいて、前記受圧板部は、下方に向かって変位可能とされ、前記荷重検出素子は、歪ゲージであることが好ましい。
これによって、フレーム本体に一体に設けられた軸重計によって確実に車両の軸重を検出することができる。
【0017】
さらに、本発明に係る踏板フレームは、前記受圧板部に、前記通路の幅方向に延びるスリットが形成されていることが好ましい。
これによって、踏板を固定するために剛とされたフレーム本体に一体に設けられた受圧板を下方に向かって容易に変形可能とすることができる。即ち、受圧板部にスリットを形成することで該スリットの剛性を低下させることができる。したがって、上記歪ゲージによる荷重の測定をより確実に行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る踏板フレームにおいては、前記軸重計が、前記受圧板部の下面に接触する弾性材を有することが好ましい。
ここで、例えば受圧板部の下方への変位を許容すべく当該受圧板部の下方に空間を設けた場合、当該空間に雨水や埃等が蓄積することになるため、メンテナンスの観点からは好ましくない。これに対して本発明では、受圧板部に下方に向かって荷重が作用した際には弾性材が弾性変形することで当該受圧板部の下方への変位を許容する構成のため、受圧板部の下方に空間を設ける必要はない。したがって、メンテナンス性を向上させることができる。また、受圧板部に作用する荷重による衝撃を当該弾性材が緩和するため、受圧板部の耐衝撃性を向上させることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る踏板フレームは、前記軸重計が、前記受圧板部の上面に設けられたブロック材を有することが好ましい。
走行する車両が上記ブロック材上を通過することで、当該車両の荷重によって受圧板部をより確実に下方に向かって変位させることができる。
【0020】
本発明に係る料金収受システムは、車両用有料施設に設置され、当該有料施設の利用料金を収受する料金収受システムであって、上記のいずれかの踏板フレームと、該踏板フレームの前記フレーム本体に収容され、車両の押圧を内部に設けられた接点体の短絡によって検知する踏板とを備えることを特徴とする。
【0021】
このような特徴の料金収受システムによれば、車両の押圧を検出可能な踏板と車両の軸重を測定する軸重計とをそれぞれ別体として構成しながらも、これら踏板と軸重計とを一体的に配置することができる。これにより、通路を走行する車両に、踏板と軸重計とを連続的に通過させることができる。
【0022】
また、本発明に係る料金収受システムは、車両用有料施設に設置され、当該有料施設の利用料金を収受する料金収受システムであって、前記車両用有料施設の通行処理用の通路に埋設されたフレーム本体と、該フレーム本体に収容され、車両の押圧を内部に設けられた接点体の短絡によって検知する踏板と、前記通路における前記フレーム本体の車両進行方向前後の少なくとも一方において当該フレーム本体の近傍に設けられ、前記通路を走行する車両の軸重を測定する軸重計とを備えるものであってもよい。
【0023】
このような特徴の料金収受システムによれば、踏板と軸重計とを互いに近傍に配置したため、通路を走行する車両に踏板と軸重計とを連続的に通過させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の踏板フレーム及び料金収受システムによれば、踏板と軸重計とを別個に設けることができるため、踏板や軸重計の計測精度を低下させることはない。さらに、通路を走行する車両は踏板と軸重計とを連続的に通過することになるため、例えば先行車両の軸重が後続車両の車両特定情報に紐付けられることを回避することができる。したがって、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の料金収受システムの概略構成を示す平面図である。
【図2】踏板及び踏板フレームの縦断面図である。
【図3】踏板フレームの一部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る踏板フレーム及び料金収受システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、料金収受システム1は、例えば有料道路の料金所におけるアイランドの間の通行処理用の通路に設けられており、踏板フレーム20内に収容された踏板10と、第一車両検知器2と、第二車両検知器3と、第三車両検知器4と、第一アンテナ5と、第二アンテナ6と、発進制御機7と、路側表示器8と、料金収受システム1の各装置を制御する車線サーバ(図示省略)とを備えている。
【0027】
踏板10は、図1に示すように、通路の入り口において該通路の幅方向に延在するように設置されている。
この踏板10は、図2に示すように、通路幅方向を長手方向とするとともに車両進行方向を短手方向とした平面視矩形状をなして上下方向に所定の厚みを有する踏板本体11を備えている。この踏板本体11は、ゴム等の弾性体により形成されており、その内部には、通路幅方向に延在する空洞部12が車両進行方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)形成されている。また、この踏板10の上面における各空洞部12に対応する箇所には、上方に突出するとともに通路幅方向に延在する複数(本実施形態では4つ)の突条11aが形成されている。
【0028】
また、上記4つの空洞部12には、それぞれ接触型センサ13が設けられている。この接触型センサ13は、上下に離間して配置された一対の接点体を備えており、当該接点体が短絡することによって車両の押圧を検知する。この接触型センサ13によって検知される車両の押圧の有無を示す押圧信号は車線サーバに出力される。車線サーバは、この押圧信号に基づいて、軸数、トレッド(車両における車輪の左右間の距離)や車両の前後進等の踏板検出情報を検出する。
【0029】
第一車両検知器2、第二車両検知器3及び第三車両検知器4は、 図1に示すように、通路を挟んで対向するようにして該通路の両側に設置される一対の光センサから構成されており、これら一対の光センサの間の空間が通光状態であるか遮光状態であるかを示す車両検知信号を車線サーバに出力する。なお、車線サーバは、車両検知信号が通光状態から遮光状態に遷移することで車両の進入を検出し、車両検知信号が遮光状態から通光状態に遷移することで車両の通過を検出する。
【0030】
第一車両検知器2は、通路の車両進行方向において踏板10と略同一の位置に設置されている。また、第二車両検知器3は、第一車両検知器2より車両進行方向前方側に設置されており、第三車両検知器4は、第二車両検知器3よりもさらに車両進行方向前方側に設置されている。
【0031】
第一アンテナ5は、通路を走行する車両に搭載された車載器との通信を行い、車線サーバの制御によって車載器から車両を特定する車両特定情報を読み出す。この第一アンテナ5は、第二車両検知器3と車両進行方向に隣接するように該第二車両検知器3の車両進行方向前方側に設置されており、第一車両検知器2と第二車両検知器3との間の範囲を通信領域とする。
【0032】
第二アンテナ6は、通路を走行する車両に搭載された車載器との通信を行い、車線サーバの制御によって、踏板10により計数された車軸数を用いて決定した車種情報を車載器に書き込む。
【0033】
発進制御機7は、第三車両検知器4の車両進行方向後方に設置されており、通路を開閉自在に設置された阻止棒を備えている。この発進制御機7は、車線サーバの制御によって阻止棒を開閉することで、通路を開放又は閉鎖する。
路側表示器8は、車線サーバの制御によって車両の運転者に通知する情報を表示する。
【0034】
次に、上記踏板10を設置するための踏板フレーム20について説明する。この踏板フレーム20は、フレーム本体21と軸重計24とを備えており、通路の入り口に形成された凹部40内に設置されている。なお、当該凹部40は、通路幅方向にわたって延在する矩形穴状の第一凹部41と、該第一凹部41の車両進行方向両側において通路幅方向にわたって延在する矩形穴状の第二凹部42とから形成されている。なお、この第二凹部42の深さは第一凹部41よりも小さく設定されている。
【0035】
フレーム本体21は、図2及び図3に示すように、上記踏板フレーム20を収納可能な平面視矩形状の有底箱状をなしており、例えば鋼材等の剛性の高い材料から形成されている。このフレーム本体21は、該フレーム本体21の高さと略同一の深さを有する第一凹部41内に設置されている。
より具体的には、このフレーム本体21は、上記第一凹部41の底面に敷設される底板部22と、該底板部22の車両進行方向両端から立ち上がる一対の端板部23と、底板部22の通路幅方向両端から立ち上がる一対の側板部21aとによって構成されている。
【0036】
底板部22の上面には、踏板10の下面が載置される。また、端板部23は車両進行方向両側から踏板10に当接し、側板部21aは通路幅方向両側から踏板10に当接する。また、端板部23及び側板部21aの底板部22からの高さは踏板10の厚みと略同一とされている。これによって、底板部22、端板部23及び側板部21aからなる踏板フレーム20の内部空間に踏板10が隙間無く収容可能とされている。また、このように踏板フレーム20に踏板10が収容された状態では、端板部23及び側板部21aの上端と踏板10の上面は通路の路面と略面一とされて該路面状に露呈している。
【0037】
軸重計24は、フレーム本体21における車両進行方向前後において第二凹部42内に収納されるようにしてフレーム本体21に一体に設けられている。この軸重計24は、受圧板部25と、歪ゲージ(荷重検出素子)28と、弾性材29とを備えている。
【0038】
受圧板部25は、フレーム本体21の一対の端板部23の上端から該フレーム本体21の外側に張り出すように該フレーム本体21に一体に設けられている。
即ち、一対の受圧板部25のうち車両進行方向後方側の端板部23と一体とされた一方の受圧板部25は、端板部23の通路幅方向全域にわたるように車両進行方向後方側に向かって張り出している。また、一対の受圧板部25のうち車両進行方向前方側の端板部23と一体とされた他方の受圧板部25は、この端板部23の通路幅方向全域にわたるように車両進行方向後方側に向かって張り出している。これら一対の受圧板部25は、それぞれ平面視矩形状をなす板状とされており、例えば鋼材によってフレーム本体21の端板部23と一体成形されていることが好ましい。
【0039】
この受圧板部25には、該受圧板部25を上下に貫通して通路幅方向に延在するスリット26が形成されている。本実施形態では特に、通路の左右においてそれぞれ車両進行方向に間隔をあけて一対のスリット26が形成されており、即ち、計4つのスリット26を備えている。
【0040】
また、受圧板部25の上面における車両進行方向に離間する一対のスリット26の間には、例えば金属や硬質ゴムからなるブロック材27が固定されている。このブロック材27は、その長手方向の寸法がスリット26の延在方向の寸法と略同一とされるとともに短手方向の寸法が車両進行方向に離間するスリット26同士の間隔よりも短い平面視矩形状をなしており、受圧板部25の上面から所定の高さで突出するように配置されている。
【0041】
歪ゲージ28は、例えば絶縁体上に金属の抵抗体を蛇行状に形成することで構成されており、変形による電気抵抗の変化に基づき歪量を検出することができるようになっている。この歪ゲージ28は、受圧板部25の下面に一体に設けられており、本実施形態では、受圧板部25の左右それぞれにおける車両進行方向に離間するスリット26の間の領域に設けられている。これにより、歪ゲージ28は、車両の軸重による受圧板部25の下方への変位に基づく歪量を検出する。
【0042】
ここで、受圧板部25の下方への変位は、該受圧板部25に下方に向かって作用する荷重、即ち、車両の軸重の値に応じて大きくなる。したがって、歪ゲージ28が検出する歪量は車両の軸重に対応しており、歪ゲージ28はこの歪量を車両の軸重情報として車線サーバに出力する。また、特に本実施形態においては、歪ゲージ28が受圧板部25の左右に別個に設けられているため、車両の左右の軸重がそれぞれ軸重情報として車線サーバに出力される。
【0043】
弾性材29は、例えばシリコン等の弾性を有する材料からなる部材であって、上記受圧板部25と第二凹部42の底面との間の空間を充填するように設けられている。これにより、受圧板部25の下面及び歪ゲージ28は、当該弾性材29に接触した状態とされている。なお、この弾性材29が受圧板部25のスリット26内にも充填されていてもよい。
【0044】
次に、このような踏板フレーム20を備えた料金収受システム1の動作及び処理について説明する。
料金収受システム1の通路に車両が進入すると、まず第一車両検知器2の光センサが遮光状態とされることで車線サーバが車両の進入を検知する。これと同時に、車両が車両進行方向前方側の軸重計24、踏板10、車両進行方向後方側の軸重計24上を順次通過し、一対の軸重計24による車両の軸重情報と踏板10による押圧信号が車線サーバに出力される。
【0045】
この際、車線サーバは、踏板10の押圧信号に基づいて車軸数を計数する。即ち、車線サーバは、第一車両検知器2により車両の進入が検知されている間の押圧信号の出力数を車両の車軸数として計数する。そして、車線サーバは、例えば、車軸数が「2」の場合に「普通車」であると判定し、車軸数が「3」または「4」の場合に「大型車」であると判定し、車軸数が「5」以上の場合に「特大車」であると判定する。
【0046】
さらに、車線サーバは、軸重計24の軸重情報に基づいて車両の総重量を算出する。即ち、車線サーバは、第一車両検知器2により車両の進入が検知されている間における一対の軸重計24それぞれによる軸重情報のピークを各軸重計24毎に加算することによって、車両の総重量を算出する。
この車両の総重量が予め定めた閾値を超えた結果、車線サーバが過積載であると判断した場合、車線サーバは路側表示器8に過積載である旨の表示情報を出力し、路側表示器8は当該表示情報を画面に表示する。
【0047】
上記第一車両検知器2による車両の進入の検知によって、第一アンテナ5が起動される。この第一アンテナ5は車両の車載器と通信を行い、車載器に挿入されたICカードが記憶する車両特定情報等を取得して車線サーバに送信する。車線サーバは、この車両特定情報を軸重情報と紐付けて管理する。
【0048】
次いで、車両が進行して第二車両検知器3の光センサが遮光状態とされると、車線サーバは、車両特定情報等が正常であるか否かを判定し、正常であると判定した場合には、正常時処理を実行する。即ち、車線サーバは発進制御機7に開放命令を出力し、発進制御機7は当該開放命令に基づいて通路を開放する。また、車線サーバは、路側表示器8に通行を許可する旨を示す表示情報を出力し、路側表示器8は、当表示情報を画面に表示する。
【0049】
そして、進行する車両が第三車両検知器4の光センサを遮光状態とした際、車線サーバは路側表示器8に消灯命令を出力し、これに基づいて路側表示器8は画面を消灯する。さらに車両が第三車両検知器4の光センサの照射範囲を通過して当該光センサが通光状態となった場合、車線サーバは発進制御機7に閉鎖命令を出力し、発進制御機7は当該閉鎖命令に基づいて阻止棒を下げて通路を閉鎖する。その後、第二アンテナ6が車両の車載器と通信を行い、踏板10により計数された車軸数を用いて決定した車種情報を車載器に書き込む。
一方、車線サーバが車両特定情報等が異常であると判定した場合には、車線サーバは異常時処理を実行し、車線サーバによる通路の閉鎖状態を維持する。
【0050】
以上のような料金収受システム1においては、軸重計24が一体に設けられた踏板フレーム20のフレーム本体21に踏板10を収容しているため、車両の押圧を検出する踏板10と車両の軸重を検出する軸重計24とをそれぞれ別体として構成しながらも、これら踏板10と軸重計24とを一体的に配置することができる。
即ち、踏板10と軸重計24とを別個に設けることができるため、例えば踏板10の機能と軸重計24との機能とを一体化したものに比べて、車両の押圧や軸重の計測精度を担保することができる。
さらに、通路を走行する車両に踏板10と軸重計24とを連続的に通過させることができるため、例えば車線サーバにて先行車両の軸重が後続車両の車両特定情報に紐付けられることを回避することができる。したがって、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を実現することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態においては、踏板フレーム20が底板部22と端板部23とを備えているため、踏板10を通路に対して強固に固定することができる。また、フレーム本体21の端板部23に一体に設けられた受圧板部25に作用する車両の荷重、即ち、受圧板部25の変位を歪ゲージ28が検出することで、当該車両の軸重を容易に検出することができる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る踏板フレーム20には、受圧板部25に通路の幅方向に向かって延びるスリット26が形成されているため、剛とされたフレーム本体21に一体に設けられた受圧板部25の剛性を低下させることができ、当該受圧板部25を下方に向かって容易に変形可能とすることができる。したがって、上記歪ゲージ28による荷重の測定をより確実に行うことができる。
【0053】
ここで、例えば受圧板部25の下方への変位を許容すべく当該受圧板部25の下方に空間を設けた場合、当該空間に雨水や埃等が蓄積することになるため、メンテナンス上好ましくない。これに対して、本実施形態では、受圧板部25に下方に向かって荷重が作用した際には弾性材29が弾性変形することで当該受圧板部25の下方への変位を許容する構成のため、受圧板部25の下方に空間を設ける必要はなく、メンテナンス性を向上させることができる。また、受圧板部25に作用する荷重による衝撃を当該弾性材29が緩和するため、受圧板部25の耐衝撃性を向上させることができる。
【0054】
さらに、受圧板部25の上面にブロック材27が設けられているため、走行する車両がブロック材27上を通過することで、当該車両の荷重によって受圧板部25をより確実に下方に向かって変位させることができる。即ち、ブロック材27によって車両の軸重が分散されるため、当該ブロック材27の設置箇所全域に荷重を均一に作用させることができる。これによって、受圧板部25を適切に下方に向かって変位させることが可能となる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、実施形態においては荷重検出素子として歪ゲージ28を用いた例について説明したが、これに限定されることはなく、受圧板部25に与えられる荷重を検出可能であれば他の荷重検出素子、例えばロードセル、感圧シート等を用いてもよい。
【0056】
また、踏板フレーム20における軸重計24は、フレーム本体21の車両進行方向の両側に設けられていなくともよく、フレーム本体21の車両進行方向の少なくとも一方側に設けられていればよい。
【0057】
さらに、実施形態の料金収受システム1では、軸重計24がフレーム本体21と一体的に構成されていたが、軸重計24がフレーム本体21とは別体として設けられていてもよい。この場合、軸重計24は、通路におけるフレーム本体21の車両進行方向前後の少なくとも一方において当該フレーム本体21の近傍に設けられていることが好ましい。これによって、通路を走行する車両に軸重計24と踏板10とを連続的に通過させることが可能となる。
【0058】
さらにこの場合、車両の進入が第一車両検知器2によって検出されている間に当該車両の軸重が軸重計24によって検出可能なように、軸重計24の設置箇所を設定することが好ましい。これによっても実施形態同様、軸重計24により取得された先行車両の軸重情報が後続車両の車両特定情報に紐付けられることを回避することができるため、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を行うことが可能となる。
【0059】
なお、実施形態では、軸重計24における受圧板部25の下方に弾性材29を設けたが、当該弾性材29は必ずしも設けなくともよい。即ち、受圧板部25の下方への変位を許容可能な構成であればよい。
【0060】
また、実施形態においては、受圧板部25にスリット26を形成することで該受圧板部25を下方に変位し易くさせたが、例えばフレーム本体21と一体に成形した受圧板部25の厚みをフレーム本体21よりも減少させることによって受圧板部25を下方に向かって変位し易くしてもよい。これにより、フレーム本体21の剛性を確保しながら受圧板部25を変位可能とすることができる。さらに、受圧板部25を構成する材料としてフレーム本体21よりも剛性の低い材料を用いることで、該受圧板部25を下方に向かって変位し易くしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 料金収受システム
2 第一車両検知器
3 第二車両検知器
4 第三車両検知器
5 第一アンテナ
6 第二アンテナ
7 発進制御機
8 路側表示器
10 踏板
11 踏板本体
11a 突条
12 空洞部
13 接触型センサ
20 踏板フレーム
21 フレーム本体
22 底板部
23 端板部
21a 側板部
24 軸重計
25 受圧板部
26 スリット
27 ブロック材
28 歪ゲージ
29 弾性材
41 第一凹部
42 第二凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用有料施設の通行処理用の通路を走行する車両の押圧を検知する踏板を、前記通路に設置するための踏板フレームであって、
前記通路に埋設されて前記踏板を収容可能とされたフレーム本体と、
該フレーム本体の車両進行方向両端の少なくとも一方に一体に設けられ、前記通路を走行する車両の軸重を測定する軸重計とを備えることを特徴とする踏板フレーム。
【請求項2】
前記フレーム本体は、
前記通路に形成された凹部の底面に敷設される底板部と、
該底板部の車両進行方向両端から立ち上がり前記踏板に対して車両進行方向両側から当接する一対の端板部とを有し、
前記軸重計は、
前記一対の端板部の少なくとも一方の上端から前記踏板フレームの外側に張り出す受圧板部と、
該受圧板部に設けられ、該受圧板部に対して下方に向かって作用する荷重を検出する荷重検出素子とを有することを特徴とする請求項1に記載の踏板フレーム。
【請求項3】
前記受圧板部は、下方に向かって変位可能とされ、
前記荷重検出素子は、歪ゲージであることを特徴とする請求項2に記載の踏板フレーム。
【請求項4】
前記受圧板部に、前記通路の幅方向に延びるスリットが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の踏板フレーム。
【請求項5】
前記軸重計が、
前記受圧板部の下面に接触する弾性材を有することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の踏板フレーム。
【請求項6】
前記軸重計が、
前記受圧板部の上面に設けられたブロック材を有することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の踏板フレーム。
【請求項7】
車両用有料施設に設置され、該有料施設の利用料金を収受する料金収受システムであって、
請求項1から6のいずれか一項に記載の踏板フレームと、
該踏板フレームの前記フレーム本体に収容され、内部に設けられた接点体の短絡によって車両の押圧を検知する踏板とを備えることを特徴とする料金収受システム。
【請求項8】
車両用有料施設に設置され、当該有料施設の利用料金を収受する料金収受システムであって、
前記車両用有料施設の通行処理用の通路に埋設されたフレーム本体と、
該フレーム本体に収容され、内部に設けられた接点体の短絡によって車両の押圧を検知する踏板と、
前記通路における前記フレーム本体の車両進行方向前後の少なくとも一方において当該フレーム本体の近傍に設けられ、前記通路を走行する車両の軸重を測定する軸重計とを備えることを特徴とする料金収受システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−185530(P2012−185530A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46210(P2011−46210)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】