説明

車両用ウインドウシェード装置

【課題】シェードを開いた状態に安定して維持できるようにすること。
【解決手段】車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置である。車両用ウインドウシェード装置は、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52と、これを巻取る巻取装置56と、水平方向遮蔽用可動部材64を案内経路に沿って移動可能に支持する案内支持機構62と、水平方向遮蔽用可動部材64に第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢変更可能に支持されたアーム70とを備える。アーム70は、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し方向側端部に連結されている。アーム70に第1ギヤ72が設けられ、案内支持機構62による案内経路の引出し方向端部側に第2ギヤ76が設けられている。水平方向遮蔽用可動部材64が引出し方向側に向う途中で、第1ギヤ72と第2ギヤ76とが噛合してアーム70が第1姿勢から第2姿勢に姿勢変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のウインドウシェード装置として、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
特許文献1では、巻取シャフトに巻取られたウインドシェードシートを、輪郭保持部材によって引出すようにしている。輪郭保持部材は、案内レールによって案内されるスライド要素に揺動自在に結合されている。そして、引出し経路の端部で、輪郭保持部材が圧力バネによって押されることで、その移動距離よりも多くの量で、ウインドシェードシートが引出される構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−145444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、引出し経路の端部で、圧力バネは輪郭保持部材を一方向から押している状態であるため、ウインドシェードシートを引出した状態で、輪郭保持部材はスライド要素に結合された部分周りで揺れ動いてしまう。これにより、ウインドシェードシートが多少開いてしまったり、或は、ガタガタ音が発生してしまったりする。
【0006】
そこで、本発明は、シェードを開いた状態に安定して維持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様は、車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、前記ウインドウシェードを引出し収納可能に巻取る巻取装置と、前記ウインドウシェードの引出し収納方向に沿った案内経路を有し、その案内経路に沿って移動可能に支持された可動部材を有する案内支持機構と、一端が前記ウインドウシェードの引出し側端部に連結されたシェード連結部分とされると共に、他端が前記可動部材に回転可能に支持され、前記シェード連結部分を前記ウインドウシェードの収納方向側に位置させた第1姿勢と前記シェード連結部分を前記ウインドウシェードの引出し方向側に位置させた第2の姿勢との間で姿勢変更可能なアームと、を備え、前記アームのうち前記可動部材への支持部分を挟んで前記シェード連結部分とは反対側に第1ギヤが設けられ、前記可動部材が前記案内経路に沿って前記ウインドウシェードの引出し方向端部に向う途中から前記ウインドウシェードの引出し方向端部に至る経路において、前記第1ギヤと噛合して前記アームを前記第1姿勢から前記第2姿勢に向けて姿勢変更させる第2ギヤが設けられているものである。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記第1ギヤは、前記アームのうち前記可動部材への支持部分を略中心とする弧状ギヤであり、前記第2ギヤは、前記案内経路のうち前記ウインドウシェードの引出し方向端部側に設けられ、前記案内経路に沿って延びるラック歯であるものである。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記可動部材に連結されると共に前記案内経路に沿って移動可能に配設された線状ラック歯部材と、前記線状ラック歯部材のラック歯に噛合して前記線状ラック歯部材をその長手方向に沿って往復駆動する駆動機構とをさらに備えるものである。
【0010】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記巻取装置は、前記ウインドウシェードを略水平方向に沿って引出し収納可能に構成され、前記可動部材に連結されると共に前記案内経路に沿って移動可能に配設された線状ラック歯部材をさらに備え、前記ウインドウに隣接して設けられた別のウインドウを遮蔽可能な上下方向遮蔽用ウインドウシェードと、上下方向遮蔽用ウインドウシェードを略上下方向に沿って引出し収納可能に巻取る上下方向遮蔽用巻取装置と、前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードの引出し収納方向に沿って移動可能な上下方向遮蔽用可動部材から延出する駆動用ワイヤの両端側を選択的に引張ることで、前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードを引出し及び収納する上下方向遮蔽用開閉機構と、前記駆動用ワイヤの両端側を選択的に引張り駆動可能なように前記駆動用ワイヤが巻きかけられたプーリー体と、前記線状ラック歯部材のラック歯に噛合可能なギヤ体と、前記プーリー体と前記ギヤ体とを回転駆動する回転駆動部材とを有する共通駆動機構とをさらに備えるものである。
【0011】
第5の態様は、車両に隣接して設けられた第1ウインドウ及び第2ウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、前記第1ウインドウを遮蔽可能な上下方向遮蔽用ウインドウシェードと、前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードを略上下方向に沿って引出し収納可能に巻取る上下方向遮蔽用巻取装置と、前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードの引出し収納方向に沿って移動可能な上下方向遮蔽用可動部材から延出する駆動用ワイヤの両端側を選択的に引張ることで、前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードを引出し及び収納する上下方向遮蔽用開閉機構と、前記第2ウインドウを遮蔽可能な水平方向遮蔽用ウインドウシェードと、前記水平方向遮蔽用ウインドウシェードを略水平方向に沿って引出し収納可能に巻取る水平方向遮蔽用巻取装置と、前記水平方向遮蔽用ウインドウシェードの引出し収納方向に沿って移動可能な水平方向遮蔽用可動部材に連結された線状ラック歯部材をその長手方向に沿って往復移動させることで、前記水平方向遮蔽用ウインドウシェードを引出し及び収納する水平方向遮蔽用開閉機構と、前記駆動用ワイヤの両端側を選択的に引張り駆動可能なように前記駆動用ワイヤが巻きかけられたプーリー体と、前記線状ラック歯部材のラック歯に噛合可能なギヤ体と、前記プーリー体と前記ギヤ体とを回転駆動する回転駆動部材とを有する共通駆動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
第1の態様によると、可動部材が前記案内経路に沿って前記ウインドウシェードの引出し方向端部に向う途中から前記ウインドウシェードの引出し方向端部に至る経路において、第2ギヤが第1ギヤと噛合して前記アームを前記第1姿勢から前記第2姿勢に向けて姿勢変更させるため、可動部材の移動距離以上にウインドウシェードを引出すことができる。そして、可動部材を引出した状態では、第2ギヤと第1ギヤとが噛合したままの状態で維持されるため、アームの揺れが抑制される。これにより、ウインドウシェードを開いた状態に安定して維持できる。
【0013】
第2の態様によると、可動部材が引出し方向端部に移動した状態で、前記際1ギヤである弧状ギヤと、第2ギヤであるラック歯とを安定して噛合させることができる。
【0014】
第3の態様によると、案内経路に沿って配設された線状ラック歯部材によって、可動部材を移動させることができる。このため、案内支持機構のコンパクト化が可能となる。
【0015】
第4の態様によると、引出し収納方向が略水平方向であるウインドウシェードについては、線状ラック歯部材を用いて駆動することでコンパクト化を図ることができる。また、引出し収納方向が略上下方向である上下方向遮蔽用ウインドウシェードについては、駆動用ワイヤによって比較的強い力で駆動することができる。また、これらの線状ラック歯部材及び駆動用ワイヤを、共通駆動機構によって駆動することで全体構成のコンパクト化を図ることができる。
【0016】
第5の態様によると、引出し収納方向が略水平方向である水平方向遮蔽用ウインドウシェードについては、線状ラック歯部材を用いて駆動することでコンパクト化を図ることができる。また、引出し収納方向が略上下方向である上下方向遮蔽用ウインドウシェードについては、駆動用ワイヤによって比較的強い力で駆動することができる。また、これらの線状ラック歯部材及び駆動用ワイヤを、共通駆動機構によって駆動することで全体構成のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態にかかる車両用ウインドウシェード装置を示す側面図である。
【図2】収納状態における車両用ウインドウシェード装置を示す側面図である。
【図3】上下方向遮蔽用案内レールの要部拡大断面図である。
【図4】水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構を示す側面図である。
【図5】水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構の動作を示す説明図である。
【図6】水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構の動作を示す説明図である。
【図7】水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構の動作を示す説明図である。
【図8】共通駆動機構を示す要部側面図である。
【図9】共通駆動機構を示す要部斜視図である。
【図10】共通駆動機構の内部構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<全体構成>
以下、実施形態にかかる車両用ウインドウシェード装置について説明する。図1は引出し状態における車両用ウインドウシェード装置20を示す側面図であり、図2は収納状態における車両用ウインドウシェード装置20を示す側面図である。なお、図1及び図2は車両内側から見た状態を示している。
【0019】
この車両用ウインドウシェード装置20は、隣接するウインドウ10、12に組込まれ、当該ウインドウ10、12を車室内側から遮蔽及び解放可能に覆う。ここでは、車両用ウインドウシェード装置20は、略方形状のリアサイドウインドウ10(第1ウインドウ)と、そのリアサイドウインドウ10からさらに車両の後方側に隣接する、略三角状のリアクオーターウインドウ12(第2ウインドウ)とに組込まれる。そして、車両用ウインドウシェード装置20は、リアサイドウインドウ10を略上下方向の引出し収納方向で覆うと共に、リアクオーターウインドウ12を略水平方向の引出し収納方向で覆う構成とされている。
【0020】
すなわち、車両用ウインドウシェード装置20は、リアサイドウインドウ10を覆うための上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構30と、リアクオーターウインドウ12を覆うための水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50と、これらを駆動するための共通駆動機構80とを備えている。
【0021】
<上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構>
上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構30は、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32と、上下方向遮蔽用巻取装置36と、上下方向遮蔽用開閉機構40とを備えている。
【0022】
上下方向遮蔽用ウインドウシェード32は、布或は樹脂シート等によりリアサイドウインドウ10を遮蔽可能な形状に形成されている。上下方向遮蔽用ウインドウシェード32の先端部には、樹脂等によって形成された略棒状のステイ34が取付けられている。
【0023】
上下方向遮蔽用巻取装置36は、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32を略上下方向に沿って引出し収納可能に巻取っている。すなわち、上下方向遮蔽用巻取装置36は、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32を巻取可能な巻取軸を有しており、当該巻取軸は図示省略のコイルバネ等によって上下方向遮蔽用ウインドウシェード32を巻取る方向に付勢されている。そして、上記ステイ34を引張ると、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32が上下方向遮蔽用巻取装置36から引出されて、リアサイドウインドウ10を覆うようになる。また、ステイ34を引張る力を解除すると、巻取軸の巻取方向への付勢力によって上下方向遮蔽用ウインドウシェード32が巻取収納されるようになっている。また、この上下方向遮蔽用巻取装置36は、後述する水平フレーム41に取付けられた状態で、リアサイドウインドウ10の下縁部に沿って車体に組込まれることで、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32がリアサイドウインドウ10に対して、略上下方向に沿って引出し収納可能に覆う構成とされる。
【0024】
図3は上下方向遮蔽用案内レール42の要部拡大断面図である。図1〜図3に示すように、上下方向遮蔽用開閉機構40は、一対の上下方向遮蔽用案内レール42を有している。一対の上下方向遮蔽用案内レール42は、それぞれ金属等で構成され、水平フレーム41の両端部に当該水平フレーム41に対して略直交する姿勢でかつ略同方向(上方向)に向けて延出するように取付けられている。そして、一対の上下方向遮蔽用案内レール42がリアサイドウインドウ10の前側縁部及び後ろ側縁部に沿って車両のピラー等に組込まれる。ここで、車両前側の上下方向遮蔽用案内レール42の長さ寸法は、車両後ろ側の上下方向遮蔽用案内レール42の長さ寸法よりも大きい。これは、リアサイドウインドウ10の前側縁部の長さ寸法が、リアサイドウインドウ10の後ろ側縁部の長さ寸法より長いからである。
【0025】
上下方向遮蔽用案内レール42は、略筒状(ここでは略角筒状)に形成されており、そのリアサイドウインドウ10側の面にスリットが形成されている。また、上下方向遮蔽用案内レール42の先端部には、ワイヤ曲返部43が取付けられており、上下方向遮蔽用案内レール42の基端部は開口している。
【0026】
この上下方向遮蔽用案内レール42には、当該上下方向遮蔽用案内レール42に沿って移動可能な上下方向遮蔽用可動部材44が設けられている。
【0027】
上下方向遮蔽用可動部材44は、樹脂等で形成された部材であり、上記上下方向遮蔽用案内レール42に沿って移動可能な箱状体に形成されている。上下方向遮蔽用可動部材44は、上下方向遮蔽用案内レール42の前記スリットを介して部分的に外方に露出しており、この露出部分に上記ステイ34が連結されている。そして、上下方向遮蔽用可動部材44が前記引出し収納方向に沿って移動することで、ステイ34が同方向に移動し、これによって上下方向遮蔽用ウインドウシェード32が引出し及び収納される構成とされている。
【0028】
また、上下方向遮蔽用案内レール42には、上下方向遮蔽用可動部材44を引張って移動駆動するための駆動用ワイヤ46を有している。駆動用ワイヤ46は、上下方向遮蔽用可動部材44に2方向に延出するように連結されており、駆動用ワイヤ46の両側を選択的に引張ることで、上下方向遮蔽用可動部材44を上下方向遮蔽用案内レール42に沿って双方向に移動させることができるようになっている。
【0029】
ここでは、駆動用ワイヤ46は、2つのワイヤ47、48を有している。一方のワイヤ47の端部には太径部47aが形成され、他方のワイヤ48の端部にはワイヤ47を挿通可能な孔48hを有するワイヤ係止部48aが形成されている。そして、ワイヤ48を孔48hに通して太径部47aをワイヤ係止部48aに係止させることで、2つのワイヤ47、48同士が連結されている。また、これらの太径部47aとワイヤ係止部48aとの連結部分を、上記上下方向遮蔽用可動部材44内に嵌め込むようにして係止することで、当該ワイヤ47、48が上下方向遮蔽用可動部材44から2方向に延出するようにして、連結された構成とされている。もっとも、1本のワイヤの途中に上下方向遮蔽用可動部材をカシメ金具、ねじ止等によって固定してもよい。
【0030】
一方のワイヤ47は、上下方向遮蔽用案内レール42内を通ってその先端側に案内され、ワイヤ曲返部43で略U字状に曲返されて、再度上下方向遮蔽用案内レール42内を通ってその基端側に案内されている。他方のワイヤ48は、上下方向遮蔽用案内レール42内を通ってその基端側に案内されている。両ワイヤ47,48は、上下方向遮蔽用案内レール42の基端側開口を通って外方に延出され、共通駆動機構80に向けて引出されている。そして、共通駆動機構80によって、ワイヤ47,48を選択的に引張ることによって、上下方向遮蔽用可動部材44が引出し方向及び収納方向に移動する。ここでは、ワイヤ48を繰出しつつワイヤ47側を引張ると、上下方向遮蔽用可動部材44が引出し方向に移動し、ワイヤ47を繰出しつつワイヤ48を引張ると上下方向遮蔽用可動部材44が収納方向に移動する。
【0031】
<水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構>
図4は水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50を示す側面図であり、図5〜図7は水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50の動作を示す説明図である。なお、図4は車室内側から見た状態を示しており、図5〜図7は外側(リアクオーターウインドウ12側)から見た状態を示している。
【0032】
図1、図2、図4〜図7に示すように、水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50は、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52と、水平方向遮蔽用巻取装置56と、水平方向遮蔽用開閉機構60とを備えている。
【0033】
水平方向遮蔽用ウインドウシェード52は、布或は樹脂シート等によりリアクオーターウインドウ12を遮蔽可能な形状に形成されている。ここでは、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52は、先端部を丸めた略三角形状に形成されている。水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の先端部には、樹脂等によって形成された略棒状のクオーター用ステイ54が取付けられている。
【0034】
水平方向遮蔽用巻取装置56は、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を略水平方向に沿って引出し収納可能に巻取っている。すなわち、水平方向遮蔽用巻取装置56は、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を巻取可能な巻取軸を有しており、当該巻取軸は図示省略のコイルバネ等によって水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を巻取る方向に付勢されている。そして、上記クオーター用ステイ54を引張ると、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52が水平方向遮蔽用巻取装置56から引出されて、リアクオーターウインドウ12を覆うようになる。また、クオーター用ステイ54を引張る力を解除すると、巻取軸の巻取方向への付勢力によって水平方向遮蔽用ウインドウシェード52が巻取収納されるようになっている。また、この水平方向遮蔽用巻取装置56は、車両後ろ側の上記上下方向遮蔽用案内レール42に、当該上下方向遮蔽用案内レール42に沿って取付固定されている。そして、水平方向遮蔽用巻取装置56は、上下方向遮蔽用案内レール42と共にリアクオーターウインドウ12の車両前方側のピラーに組込まれて、リアクオーターウインドウ12の前方側縁部に沿って配設される。これにより、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52がリアクオーターウインドウ12に対して、略水平方向に沿って引出し収納可能に覆う構成とされる。
【0035】
水平方向遮蔽用開閉機構60は、案内支持機構62と、アーム70とを備えている。そして、案内支持機構62により、前記アーム70を姿勢変更させつつ移動させることで、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を引出し及び収納する構成とされている。
【0036】
より具体的には、案内支持機構62は、水平方向遮蔽用可動部材64と案内レール66(案内経路)とを有している。
【0037】
案内レール66は、水平方向遮蔽用可動部材64を、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し収納方向に沿って移動可能に支持可能に構成されている。ここでは、案内レール66は、略筒状(略角筒状)に形成されており、一側面(ここでは、車外に向く側の面)に案内レール66の長手方向に沿って延びるスリット66Sが形成されている。案内レール66の一端部は、上記後ろ側の上下方向遮蔽用案内レール42の基端部にブラケット等を介して固定されている。これにより、案内レール66は上下方向遮蔽用案内レール42の基端部から略水平姿勢で固定されている。そして、案内レール66は、上下方向遮蔽用案内レール42等と共に車両に組込まれ、車体のうちリアクオーターウインドウ12の下方部分に、当該リアクオーターウインドウ12の下縁部に沿って配設されるようになっている。
【0038】
可動部材としての水平方向遮蔽用可動部材64は、上記案内レール66によって水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し収納方向に沿って移動可能に支持されている。ここでは、水平方向遮蔽用可動部材64は、可動本体部64aとアーム支持部64bとが一体化された構成とされている。可動本体部64aは、案内レール66内に移動可能に配設され、アーム支持部64bは上記スリット66Sを介して案内レール66の側方に露出している。このアーム支持部64bは、アーム70を姿勢変更可能に支持する部分であり、具体的構成についてはさらに後に詳述する。
【0039】
また、水平方向遮蔽用開閉機構60は、上記水平方向遮蔽用可動部材64に連結されると共に案内レール66に沿って移動可能に配設された線状ラック歯部材68を有している。線状ラック歯部材68は、樹脂等、可撓性を有しかつ押込まれた場合に容易に屈曲しない線状部材により構成されており、その一面に凹凸が直線状に連なるように複数の歯が形成されている。この線状ラック歯部材68の一端部は、上記水平方向遮蔽用可動部材64に挟み込み、ねじ止等の固定構造によって連結固定されている。また、線状ラック歯部材68は、案内レール66内を通ってその基端側開口を通って外方に延出しており、その長手方向に沿って移動可能に配設されている。
【0040】
そして、線状ラック歯部材68を後述する駆動機構によってその長手方向に沿って進退駆動することによって、水平方向遮蔽用可動部材64が移動し、これに伴い次述するアーム70によって水平方向遮蔽用ウインドウシェード52が引出し及び収納されるようになっている。つまり、別の捉え方をすれば、水平方向遮蔽用開閉機構60は、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し収納方向に沿って移動可能な水平方向遮蔽用可動部材64に連結された線状ラック歯部材68をその長手方向に沿って往復移動させることで、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を引出し及び収納可能に構成されている。
【0041】
アーム70は、金属或は樹脂等により長尺状に、ここでは、細長板状に形成されている。アーム70の一端部は、上記水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し側端部のクオーター用ステイ54にピンP1を介して回転自在に連結されたシェード連結部分71とされている。
【0042】
また、アーム70の長手方向下端近傍部は、上記水平方向遮蔽用可動部材64のアーム支持部64bにピンP2を介して回転自在に連結されている。ここで、水平方向遮蔽用可動部材64には、アーム70の姿勢変更を規制する規制突部64pが形成されている。規制突部64pは、上記シェード連結部分71を水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の収納方向側に位置させた第1姿勢と、シェード連結部分71を水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し方向側に位置させた第2姿勢との間で姿勢変更可能に規制する。ここでは、規制突部64pは、ピンP2よりも収納方向側に形成された突部であり、アーム70のうちピンP2よりもシェード連結部分71側の一側面に当接して第1姿勢に規制する第1当接面64p1と、ピンP2を挟んで第1当接面64p1の反対側の一側面に当接して第2姿勢に規制する第2当接面64p2とを有している。
【0043】
上記第1姿勢は、アーム70を水平方向遮蔽用巻取装置56に沿わせた姿勢である(図5及び図6参照)。従って、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を収納した状態では、アーム70は水平方向遮蔽用巻取装置56に沿って配設され、外観上目立たないようになっている。そして、この状態から、水平方向遮蔽用可動部材64を移動させることで、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を引出すことができる。
【0044】
また、第2姿勢は、前記第1姿勢を基準にして、シェード連結部分71を水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し方向側に傾けた姿勢である(図7参照)。水平方向遮蔽用可動部材64の移動方向において、水平方向遮蔽用可動部材64に対するシェード連結部分71の位置は、第1姿勢の場合よりも第2姿勢の場合において、より引出し方向側に位置する。このため、水平方向遮蔽用可動部材64の移動距離以上に大きな距離でシェード連結部分71を移動させて、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52をより大きく引出すことができる。なお、巻取装置56の巻取軸に作用する付勢力によって、アーム70は第1姿勢側に規制される(特にアーム70の移動中)。
【0045】
もっとも、アーム70は、第1姿勢側に規制されればよく、第2姿勢側への規制は必須ではない。また、第1規制側で規制する構成は上記例に限られず、アーム70の他の種々箇所に当接する等して姿勢変更を規制できればよい。
【0046】
また、アーム70のうち水平方向遮蔽用可動部材64への支持部分であるピンP2を挟んで、上記シェード連結部分71とは反対側に第1ギヤ72が設けられると共に、案内レール66の引出し方向端部側に第2ギヤ76が設けられている。そして、水平方向遮蔽用可動部材64が案内レール66に沿って水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し方向端部に向う経路において、第1ギヤ72と第2ギヤ76とが噛合してアーム70を第1姿勢から第2姿勢に向けて姿勢変更させる構成とされている。
【0047】
より具体的には、第1ギヤ72は、アーム70のうち上記シェード連結部分71とは反対側の端部に設けられており、ピンP2を略中心とする弧状ギヤに形成されている。
【0048】
また、第2ギヤ76は、案内レール66のうちウインドウシェード52の引出し方向端部側に設けられており、当該案内レール66に沿って延びるラック歯76aを有している。ラック歯76aは、案内レール66側に向いており、案内レール66の収納方向側の領域を除いて引出し方向側の領域に存在している。そして、水平方向遮蔽用可動部材64が引出し方向側に移動する途中で、第1ギヤ72と第2ギヤ76とが噛合し始め(図6参照)、水平方向遮蔽用可動部材64が引出し方向の終端に達するまで、その噛合状態が維持されるようになっている(図7参照)。なお、ここでは、第2ギヤ76は、案内レール66の端部にブラケット等を介して固定されているが、第2ギヤ76の取付箇所は、案内レール66自体に限られず、車体等、他の部分であってもよい。
【0049】
もっとも、第1ギヤ72は、厳密にピンP2を中心とする弧状ギヤである必要はなく、また、第2ギヤ76も厳密に案内レール66と平行である必要はない。例えば、第2ギヤが案内レール66に対して傾斜しており、また、第1ギヤが当該第2ギヤの傾斜に応じてピンP2からの距離を変えた弧状のギヤであってもよい。
【0050】
上記アーム70の動作について説明する。水平方向遮蔽用ウインドウシェード52が収納された初期状態では、アーム70は第1姿勢であり、また、第1ギヤ72と第2ギヤ76とは噛合していない(図5参照)。
【0051】
上記状態から水平方向遮蔽用可動部材64が案内レール66に沿って水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し方向側に向う途中までは、アーム70は第1姿勢に規制されたままで、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を引出す(図5から図6に至る状態)。そして、水平方向遮蔽用可動部材64が引出し方向側に向う途中で、第1ギヤ72と第2ギヤ76とが噛合する(図6参照)。水平方向遮蔽用可動部材64がさらに前記引出し方向側に向うと、第1ギヤ72と第2ギヤ76との噛合によって、第2ギヤ76が水平方向遮蔽用可動部材64に対して相対的に収納方向側に移動し、アーム70は第1姿勢から第2姿勢に向けて姿勢変更する。これにより、シェード連結部分71は水平方向遮蔽用可動部材64に対して相対的に引出し方向側に移動する。従って、水平方向遮蔽用可動部材64の移動距離よりも大きく水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を引出すことができる。また、この状態では、第1ギヤ72と第2ギヤ76とは噛合した状態のままで維持され、アーム70の揺れは抑制されている。
【0052】
また、逆に、水平方向遮蔽用可動部材64が案内レール66に沿って水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の収納方向側に向う途中までは、第1ギヤ72と第2ギヤ76とは噛合している。このため、アーム70は、第2姿勢から第1姿勢に姿勢変更される。そして、水平方向遮蔽用可動部材64がさらに収納方向側に移動すると、上記初期状態に復帰する。
【0053】
<共通駆動機構>
図8は共通駆動機構80を示す要部側面図であり、図9は共通駆動機構80を示す要部斜視図であり、図10は共通駆動機構80の内部構造を示す説明図である。
【0054】
図1、図2、図8〜図10に示すように、共通駆動機構80は、上記上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構30及び水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50を、引出し及び収納駆動可能に構成されている。ここでは、共通駆動機構80は、上記駆動用ワイヤ46を引張ることで上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構30を引出し及び収納駆動し、線状ラック歯部材68を進退往復移動させることで水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50を引出し及び収納駆動する。
【0055】
すなわち、共通駆動機構80は、プーリー体82と、ギヤ体86と、回転駆動部材88とを有しており、金属板及び樹脂部品等を用いた取付部材81aを介して上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構30と水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50との間部分、より具体的には、水平フレーム41に取付固定されている。もっとも、本共通駆動機構80は、水平フレーム41等に固定される必要はなく、案内レール66或は車体等に取付固定されていてもよい。また、上記プーリー体82及びギヤ体86は、取付部材81aに組込まれた状態で樹脂等により形成されたカバー81bにより覆われている。図9ではかかるカバー81bを省略した状態を示している。
【0056】
上記回転駆動部材88は、直流モータ等、正逆両方向に回転駆動制御可能な回転駆動源であり、取付部材81aに対してねじ止等により構成されている。
【0057】
プーリー体82は、大径プーリー体82aと、小径プーリー体82bとを有しており、これらは上記回転駆動部材88により回転駆動される駆動軸上で隣接して一体化されている。そして、回転駆動部材88の駆動によって同期して正逆両方向に回転駆動可能とされている。なお、前記駆動軸は、回転駆動部材88自体の駆動軸と同じであってもよいし、或は、他の変速ギヤ、プーリー等を介して回転駆動部材88自体の駆動軸に連結された構成であってもよい。
【0058】
上記一対の上下方向遮蔽用案内レール42のうち上下方向遮蔽用可動部材44の移動距離が大きいもの(つまり、車両前側のもの)より引出される駆動用ワイヤ46が、大径プーリー体82aに巻掛けられている。また、上記一対の上下方向遮蔽用案内レール42のうち上下方向遮蔽用可動部材44の移動距離が小さいもの(つまり、車両後ろ側のもの)より引出される駆動用ワイヤ46が小径プーリー体82bに巻掛けられている。そして、プーリー体82の回転駆動によって、各駆動用ワイヤ46の両端側のいずれか一方側が選択的に引張られ、他方側が繰出されることにより、上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構30の上下方向遮蔽用可動部材44が上下移動し、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32が引出し及び巻取り駆動されるようになっている。また、この際、大径プーリー体82a及び小径プーリー体82bの直径比は、2つの上下方向遮蔽用案内レール42の移動距離比に応じた値に設定されている。これにより、大径プーリー体82a及び小径プーリー体82bを一体回転させることで、2つの上下方向遮蔽用可動部材44がそれぞれの所定の移動経路の端部間(上端部と下端部との間)を移動でき、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32を略完全に遮蔽及び開放できるようになっている。
【0059】
また、ギヤ体86は、上記線状ラック歯部材68に噛合可能な円形歯車に形成されている。このギヤ体86は、上記プーリー体82と一体化されると共に、上記回転駆動部材88により回転駆動される駆動軸に連結されている。ギヤ体86、大径プーリー体82a、小径プーリー体82bは当初から樹脂等にて一体形成されたものであってもよいし、それらが適宜分割して形成された後、一体的に組合わされた構成であってもよい。そして、ギヤ体86は、プーリー体82と一体となって同期して回転駆動されるようになっている。
【0060】
上記線状ラック歯部材68は、案内レール66の基端側開口を通って延出され、本共通駆動機構80に導かれている。共通駆動機構80は、線状ラック歯部材68を案内する第1ラック歯案内部90と第2ラック歯案内部92とを有している。第1ラック歯案内部90は、線状ラック歯部材68を案内可能な角筒状で途中が曲った形状に形成され、一端側が案内レール66の基端側開口に対向すると共に、他端側が上記ギヤ体86に向いている。また、第2ラック歯案内部92は、直線状の角筒状で、その一端側がギヤ体86を挟んで上記第1ラック歯案内部90の他端側開口に対向している。そして、線状ラック歯部材68が、第1ラック歯案内部90を通ってギヤ体86の周面に押付けられつつ第2ラック歯案内部92に向けて案内されている。これにより、第1ラック歯案内部90と第2ラック歯案内部92との間で、線状ラック歯部材68がギヤ体86に噛合するようになっている。
【0061】
そして、回転駆動部材88の駆動によりギヤ体86を回転させると、線状ラック歯部材68がその長手方向に沿って両方向に往復進退駆動される。線状ラック歯部材68を案内レール66に沿って水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し方向側に移動させると、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52が引出され、逆に、線状ラック歯部材68を収納方向側に移動させると、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52が収納されるようになっている。
【0062】
なお、上記第2ラック歯案内部92に、線状ラック歯部材68が所定長以上移動すると押されてオンになるマイクロスイッチ等のスイッチを設けておくとよい。そして、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52が完全に巻取られた状態で当該スイッチがオンになるように設定し、そのスイッチがオンになることによる上記回転駆動部材88の回転を停止させるようにするとよい。
【0063】
また、ここでは、プーリー体82とギヤ体86とが一体化されているが、必ずしもその必要はなく、別々の駆動部(モータ等)によって駆動される構成であってもよいし、また、同じ駆動部によって駆動される場合であっても間に適宜回転伝達機構を介在させる等して別々の回転軸周りで回転駆動される構成であってもよい。
【0064】
また、ここでは、上記上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構30及び水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50を、単一の駆動機構によって駆動する例で説明したが、それらを別々の駆動機構によって駆動するようにしてもよい。
【0065】
<全体動作>
この車両用ウインドウシェード装置20の全体動作について説明する。
【0066】
まず、初期状態では、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32及び水平方向遮蔽用ウインドウシェード52は、収納された状態となっている(図2参照)。
【0067】
この状態で、回転駆動部材88を所定方向に回転駆動すると、プーリー体82の回転により駆動用ワイヤ46の一方端側が引張られ、上下方向遮蔽用可動部材44が上方に移動する。これにより、ステイ34が上方に引張られ、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32が引出される。
【0068】
これと同期して、ギヤ体86の回転により線状ラック歯部材68が案内支持機構62側に送出される。すると、水平方向遮蔽用可動部材64が案内レール66に沿って引出し方向側に移動を開始し、第1姿勢のアーム70を介して水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を引出す。その途中で、第1ギヤ72と第2ギヤ76とが噛合すると(図6参照)、アーム70を第1姿勢から第2姿勢に向けて姿勢変更させつつ、水平方向遮蔽用可動部材64がさらに引出し方向側に移動する。水平方向遮蔽用可動部材64が案内レール66に沿って引出し方向側の終端に達した状態では、アーム70は第2姿勢に姿勢変更し、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52は最大限引出された状態となっている。また、この状態では、第1ギヤ72と第2ギヤ76とは噛合した状態のままで維持され、アーム70は第2姿勢のまま維持されている。
【0069】
この後、回転駆動部材88の回転が停止して、上下方向遮蔽用ウインドウシェード32及び水平方向遮蔽用ウインドウシェード52が引出された状態に保たれる。
【0070】
なお、回転駆動部材88を上記とは逆方向に回転させると、上記と逆の動作によって上下方向遮蔽用ウインドウシェード32及び水平方向遮蔽用ウインドウシェード52が収納される。
【0071】
以上のように構成された車両用ウインドウシェード装置20によると、水平方向遮蔽用可動部材64を案内レール66に沿って水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の引出し方向端部に向う途中から当該引出し方向側端部に至る経路において、第2ギヤ76が第1ギヤ72と噛合してアーム70を第1姿勢から第2姿勢に向けて姿勢変更させている。このため、水平方向遮蔽用可動部材64の移動距離よりも大きく、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を引出すことができる。そして、水平方向遮蔽用可動部材64を引出した状態では、第1ギヤ72と第2ギヤ76とが噛合した状態のままで維持されるため、アーム70の姿勢が一定姿勢に保たれ、その揺れが維持される。これにより、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52を引出した状態に安定して維持することができ、水平方向遮蔽用ウインドウシェード52の微妙な開き、或は、ガタガタ音の発生等を抑制できる。
【0072】
また、水平方向遮蔽用可動部材64が前記引出し方向側端部に移動した状態で、第1ギヤ72が弧状ギヤであり、第2ギヤ76が案内レール66に沿って延びるラック歯であるため、水平方向遮蔽用可動部材64の移動中及び引出し方向側端部に達した状態で、第1ギヤ72と第2ギヤ76とを安定して噛合させた状態に維持することができる。
【0073】
また、案内レール66に沿って配設された線状ラック歯部材68によって水平方向遮蔽用可動部材64を移動させているため、案内支持機構62及び水平方向遮蔽用可動部材64を移動させるための構成をコンパクト化することが可能となる。
【0074】
また、引出し収納方向が略水平方向である水平方向遮蔽用ウインドウシェード52については、線状ラック歯部材68を用いて駆動することでコンパクト化を図ることができる。特に、リアクオーターウインドウ12の周縁部は車両の後部であるが故にスペース的な制約が大であるため、コンパクト化を図ることによるメリットが大きい。また、引出し収納方向が略上下方向である上下方向遮蔽用ウインドウシェード32については、駆動用ワイヤ46を用いて比較的強い力によって駆動することができる。このように、シェード32、52の引出し収納態様に応じて適切な構成を組込むことができる。しかも、これらの線状ラック歯部材68及び駆動用ワイヤ46を、共通駆動機構80によって共通駆動しているため、全体構成のコンパクト化を図ることができる。
【0075】
{変形例}
なお、上記実施形態では、上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構30と水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50とを双方備えた構成で説明したが、水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50及びその駆動部分だけを組込んだ構成であっても、上記アーム70を用いた効果を得ることができる。
【0076】
また、水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構50には必ずしも上記アーム70を用いた構成を採用する必要はない。この場合であっても、駆動用ワイヤを用いた上下方向遮蔽用開閉機構と、線状ラック歯部材を用いた水平方向遮蔽用開閉機構と、共通駆動機構とを用いることによる、上記効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0077】
10 リアサイドウインドウ
12 リアクオーターウインドウ
20 車両用ウインドウシェード装置
30 上下方向遮蔽用ウインドウシェード機構
32 上下方向遮蔽用ウインドウシェード
36 上下方向遮蔽用巻取装置
40 上下方向遮蔽用開閉機構
42 上下方向遮蔽用案内レール
44 上下方向遮蔽用可動部材
46 駆動用ワイヤ
50 水平方向遮蔽用ウインドウシェード機構
52 水平方向遮蔽用ウインドウシェード
56 水平方向遮蔽用巻取装置
60 水平方向遮蔽用開閉機構
62 案内支持機構
64 水平方向遮蔽用可動部材
64p 規制突部
66 案内レール
68 線状ラック歯部材
70 アーム
71 シェード連結部分
72 第1ギヤ
76 第2ギヤ
80 共通駆動機構
82 プーリー体
82a 大径プーリー体
82b 小径プーリー体
86 ギヤ体
88 回転駆動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、
前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、
前記ウインドウシェードを引出し収納可能に巻取る巻取装置と、
前記ウインドウシェードの引出し収納方向に沿った案内経路を有し、その案内経路に沿って移動可能に支持された可動部材を有する案内支持機構と、
一端が前記ウインドウシェードの引出し側端部に連結されたシェード連結部分とされると共に、他端が前記可動部材に回転可能に支持され、前記シェード連結部分を前記ウインドウシェードの収納方向側に位置させた第1姿勢と前記シェード連結部分を前記ウインドウシェードの引出し方向側に位置させた第2の姿勢との間で姿勢変更可能なアームと、
を備え、
前記アームのうち前記可動部材への支持部分を挟んで前記シェード連結部分とは反対側に第1ギヤが設けられ、
前記可動部材が前記案内経路に沿って前記ウインドウシェードの引出し方向端部に向う途中から前記ウインドウシェードの引出し方向端部に至る経路において、前記第1ギヤと噛合して前記アームを前記第1姿勢から前記第2姿勢に向けて姿勢変更させる第2ギヤが設けられている、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記第1ギヤは、前記アームのうち前記可動部材への支持部分を略中心とする弧状ギヤであり、
前記第2ギヤは、前記案内経路のうち前記ウインドウシェードの引出し方向端部側に設けられ、前記案内経路に沿って延びるラック歯である、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記可動部材に連結されると共に前記案内経路に沿って移動可能に配設された線状ラック歯部材と、
前記線状ラック歯部材のラック歯に噛合して前記線状ラック歯部材をその長手方向に沿って往復駆動する駆動機構と、
をさらに備える、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記巻取装置は、前記ウインドウシェードを略水平方向に沿って引出し収納可能に構成され、
前記可動部材に連結されると共に前記案内経路に沿って移動可能に配設された線状ラック歯部材をさらに備え、
前記ウインドウに隣接して設けられた別のウインドウを遮蔽可能な上下方向遮蔽用ウインドウシェードと、
上下方向遮蔽用ウインドウシェードを略上下方向に沿って引出し収納可能に巻取る上下方向遮蔽用巻取装置と、
前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードの引出し収納方向に沿って移動可能な上下方向遮蔽用可動部材から延出する駆動用ワイヤの両端側を選択的に引張ることで、前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードを引出し及び収納する上下方向遮蔽用開閉機構と、
前記駆動用ワイヤの両端側を選択的に引張り駆動可能なように前記駆動用ワイヤが巻きかけられたプーリー体と、前記線状ラック歯部材のラック歯に噛合可能なギヤ体と、前記プーリー体と前記ギヤ体とを回転駆動する回転駆動部材とを有する共通駆動機構と、
をさらに備える車両用ウインドウシェード装置。
【請求項5】
車両に隣接して設けられた第1ウインドウ及び第2ウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、
前記第1ウインドウを遮蔽可能な上下方向遮蔽用ウインドウシェードと、
前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードを略上下方向に沿って引出し収納可能に巻取る上下方向遮蔽用巻取装置と、
前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードの引出し収納方向に沿って移動可能な上下方向遮蔽用可動部材から延出する駆動用ワイヤの両端側を選択的に引張ることで、前記上下方向遮蔽用ウインドウシェードを引出し及び収納する上下方向遮蔽用開閉機構と、
前記第2ウインドウを遮蔽可能な水平方向遮蔽用ウインドウシェードと、
前記水平方向遮蔽用ウインドウシェードを略水平方向に沿って引出し収納可能に巻取る水平方向遮蔽用巻取装置と、
前記水平方向遮蔽用ウインドウシェードの引出し収納方向に沿って移動可能な水平方向遮蔽用可動部材に連結された線状ラック歯部材をその長手方向に沿って往復移動させることで、前記水平方向遮蔽用ウインドウシェードを引出し及び収納する水平方向遮蔽用開閉機構と、
前記駆動用ワイヤの両端側を選択的に引張り駆動可能なように前記駆動用ワイヤが巻きかけられたプーリー体と、前記線状ラック歯部材のラック歯に噛合可能なギヤ体と、前記プーリー体と前記ギヤ体とを回転駆動する回転駆動部材とを有する共通駆動機構と、
を備える車両用ウインドウシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−136615(P2011−136615A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296842(P2009−296842)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)