説明

車両制御装置および車両制御装置の接続方法

【課題】CANシステムへの接続を容易に行うことのできる車両制御装置および車両制御装置の接続方法を提供しようとするものである。
【解決手段】CANシステムを搭載した車両に対し、CANバスと接続して所定の車載システムの制御を行う車両制御装置において、上記車両において実行される操作を指定する指定手段と、上記CANバスと接続する接続手段と、上記指定手段により指定した上記車両において実行される操作が入力されて、上記車両において実際に上記操作が行われることによって、上記CANバスに流れた通信データを取得するとともに、上記操作と上記通信データとを関連付けて記憶し、上記通信データを利用して上記車両の所定の車載システムの制御を行う制御手段とを有するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置および車両制御装置の接続方法に関し、さらに詳細には、アフターパーツとして所定の車載システムの制御を行う車両制御装置および当該車両制御装置を機能するように車両へ接続する車両制御装置の接続方法に関する。
【0002】
なお、本明細書において、「アフターパーツ」とは、車両の純正のパーツではなく、複数種の車両について互換性のあるパーツを意味するものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、一台の自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の新しい利用形態として、所謂、カーシェアリングが注目されている。
【0004】
ここで、カーシェアリングとは、利用者は自ら自動車を所有せず、管理団体の会員となり、必要に応じてその団体の自動車を借りるというものである。
【0005】
また、カーシェアリングは、ある地域に限定したコミュニティーの中で会員同士で自動車を共有し、インターネットなどを通じて車両の利用状態の確認や利用予約を行うようにしているため、貸し出し手続に時間を必要とせず、貸し出し・返却場所は、居住しているマンションの駐車場であったり、あるいは、通勤駅の近くであったりと、会員が利用するにあたって便利な場所に設定されていることが多い。
【0006】
こうしたカーシェアリングにより、利用者は、自動車を所有する場合に比べて、自動車取得費用、維持経費ならびに駐車料金といった費用を削減することができるようになる。
【0007】
さらに、カーシェアリングが広く普及されることにより、自動車の総台数の低減が見込まれ、都市の交通渋滞の緩和やエネルギー消費量の低減により、二酸化炭素による地球温暖化を抑止する効果が期待されている。
【0008】

ところで、上記したようなカーシェアリングにおいては、例えば、図1のブロック構成図に示すようなシステムを構築し、このシステムにより車両予約、運行管理あるいは車両管理が行われている。
【0009】
即ち、こうしたカーシェアリングシステム100においては、カーシェアリングシステム100の管理団体のパーソナルコンピューター102と接続されるとともに当該管理団体の会員となった利用者のパーソナルコンピューター104や当該利用者の携帯電話106とネットワークを介して接続されるサーバー108と、車両110に設けられかつ携帯電話網でサーバー108と接続される車両制御装置112と、車両110に設けられるとともに車両制御装置112と接続されるカードリーダー114と、車両110に設けられるとともに車両制御装置112に接続されるキーボックス116とを有して構成されている。
【0010】

以上の構成において、カーシェアリングシステム100を利用して車両110の予約や利用を行うには、まず、利用者が管理団体に会員登録を行う。これにより各利用者に対し、利用者固有の登録コードが作成されるとともに、当該登録コードを認証用コードとして記憶したICカードが配布される。
【0011】
そして、利用者が予約を行う場合には、利用者がパーソナルコンピューター104あるいは携帯電話106を利用してサーバー108に設けられた予約サイトにアクセスし、車両110の予約状況を確認し、利用者の要望にあった車両110の予約を行う。
【0012】
その後、予約時間になると、携帯電話網を利用して、予約の情報がサーバー108から車両制御装置112に送られて、カードリーダー114が起動される。
【0013】
一方、利用者は、予約時間に車両110が駐車された駐車場まで行き、カードリーダーに会員登録時に取得したICカードを読み取らせて認証を受けることにより、ドアのロックが解除されるとともに、キーボックス116からキーが取り出せる状態となり車両110の利用が可能となる。
【0014】
そして、利用者は予約した時間内で車両110を利用するものであるが、予約時間が終了するまでに車両110を決められた駐車場に駐車させて、キーをキーボックス116に返却するとともに全てのドアを閉める。
【0015】
その後、再度、ICカードをカードリーダー114に読み取らせて認証を受けることにより、ドアのロックがなされるとともに、キーボックス116からキーが取り出せない状態となり、車両制御装置112により走行距離などが確認され、確認された情報に基づいて車両110の利用に関する料金の算出を行い、利用者のパーソナルコンピューター104あるいは携帯電話106に算出した料金を通知する。
【0016】

このように、こうしたカーシェアリングシステム100における車両110の管理を行うために、車両110においては、車両制御装置112が搭載されている。
【0017】
この車両制御装置112は、電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)により制御されている、例えば、エンジンスタータ110a、ドアロックアンロックシステム110b、ドアスイッチ110c、イグニッション110d、バッテリ電圧検出器110e、燃料残量検出器110fならびに車速検出器110gなどの所定の車載システムと接続され、車両110の管理ならびに制御を行うものである。
【0018】
車両110においては、エンジンスタータ110a、ドアロックアンロックシステム110b、ドアスイッチ110c、イグニッション110d、バッテリ電圧検出器110e、燃料残量検出器110fならびに車速検出器110gに示すような車載システムが多数搭載されており、車両制御装置112を車両110に搭載する際には、車両制御装置112と接続する必要のある各車載システムの信号線がそれぞれどこに配線されているのかを調査してから、各車載システムと車両制御装置112とをそれぞれ異なる配線により接続するものであった。なお、各車載システムの信号線は、一般には、車両毎に異なって配線されている。
【0019】
このため、車両制御装置112を車両110に接続する作業に多くの時間が必要となり、こうした作業が作業者の大きな負担となっていることが問題点として指摘されていた。
【0020】

このような問題点を解決するための手法として、CAN(Controller Area Network)システムに車両制御装置を接続する方法が知られている。
【0021】
ここで、CANシステムとは、国際標準プロトコルとして規格化された車載LAN(Local Area Network)であって、従来、1対1の結線であった制御システムを複数対複数のバス結線とし、配線の本数や重量を大幅に削減することができるようにしたものである。
【0022】
こうしたCANシステムを搭載した車両においては、当該車両に設けられたCANバスに車両制御装置を接続し、各車載システムから入出力される通信データを車両制御装置に記憶させる。そして、車両制御装置において、記憶した通信データを利用して各車載システムを制御することにより、車両の制御を行うようにしている。
【0023】
しかしながら、車両に設けられた各車載システムにおいて入出力される通信データは、車両を製造したメーカーが保持しているものであり、CANシステムを利用して車両制御装置を接続する手法においては、各車載システムから入出力される通信データを保持している車両を製造したメーカーから必要となる通信データを取得しなければならず、通信データを取得することが困難あるいは不可能なものであった。
【0024】
従って、こうしたCANシステムを利用した車両制御装置の接続は、メーカーあるいは限られた業者にしかできないものであった。
【0025】

このため、CANシステムを搭載した車両に対して、CANシステムへの接続を容易に行うことができる車両制御装置および車両制御装置の接続方法の提案が強く望まれていた。
【0026】

なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、従来の技術の有する上記したような要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、CANシステムへの接続を容易に行うことのできる車両制御装置および車両制御装置の接続方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するために、本発明は、CANシステムを搭載した車両に対し、CANバスと接続して所定の車載システムの制御を行う車両制御装置において、上記車両において実行される操作を指定する指定手段と、上記CANバスと接続する接続手段と、上記指定手段により指定した上記車両において実行される操作が入力されて、上記車両において実際に上記操作が行われることによって、上記CANバスに流れた通信データを取得するとともに、上記操作と上記通信データとを関連付けて記憶し、上記通信データを利用して上記車両の所定の車載システムの制御を行う制御手段とを有するようにしたものである。
【0029】
また、本発明は、上記した発明において、上記指定手段は、ディップスイッチであるようにしたものである。
【0030】
また、本発明は、上記した発明において、上記指定手段は、表示画面を備えた外部端末であるようにしたものである。
【0031】
また、本発明は、上記した車両制御装置が機能するように車両へ接続するための車両制御装置の接続方法であって、上記指定手段により、上記車両制御装置において通信データを取得する必要のある車両操作を指定し、該指定した車両操作に基づいて実行された車両操作によって上記CANバスに流れた通信データを取得し、該取得した通信データと上記指定手段により指定した車両操作とを関連付けて上記制御手段に記憶するようにしたものである。
【0032】
また、本発明は、上記した車両制御装置が機能するように車両へ接続するための車両制御装置の接続方法であって、上記ディップスイッチにより、上記車両制御装置において通信データを取得する必要のある車両操作を指定し、該指定した車両操作に基づいて実行された車両操作によって上記CANバスに流れた通信データを取得し、該取得した通信データと上記指定手段により指定した車両操作とを関連付けて上記制御手段に記憶するようにしたものである。
【0033】
また、本発明は、上記した車両制御装置が機能するように車両へ接続するための車両制御装置の接続方法であって、上記外部端末により、上記車両制御装置において通信データを取得する必要のある車両操作を指定し、該指定した車両操作に基づいて実行された車両操作によって上記CANバスに流れた通信データを取得し、該取得した通信データと上記指定手段により指定した車両操作とを関連付けて上記制御手段に記憶するようにしたものである。
【0034】
また、本発明は、上記した車両制御装置が機能するように車両へ接続するための車両制御装置の接続方法であって、上記外部端末により、上記車両制御装置において通信データを取得する必要のある車両操作の全てを指定し、該指定された全ての車両操作から関連付けられる通信データが不明の車両操作を1つ選択し、該選択した車両操作を上記外部端末の表示画面上に表示し、上記外部端末の表示画面上に表示された車両操作に基づいて実行した車両操作によってCANバスに流れた通信データを取得し、該取得した通信データと上記外部端末により指定された全ての車両操作の中から選択した車両操作とを関連付けて上記制御手段に記憶し、上記外部端末により指定された全ての車両操作の中から関連付ける通信データが不明の車両操作が他にあるか否かの判断を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、以上説明したように構成されているので、CANシステムへの接続を容易に行うことができるという優れた作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、従来技術による車両制御装置を接続したカーシェアリングシステムの概要を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、本発明による車両制御装置を接続したカーシェアリングシステムの概要を示すブロック構成図である。
【図3】図3は、車両制御装置において行われる通信データの取得処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図4は、車両制御装置に外部端子を接続して行われる通信データの取得処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による車両制御装置および車両制御装置の接続方法の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0038】
なお、以下の説明においては、本発明による車両制御装置および車両制御装置の接続方法の実施の形態の一例として、カーシェアリングシステムに使用される車両に搭載される車両制御装置および車両制御装置の接続方法について説明するが、図1を参照しながら説明した従来の技術によるカーシェアリングシステム100と同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜省略することとする。
【0039】

ここで、図2には、本発明による車両制御装置を接続したカーシェアリングシステムの概要を示すブロック構成図が示されている。
【0040】

この図1に示すカーシェアリングシステム200に接続された本発明による車両制御装置10は、車両110に備えられた装置や機能に対する監視や当該監視に基づく制御を行うものであり、GPS衛星28と通信するGPSモジュール10aと、サーバー108と携帯電話網を介して接続する通信モジュール10bと、カードリーダー114、キーボックス116、学習データ指定インターフェース10iならびに車両制御装置10の全体の動きを制御するメインコントローラー10cと、メインコントローラー10cからの情報により車両110に設けられたエンジンスタータ110aおよびドアロックアンロックシステム110bを操作する操作部10dと、車両110に設けられたエンジンスタータ110a、ドアスイッチ110c、イグニッション110d、バッテリー電圧検出器110e、燃料残量検出器110f、車速検出器110gおよびキーボックス116を監視する監視部10eと、メインコントローラー10cからの情報によりキーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)から音声ガイダンスなどを出力させる音声モジュール10fとを有して構成されている。
【0041】
さらに、操作部10dおよび監視部10eと接続するとともに車両110に設けられたCANバス110hに接続されるCANインターフェース10gと、メインコントローラー10cと接続するとともに、車両制御装置10に備え付けられたディップスイッチなどの学習データ指定インターフェース10iとを有して構成されている。
【0042】

GPSモジュール10aは、GPS衛星28からGPS信号を受信するために必要なアンテナ10aaを備えており、また、通信モジュール10bは、車両制御装置10が各種情報を携帯電話網を介して送受信するためのアンテナ10baを備えている。
【0043】
サーバー108は、管理団体のパーソナルコンピューター102、管理団体の会員となった利用者のパーソナルコンピューター104および当該利用者の携帯電話106とネットワークを介して接続される。
【0044】
また、音声モジュール10fは、キーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)に接続されている。
【0045】
さらに、CANインターフェース10gは、操作部10dおよび監視部10eと接続するとともに、ドアロックアンロックシステム110b、ドアスイッチ110c、イグニッション110dならびに車速検出器110gと接続しているCANバス110hと接続する。
【0046】
さらにまた、学習データ指定インターフェース10iは、後述する「学習モード」の際に使用され、実際に作業者が車両に対して行う車両操作を指定するものである。
【0047】
また、メインコントローラー10cにおいては、例えば、スイッチ(図示せず。)によって作業者により「学習モード」と「通常モード」とが選択され、「学習モード」が選択された場合には、実際に車両110において行われた車両操作に基づいて通信データを取得するようにし、「通常モード」が選択された場合には、通常の車両の制御を行うようにする。
【0048】

以上の構成において、車両制御装置10を車両110に接続するには、まず、車両制御装置10を車両110の所定の位置に取り付け、取り付けた車両制御装置10をエンジンスタータ110a、燃料残量検出器110f、バッテリ電圧検出器110e、カードリーダー114およびキーボックス116にそれぞれ異なる配線により接続するとともに、CANバス110hとCANインターフェース10gとを配線により接続する。
【0049】
具体的には、エンジンスタータ110aは操作部10dおよび監視部10eに接続され、ドアロックアンロックシステム110b、ドアスイッチ110c、イグニッション110dおよび車速検出器110cはCANバス110hを介して、CANインターフェース10gと接続され、バッテリ電圧検出器110eおよび燃料残量検出器110fは監視部10eに接続される。
【0050】
さらに、カードリーダー114はメインコントローラー10cに接続され、キーボックス116はメインコントローラー10c、監視部10eおよび音声モジュール10fに接続される。
【0051】
こうして車両制御装置10を車両110に配設した後に、作業者によりメインコントローラー10cを「学習モード」に設定し、実際に車両110において行われる車両操作の通信データを取得する処理を行う。
【0052】

ここで、図3のフローチャートには、メインコントローラー10cの「学習モード」における具体的な処理内容が示されており、車両制御装置10とCANバス110hが配線された後に作業者により「学習モード」が選択されると、まず、学習データ指定インターフェース10iにより、例えば、「ドアをロックする操作」あるいは「ドアのロックを解除する操作」などといった、メインコントローラー10cにおいて通信データを取得する必要のある車両操作を指定する(ステップS302)。
【0053】
次に、ステップS302の処理で指定した通信データを取得する必要のある車両操作を、作業者が車両110において実行し、実行された車両操作によってCAN110hに流れる通信データを監視部10eにより監視し、監視された通信データをメインコントローラー10cにおいて取得する(ステップS304)。
【0054】
そして、ステップS302の処理において指定した車両操作と、ステップS304の処理において取得した通信データとをメインコントローラー10cにおいて関連付けてメインコントローラー10cに設けられた記憶領域(図示せず。)に記憶する(ステップS306)。
【0055】
ステップS302の処理で指定した車両操作とステップS304の処理において取得した通信データとを関連付けて記憶した後に、作業者は、通信データを取得する必要のある車両操作が他にあるか否かの判断を行う(ステップS308)。
【0056】
このステップS308の判断処理において、通信データを取得する必要のある車両操作が他にあると判断された場合には、ステップS302の処理に戻り、再び、学習データ指定インターフェース10iにより、メインコントローラー10cに通信データを取得する必要のある車両操作を指定した後、ステップS304〜ステップS308の処理が行われる。
【0057】
一方、ステップS308の判断処理において、通信データを取得する必要のある車両操作が他にないと判断された場合には、「学習モード」の処理を終了する。
【0058】

次に、「学習モード」の処理を具体的に説明すると、ドアをロックする操作を車両制御装置10のメインコントローラー10cに通信データ関連付けて記憶させるには、まず、車両制御装置10の車両110に接続する作業者が、学習データ指定インターフェース10iによってメインコントローラー10cに「ドアをロックする操作」を指定する(ステップS302の処理に相当する。)。
【0059】
次に、作業者は車両に設けられたドアロックボタンを作業者が押すことにより、「ドアをロックする操作」が車両110において実行されるが、このとき、車両110においては、ドアロックアンロックシステム110bにCANバス110hを通って通信データが入力されることとなり、これによりドアロックアンロックシステム110bが起動してドアのロックが行われる。こうしてCANバス110hを通った通信データを監視部10eが監視し、監視された通信データが監視部10eからメインコントローラー10cに出力される(ステップS304の処理に相当する。)。
【0060】
そして、メインコントローラー10cにおいて、「ドアをロックする操作」と監視部10eからメインコントローラー10cに出力された通信データとを関連付けて、メインコントローラー10cに設けられた記憶領域(図示せず。)に記憶する(ステップS306の処理に相当する。)。
【0061】
その後、作業者が、メインコントローラー10cに通信データを取得する必要のある車両操作が他にあるかを判断する(ステップS308の処理に相当する。)。
【0062】

こうして、「学習モード」で車両制御装置10を機能させる上で必要な通信データを取得した後に、車両制御装置10により車両110の制御を開始する場合には、メインコントローラー10cを「通常モード」として動作させることにより、「学習モード」において記憶した通信データを利用して車両110に対して所定の制御を行うようにする。
【0063】

このように、車両制御装置10に学習データ指定インターフェース10iを設け、車両制御装置10を機能させる上で必要な通信データとして、学習データ指定インターフェース10iで指定した車両操作を車両110で実行してCANバス110hに流れた通信データを取得し、取得した通信データと実際に行った車両操作とを関連付けてメインコントローラー10cに設けられた記憶領域(図示せず。)に記憶するようにしたため、容易に車両制御装置10を機能させることができるよう車両12に接続することができる。
【0064】

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(3)に示すように変化することができるものである。
【0065】
(1)上記した実施の形態においては、カーシェアリングシステムを構築するための1つの構成として本発明による車両制御装置を対象となる車両に接続するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、カーセキュリティーシステムを構築するための1つの構成としての本発明による車両制御装置を対象となる車両に接続するようにしてもよい。
【0066】
(2)上記した実施の形態においては、学習データ指定インターフェース10iとして車両制御装置10に備え付けられたディップスイッチを用いるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、例えば、メインコントローラー10cに直接パーソナルコンピューターなどの外部端末を接続し、接続したパーソナルコンピューターから通信データを取得する必要のある車両操作を入力するようにしてもよい。
【0067】
さらに、パーソナルコンピューターなどの表示画面を備えた外部端末を用いた場合には、通信データを取得する必要のある車両操作が他にあるか否かの判断をメインコントローラー10cにおいて行うようにするようにしてもよい。
【0068】

ここで、図4に示すフローチャートには、実際に車両110において行われる車両操作の通信データを取得する処理が示されており、メインコントローラー10cにおいて通信データを取得する必要のある車両操作が他にあるか否かの判断を行う場合の具体的な処理内容が示されている。
【0069】
メインコントローラー10cにおいて通信データを取得する必要のある車両操作が他にあるか否かの判断を行う場合には、まず、表示画面が設けられたパーソナルコンピューターなどの外部端末(図示せず。)をメインコントローラー10cに接続して、当該外部端末によりメインコントローラー10cに通信データを取得する必要のある全ての車両操作を指定する(ステップS402)。
【0070】
次に、メインコントローラー10cにおいて、指定された全ての車両操作から関連付けられる通信データが不明の車両操作を1つ選択し(ステップS404)、選択した車両操作をメインコントローラー10cから外部端末に出力し、外部端末において設けられた表示画面上に選択した車両操作を表示する(ステップS406)。
【0071】
外部端末の表示画面上に表示された車両操作に基づいて作業者が実行した車両操作によって、CANバス110hに流れる通信データを監視部10eにより監視して、監視された通信データをメインコントローラー10cにおいて取得する(ステップS408)。
【0072】
そして、ステップS404の処理により選択した車両操作とステップS408の処理により取得した通信データとをメインコントローラー10cにおいて関連付けて、メインコントローラー10cに設けられた記憶領域(図示せず。)に記憶する(ステップS410)。
【0073】
ステップS404の処理により選択した車両操作とステップS408の処理により取得した通信データとを関連付けて記憶した後に、メインコントローラー10cにおいて、ステップS402の処理により指定された通信データを取得する必要のある車両操作の中から、関連付ける通信データが不明の車両操作が他にあるか否かの判断を行う(ステップS412)。
【0074】
このステップS412の判断処理において、通信データを取得する必要のある車両操作が他にあると判断された場合には、ステップS404の処理に戻り、再び、メインコントローラー10cにおいて、ステップS402の処理で指定された全ての車両操作から通信データが不明の車両操作を1つ選択した後、ステップS406〜ステップS412の処理が行われる。
【0075】
一方、ステップS412の判断処理において、通信データを取得する必要のある車両操作が他にないと判断された場合には、「学習モード」の処理を終了する。
【0076】

このように通信データを取得する必要のある車両操作が他にあるか否かの判断をメインコントローラー10cにおいて行うようにすれば、作業者は、最初に通信データを取得する必要のある車両操作の全てを指定した後は、外部端末の表示画面上に表示される車両操作を実行するだけでよいため、車両制御装置10の車両110への接続作業がより簡単になる。
【0077】
(3)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(2)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、アフターパーツとして所定の車載システムの制御を行う車両制御装置として用いて好適である。
【符号の説明】
【0079】
10、112 車両制御装置
10a GPSモジュール
10b 通信モジュール
10c メインコントローラー
10d 操作部
10e 監視部
10f 音声モジュール
10g CAN I/F
28 GPS衛星
102、104 パーソナルコンピューター
106 携帯電話
108 サーバー
114 カードリーダー
116 キーボックス
110 車両
110a エンジンスタータ
110b ドアロックアンロックシステム
110c ドアスイッチ
110d イグニッション
110e バッテリー電圧検出器
110f 燃料残量検出器
110g 車速検出器
110h CANバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CANシステムを搭載した車両に対し、CANバスと接続して所定の車載システムの制御を行う車両制御装置において、
前記車両において実行される操作を指定する指定手段と、
前記CANバスと接続する接続手段と、
前記指定手段により指定した前記車両において実行される操作が入力されて、前記車両において実際に前記操作が行われることによって、前記CANバスに流れた通信データを取得するとともに、前記操作と前記通信データとを関連付けて記憶し、前記通信データを利用して前記車両の所定の車載システムの制御を行う制御手段と
を有することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記指定手段は、ディップスイッチである
ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記指定手段は、表示画面を備えた外部端末である
ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両制御装置が機能するように車両へ接続するための車両制御装置の接続方法であって、
前記指定手段により、前記車両制御装置において通信データを取得する必要のある車両操作を指定し、
該指定した車両操作に基づいて実行された車両操作によって前記CANバスに流れた通信データを取得し、
該取得した通信データと前記指定手段により指定した車両操作とを関連付けて前記制御手段に記憶する
ことを特徴とする車両制御装置の接続方法。
【請求項5】
請求項2に記載の車両制御装置が機能するように車両へ接続するための車両制御装置の接続方法であって、
前記ディップスイッチにより、前記車両制御装置において通信データを取得する必要のある車両操作を指定し、
該指定した車両操作に基づいて実行された車両操作によって前記CANバスに流れた通信データを取得し、
該取得した通信データと前記指定手段により指定した車両操作とを関連付けて前記制御手段に記憶する
ことを特徴とする車両制御装置の接続方法。
【請求項6】
請求項3に記載の車両制御装置が機能するように車両へ接続するための車両制御装置の接続方法であって、
前記外部端末により、前記車両制御装置において通信データを取得する必要のある車両操作を指定し、
該指定した車両操作に基づいて実行された車両操作によって前記CANバスに流れた通信データを取得し、
該取得した通信データと前記指定手段により指定した車両操作とを関連付けて前記制御手段に記憶する
ことを特徴とする車両制御装置の接続方法。
【請求項7】
請求項3に記載の車両制御装置が機能するように車両へ接続するための車両制御装置の接続方法であって、
前記外部端末により、前記車両制御装置において通信データを取得する必要のある車両操作の全てを指定し、
該指定された全ての車両操作から関連付けられる通信データが不明の車両操作を1つ選択し、
該選択した車両操作を前記外部端末の表示画面上に表示し、
前記外部端末の表示画面上に表示された車両操作に基づいて実行した車両操作によってCANバスに流れた通信データを取得し、
該取得した通信データと前記外部端末により指定された全ての車両操作の中から選択した車両操作とを関連付けて前記制御手段に記憶し、
前記外部端末により指定された全ての車両操作の中から関連付ける通信データが不明の車両操作が他にあるか否かの判断を行う
ことを特徴とする車両制御装置に接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−207293(P2011−207293A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75599(P2010−75599)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(508077654)株式会社サージュ (14)