車両用ウインドウシェード装置
【課題】ウインドウシェードの巻取に連動して蓋をより完全に閉じること。
【解決手段】車両用ウインドウシェード装置10は、サイドウインドウ1を遮蔽可能なウインドウシェード12と、ウインドウシェード12に取り付けられた引出部材20と、ウインドウシェード12を引出収納可能に巻き取る巻取装置30と、引出部材20を配設可能な間隙部44を有し、巻取装置30を内部に収容するケース40と、引出部材20が通過可能な引出用スリット46を有するフレーム45とを備える。さらに、本装置は、引出用スリット46を開閉可能に設けられた蓋60と、蓋60を閉じる方向に付勢する第1付勢部材68と、蓋60を開姿勢にする押し開け位置と退避位置との間で移動可能に設けられ、引出部材20の移動経路上の収納方向側に位置する受け部74を有するスライダー70と、スライダー70を押し開け位置側に付勢する第2付勢部材78とを備える。
【解決手段】車両用ウインドウシェード装置10は、サイドウインドウ1を遮蔽可能なウインドウシェード12と、ウインドウシェード12に取り付けられた引出部材20と、ウインドウシェード12を引出収納可能に巻き取る巻取装置30と、引出部材20を配設可能な間隙部44を有し、巻取装置30を内部に収容するケース40と、引出部材20が通過可能な引出用スリット46を有するフレーム45とを備える。さらに、本装置は、引出用スリット46を開閉可能に設けられた蓋60と、蓋60を閉じる方向に付勢する第1付勢部材68と、蓋60を開姿勢にする押し開け位置と退避位置との間で移動可能に設けられ、引出部材20の移動経路上の収納方向側に位置する受け部74を有するスライダー70と、スライダー70を押し開け位置側に付勢する第2付勢部材78とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載される車両用ウインドウシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される車両用ウインドウシェード装置として特許文献1に開示のものがある。特許文献1では、ウインドウシェードシートを引き出すための引出スリットに回転可能な蓋が取り付けられている。この蓋は、圧縮ばねにより開放状態に付勢されている。また、ウインドウシェードシートに結合された作動要素のオーバーストロークによって作動アームを動かすことによって、蓋を閉めるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−136881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、ウインドウシェードシートの巻き取り時に、作動要素が作動アームを押すことで蓋を閉じる構成としているため、ウインドウシェードシートの位置と蓋の位置とが略1対1で連動している。このため、ウインドウシェードシートの完全巻取位置と、蓋の全閉位置とがずれてしまうと、ウインドウシェードシートを完全に巻き取った場合にも、蓋が全閉しないといった問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、ウインドウシェードの巻取に連動して蓋をより完全に閉じることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、前記ウインドウシェードの引出方向側端部に取り付けられた引出部材と、前記ウインドウシェードを引出収納可能に巻き取る巻取装置と、前記引出部材を配設可能な間隙部を有し、前記巻取装置を内部に収容するケースと、前記間隙部の前記引出方向側に設けられて前記引出部材が通過可能な引出用スリットを有するフレームと、前記引出用スリットを開閉可能に設けられた蓋と、前記蓋を閉じる方向に付勢する第1付勢部材と、前記蓋を押して開姿勢にする押し開け位置と前記蓋から離間する退避位置との間で移動可能に設けられ、前記引出用スリットより収納方向側における前記引出部材の移動経路上の収納方向側に位置する受け部を有するスライダーと、前記第1付勢部材の付勢力より大きい付勢力に設定され、前記スライダーを前記押し開け位置側に付勢する第2付勢部材と、を備える。
【0007】
第2の態様は、第1の態様に係る車両用ウインドウシェードであって、前記蓋は、前記ケース又は前記フレームに回転可能に支持され、前記スライダーは、前記蓋に対して摺接する摺接部を有する。
【0008】
第3の態様は、第2の態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記蓋は、回転軸に直交する平面上に前記スライダーの前記摺接部を案内する摺接規制部を有する。
【発明の効果】
【0009】
第1の態様に係る車両用ウインドウシェードによると、引出用スリットを開閉可能に設けられた蓋を第1付勢部材によって閉じる方向に付勢すると共に、蓋を開姿勢にする押し開け位置と蓋から離間する退避位置との間で移動可能に設けられ、引出部材の移動経路上の収納方向側に位置する受け部を有するスライダーを、第2付勢部材によって第1付勢部材の付勢力より大きい付勢力で押し開け位置に付勢するため、ウインドウシェードの収納時に、スライダーが退避位置に移動される前に蓋は第1付勢部材の付勢力により閉姿勢に姿勢変更するため、ウインドウシェードシートの収納状態における引出部材の位置の誤差に影響されることなく、ウインドウシェードの巻取に連動して蓋をより完全に閉じることができる。
【0010】
第2の態様に係る車両用ウインドウシェード装置によると、蓋がケース又はフレームに回転可能に支持されると共に、スライダーが蓋に対して摺接する摺接部を有する比較的簡易な構成により、ウインドウシェードの引出及び収納動作に伴って蓋の開閉を行うことができる。
【0011】
第3の態様に係る車両用ウインドウシェード装置によると、蓋が、回転軸に直交する平面上にスライダーの摺接部を案内する摺接規制部を有するため、蓋に対する摺接位置を規制することができ、蓋に対してより確実に開方向への力を作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】車両用ウインドウシェード装置の正面図である。
【図2】蓋の開姿勢における蓋の開閉機構を示す斜視図である。
【図3】蓋の閉姿勢における蓋の開閉機構を示す斜視図である。
【図4】蓋の開姿勢における蓋の開閉機構を車内側から見た外観斜視図である。
【図5】蓋の閉姿勢における蓋の開閉機構を車内側から見た外観斜視図である。
【図6】蓋の開姿勢における蓋の開閉機構を車外側から見た外観斜視図である。
【図7】蓋の閉姿勢における蓋の開閉機構を車外側から見た外観斜視図である。
【図8】スライダーの支持態様を示す図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】車両用ウインドウシェード装置の動作図である。
【図11】車両用ウインドウシェード装置の動作図である。
【図12】車両用ウインドウシェード装置の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係る車両用ウインドウシェード装置10について説明する(図1参照)。
【0014】
本車両用ウインドウシェード装置10は、自動車等の車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う装置である。ここでは、車両用ウインドウシェード装置10をリアサイドドアのサイドウインドウ1を覆う例で説明する。もっとも、車両用ウインドウシェード装置10は、荷室側方等の車体部分に設けられるサイドウインドウ、リアウインドウ等に適用してもよい。
【0015】
また、ここでは、サイドウインドウ1は、図1に示すように、上端縁部が曲線条に形成され、下端縁部に対して全体として傾斜した形状であるものとする。なお、サイドウインドウ1の下端縁部及び上端縁部とは、窓枠の各側縁部を言い、窓ガラスの開閉状態には依存しないものとする。
【0016】
車両用ウインドウシェード装置10は、サイドウインドウ1の一側縁部に沿って延在するトリム5部分に組み込まれている(図10参照)。ここでは、車両用ウインドウシェード装置10は、サイドウインドウ1の下方に設けられたトリム5の上部に組み込まれている。そして、車両用ウインドウシェード装置10において、ウインドウシェード12がサイドウインドウ1の車内側面に沿って引き出されることにより、ウインドウシェード12がサイドウインドウ1を遮蔽する。
【0017】
<ウインドウシェードの引出収納構造>
この車両用ウインドウシェード装置10は、ウインドウシェード12と、ステイ22を有する引出部材20と、収容部と、巻取装置30とを備えている。
【0018】
ウインドウシェード12は、サイドウインドウ1を遮蔽する部材である。このウインドウシェード12は、メッシュ状の布、樹脂シート等の材料を裁断、縫製等して形成されたシート状の部材である。このウインドウシェード12は、伸縮性を有する材料により形成されていてもよい。より具体的には、ウインドウシェード12は、遮蔽対象となるサイドウインドウ1と略同じ大きさ及び形状に形成され、該サイドウインドウ1を全体的に遮蔽可能になっている。もっとも、ウインドウシェード12は、遮蔽対象となるサイドウインドウ1の一部を遮蔽する形状及び大きさ、又は、複数のウインドウを一括して遮蔽可能な形状及び大きさに形成されていてもよい。
【0019】
上記ウインドウシェード12は、収容部内に配設された巻取装置30により巻き取られており、引出方向側端部にステイ22が取り付けられている。概略的に説明すると、巻取装置30に巻き取られたウインドウシェード12に取り付けられたステイ22を引出収納方向に移動させることにより、ウインドウシェード12を収容部に対して引出又は収納することができる。ここで、引出方向側端部とは、ウインドウシェード12がサイドウインドウ1を遮蔽する状態における上側端部である。また、引出収納方向とは、サイドウインドウ1に沿った方向であって、サイドウインドウ1の下端縁部と上端縁部とを結ぶ方向を示す。
【0020】
ステイ22は、ウインドウシェード12の引出方向側端部の形状及び長さ寸法に対応した長尺棒状の部材である。より具体的には、ステイ22は、サイドウインドウ1の上端縁部に沿った曲線条に形成されている。また、ステイ22は、ウインドウシェード12に沿って扁平となる形状に形成されている。
【0021】
また、ステイ22は、長手方向端部に出退部24を有し、全体として長手方向に伸縮可能に構成されている。ステイ22の伸縮可能な構成については、ウインドウシェード12の駆動機構の構成と併せて説明する。
【0022】
巻取装置30は、ウインドウシェード12を引出収納可能に巻き取るように構成されている。より具体的には、巻取装置30は、巻取シャフト32が図示省略の支持軸部に対して回転可能に支持されると共に支持軸部に対して図示省略のコイルバネにより回転付勢可能に連結されて構成されている。この巻取シャフト32には、ウインドウシェード12の収納方向側端部が固定されている。
【0023】
収容部は、長尺に形成され、サイドウインドウ1の下方に設けられたトリム5の上部に、サイドウインドウ1の下端縁部に沿って組み込まれている(図1、図10参照)。この収容部は、ケース40と、フレーム45とを有する。
【0024】
ケース40は、巻取装置30を内部に配設可能な巻取収容部42と、ウインドウシェード12の引出収納方向に沿った間隙部44とを有する。ケース40は、長尺方向に沿って開口する間隙部44の奥側に巻取収容部42が連続して設けられた長尺部材である。また、ここでは、ケース40は、巻取収容部42及び間隙部44とが一体として形成され、その長手方向両端部に取り付けられた端部部材としての一対のホルダー部35を有している(図4〜図7参照)。
【0025】
巻取収容部42は、ウインドウシェード12を巻き取った状態の巻取装置30を収納可能な内部空間を有する形状に形成されている(図2参照)。そして、巻取装置30は、支持軸部が該巻取収容部42に対して回転不能に支持されることにより、ウインドウシェード12を巻取可能に巻取収容部42内に配設されている。より具体的には、ケース40は、一対のホルダー部35により巻取装置30の支持軸部の両端部を支持している。
【0026】
また、間隙部44は、巻取収容部42の内部空間に連通し、ステイ22を配設可能な内部空間を有する形状に形成されている。より具体的には、間隙部44の内部空間は、巻取収容部42より狭く、且つ、扁平形状に形成されたステイ22の厚さ寸法より大きく(ここでは僅かに大きく)設定されている。
【0027】
このケース40は、例えば、金属材料を打抜き及び屈曲して、又は、押出成形して形成される巻取収容部42及び間隙部44が一体となった本体部と、本体部の長手方向端部に取り付けられる金属又は樹脂成形品のホルダー部35とが組み合わされて形成されるとよい。
【0028】
フレーム45は、間隙部44の引出方向側に設けられてステイ22が通過可能な引出用スリット46を有する。このフレーム45は、サイドウインドウ1の下方に設けられたトリム5の上部で車内に露出する長尺部材であり、ここでは内装の一部を担っている。また、引出用スリット46は、サイドウインドウ1の下方に設けられたトリム5の上部で、サイドウインドウ1の下端縁部に沿って開口している。この引出用スリット46は、間隙部44の内部空間に対して引出方向側に連通する内部空間を有している。
【0029】
ここでは、フレーム45は、車内外方向に間隔をあけて設けられた2つの長尺部材により構成されている(図2、図3参照)。そして、2つの長尺部材の間に、引出用スリット46が形成されている。この引出用スリット46は、ステイ22の厚さ寸法より大きく、且つ、ケース40の間隙部44と同じかそれより大きい間隔に設定されている。
【0030】
ここで、巻取装置30は、少なくともステイ22が間隙部44内に配設される位置までウインドウシェード12を巻取可能なように、コイルバネの付勢力により巻取シャフト32が回転付勢された状態でケース40の巻取収容部42内に配設されている。そして、ウインドウシェード12は、巻取収容部42内に配設される巻取装置30から間隙部44及び引出用スリット46を通じて引き出される。
【0031】
また、この収容部には、引出用スリット46を開閉可能な蓋60が設けられている。この蓋60は、ウインドウシェード12の引出及び収納に連動して開閉される。蓋60の構造及び動作機構については、後で詳述する。
【0032】
また、本実施形態に係る車両用ウインドウシェード装置10は、ウインドウシェード12を引出及び収納駆動するシェード駆動機構部を備えている(図1参照)。以下、シェード駆動機構部の一例について説明する。このシェード駆動機構部は、一対のガイドレール50と、一対のランナー54と、駆動部58とを有している。概略的に説明すると、シェード駆動機構部は、ステイ22に取り付けられた一対のランナー54を、一対のガイドレール50により移動経路に案内すると共に駆動部58により移動させることにより、ウインドウシェード12を引出及び収納駆動する。
【0033】
ガイドレール50は、サイドウインドウ1の両側縁部(両側方(車両の前後方)の窓枠)に沿って、窓枠内に設けられる長尺部材である(図1参照)。一対のガイドレール50は、サイドウインドウ1の各側縁部に対応した長さ寸法に設定されている。ここでは、車両の前方側縁部の方が後方側縁部より長尺なサイドウインドウ1を遮蔽対象としているため、前方側に設けられるガイドレール50が後方側に設けられるガイドレール50より長尺に設定されている。また、一対のガイドレール50は、それぞれ、基端部がケース40の各ホルダー部35に固定されることにより、サイドウインドウ1の両側縁部に沿った姿勢で支持されている(図4〜図7参照)。
【0034】
一対のランナー54は、ステイ22と共に引出部材20を構成する部材である(図3参照)。一対のランナー54は、ステイ22の両端部に連結されると共に、一対のガイドレール50それぞれに対して長手方向に移動可能に嵌合される部分である。すなわち、一対のランナー54は、一対のガイドレール50に沿って移動されることにより、ステイ22を引出収納方向に移動させる。
【0035】
ここでは、ステイ22は、両端部に長手方向外側に出退可能に設けられた一対の出退部24を有している。すなわち、本車両用ウインドウシェード装置10は、下端縁部に対して上端縁部が傾いた形状のサイドウインドウ1を遮蔽対象としているため、ステイ22を前記上端縁部に沿った姿勢となるように傾けつつ移動させている。より具体的には、一対のランナー54を、それぞれ長さの異なる一対のガイドレール50の先端部まで移動させると、各ランナー54と引出部材20との連結部分同士の間隔が引出時と収納時とで異なる。このため、車両用ウインドウシェード装置10は、ステイ22が長手方向に伸縮する構成を採用している。もっとも、出退部24は、ステイ22の長手方向一方のみに設けられていてもよい。
【0036】
そして、一対のランナー54は、ステイ22に連結される連結部分が各ガイドレール50から突出した状態で、各ガードレール50に沿って移動される。
【0037】
駆動部58は、一対のガイドレール50に沿って図示省略の線条部材を循環移動させる装置である。この線条部材には、各ガイドレール50に嵌合された各ランナー54が取り付けられている。そして、駆動部58が線条部材を循環移動させることにより、一対のランナー54が各ガイドレール50に沿って移動される。これにより、ステイ22が引出収納方向に移動されて、ウインドウシェード12を引出及び収納することができる。
【0038】
ここでは、駆動部58は、一対のランナー54をそれぞれ異なる速度で移動させる。すなわち、駆動部58は、一対のランナー54を、異なる長さの一対のガイドレール50の基端部から移動させ、各ガイドレールの先端部に略同時に到達させるように設定されている。
【0039】
この駆動部58には、図示省略の操作用スイッチ等が接続されているとよい。そして、この操作用スイッチは、サイドドアのトリム5に設けられ、車両に乗車する利用者により操作可能にされているとよい。
【0040】
ウインドウシェード12の引出状態及び収納状態は、引出部材20の停止位置によって決定される。例えば、引出部材20は、一対のランナー54がガイドレール50の長手方向両端部又は停止用の引掛り部分に当接することにより停止されるとよい。また、引出部材20は、ステイ22が収容部に設けられる停止用の引掛り部分に当接することによって、又は、駆動部58による制御によって収納状態の停止位置が決定されてもよい。
【0041】
もっとも、上記シェード駆動機構部の構成は、例示であって、ウインドウシェード12を引出及び収納駆動する他の種々の構成を採用することができる。例えば、車両用ウインドウシェード装置は、ステイ22に取り付けられた棒状部材を引出収納方向に進退駆動する構成、又は、ステイ22を手動で引き出す構成等であってもよい。
【0042】
<蓋の開閉構造>
本車両用ウインドウシェード装置10は、フレーム45の引出用スリット46を開閉可能な蓋60と、この蓋60を開閉する構成として、第1付勢部材68と、スライダー70と、第2付勢部材78とを備えている。
【0043】
蓋60は、引出用スリット46を開閉可能な位置で、ケース40又はフレーム45に回転可能に支持されている(図2、図3参照)。この蓋60は、引出用スリット46を遮蔽可能な長尺板状の本体部62と、回転中心となる回転軸部64とを有している。そして、蓋60は、長手方向がサイドウインドウ1の下端縁部に沿う姿勢で、ケース40に立設された複数の軸支持部48に回転軸部64が支持されることにより、回転可能に設けられる。
【0044】
そして、蓋60は、引出用スリット46をその内側に介在して遮蔽し、ステイ22の移動経路を遮る閉姿勢と、前記移動経路から退避した開姿勢との間で姿勢変更可能に設けられている。より具体的には、蓋60は、閉姿勢では、一主面がフレーム45の車内側部分とほぼ同一平面上(又は同一曲面上)に沿うように設定されている。また、蓋60は、ケース40の間隙部44より車外側で回転軸部64が軸支持部48に支持され、開姿勢では、ウインドウシェード12より車外側(サイドウインドウ1側)に位置する。
【0045】
また、蓋60は、スライダー70の後述する摺接部73を、回転軸部64に直交する平面上の位置に規制する摺接規制部66を有する。摺接規制部66は、本体部62の裏側面から突出し、間隔をあけて回転軸に直交する方向に沿って延在する一対の側壁によって溝状に形成されている。一対の側壁の間隔は、摺接部73の幅寸法と同じかそれより大きく(ここでは僅かに大きく)設定されている。そして、摺接規制部66は、内側に配設されるスライダー70の摺接部73に対して一対の側壁が当接することにより、摺接部73を位置規制する。
【0046】
第1付勢部材68は、上記蓋60を閉じる方向に付勢する部材である。そして、蓋60は、開方向に力が作用しない状態では、第1付勢部材68の付勢力によって閉姿勢に維持される。ここでは、第1付勢部材68は、コイルバネを用いた捻りバネである。もっとも、第1付勢部材は、蓋60を閉じる方向に付勢可能な付勢部材であればよく、ゼンマイバネ等であってもよい。
【0047】
スライダー70は、第1付勢部材68により閉姿勢に維持される蓋60を押して開姿勢に姿勢変更させる。このスライダー70は、蓋60を押して開姿勢にする押し開け位置と蓋60から離間する退避位置との間で移動可能に設けられている(図2、図3参照)。
【0048】
スライダー70は、退避位置から押し開け位置に移動する途中から蓋60に対して摺接する摺接部73と、引出用スリット46より収納方向側における引出部材20の移動経路上の収納方向側に位置する受け部74とを有する。ここでは、スライダー70は、長尺板状の本体部72の基端部から、板状の受け部74が該本体部72に直交する向きに突出した形状に形成されている。そして、本体部72の先端部が摺接部73である(図9参照)。また、本体部72の長手方向中途部には、後述する第2付勢部材78の一端部が取り付けられる一方のバネ取付部76が設けられている。この一方のバネ取付部76は、受け部74とは反対側に突出する矩形板状に形成され、第2付勢部材78の一端部を引掛可能な孔部を有している。ここでは、スライダー70は、合成樹脂材料を一体に射出成型等して形成される。
【0049】
スライダー70は、ケース40のホルダー部35に押し開け位置と退避位置との間で移動可能に支持されている(図8、図9参照)。より具体的には、ホルダー部35は、スライダー70の本体部72を挿通可能な枠状のスライドガイド36を有している。このスライドガイド36は、スライダー70の本体部72の長手方向に直交する断面形状と同じかそれより大きい(ここでは僅かに大きい)内部空間を有している。
【0050】
摺接部73は、スライダー70が退避位置から押し開け位置に移動する途中の位置で、蓋60(摺接規制部66)に接触可能である。そして、摺接部73は、摺接規制部66に接触した位置から押し開け位置に移動するまで、摺接規制部66に摺接しつつ蓋60を押し開けていく。この際、摺接部73は、摺接規制部66の側壁に当接することにより、蓋60に対する長手方向における相対的な位置ずれを抑制される。
【0051】
受け部74は、引出部材20の収納方向側に位置し、収納方向側に移動される引出部材20に当接可能である。ここでは、受け部74は、引出部材20におけるランナー54に当接可能に形成されている。より具体的には、受け部74は、ランナー54のうちガイドレール50から突出する部分の移動経路における収納方向側に位置して、引出方向側を向く面を有する部位を有している。
【0052】
第2付勢部材78は、スライダー70を押し開け位置側に付勢する部材である。この第2付勢部材78は、第1付勢部材68の付勢力より大きい付勢力に設定され、スライダー70に対して収納方向側に力が作用しない状態では、スライダー70を押し開け位置に維持して蓋60を開姿勢に維持する。ここでは、第2付勢部材78は、コイルバネを用いた引張バネである。もっとも、第2付勢部材は、スライダー70を押し開け位置側に付勢可能な付勢部材であればよく、コイルバネ以外のバネを採用してもよいし、引張バネの他に圧縮バネであってもよい。より具体的は、第2付勢部材78は、スライダー70が押し開け位置にあり、蓋60が開姿勢にある状態で、引張状態で設けられ、第1付勢部材68の付勢力より大きい付勢力を発揮するように設定されている。
【0053】
第2付勢部材78は、一端部がスライダー70の一方のバネ取付部76に固定され、他端部がホルダー部35の他方のバネ取付部38に固定されている。ホルダー部35の他方のバネ取付部38は、スライドガイド36の一方の側壁に対して間隔をあけて設けられた壁状の部分である。そして、第2付勢部材78は、他方のバネ取付部38に対して他端部が引掛けられることにより固定される。また、スライドガイド36のうち他方のバネ取付部38側の部分には、スライダー70の一方のバネ取付部76を、他方のバネ取付部38側に露出させるスリット39が形成されている。一方のバネ取付部76は、スライダー70が移動するのに伴って、スリット39内を移動する。
【0054】
そして、スライダー70は、押し開け位置で一方のバネ取付部76がスリット39の基端部に当接し、受け部74に収納方向側への力が作用しない状態では、第2付勢部材78の付勢力によって押し開け位置に維持される。
【0055】
上記蓋60を開閉する構成は、車両用ウインドウシェード装置10の長手方向両側に設けられている。
【0056】
<動作説明>
次に、車両用ウインドウシェード装置10の全体動作について説明する。ここでは、初期状態としてウインドウシェード12が収納状態にあり(図10参照)、ウインドウシェード12を引き出し、再び収納するまでの流れで説明する。
【0057】
初期状態では、ウインドウシェード12が巻取装置30により巻き取られ、引出部材20のステイ22がケース40の間隙部44内に全体的に配設されている。なお、ステイ22は、部分的に巻取収容部42内に配設されていることもある。スライダー70は、引出部材20のランナー54により、受け部74が収納方向側に押圧され、第2付勢部材78の付勢力に逆らって退避位置に維持されている。この際、スライダー70は蓋60に対して非接触に保たれている。そして、蓋60は、第1付勢部材68の付勢力により、閉姿勢に維持されている。
【0058】
まず、駆動部58に接続された操作用スイッチ等の操作により、ウインドウシェード12の引き出しを開始する。すると、一対のランナー54が各ガイドレール50の先端側(引出方向側)に向けて移動される。これにより、ランナー54に押圧されたスライダー70は、第2付勢部材78の付勢力によって、ランナー54に当接したまま退避位置から押し開け位置に向けて移動を開始する。ここでは、まだ蓋60は動作しない。
【0059】
ランナー54が移動されて、摺接部73が蓋60に当接する位置までスライダー70が引出方向側に移動されると、スライダー70により蓋60が押し開かれ始める(図11参照)。ランナー54の移動に伴ってスライダー70が押し開け位置側に移動し、ウインドウシェード12は、巻取収容部42内の巻取装置30から引き出されていく。これにより、ステイ22が引出用スリット46を通じて収容部外(トリム5外)に露出される。
【0060】
スライダー70は、押し開け位置まで移動すると、一方のバネ取付部76がスリット39の基端部に当接して停止する(図8、図12参照)。そして、スライダー70は、第2付勢部材78の付勢力により押し開け位置に維持される。これにより、蓋60は、開姿勢となり、この姿勢に維持される。
【0061】
ここで、ステイ22が引出用スリット46を通過する際には、ステイ22と蓋60とは非接触の状態でそれぞれ動作するように設定されている。すなわち、ウインドウシェード12の収納状態において、ステイ22の引出方向側端部よりスライダー70の摺接部73の方が引出方向側に位置するように設定されている。
【0062】
そして、ランナー54がガイドレール50の先端部まで移動されると、ウインドウシェード12は、サイドウインドウ1を全体的に覆った引出状態となる。
【0063】
この状態から、ウインドウシェード12を収納する操作を行うと、ランナー54がガイドレール50の基端側に移動され、ウインドウシェード12が巻取装置30により徐々に巻き取られる。ランナー54がスライダー70の受け部74に当接する位置まで移動されると、ランナー54に押されて、第2付勢部材78の付勢力に逆らってスライダー70が退避位置側に移動する(図11参照)。この際、ステイ22は、引出用スリット46を通過又はその内側に介在すると共に、間隙部44内に部分的又は全体的に配設されている。そして、スライダー70が退避位置側に移動するのに伴って、第1付勢部材68の付勢力により閉姿勢に向けて姿勢変更する。
【0064】
蓋60が閉姿勢になる位置までスライダー70が移動されると、スライダー70の蓋60に対する押圧力は解除される。この状態で、蓋60は、第1付勢部材68の付勢力により閉姿勢に維持される(図10参照)。
【0065】
さらにランナー54が収納方向側へ移動されると、スライダー70の摺接部73が蓋60から離間して、蓋60の開閉動作とは無関係にスライダー70が移動される。そして、ランナー54がガイドレール50の基端部まで移動されると、ステイ22が全体的に間隙部44内に配設され、ウインドウシェード12は収納状態となる。
【0066】
上記実施形態に係る車両用ウインドウシェード装置10によると、ウインドウシェード12の収納状態において、蓋60により引出用スリット46をとじることができるため、外観をよくすることができると共に、トリム5内への埃、異物等の侵入を抑制することができる。
【0067】
また、蓋60を第1付勢部材68によって閉じる方向に付勢すると共に、蓋60を開姿勢にする押し開け位置と蓋60から離間する退避位置との間で移動可能に設けられ、引出部材20におけるランナー54の移動経路上の収納方向側に位置する受け部74を有するスライダー70を、第2付勢部材78によって第1付勢部材68の付勢力より大きい付勢力で押し開け位置側に付勢するため、引出部材20が取り付けられたウインドウシェード12の引出及び収納動作に連動してスムーズに蓋60の開閉を行うことができる。さらに、ウインドウシェード12の収納時において、蓋60はスライダー70が蓋60から離間した退避位置に移動される前に第1付勢部材68の付勢力により閉姿勢に姿勢変更するため、その後の引出部材20及びスライダー70の収納方向側への移動に関わらず閉姿勢に維持される。これにより、ウインドウシェード12の収納状態における引出部材20の位置の誤差に影響されることなく、ウインドウシェード12の巻取に連動して蓋60をより完全に閉じることができる。
【0068】
また、蓋60がケース40に回転可能に支持されると共に、スライダー70が蓋60に対して摺接する摺接部73を有する比較的簡易な構成により、ウインドウシェード12の引出及び収納動作に伴って蓋60の開閉を行うことができる。
【0069】
また、蓋60が、回転軸部64に直交する平面上にスライダー70の摺接部を案内する摺接規制部66を有するため、蓋60に対する摺接位置を規制することができ、蓋60に対してより確実に開方向への力を作用させることができる。
【0070】
これまで、蓋60について、開姿勢ではウインドウシェード12より車外側(サイドウインドウ1側)に位置するように設けられている例で説明してきたが、車内側に位置するように設けられていてもよい。また、蓋は、開姿勢でそれぞれウインドウシェード12の車内側又は車外側に位置し、サイドウインドウ1の下端縁部に沿った各軸周りに回転可能に支持されることにより観音開き可能にされた一対の開閉部材によって構成されていてもよい。この場合、スライダーは、退避位置から押し開け位置に移動する途中から一対の開閉部材を押し開け可能な構成、例えば、各摺接部が一対の開閉部材それぞれに当接可能に設けられた一対の本体部72を有している構成を採用すればよい。
【0071】
また、蓋60について、回転軸部64周りに回転して姿勢変更する例で説明したが、蓋60はこれに限られるものではない。例えば、蓋は、フレーム45に対して車内外方向にスライド移動可能に設けられると共に、スライダー70の摺接部73が摺接可能な傾斜面を有するものであってもよい。すなわち、この蓋は、スライダー70により傾斜面が押されることにより、傾斜面に摺接部73が摺接しつつスライド移動して引出用スリット46から退避する。
【0072】
また、スライダー70は、上記構成に限られるものではない。例えば、スライダー70は、比較的可撓性の高い材料で形成され、蓋60に当接した位置から、蓋60の回転軸部64周りに湾曲しつつ一箇所に当接したまま蓋60を姿勢変更させるものであってもよい。
【0073】
また、蓋60の開閉機構について、スライダー70が蓋60を直接押す例で説明してきたが、スライダー70が蓋60を他の部材を介して押す構成であってもよい。
【0074】
また、引出部材20におけるランナー54によりスライダー70を押動する例で説明したが、ステイ22によりスライダー70を押動する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 サイドウインドウ
10 車両用ウインドウシェード装置
12 ウインドウシェード
20 引出部材
30 巻取装置
40 ケース
44 間隙部
45 フレーム
46 引出用スリット
60 蓋
66 摺接規制部
70 スライダー
73 摺接部
74 受け部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載される車両用ウインドウシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される車両用ウインドウシェード装置として特許文献1に開示のものがある。特許文献1では、ウインドウシェードシートを引き出すための引出スリットに回転可能な蓋が取り付けられている。この蓋は、圧縮ばねにより開放状態に付勢されている。また、ウインドウシェードシートに結合された作動要素のオーバーストロークによって作動アームを動かすことによって、蓋を閉めるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−136881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、ウインドウシェードシートの巻き取り時に、作動要素が作動アームを押すことで蓋を閉じる構成としているため、ウインドウシェードシートの位置と蓋の位置とが略1対1で連動している。このため、ウインドウシェードシートの完全巻取位置と、蓋の全閉位置とがずれてしまうと、ウインドウシェードシートを完全に巻き取った場合にも、蓋が全閉しないといった問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、ウインドウシェードの巻取に連動して蓋をより完全に閉じることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、前記ウインドウシェードの引出方向側端部に取り付けられた引出部材と、前記ウインドウシェードを引出収納可能に巻き取る巻取装置と、前記引出部材を配設可能な間隙部を有し、前記巻取装置を内部に収容するケースと、前記間隙部の前記引出方向側に設けられて前記引出部材が通過可能な引出用スリットを有するフレームと、前記引出用スリットを開閉可能に設けられた蓋と、前記蓋を閉じる方向に付勢する第1付勢部材と、前記蓋を押して開姿勢にする押し開け位置と前記蓋から離間する退避位置との間で移動可能に設けられ、前記引出用スリットより収納方向側における前記引出部材の移動経路上の収納方向側に位置する受け部を有するスライダーと、前記第1付勢部材の付勢力より大きい付勢力に設定され、前記スライダーを前記押し開け位置側に付勢する第2付勢部材と、を備える。
【0007】
第2の態様は、第1の態様に係る車両用ウインドウシェードであって、前記蓋は、前記ケース又は前記フレームに回転可能に支持され、前記スライダーは、前記蓋に対して摺接する摺接部を有する。
【0008】
第3の態様は、第2の態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記蓋は、回転軸に直交する平面上に前記スライダーの前記摺接部を案内する摺接規制部を有する。
【発明の効果】
【0009】
第1の態様に係る車両用ウインドウシェードによると、引出用スリットを開閉可能に設けられた蓋を第1付勢部材によって閉じる方向に付勢すると共に、蓋を開姿勢にする押し開け位置と蓋から離間する退避位置との間で移動可能に設けられ、引出部材の移動経路上の収納方向側に位置する受け部を有するスライダーを、第2付勢部材によって第1付勢部材の付勢力より大きい付勢力で押し開け位置に付勢するため、ウインドウシェードの収納時に、スライダーが退避位置に移動される前に蓋は第1付勢部材の付勢力により閉姿勢に姿勢変更するため、ウインドウシェードシートの収納状態における引出部材の位置の誤差に影響されることなく、ウインドウシェードの巻取に連動して蓋をより完全に閉じることができる。
【0010】
第2の態様に係る車両用ウインドウシェード装置によると、蓋がケース又はフレームに回転可能に支持されると共に、スライダーが蓋に対して摺接する摺接部を有する比較的簡易な構成により、ウインドウシェードの引出及び収納動作に伴って蓋の開閉を行うことができる。
【0011】
第3の態様に係る車両用ウインドウシェード装置によると、蓋が、回転軸に直交する平面上にスライダーの摺接部を案内する摺接規制部を有するため、蓋に対する摺接位置を規制することができ、蓋に対してより確実に開方向への力を作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】車両用ウインドウシェード装置の正面図である。
【図2】蓋の開姿勢における蓋の開閉機構を示す斜視図である。
【図3】蓋の閉姿勢における蓋の開閉機構を示す斜視図である。
【図4】蓋の開姿勢における蓋の開閉機構を車内側から見た外観斜視図である。
【図5】蓋の閉姿勢における蓋の開閉機構を車内側から見た外観斜視図である。
【図6】蓋の開姿勢における蓋の開閉機構を車外側から見た外観斜視図である。
【図7】蓋の閉姿勢における蓋の開閉機構を車外側から見た外観斜視図である。
【図8】スライダーの支持態様を示す図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】車両用ウインドウシェード装置の動作図である。
【図11】車両用ウインドウシェード装置の動作図である。
【図12】車両用ウインドウシェード装置の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係る車両用ウインドウシェード装置10について説明する(図1参照)。
【0014】
本車両用ウインドウシェード装置10は、自動車等の車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う装置である。ここでは、車両用ウインドウシェード装置10をリアサイドドアのサイドウインドウ1を覆う例で説明する。もっとも、車両用ウインドウシェード装置10は、荷室側方等の車体部分に設けられるサイドウインドウ、リアウインドウ等に適用してもよい。
【0015】
また、ここでは、サイドウインドウ1は、図1に示すように、上端縁部が曲線条に形成され、下端縁部に対して全体として傾斜した形状であるものとする。なお、サイドウインドウ1の下端縁部及び上端縁部とは、窓枠の各側縁部を言い、窓ガラスの開閉状態には依存しないものとする。
【0016】
車両用ウインドウシェード装置10は、サイドウインドウ1の一側縁部に沿って延在するトリム5部分に組み込まれている(図10参照)。ここでは、車両用ウインドウシェード装置10は、サイドウインドウ1の下方に設けられたトリム5の上部に組み込まれている。そして、車両用ウインドウシェード装置10において、ウインドウシェード12がサイドウインドウ1の車内側面に沿って引き出されることにより、ウインドウシェード12がサイドウインドウ1を遮蔽する。
【0017】
<ウインドウシェードの引出収納構造>
この車両用ウインドウシェード装置10は、ウインドウシェード12と、ステイ22を有する引出部材20と、収容部と、巻取装置30とを備えている。
【0018】
ウインドウシェード12は、サイドウインドウ1を遮蔽する部材である。このウインドウシェード12は、メッシュ状の布、樹脂シート等の材料を裁断、縫製等して形成されたシート状の部材である。このウインドウシェード12は、伸縮性を有する材料により形成されていてもよい。より具体的には、ウインドウシェード12は、遮蔽対象となるサイドウインドウ1と略同じ大きさ及び形状に形成され、該サイドウインドウ1を全体的に遮蔽可能になっている。もっとも、ウインドウシェード12は、遮蔽対象となるサイドウインドウ1の一部を遮蔽する形状及び大きさ、又は、複数のウインドウを一括して遮蔽可能な形状及び大きさに形成されていてもよい。
【0019】
上記ウインドウシェード12は、収容部内に配設された巻取装置30により巻き取られており、引出方向側端部にステイ22が取り付けられている。概略的に説明すると、巻取装置30に巻き取られたウインドウシェード12に取り付けられたステイ22を引出収納方向に移動させることにより、ウインドウシェード12を収容部に対して引出又は収納することができる。ここで、引出方向側端部とは、ウインドウシェード12がサイドウインドウ1を遮蔽する状態における上側端部である。また、引出収納方向とは、サイドウインドウ1に沿った方向であって、サイドウインドウ1の下端縁部と上端縁部とを結ぶ方向を示す。
【0020】
ステイ22は、ウインドウシェード12の引出方向側端部の形状及び長さ寸法に対応した長尺棒状の部材である。より具体的には、ステイ22は、サイドウインドウ1の上端縁部に沿った曲線条に形成されている。また、ステイ22は、ウインドウシェード12に沿って扁平となる形状に形成されている。
【0021】
また、ステイ22は、長手方向端部に出退部24を有し、全体として長手方向に伸縮可能に構成されている。ステイ22の伸縮可能な構成については、ウインドウシェード12の駆動機構の構成と併せて説明する。
【0022】
巻取装置30は、ウインドウシェード12を引出収納可能に巻き取るように構成されている。より具体的には、巻取装置30は、巻取シャフト32が図示省略の支持軸部に対して回転可能に支持されると共に支持軸部に対して図示省略のコイルバネにより回転付勢可能に連結されて構成されている。この巻取シャフト32には、ウインドウシェード12の収納方向側端部が固定されている。
【0023】
収容部は、長尺に形成され、サイドウインドウ1の下方に設けられたトリム5の上部に、サイドウインドウ1の下端縁部に沿って組み込まれている(図1、図10参照)。この収容部は、ケース40と、フレーム45とを有する。
【0024】
ケース40は、巻取装置30を内部に配設可能な巻取収容部42と、ウインドウシェード12の引出収納方向に沿った間隙部44とを有する。ケース40は、長尺方向に沿って開口する間隙部44の奥側に巻取収容部42が連続して設けられた長尺部材である。また、ここでは、ケース40は、巻取収容部42及び間隙部44とが一体として形成され、その長手方向両端部に取り付けられた端部部材としての一対のホルダー部35を有している(図4〜図7参照)。
【0025】
巻取収容部42は、ウインドウシェード12を巻き取った状態の巻取装置30を収納可能な内部空間を有する形状に形成されている(図2参照)。そして、巻取装置30は、支持軸部が該巻取収容部42に対して回転不能に支持されることにより、ウインドウシェード12を巻取可能に巻取収容部42内に配設されている。より具体的には、ケース40は、一対のホルダー部35により巻取装置30の支持軸部の両端部を支持している。
【0026】
また、間隙部44は、巻取収容部42の内部空間に連通し、ステイ22を配設可能な内部空間を有する形状に形成されている。より具体的には、間隙部44の内部空間は、巻取収容部42より狭く、且つ、扁平形状に形成されたステイ22の厚さ寸法より大きく(ここでは僅かに大きく)設定されている。
【0027】
このケース40は、例えば、金属材料を打抜き及び屈曲して、又は、押出成形して形成される巻取収容部42及び間隙部44が一体となった本体部と、本体部の長手方向端部に取り付けられる金属又は樹脂成形品のホルダー部35とが組み合わされて形成されるとよい。
【0028】
フレーム45は、間隙部44の引出方向側に設けられてステイ22が通過可能な引出用スリット46を有する。このフレーム45は、サイドウインドウ1の下方に設けられたトリム5の上部で車内に露出する長尺部材であり、ここでは内装の一部を担っている。また、引出用スリット46は、サイドウインドウ1の下方に設けられたトリム5の上部で、サイドウインドウ1の下端縁部に沿って開口している。この引出用スリット46は、間隙部44の内部空間に対して引出方向側に連通する内部空間を有している。
【0029】
ここでは、フレーム45は、車内外方向に間隔をあけて設けられた2つの長尺部材により構成されている(図2、図3参照)。そして、2つの長尺部材の間に、引出用スリット46が形成されている。この引出用スリット46は、ステイ22の厚さ寸法より大きく、且つ、ケース40の間隙部44と同じかそれより大きい間隔に設定されている。
【0030】
ここで、巻取装置30は、少なくともステイ22が間隙部44内に配設される位置までウインドウシェード12を巻取可能なように、コイルバネの付勢力により巻取シャフト32が回転付勢された状態でケース40の巻取収容部42内に配設されている。そして、ウインドウシェード12は、巻取収容部42内に配設される巻取装置30から間隙部44及び引出用スリット46を通じて引き出される。
【0031】
また、この収容部には、引出用スリット46を開閉可能な蓋60が設けられている。この蓋60は、ウインドウシェード12の引出及び収納に連動して開閉される。蓋60の構造及び動作機構については、後で詳述する。
【0032】
また、本実施形態に係る車両用ウインドウシェード装置10は、ウインドウシェード12を引出及び収納駆動するシェード駆動機構部を備えている(図1参照)。以下、シェード駆動機構部の一例について説明する。このシェード駆動機構部は、一対のガイドレール50と、一対のランナー54と、駆動部58とを有している。概略的に説明すると、シェード駆動機構部は、ステイ22に取り付けられた一対のランナー54を、一対のガイドレール50により移動経路に案内すると共に駆動部58により移動させることにより、ウインドウシェード12を引出及び収納駆動する。
【0033】
ガイドレール50は、サイドウインドウ1の両側縁部(両側方(車両の前後方)の窓枠)に沿って、窓枠内に設けられる長尺部材である(図1参照)。一対のガイドレール50は、サイドウインドウ1の各側縁部に対応した長さ寸法に設定されている。ここでは、車両の前方側縁部の方が後方側縁部より長尺なサイドウインドウ1を遮蔽対象としているため、前方側に設けられるガイドレール50が後方側に設けられるガイドレール50より長尺に設定されている。また、一対のガイドレール50は、それぞれ、基端部がケース40の各ホルダー部35に固定されることにより、サイドウインドウ1の両側縁部に沿った姿勢で支持されている(図4〜図7参照)。
【0034】
一対のランナー54は、ステイ22と共に引出部材20を構成する部材である(図3参照)。一対のランナー54は、ステイ22の両端部に連結されると共に、一対のガイドレール50それぞれに対して長手方向に移動可能に嵌合される部分である。すなわち、一対のランナー54は、一対のガイドレール50に沿って移動されることにより、ステイ22を引出収納方向に移動させる。
【0035】
ここでは、ステイ22は、両端部に長手方向外側に出退可能に設けられた一対の出退部24を有している。すなわち、本車両用ウインドウシェード装置10は、下端縁部に対して上端縁部が傾いた形状のサイドウインドウ1を遮蔽対象としているため、ステイ22を前記上端縁部に沿った姿勢となるように傾けつつ移動させている。より具体的には、一対のランナー54を、それぞれ長さの異なる一対のガイドレール50の先端部まで移動させると、各ランナー54と引出部材20との連結部分同士の間隔が引出時と収納時とで異なる。このため、車両用ウインドウシェード装置10は、ステイ22が長手方向に伸縮する構成を採用している。もっとも、出退部24は、ステイ22の長手方向一方のみに設けられていてもよい。
【0036】
そして、一対のランナー54は、ステイ22に連結される連結部分が各ガイドレール50から突出した状態で、各ガードレール50に沿って移動される。
【0037】
駆動部58は、一対のガイドレール50に沿って図示省略の線条部材を循環移動させる装置である。この線条部材には、各ガイドレール50に嵌合された各ランナー54が取り付けられている。そして、駆動部58が線条部材を循環移動させることにより、一対のランナー54が各ガイドレール50に沿って移動される。これにより、ステイ22が引出収納方向に移動されて、ウインドウシェード12を引出及び収納することができる。
【0038】
ここでは、駆動部58は、一対のランナー54をそれぞれ異なる速度で移動させる。すなわち、駆動部58は、一対のランナー54を、異なる長さの一対のガイドレール50の基端部から移動させ、各ガイドレールの先端部に略同時に到達させるように設定されている。
【0039】
この駆動部58には、図示省略の操作用スイッチ等が接続されているとよい。そして、この操作用スイッチは、サイドドアのトリム5に設けられ、車両に乗車する利用者により操作可能にされているとよい。
【0040】
ウインドウシェード12の引出状態及び収納状態は、引出部材20の停止位置によって決定される。例えば、引出部材20は、一対のランナー54がガイドレール50の長手方向両端部又は停止用の引掛り部分に当接することにより停止されるとよい。また、引出部材20は、ステイ22が収容部に設けられる停止用の引掛り部分に当接することによって、又は、駆動部58による制御によって収納状態の停止位置が決定されてもよい。
【0041】
もっとも、上記シェード駆動機構部の構成は、例示であって、ウインドウシェード12を引出及び収納駆動する他の種々の構成を採用することができる。例えば、車両用ウインドウシェード装置は、ステイ22に取り付けられた棒状部材を引出収納方向に進退駆動する構成、又は、ステイ22を手動で引き出す構成等であってもよい。
【0042】
<蓋の開閉構造>
本車両用ウインドウシェード装置10は、フレーム45の引出用スリット46を開閉可能な蓋60と、この蓋60を開閉する構成として、第1付勢部材68と、スライダー70と、第2付勢部材78とを備えている。
【0043】
蓋60は、引出用スリット46を開閉可能な位置で、ケース40又はフレーム45に回転可能に支持されている(図2、図3参照)。この蓋60は、引出用スリット46を遮蔽可能な長尺板状の本体部62と、回転中心となる回転軸部64とを有している。そして、蓋60は、長手方向がサイドウインドウ1の下端縁部に沿う姿勢で、ケース40に立設された複数の軸支持部48に回転軸部64が支持されることにより、回転可能に設けられる。
【0044】
そして、蓋60は、引出用スリット46をその内側に介在して遮蔽し、ステイ22の移動経路を遮る閉姿勢と、前記移動経路から退避した開姿勢との間で姿勢変更可能に設けられている。より具体的には、蓋60は、閉姿勢では、一主面がフレーム45の車内側部分とほぼ同一平面上(又は同一曲面上)に沿うように設定されている。また、蓋60は、ケース40の間隙部44より車外側で回転軸部64が軸支持部48に支持され、開姿勢では、ウインドウシェード12より車外側(サイドウインドウ1側)に位置する。
【0045】
また、蓋60は、スライダー70の後述する摺接部73を、回転軸部64に直交する平面上の位置に規制する摺接規制部66を有する。摺接規制部66は、本体部62の裏側面から突出し、間隔をあけて回転軸に直交する方向に沿って延在する一対の側壁によって溝状に形成されている。一対の側壁の間隔は、摺接部73の幅寸法と同じかそれより大きく(ここでは僅かに大きく)設定されている。そして、摺接規制部66は、内側に配設されるスライダー70の摺接部73に対して一対の側壁が当接することにより、摺接部73を位置規制する。
【0046】
第1付勢部材68は、上記蓋60を閉じる方向に付勢する部材である。そして、蓋60は、開方向に力が作用しない状態では、第1付勢部材68の付勢力によって閉姿勢に維持される。ここでは、第1付勢部材68は、コイルバネを用いた捻りバネである。もっとも、第1付勢部材は、蓋60を閉じる方向に付勢可能な付勢部材であればよく、ゼンマイバネ等であってもよい。
【0047】
スライダー70は、第1付勢部材68により閉姿勢に維持される蓋60を押して開姿勢に姿勢変更させる。このスライダー70は、蓋60を押して開姿勢にする押し開け位置と蓋60から離間する退避位置との間で移動可能に設けられている(図2、図3参照)。
【0048】
スライダー70は、退避位置から押し開け位置に移動する途中から蓋60に対して摺接する摺接部73と、引出用スリット46より収納方向側における引出部材20の移動経路上の収納方向側に位置する受け部74とを有する。ここでは、スライダー70は、長尺板状の本体部72の基端部から、板状の受け部74が該本体部72に直交する向きに突出した形状に形成されている。そして、本体部72の先端部が摺接部73である(図9参照)。また、本体部72の長手方向中途部には、後述する第2付勢部材78の一端部が取り付けられる一方のバネ取付部76が設けられている。この一方のバネ取付部76は、受け部74とは反対側に突出する矩形板状に形成され、第2付勢部材78の一端部を引掛可能な孔部を有している。ここでは、スライダー70は、合成樹脂材料を一体に射出成型等して形成される。
【0049】
スライダー70は、ケース40のホルダー部35に押し開け位置と退避位置との間で移動可能に支持されている(図8、図9参照)。より具体的には、ホルダー部35は、スライダー70の本体部72を挿通可能な枠状のスライドガイド36を有している。このスライドガイド36は、スライダー70の本体部72の長手方向に直交する断面形状と同じかそれより大きい(ここでは僅かに大きい)内部空間を有している。
【0050】
摺接部73は、スライダー70が退避位置から押し開け位置に移動する途中の位置で、蓋60(摺接規制部66)に接触可能である。そして、摺接部73は、摺接規制部66に接触した位置から押し開け位置に移動するまで、摺接規制部66に摺接しつつ蓋60を押し開けていく。この際、摺接部73は、摺接規制部66の側壁に当接することにより、蓋60に対する長手方向における相対的な位置ずれを抑制される。
【0051】
受け部74は、引出部材20の収納方向側に位置し、収納方向側に移動される引出部材20に当接可能である。ここでは、受け部74は、引出部材20におけるランナー54に当接可能に形成されている。より具体的には、受け部74は、ランナー54のうちガイドレール50から突出する部分の移動経路における収納方向側に位置して、引出方向側を向く面を有する部位を有している。
【0052】
第2付勢部材78は、スライダー70を押し開け位置側に付勢する部材である。この第2付勢部材78は、第1付勢部材68の付勢力より大きい付勢力に設定され、スライダー70に対して収納方向側に力が作用しない状態では、スライダー70を押し開け位置に維持して蓋60を開姿勢に維持する。ここでは、第2付勢部材78は、コイルバネを用いた引張バネである。もっとも、第2付勢部材は、スライダー70を押し開け位置側に付勢可能な付勢部材であればよく、コイルバネ以外のバネを採用してもよいし、引張バネの他に圧縮バネであってもよい。より具体的は、第2付勢部材78は、スライダー70が押し開け位置にあり、蓋60が開姿勢にある状態で、引張状態で設けられ、第1付勢部材68の付勢力より大きい付勢力を発揮するように設定されている。
【0053】
第2付勢部材78は、一端部がスライダー70の一方のバネ取付部76に固定され、他端部がホルダー部35の他方のバネ取付部38に固定されている。ホルダー部35の他方のバネ取付部38は、スライドガイド36の一方の側壁に対して間隔をあけて設けられた壁状の部分である。そして、第2付勢部材78は、他方のバネ取付部38に対して他端部が引掛けられることにより固定される。また、スライドガイド36のうち他方のバネ取付部38側の部分には、スライダー70の一方のバネ取付部76を、他方のバネ取付部38側に露出させるスリット39が形成されている。一方のバネ取付部76は、スライダー70が移動するのに伴って、スリット39内を移動する。
【0054】
そして、スライダー70は、押し開け位置で一方のバネ取付部76がスリット39の基端部に当接し、受け部74に収納方向側への力が作用しない状態では、第2付勢部材78の付勢力によって押し開け位置に維持される。
【0055】
上記蓋60を開閉する構成は、車両用ウインドウシェード装置10の長手方向両側に設けられている。
【0056】
<動作説明>
次に、車両用ウインドウシェード装置10の全体動作について説明する。ここでは、初期状態としてウインドウシェード12が収納状態にあり(図10参照)、ウインドウシェード12を引き出し、再び収納するまでの流れで説明する。
【0057】
初期状態では、ウインドウシェード12が巻取装置30により巻き取られ、引出部材20のステイ22がケース40の間隙部44内に全体的に配設されている。なお、ステイ22は、部分的に巻取収容部42内に配設されていることもある。スライダー70は、引出部材20のランナー54により、受け部74が収納方向側に押圧され、第2付勢部材78の付勢力に逆らって退避位置に維持されている。この際、スライダー70は蓋60に対して非接触に保たれている。そして、蓋60は、第1付勢部材68の付勢力により、閉姿勢に維持されている。
【0058】
まず、駆動部58に接続された操作用スイッチ等の操作により、ウインドウシェード12の引き出しを開始する。すると、一対のランナー54が各ガイドレール50の先端側(引出方向側)に向けて移動される。これにより、ランナー54に押圧されたスライダー70は、第2付勢部材78の付勢力によって、ランナー54に当接したまま退避位置から押し開け位置に向けて移動を開始する。ここでは、まだ蓋60は動作しない。
【0059】
ランナー54が移動されて、摺接部73が蓋60に当接する位置までスライダー70が引出方向側に移動されると、スライダー70により蓋60が押し開かれ始める(図11参照)。ランナー54の移動に伴ってスライダー70が押し開け位置側に移動し、ウインドウシェード12は、巻取収容部42内の巻取装置30から引き出されていく。これにより、ステイ22が引出用スリット46を通じて収容部外(トリム5外)に露出される。
【0060】
スライダー70は、押し開け位置まで移動すると、一方のバネ取付部76がスリット39の基端部に当接して停止する(図8、図12参照)。そして、スライダー70は、第2付勢部材78の付勢力により押し開け位置に維持される。これにより、蓋60は、開姿勢となり、この姿勢に維持される。
【0061】
ここで、ステイ22が引出用スリット46を通過する際には、ステイ22と蓋60とは非接触の状態でそれぞれ動作するように設定されている。すなわち、ウインドウシェード12の収納状態において、ステイ22の引出方向側端部よりスライダー70の摺接部73の方が引出方向側に位置するように設定されている。
【0062】
そして、ランナー54がガイドレール50の先端部まで移動されると、ウインドウシェード12は、サイドウインドウ1を全体的に覆った引出状態となる。
【0063】
この状態から、ウインドウシェード12を収納する操作を行うと、ランナー54がガイドレール50の基端側に移動され、ウインドウシェード12が巻取装置30により徐々に巻き取られる。ランナー54がスライダー70の受け部74に当接する位置まで移動されると、ランナー54に押されて、第2付勢部材78の付勢力に逆らってスライダー70が退避位置側に移動する(図11参照)。この際、ステイ22は、引出用スリット46を通過又はその内側に介在すると共に、間隙部44内に部分的又は全体的に配設されている。そして、スライダー70が退避位置側に移動するのに伴って、第1付勢部材68の付勢力により閉姿勢に向けて姿勢変更する。
【0064】
蓋60が閉姿勢になる位置までスライダー70が移動されると、スライダー70の蓋60に対する押圧力は解除される。この状態で、蓋60は、第1付勢部材68の付勢力により閉姿勢に維持される(図10参照)。
【0065】
さらにランナー54が収納方向側へ移動されると、スライダー70の摺接部73が蓋60から離間して、蓋60の開閉動作とは無関係にスライダー70が移動される。そして、ランナー54がガイドレール50の基端部まで移動されると、ステイ22が全体的に間隙部44内に配設され、ウインドウシェード12は収納状態となる。
【0066】
上記実施形態に係る車両用ウインドウシェード装置10によると、ウインドウシェード12の収納状態において、蓋60により引出用スリット46をとじることができるため、外観をよくすることができると共に、トリム5内への埃、異物等の侵入を抑制することができる。
【0067】
また、蓋60を第1付勢部材68によって閉じる方向に付勢すると共に、蓋60を開姿勢にする押し開け位置と蓋60から離間する退避位置との間で移動可能に設けられ、引出部材20におけるランナー54の移動経路上の収納方向側に位置する受け部74を有するスライダー70を、第2付勢部材78によって第1付勢部材68の付勢力より大きい付勢力で押し開け位置側に付勢するため、引出部材20が取り付けられたウインドウシェード12の引出及び収納動作に連動してスムーズに蓋60の開閉を行うことができる。さらに、ウインドウシェード12の収納時において、蓋60はスライダー70が蓋60から離間した退避位置に移動される前に第1付勢部材68の付勢力により閉姿勢に姿勢変更するため、その後の引出部材20及びスライダー70の収納方向側への移動に関わらず閉姿勢に維持される。これにより、ウインドウシェード12の収納状態における引出部材20の位置の誤差に影響されることなく、ウインドウシェード12の巻取に連動して蓋60をより完全に閉じることができる。
【0068】
また、蓋60がケース40に回転可能に支持されると共に、スライダー70が蓋60に対して摺接する摺接部73を有する比較的簡易な構成により、ウインドウシェード12の引出及び収納動作に伴って蓋60の開閉を行うことができる。
【0069】
また、蓋60が、回転軸部64に直交する平面上にスライダー70の摺接部を案内する摺接規制部66を有するため、蓋60に対する摺接位置を規制することができ、蓋60に対してより確実に開方向への力を作用させることができる。
【0070】
これまで、蓋60について、開姿勢ではウインドウシェード12より車外側(サイドウインドウ1側)に位置するように設けられている例で説明してきたが、車内側に位置するように設けられていてもよい。また、蓋は、開姿勢でそれぞれウインドウシェード12の車内側又は車外側に位置し、サイドウインドウ1の下端縁部に沿った各軸周りに回転可能に支持されることにより観音開き可能にされた一対の開閉部材によって構成されていてもよい。この場合、スライダーは、退避位置から押し開け位置に移動する途中から一対の開閉部材を押し開け可能な構成、例えば、各摺接部が一対の開閉部材それぞれに当接可能に設けられた一対の本体部72を有している構成を採用すればよい。
【0071】
また、蓋60について、回転軸部64周りに回転して姿勢変更する例で説明したが、蓋60はこれに限られるものではない。例えば、蓋は、フレーム45に対して車内外方向にスライド移動可能に設けられると共に、スライダー70の摺接部73が摺接可能な傾斜面を有するものであってもよい。すなわち、この蓋は、スライダー70により傾斜面が押されることにより、傾斜面に摺接部73が摺接しつつスライド移動して引出用スリット46から退避する。
【0072】
また、スライダー70は、上記構成に限られるものではない。例えば、スライダー70は、比較的可撓性の高い材料で形成され、蓋60に当接した位置から、蓋60の回転軸部64周りに湾曲しつつ一箇所に当接したまま蓋60を姿勢変更させるものであってもよい。
【0073】
また、蓋60の開閉機構について、スライダー70が蓋60を直接押す例で説明してきたが、スライダー70が蓋60を他の部材を介して押す構成であってもよい。
【0074】
また、引出部材20におけるランナー54によりスライダー70を押動する例で説明したが、ステイ22によりスライダー70を押動する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 サイドウインドウ
10 車両用ウインドウシェード装置
12 ウインドウシェード
20 引出部材
30 巻取装置
40 ケース
44 間隙部
45 フレーム
46 引出用スリット
60 蓋
66 摺接規制部
70 スライダー
73 摺接部
74 受け部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、
前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、
前記ウインドウシェードの引出方向側端部に取り付けられた引出部材と、
前記ウインドウシェードを引出収納可能に巻き取る巻取装置と、
前記引出部材を配設可能な間隙部を有し、前記巻取装置を内部に収容するケースと、
前記間隙部の前記引出方向側に設けられて前記引出部材が通過可能な引出用スリットを有するフレームと、
前記引出用スリットを開閉可能に設けられた蓋と、
前記蓋を閉じる方向に付勢する第1付勢部材と、
前記蓋を押して開姿勢にする押し開け位置と前記蓋から離間する退避位置との間で移動可能に設けられ、前記引出用スリットより収納方向側における前記引出部材の移動経路上の収納方向側に位置する受け部を有するスライダーと、
前記第1付勢部材の付勢力より大きい付勢力に設定され、前記スライダーを前記押し開け位置側に付勢する第2付勢部材と、
を備える、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ウインドウシェードであって、
前記蓋は、前記ケース又は前記フレームに回転可能に支持され、
前記スライダーは、前記蓋に対して摺接する摺接部を有する、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記蓋は、回転軸に直交する平面上に前記スライダーの前記摺接部を案内する摺接規制部を有する、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項1】
車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、
前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、
前記ウインドウシェードの引出方向側端部に取り付けられた引出部材と、
前記ウインドウシェードを引出収納可能に巻き取る巻取装置と、
前記引出部材を配設可能な間隙部を有し、前記巻取装置を内部に収容するケースと、
前記間隙部の前記引出方向側に設けられて前記引出部材が通過可能な引出用スリットを有するフレームと、
前記引出用スリットを開閉可能に設けられた蓋と、
前記蓋を閉じる方向に付勢する第1付勢部材と、
前記蓋を押して開姿勢にする押し開け位置と前記蓋から離間する退避位置との間で移動可能に設けられ、前記引出用スリットより収納方向側における前記引出部材の移動経路上の収納方向側に位置する受け部を有するスライダーと、
前記第1付勢部材の付勢力より大きい付勢力に設定され、前記スライダーを前記押し開け位置側に付勢する第2付勢部材と、
を備える、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ウインドウシェードであって、
前記蓋は、前記ケース又は前記フレームに回転可能に支持され、
前記スライダーは、前記蓋に対して摺接する摺接部を有する、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記蓋は、回転軸に直交する平面上に前記スライダーの前記摺接部を案内する摺接規制部を有する、車両用ウインドウシェード装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−52709(P2013−52709A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190581(P2011−190581)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
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