身体障害者を窓口やカウンタへ接近させるための移動装置
【課題】身体障害者が容易に使用することができ、かつ占有面積の小さい移動装置を提供する。
【解決手段】支持体2、並びに車椅子とその使用者を支持し、かつ昇降可能なプラットフォーム3を備え、前記支持体は、第1の縦方向マスト4と、第1のマスト4に滑動自在に連結され、かつ前記プラットフォーム3を移動させるための垂直移動手段6に固定された第2の縦方向マスト5を含んで成り、前記プラットフォーム3は、前記第2の縦方向マスト5に、可動なとうにして取付けられている移動装置1。
【解決手段】支持体2、並びに車椅子とその使用者を支持し、かつ昇降可能なプラットフォーム3を備え、前記支持体は、第1の縦方向マスト4と、第1のマスト4に滑動自在に連結され、かつ前記プラットフォーム3を移動させるための垂直移動手段6に固定された第2の縦方向マスト5を含んで成り、前記プラットフォーム3は、前記第2の縦方向マスト5に、可動なとうにして取付けられている移動装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者がサービスカウンタに接近するのを補助するための移動装置に関する。より詳細には、本発明は、公共の建物の内外を問わず、また、自動化されているか、あるいはスーパーマーケットのカウンタのような業務補助的なものかに関係なく、車椅子を利用している身体障害者が、現金自動預け払い機(ATM)のような自動化された機械やカウンタを利用するために、それに接近させるべく、壁面や床面に固定されている移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子を使用している人は、例えば建物内外の身体障害者の妨げになるバリアのため、そして公共の場、個人の家や車等にアクセスすることの妨害になる多くの障害物に起因して、日々の活動で多くの困難を経験することが知られている。そしてこれらの障害物は、第三者の補助なしでは克服することが困難である。身体障害者、特に車椅子に乗った身体障害者が、現金自動預け払い機(いわゆるキャッシュポイント、又はATM)、空港のチェックインカウンタ、タバコの自動販売機及びカウンタのようなオートメーション化した機械に近づく必要がある場合、郵便局やスーパーマーケットのように、公共性があるか否かにかかわらず、前記問題が生じる。
【0003】
この問題は、現金自動預け払い機の場合に、特に強く意識される。これは、カウンタが完全に自動化され、かつ、その位置を変えることができない金庫に連結されているからである。
【0004】
米国特許第3,661,228(グラッサー)は、ステップに位置し、かつ地面に固定されている縦型支持体に固定された水平のプラットフォームについて記述している。このプラットフォームは、片持ち式に前記支持体に連結され、かつ前記支持体と一体となったモーター駆動の作動体に接続されている。この作動体及び従来の同種の作動体には、嵩高いという欠点があり、そのため、カウンタの前での使用の阻害要因となっている。
【0005】
従って、プラットフォームを周囲の領域を持続して占有するように配置し、一方カウンタの前、及びそれに近接した領域は、使用のためにはそのまま残しておかなければならず、この目的のために継続して使用することはできない。プラットフォームが固定されている構造の場合も大きな領域を占有する。上昇器具を狭いスペースや公共地に設置する場合に、前記の性質は特に不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
使用されていないプラットフォームで占有されるカウンタ前の床面に近づけるため、すなわちプラットフォームが通常の歩行を妨げないようにするために、上昇プラットフォームを、床面又は舗道に形成した適宜の凹所に収容した、例えばパンタグラフのような折り畳み構造で支持された装置が提案されている。
【0007】
前記プラットフォームが低い位置にある場合には、プラットフォームは床面と同一平面にあり、パンタグラフは隠れている。前記装置が作動すると、プラットフォームは垂直に上昇し、パンタグラフは、その格納位置から、床面の上方へ延びる。これらの装置は、きわめて大型であり、かつ床面又は舗道に設置用基盤設けるのに、高価な石材が必要になる。
【0008】
更に、前記装置を無人の箇所に設置すると、いたずらされたり、壊されたり、盗まれたりするおそれがある。更に、この種の在来型の装置を、ユーザーが動作させ、かつ制御することは煩雑なことである。装置の支持体の中のプラットフォームの動作の制御は、プラットフォームが動いている場合でもそれが上昇位置にある場合でも、ユーザーが接近しにくい位置で行われる。他方、プラットフォームを下げると、前記制御装置は見えることが多く、子供が近づけるので明らかに安全上問題である。
【0009】
本発明の目的は、車椅子上の身体障害者がカウンタを利用することを補助する装置を提供することにあり、本発明によると、従来の装置における上記欠点は容易に、かつ費用効率良く解決される。
【0010】
本発明の他の目的は車椅子上の身体障害者用の上昇装置を提供することであり、この装置は、最小サイズで、設置が容易であり、かつあらゆる使用条件の下で、使用者が容易にコントロールすることができ、更に使用していないときには、全ての領域を利用可能にするものである。
【0011】
本発明の他の目的は、例えば子供による誤用のリスクを最小にし、かつ破壊者による損傷の可能性を小とした、車椅子の利用者のための上昇装置を提供することである。
【0012】
本発明は更に、上述した、現金自動預け払い機、より一般的には、自動的か否かにかかわらず、身体障害者が利用するためにカウンタに接近するのを補助する移動装置の使用に関する。
【0013】
これらの及び他の目的は、請求項1に記載の車椅子利用者のための上昇装置に関する本発明により達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によると、静止位置にあるプラットフォームには、支持体と制御装置が隣接して設けられている。この特徴により、前記制御装置を使用していないときに、プラットフォームが、可動の縦方向マストに設けられている制御装置を、例えば外部の観察者から隠して保護され、これにより制御装置の誤用の危険や、破壊の可能性を減少させられるので、特に有利である。
【0015】
本発明の一態様によると、静止している縦方向マスト及び可動要素は、部分的にオーバーラップし相互に滑動しうるように構成されている。好ましくは、互いに滑動しうるように結合されかつ型材からなるマストは、プラットフォームを移動させる装置の少なくとも一部が収容される内部空間を画定している。
【0016】
第1の縦方向マストすなわち静止要素は、第2の縦方向マストすなわち可動要素の案内手段を提供し、かつ前記第2の縦方向マストは、この案内手段に滑動自在に結合されていることが好ましい。第2の縦方向マストは、第1の静止している縦方向マストを部分的に包囲し、プラットフォームの移動装置に近づくのを防止するような形状を有している。
【0017】
本発明の他の態様によると、プラットフォームの移動装置は、使用者が、可動要素である第2の縦方向マストの上端に結合されて、それとともに移動する1又は2以上の制御装置を操作することにより制御される。前記プラットフォームの移動装置は、異なる種類の手段でも良く、例えば機械的作動デバイス、空気式作動デバイス、電子−空気式作動デバイス、油圧式作動デバイス、又は電気式作動デバイスである。プラットフォームの移動装置は、第1の縦方向マスト及び第2の縦方向マストに結合した油圧式ピストンを備えていることが好ましい。
【0018】
プラットフォームを縦方向の停止位置から水平方向の使用位置まで、あるいはその逆に、回転させることから始まる始動装置は、適宜の機構、例えば機械的又は電子的キーを使用して、使用者により操作されるか、例えば前記装置のコントロールステーションから遠隔操作されるようになっているのが好ましい。
【0019】
本発明の装置は、従来技術と比較して、多くの利点を有する。低レベルから高レベルまで車椅子を上昇させるための従来の装置と比較して本発明の装置も寸法は劇的に小さく、かつプラットフォームと第2の縦方向マストすなわち可動要素、又はサドルとの上昇用結合のために、前記移動装置の周囲の利用できる空間は最大になる。
【0020】
実際、前記移動装置が使用されていないときには、プラットフォームはほぼ垂直方向を向いて、周囲の空間を占めず、移動装置が使用されているときには、プラットフォームは床面と平行位置になる。更に、第2の縦方向マストはサドルとして機能し、かつ縦方向にプラットフォームと一体に動くので、それが動いているときに、この移動装置の使用者にとって、当接体又は支持体として機能する。
【0021】
更に、第2の縦方向マストすなわちサドル上に位置する制御装置には、プラットフォームが動いている間も、使用者は簡単に接近することができる。実際、この制御装置は、本発明の移動装置のあらゆる使用条件下で、常に使用者の手近にある。
【0022】
上述したカウンタとしての主たる用途以外に、本発明の移動装置は、車椅子の人が容易に移動しうるようにするための、多くの異なった用途に適用可能である。そのため、身体障害者の利用を妨げる建築上のバリアの問題を解決できる。大きさが小さいため、従来の装置を設置できなかった場所、例えば電話ボックスにも、本発明の装置を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、添付図面に示す、非限定的な実施例による本発明の説明により、本発明の上記した以外の態様や利点が、明らかになると思う。
【0024】
図1及び図2は本発明の移動装置1の斜視図であり、この装置1は、支持体2と、車椅子とその使用者を支持するプラットフォーム3を備えている。支持体2は、それ自身を建物の地面又は壁面に、又は地面又は壁面に固定されたサポートに固定する手段を有している。前記プラットフォーム3は図面に矢印Uで示す方向に、低い水平方向位置と上昇した水平方向位置との間を、すなわち例えば地面に置いたプラットフォーム3の位置に対応する低い位置と、地面から上昇したプラットフォーム3に対応する上昇位置との間を、前記支持体2に沿って実質的に平行に垂直方向に移動する。
【0025】
支持体2は、静止している縦要素である第1の縦方向マスト4と、第1の縦方向マスト4と滑動しうるように連結され、プラットフォーム3が設置されて、サドルのように動作する第2の要素である縦方向マスト5を備えている。前記マスト4、5間の相対的な変位は、プラットフォーム3を移動させるための垂直移動手段6により行われ、前記プラットフォーム3は前記第2の縦方向マスト5に、上向回動できるように、ヒンジ止めされている。
【0026】
図1は、前記プラットフォーム3がその停止位置、すなわち移動装置1が動作していない状態を示している。この場合、プラットフォーム3は、地面に対して最下位置にあり、前記支持体2に隣接する縦方向位置に配置されている。図1に示すように、プラットフォーム3が停止位置にある場合、プラットフォーム3は、少なくとも部分的に、前記支持体2を見る者の目から隠し、制御装置8の操作を行えないようにする。
【0027】
本発明の移動装置1は、従来の同様の装置と比較して、サイズが小さい。この移動装置が動作していない場合(図1及び図6)、その全体の寸法は最小で、この移動装置により実際に占有される床面積は、従来の同種の移動装置で通常必要とされる面積と比較して、著しく小さい。この特徴は、身体障害者用の移動装置を設置するために必要なスパースが確保できないという事実に鑑みても、特に有用である。実際、本発明の移動装置は、小さな領域内や、利用できるスペースを、他の用途に使用しなければならない場合にも設置できる。
【0028】
図2、図5及び図7は、プラットフォーム3が低い位置にあり、使用状態にある移動装置1、すなわち動作している移動装置1を示す。この場合、プラットフォーム3は地面上に当接し、車椅子に着座した人が使用できる。そのため、プラットフォーム3の形やサイズは、使用者が容易に車椅子を支持領域9であるその上面に位置させるように設定してある。
【0029】
前記移動装置1は、使用者が第1の縦方向マスト4に対して。第2の縦方向マスト5を移動させ、これにより、プラットフォーム3を縦方向に移動させるための手段を作動させるための制御装置8を備えている。図示の態様では、支持体2の上端に制御装置8が取付けられている。
【0030】
図1、図6及び図16に示すように、プラットフォーム3が支持体2に隣接して位置する場合には、前記制御装置8の少なくとも一部はプラットフォーム3により保護されるようにするのが好ましい。
【0031】
図3及び図4は、それぞれ移動装置1の正面図及び側面図である。プラットフォーム3は水平上昇位置にある(水平停止位置は、図4に点線Dで示し、床面G上にプラットフォーム3が停止している状態に対応している)。
【0032】
図示の通り、移動装置1が動作した場合、すなわち移動装置1が始動した後は、前記プラットフォーム3と第2の縦方向マスト5は一体的に動く。第1の縦方向マスト4は床面G又は壁面に固定することができ、可動である第2の縦方向マスト5は、プラットフォーム3を移動させる手段で上昇させられる。そのため、前記制御装置8は、上下しても、常にプラットフォーム3と同じ高さにある。
【0033】
図8及び図8Aは支持体2の断面を示し、それぞれ、図3の支持体2における線E−E及び線A−Aに沿った断面図である。この態様では、静止している第1の縦方向マスト4は、図示の通り、中空のT字状の断面を有する開放型のバーからなり、前記縦方向マスト4と一体をなす基部14に設けた孔13を利用して、地面に固定することができる。
【0034】
前記静止している縦方向マスト4を、異なった形状のものとすることができ、また変形例又は追加例として、縦方向マスト4を、壁面に取り付けても良い。
【0035】
固定されている縦方向マスト4上を滑動できる第2の縦方向マスト5も、前記縦方向マスト4を部分的に包囲する断面形状の中空のバーから形成されている。図8に示す態様では、第1の縦方向マスト4は静止し、第2の縦方向マスト5は、第1の縦方向マスト4に案内されて、紙面に対して法線方向に動く。
【0036】
図示の例では、可動の縦方向マストあるいはサドル5はC形の断面を有し、滑動ブロック7によりこの端部で、第1の縦方向マスト4に滑動自在に連結されている。前記滑動ブロック7は、両縦方向マスト間の前記支持体2の、低位置及び高位置に存在する。これらは、低位置では、縦方向マストまたはサドル5に固定され、それとともに可動であり、高位置(図8)では、不動の縦方向マスト4に固定されている。
【0037】
前記プラットフォーム3は、そのプラットフォーム3を上向き回転させるヒンジ15により第2の縦方向マスト5に連結されている。
【0038】
プラットフォーム3を縦方向に移動させる手段は、種々のタイプとすることができる。第2の縦方向マスト5は第1の縦方向マスト4に対して移動させられる。図8の態様では、この機能は、支持体2内に収容された垂直移動手段6である油圧ピストンにより実行される。このピストンは、縦方向マスト4及び5の両者に連結されている。油圧ピストンの代わりに、前記移動装置1には、支持体2の外部に設置できる空気式のピストンやねじ、スプリングなどを装着しても良い。
【0039】
図9は、プラットフォームが低位置にある場合の移動装置1の底面図である。水平移動手段16は、プラットフォーム3の停止位置(縦方向)から使用位置(図10)までの過回転を制御する。プラットフォーム3及び支持体2に固定された、例えば油圧ピストンである前記水平移動手段16は、前記移動装置1を使用することにより、又はコントロールステーションから遠隔的に制御することができる。前者の場合、使用者は、移動装置1に設置された適宜のコントローラにより、又は移動装置1にインターフェイスされた機械的又は電子的にかかわらないパーソナルキーにより、プラットフォーム3の回転を制御できる。後者の場合、オペレーターは、例えば特定な要求に応じて、コントロールステーションからプラットフォーム3の回転を制御することができる。この代わりに、使用者が手でプラットフォームを回転させても良い。
【0040】
プラットフォーム3には、地面に対するその位置を検出するための安全スイッチを装着するのが良い。更にプラットフォーム3に、プラットフォームに載る使用者の重量を車椅子とともに検出するセンサーを装着しても良い。この場合、好適な制御回路がセンサー信号を使用して、ピストン6の動作速度を決め、移動装置1の機能的パラメータ−を検証できる。
【0041】
図11は、プラットフォーム3が低位にある前記移動装置1の正面図である。垂直移動手段6であるピストンは点線で示してある。第2の縦方向マスト5の上端には、制御装置8が装着されている。この制御装置8は、例えばプラットフォームの始動、上昇、停止及び下降等のためのプッシュボタンを備えているのが良い。一般に、前記制御装置8は、支持体2から離れた位置に装着しても良く、例えば前記支持体2から横方向に延びるアームに装着することもある。
【0042】
図12は、図11の線B−Bにおける断面図である。垂直移動手段6であるピストンの下端17は、第1の縦方向マスト4に連結され、同じく上端18は、第2の縦方向マスト5に固定されている。ピストンが伸びると、縦方向マスト5及びこれに固定されたプラットフォーム3は上昇する。
【0043】
同様に、プラットフォーム3の回転のために装着された、好ましくはピストンである水平移動手段16は、第2の縦方向マスト5に固定された端部19とプラットフォーム3に固定された端部20を有している。ピストン16が伸びるか又は復元されると、図15に詳細を示すように、プラットフォーム3は、ヒンジ15の周りを回転する。図15は、図13のF−F線における支持体2の断面図である。
【0044】
図13及び図14に示すように、前記プラットフォーム3は。上向きの周縁部10を有していることが好ましい。実際には、プラットフォーム3の縁部は、上面に対して突き出した輪郭を有している。周縁部10は、プラットフォーム3上の車椅子の使用者が落下するのを防止する役割を有する。前記周縁部10は車椅子の車輪がプラットフォームの端部を越えて動くのを防止し、使用者が意図した場合にのみ、それを越えることができるようになっている。
【0045】
縦方向マスト4には、電線や他のケーブルを通すための孔21が設けられている。縦方向マスト4が壁面に接すると、ケーブルは見えなくなる。
【0046】
図16から図19は、車椅子12の使用者11が現金自動預け払い機(ATM)の使用を容易にするための前記移動装置1の可能な応用例を示している。図示の場合、前記移動装置1は、建物Bの外の舗道G上に設置される。特に、第1の縦方向マスト4は、舗道G又は建物B又はそれら両者に固定される。図16に示すように、移動装置1が始動していない場合は、プラットフォーム3は上向き回転して、建物Bの外壁と平行になり、制御装置8又はコマンドデバイスを隠している。
【0047】
図17に示すように、好適なパーソナル始動キーを使用して、プラットフォーム3を水平位置にすることにより、使用者11がコントロール8に近づいて利用することを可能にする。対応するサーボ機構を有する制御装置8と支持体2は、あり得る破壊行為に対して、又は例えばATMの使用に興味のある人たちによる権限のない使用に対して、少なくとも部分的に保護されている。
【0048】
図17は、使用者11が使用できるよう準備が整った移動装着1を示している。ATMのプラットフォーム3は舗道Gと同一平面にある。使用者11は、電子的又は機械的を問わないキーを使って、プラットフォーム3を図示の低い位置に移行させることができる。その代わりに、前記移動装置1を、プラットフォームを図示の位置に移動させる遠隔コントロールステーションに接続しても良い。実際のところ、支持体2に対するプラットフォーム3の回転は、任意の好適な機構により行うことができる。
【0049】
図18に示すように、プラットフォーム3が低位置に到達すると、使用者11は、車椅子が突き出し周縁部10内に収容されるまで、車椅子を駆動して、上面9の支持領域9に保持する。制御装置8は、支持体2の上端に位置し、常に使用者の手元にあるようにする。制御装置8により、使用者は垂直移動手段6を始動させ、プラットフォーム3を上昇させることができる。
【0050】
図19は、プラットフォーム3が上昇位置にある移動装着1の構成を示し、例えばプラットフォームは、舗道Gのレベルから約50cm上昇している。これにより使用者11は、ATMを利用できる。使用者は、制御装置8を操作して、プラットフォーム3を低位置に戻し、ATMから離れることができる。使用者自身又は遠隔ステーション又はタイマーにより、プラットフォーム3を、図16に示す回転上昇位置に戻すためのシグナルを発生させることができる。
【0051】
同様に、前記移動装置1は、使用者が、コントロールパネルや機器を利用するとき、又は使用者11が落下防止を必要とするときには。いつでも同じように使用することができる。
【0052】
図16に示すように、始動していない移動装着1は、舗道Gの最小限の部分のみを占有する。この移動装置1は従来の移動装置とは異なり、コンパクトな構造であり、舗道Gを完全に利用することを保証する。前記装置1は、占有面積に応じて費用が発生する公共又は私有地にも設置できる。従って設置に高い費用を要することが回避され、そのため本発明の移動装置の流通に有利なり、障害を有する人々の機動性が改良される。更に前記装置1は、プラットフォーム3が使用領域を一時的に占有するのみであるで、小さい領域に都合よく設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の移動装置の第1実施形態を示す斜視図
【図2】図1の移動装置の第2実施形態を示す斜視図。
【図3】図2の移動装置の正面図。
【図4】図3の移動装置の側面図。
【図5】図3の移動装置の底面図。
【図6】図1の移動装置の側面図
【図7】図2の移動装置の平面図。
【図8】図2に示す移動装置における縦方向マストのある高さの位置における横断面図。
【図8A】図2に示す移動装置における縦方向マストの図8とは異なる高さの位置における横断面図。
【図9】図2に示す移動装置の横断面図。
【図10】図9のG−G線における断面図。
【図11】図2の移動装置の正面図。
【図12】図11のB−B線における断面図。
【図13】図2の移動装置の側面図。
【図14】図13の移動装置の背面図。
【図15】図13の移動装置のF−F線における断面図。
【図16】図1に示す移動装置を組み込んだ現金自動預け払い機の斜視図。
【図17】図16に示す移動装置の異なる状態を示す斜視図。
【図18】図16に示す移動装置の異なる状態を示す斜視図。
【図19】図16に示す移動装置の異なる状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0054】
1 移動装置
2 支持体
3 プラットフォーム
4 第1の縦方向マスト
5 第2の縦方向マスト
6 垂直移動手段
7 滑動ブロック
8 制御装置
9 支持領域
10 周縁部
11 使用者
12 車椅子
13 孔
14 基部
15 ヒンジ
16 水平移動手段
17 下縁
18 上縁
19、20 端部
21 孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者がサービスカウンタに接近するのを補助するための移動装置に関する。より詳細には、本発明は、公共の建物の内外を問わず、また、自動化されているか、あるいはスーパーマーケットのカウンタのような業務補助的なものかに関係なく、車椅子を利用している身体障害者が、現金自動預け払い機(ATM)のような自動化された機械やカウンタを利用するために、それに接近させるべく、壁面や床面に固定されている移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子を使用している人は、例えば建物内外の身体障害者の妨げになるバリアのため、そして公共の場、個人の家や車等にアクセスすることの妨害になる多くの障害物に起因して、日々の活動で多くの困難を経験することが知られている。そしてこれらの障害物は、第三者の補助なしでは克服することが困難である。身体障害者、特に車椅子に乗った身体障害者が、現金自動預け払い機(いわゆるキャッシュポイント、又はATM)、空港のチェックインカウンタ、タバコの自動販売機及びカウンタのようなオートメーション化した機械に近づく必要がある場合、郵便局やスーパーマーケットのように、公共性があるか否かにかかわらず、前記問題が生じる。
【0003】
この問題は、現金自動預け払い機の場合に、特に強く意識される。これは、カウンタが完全に自動化され、かつ、その位置を変えることができない金庫に連結されているからである。
【0004】
米国特許第3,661,228(グラッサー)は、ステップに位置し、かつ地面に固定されている縦型支持体に固定された水平のプラットフォームについて記述している。このプラットフォームは、片持ち式に前記支持体に連結され、かつ前記支持体と一体となったモーター駆動の作動体に接続されている。この作動体及び従来の同種の作動体には、嵩高いという欠点があり、そのため、カウンタの前での使用の阻害要因となっている。
【0005】
従って、プラットフォームを周囲の領域を持続して占有するように配置し、一方カウンタの前、及びそれに近接した領域は、使用のためにはそのまま残しておかなければならず、この目的のために継続して使用することはできない。プラットフォームが固定されている構造の場合も大きな領域を占有する。上昇器具を狭いスペースや公共地に設置する場合に、前記の性質は特に不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
使用されていないプラットフォームで占有されるカウンタ前の床面に近づけるため、すなわちプラットフォームが通常の歩行を妨げないようにするために、上昇プラットフォームを、床面又は舗道に形成した適宜の凹所に収容した、例えばパンタグラフのような折り畳み構造で支持された装置が提案されている。
【0007】
前記プラットフォームが低い位置にある場合には、プラットフォームは床面と同一平面にあり、パンタグラフは隠れている。前記装置が作動すると、プラットフォームは垂直に上昇し、パンタグラフは、その格納位置から、床面の上方へ延びる。これらの装置は、きわめて大型であり、かつ床面又は舗道に設置用基盤設けるのに、高価な石材が必要になる。
【0008】
更に、前記装置を無人の箇所に設置すると、いたずらされたり、壊されたり、盗まれたりするおそれがある。更に、この種の在来型の装置を、ユーザーが動作させ、かつ制御することは煩雑なことである。装置の支持体の中のプラットフォームの動作の制御は、プラットフォームが動いている場合でもそれが上昇位置にある場合でも、ユーザーが接近しにくい位置で行われる。他方、プラットフォームを下げると、前記制御装置は見えることが多く、子供が近づけるので明らかに安全上問題である。
【0009】
本発明の目的は、車椅子上の身体障害者がカウンタを利用することを補助する装置を提供することにあり、本発明によると、従来の装置における上記欠点は容易に、かつ費用効率良く解決される。
【0010】
本発明の他の目的は車椅子上の身体障害者用の上昇装置を提供することであり、この装置は、最小サイズで、設置が容易であり、かつあらゆる使用条件の下で、使用者が容易にコントロールすることができ、更に使用していないときには、全ての領域を利用可能にするものである。
【0011】
本発明の他の目的は、例えば子供による誤用のリスクを最小にし、かつ破壊者による損傷の可能性を小とした、車椅子の利用者のための上昇装置を提供することである。
【0012】
本発明は更に、上述した、現金自動預け払い機、より一般的には、自動的か否かにかかわらず、身体障害者が利用するためにカウンタに接近するのを補助する移動装置の使用に関する。
【0013】
これらの及び他の目的は、請求項1に記載の車椅子利用者のための上昇装置に関する本発明により達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によると、静止位置にあるプラットフォームには、支持体と制御装置が隣接して設けられている。この特徴により、前記制御装置を使用していないときに、プラットフォームが、可動の縦方向マストに設けられている制御装置を、例えば外部の観察者から隠して保護され、これにより制御装置の誤用の危険や、破壊の可能性を減少させられるので、特に有利である。
【0015】
本発明の一態様によると、静止している縦方向マスト及び可動要素は、部分的にオーバーラップし相互に滑動しうるように構成されている。好ましくは、互いに滑動しうるように結合されかつ型材からなるマストは、プラットフォームを移動させる装置の少なくとも一部が収容される内部空間を画定している。
【0016】
第1の縦方向マストすなわち静止要素は、第2の縦方向マストすなわち可動要素の案内手段を提供し、かつ前記第2の縦方向マストは、この案内手段に滑動自在に結合されていることが好ましい。第2の縦方向マストは、第1の静止している縦方向マストを部分的に包囲し、プラットフォームの移動装置に近づくのを防止するような形状を有している。
【0017】
本発明の他の態様によると、プラットフォームの移動装置は、使用者が、可動要素である第2の縦方向マストの上端に結合されて、それとともに移動する1又は2以上の制御装置を操作することにより制御される。前記プラットフォームの移動装置は、異なる種類の手段でも良く、例えば機械的作動デバイス、空気式作動デバイス、電子−空気式作動デバイス、油圧式作動デバイス、又は電気式作動デバイスである。プラットフォームの移動装置は、第1の縦方向マスト及び第2の縦方向マストに結合した油圧式ピストンを備えていることが好ましい。
【0018】
プラットフォームを縦方向の停止位置から水平方向の使用位置まで、あるいはその逆に、回転させることから始まる始動装置は、適宜の機構、例えば機械的又は電子的キーを使用して、使用者により操作されるか、例えば前記装置のコントロールステーションから遠隔操作されるようになっているのが好ましい。
【0019】
本発明の装置は、従来技術と比較して、多くの利点を有する。低レベルから高レベルまで車椅子を上昇させるための従来の装置と比較して本発明の装置も寸法は劇的に小さく、かつプラットフォームと第2の縦方向マストすなわち可動要素、又はサドルとの上昇用結合のために、前記移動装置の周囲の利用できる空間は最大になる。
【0020】
実際、前記移動装置が使用されていないときには、プラットフォームはほぼ垂直方向を向いて、周囲の空間を占めず、移動装置が使用されているときには、プラットフォームは床面と平行位置になる。更に、第2の縦方向マストはサドルとして機能し、かつ縦方向にプラットフォームと一体に動くので、それが動いているときに、この移動装置の使用者にとって、当接体又は支持体として機能する。
【0021】
更に、第2の縦方向マストすなわちサドル上に位置する制御装置には、プラットフォームが動いている間も、使用者は簡単に接近することができる。実際、この制御装置は、本発明の移動装置のあらゆる使用条件下で、常に使用者の手近にある。
【0022】
上述したカウンタとしての主たる用途以外に、本発明の移動装置は、車椅子の人が容易に移動しうるようにするための、多くの異なった用途に適用可能である。そのため、身体障害者の利用を妨げる建築上のバリアの問題を解決できる。大きさが小さいため、従来の装置を設置できなかった場所、例えば電話ボックスにも、本発明の装置を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、添付図面に示す、非限定的な実施例による本発明の説明により、本発明の上記した以外の態様や利点が、明らかになると思う。
【0024】
図1及び図2は本発明の移動装置1の斜視図であり、この装置1は、支持体2と、車椅子とその使用者を支持するプラットフォーム3を備えている。支持体2は、それ自身を建物の地面又は壁面に、又は地面又は壁面に固定されたサポートに固定する手段を有している。前記プラットフォーム3は図面に矢印Uで示す方向に、低い水平方向位置と上昇した水平方向位置との間を、すなわち例えば地面に置いたプラットフォーム3の位置に対応する低い位置と、地面から上昇したプラットフォーム3に対応する上昇位置との間を、前記支持体2に沿って実質的に平行に垂直方向に移動する。
【0025】
支持体2は、静止している縦要素である第1の縦方向マスト4と、第1の縦方向マスト4と滑動しうるように連結され、プラットフォーム3が設置されて、サドルのように動作する第2の要素である縦方向マスト5を備えている。前記マスト4、5間の相対的な変位は、プラットフォーム3を移動させるための垂直移動手段6により行われ、前記プラットフォーム3は前記第2の縦方向マスト5に、上向回動できるように、ヒンジ止めされている。
【0026】
図1は、前記プラットフォーム3がその停止位置、すなわち移動装置1が動作していない状態を示している。この場合、プラットフォーム3は、地面に対して最下位置にあり、前記支持体2に隣接する縦方向位置に配置されている。図1に示すように、プラットフォーム3が停止位置にある場合、プラットフォーム3は、少なくとも部分的に、前記支持体2を見る者の目から隠し、制御装置8の操作を行えないようにする。
【0027】
本発明の移動装置1は、従来の同様の装置と比較して、サイズが小さい。この移動装置が動作していない場合(図1及び図6)、その全体の寸法は最小で、この移動装置により実際に占有される床面積は、従来の同種の移動装置で通常必要とされる面積と比較して、著しく小さい。この特徴は、身体障害者用の移動装置を設置するために必要なスパースが確保できないという事実に鑑みても、特に有用である。実際、本発明の移動装置は、小さな領域内や、利用できるスペースを、他の用途に使用しなければならない場合にも設置できる。
【0028】
図2、図5及び図7は、プラットフォーム3が低い位置にあり、使用状態にある移動装置1、すなわち動作している移動装置1を示す。この場合、プラットフォーム3は地面上に当接し、車椅子に着座した人が使用できる。そのため、プラットフォーム3の形やサイズは、使用者が容易に車椅子を支持領域9であるその上面に位置させるように設定してある。
【0029】
前記移動装置1は、使用者が第1の縦方向マスト4に対して。第2の縦方向マスト5を移動させ、これにより、プラットフォーム3を縦方向に移動させるための手段を作動させるための制御装置8を備えている。図示の態様では、支持体2の上端に制御装置8が取付けられている。
【0030】
図1、図6及び図16に示すように、プラットフォーム3が支持体2に隣接して位置する場合には、前記制御装置8の少なくとも一部はプラットフォーム3により保護されるようにするのが好ましい。
【0031】
図3及び図4は、それぞれ移動装置1の正面図及び側面図である。プラットフォーム3は水平上昇位置にある(水平停止位置は、図4に点線Dで示し、床面G上にプラットフォーム3が停止している状態に対応している)。
【0032】
図示の通り、移動装置1が動作した場合、すなわち移動装置1が始動した後は、前記プラットフォーム3と第2の縦方向マスト5は一体的に動く。第1の縦方向マスト4は床面G又は壁面に固定することができ、可動である第2の縦方向マスト5は、プラットフォーム3を移動させる手段で上昇させられる。そのため、前記制御装置8は、上下しても、常にプラットフォーム3と同じ高さにある。
【0033】
図8及び図8Aは支持体2の断面を示し、それぞれ、図3の支持体2における線E−E及び線A−Aに沿った断面図である。この態様では、静止している第1の縦方向マスト4は、図示の通り、中空のT字状の断面を有する開放型のバーからなり、前記縦方向マスト4と一体をなす基部14に設けた孔13を利用して、地面に固定することができる。
【0034】
前記静止している縦方向マスト4を、異なった形状のものとすることができ、また変形例又は追加例として、縦方向マスト4を、壁面に取り付けても良い。
【0035】
固定されている縦方向マスト4上を滑動できる第2の縦方向マスト5も、前記縦方向マスト4を部分的に包囲する断面形状の中空のバーから形成されている。図8に示す態様では、第1の縦方向マスト4は静止し、第2の縦方向マスト5は、第1の縦方向マスト4に案内されて、紙面に対して法線方向に動く。
【0036】
図示の例では、可動の縦方向マストあるいはサドル5はC形の断面を有し、滑動ブロック7によりこの端部で、第1の縦方向マスト4に滑動自在に連結されている。前記滑動ブロック7は、両縦方向マスト間の前記支持体2の、低位置及び高位置に存在する。これらは、低位置では、縦方向マストまたはサドル5に固定され、それとともに可動であり、高位置(図8)では、不動の縦方向マスト4に固定されている。
【0037】
前記プラットフォーム3は、そのプラットフォーム3を上向き回転させるヒンジ15により第2の縦方向マスト5に連結されている。
【0038】
プラットフォーム3を縦方向に移動させる手段は、種々のタイプとすることができる。第2の縦方向マスト5は第1の縦方向マスト4に対して移動させられる。図8の態様では、この機能は、支持体2内に収容された垂直移動手段6である油圧ピストンにより実行される。このピストンは、縦方向マスト4及び5の両者に連結されている。油圧ピストンの代わりに、前記移動装置1には、支持体2の外部に設置できる空気式のピストンやねじ、スプリングなどを装着しても良い。
【0039】
図9は、プラットフォームが低位置にある場合の移動装置1の底面図である。水平移動手段16は、プラットフォーム3の停止位置(縦方向)から使用位置(図10)までの過回転を制御する。プラットフォーム3及び支持体2に固定された、例えば油圧ピストンである前記水平移動手段16は、前記移動装置1を使用することにより、又はコントロールステーションから遠隔的に制御することができる。前者の場合、使用者は、移動装置1に設置された適宜のコントローラにより、又は移動装置1にインターフェイスされた機械的又は電子的にかかわらないパーソナルキーにより、プラットフォーム3の回転を制御できる。後者の場合、オペレーターは、例えば特定な要求に応じて、コントロールステーションからプラットフォーム3の回転を制御することができる。この代わりに、使用者が手でプラットフォームを回転させても良い。
【0040】
プラットフォーム3には、地面に対するその位置を検出するための安全スイッチを装着するのが良い。更にプラットフォーム3に、プラットフォームに載る使用者の重量を車椅子とともに検出するセンサーを装着しても良い。この場合、好適な制御回路がセンサー信号を使用して、ピストン6の動作速度を決め、移動装置1の機能的パラメータ−を検証できる。
【0041】
図11は、プラットフォーム3が低位にある前記移動装置1の正面図である。垂直移動手段6であるピストンは点線で示してある。第2の縦方向マスト5の上端には、制御装置8が装着されている。この制御装置8は、例えばプラットフォームの始動、上昇、停止及び下降等のためのプッシュボタンを備えているのが良い。一般に、前記制御装置8は、支持体2から離れた位置に装着しても良く、例えば前記支持体2から横方向に延びるアームに装着することもある。
【0042】
図12は、図11の線B−Bにおける断面図である。垂直移動手段6であるピストンの下端17は、第1の縦方向マスト4に連結され、同じく上端18は、第2の縦方向マスト5に固定されている。ピストンが伸びると、縦方向マスト5及びこれに固定されたプラットフォーム3は上昇する。
【0043】
同様に、プラットフォーム3の回転のために装着された、好ましくはピストンである水平移動手段16は、第2の縦方向マスト5に固定された端部19とプラットフォーム3に固定された端部20を有している。ピストン16が伸びるか又は復元されると、図15に詳細を示すように、プラットフォーム3は、ヒンジ15の周りを回転する。図15は、図13のF−F線における支持体2の断面図である。
【0044】
図13及び図14に示すように、前記プラットフォーム3は。上向きの周縁部10を有していることが好ましい。実際には、プラットフォーム3の縁部は、上面に対して突き出した輪郭を有している。周縁部10は、プラットフォーム3上の車椅子の使用者が落下するのを防止する役割を有する。前記周縁部10は車椅子の車輪がプラットフォームの端部を越えて動くのを防止し、使用者が意図した場合にのみ、それを越えることができるようになっている。
【0045】
縦方向マスト4には、電線や他のケーブルを通すための孔21が設けられている。縦方向マスト4が壁面に接すると、ケーブルは見えなくなる。
【0046】
図16から図19は、車椅子12の使用者11が現金自動預け払い機(ATM)の使用を容易にするための前記移動装置1の可能な応用例を示している。図示の場合、前記移動装置1は、建物Bの外の舗道G上に設置される。特に、第1の縦方向マスト4は、舗道G又は建物B又はそれら両者に固定される。図16に示すように、移動装置1が始動していない場合は、プラットフォーム3は上向き回転して、建物Bの外壁と平行になり、制御装置8又はコマンドデバイスを隠している。
【0047】
図17に示すように、好適なパーソナル始動キーを使用して、プラットフォーム3を水平位置にすることにより、使用者11がコントロール8に近づいて利用することを可能にする。対応するサーボ機構を有する制御装置8と支持体2は、あり得る破壊行為に対して、又は例えばATMの使用に興味のある人たちによる権限のない使用に対して、少なくとも部分的に保護されている。
【0048】
図17は、使用者11が使用できるよう準備が整った移動装着1を示している。ATMのプラットフォーム3は舗道Gと同一平面にある。使用者11は、電子的又は機械的を問わないキーを使って、プラットフォーム3を図示の低い位置に移行させることができる。その代わりに、前記移動装置1を、プラットフォームを図示の位置に移動させる遠隔コントロールステーションに接続しても良い。実際のところ、支持体2に対するプラットフォーム3の回転は、任意の好適な機構により行うことができる。
【0049】
図18に示すように、プラットフォーム3が低位置に到達すると、使用者11は、車椅子が突き出し周縁部10内に収容されるまで、車椅子を駆動して、上面9の支持領域9に保持する。制御装置8は、支持体2の上端に位置し、常に使用者の手元にあるようにする。制御装置8により、使用者は垂直移動手段6を始動させ、プラットフォーム3を上昇させることができる。
【0050】
図19は、プラットフォーム3が上昇位置にある移動装着1の構成を示し、例えばプラットフォームは、舗道Gのレベルから約50cm上昇している。これにより使用者11は、ATMを利用できる。使用者は、制御装置8を操作して、プラットフォーム3を低位置に戻し、ATMから離れることができる。使用者自身又は遠隔ステーション又はタイマーにより、プラットフォーム3を、図16に示す回転上昇位置に戻すためのシグナルを発生させることができる。
【0051】
同様に、前記移動装置1は、使用者が、コントロールパネルや機器を利用するとき、又は使用者11が落下防止を必要とするときには。いつでも同じように使用することができる。
【0052】
図16に示すように、始動していない移動装着1は、舗道Gの最小限の部分のみを占有する。この移動装置1は従来の移動装置とは異なり、コンパクトな構造であり、舗道Gを完全に利用することを保証する。前記装置1は、占有面積に応じて費用が発生する公共又は私有地にも設置できる。従って設置に高い費用を要することが回避され、そのため本発明の移動装置の流通に有利なり、障害を有する人々の機動性が改良される。更に前記装置1は、プラットフォーム3が使用領域を一時的に占有するのみであるで、小さい領域に都合よく設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の移動装置の第1実施形態を示す斜視図
【図2】図1の移動装置の第2実施形態を示す斜視図。
【図3】図2の移動装置の正面図。
【図4】図3の移動装置の側面図。
【図5】図3の移動装置の底面図。
【図6】図1の移動装置の側面図
【図7】図2の移動装置の平面図。
【図8】図2に示す移動装置における縦方向マストのある高さの位置における横断面図。
【図8A】図2に示す移動装置における縦方向マストの図8とは異なる高さの位置における横断面図。
【図9】図2に示す移動装置の横断面図。
【図10】図9のG−G線における断面図。
【図11】図2の移動装置の正面図。
【図12】図11のB−B線における断面図。
【図13】図2の移動装置の側面図。
【図14】図13の移動装置の背面図。
【図15】図13の移動装置のF−F線における断面図。
【図16】図1に示す移動装置を組み込んだ現金自動預け払い機の斜視図。
【図17】図16に示す移動装置の異なる状態を示す斜視図。
【図18】図16に示す移動装置の異なる状態を示す斜視図。
【図19】図16に示す移動装置の異なる状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0054】
1 移動装置
2 支持体
3 プラットフォーム
4 第1の縦方向マスト
5 第2の縦方向マスト
6 垂直移動手段
7 滑動ブロック
8 制御装置
9 支持領域
10 周縁部
11 使用者
12 車椅子
13 孔
14 基部
15 ヒンジ
16 水平移動手段
17 下縁
18 上縁
19、20 端部
21 孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体(2)、及び車椅子及びその使用者を支持するためのプラットフォーム(3)を備え、このプラットフォーム(3)は、低い水平位置と上昇した水平位置との間を、移動しうるように前記支持体(2)に固定され、更に前記プラットフォーム(3)を前記低い位置と上昇位置との間を移動させ、かつ使用者が操作できる垂直移動手段(6)を備えてなる車椅子上の身体障害者の移動装置(1)において、
前記支持体(2)は、更に、固定可能な第1の縦方向マスト(4)と、前記第1のマスト(4)に滑動自在に連結され、かつ前記プラットフォーム(3)を移動させるための前記移動手段(6)に固定された第2の縦方向マスト(5)を備え、かつ前記プラットフォーム(3)は、実質的に垂直方向の停止位置と、実質的に水平方向の使用位置との間を動きうるようにして、前記第2の縦方向マスト(5)に固定されていることを特徴とする移動装置(1)。
【請求項2】
前記第1の縦方向マスト(4)及び第2の縦方向マスト(5)は型材からなり、互いに連結することにより、前記プラットフォーム(3)の垂直移動手段(6)を収容するための空間を画定していることを特徴とする請求項1記載の移動装置。
【請求項3】
前記型材が画定している空間内に、プラットフォーム(3)を水平の作動位置から水平の停止位置まで移動させる水平移動手段(16)を収容してあることを特徴とする請求項1又は2記載の移動装置。
【請求項4】
前記2本の縦方向マストは、滑動ブロック(7)により、相互に滑動するようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項5】
前記第1の縦方向マスト(4)及び第2の縦方向マスト(5)は、少なくとも一部を相互に嵌合しうる断面形状を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項6】
前記プラットフォーム(3)の垂直移動手段(6)は、第2の縦方向マスト(5)に関連づけた1又は2以上の制御装置(8)をもって、使用者により制御されるようになっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項7】
前記第2の縦方向マスト(5)は、プラットフォーム(3)の面から突出し、その上端に、前記制御装置(8)が取付けられていることを特徴とする請求項6に記載の移動装置。
【請求項8】
前記プラットフォーム(3)の垂直移動手段(6)は、機械的作動デバイス、空気式作動デバイス、電子空気的作動デバイス、油圧式作動デバイス、及び電気式作動デバイスから選択されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項9】
プラットフォーム(3)の垂直移動手段(6)は、油圧式ピストンであることを特徴とする請求項8に記載の移動装置。
【請求項10】
縦方向の停止位置において、前記プラットフォーム(3)は、前記支持体(2)及び前記制御装置(8)と隣接していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項11】
前記縦方向停止位置において、前記プラットフォーム(3)は、制御装置(8)へ近接しないようにしていることを特徴とする請求項10に記載の移動装置。
【請求項12】
身体障害者が自動カウンタを利用しうるようになっていることを許容する請求項1〜11のいずれか1項に記載の移動装置(1)の使用。
【請求項13】
自動カウンタは、銀行のカウンタである請求項12に記載の使用。
【請求項1】
支持体(2)、及び車椅子及びその使用者を支持するためのプラットフォーム(3)を備え、このプラットフォーム(3)は、低い水平位置と上昇した水平位置との間を、移動しうるように前記支持体(2)に固定され、更に前記プラットフォーム(3)を前記低い位置と上昇位置との間を移動させ、かつ使用者が操作できる垂直移動手段(6)を備えてなる車椅子上の身体障害者の移動装置(1)において、
前記支持体(2)は、更に、固定可能な第1の縦方向マスト(4)と、前記第1のマスト(4)に滑動自在に連結され、かつ前記プラットフォーム(3)を移動させるための前記移動手段(6)に固定された第2の縦方向マスト(5)を備え、かつ前記プラットフォーム(3)は、実質的に垂直方向の停止位置と、実質的に水平方向の使用位置との間を動きうるようにして、前記第2の縦方向マスト(5)に固定されていることを特徴とする移動装置(1)。
【請求項2】
前記第1の縦方向マスト(4)及び第2の縦方向マスト(5)は型材からなり、互いに連結することにより、前記プラットフォーム(3)の垂直移動手段(6)を収容するための空間を画定していることを特徴とする請求項1記載の移動装置。
【請求項3】
前記型材が画定している空間内に、プラットフォーム(3)を水平の作動位置から水平の停止位置まで移動させる水平移動手段(16)を収容してあることを特徴とする請求項1又は2記載の移動装置。
【請求項4】
前記2本の縦方向マストは、滑動ブロック(7)により、相互に滑動するようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項5】
前記第1の縦方向マスト(4)及び第2の縦方向マスト(5)は、少なくとも一部を相互に嵌合しうる断面形状を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項6】
前記プラットフォーム(3)の垂直移動手段(6)は、第2の縦方向マスト(5)に関連づけた1又は2以上の制御装置(8)をもって、使用者により制御されるようになっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項7】
前記第2の縦方向マスト(5)は、プラットフォーム(3)の面から突出し、その上端に、前記制御装置(8)が取付けられていることを特徴とする請求項6に記載の移動装置。
【請求項8】
前記プラットフォーム(3)の垂直移動手段(6)は、機械的作動デバイス、空気式作動デバイス、電子空気的作動デバイス、油圧式作動デバイス、及び電気式作動デバイスから選択されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項9】
プラットフォーム(3)の垂直移動手段(6)は、油圧式ピストンであることを特徴とする請求項8に記載の移動装置。
【請求項10】
縦方向の停止位置において、前記プラットフォーム(3)は、前記支持体(2)及び前記制御装置(8)と隣接していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項11】
前記縦方向停止位置において、前記プラットフォーム(3)は、制御装置(8)へ近接しないようにしていることを特徴とする請求項10に記載の移動装置。
【請求項12】
身体障害者が自動カウンタを利用しうるようになっていることを許容する請求項1〜11のいずれか1項に記載の移動装置(1)の使用。
【請求項13】
自動カウンタは、銀行のカウンタである請求項12に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2008−520516(P2008−520516A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540839(P2007−540839)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000630
【国際公開番号】WO2006/051566
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507158558)シテス ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (2)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000630
【国際公開番号】WO2006/051566
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507158558)シテス ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (2)
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