説明

車両広告媒体

【課題】本発明の課題は、広告内容変更に際しても低コストで、しかも変更作業がきわめて容易な車両広告媒体を提供することにある。
【課題手段】本発明に係る車両広告媒体としての特徴は、タクシーT等の車両の外面に装着される車両広告媒体であって、該媒体本体100は、車両に磁力によって取付けられる磁石部200を備えるとともに、表面側に、透明もしくは半透明な保護層310を備え、且つ、該磁石部200と保護層310との間には、広告が表示された広告物400を介在可能な収容部Sが形成されるように設けられている点にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー等の車両の扉や、ボンネットなどの外面に取付けられる車両広告媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広告効果を得るべく、タクシー等の車両の扉に広告を直接塗装することが公知である。しかしながら、車両の扉に広告を塗装した場合、広告内容の変更に即座に対応できず、また、広告内容変更に伴って塗装を変更する際に多大な費用がかかるばかりか、車両を傷つけるおそれも存在した。
【0003】
また、バス等においては、バスの車体に広告を挿入着させるための枠をボルト等の固定手段によって取付けておき、この枠に広告を挿入着するものも公知である。しかるに、かかる枠を固定するコストが高く、さらに、該枠を取付けるために車両を傷つけるという問題を有していた。
【0004】
さらに、車両の外面に、粘着層を介して広告物を貼り付けることも公知であるが、広告内容変更に際しては、該広告物を剥がすに際して前記粘着層の完全な剥離が困難であり、また、この剥離作業に際して車両に傷をつけるおそれもあった。
【0005】
また、これらの欠点に鑑みて、表面に広告が印刷されたマグネットシートを、車両の表面に磁力によって取付けるものも存在する(たとえば特許文献1)。かかる車両広告媒体は、上記の従来のものに比して着脱が容易であるものの、マグネットシートに印刷を施すことを要するため、広告内容の変更に伴い前記印刷を行うことを要していた。なお、特許文献1所載の車両広告媒体にあっては、車両広告媒体が折り返し部を有し、この折り返し部を車両の扉などの開閉部分の裏側に装着するものである。
【特許文献1】特開2000−47622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、本発明の課題は、広告内容変更に際しても低コストで、しかも変更作業がきわめて容易な車両広告媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る車両広告媒体としての特徴は、タクシー等の車両の外面に装着される車両広告媒体であって、該媒体本体は、車両に磁力によって取付けられる磁石部を備えるとともに、表面側に、透明もしくは半透明な保護層を備え、且つ、該磁石部と保護層との間には、広告が表示された広告物を介在可能な収容部が形成されるように設けられている点にある。
【0008】
上記構成からなる車両広告媒体にあっては、収容部に広告物を介在させた状態で、磁石部の磁力により車両の外面に取付けることにより、車両の外面に広告を表示させることができ、また、前記広告物は保護層によって保護されているので、通常の紙などを前記広告物として利用することができ、このため、たとえば広告チラシ等を利用して前記車両広告を行うことも可能となる。さらに、車両に磁石部によって取付けることができるので、広告の開始または終了に際して、容易に本発明の車両広告媒体を取付または離脱することができる。また、広告内容の変更に際しては、車両から車両広告媒体を離脱し、この車両広告媒体の収容部内の広告物を変更した後、この車両広告媒体を車両に取付けることによって可能であり、広告内容の変更作業が極めて容易に行いうる。また、上述のように広告内容の変更作業が容易で、しかも広告物の材質等も限定されないため、広告にかかるコストを削減することが可能である。
【0009】
また、本発明にあっては、収容部には、一方向において前記広告物を挿入脱可能な挿入脱口が設けられており、その他の方向は密封状態とされており、該挿入脱口には、広告物を挿入した状態で収容部を密封可能な密封手段が設けられている構成を採用することが好ましい。これにより、広告物の挿入脱を前記挿入脱口から行うことができるとともに、該挿入脱口を密封手段によって密封することにより、広告物を収容した収容部を密封することができ、雨などによって広告物が濡れること、および、広告物が車両走行中に離脱することを防止することができる。
【0010】
なお、前記挿入脱口は、車両進行前側に設けることも可能であるが、車両走行時の対向風によって密封手段が不用意に開放されるおそれが存在し、また、上方側に設けることも可能であるが、雨などが該密封手段から収容部に浸入するおそれがあり、さらに、下方側に設けることも可能であるが、密封手段の不用意な離脱によって広告物が重力により落下するおそれがあるため、車両進行方向後ろ側に設けられていることが好ましい。
【0011】
また、本発明にあっては、磁石部が、少なくとも車両進行方向前側において、前記媒体本体の全長にわたって設けられていることが好ましく、さらには、媒体本体の全面にわたって設けられていることが好ましい。これにより、車両走行時の対向風等によっても媒体本体が車両から離脱しにくいという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本願発明の一実施形態を説明する。
【0013】
本実施形態の車両広告媒体は、略方形状の広告媒体本体100が、裏面に設けられたマグネットシート体200と、該マグネットシート体200の表面に固着された防水性の袋体300とを備えており、裏面のマグネットシート体200によってタクシーTのドア部に取付けられるものである。
【0014】
前記マグネットシート体200は、前記袋体300の大きさと同一または若干大きく設けられており、これにより、該マグネットシート体200は、前記広告媒体本体100の全面にわたって設けられている。
【0015】
前記袋体300は、前記マグネットシート体200に固着された裏面側シート320と、この裏面側シート320の表面側に位置する表面側シート310(保護層)とから構成されており、この表面側シート310と裏面側シート320との間に、広告が印刷された紙などからなる広告物400を収容できる収容部Sが構成されている。
【0016】
なお、前記袋体300の周囲は、前記マグネットシート体200に密着されており、袋体300の周囲とマグネットシート体200との間に密着されない遊び部分が存在しないように設けられており、このため、車両走行時において、袋体300とマグネットシート体200との間に風が入り込まないように設けられている。
【0017】
ここで、前記袋体300は、車両走行時の進行方向後ろ側において前記表面側シート310および裏面側シート320が接着されない開放部330を有し、他の方向(上下および前側)が密封状態に設けられている。
【0018】
また、前記開放部330は、前記広告物400を挿入脱できるように設けられており、袋体300には、該開放部330を密封/開放可能な密封手段340が設けられている。ここで、密封手段340は、袋体300の内面(表面側シート310の裏面側)に設けられており、本実施形態では、袋体300の上下方向に沿って設けられた互いに嵌合可能な凸条体と凹条体とから構成されている。なお、かかる密封手段340は種々のものを採用できるが、密封手段340は、車両走行時における空気抵抗等を考慮すると、表面側シート310(保護層)の裏面側に設けられていることが好ましい。
【0019】
また、前記マグネットシート体200および袋体300は、何れも可撓性を有し、前記広告媒体本体100は、可撓性を有している。
【0020】
上記本実施形態に係る車両広告媒体にあっては、収容部Sに広告物400を介在させた状態で、マグネットシート体200の磁力により車両Tの外面に取付けることにより、車両の外面に広告を表示させることができる。
【0021】
特に、マグネットシート体200は、広告媒体本体100の全面にわたって設けられているので、車両走行時の対向風にかかわらず、広告媒体本体100を確実に車両に取付けることが可能である。また、前記マグネットシート体200および袋体300は、何れも可撓性を有し、前記広告媒体本体100は、可撓性を有しているため、車両に取付けた際に広告媒体本体100が車両の形状に沿って変形するため、車両の外面と前記マグネットシート体200との接触面積が広く、車両の外面に確実に取付けることができる。また、前記開放部330は、車両進行方向の後ろ側に設けられており、しかも密封手段340が、表面側シート310(保護層)の裏面側に設けられているので、車両走行時の対向風の影響を受けにくく、広告媒体本体100を確実に車両に取付けることが可能である。さらに、前記袋体300の周囲とマグネットシート体200との間に密着されない遊び部分が存在しないように、袋体300の周囲が前記マグネットシート体200に密着されているため、前記対向風の影響を受けにくい。
【0022】
また、前記広告物400は袋体300の表面側シート310によって保護されているので、通常の紙などを前記広告物400として利用することができ、さらに、車両にマグネットシート体200によって容易に着脱できるので、広告の開始または終了に際して、容易に広告媒体本体100を取付または離脱することができる。また、広告内容の変更に際しては、車両から広告媒体本体100を離脱し、この広告媒体本体100の開放部330を開放して収容部S内の広告物400を変更し、この広告媒体本体100を車両に取付けることによって可能であり、広告内容の変更作業が極めて容易に行いうる。また、前記マグネットシート体200および袋体300は、何れも可撓性を有し、前記広告媒体本体100は、可撓性を有しているため、広告物400の離脱または挿入に際して、広告媒体本体100を変形させて、前記開放部330を大きく広げた状態で前記離脱・挿入作業を行うことができる。
【0023】
なお、上記実施形態は、以上の構成を有し、既述の利点を有するものであったが、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
【0024】
たとえば、上記実施形態においては、一対のシートから構成された袋体と、該袋体の裏面の磁石シートとから広告媒体本体を構成するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、磁石シートの表面に保護層としての防水性シートを貼着して、磁石シートと保護層との間に収容部を形成するように設けることも可能である。また、上記実施形態のような袋体の内部に磁石シートを介在させて、この磁石シートよりも表面側に広告物を介在させるように設けることも可能である。
【0025】
また、マグネットシート体の表面側について上記実施形態においては何ら言及しなかったが、たとえば、マグネットシート体の表面側に印刷を施しておき、広告物が収容されていない状態において該マグネットシート体の表面側の印刷が表示されるように設けることも可能である。
【0026】
さらに、上記実施形態においてはタクシーを例にとり説明したが、その他の車両(たとえばバス)などにも本発明は適用可能である。また、上記実施形態の図示例では、車両の前部座席の扉および後部座席の扉に取付けたケースを例に説明したが、その他の部位(たとえば後部のトランク部位)に取付けることも本発明の意図する範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態の車両広告媒体を取付けた車両の一例を示す概略説明図である。
【図2】同実施形態の車両広告媒体の概略的正面図である。
【図3】図2のA−A線端面拡大図である。
【図4】同実施形態の車両広告媒体の使用状態を説明するための概略的斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
T タクシー
S 収容部
100 広告媒体本体
200 マグネットシート体
300 袋体
310 表面側シート(保護層)
320 裏面側シート
330 開放部
340 密封手段
400 広告物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシー等の車両の外面に装着される車両広告媒体であって、
該媒体本体は、車両に磁力によって取付けられる磁石部を備えるとともに、表面側に、透明もしくは半透明な保護層を備え、
且つ、該磁石部と保護層との間には、広告が表示された広告物を介在可能な収容部が形成されるように設けられていることを特徴とする車両広告媒体。
【請求項2】
請求項1記載の車両広告媒体であって、
前記収容部には、一方向において前記広告物を挿入脱可能な挿入脱口が設けられており、その他の方向が密封状態とされており、
前記挿入脱口には、前記広告物を挿入した状態で収容部を密封可能な密封手段が設けられていることを特徴とする車両広告媒体。
【請求項3】
請求項2記載の車両広告媒体であって、
前記挿入脱口は、車両進行方向後ろ側に設けられていることを特徴とする車両広告媒体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の車両広告媒体であって、
前記磁石部は、少なくとも車両進行方向前側において、前記媒体本体の全長にわたって設けられていることを特徴とする車両広告媒体。
【請求項5】
請求項4記載の車両広告媒体であって、
前記磁石部は、媒体本体の全面にわたって設けられていることを特徴とする車両広告媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate