身体装身具とその製造方法
【課題】帯状シリコーンエラストマー装身具の両端部を、短時間で確実に結合できるようにして環状装身具にした身体装身具とその製造方法の提供。
【解決手段】本発明の身体装身具は、身体に接触して取り付けられる装身具であって、帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具1と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具1を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具1の両端部2に充填される結合部材6とからなり、前記両端部に充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具11を成形することを特徴とする。
【解決手段】本発明の身体装身具は、身体に接触して取り付けられる装身具であって、帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具1と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具1を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具1の両端部2に充填される結合部材6とからなり、前記両端部に充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具11を成形することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に直接接触する身体装身具に関する。更に詳しくは、帯状のシリコーンエラストマーによる身体装身具を容易に環状にすることのできる身体装身具とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装身具は古来から色々な形態のものが知られている。装身具は、その形態により、種々の材料を使用し、又その加工方法も種々雑多である。更に、種々にデザインされその形態は多様化されている。身体に直接接触する装身具としては、ブレスレット、ネックレス、ブローチあるいはウォッチレット等の時計バンド等が知られている。その材質は、皮膚への接触性がよく、伸縮がよく、又製造がし易いことから、合成樹脂やゴム製のものが大半であり、例えば、シリコーンエラストマーのものが広く知られ使用されている。
【0003】
又、手首や首につけるこれらの装身具は、特に環状のものが使用される。この環状形態は、帯状の装身具の場合は、その原形体のものを環状に変形させ端部を何らかの方法で固着し環状装身具としたもの、また製造当初から例えば輪状のシリコーンエラストマーを成形により製造したもの等が知られている。ブレスレットを例にあげると、環状に変形させ端部を何らかの方法で固着し環状装身具としたものは、端部の結合部分を留め用連結部にして着脱自在にして取り付け、取り外しのできる構成した例(例えば特許文献1参照)が知られている。
【0004】
又、ゴム芯入り組紐リングの例であるが、両端に接着剤を塗布して接合する例(例えば特許文献2参照)も知られている。更に、成形により輪状に一体化した例としては、装身具内部に宝石を入れたブレスレット、多色プレス成形されたブレスレット、ゴム製のブレスレット等(例えば、特許文献3、4,5参照)が知られている。さらに変形例として、着脱を容易に螺旋状にしたブレスレット(例えば特許文献6参照)も知られている。更に時計バンド等のものも装身具の一種としてその例(例えば特許文献7,8参照)が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−147号公報
【特許文献2】登録実用新案第3061632号公報
【特許文献3】登録実用新案第3128274号公報
【特許文献4】特開2003−340855号公報
【特許文献5】特許第3847243号公報
【特許文献6】特開2000−236921号公報
【特許文献7】特開平7−8308号公報
【特許文献8】特開平6−312434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、古来から種々の身体装身具は知られているが、例えばブレスレット等の装身具は前述のように環状製品である場合が多い。この装身具において、環状サイズは、身体のサイズあるいは個人の好みに応じて種々ある。一体化された輪状の環状ブレスレットは、個人のサイズにぴったり合えば問題ないが、合わない場合は異なるサイズの適合するブレスレットを選択することになる。
【0007】
この場合商品として扱う場合、必然的にサイズの種類が多くなり、又、これを製造するためにはサイズ毎の金型を必要とし、その金型のコストも高くなる。サイズの種類を少なくして限定すると、環状サイズの余裕を持ったブレスレットは、例えば身体に合わず大きい場合には外れやすくなる不具合が生じる。このためブレスレット等身体に接触させて取り付ける装身具は、ある程度身体に合致させるサイズのものにするのが理想である。
【0008】
又、一体化された輪状の環状ブレスレットは、製造工程上皮膚接触側又はこの裏面である外側とで異なる模様や、異なる機能を有するシリコーンエラストマー層を配置することができなかった。従って、例えば、皮膚接触側にのみ健康促進によいとされるチタン微粉末を混入したシリコーンエラストマー層を有するのは、困難であった。
【0009】
又、帯状の装身具を環状に変形させ端部を固着させて使用するタイプのものは、その着脱動作が煩わしく通常は一度固着するとそのままにしておくのが一般的である。着脱を繰り返すと、固着状態が緩くなり、外れやすくなる。従って、例えば帯状のブレスレット原形体を環状にしたブレスレットであっても、その端部は完全に固着されたものがよいのである。端部の固着方法において、前述のように接着剤で固着する方法等が開示されているが、完全な固着形態ではない。
【0010】
又、射出接着はブレスレットが比較的小さい製品であり、環状になっていることと、接着方法は簡易的でなければならない等から、従来技術ではその端部の接着が複雑装置を使用することもあって実用上の接着は困難であった。しかし帯状装身具そのものはその製造は簡易であり、種々の形状等多様化したものを製造し易いことから、帯状のものをベースに簡易に固着された環状ブレスレット等の装身具が製造できることが理想であり、その製造が望まれていた。更に、幅広のブレスレット等は成形で一体化のものを製造するのが難しいこともあり、帯状のものをベースにした環状のものは広く使用されていない。
【0011】
本発明は、以上のような従来の問題点を解決するために創案されたもので、次の目的を達成する。本発明の目的は、帯状シリコーンエラストマー装身具の両端部を短時間で確実に結合できるようにして環状シリコーンエラストマー装身具にした身体装身具とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
即ち、本発明1の身体装身具は、身体に接触して取り付けられる装身具であって、帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具の両端部に充填される結合部材とからなり、前記両端部に充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具を成形することを特徴とする。
【0013】
本発明2の身体装身具は、身体に接触して取り付けられる装身具であって、帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具の一端を凹形状に成形した凹型端部と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具の他の一端を凸形状に成形した凸型端部と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にして、前記凹型端部に前記凸型端部を嵌め込み充填される結合部材とからなり、前記凹型端部に前記凸型端部を嵌め込み充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具を成形することを特徴とする。
【0014】
本発明3の身体装身具は、本発明1又は2において、前記帯状シリコーンエラストマー装身具は、前記環状シリコーンエラストマー装身具を成形したときに装着する人の肌側である前記環状の内側面となる皮膚接触側面と、前記環状シリコーンエラストマー装身具を成形したときに前記皮膚接触側面の反対側の面となる外側面とからなり、前記皮膚接触側面及び/又は前記外側面は、装飾性を有するシリコーンエラストマー層及び/又は健康増進材を混入したシリコーンエラストマー層を埋設して成形されていることを特徴とする。
【0015】
本発明4の身体装身具は、本発明3において、前記シリコーンエラストマー層に混入される健康増進材は、チタン粉末、貝パウダー、炭酸カルシウム及びマグネット粉末から選択される1以上を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明5の身体装身具は、本発明1から4のいずれかにおいて、前記結合部材6の材質は、シリコーンエラストマーであることを特徴とする。
【0017】
本発明6の身体装身具の製造方法は、身体に接触して取り付けられる装身具の製造方法であって、前記結合部材を充填する装身具結合部を有し、前記結合部材を加熱、加圧処理する一対の上金型と下金型において、前記上金型と前記下金型の装身具結合部に前記結合部材を充填させる工程と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具の前記両端部を前記上金型の前記装身具結合部に対向位置に合わせて保持させる工程と、前記上金型と前記下金型の前記装身具結合部に充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して成形する工程とからなる。
【0018】
本発明7の身体装身具の製造方法は、本発明6において、前記加熱、加圧処理して成形する工程は、前記上金型と前記下金型の両方の金型により前記帯状シリコーンエラストマー装身具を挟持状態で加熱、加圧処理する工程であることを特徴とする。
【0019】
本発明8の身体装身具の製造方法は、本発明6又は7において、前記結合部材は、前記装身具結合部の形状に合わせて充填されるシリコーンエラストマーであることを特徴とする。
【0020】
本発明9の身体装身具の製造方法は、本発明6から8のいずれかにおいて、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具の前記両端部を前記上金型の前記装身具結合部に対向位置に合わせて保持させる工程は、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を前記上金型の裏面側を迂回して前記両端部を前記上金型の表面に保持させる工程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の身体装身具の製造方法は、帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にし、その両端部を確実に突合せプレスによる加熱加圧により容易に固着する方法である。この固着方法は、環状であってもプレス固着ができるようになっていて、ブレスレットのような装身具を帯状から端部を相互に対向させ一体化固着し容易に環状体化できるようにした。これにより帯状シリコーンエラストマー装身具を、簡素な構成の金型装置で短時間に端部の確実な固着状態を有する環状シリコーンエラストマー装身具にすることができることとなった。
【0022】
又、本発明の身体装飾具は、一体化された輪状において、皮膚接触側又はこの裏面である外側とで異なる模様や、異なる機能を有するシリコーンエラストマー層を配置することができる。従って、例えば、皮膚接触側にのみ健康促進によいとされるチタン微粉末を混入したシリコーンエラストマー層を有し、外側には装飾を施したシリコーンエラストマー層を有することができる等、要求に応じた使い分けができることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態では、種々ある身体装身具のうち、ブレスレットを例にして説明するが、他の種類の身体装身具であってもよいことはいうまでもない。図1は、対象となる身体装身具の元の原形である帯状シリコーンエラストマー装身具1の平面図である。この帯状シリコーンエラストマー装身具1は、手首に取り付けるブレスレットに適用するもので、シリコーンエラストマーからなり成形され又は切断されたものである。このシリコーンエラストマーは、例えば、シロキサン結合を有する有機ケイ素ポリマーでゴム状の性質を有するものである。
【0024】
これを身体装身具として使用するためには、環状に変形させ両端部2を結合させ輪としなければならない。図2は、この帯状シリコーンエラストマー装身具1を環状に変形させ両端部2を対向して突き合わせた状態を示している。この帯状シリコーンエラストマー装身具1は、両端部2が段差形状になっていて、中心部分が幅狭の凸状部になっている。この帯状シリコーンエラストマー装身具1を環状のブレスレットにするためには、両端部2の幅狭の凸状部を相互に突合せ結合させる必要がある。
【0025】
なお、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、特開2006−147号公報に記載されているようにブレスレットに形成した際の皮膚接触側と外側に装飾や健康増進のために種々の態様をなしている。例えば、皮膚接触側と外側のシリコーンエラストマー層に、貝パウダーや炭酸カルシウムを混入したものや、マグネット粉末を配合し磁気による血行効果を目的としてもよい。また、皮膚接触側と外側とで異なるデザインの装飾のシリコーンエラストマー層を形成しても良いし、異なる機能の健康増進材を混入させても良い。
【0026】
例えば、皮膚接触側と外側とで異なるデザインの装飾が施されていれば、ブレスレットを裏返すことにより、気分に応じてデザインを選ぶことができる。また、異なる機能の健康増進材が混入されている場合、例えば一方が血行効果を有し、もう一方が消臭効果を有する場合には、状況に応じて使い分けることができる。
【0027】
本実施の形態においては、チタン微粉末を混入したシリコーンエラストマー層を皮膚接触側に、シリコーンエラストマーの飾り突条を外側に有するように形成している。このように、皮膚に近い皮膚接触側にチタン微粉末を形成することで、より健康増進効果が期待できるためである。
【0028】
なお、チタン微粉末を混入したシリコーンエラストマー層を皮膚接触側に、シリコーンエラストマーの飾り突条を外側に有するシリコーンエラストマー装身具本体からなる帯状シリコーンエラストマー装身具1を形成するには、押出成形法、射出成形法や圧縮成形法が適用できる。しかし、金型を用いた圧縮成形によって成形するのがよい。
【0029】
すなわち、本実施の形態では、圧縮成形によりシリコーンエラストマー装身具を形成するには、第1工程としてシリコーンエラストマー装身具本体に連続凹部を形成する。第2工程として該連続凹部にチタン微粉末含有シリコーンエラストマー層を埋める。第3工程として別途シリコーンエラストマーの飾り突条を形成する。そして、第4工程として該飾り突条の上に第2工程で得られた装身具本体を載置して加熱加圧して一体化することによって帯状シリコーンエラストマー装身具1を製造することができる。
【0030】
なお、本実施の形態においては、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、断面形状が帯状のものとしているが他の断面形状のものであっても良い。例えば、断面形状が環状、円筒状のものや、楕円状のものでも良い。また、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、装飾のため切れ目を形成したり、特定の形状にくりぬいたりしても良い。例えば、ハートやダイヤの形状にくりぬいたり、特定のアルファベットの形状にくりぬいたりしても良い。
【0031】
次に、両端部の結合方法について説明する。ブレスレット自体は、シリコーンエラストマーであることで種々の形態の製品が成形により可能である。つまり、ブレスレットに成形前は、帯状であるため、皮膚接触側と外側とで同一又は異なる装飾あるいは、機能を有するシリコーンエラストマー層をそれぞれに有することができる。いずれにしても、製品としては、環状体として使用される。本実施の形態は、帯状シリコーンエラストマー装身具1を環状に変形させた身体装身具で、身体に接触させ取り付けて使用するものである。図3、4は、環状に変形して両端部2を突合せた後結合させるための金型構成を示している。図4は、図3のA−A断面図である。この上金型3は板状のものであり、この上金型3の表面には帯状シリコーンエラストマー装身具1を設置するための溝4が設けられている。
【0032】
この溝4の幅は、帯状シリコーンエラストマー装身具1の幅よりやや小さい寸法になっている。帯状シリコーンエラストマー装身具1は弾性変形可能であり、両端部2を対向させて突き合わせ、中間部をこの溝4内に押し付けるように押し込み弾性力に抗して設置する。又、この溝4の中央部分にはやや広く深い窪み5を設けている。突き合わせられた両端部2はこの窪み5の位置に設置される。この状態で帯状シリコーンエラストマー装身具1は、上金型3に位置決め保持されるので、放置しても外れない。
【0033】
この帯状シリコーンエラストマー装身具1を取り付ける前に、この上金型3の窪み5に結合部材6(図3の斜線部)を充填しておく。この結合部材6は帯状シリコーンエラストマー装身具1と同質のシリコーンエラストマーである。従って、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、上金型3に結合部材6を介して設置されることになる。この帯状シリコーンエラストマー装身具1は上金型3に上金型3の裏側を迂回して環状に変形させ、この環状内側に上金型3を抱き込む形で両端部2を上金型3の表面の窪み5に取り付ける。
【0034】
次に、同様構成の下金型7をこの上金型3に位置合わせのうえ重ね合わせる。下金型7にも図示しない同様の溝と窪みが設けられていて、窪みのみに結合部材8が充填される。このようにして帯状シリコーンエラストマー装身具1をこの下金型7を前記の上金型3に重ねて2つの金型で結合部材6,8とともに合わせる。
【0035】
図5、6及び7は、環状に変形して両端部2を突合せた後結合させるための上下金型構成を示している。図5は、金型により帯状シリコーンエラストマー装身具を加熱加圧し結合部分を結合する構成を示す外観図である。図6は、図5の上下金型を熱ブレス板で挟んだ状態のBーB断面図である。図7は、図6のC−C断面図である。図5、6及び7の金型構成に示すように、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、下金型7と前記の上金型3により、サンドイッチ状に挟み込まれる。
【0036】
この状態で金型の外部に設けられた熱プレス板9,10を加熱加圧させると、2つの金型3,7は押圧され、結合部材6,8は加硫して帯状シリコーンエラストマー装身具1の両端部2の周囲を覆う。固化した後、金型3,7を開放すると、帯状シリコーンエラストマー装身具1は両端部2が結合された状態で図8に示す環状シリコーンエラストマー装身具11となる。結合部分は、上金型3の窪み5形状に沿って固化されるので形状が一定した一体形状となる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、帯状シリコーンエラストマー装身具1を、上金型3の裏側を迂回して環状に変形させている。このため、上金型3の裏側に溝3aを設けることで、帯状シリコーンエラストマー装身具1の外側が直接熱プレス板9に触れないようにしている。しかし、上金型3に溝3aを設けず、熱プレス板9に溝を設けても良い。
【0038】
基本的には、このような方法で図8に示すようにブレスレット等の環状シリコーンエラストマー装身具11を製造する。しかし、ブレスレットを使用者のサイズに合わせ微妙に調整しなければならないときは、次のように行うことも可能である。サイズが長い場合は、両端部2の凹凸部の長さを部分的に切断し所定の長さにすることで、やや径の小さい環状ブレスレットにすることができる。逆にサイズが短い場合には、両端部2を上金型3に設置するときに、やや離間させる。結合部材6は離間部分に充填され一体化されるので、このことによりやや径の大きい環状ブレスレットにすることができる。
【0039】
次に製造方法の他の実施の形態について説明する。図9は、帯状シリコーンエラストマー装身具1の両端部2を相互に凹凸形状とし、はめ込むようにさせて上金型3に設置した構成を部分的に示したものである。はめ込まれた状態で結合部材を充填し加熱加圧させ環状シリコーンエラストマー装身具11とする。図9は矩形状にアンダーカット形状にしたもので、両端部2を上金型3にセットしたとき外れ難い構成になり、取り付け位置も安定するので確実な結合状態の環状シリコーンエラストマー装身具11となる。図10は両端部2を、それぞれ凹凸形状の円形にした例である。構成、効果は図9と同様である。
【0040】
図11は、結合部材6を帯状シリコーンエラストマー装身具1の幅内に納まるように両端部2を結合した構成例である。図12は、幅の広い帯状シリコーンエラストマー装身具1に適用可能な構成であるが、両端部2の中心部をアンダーカットの凹溝12にして突合せ、この凹溝12に結合部材13を充填させた例である。この例では結合部材13を装身具の幅内にし、環状シリコーンエラストマー装身具11を結合部分に段差のないストレート形状の装身具にすることができる。結合部材の接触面積を多くするため端部形状を凹凸等の形状にしたが、端部を最も簡素な構成である平坦部とした形状であってもよいことはいうまでもない。
【0041】
又、帯状シリコーンエラストマー装身具1を取り付けた後、下金型7を重ね合わせることで説明したが、この下金型7に代わり、結合部分のみ平板状の簡素な加熱加圧可能な押圧部材とし、加熱加圧させる構成のものであってもよい。このように金型装置は、簡易構成で結合処理も短時間に行うことができるものである。更に、この金型をブレスレット等の販売部門に設置しておけば、顧客が帯状ブレスレットを購入したとき、その直後にこの金型装置を使用し、その場で顧客のサイズに合うように環状ブレスレットを製造し完成品として渡すこともできる。
【0042】
以上、本発明の種々の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、帯状シリコーンエラストマー装身具の平面図である。
【図2】図2は、環状に変形させ端部を突き合わせた帯状シリコーンエラストマー装身具の外観図である。
【図3】図3は、金型構成を部分的に示す平面図である。
【図4】図4は、図3のA−A断面図である。
【図5】図5は、金型により帯状シリコーンエラストマー装身具を加熱加圧し結合部分を結合する構成を示す外観図である。
【図6】図6は、図5の上下金型を熱ブレス板で挟んだ状態のBーB断面図である。
【図7】図7は、図6のC−C断面図である。
【図8】図8は、環状シリコーンエラストマー装身具の外観図である。
【図9】図9は、端部を矩形の凹凸形状にした帯状シリコーンエラストマー装身具の部分平面図である。
【図10】図10は、端部を矩形の円形形状にした帯状シリコーンエラストマー装身具の部分平面図である。
【図11】図11は、結合部をストレート形状にした帯状シリコーンエラストマー装身具の部分平面図である。
【図12】図12は、幅広の帯状シリコーンエラストマー装身具の結合部を示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…帯状シリコーンエラストマー装身具
2…端部
3…上金型
4…溝
5…窪み
6…結合部材
7…下金型
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に直接接触する身体装身具に関する。更に詳しくは、帯状のシリコーンエラストマーによる身体装身具を容易に環状にすることのできる身体装身具とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装身具は古来から色々な形態のものが知られている。装身具は、その形態により、種々の材料を使用し、又その加工方法も種々雑多である。更に、種々にデザインされその形態は多様化されている。身体に直接接触する装身具としては、ブレスレット、ネックレス、ブローチあるいはウォッチレット等の時計バンド等が知られている。その材質は、皮膚への接触性がよく、伸縮がよく、又製造がし易いことから、合成樹脂やゴム製のものが大半であり、例えば、シリコーンエラストマーのものが広く知られ使用されている。
【0003】
又、手首や首につけるこれらの装身具は、特に環状のものが使用される。この環状形態は、帯状の装身具の場合は、その原形体のものを環状に変形させ端部を何らかの方法で固着し環状装身具としたもの、また製造当初から例えば輪状のシリコーンエラストマーを成形により製造したもの等が知られている。ブレスレットを例にあげると、環状に変形させ端部を何らかの方法で固着し環状装身具としたものは、端部の結合部分を留め用連結部にして着脱自在にして取り付け、取り外しのできる構成した例(例えば特許文献1参照)が知られている。
【0004】
又、ゴム芯入り組紐リングの例であるが、両端に接着剤を塗布して接合する例(例えば特許文献2参照)も知られている。更に、成形により輪状に一体化した例としては、装身具内部に宝石を入れたブレスレット、多色プレス成形されたブレスレット、ゴム製のブレスレット等(例えば、特許文献3、4,5参照)が知られている。さらに変形例として、着脱を容易に螺旋状にしたブレスレット(例えば特許文献6参照)も知られている。更に時計バンド等のものも装身具の一種としてその例(例えば特許文献7,8参照)が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−147号公報
【特許文献2】登録実用新案第3061632号公報
【特許文献3】登録実用新案第3128274号公報
【特許文献4】特開2003−340855号公報
【特許文献5】特許第3847243号公報
【特許文献6】特開2000−236921号公報
【特許文献7】特開平7−8308号公報
【特許文献8】特開平6−312434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、古来から種々の身体装身具は知られているが、例えばブレスレット等の装身具は前述のように環状製品である場合が多い。この装身具において、環状サイズは、身体のサイズあるいは個人の好みに応じて種々ある。一体化された輪状の環状ブレスレットは、個人のサイズにぴったり合えば問題ないが、合わない場合は異なるサイズの適合するブレスレットを選択することになる。
【0007】
この場合商品として扱う場合、必然的にサイズの種類が多くなり、又、これを製造するためにはサイズ毎の金型を必要とし、その金型のコストも高くなる。サイズの種類を少なくして限定すると、環状サイズの余裕を持ったブレスレットは、例えば身体に合わず大きい場合には外れやすくなる不具合が生じる。このためブレスレット等身体に接触させて取り付ける装身具は、ある程度身体に合致させるサイズのものにするのが理想である。
【0008】
又、一体化された輪状の環状ブレスレットは、製造工程上皮膚接触側又はこの裏面である外側とで異なる模様や、異なる機能を有するシリコーンエラストマー層を配置することができなかった。従って、例えば、皮膚接触側にのみ健康促進によいとされるチタン微粉末を混入したシリコーンエラストマー層を有するのは、困難であった。
【0009】
又、帯状の装身具を環状に変形させ端部を固着させて使用するタイプのものは、その着脱動作が煩わしく通常は一度固着するとそのままにしておくのが一般的である。着脱を繰り返すと、固着状態が緩くなり、外れやすくなる。従って、例えば帯状のブレスレット原形体を環状にしたブレスレットであっても、その端部は完全に固着されたものがよいのである。端部の固着方法において、前述のように接着剤で固着する方法等が開示されているが、完全な固着形態ではない。
【0010】
又、射出接着はブレスレットが比較的小さい製品であり、環状になっていることと、接着方法は簡易的でなければならない等から、従来技術ではその端部の接着が複雑装置を使用することもあって実用上の接着は困難であった。しかし帯状装身具そのものはその製造は簡易であり、種々の形状等多様化したものを製造し易いことから、帯状のものをベースに簡易に固着された環状ブレスレット等の装身具が製造できることが理想であり、その製造が望まれていた。更に、幅広のブレスレット等は成形で一体化のものを製造するのが難しいこともあり、帯状のものをベースにした環状のものは広く使用されていない。
【0011】
本発明は、以上のような従来の問題点を解決するために創案されたもので、次の目的を達成する。本発明の目的は、帯状シリコーンエラストマー装身具の両端部を短時間で確実に結合できるようにして環状シリコーンエラストマー装身具にした身体装身具とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
即ち、本発明1の身体装身具は、身体に接触して取り付けられる装身具であって、帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具の両端部に充填される結合部材とからなり、前記両端部に充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具を成形することを特徴とする。
【0013】
本発明2の身体装身具は、身体に接触して取り付けられる装身具であって、帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具の一端を凹形状に成形した凹型端部と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具の他の一端を凸形状に成形した凸型端部と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にして、前記凹型端部に前記凸型端部を嵌め込み充填される結合部材とからなり、前記凹型端部に前記凸型端部を嵌め込み充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具を成形することを特徴とする。
【0014】
本発明3の身体装身具は、本発明1又は2において、前記帯状シリコーンエラストマー装身具は、前記環状シリコーンエラストマー装身具を成形したときに装着する人の肌側である前記環状の内側面となる皮膚接触側面と、前記環状シリコーンエラストマー装身具を成形したときに前記皮膚接触側面の反対側の面となる外側面とからなり、前記皮膚接触側面及び/又は前記外側面は、装飾性を有するシリコーンエラストマー層及び/又は健康増進材を混入したシリコーンエラストマー層を埋設して成形されていることを特徴とする。
【0015】
本発明4の身体装身具は、本発明3において、前記シリコーンエラストマー層に混入される健康増進材は、チタン粉末、貝パウダー、炭酸カルシウム及びマグネット粉末から選択される1以上を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明5の身体装身具は、本発明1から4のいずれかにおいて、前記結合部材6の材質は、シリコーンエラストマーであることを特徴とする。
【0017】
本発明6の身体装身具の製造方法は、身体に接触して取り付けられる装身具の製造方法であって、前記結合部材を充填する装身具結合部を有し、前記結合部材を加熱、加圧処理する一対の上金型と下金型において、前記上金型と前記下金型の装身具結合部に前記結合部材を充填させる工程と、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具の前記両端部を前記上金型の前記装身具結合部に対向位置に合わせて保持させる工程と、前記上金型と前記下金型の前記装身具結合部に充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して成形する工程とからなる。
【0018】
本発明7の身体装身具の製造方法は、本発明6において、前記加熱、加圧処理して成形する工程は、前記上金型と前記下金型の両方の金型により前記帯状シリコーンエラストマー装身具を挟持状態で加熱、加圧処理する工程であることを特徴とする。
【0019】
本発明8の身体装身具の製造方法は、本発明6又は7において、前記結合部材は、前記装身具結合部の形状に合わせて充填されるシリコーンエラストマーであることを特徴とする。
【0020】
本発明9の身体装身具の製造方法は、本発明6から8のいずれかにおいて、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具の前記両端部を前記上金型の前記装身具結合部に対向位置に合わせて保持させる工程は、前記帯状シリコーンエラストマー装身具を前記上金型の裏面側を迂回して前記両端部を前記上金型の表面に保持させる工程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の身体装身具の製造方法は、帯状シリコーンエラストマー装身具を環状にし、その両端部を確実に突合せプレスによる加熱加圧により容易に固着する方法である。この固着方法は、環状であってもプレス固着ができるようになっていて、ブレスレットのような装身具を帯状から端部を相互に対向させ一体化固着し容易に環状体化できるようにした。これにより帯状シリコーンエラストマー装身具を、簡素な構成の金型装置で短時間に端部の確実な固着状態を有する環状シリコーンエラストマー装身具にすることができることとなった。
【0022】
又、本発明の身体装飾具は、一体化された輪状において、皮膚接触側又はこの裏面である外側とで異なる模様や、異なる機能を有するシリコーンエラストマー層を配置することができる。従って、例えば、皮膚接触側にのみ健康促進によいとされるチタン微粉末を混入したシリコーンエラストマー層を有し、外側には装飾を施したシリコーンエラストマー層を有することができる等、要求に応じた使い分けができることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態では、種々ある身体装身具のうち、ブレスレットを例にして説明するが、他の種類の身体装身具であってもよいことはいうまでもない。図1は、対象となる身体装身具の元の原形である帯状シリコーンエラストマー装身具1の平面図である。この帯状シリコーンエラストマー装身具1は、手首に取り付けるブレスレットに適用するもので、シリコーンエラストマーからなり成形され又は切断されたものである。このシリコーンエラストマーは、例えば、シロキサン結合を有する有機ケイ素ポリマーでゴム状の性質を有するものである。
【0024】
これを身体装身具として使用するためには、環状に変形させ両端部2を結合させ輪としなければならない。図2は、この帯状シリコーンエラストマー装身具1を環状に変形させ両端部2を対向して突き合わせた状態を示している。この帯状シリコーンエラストマー装身具1は、両端部2が段差形状になっていて、中心部分が幅狭の凸状部になっている。この帯状シリコーンエラストマー装身具1を環状のブレスレットにするためには、両端部2の幅狭の凸状部を相互に突合せ結合させる必要がある。
【0025】
なお、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、特開2006−147号公報に記載されているようにブレスレットに形成した際の皮膚接触側と外側に装飾や健康増進のために種々の態様をなしている。例えば、皮膚接触側と外側のシリコーンエラストマー層に、貝パウダーや炭酸カルシウムを混入したものや、マグネット粉末を配合し磁気による血行効果を目的としてもよい。また、皮膚接触側と外側とで異なるデザインの装飾のシリコーンエラストマー層を形成しても良いし、異なる機能の健康増進材を混入させても良い。
【0026】
例えば、皮膚接触側と外側とで異なるデザインの装飾が施されていれば、ブレスレットを裏返すことにより、気分に応じてデザインを選ぶことができる。また、異なる機能の健康増進材が混入されている場合、例えば一方が血行効果を有し、もう一方が消臭効果を有する場合には、状況に応じて使い分けることができる。
【0027】
本実施の形態においては、チタン微粉末を混入したシリコーンエラストマー層を皮膚接触側に、シリコーンエラストマーの飾り突条を外側に有するように形成している。このように、皮膚に近い皮膚接触側にチタン微粉末を形成することで、より健康増進効果が期待できるためである。
【0028】
なお、チタン微粉末を混入したシリコーンエラストマー層を皮膚接触側に、シリコーンエラストマーの飾り突条を外側に有するシリコーンエラストマー装身具本体からなる帯状シリコーンエラストマー装身具1を形成するには、押出成形法、射出成形法や圧縮成形法が適用できる。しかし、金型を用いた圧縮成形によって成形するのがよい。
【0029】
すなわち、本実施の形態では、圧縮成形によりシリコーンエラストマー装身具を形成するには、第1工程としてシリコーンエラストマー装身具本体に連続凹部を形成する。第2工程として該連続凹部にチタン微粉末含有シリコーンエラストマー層を埋める。第3工程として別途シリコーンエラストマーの飾り突条を形成する。そして、第4工程として該飾り突条の上に第2工程で得られた装身具本体を載置して加熱加圧して一体化することによって帯状シリコーンエラストマー装身具1を製造することができる。
【0030】
なお、本実施の形態においては、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、断面形状が帯状のものとしているが他の断面形状のものであっても良い。例えば、断面形状が環状、円筒状のものや、楕円状のものでも良い。また、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、装飾のため切れ目を形成したり、特定の形状にくりぬいたりしても良い。例えば、ハートやダイヤの形状にくりぬいたり、特定のアルファベットの形状にくりぬいたりしても良い。
【0031】
次に、両端部の結合方法について説明する。ブレスレット自体は、シリコーンエラストマーであることで種々の形態の製品が成形により可能である。つまり、ブレスレットに成形前は、帯状であるため、皮膚接触側と外側とで同一又は異なる装飾あるいは、機能を有するシリコーンエラストマー層をそれぞれに有することができる。いずれにしても、製品としては、環状体として使用される。本実施の形態は、帯状シリコーンエラストマー装身具1を環状に変形させた身体装身具で、身体に接触させ取り付けて使用するものである。図3、4は、環状に変形して両端部2を突合せた後結合させるための金型構成を示している。図4は、図3のA−A断面図である。この上金型3は板状のものであり、この上金型3の表面には帯状シリコーンエラストマー装身具1を設置するための溝4が設けられている。
【0032】
この溝4の幅は、帯状シリコーンエラストマー装身具1の幅よりやや小さい寸法になっている。帯状シリコーンエラストマー装身具1は弾性変形可能であり、両端部2を対向させて突き合わせ、中間部をこの溝4内に押し付けるように押し込み弾性力に抗して設置する。又、この溝4の中央部分にはやや広く深い窪み5を設けている。突き合わせられた両端部2はこの窪み5の位置に設置される。この状態で帯状シリコーンエラストマー装身具1は、上金型3に位置決め保持されるので、放置しても外れない。
【0033】
この帯状シリコーンエラストマー装身具1を取り付ける前に、この上金型3の窪み5に結合部材6(図3の斜線部)を充填しておく。この結合部材6は帯状シリコーンエラストマー装身具1と同質のシリコーンエラストマーである。従って、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、上金型3に結合部材6を介して設置されることになる。この帯状シリコーンエラストマー装身具1は上金型3に上金型3の裏側を迂回して環状に変形させ、この環状内側に上金型3を抱き込む形で両端部2を上金型3の表面の窪み5に取り付ける。
【0034】
次に、同様構成の下金型7をこの上金型3に位置合わせのうえ重ね合わせる。下金型7にも図示しない同様の溝と窪みが設けられていて、窪みのみに結合部材8が充填される。このようにして帯状シリコーンエラストマー装身具1をこの下金型7を前記の上金型3に重ねて2つの金型で結合部材6,8とともに合わせる。
【0035】
図5、6及び7は、環状に変形して両端部2を突合せた後結合させるための上下金型構成を示している。図5は、金型により帯状シリコーンエラストマー装身具を加熱加圧し結合部分を結合する構成を示す外観図である。図6は、図5の上下金型を熱ブレス板で挟んだ状態のBーB断面図である。図7は、図6のC−C断面図である。図5、6及び7の金型構成に示すように、帯状シリコーンエラストマー装身具1は、下金型7と前記の上金型3により、サンドイッチ状に挟み込まれる。
【0036】
この状態で金型の外部に設けられた熱プレス板9,10を加熱加圧させると、2つの金型3,7は押圧され、結合部材6,8は加硫して帯状シリコーンエラストマー装身具1の両端部2の周囲を覆う。固化した後、金型3,7を開放すると、帯状シリコーンエラストマー装身具1は両端部2が結合された状態で図8に示す環状シリコーンエラストマー装身具11となる。結合部分は、上金型3の窪み5形状に沿って固化されるので形状が一定した一体形状となる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、帯状シリコーンエラストマー装身具1を、上金型3の裏側を迂回して環状に変形させている。このため、上金型3の裏側に溝3aを設けることで、帯状シリコーンエラストマー装身具1の外側が直接熱プレス板9に触れないようにしている。しかし、上金型3に溝3aを設けず、熱プレス板9に溝を設けても良い。
【0038】
基本的には、このような方法で図8に示すようにブレスレット等の環状シリコーンエラストマー装身具11を製造する。しかし、ブレスレットを使用者のサイズに合わせ微妙に調整しなければならないときは、次のように行うことも可能である。サイズが長い場合は、両端部2の凹凸部の長さを部分的に切断し所定の長さにすることで、やや径の小さい環状ブレスレットにすることができる。逆にサイズが短い場合には、両端部2を上金型3に設置するときに、やや離間させる。結合部材6は離間部分に充填され一体化されるので、このことによりやや径の大きい環状ブレスレットにすることができる。
【0039】
次に製造方法の他の実施の形態について説明する。図9は、帯状シリコーンエラストマー装身具1の両端部2を相互に凹凸形状とし、はめ込むようにさせて上金型3に設置した構成を部分的に示したものである。はめ込まれた状態で結合部材を充填し加熱加圧させ環状シリコーンエラストマー装身具11とする。図9は矩形状にアンダーカット形状にしたもので、両端部2を上金型3にセットしたとき外れ難い構成になり、取り付け位置も安定するので確実な結合状態の環状シリコーンエラストマー装身具11となる。図10は両端部2を、それぞれ凹凸形状の円形にした例である。構成、効果は図9と同様である。
【0040】
図11は、結合部材6を帯状シリコーンエラストマー装身具1の幅内に納まるように両端部2を結合した構成例である。図12は、幅の広い帯状シリコーンエラストマー装身具1に適用可能な構成であるが、両端部2の中心部をアンダーカットの凹溝12にして突合せ、この凹溝12に結合部材13を充填させた例である。この例では結合部材13を装身具の幅内にし、環状シリコーンエラストマー装身具11を結合部分に段差のないストレート形状の装身具にすることができる。結合部材の接触面積を多くするため端部形状を凹凸等の形状にしたが、端部を最も簡素な構成である平坦部とした形状であってもよいことはいうまでもない。
【0041】
又、帯状シリコーンエラストマー装身具1を取り付けた後、下金型7を重ね合わせることで説明したが、この下金型7に代わり、結合部分のみ平板状の簡素な加熱加圧可能な押圧部材とし、加熱加圧させる構成のものであってもよい。このように金型装置は、簡易構成で結合処理も短時間に行うことができるものである。更に、この金型をブレスレット等の販売部門に設置しておけば、顧客が帯状ブレスレットを購入したとき、その直後にこの金型装置を使用し、その場で顧客のサイズに合うように環状ブレスレットを製造し完成品として渡すこともできる。
【0042】
以上、本発明の種々の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、帯状シリコーンエラストマー装身具の平面図である。
【図2】図2は、環状に変形させ端部を突き合わせた帯状シリコーンエラストマー装身具の外観図である。
【図3】図3は、金型構成を部分的に示す平面図である。
【図4】図4は、図3のA−A断面図である。
【図5】図5は、金型により帯状シリコーンエラストマー装身具を加熱加圧し結合部分を結合する構成を示す外観図である。
【図6】図6は、図5の上下金型を熱ブレス板で挟んだ状態のBーB断面図である。
【図7】図7は、図6のC−C断面図である。
【図8】図8は、環状シリコーンエラストマー装身具の外観図である。
【図9】図9は、端部を矩形の凹凸形状にした帯状シリコーンエラストマー装身具の部分平面図である。
【図10】図10は、端部を矩形の円形形状にした帯状シリコーンエラストマー装身具の部分平面図である。
【図11】図11は、結合部をストレート形状にした帯状シリコーンエラストマー装身具の部分平面図である。
【図12】図12は、幅広の帯状シリコーンエラストマー装身具の結合部を示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…帯状シリコーンエラストマー装身具
2…端部
3…上金型
4…溝
5…窪み
6…結合部材
7…下金型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に接触して取り付けられる装身具であって、
帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具(1)と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具(1)の両端部(2)に充填される結合部材(6)とからなり、
前記両端部に充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具(11)を成形する
ことを特徴とする身体装身具。
【請求項2】
身体に接触して取り付けられる装身具であって、
帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具(1)と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)の一端を凹形状に成形した凹型端部と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)の他の一端を凸形状に成形した凸型端部と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を環状にして、前記凹型端部に前記凸型端部を嵌め込み充填される結合部材(6)とからなり、
前記凹型端部に前記凸型端部を嵌め込み充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具を成形する
ことを特徴とする身体装身具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の身体装身具において、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)は、前記環状シリコーンエラストマー装身具(11)を成形したときに装着する人の肌側である前記環状の内側面となる皮膚接触側面(11a)と、
前記環状シリコーンエラストマー装身具(11)を成形したときに前記皮膚接触側面の反対側の面となる外側面(11b)とからなり、
前記皮膚接触側面及び/又は前記外側面は、装飾性を有するシリコーンエラストマー層及び/又は健康増進材を混入したシリコーンエラストマー層を埋設して成形されている
ことを特徴とする身体装身具。
【請求項4】
請求項3に記載の身体装身具において、
前記シリコーンエラストマー層に混入される健康増進材は、チタン粉末、貝パウダー、炭酸カルシウム及びマグネット粉末から選択される1以上を含む
ことを特徴とする身体装身具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された身体装身具において、
前記結合部材(6)の材質は、シリコーンエラストマーであることを特徴とする身体装身具。
【請求項6】
身体に接触して取り付けられる装身具の製造方法であって、
前記結合部材を充填する装身具結合部(5)を有し、前記結合部材を加熱、加圧処理する一対の上金型(3)と下金型(7)において、
前記上金型と前記下金型の装身具結合部(5)に前記結合部材(6)を充填させる工程と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具(1)の前記両端部を前記上金型の前記装身具結合部に対向位置に合わせて保持させる工程と、
前記上金型と前記下金型の前記装身具結合部(5)に充填された前記結合部材(6)を加熱、加圧処理して成形する工程と、
からなる身体装身具の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の身体装身具の製造方法において、
前記加熱、加圧処理して成形する工程は、前記上金型と前記下金型の両方の金型により前記帯状シリコーンエラストマー装身具を挟持状態で加熱、加圧処理する工程であることを特徴とする身体装身具の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の身体装身具の製造方法において、
前記結合部材(6)は、前記装身具結合部(5)の形状に合わせて充填されるシリコーンエラストマーであることを特徴とする身体装身具の製造方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載された身体装身具の製造方法において、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具(1)の前記両端部を前記上金型の前記装身具結合部に対向位置に合わせて保持させる工程は、前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を前記上金型(3)の裏面側を迂回して前記両端部(2)を前記上金型(3)の表面に保持させる工程であることを特徴とする身体装身具の製造方法。
【請求項1】
身体に接触して取り付けられる装身具であって、
帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具(1)と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具(1)の両端部(2)に充填される結合部材(6)とからなり、
前記両端部に充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具(11)を成形する
ことを特徴とする身体装身具。
【請求項2】
身体に接触して取り付けられる装身具であって、
帯状に形成された帯状シリコーンエラストマー装身具(1)と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)の一端を凹形状に成形した凹型端部と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)の他の一端を凸形状に成形した凸型端部と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を環状にして、前記凹型端部に前記凸型端部を嵌め込み充填される結合部材(6)とからなり、
前記凹型端部に前記凸型端部を嵌め込み充填された前記結合部材を加熱、加圧処理して前記帯状シリコーンエラストマー装身具を環状に結合した環状シリコーンエラストマー装身具を成形する
ことを特徴とする身体装身具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の身体装身具において、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)は、前記環状シリコーンエラストマー装身具(11)を成形したときに装着する人の肌側である前記環状の内側面となる皮膚接触側面(11a)と、
前記環状シリコーンエラストマー装身具(11)を成形したときに前記皮膚接触側面の反対側の面となる外側面(11b)とからなり、
前記皮膚接触側面及び/又は前記外側面は、装飾性を有するシリコーンエラストマー層及び/又は健康増進材を混入したシリコーンエラストマー層を埋設して成形されている
ことを特徴とする身体装身具。
【請求項4】
請求項3に記載の身体装身具において、
前記シリコーンエラストマー層に混入される健康増進材は、チタン粉末、貝パウダー、炭酸カルシウム及びマグネット粉末から選択される1以上を含む
ことを特徴とする身体装身具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された身体装身具において、
前記結合部材(6)の材質は、シリコーンエラストマーであることを特徴とする身体装身具。
【請求項6】
身体に接触して取り付けられる装身具の製造方法であって、
前記結合部材を充填する装身具結合部(5)を有し、前記結合部材を加熱、加圧処理する一対の上金型(3)と下金型(7)において、
前記上金型と前記下金型の装身具結合部(5)に前記結合部材(6)を充填させる工程と、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具(1)の前記両端部を前記上金型の前記装身具結合部に対向位置に合わせて保持させる工程と、
前記上金型と前記下金型の前記装身具結合部(5)に充填された前記結合部材(6)を加熱、加圧処理して成形する工程と、
からなる身体装身具の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の身体装身具の製造方法において、
前記加熱、加圧処理して成形する工程は、前記上金型と前記下金型の両方の金型により前記帯状シリコーンエラストマー装身具を挟持状態で加熱、加圧処理する工程であることを特徴とする身体装身具の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の身体装身具の製造方法において、
前記結合部材(6)は、前記装身具結合部(5)の形状に合わせて充填されるシリコーンエラストマーであることを特徴とする身体装身具の製造方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載された身体装身具の製造方法において、
前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を環状にして、前記シリコーンエラストマー装身具(1)の前記両端部を前記上金型の前記装身具結合部に対向位置に合わせて保持させる工程は、前記帯状シリコーンエラストマー装身具(1)を前記上金型(3)の裏面側を迂回して前記両端部(2)を前記上金型(3)の表面に保持させる工程であることを特徴とする身体装身具の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−77868(P2009−77868A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248648(P2007−248648)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(591115279)株式会社アイリス (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(591115279)株式会社アイリス (16)
【Fターム(参考)】
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