説明

車いす用階段昇降機

【課題】 車いす利用者自らが装着操作を行うことができる車いす用階段昇降機おいて、前後長の短い車いすであっても機体の後方位置に装着して安定した階段昇降を行うことができる。
【解決手段】 クローラ走行部20と、車いす装着部30とを備えた車いす用階段昇降機10であって、車いす装着部30は、クローラ走行部20に対して上下に位置調整自在に装備された装着部本体31と、装着部本体31における車いす装着位置で車いす1の背部を固定する車いす背部固定手段32と、車輪接地状態の車いす1をクローラ走行部20の前方側で保持し、この保持された車いすを車いす利用者の体重移動で後傾姿勢に倒しながらクローラ走行部20の後方にある車いす装着位置まで移動させる車いす保持・移動手段33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車いす利用者が搭乗した車いすを装着して階段を昇降する車いす用階段昇降機に関し、特には、車いす利用者自らが装着操作を行うことができる車いす用階段昇降機に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動モータの動力によって階段を自走するクローラ装置を備え、車いす利用者が搭乗した車いすが前向きの後傾姿勢で装着される車いす用階段昇降機は、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。この車いす用階段昇降機は、車いす利用者以外のオペレータ(介添人)の手を借りなければ車いすを機体に装着することができないものである。しかしながら、近年、車いす利用者に自由な行動の機会を与えることが重要視されており、また、歩行機能を除いては健常者と変わりがない車いす利用者も多いことから、車いす利用者自らが車いすに搭乗したままの状態で利用できる車いす用階段昇降機の開発が求められている。
【0003】
下記特許文献2に記載の従来技術は、このような要求に応えるべく提案されたものである。図1によってこの従来技術を説明すると、この従来技術は、車いすJ1、クローラ走行部J2、車いす装着部J3からなる。クローラ走行部J2はベルトクローラJ20を駆動モータで駆動して階段を自走することができるものである。車いす装着部J3は、車いすJ1を後傾姿勢で支持する支持枠J30と支持した車いすJ1の背部をロック係合するための保持用留め金J31とを備え、持ち上げ装置J4を介してクローラ走行部J2に上下位置が変更可能に装着されている。また、車いす装着部J3における支持枠J30の下方には横軸J32aによって雄型連結部材J32が軸支されており、横軸J32aにはレバーJ32bが固定され、このレバーJ32bは雄型連結部材J32と共に回転可能であって、連結ロッドJ32cを介して車いす装着部J3の案内棒J33に取り付けられたスライド部材J32dと連結している。スライド部材J32dは支持枠J30に対する雄型連結部材J32の回転位置に応じて案内棒J33に沿ってスライドしてカム部材J32eを動かす。
【0004】
車いす装着部J3に車いす1を装着するには、図1(a)の状態から車いすJ1を後退させ、雄型連結部材J32に車いすJ1側に装備された雌型連結部材J11を連結させる。そして、車いすJ1に搭乗している車いす利用者(図示省略)が自らの腕力で支持枠J30側の取っ手を持って体重移動を行い、車いすJ1を後傾姿勢にして支持枠J30に支持させ、車いす利用者自身が操作して保持用留め金J31で車いすJ1の背部を支持枠J30にロック係合する。
【0005】
この際、同図(b)に示すように、車いすJ1の後傾に伴って、雄型連結部材J32が斜め上方に向くように回動することになるので、これによってスライド部材J32d及びカム部材J32eが案内棒J33上をスライドして、カム部材J32eがクローラ走行部J2に取り付けられたレバーJ21を回動させ、このレバーJ21と同軸に固定されている補助輪J23を接地状態にする。
【0006】
ここで、装着された車いすJ1に搭乗している車いす利用者が持ち上げ装置J4のレバーJ41を操作することで、車いす装着部J3をクローラ走行部J2に対して下降させ、その操作によって車いすJ1の車輪J10と補助輪J23が接地して、図1(b)に示すようにクローラ走行部J2を浮上させて車いす走行が可能な状態にすることができる。
【0007】
また、クローラ走行部J2による階段昇降を行う際には、装着された車いすJ1に搭乗している車いす利用者が持ち上げ装置J4のレバーJ41を操作して、車いす装着部J3をクローラ走行部J2に対して上昇させてクローラ走行部J2を接地させる。ここで、車いす装着部J3をクローラ走行部J2に対して上昇させると、カム部材J32からレバーJ21が外れて退避附勢されている補助輪J23をクローラ走行部J2内に退避させることができる。この状態で、図1(c)に示すように階段Kの角に沿ってクローラ走行部J2を自走させ、階段の昇降を行う。
【0008】
これによると、車いす利用者が車いすJ1に搭乗したままの状態で車いすJ1を車いす装着部J3に装着することができ、また、車いす利用者が搭乗した状態で車いすJ1の車輪J10を接地させてクローラ走行部J2を浮上させた車いす走行を行うことができるので、オペレータ無しに階段の踊り場等で小回りの旋回を行うことができる。
【0009】
【特許文献1】特公昭64−7914号公報
【特許文献2】特許第2592669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この従来技術では、クローラ走行部J2を車いすJ1の左右両車輪J10,J10で跨ぐようにして車いすJ1を車いす装着部J3に装着する構造であるから、図1(a)の状態から車いすJ1を後退させて車いすJ1を車いす装着部J3に連結する際に、クローラ走行部J2の前端が車いすの足置き台J12(図1参照)に当たる前に雌型連結部材J11と雄型連結部材J32の連結がなされなければならない。ここで、クローラ走行部J2に装着される車いす装着部J3の位置は、図1(c)に示すように階段昇降時には常にクローラ走行部J2の前側が下に向いて走行することになるので、安定した走行を確保するにはクローラ走行部J2の重心位置より後方に位置することが必要になる。そうすると、車いすJ1の前後長L(図1(a)参照)がある程度長くないと、車いすJ1をクローラ走行部J2の後方にある車いす装着部J3に連結することができないことになる。しかしながら、歩行以外に障害のない車いす利用者が用いるスポーツタイプの車いすJ1は、機敏な操縦性を確保するために車いすJ1の前後長Lを短くする傾向があり、このような車いすJ1ではクローラ走行部J2後方に位置する車いす装着部J3への連結を行うことができなくなる。また、これを解消するためにクローラ走行部の前後長を短くすることも考えられるが、その場合には階段昇降時の安定した走行を確保することができなくなるという問題が生じる。
【0011】
本発明は、このような問題を解消することを目的として従来技術を改良した車いす用階段昇降機であって、前後長の短い車いすであっても機体の後方位置に装着して安定した階段昇降を行うことができること、また、従来技術と同様に、車いす利用者が車いすに搭乗したままの状態でオペレータの手を借りることなく車いすを装着することができると共に、装着された車いすに車いす利用者が搭乗した状態で車いすの車輪を接地させた車いす走行を行い、オペレータの手を借りることなく小回りの旋回等を行うことができること、更には、従来技術に対して、より安全性と操作性の向上を図ることができること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために本発明は以下の特徴を具備している。
【0013】
一つには、駆動モータの動力によって階段を自走するクローラ装置を備えたクローラ走行部と、車いす利用者が搭乗した車いすが前向きの後傾姿勢で装着される車いす装着部とを備えた車いす用階段昇降機であって、前記車いす装着部は、前記クローラ走行部に対して上下に位置調整自在に装備された装着部本体と、該装着部本体における車いす装着位置で前記車いすの背部を固定する車いす背部固定手段と、車輪接地状態の前記車いすを前記クローラ走行部の前方側で保持し、この保持された車いすを前記車いす利用者の体重移動で後傾姿勢に倒しながら前記クローラ走行部の後方にある前記車いす装着位置まで移動させる車いす保持・移動手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また一つには、前述の特徴に加えて、前記装着部本体は、動力位置調整装置を介して前記クローラ走行部に装備され、前記車いす装着部と前記クローラ走行部との相対位置は、前記動力位置調整装置の調整状態に応じて、前記車いすを前記車いす保持・移動手段に着脱可能な中間位置と、前記車いす装着部に車いすが装着された状態で前記クローラ装置が階段昇降可能な階段昇降位置と、前記車いす装着部に装着された車いすの車輪が接地することで前記クローラ装置を浮上させる車いす走行位置とで調整可能であり、前記クローラ走行部の後部には、前記動力位置調整装置の調整動作に応じて出没し、前記車いす走行位置で接地する転倒防止用補助輪が装備されていることを特徴とする。
【0015】
また一つには、前述の特徴に加えて、前記動力位置調整装置は、上下に伸縮自在な動力シリンダ装置であり、該動力シリンダ装置の上限位置で前記階段昇降位置になり、下限位置で前記車いす走行位置になることを特徴とする。
【0016】
また一つには、前述の特徴に加えて、前記車いす保持・移動手段は、車いす側の被保持部材に嵌合されるべく前方に突出した保持突起部材と、該保持突起部材の基部が先端に軸支され前記装着部本体に対して前後にスライド自在に設けられたスライド部材と、該スライド部材のスライド移動に応じて前記保持突起部材の角度を変更させ、その前端スライド位置で前記保持突起部材を水平に支持すると共にその後端スライド位置で前記保持突起部材を斜め上方に支持するリンク機構とを備えることを特徴とする。
【0017】
また一つには、前述の特徴に加えて、前記リンク機構は、一端が前記装着部本体に軸支され他端が屈折端となる第1リンク部材と、一端が前記屈折端に軸支され他端が前記スライド部材に軸支される第2リンク部材と、一端が前記第2リンク部材の中央部に軸支され他端が前記保持突起部材の基部の回動端に軸支される第3リンク部材とからなることを特徴とする。
【0018】
また一つには、前述の特徴に加えて、前記保持突起部材には車いす側の前記被保持部材の抜けを防止するロック機構が設けられ、該ロック機構は該保持突起部材の水平支持時に開放され、該保持突起部材の斜め上方支持時に前記被保持部材に係合するロック爪を備えることを特徴とする。
【0019】
また一つには、前述の特徴に加えて、前記スライド部材は、前記車いす装着部と前記クローラ走行部との相対位置が前記階段昇降位置では、前記後端スライド位置から前方への移動が規制されることを特徴とする。
【0020】
また一つには、前述の特徴に加えて、前記車いす背部固定手段は、前記車いす装着部と前記クローラ走行部との相対位置が前記中間位置でのみ解除操作が許可される機構を備えること特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このような特徴によると、前後長の短い車いすであっても機体の後方位置に装着して安定した階段昇降を行うことができ、また、車いす利用者が車いすに搭乗したままの状態でオペレータの手を借りることなく車いすを装着することができると共に、装着された車いすに車いす利用者が搭乗した状態で車いすの車輪を接地させて車いす走行を可能にすることで、オペレータの手を借りることなく小回りの旋回等を行うことができる。更には、より安全性と操作性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図2〜図4は、本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機の全体構成及び機能を説明する説明図である(各図は共通部位を同一符号で示しており、共通部位については図毎の重複説明を一部省略している)。
【0023】
車いす用階段昇降機10は、車いす利用者が搭乗した車いす1を装着して階段を昇降することができるものであるが、クローラ走行部20と車いす装着部30とを主要な構成として備えている(以下の説明又は特許請求の範囲における「前」又は「後」とは装着される車いすの向きを基準にしている)。
【0024】
クローラ走行部20は、駆動モータの動力によって階段を自走するクローラ装置を備えるもので、従来から知られた構造を基本構成とする。すなわち、フレーム(図示省略)、このフレームに設けられ後方側が所定の角度で立ち上がったガイドレール21、フレームに軸支された駆動輪22と従動輪23、これら駆動輪22と従動輪23とに巻き回されたベルトクローラ24、駆動輪22を駆動する駆動モータ(図示省略)、駆動モータの電源となるバッテリ装置(図示省略)等を備え、更には、後方に出没自在に設けられる転倒防止用補助輪25を備える。
【0025】
一方、車いす装着部30は、車いす利用者(図示省略)が搭乗した車いす1が前向きの後傾姿勢で装着されるものであって、クローラ走行部20に対して上下に位置調整自在に装備された装着部本体31と、この装着部本体31における車いす装着位置で車いす1の背部を固定する車いす背部固定手段32と、車輪接地状態の車いす1をクローラ走行部20の前方側で保持し、この保持された車いす1を車いす利用者自らの腕力及び体重移動で後傾姿勢に倒しながらクローラ走行部20の後方にある車いす装着位置まで移動させる車いす保持・移動手段33とを備える。
【0026】
そして、装着部本体31は、動力位置調整装置である動力シリンダ装置40を介してクローラ走行部20に装備されている。この動力シリンダ装置40は、一端側がクローラ走行部20側の一部に装着され他端側が装着部本体31の装着部31Aに装着されて、上下に伸縮自在に配備されている。すなわち、車いす装着部30とクローラ走行部20との相対位置は、動力シリンダ装置40の位置調整状態(伸縮状態)によって変更又は調整可能であり、車いす1を車いす保持・移動手段33に着脱可能な中間位置、車いす装着部30に車いす1が装着された状態でクローラ装置が階段昇降可能な階段昇降位置、車いす装着部30に装着された車いす1の車輪1Aが接地することでクローラ走行部20を浮上させる車いす走行位置とで調整可能なようになっている。
【0027】
図の41は動力シリンダ装置40及び前述したクローラ走行部20の駆動モータを作動させるスイッチボックスであり、例えばスイッチ41Aを上側又は下側にオンオフすることで動力シリンダ装置40を上下に伸縮動作させ、スイッチ41Bを前側又は後ろ側にオンオフすることでクローラ走行部20を前後に走行させるものである。
【0028】
車いす1を車いす用階段昇降機10に装着するための構造を説明すると、まず、車いす1側に被保持部材2を予め装着しておく準備が必要である。この被保持部材2は、例えば水平な筒状の被嵌合部2Aを備えて、この被嵌合部2Aが車いす1の下方に位置するように、フレーム等の左右両側に装着されるものである。
【0029】
そして、車いす用階段昇降機10側の車いす保持・移動手段33は、前述の被保持部材2の被嵌合部2Aに嵌合されるべく前方に突出した保持突起部材33Aと、保持突起部材33Aの基部が先端に軸支され装着部本体31に対して前後にスライド自在に設けられたスライド部材33Bと、このスライド部材33Bのスライド移動に応じて保持突起部材33Aの角度を変更させ、その前端スライド位置で保持突起部材33Aを水平に支持すると共にその後端スライド位置で保持突起部材33Aを斜め上方に支持するリンク機構33Cとを備えている。
【0030】
また、保持突起部材33Aの基部には被保持部材2の抜けを防止するロック機構が設けられ、このロック機構は前述したリンク機構33Cに連動するもので、保持突起部材33Aの水平支持時に開放され、保持突起部材33Aの斜め上方支持時に被保持部材2の被嵌合部2Aに係合するロック爪33Dを備えている。
【0031】
図2及び図3に従って、車いす1を車いす用階段昇降機10に装着する手順を説明する。先ずは、クローラ走行部20に対する装着部本体31の上下位置調整を動力シリンダ装置40の伸縮動作によって行い、保持突起部材33Aが車いす1側の被保持部材2における被嵌合部2Aの高さに一致するように調整する。この際の操作は、例えばスイッチ41Aのオンオフによって行うことができ、動力シリンダ装置40の伸縮状態が設定された中間位置になるとランプが点灯する等の確認手段を設けることで容易に調整を行うことができる。
【0032】
そして、クローラ走行部20の前側から車いす1の車輪1Aがクローラ走行部20を跨ぐように車いす1を後退させていき、図2に示すように、車いす1側の被嵌合部2Aに保持突起部材33Aを嵌合させ、車いす1を保持する。この際、スライド部材33Bはばね作用によって前方側にスライドするように付勢されており、常にスライド部材33Bの前端スライド位置で被嵌合部2Aと保持突起部材33Aとが嵌合するようになっている。したがって、クローラ走行部20の重心位置よりも前側で車いす1を車いす保持・移動手段33に保持させることができ、前後長の短い車いす1であっても保持が可能になる。
【0033】
そして、図2に示す状態から、車いす1に搭乗している車いす利用者は、腕を後ろに伸ばして車いす装着部30側のレバー32A等を持ち、自らの腕力で車いす1を車いす装着部30側に引きつけるようにして体重移動を行い、スライド部材33Bを装着部本体31のガイドに沿って後端スライド位置まで後退させる。そうすると、前述したリンク機構33Cの作用によって保持突起部材33Aの角度が変更されて斜め上方に向くように支持されるので、これによって、図3に示すように、車いす1が後傾姿勢になって車いす装着部20の装着位置まで移動することになる。したがって、クローラ走行部20の前方で車いす保持・移動手段33に保持された車いす1がクローラ走行部20の後方にある車いす装着位置まで移動されることになり、階段昇降時に安定した走行を行うには不可欠なクローラ走行部20の重心位置より後方に車いす1を装着することができる。
【0034】
図3に示す状態で車いす1に搭乗している車いす利用者は車いす背部固定手段32のレバー32Aを自身で操作し、後述するような機構を備えた車いす背部固定手段32で車いす1の背部フレームを装着部本体31のフレームに固定する。また、スライド部材33Bの後端スライド位置では図示のようにロック機構が働いてロック爪33Dが被保持部材2の被嵌合部2Aに係合するので、抜け止め状態が確保される。
【0035】
図2及び図3に示す状態では、クローラ走行部20が地面Gに接地しているが、この状態で、動力シリンダ装置40を縮める操作を行ってクローラ走行部20に対して車いす装着部30を下降させると、図4に示すように、車いす1の車輪1が接地してクローラ走行部20をグランドクリアランスCが得られるように浮上させることができる。この際には、車いす装着部30の下降に伴ってクローラ走行部20の後方から転倒防止用補助輪25が出現してこれが接地するようになっている。車いす1に搭乗した車いす利用者は、例えばスイッチ41Aを操作して、動力シリンダ装置40の下限位置(車いす走行位置)で図4に示す車いす走行状態にすることができ、自ら車いす1の操作輪1Bを操作して車いす用階段昇降機10を移動又は旋回させることができる。すなわち、階段に対して車いす用階段昇降機10をセットする際、或いは踊り場で車いす用階段昇降機10を小回りに旋回させる際にも、この車いす用階段昇降機10に装着された車いす1に搭乗している車いす利用者が、オペレータの力を借りることなく自力で操作を行うことができる。
【0036】
そして、図4に示す状態から動力シリンダ装置40を上限まで伸ばすことで、車いす装着部30に車いす1が装着された状態でクローラ走行部20が階段昇降可能な階段昇降位置を得ることができる。この際には、スライド部材33Bの後端に設けたストッパ突起33Eがクローラ走行部20側に設けたストッパピン26に当接することになって、スライド部材33Bの後端スライド位置から前方への移動が規制されることになる。また、スイッチボックス41では、この動力シリンダ装置40の上限(階段昇降位置)を検知して、クローラ走行部20を駆動するスイッチ41Bの作動を許容する安全装置を設けても良く、これによって、より安全性の高い階段昇降を行うことが可能になる。
【0037】
以下に、本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機10の細部を図5〜図8(各図は共通部位を同一符号で示しており、共通部位については図毎の重複説明を一部省略している)によって更に具体的に説明する。
【0038】
図5は、図2に対応する状態の細部説明図である。この状態では、車いす保持・移動手段33のスライド部材33Bは前端スライド位置にあり、装着部本体31とクローラ走行部20との位置関係は車いすを車いす保持・移動手段33に着脱可能な中間位置にある。
【0039】
装着部本体31は、クローラ走行部20側の支持体に上下にスライド自在に支持されており、この装着部本体31に設けられた装着部31Aが動力シリンダ装置40の上端に装着され、クローラ走行部20側の装着部20Aが動力シリンダ装置40の下端に装着されることで、動力シリンダ装置40の伸縮動作によって、装着部本体31とクローラ走行部20との位置関係が上下に調整自在になっている。
【0040】
車いす保持・移動手段33について更に詳細に説明すると、スライド部材33Bが装着部本体31の下部に形成されるガイド部31Bに沿って前後方向にスライド自在に装着されている。
【0041】
また、リンク機構33Cが第1リンク部材33C1と第2リンク部材33C2と第3リンク部材33C3とからなり、第1リンク部材33C1は一端が装着部本体31のc1点で軸支されて他端が屈折端となり、第2リンク部材33C2は一端が屈折端のc2点で軸支されて他端がスライド部材33Bのc3点で軸支され、第3リンク部材33C3は一端が第2リンク部材33C2の中央部のC4点で軸支され他端が保持突起部材33Aの基部33A1の回動端C5で軸支されている。また、第1リンク部材33C1は、その側部のc6点で引張ばねS1を介して装着部本体31に支持されており、この引張ばねS1によって、スライド部材33Bは、中間のスライド位置より前側では前端スライド位置側にばね付勢され、中間のスライド位置より後ろ側では後端スライド位置側にばね付勢されている。
【0042】
そして、このようなリンク機構33Cによって、スライド部材33Bが前端スライド位置にあるときには、このスライド部材33Bに基部33A1が軸支された保持突起部材33Aは水平に支持されることになり、スライド部材33Bが後端スライド位置にあるときには、保持突起部材33Aは斜め上方に支持されることになる(図6参照)。
【0043】
この実施形態では、スライド部材33Bのスライド動作と保持突起部材33Aの角度変更動作をリンク機構33Cで連動させているが、決められた保持突起部材33Aの変更角度に対して、より長いスライド長を確保するために、第1リンク部材33C1,第2リンク部材33C2,第3リンク部材33C3の3本のリンク部材から成るリンク機構を採用している。
【0044】
また、保持突起部材33Aに設けられるロック機構について説明すると、保持突起部材33Aの内部には圧縮ばねS2が軸に沿って内蔵されおり、その反発力でロック爪33Dを係合方向に付勢している。また、このロック爪33Dは基部33A1に軸支されており、爪と逆側の回動端のc7点と第1,第2リンク部材33C1,33C2の屈折端のc2点とが引張ばねS3で結合されている。ここで、図5に示す状態では、スライド部材33Bは前端スライド位置にあってc2点とc7点が離間した状態になっており、また、引張ばねS3の引張力が圧縮ばねS2の反発力に勝るように設定されているので、ロック爪33Dは係合を開放する方向に付勢されている。
【0045】
車いす背部固定手段32について更に詳細に説明すると、この車いす背部固定手段32は、車いすの背部フレームを掴んで固定する固定爪32Bが装着部本体31のフレームに固定側にばね付勢された状態で軸支されており、レバー32Aによって固定解除操作を行うことができる機構を備えている。
【0046】
また、この車いす背部固定手段32は、車いす1を車いす保持・移動手段33に着脱可能な中間位置でのみ固定解除操作が許可される機構を備えている。この機構は、図8に示すように、レバー32Aによって操作される固定爪32Bの回動端にロッド32Cを設けて、左右一対のレバー32Aを操作することで一対のロッド32Cを介して回動板32Dが回動され、この回動板32Dと共に回動する回動カム32Eを備える機構を形成し、更に、動力シリンダ装置40の伸縮動作によって回転する操作規制板32Fを備える機構からなる。この操作規制板32Fは、動力シリンダ装置40の上端が装着される装着部本体31側の装着部31Aに軸支されており、動力シリンダ装置40の下端が装着されるクローラ走行部20側の装着部20Aに一端が軸支されたロッド32Gの他端がその回動端に軸支されることで、動力シリンダ装置40の伸縮に伴って回動するものであり、図5に示す中間位置でのみ操作規制板32Fの切り欠きF1を通って回動カム32Eの回動が許可されるようになっている。
【0047】
転倒防止用補助輪25について更に詳細に説明すると、この転倒防止用補助輪25は、車輪支持枠25Aの一端がクローラ走行部20のガイドレール21に軸支されて他端に車輪25Bが装着されている。そして、車輪支持枠25Aの中央部がロッド25Cの一端に軸支され、このロッド25Cの他端が装着部本体31に軸支されている。すなわち、転倒防止用補助輪25は装着部本体31とクローラ走行部20との上下位置関係に応じてクローラ走行部20の後方に出没することになり、図5に示す中間位置では、車輪25Bが地面から離れた状態になっている。
【0048】
図6は、図4に対応する状態の細部説明図である。この状態では、車いす保持・移動手段33のスライド部材33Bは後端スライド位置にあり、装着部本体31とクローラ走行部20との位置関係は、動力シリンダ装置40の下限端で、装着した車いす1の車輪1Aが地面Gに接地している車いす走行状態にある。
【0049】
この際には、スライド部材33Bが後端スライド位置にスライドすることで、リンク機構33Cの作用によって保持突起部材33Aが斜め上向きに支持され、これによって、ロック爪33Dにおける回動端のc7点と第1,第2リンク部材33C1,33C2の屈折端のc2点とが近接することになり、引張ばねS3の引張力が解除されるので、圧縮ばねS2の反発力によって、ロック爪33Dが保持突起部材33Aに嵌合した車いす1側の被嵌合部2Aに係合することになる。
【0050】
また、装着部本体31とクローラ走行部20との上下位置関係が近接することで、ロッド32Gによって操作規制板32Fが回動することになり、操作規制板32Fの切り欠きF1が回動カム32Eから外れることになるので、回動カム32Eが回動できなくなり、車いす背部固定手段32のレバー32Aによる操作が規制されることになる。
【0051】
更には、装着部本体31とクローラ走行部20との上下位置関係が近接することで、ロッド25Cが車輪支持枠25Aを押し出して、転倒防止用補助輪25の車輪25Bが地面Gに接地することになる。
【0052】
図7は、階段昇降を行う際の階段昇降位置にある状態を示す細部説明図である。この状態は、図6に示す状態から動力シリンダ装置40を上限まで伸張させ装着部本体31とクローラ走行部20との上下位置関係を最大限離間させる。これによって、クローラ走行部20が接地することになって、クローラ走行部20上に車いす装着部30に装着された車いす1が搭載されることになる。
【0053】
この状態では、車いす保持・移動手段33は図6の状態が維持されるので、ロック爪33Dが被嵌合部2Aに係合した状態が維持される。そして、クローラ走行部20に対して装着部本体31が上昇するので、後端スライド位置にあるスライド部材33Bの後端に設けたストッパ突起33Eがクローラ走行部20側に設けたストッパピン26に当接することになって、スライド部材33Bの前方への移動が規制されることになる。
【0054】
また、装着部本体31とクローラ走行部20との上下位置関係が離間することで、ロッド32Gによって操作規制板32Fが回動することになり、この際にも操作規制板32Fの切り欠きF1が回動カム32Eから外れることになるので、回動カム32Eが回動できなくなり車いす背部固定手段32のレバー32Aによる操作が規制されることになる。
【0055】
更には、装着部本体31とクローラ走行部20との上下位置関係が離間することで、ロッド25Cが車輪支持枠25Aを持ち上げて、転倒防止用補助輪25の車輪25Bがクローラ走行部20内に収納されることになる。
【0056】
このような本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機の特徴をまとめると以下のとおりになる。
【0057】
(1)車いす装着部30は、クローラ走行部20に対して上下に位置調整自在に装備された装着部本体31と、装着部本体31における車いす装着位置で車いす1の背部を固定する車いす背部固定手段32と、車輪接地状態の車いす1をクローラ走行部20の前方側で保持し、この保持された車いす1を車いす利用者の体重移動で後傾姿勢に倒しながらクローラ走行部20の後方にある車いす装着位置まで移動させる車いす保持・移動手段33とを備えることを特徴とする。
【0058】
これによると、車いす1をクローラ走行部20の前側で保持して、後方の車いす装着位置まで移動させることができ、前後長の短い車いすであっても車いす利用者が自ら装着操作を行ってクローラ走行部の後方にある安定した車いす装着位置に車いすを装着することが可能になる。また、装着部本体31に装着された車いすを車いす背部固定手段32でしっかりと固定することで、安全性の高い階段昇降が可能になる。更には、クローラ走行部に対して装着部本体31が上下に位置調整できるので、車いすの装着後に装着部本体31を下降させて車いす1の車輪1Aを接地させた車いす走行を行うことができ、車いす利用者はオペレータの手を借りることなく階段昇降のセット位置への移動又は踊り場での旋回等を行うことができる。
【0059】
(2)装着部本体31は、動力位置調整装置(動力シリンダ装置40)を介してクローラ走行部20に装備され、車いす装着部30とクローラ走行部20との相対位置は、動力位置調整装置(動力シリンダ装置40)の調整状態に応じて、車いす1を車いす保持・移動手段33に着脱可能な中間位置と、車いす装着部30に車いす1が装着された状態でクローラ走行部20が階段昇降可能な階段昇降位置と、車いす装着部30に装着された車いす1の車輪が接地することでクローラ走行部20を浮上させる車いす走行位置とで調整可能であり、クローラ走行部20の後部には、動力位置調整装置(動力シリンダ装置40)の調整動作に応じて出没し、車いす走行位置で接地する転倒防止用補助輪25が装備されていることを特徴とする。
【0060】
これによると、動力位置調整装置によってクローラ走行部20と装着部本体31間の位置調整ができるので、車いす装着部30に装着された車いす1に搭乗した車いす利用者の調整操作の労力を軽減することが可能になり、車いす利用者自らが操作する車いす用階段昇降機の操作性を更に向上させることができる。特に、前述の中間位置での位置調整や、中間位置から車いす走行位置への位置変更、車いす走行位置から階段昇降位置への位置変更を動力位置調整装置の操作によって簡易に行うことができるようになる。また、動力位置調整装置の調整動作に応じて自動で転倒防止用補助輪が出没するので、誤動作無く車いす走行位置で転倒防止用補助輪を接地させることができる。
【0061】
(3)上下に伸縮自在な動力シリンダ装置40を用いて、この動力シリンダ装置40の上限位置で階段昇降位置になり、下限位置で車いす走行位置になるように設定することで、誤操作のない位置設定を行うことが可能になる。
【0062】
(4)車いす保持・移動手段33は、車いす側の被保持部材2に嵌合されるべく前方に突出した保持突起部材33Aと、保持突起部材33Aの基部が先端に軸支され装着部本体31に対して前後にスライド自在に設けられたスライド部材33Bと、スライド部材33Bのスライド移動に応じて保持突起部材33Aの角度を変更させ、その前端スライド位置で保持突起部材33Aを水平に支持すると共にその後端スライド位置で保持突起部材33Aを斜め上方に支持するリンク機構33Cとを備えることを特徴とする。
【0063】
これによると、車いす保持・移動手段33が車いす1を保持した後に、車いす1に搭乗した車いす利用者が自らの力で後方にスライド部材33Bをスライドさせると、リンク機構33Cの作用によって車いす1を後傾姿勢にすることができ、車いす保持・移動手段33で保持した車いす1を後傾姿勢に倒しながら後方に移動する動作を円滑且つ容易に行うことができる。
【0064】
(5)リンク機構33Cは、一端が装着部本体31に軸支され他端が屈折端となる第1リンク部材33C1と、一端が前記屈折端に軸支され他端がスライド部材33Bに軸支される第2リンク部材33C2と、一端が第2リンク部材33C2の中央部に軸支され他端が保持突起部材33Aの基部の回動端に軸支される第3リンク部材33C3とからなることを特徴とする。
【0065】
これによると、スライド部材33Bのスライド動作と保持突起部材33Aの角度変更動作をリンク機構33Cで連動させるに際して、3つのリンク部材からなるリンク機構33Cを採用することによって、決められた保持突起部材33Aの角度変更に対して充分に長いスライド部材33Bのスライド長を確保することができる。これによって、より前後長の短い車いす1に対しても確実に保持して後方に移動できる車いす保持・移動手段を実現することができる。
【0066】
(6)保持突起部材33Aには車いす側の被保持部材2の抜けを防止するロック機構が設けられ、ロック機構は保持突起部材33Aの水平支持時に開放され、保持突起部材33Aの斜め上方支持時に被保持部材2に係合するロック爪33Dを備えることを特徴とする。
【0067】
これによると、保持突起部材33Aに車いす側の被保持部材2を嵌合させる際にはロック爪33Dが開放されているので、円滑に保持突起部材33Aに対する被保持部材2の嵌合を行うことができ、また、保持された車いす1が後方に移動して後傾姿勢になったときに自動でロック爪33Dが係合して抜け止め状態になるので、車いす装着部30に装着された車いす1の脱落を確実に防止することができる。
【0068】
(7)スライド部材33Bは、車いす装着部30とクローラ走行部20との相対位置が階段昇降位置では、後端スライド位置から前方への移動が規制されることを特徴とする。これによると、階段昇降時にスライド部材33Bが前方に移動してしまい前述のロック機構が解除されてしまうことが確実に防止できるので、更に安全性の高い階段昇降を行うことが可能になる。
【0069】
(8)車いす背部固定手段32は、車いす装着部30とクローラ走行部20との相対位置が中間位置でのみ解除操作が許可される機構を備えること特徴とする。これによると、車いす背部固定手段32の誤操作による固定解除を完全になくすことができ、更に安全性の高い階段昇降を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】従来技術の説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機の全体構成及び機能を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機の全体構成及び機能を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機の全体構成及び機能を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機の細部説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機の細部説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機の細部説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る車いす用階段昇降機の細部説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 車いす
1A 車輪
1B 操作輪
2 被保持部材
2A 被嵌合部2A
10 車いす用階段昇降機
20 クローラ走行部
21 ガイドレール
22 駆動輪
23 従動輪
24 ベルトクローラ
25 転倒防止用補助輪
26 ストッパピン
30 車いす装着部
31 装着部本体
32 車いす背部固定手段
33 車いす保持・移動手段
33A 保持突起部材
33B スライド部材
33C リンク機構
33C1 第1リンク部材
33C2 第2リンク部材
33C3 第3リンク部材
33D ロック爪
40 動力シリンダ装置(動力位置調整装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータの動力によって階段を自走するクローラ装置を備えたクローラ走行部と、車いす利用者が搭乗した車いすが前向きの後傾姿勢で装着される車いす装着部とを備えた車いす用階段昇降機であって、
前記車いす装着部は、前記クローラ走行部に対して上下に位置調整自在に装備された装着部本体と、該装着部本体における車いす装着位置で前記車いすの背部を固定する車いす背部固定手段と、車輪接地状態の前記車いすを前記クローラ走行部の前方側で保持し、この保持された車いすを前記車いす利用者の体重移動で後傾姿勢に倒しながら前記クローラ走行部の後方にある前記車いす装着位置まで移動させる車いす保持・移動手段とを備えることを特徴とする車いす用階段昇降機。
【請求項2】
前記装着部本体は、動力位置調整装置を介して前記クローラ走行部に装備され、
前記車いす装着部と前記クローラ走行部との相対位置は、前記動力位置調整装置の調整状態に応じて、前記車いすを前記車いす保持・移動手段に着脱可能な中間位置と、前記車いす装着部に車いすが装着された状態で前記クローラ走行部が階段昇降可能な階段昇降位置と、前記車いす装着部に装着された車いすの車輪が接地することで前記クローラ走行部を浮上させる車いす走行位置とで調整可能であり、
前記クローラ走行部の後部には、前記動力位置調整装置の調整動作に応じて出没し、前記車いす走行位置で接地する転倒防止用補助輪が装備されていることを特徴とする請求項1に記載された車いす用階段昇降機。
【請求項3】
前記動力位置調整装置は、上下に伸縮自在な動力シリンダ装置であり、該動力シリンダ装置の上限位置で前記階段昇降位置になり、下限位置で前記車いす走行位置になることを特徴とする請求項2に記載された車いす用階段昇降機。
【請求項4】
前記車いす保持・移動手段は、車いす側の被保持部材に嵌合されるべく前方に突出した保持突起部材と、該保持突起部材の基部が先端に軸支され前記装着部本体に対して前後にスライド自在に設けられたスライド部材と、該スライド部材のスライド移動に応じて前記保持突起部材の角度を変更させ、その前端スライド位置で前記保持突起部材を水平に支持すると共にその後端スライド位置で前記保持突起部材を斜め上方に支持するリンク機構とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された車いす用階段昇降機。
【請求項5】
前記リンク機構は、一端が前記装着部本体に軸支され他端が屈折端となる第1リンク部材と、一端が前記屈折端に軸支され他端が前記スライド部材に軸支される第2リンク部材と、一端が前記第2リンク部材の中央部に軸支され他端が前記保持突起部材の基部の回動端に軸支される第3リンク部材とからなることを特徴とする請求項4に記載された車いす用階段昇降機。
【請求項6】
前記保持突起部材には車いす側の前記被保持部材の抜けを防止するロック機構が設けられ、該ロック機構は該保持突起部材の水平支持時に開放され、該保持突起部材の斜め上方支持時に前記被保持部材に係合するロック爪を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載された車いす用階段昇降機。
【請求項7】
前記スライド部材は、前記車いす装着部と前記クローラ走行部との相対位置が前記階段昇降位置では、前記後端スライド位置から前方への移動が規制されることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載された車いす用階段昇降機。
【請求項8】
前記車いす背部固定手段は、前記車いす装着部と前記クローラ走行部との相対位置が前記中間位置でのみ解除操作が許可される機構を備えること特徴とする請求項2又は3に記載された車いす用階段昇降機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−102366(P2006−102366A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296305(P2004−296305)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000106634)株式会社サンワ (6)