説明

車両の前方障害物検出装置

【課題】車両の前方障害物検出装置に関し、自車両の前方のカーブ路に存在する障害物を検出できるようにする。
【解決手段】自車両1の前方の物体を検出する前方検出手段と、前記自車両の走行する前方の道路形状に対応した前方道路領域13を算出する前方道路領域算出手段28と、前記前方検出手段により検出された前記前方の物体の前記自車両に対する位置と、前記前方道路領域算出手段により算出された前記前方道路領域13とに基づいて、前記前方道路領域13の範囲内に前記前方の物体がある場合に、前記前方の物体が前記自車両の走行する道路又は車線の前方に存在する障害物であると判定する前方障害物判定手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行時に自車両の道路上の障害物を検出する、車両の前方障害物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の技術として、道路座標を用いて進路の曲率半径を算出し、その情報よりドライバへカーブ情報を提供し、車速に応じたカーブ進入前での注意喚起を行うための、カーブ検出方法が開発されている。
例えば、特許文献1には、地図データに含まれている道路形状を表す座標を読み出して曲率半径を算出し、道路のカーブ及び当該カーブの方向を判定し、判定されたカーブに関する情報の報知を行う技術が開示されている。
【0003】
また、前方障害物の検出方法として、ミリ波レーダやレーザレーダ等のセンサを用いて前方車両を検出する技術が知られている。さらに、カーブ路における前方車両検出方法として、操舵角情報や、ジャイロセンサや、地図情報を利用して、曲率半径を推定し、推定された曲率半径に応じてセンサの探知範囲を変化させ、前方車両の検出を行う技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献2には、自車両のGPS情報及び自車両付近の地図情報から、自車両が存在する道路前方のカーブの曲率を導出し、カーブする方向にセンサヘッド部を向け、カーブの先まで前方車両及び障害物等を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−321086号公報
【特許文献2】特開2001−124853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、センサを用いたカーブ路における前方障害物検知方法において、操舵角情報やジャイロセンサを用いてセンサの探知範囲を変化させることが考えられる、この場合、自車両がカーブに進入する手前においては、自車両は直線路を走行しているため、操舵角情報により推定される曲率半径はほぼ直線状を示し、センサの探知範囲は直線の方向に向けられたままとなり、カーブ路内に存在する前方障害物を適切に検出できないという課題がある。
【0007】
また、特許文献2の技術では、カーブする方向の限られた範囲のみの前方車両及び障害物等を検出するものであるため、センサにより検出された障害物が、自車両の走行する道路上に存在するかどうかの判断を行うことは困難であった。また、センサヘッドをカーブする方向へ移動させるタイミングが僅かにずれても自車両の走行する道路上に存在する前方車両等を検出することができないおそれがあった。さらに、カーブする方向にセンサヘッドを向けるため、可動部の故障によるリスクが存在していた。
【0008】
本発明は、これらの課題に鑑み案出されたもので、車両が直線路を走行している場合であっても、車両の存在する前方のカーブ路内に存在する前方障害物を確実に検出することができるようにした、車両の前方障害物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の車両の前方障害物検出装置は、自車両の前方の物体を検出する前方検出手段と、前記自車両の走行する前方の道路形状に対応した前方道路領域を算出する前方道路領域算出手段と、前記前方検出手段により検出された前記前方の物体の前記自車両に対する位置と、前記前方道路領域算出手段により算出された前記前方道路領域とに基づいて、前記前方道路領域の範囲内に前記前方の物体がある場合に、前記前方の物体が前記自車両の走行する道路又は車線の前方に存在する障害物であると判定する前方障害物判定手段とを有していることを特徴としている。
【0010】
また、前記自車両の位置を取得する自車両位置取得手段と、前記自車両が走行する道路又は車線上の点を表し、経度及び緯度からなる位置情報を付与された複数の道路ノードについての道路ノード情報を含む道路情報を記憶する道路情報記憶手段とをさらに備え、前記前方道路領域算出手段は、前記自車両の位置と前記道路情報とから、前記前方道路領域を、前記複数の道路ノードを接続した線状領域として算出し、前記前方障害物判定手段は、前記前方検出手段により特定された前記前方物体の検出位置を基準として周囲に広がりを持つ所定の領域を障害物領域とし、この障害物領域が前記線状領域としての前方道路領域上にある場合に、前記前方の物体が前記自車両の走行する道路又は車線の前方に存在する障害物であると判定することが好ましい。
【0011】
また、前記自車両の位置を取得する自車両位置取得手段と、前記自車両が走行する道路の形状を、経度及び緯度からなる位置情報を付与された道路座標により、幅を持つ帯状領域情報として表す道路座標情報を含む道路情報を記憶する道路情報記憶手段とをさらに備え、前記前方道路領域算出手段は、前記自車両の位置と前記道路情報とから、前記前方道路領域を、道路座標による幅を持つ帯状領域として算出し、前記前方障害物判定手段は、前記前方検出手段により特定された前記前方物体の検出位置を基準として周囲に広がりを持つ所定の領域を障害物領域とし、この障害物領域が前記帯状領域としての前方道路領域上にある場合に、前記前方の物体が前記自車両の走行する道路又は車線の前方に存在する障害物であると判定し、前記道路座標情報は、前記自車両が走行する道路又は車線上の点を表し、経度及び緯度からなる位置情報を付与された複数の道路ノードについての道路ノード情報と、前記道路ノードの繋がりを表し、道路の車線数及び/又は車道幅員の情報を付与されたリンクについてのリンク情報とから算出されることが好ましい。
【0012】
また、前記前方検出手段は、前記自車両の前方を所定角度以上の探査範囲で電子的に探査するレーダであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両の前方障害物検出装置によれば、前方の物体に対して、自車両の前方道路の形状に対応した領域である前方道路領域に存在するものを障害物と判定することにより、自車両の前方の道路上に存在する障害物のみを抽出することが可能となる。従って、自車両の存在する道路又は車線の前方に存在する前方障害物を、前方の道路又は車線の形状に対応して、適切に検出することができる。
【0014】
また、道路ノード情報に基づいて前方道路領域を算出することで、自車両の走行する道路又は車線の形状を線状領域として把握することが可能となり、自車両の走行する道路又は車線上に存在する障害物の判定を行うことが出来る。また、自車両がカーブ路に進入する以前であっても、道路ノード情報に基づいて前方のカーブ路に対応した前方道路領域を障害物の判定に用いることが出来るため、前方のカーブ路に存在する障害物の検出を行うことが可能となる。
【0015】
また、道路座標情報に基づいて前方道路領域を算出することで、自車両の走行する道路又は車線の形状を、道路又は車線の幅を反映した帯状領域として正確に把握することが可能となり、自車両の走行する道路又は車線上に存在する障害物の判定を正確に行うことが出来る。また、自車両がカーブ路に進入する以前であっても、道路座標情報に基づいて前方のカーブ路に対応した前方道路領域を障害物の判定に用いることが出来るため、前方のカーブ路の自車両の走行する道路又は車線上に存在する障害物の検出を行うことが可能となる。
【0016】
また、自車両の前方を所定角度以上の探査範囲で電子的に探査するレーダを用いることにより、レーダのアンテナ部分を稼動させる必要が無くなるため、故障が少なく信頼性の高い検出装置を得ることが出来る。また、レーダ部の小型化、軽量化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置による前方障害物判定を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置における、道路情報の作成について説明するための模式図である。(a)は地図であり、(b)は地図上に用意された各点(道路ノード)とリンクを表し、(c)は道路形状に対応する線状領域を表している。
【図4】本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置における、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定について説明するための模式図である。自車両の走行する車線の前方に物体が存在する場合を示している。
【図5】本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置における、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定について説明するための模式図である。自車両の前方であって、自車両の走行する車線の左側の車線に物体が存在する場合を示している。
【図6】本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置における、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定について説明するための模式図である。自車両の前方であって、自車両の走行する車線の反対側の車線に物体が存在する場合を示している。
【図7】本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置における、道路座標情報による前方道路領域からの前方障害物の判定について説明するための模式図である。自車両の走行する車線の前方に物体が存在する場合を示している。
【図8】本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置における、道路座標情報による前方道路領域からの前方障害物の判定について説明するための模式図である。自車両の前方であって、自車両の走行する車線の左側の車線に物体が存在する場合を示している。
【図9】本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置における、道路座標情報による前方道路領域からの前方障害物の判定について説明するための模式図である。自車両の前方であって、自車両の走行する車線の反対側の車線に物体が存在する場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。
<全体構成>
本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置は、車両に適用されるものであって、図4に示すように、自車両1が走行する道路の前方道路領域に存在する障害物(図4中には、後述する障害物領域2により示す)を検出するものである。なお、前方道路領域とは、自車両1の走行する車線(走行レーン)のうち自車両1がその後に走行する車線の形状に対応した領域である。また、障害物とは、主として、自車両1の走行する車線の前方を走行する前方車両であるので、ここでは、障害物が前方車両であるものとして説明する。
【0019】
本障害物検出装置は、図1に示すように、統合ECU21と、前方検出手段としてのレーダ装置(以下、単にレーダという)22と、自車両位置取得手段としてのGPSセンサ24と、旋回状態検出手段としての操舵角センサ25とが設けられている。なお、ECUとは電子制御ユニット(Electric Control Unit)の略称であり、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)及びタイマカウンタ等を備えて構成されている。
【0020】
また、統合ECU21には、自車両位置算出部(自車両位置算出手段)26と、道路情報記憶部(道路情報記憶手段)27と、前方道路領域算出部(前方道路領域算出部)28と、前方障害物判定部(前方障害物判定部)29とを備えている。
この自車両位置算出部26と、道路情報記憶部27と、前方道路領域算出部28と、前方障害物判定部29は、コンピュータプログラムによるソフトウエアとして設けられている。
【0021】
統合ECU21は、自車両全体を制御する電子制御ユニットであり、上述のように各部22,24,25が電気的に接続されている。そして、この統合ECU21は、各検出系22,24,25から情報(信号)を受信したら、これらの情報に基づいて判断や演算を行うようになっている。
自車両位置算出部26は、後述するGPSセンサ24が受信したGPS信号に基づいて、自車両の位置(自車両位置)を算出することが出来る。ここで自車両位置は、緯度及び経度からなる自車両1の座標情報として取得される。以下、この自車両1の座標情報を自車両1の位置情報と呼ぶ。なお、自車両1の座標情報を周期的に或いは時間差をあけて得ることによって自車両1の進行方位情報を得ることができる。
【0022】
道路情報記憶部27は、道路についての道路情報を記憶している。ここで、道路情報とは、後述する道路座標情報、道路ノード情報、及びリンク情報からなる。
前方道路領域算出部28は、GPSセンサ24から受信した自車両1の位置情報と、道路情報とに基づき、自車両1が走行する道路における、自車両1の走行する車線の前方の道路形状に対応した形状を表す領域である、前方道路領域を算出する。
【0023】
前方障害物判定部29は、後述するレーダ22により検知された前方の物体(前方物体)についての情報と、前方道路領域算出部28により算出された前方道路領域とから、前方の物体が自車両前方の道路上に存在する障害物であるかどうかを判定する。
【0024】
レーダ22は、自車両1の前部に取り付けられ、自車両1の前方に存在する物体の検出を行う。レーダ22は、ここではモノパルス方式のミリ波レーダであるが、前方の所定角度以上の探索範囲を探査して、物体を検出できるものであればよく、例えばレーザレーダを適用しても良い。
なお、自車両1の前方に存在する物体は、自車両1の前方を走行する前方車両を想定しているが、レーダ22が検出する物体には、前方車両のほかに、歩行者や、道路上の静止物も含まれる。
【0025】
ミリ波レーダは、自車両1の前方にミリ波を出射し、この出射したミリ波が前方の物体から反射した電波(反射波)を受信することが出来る。レーダ22には、レーダECU23が内蔵されている。レーダECU23は、レーダ22により反射波が検知されると、自車両1の前方に物体があるものと判定し、この前方の物体からの反射波情報に基づき、自車両1と前方の物体との相対距離d及び自車両1に対する前方の物体の左右方向の角度θを得ることができる。また、自車両1に対する前方の物体の相対速度を得ることもできる。そして、これら算出結果を統合ECU21へ送信するようになっている。
【0026】
ここで、自車両前方の所定角度以上の範囲の探索範囲を探査して、自車両1に対する移動物の左右方向の角度を算出する場合、レーダのアンテナ部を前方の左右方向に揺動させるメカスキャン方式のミリ波レーダと、複数の受信部を備え電子的に左右方向の角度を検出するモノパルス方式のミリ波レーダを用いることが出来る。アンテナ部の可動部を有さずに、信頼度が高いという点からは、モノパルス方式が好ましい。また、レーダは、前方のカーブ路に存在する領域の物体の検出を行える程度の角度と距離の範囲を探索できる探索範囲を有することが好ましい。
なお、レーザレーダを用いる場合には、レーダのアンテナ部を前方の左右方向に揺動させることで、自車両前方の所定角度以上の範囲の探索範囲を探査して、自車両1に対する前方の物体の左右方向の角度を算出することが出来る。
【0027】
GPSセンサ24は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信する。GPS信号の情報は統合ECU21へ送信され、自車両位置算出部26により自車両位置の算出に用いられる。例えばナビゲーションシステムを装備した車両の場合、GPSセンサを備えているので、この既存のGPSセンサの検出情報を統合ECU21へ送信するようにしてもよい。
【0028】
操舵角センサ25は、自車両1のステアリングに設けられ、自車両1の操舵角を検出する。本実施形態においては、旋回状態検出手段として操舵角センサを使用して、道路情報によらずに道路の曲率半径を算出しているが、自車両1の旋回状態を検出できるものであればよく、例えば、ヨーレートセンサ及び車速センサを適用して旋回状態を検出してもよい。
【0029】
<道路座標情報>
次に、本発実施形態にかかる、道路座標情報について詳述する。
道路座標情報は、道路の形状を、道路の形状に対応する線状領域として、または道路の形状を、道路の形状に対応し道路の幅を有する帯状領域として、経度及び緯度を示す道路座標で表したものである。ここで、線状領域とは、道路の形状を、幅を持たない線で表したものである。帯状領域とは、道路の形状を、幅を有する区域として表したものである。
予め作成された道路座標情報が、道路情報記憶部27に保存されている。
【0030】
ここで言う道路座標情報は、道路ノード等を基に作成するが、道路ノード自体は、それぞれ点座標で特定されるものの互いに離隔して線状又は帯状に連続しないので、道路ノード情報は道路座標情報には含めないものとする。
道路座標情報は、道路上の点(道路ノード)についての道路ノード情報と、道路ノード間の繋がりを表すリンク情報とを元に作成される。道路ノード情報は、道路ノードのノード番号、経度及び緯度を示す位置座標、及び接続ノード番号を有している。リンク情報は、起点及び終点のノードの番号並びに車道幅員を有している。複数の道路ノードを接続することで、道路の形状を、線状領域として表した道路座標情報を得ることが出来る。さらに、複数の道路ノードとリンクとから、道路の形状を、幅を持った帯状領域として表した道路座標情報を得ることができる。これら道路座標情報は、道路ノード情報の経度及び緯度を元にした座標(道路座標)で表される。
【0031】
なお、本実施形態では、道路ノード情報として車線単位のもの、つまり各車線の中心に位置するものを規定しているが、道路ノード情報としては車線を考慮しない道路ノード情報、すなわち、対面通行の道路においては道路ノードが道路中心線(センターライン)上に位置するものであってもよく、一方通行で且つ複数車線を有する道路においては道路ノードが道路の全幅中心線上に位置するものであってもよい。
【0032】
道路ノードが車線単位のものである場合、それぞれの車線上に存在する複数の道路ノードから、各車線の形状を、各車線の形状に対応した線状領域として得ることができる。さらに、リンク情報の車道幅員から、各車線の形状を、各車線の形状に対応し道路幅を有する帯状領域として得ることができる。
一方、車線を考慮しない道路ノード情報の場合、道路中心線上又は前幅中心線上に存在する複数の道路ノードから、道路の形状を、道路中心線又は前幅中心線に対応した線状領域として得ることができる。さらに、リンク情報の車道幅員から、道路の形状を、道路の形状に対応し道路幅を有する帯状領域として得ることができる。さらに、リンク情報に、車線数情報を含めれば、リンク情報の車道幅員と車線数情報から、各車線の形状を、各車線の形状に対応し各々の車線について車線単位の道路幅を有する帯状領域として得ることができる。
【0033】
道路ノードが車線単位のものである場合、道路座標により車線の形状に対応した線状領域は、図3に示すように作成される。まず、図3(a)に示すように地図を用意する。ここで図3(a)の道路31は、一方通行で且つ一車線の道路を表すものとする。次に、図3(b)に示すように地図上に道路31上の点を示す複数の道路ノード32、及び32を繋ぐリンク33を用意する。さらに、各道路ノード32の位置座標から、次の道路ノード32までの距離及び方向を算出して、各道路ノード32間を繋ぐことにより、道路の形状を、道路の形状に対応して線状領域として表した道路座標情報を得る。ここで、各道路ノード間を繋ぐにあたり、直線路であれば、道路ノード32間を繋いだ直線領域を直線路に対応した線状領域とすることができる。一方、カーブ路においては、一定の規格道路では、各カーブ路が一定の曲率を有するように構成されることから、各道路ノード32間を繋ぐにあたり、近接する複数の道路ノード32の位置座標に基づいて、道路ノード32から道路の曲率半径を算出し、この曲率半径を利用して各道路ノード32間を曲線状に繋ぎ、カーブ路に対応した線状領域とすることができる。
【0034】
このようにして、図3(c)に示すように、道路ノード情報を元に道路形状に対応する線状領域34を記述したマップを作成することで、経度及び緯度を示す道路座標により、道路の形状を、道路の形状に対応した線状領域として表す(ただし、道路幅までは考慮されない)道路座標情報を得ることができる。
さらに、この道路の形状に対応した線状領域を基準として、リンク情報の車道幅員から、道路の形状に対応した線状領域に道路幅員の情報を付加することにより、道路形状を、幅を持った帯状領域として道路座標により記述する道路座標情報を得ることができる。この道路座標情報は、道路幅員に対応した車道の幅やカーブといった道路形状に対応して、道路の占める帯状の領域を道路座標により表すものである。
【0035】
また、車線を考慮しない道路ノード情報の場合、道路ノードが車線単位のものである場合と同様にして、道路座標により、道路の形状を、道路中心線又は前幅中心線に対応した線状領域として表す道路座標情報を得ることができる。
さらに、この道路中心線又は前幅中心線に対応した線状領域を基準として、リンク情報の車線数と車道幅員から、道路中心線又は前幅中心線に対応した線状領域に車線数と道路幅員の情報を付加することにより、各車線ごとに、車線数に対応した道路形状を、幅を持った帯状領域として道路座標により記述する道路座標情報を得ることができる。この道路座標情報は、各車線ごとに、道路幅員に対応した車道の幅やカーブといった道路形状に対応して、道路の占める帯状の領域を道路座標により表すものである。
【0036】
これら道路座標情報の道路座標を利用して道路の曲率半径を算出することも可能である。
道路ノード情報及びリンク情報は、上記のように作成してもよいが、既存の地図データベースを利用してもよい。
【0037】
<前方道路領域>
次に、本発実施形態にかかる、前方道路領域について詳述する。
前方道路領域は、自車両1が走行する車線の前方の道路形状に対応した形状を表す領域である。前方道路領域は、その算出方法により、道路ノード情報による前方道路領域、道路座標情報による前方道路領域、旋回状態による前方道路領域の3つに分けられる。これら前方道路領域は、後述する前方障害物の判定に適用することができる。
【0038】
道路ノード情報による前方道路領域は、道路ノード情報に基づいて前方道路領域を算出するものである。道路ノード情報による前方道路領域は、複数の点座標情報である道路ノード情報と自車両1の位置及び走行方向の情報とから、後述するように、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応する線状領域として得ることができる。
【0039】
道路座標情報による前方道路領域は、帯状領域としての道路座標情報に基づいて前方道路領域を算出するものである。道路座標情報による前方道路領域は、道路座標情報と自車両1の位置及び走行方向の情報とから、後述するように、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応し、道路座標により表される一定の範囲を占める帯状の領域として得られる。
【0040】
旋回状態による前方道路領域は、操舵角又はヨーレートセンサにより検出される旋回状態に基づいて前方道路領域を算出するものである。旋回状態による前方道路領域は、カーブ路において、旋回状態により定まる道路の曲率半径から、道路の形状を推定する線状領域として得られる。
【0041】
道路ノード情報による前方道路領域の算出は、上述した、道路座標により表す道路形状に対応した線状領域の算出と略同様に行うことが出来る。すなわち、前方道路領域算出部29は、自車両位置算出部26により算出される自車両1の位置情報に応じて、道路情報記憶部27から自車両1が走行中の道路周辺の道路ノード情報を読み出す。ここで、直線路であれば、道路ノード間を繋いだ直線領域を前方道路領域とすることができる。一方、カーブ路においては、複数の道路ノードから道路の曲率半径を算出し、この曲率半径を利用して各道路ノード間を曲線状に繋いだ線状領域として前方道路領域を算出することが出来る。このようにして、複数の道路ノード情報の位置座標に基づいて、自車両1が走行している車線の前方の道路の形状について、自車両1が走行する道路前方の道路の形状に対応した線状領域として前方道路領域を算出することができる。
なお、道路ノード情報が車線単位のものである場合には、各車線の形状に対応した線状領域として前方道路領域を得ることができる。また、道路ノード情報が車線を考慮しない場合、道路の形状を、道路中心線又は前幅中心線に対応した線状領域として得ることができる。
【0042】
道路座標情報による前方道路領域の算出は、まず、自車両位置算出部26が、GPSセンサにより得られるGPS信号に基づいて、自車両位置である自車両1の座標情報及び進行方位情報を算出する。次に、前方道路領域算出部28は、自車両位置算出部26により算出される自車両1の座標情報に応じて、道路情報記憶部27から自車両1が走行する道路周辺の帯状領域としての道路座標情報を読み出して、自車両1が走行中の道路を特定し、その特定した道路上の自車両1の位置を決定する。さらに、自車両1の進行方位情報と読み出された道路座標情報とに基づいて、自車両1が走行している車線の前方の道路の形状を、自車両1が走行する道路前方の道路の形状に対応し、道路座標による幅を持つ帯状領域として前方道路領域を特定することができる。
なお、道路座標情報が車線単位のものである場合には、各車線の形状に対応した帯状領域として前方道路領域を得ることができる。また、道路座標情報が車線を考慮しない場合、道路の形状を、道路中心線又は前幅中心線に対応した帯状領域として前方道路領域を得ることができる。
【0043】
旋回状態による前方道路領域の算出は、操舵角又はヨーレートを検出する旋回状態検出手段により、旋回状態を検出し、この旋回状態に基づいて前方道路領域を算出する。このとき、操舵角またはヨーレートによる旋回状態が検出されない場合、すなわち自車両1が直線路を走行していると推定される場合には、自車両1の直進方向の直線上を前方道路領域とすることができる。一方、操舵角またはヨーレートによる旋回状態が検出される場合、すなわち自車両1がカーブ路を走行していると推定される場合においては、旋回状態から道路の曲率半径を算出し、この曲率半径から予測される曲線から、道路の形状を推定する線状領域として前方道路領域を算出することが出来る。
【0044】
このように、道路座標情報を利用しなくとも、ノード情報又は車両の走行情報に基づいて前方道路領域を算出することは可能であるが、前方道路領域を正確に把握し、障害物の判定を正確に行うためには、道路座標情報を予め用意し、自車両位置情報及び道路座標情報に基づいて、前方道路領域を算出することが好ましい。
【0045】
これらの前方道路領域は、前方の道路の形状を自車両1との関係で特定するため、レーダにより検出された自車両1と前方の物体との相対距離d、及び自車両1に対する前方の物体の左右方向の角度θからなる、自車両1と前方の物体との位置関係を前方道路領域にあてはめ、前方の物体が前方道路領域の範囲内に存在するかを判定することにより、前方の物体が自車両1の走行する道路の前方に存在する障害物であるかを判断する、前方障害物の判定を行うことが可能となる。
【0046】
道路ノード情報による前方道路領域は、位置座標を含むノード情報から、道路の形状を線状領域として表したものである。このため、道路ノード情報による前方道路領域を前方障害物の判定に適用して、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定を行うことで、前方の物体が自車両の走行する道路上に存在するかどうかを判定することできる。また、道路ノード情報が車線単位のものである場合には、前方の物体が自車両の走行する車線上に存在するかどうかを判定することできる。また、検出した障害物がこの道路又は車線上を自車両と同方向に移動していれば、検出した障害物が自車両の走行する道路又は車線上の前方車両であるものと推定することができる。さらに、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定は、自車両位置周辺の道路座標情報を有さない道路を走行する場合であっても、自車両位置周辺の道路ノード情報を有する場合に、道路ノード情報から前方道路領域を算出して前方障害物の判定を行うことが可能である。また、走行中に道路ノード情報からリアルタイムで前方道路領域の算出を行い、前方障害物の判定に適用することが可能である。
【0047】
一方、道路座標情報による前方道路領域は、位置座標を含むノード情報と、道路幅員と車線数を含むリンク情報から、道路の形状を道路幅を反映して帯状領域として表した道路座標情報に基づくものである。このため、道路座標情報による前方道路領域を前方障害物の判定に適用して、道路座標情報による前方道路領域からの前方障害物の判定を行うことで、前方の物体が自車両の走行する道路上に存在するかどうかの判定を正確に行うことが可能となる。また、道路座標情報が車線単位のものである場合には、前方の物体が自車両の走行する車線上に存在するかどうかを判定することできる。また、検出した障害物がこの道路又は車線上を自車両と同方向に移動していれば、検出した障害物が自車両の走行する道路又は車線上の前方車両であるものと推定することができる。
【0048】
さらに、操舵角による前方道路領域、又はヨーレートによる前方道路領域は、操舵角またはヨーレートに基づいて算出されるものである。このため、操舵角による前方道路領域、又はヨーレートによる前方道路領域を前方障害物の判定に適用して、操舵角による前方道路領域からの前方障害物の判定、又はヨーレートによる前方道路領域からの前方障害物の判定を行うことで、GPS信号を受信できずに自車両位置を特定できない場合、又は道路座標情報及び道路ノード情報を有さない場所を走行する場合であっても、操舵角又はヨーレートから簡易的に、リアルタイムで前方道路領域の算出を行い、前方障害物の判定に適用することが可能である。
【0049】
<前方障害物の判定>
次に、本発明の実施形態にかかる前方障害物の判定について図4〜9を利用して詳述する。
まず、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定について説明する。ここでは、道路ノード情報が車線単位のものであり、道路ノード情報による前方道路領域も車線単位のものである場合について説明する。
前方障害物判定部29は、レーダにより検出された前方の物体の情報と、道路ノード情報による前方道路領域の比較を行い、前方の物体が道路ノード情報による前方道路領域の範囲内に存在するかを判定する。図4に示すように、レーダ検出範囲11内に検出された前方の物体は、自車両1と前方の物体との相対距離d及び自車両1に対する前方の物体の左右方向の角度θから定まる前方の物体の検出位置を基準として、周囲に広がりを持つ所定の領域を持つ障害物領域2とされる。この前方の物体の障害物領域2が、道路ノード情報による前方道路領域である、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応する線状領域13上に存在していた場合には、前方の物体は自車両1の走行する車線の前方に存在する障害物であると判定される。すなわち、レーダ検出範囲11と、道路ノード情報による前方道路領域である、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応する線状領域13との重複部分14上に存在する、前方の物体の障害物領域に由来する物体を、障害物であると判定する。このようにして、自車両の存在する車線の前方に存在する障害物を、前方道路の形状に対応して検出することができる。
【0050】
一方、図5に示すように、前方の物体が自車両1の走行する車線の左側の車線に存在する場合、前方の物体の障害物領域3は、前方道路領域である、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応する線状領域13上に存在しないため、自車両1の走行する車線の前方に存在する障害物ではないと判定される。また、図6に示すように、前方の物体が自車両1の走行する車線の反対側の対向車線に存在する場合、前方の物体の障害物領域4は、前方道路領域である、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応する線状領域13上に存在しないため、自車両1の走行する車線の前方に存在する障害物ではないと判定される。
【0051】
次に、道路座標情報による前方道路領域からの前方障害物の判定について説明する。ここでは、道路座標情報が車線単位のものであり、道路座標情報による前方道路領域も車線単位である場合について説明する。
前方障害物判定部29は、レーダにより検出された前方の物体の情報と、道路座標情報による前方道路領域との比較を行い、前方の物体が道路座標情報による前方道路領域の範囲内に存在するかを判定する。図7に示すように、レーダ検出範囲11内に検出された前方の物体は、自車両1と前方の物体との相対距離d及び自車両1に対する前方の物体の左右方向の角度θから定まる前方の物体の検出位置を基準として、周囲に広がりを持つ所定の領域を持つ障害物領域5とされる。この前方の物体の障害物領域5が、道路座標情報による前方道路領域である、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応する帯状領域16上に存在していた場合には、前方の物体は自車両1の走行する車線の前方に存在する障害物であると判定される。すなわち、レーダ検出範囲11と、道路座標情報による前方道路領域である、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応する帯状領域16との重複部分17上に存在する、前方の物体の障害物領域に由来する物体を、障害物であると判定する。このようにして、自車両の存在する車線の前方に存在する障害物を、前方道路の形状に対応して検出することができる。
【0052】
一方、図8に示すように、前方の物体が自車両1の走行する車線の左側の車線に存在する場合、前方の物体の障害物領域6は、前方道路領域である、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応する帯状領域16上に存在しないため、自車両1の走行する車線の前方に存在する障害物ではないと判定される。また、図9に示すように、前方の物体が自車両1の走行する車線の反対側の車線に存在する場合、前方の物体の障害物領域7は、前方道路領域である、自車両1が走行する道路前方の道路形状に対応する帯状領域16上に存在しないため、自車両1の走行する車線の前方に存在する障害物ではないと判定される。
【0053】
なお、道路座標情報による前方道路領域からの前方障害物の判定は、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定よりも、道路座標情報を用いて正確に判定を行うことが可能である。このため、道路座標情報による前方道路領域からの前方障害物の判定に用いられる前方の物体の障害物領域の占める所定の領域は、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定に用いられる前方の物体の障害物領域の所定の領域よりも狭く定めることが好ましい。
【0054】
次に、旋回状態による前方道路領域からの前方障害物の判定について説明する。
旋回状態による前方道路領域からの前方障害物の判定は、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定と略同様にして行うことが出来る。つまり、前方障害物判定部29は、レーダにより検出された前方の物体の情報と、旋回状態による前方道路領域の比較を行い、前方の物体が旋回状態による前方道路領域の範囲内に存在するかを判定する。レーダ検出範囲内に検出された前方の物体は、自車両1と前方の物体との相対距離d及び自車両1に対する前方の物体の左右方向の角度θから定まる前方の物体の検出位置を基準として、周囲に広がりを持つ所定の領域を持つ障害物領域とされる。この前方の物体の障害物領域が、旋回状態による前方道路領域である、道路形状を推定する線状領域上に存在していた場合には、前方の物体は自車両1の走行する車線の前方に存在する障害物であると判定される。すなわち、レーダ検出範囲と、旋回状態によるによる前方道路領域である、道路形状を推定する線状領域との重複部分上に存在する、前方物体の障害物領域に由来する物体を、障害物であると判定する。このようにして、自車両の存在する車線の前方に存在する障害物を、自車両1の旋回状態に対応して検出することができる。
【0055】
<前方障害物検出処理の手順>
次に、本発明の実施形態にかかる、前方障害物検出処理の手順について詳述する。
本前方車両検出装置は、自車両1の前方に移動物が存在する場合に、図2のフローチャートに示すような手順で制御を行うようになっている。
まず、レーダ信号やGPS信号といった各センサ類からの情報を取得する(ステップS1)。レーダにより前方に物体が検出された場合(ステップS2のYesルート)、GPS信号を受信したかを判定する(ステップS3)。ここで、GPS信号を受信できた場合には(ステップS3のYesルート)、自車両位置算出部26により自車両位置の算出を行う(ステップS4)。次に、算出された自車両位置に基づいて、自車両位置周辺の道路座標情報を有するかが判断される(ステップS5)。ここで、自車両位置周辺の道路座標情報を有する場合には(ステップS5のYesルート)、前方道路領域算出部28により自車両位置に基づいて、道路座標情報による前方道路領域の算出が行われる(ステップS6)。さらに、前方障害物判定部29により、道路座標情報による前方道路領域と、センサにより検出された前方の物体の情報とを比較することにより、前方の物体が障害物であるかの判定を行う、道路座標情報による前方道路領域からの前方障害物の判定が行われる(ステップS7)。
【0056】
一方、自車両位置周辺の道路座標情報を有しない場合には(ステップS5のNoルート)、自車両位置周辺の道路ノード情報を有するかが判断される(ステップS8)。ここで、自車両位置周辺の道路ノード情報を有する場合には(ステップS8のYesルート)、前方道路領域算出部28により自車両位置に基づいて、道路ノード情報による前方道路領域の算出が行われる(ステップS9)。さらに、前方障害物判定部29により、道路ノード情報による前方道路領域と、センサにより検出された前方の物体の情報とを比較することにより、前方の物体が障害物であるかの判定を行う、道路ノード情報による前方道路領域からの前方障害物の判定が行われる(ステップS10)。
【0057】
なお、GPS信号を受信できない場合(ステップS3のNoルート)、及び自車両位置周辺の道路ノード情報を有さない場合(ステップS8のNoルート)には、自車両1の操舵角情報を取得し(ステップS11)、前方道路領域算出部28により操舵角による前方道路領域の算出が行われる(ステップS12)。さらに、前方障害物判定部29により、操舵角による前方道路領域と、センサにより検出された前方の物体の情報とを比較することにより、前方の物体が障害物であるかの判定を行う、操舵角による前方道路領域からの前方障害物の判定が行われる(ステップS13)。
【0058】
<作用・効果>
本発明の一実施形態に係る前方障害物検出装置は上述のように構成されているので、以下のような作用及び効果を奏する。
本発明の車両の前方障害物検出装置は、センサにより検出された自車両1の前方に検出される物体について、自車両1が走行する前方道路の形状に対応する前方道路領域の範囲内に存在する物体を、自車両1の走行する道路上に存在する障害物と判定することにより、自車両1の走行する道路上に存在する物体を判別することが可能となる。従って、自車両の存在する道路又は車線の前方に存在する前方障害物を、自車両1が走行する前方の道路又は車線の形状に対応して、適切に検出することができる。
【0059】
また、自車両が走行する位置周辺の道路ノード情報に基づいて前方道路領域を算出することで、自車両の走行する道路又は車線の形状を、道路ノード情報の緯度及び経度の情報から、自車両の走行する位置周辺の道路又は車線の形状を反映した、線状領域として把握することが可能となり、自車両の走行する道路又は車線上に存在する障害物の判定を行うことが出来る。また、自車両がカーブ路に進入する以前であっても、道路ノード情報に基づいて前方のカーブ路に対応した前方道路領域を障害物の判定に用いることが出来るため、前方のカーブ路に存在する障害物の検出を行うことが可能となる。またこの場合、道路座標情報が得られない場所を走行する場合であって、道路座標情報に基づく前方道路領域を算出できない場合であっても、道路ノード情報に基づいて走行中に前方道路領域を算出することで、障害物の検出を行うことが可能となる。
【0060】
また、自車両が走行する位置周辺の道路座標情報に基づいて前方道路領域を算出することで、自車両の走行する道路又は車線の形状を、道路又は車線の幅を反映した、帯状領域として正確に把握することが可能となり、自車両の走行する道路又は車線上に存在する障害物の判定を正確に行うことが出来る。また、自車両がカーブ路に進入する以前であっても、道路座標情報に基づいて前方のカーブ路に対応した前方道路領域を障害物の判定に用いることが出来るため、前方のカーブ路の自車両の走行する車線上に存在する障害物の検出を行うことが可能となる。
【0061】
また、旋回状態検出手段により検出された自車両の旋回状態から自車両が走行している道路の曲率を算出して、前方道路領域を算出することで、GPS信号を受信できずに自車両の位置が不明であり、また道路ノード情報及び道路座標情報が得られない場所を走行する場合であっても、障害物の検出を行うことが出来る。
また、自車両の前方を所定角度以上の探査範囲で電子的に探査するレーダを用いることにより、レーダのアンテナ部分を稼動させる必要が無くなるため、故障が少なく信頼性の高い検出装置を得ることが出来る。また、レーダ部の小型化、軽量化を図ることが出来る。
【0062】
<その他>
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが出来る。
【0063】
例えば、上記実施形態では、レーダを用いて前方の物体の位置の検出を行うものとしたが、ステレオカメラを用いて車両前方を撮影し、前方の物体の位置を検出しても良い。
また、上記実施形態では、道路座標情報、道路ノード情報、操舵角、及びヨーレートに基づいて、個々の情報に基づいて前方道路領域を算出するとしたが、複数の情報を組み合わせて前方道路領域の算出を行っても良い。
【0064】
また、上記実施形態では、自車両の走行する車線の前方に存在する物体を障害物と判定する場合について説明したが、道路の各々の車線ごとに前方道路領域を算出し、前方の物体がどの車線に存在するかの検出を行っても良い。
また、上記実施形態では、予め作成された道路座標情報が、道路情報記憶部27に保存され、道路座標情報による前方道路領域を算出する際に、道路座標情報が読み出されるものとしたが、自車両位置と自車両位置周辺のノード情報に基づいて、走行時に道路座標情報を算出しても良い。
【0065】
また、上記実施形態では、自車両位置と自車両位置周辺のノード情報に基づいて、走行時に道路ノード情報から、道路ノード情報による前方道路領域を算出するものとしたが、予めノード情報に基づいて道路の形状を線状領域として表した道路座標情報を作成し、道路情報記憶部27に保存しておいてもよい。また、障害物の判定時に、道路情報記憶部27からこの線状領域の道路座標情報を読み出して前方障害物の判定に用いても良い。
【0066】
また、自車両の走行する車線の前方に障害物が存在すると判定した場合には、自車両と前方障害物との位置関係に応じて、乗員への通知や、車両の制御を行っても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 自車両
2,3,4,5,6,7 前方の物体の障害物領域
11 レーダ検出範囲
12 道路ノード
13 道路形状に対応する線状領域(前方道路領域)
14 レーダ検出範囲と、道路形状に対応する線状領域との重複部
15 道路形状に対応する線状領域
16 道路形状に対応する帯状領域(前方道路領域)
17 レーダ検出範囲と前方道路領域の重複部
21 統合ECU
22 レーダ(前方検出手段)
23 レーダECU
24 GPSセンサ(自車両位置取得手段)
25 操舵角センサ(旋回状態検出手段)
26 自車両位置算出部(自車両位置算出手段)
27 道路情報記憶部(道路情報記憶手段)
28 前方道路領域算出部(前方道路領域算出手段)
29 前方障害物判定部(前方障害物判定手段)
31 道路
32 道路ノード
33 リンク
34 道路形状に対応する線状領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方の物体を検出する前方検出手段と、
前記自車両の走行する前方の道路形状に対応した前方道路領域を算出する前方道路領域算出手段と、
前記前方検出手段により検出された前記前方の物体の前記自車両に対する位置と、前記前方道路領域算出手段により算出された前記前方道路領域とに基づいて、前記前方道路領域の範囲内に前記前方の物体がある場合に、前記前方の物体が前記自車両の走行する道路又は車線の前方に存在する障害物であると判定する前方障害物判定手段とを有している
ことを特徴とする、車両の前方障害物検出装置。
【請求項2】
前記自車両の位置を取得する自車両位置取得手段と、
前記自車両が走行する道路又は車線上の点を表し、経度及び緯度からなる位置情報を付与された複数の道路ノードについての道路ノード情報を含む道路情報を記憶する道路情報記憶手段とをさらに備え、
前記前方道路領域算出手段は、前記自車両の位置と前記道路情報とから、前記前方道路領域を、前記複数の道路ノードを接続した線状領域として算出し、
前記前方障害物判定手段は、前記前方検出手段により特定された前記前方物体の検出位置を基準として周囲に広がりを持つ所定の領域を障害物領域とし、この障害物領域が前記線状領域としての前方道路領域上にある場合に、前記前方の物体が前記自車両の走行する道路又は車線の前方に存在する障害物であると判定する
ことを特徴とする、請求項1記載の車両の前方障害物検出装置。
【請求項3】
前記自車両の位置を取得する自車両位置取得手段と、
前記自車両が走行する道路の形状を、経度及び緯度からなる位置情報を付与された道路座標により、幅を持つ帯状領域情報として表す道路座標情報を含む道路情報を記憶する道路情報記憶手段とをさらに備え、
前記前方道路領域算出手段は、前記自車両の位置と前記道路情報とから、前記前方道路領域を、道路座標による幅を持つ帯状領域として算出し、
前記前方障害物判定手段は、前記前方検出手段により特定された前記前方物体の検出位置を基準として周囲に広がりを持つ所定の領域を障害物領域とし、この障害物領域が前記帯状領域としての前方道路領域上にある場合に、前記前方の物体が前記自車両の走行する道路又は車線の前方に存在する障害物であると判定し、
前記道路座標情報は、
前記自車両が走行する道路又は車線上の点を表し、経度及び緯度からなる位置情報を付与された複数の道路ノードについての道路ノード情報と、
前記道路ノードの繋がりを表し、道路の車線数及び/又は車道幅員の情報を付与されたリンクについてのリンク情報とから算出される
ことを特徴とする、請求項1記載の車両の前方障害物検出装置。
【請求項4】
前記前方検出手段は、前記自車両の前方を所定角度以上の探査範囲で電子的に探査するレーダである
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の前方障害物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113431(P2012−113431A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260409(P2010−260409)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】