説明

車両用エアデフレクター

【課題】フルキャブ(ベッド付きキャブ)やショートキャブ(ベッド無しキャブ)等の多彩な車両に対応することが容易で、軽量化及び高強度化に適した生産性の高いエアデフレクターの提供を目的とする。
【解決手段】アウター部材とインナー部材とを備え、アウター部材は、フロント側からリア側に向けて上り勾配の上面部と、当該上面部の左右両側から車両のルーフに向けて延在する側面部を有し、インナー部材は、アウター部材の上面部裏面から左右の側面部裏面に沿って延在する左右補強部と、当該左右補強部の中央付近からアウター部材の前部側に沿って延在する前後補強部とを有し、左右補強部は左右方向に延在する、溝状の凹部とアウター部材に接着するフランジ部とを有し、前後補強部は前後方向に延在する、溝状の凹部とアウター部材に接着するフランジ部とを有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等の車両のキャブルーフに取り付けることで走行抵抗の低減をはかるためのエアデフレクターに関する。
【背景技術】
【0002】
トラック等の車両においては、荷物を収納するリアボディの上面高さが、運転室であるキャブのルーフ高さよりも高いものが多い。
特に大型のトラックはキャブルーフ高さとリアボディの上面高さとのギャッブが大きく、このギャップ部分が走行時の空気抵抗となり、高速走行時に燃料消費が増大する要因の1つになっている。
【0003】
そこで、車両のキャブルーフにエアデフレクターを取り付ける場合も多くなっている。
これまで、提案されているエアデフレクターは金属製やFRP製が公知であり、FRP製が主流となっている。
FRP製は重量が大きく、本来、エアデフレクターは燃料消費を抑えるのが目的であるのにこのように質量が大きいFRP製では重量増による燃料消費増加を伴うために、エアデフレクターの目的が充分に活かされていない面がある。
また、FRP製は手造りに近い工法であり、生産性に劣る課題もあった。
【0004】
よって、FRP製に替わるエアデフレクターも検討されていて、ジシクロペンタジエン樹脂製のエアデフレクターも提案されている(特許文献1)。
また、エアデフレクターは、高速走行時の空気抵抗に耐え得る強度と耐振動性が要求されることからハット型の構造補強方法も提案されている(特許文献2)。
しかしながら、これまで提案されているエアデフレクターは軽量化と高強度との両立が充分ではなく、さらなる改善が要求されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−291864号公報
【特許文献2】特開2002−178408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フルキャブ(ベッド付きキャブ)やショートキャブ(ベッド無しキャブ)等の多彩な車両に対応することが容易で、軽量化及び高強度化に適した生産性の高いエアデフレクターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用エアデフレクターは、アウター部材とインナー部材とを備え、アウター部材は、フロント側からリア側に向けて上り勾配の上面部と、当該上面部の左右両側から車両のルーフに向けて延在する側面部を有し、インナー部材は、アウター部材の上面部裏面から左右の側面部裏面に沿って延在する左右補強部と、当該左右補強部の中央付近からアウター部材の前部側に沿って延在する前後補強部とを有し、左右補強部は左右方向に延在する、溝状の凹部とアウター部材に接着するフランジ部とを有し、前後補強部は前後方向に延在する、溝状の凹部とアウター部材に接着するフランジ部とを有していることを特徴とする。
本明細書においては、車両用エアデフレクターを車両に取り付けた状態で、車幅方向を左右方向と表現し、車両の進行方向を前又はフロント側と表現する。
【0008】
インナー部材の左右補強部の凹部は、左右側面部のルーフ取付部まで延在していてもよい。
インナー部材は左右側面部の下側にて車両のルーフに固定してあり、これによりインナー部材の左右補強部に設けた凹部は、左右のルーフ取付部間に跨って、左右補強部の外形に沿って溝状に形成されていることになる。
【0009】
インナー部材の前後補強部の凹部は、左右補強部の凹部に連結してあってもよい。
【0010】
インナー部材の左右補強部あるいは前後補強部の、アウター部材の裏面に接着するフランジ部には、所定の間隔を隔て当該アウター部材の裏面と隙間を形成する段差部を有していてもよい。
【0011】
インナー部材のアウター部材に接着するためのフランジ部の後端は、アウター部材の後端から3〜30mm内側に位置していてもよい。
【0012】
エアデフレクターは別部品として、キャブのルーフパネルに取り付けられることから、車両の走行時にエアデフレクターが振動して、ルーフパネルと干渉し、異音が発生したり、ルーフパネルの塗装が剥がれたりする恐れがある。
そこで、特許第3309603号公報や特開2005−335642号公報等には、エアデフレクターの前縁部とルーフパネルとの間の隙間をシールするシール構造が提案されている。
これらの構造ではあらかじめルーフパネルにシール材を取付け、その後エアデフレクターをルーフに搭載するため、シール材とエアデフレクターと位置精度の確保が困難であったり、また、シール部材の一部がアウター部材の表面にまで延在していることから、見映えが悪いものである。
これに対して本発明において、アウター部材の裏面で接着接合するインナー部材の前部側に、中空断面形状からなる弾性を有するシール部材を取り付けてあると、シール部材を弾性を有する中空断面形状としたことにより、エアデフレクターの前縁部とルーフパネルとの間を中空断面部が変形することで確実にシールできるのみならず、このシール部材をアウター部材の裏面に接合したインナー部材に取り付けることで、アウター部材に直接取り付ける必要もなく、アウター部材の表面に露出することもなくなる。
【0013】
本発明においては、インナー部材は、アウター部材の裏面前部側に接着接合するフロントインナーと、アウター部材の裏面後部側に接着接合するリアインナーに分離分割してあり、フロントインナーは、アウター部材の上面部裏面から左右の側面部裏面に沿って延在する左右補強部と、当該左右補強部の中央付近からアウター部材の前部側に沿って延在する前後補強部とからなる略T字形状になっていて、リアインナーはアウター部材の上面部裏面から左右の側面部裏面に沿って延在しているものであってもよい。
【0014】
本発明において、アウター部材及びインナー部材はジシクロペンタジエンを用いてRIM(Reaction Injection Molding)成形したものでもよい。
ここで、RIM(Reaction Injection Molding)成形方法とはモノマーと重合開始剤等を金型内に射出することで金型内にて重合体を成形する工法をいう。
本発明では、ジシクロペンタジエンをモノマーとして用いたRIM成形方法により、大型で複雑な形状からなるアウター部材とインナー部材とを成形した。
【0015】
本発明において、アウター部材は、表面部にIMC(In−Mold Coating)方法にて塗装を施してあってもよい。
ここで、IMC(In−Mold Coating)方法とは金型内に成形品を射出成形した後に、そのまま引き続き金型内に塗料を注入し、必要な部位に塗装する工法をいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用エアデフレクターにあっては、アウター部材とインナー部材とで構成し、インナー部材にアウター部材の裏面に沿って、ルーフへの取付部間の方向である左右方向に溝状に形成した凹部を有する左右補強部と、走行時の風圧を受ける前後方向に溝状に形成した凹部を有する前後補強部を形成したので剛性が向上する。
【0017】
本発明において、インナー部材にアウター部材の上面部裏面から左右の側面部及びルーフ取付部にわたって溝状の凹部を形成すると、左右のルーフ取付間が凹部形状にて連続的に繋がるためにアウター部材の補強効果が向上する。
【0018】
本発明において、インナー部材の前後補強部に形成した凹部と左右補強部に形成した凹部とを連結すると、この前後補強部と左右補強部との結合剛性が向上する。
【0019】
本発明において、インナー部材の左右補強部あるいは前後補強部に延在して設けたフランジ部に、所定の間隔を隔ててアウター部材の裏面と隙間を形成する段差部を形成すると、次のような作用効果が生じる。
仮に、アウター部材の裏面に接着するフランジ部が直線的であると、変形時にこの直線的接合部が折れ点になる恐れが高いが、本発明はフランジ部に接合しない段差部を形成したために折れ点が不連続になり剛性が向上する。
【0020】
本発明において、インナー部材をアウター部材の裏面に接着する際に、インナー部材の後端がアウター部材の後端よりも内側に3〜30mm入り込んで配置すると、接着剤がアウター部材からはみ出すのを防止できるため、見栄えも向上し、従来のはみ出し手直し工数も減る。
【0021】
本発明にあっては、中空断面形状からなるシール部材を用いるとシール部材の中空断面が変形することで従来の中実材よりもシール性が向上し、インナー部材にシール部材を取り付けてあるので従来のアウター部材に取り付けるよりも見栄えがよく、ルーフへの取付精度が向上する。
【0022】
インナー部材をフロントインナーとリアインナーに分離分割すると、アウターの形状に合せて補強がしやすく、アウター部材のリア側をルーフの奥行き寸法に合せて切断することも可能であり、各種ルーフ形状に対応できる。
アウター部材がフロント側からリア側に向けて上り勾配の上面部とこの上面部の左右両側から車両のルーフに向けて延在する側面部とを有しているので、アウター部材の前部左右のコーナー部は形状的に剛性が高く、インナー部材による補強の必要性が少ない。
そこでアウター部材の裏面前部側に設けたフロントインナーを左右補強部と前後補強部とを平面視でT字形状に連結することで、アウター部材を補強しつつ、前部左右のコーナー部に位置する部分のインナー部材を省くことができ、その分だけ軽量化が可能になる。
【0023】
アウター部材及びインナー部材の成形材料として、ジシクロペンタジエンを採用すると、大型で複雑な凹凸形状を有していても成形が容易になる。
また、IMC塗装工法を採用すると従来の別工程にて塗装する方法よりも工数低減になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係るエアデフレクター1の構造例を以下、図面に基づいて説明する。
エアデフレクター1は図8に示すように車両のキャブのルーフパネル2と、荷物室のリアボディ3との段差部に取り付けることで車両の高速走行時の空気抵抗の低減を図るのが目的の製品である。
本発明に係るエアデフレクター1の部品構成例を図1に示し、そのASSY図を図2(a)に示す。
なお、図2(b)はアウター部材10を取り除いた状態を示す。
【0025】
エアデフレクター1は、アウター部材10とその裏面に接着接合するインナー部材20とから構成されている。
アウター部材10及びインナ部材20はジシクロペンタジエンをRIM成形したジシクロペンタジエン樹脂製となっている。
インナー部材20は必要に応じて金属製のフロント補強フレーム40を取り付けて、剛性補強してある。
インナー部材20にフロント補強フレーム40を取り付けた状態を図2(b)に示す。
【0026】
アウター部材10は、エアデフレクター1の外観形状となり、空気の整流を目的とする。
フロント側の前縁部14からリア側の後縁部15に向けて上り勾配の上面部11とこの上面部11の左右からルーフパネル側に延在させた左側面部12,右側面部13を有している。
アウター部材10の成形方法例を図10の模式図に基づいて説明する。
固定型62と可動型61とからなる金型のキャビティ部に、触媒活性化剤等を含むジシクロペンタジエンを主な成分とするA液と、触媒等を含むジシクロペンタジエンを主な成分とするB液とをミキシングヘッド63から混合射出し、キャビティ内で重合反応を行い、樹脂成形体を得る。
その後に引き続いて、アウター部材10の表面部に、塗装注入機65を用いて塗装注入ヘッド64から塗料を注入する。
このようにIMC方法にてアウター部材10を成形することで外観のパテ修正、サンディング工程を省くことができる。
また、アウター部材の表面には必要に応じて上塗り塗装をする。
【0027】
図1及び図2に示すようにインナー部材20はアウター部材10のフロント側の上面部の変位強度を補強するための前後補強部21とアウター部材10の上面部から側面にかけて補強するための左右補強部22を有している。
【0028】
ここで左右補強部とはアウターの裏面に左右方向に延在させた補強部を意味し、前後補強部とはアウターの前部側であって前後方向に延在させた補強部との意味で表現した。
【0029】
インナー部材20の左右補強部22はアウター部材10の上面部11の裏面に対応する部分から両側にルーフパネルに向けて下方向に折れ曲がった正面視略コ字形状になっている。
左右両端部には図2(a)及び図3の取付断面図に示すようにルーフ取付部22d,22dを有し、左右のルーフ取付部22d,22d間に跨って溝状の凹部22aを有し、この凹部と略平行に突状のフランジ部22bが形成されている。
ルーフ2との取付方法は、ブラケット等を介してルーフ2とルーフ取付部22dとを連結してもよいが、図3に示した例は、補強フレーム40のブラケット40aにインナー部材のルーフ取付部22dをボルト、ナット(40c,40b)にて固定し、このブラケット40aとルーフ側ブラケット41にてルーフ2とボルト、ナット(41c,41d,41a,41b)締結してある。
このように凹部22aが取付部まで延出しているので剛性が高い。
フランジ部22bはアウター部材12と接着24してある。
フランジ部22bには左右方向に所定の間隔を隔てて、アウター部材の裏面と隙間を形成する段差部22cを設けてある。
従って、フランジ部22bを用いてアウター部材10の裏面に接着接合すると段差部22cは接着接合されずにアウター部材10の裏面との間に空間部を形成する。
また、図2(a)に示すようにインナー部材の後端部23をアウター部材の後端部15からd=3〜30mmになるように内側に配置し、接着する。
これにより、接着剤がはみ出してもdの間に納まり、アウター部材10の外側まではみ出すことはない。
【0030】
インナー部材20の前後補強部21は、前後方向に延在させた溝状の凹部21aと突状のフランジ部21bを交互に有し、フランジ部にてアウター部材10と接着接合する。
フランジ部21bは必要に応じて軽量化のための肉抜部21cを形成してもよい。
【0031】
次に第2の実施例について説明する。
第2の実施例を図4〜図7に示し、本実施例は、インナー部材をアウター部材10の前部側に取り付けるフロントインナー120と後部側に取り付けるリアインナー30R,30Lに分割した例である。
共通する部分については、先の実施例と同じ符号を用いて説明する。
フロントインナー120とリアインナー(30R,30L)とは分離した状態でアウター部材10の裏面に接着接合してある。
なお、本実施例では、リアインナーはさらに左側のリアインナー30Lと右側のリアインナー30Rとに分割してあるが、これらのリアインナーを一体的に成形してもよい。
【0032】
フロントインナー20は必要に応じて金属製のフロント補強フレーム40を取り付けて、剛性補強してあり、リアインナーは30Rと30Lとを重ね合せ部36にて連結し、必要に応じて金属製のリア補強フレーム140を取り付けて剛性補強してある。
フロントインナー120にフロント補強フレーム40を取り付けた状態を図5(b)に示す。
フロントインナー120にナット部材をインサート成形にて埋め込んであり、フロント補強フレーム40に設けた取付部40aにてボルト締結してある(図示は省略した)。
リアインナー30R,30Lにもナット部材がインサート成形により埋め込んであり、リア補強フレーム140の取付部140aにてボルト締結してある。
【0033】
アウター部材10は、エアデフレクター1aの外観形状となり、空気の整流を目的とする。
フロント側の前縁部14からリア側の後縁部15に向けて上り勾配の上面部11とこの上面部11の左右からルーフパネル側に延在させた左側面部12,右側面部13を有している。
ルーフパネルには取付孔16を介して取り付ける例となっている。
【0034】
図6(a)にフロントインナーの外観斜視図、図6(b)平面図、図6(c)正面図、図6(d)に側面図を示す。
フロントインナー120はアウター部材10のフロント側の上面部の変位強度を補強するための前後補強部121とアウター部材10の上面部から側面にかけて補強するための左右補強部122を有し、全体として平面視、略T字形状になっている。
左側のリアインナー30Rと右側のリアインナー30Lとは連結部36を重ね合せて結合してあり、突状のフランジ部31と凹部32とを交互に設けた凹凸形状(ハット型形状)になっている。
また、軽量化のための肉抜き穴34aを設けてもよい。
リアインナー30R,30Lは、アウター部材のリア側の上面部11を補強するためのリア側上面補強部35とアウター部材の側面部を補強するためのリア側側面補強部34を有している。
凹部32は、リア側上面補強部35から両側のリア側側面補強部34にわたって連続的に溝状に形成してあり、この凹部32はルーフ取付部まで延出している。
また、突状のフランジ部31は凹部32と平行に形成され、フランジ部31にてアウター部材と接着接合されている。
【0035】
図6及び図7に基づいてフロントインナー120の構造を詳細に説明する。
フロントインナー120は、アウター部材10の前部側であって上面部11の裏面から左右の側面部(12,13)の裏面に沿って接着接合する左右補強部122とこの左右補強部122の中央部から上面部11の裏面であって、前部側(フロント側)に延在する前後補強部121との全体として平面視略T字形状になっている。
【0036】
フロントインナー120の左右補強部122はアウター部材10の上面部11の裏面に対応する部分から両側にルーフパネルに向けて下方向に折れ曲がった正面視略コ字形状になっている。
左右両端部にはルーフ取付部122d,122d有し、左右のルーフ取付部122d,122d間に跨って溝状の凹部122aを有し、この凹部と略平行に突状のフランジ部122bが形成されている。
フランジ部122bには左右方向に所定の間隔を隔てて、アウター部材の裏面と隙間を形成する凹部状の段差部122cを設けてある。
従って、フランジ部122bを用いてアウター部材10の裏面に接着接合すると段差部122cは接着接合されずにアウター部材10の裏面との間に空間部を形成する。
【0037】
フロントインナー120の前後補強部121は、前後方向に延在させた溝状の凹部121aと突状のフランジ部121bを交互に有し、フランジ部にてアウター部材10と接着接合する。
フランジ部121bは必要に応じて軽量化のための肉抜部121cを形成してもよい。
図7に部分拡大図を示すように前後補強部121の凹部121aの端部は左右補強部122の凹部122aの側壁部にて連結され、左右補強部の凹部122aの深さの方が前後補強部121の凹部121aの深さよりも深くなっている。
これにより、凹部121aの底部が凹部122aの壁部に段差を形成して連結される。
即ち、凹部122aの側壁部が凹部121aで分断されることなく連続するので剛性が向上する。
【0038】
本実施例では、図9に示すようなシール部材50を前端側に取り付けてある。
シール部材50は中空部50aを有するゴム製からなり、エアデフレクターの前端部とルーフパネル2との隙間を車両の幅方向にわたってシールすることにより整流効果を高め、車両の走行時の振動にてルーフパネル2と干渉するのを防止する。
また、このシール部材50は取付片50bにてフロントインナー120裏面にビス51又は両面テープ等にて取り付けることでアウター部材10の表面には露出しない構造になっている。
【0039】
本実施例においては、アウター部材とインナー部材とに分割したので、フルキャブ仕様に対しては例えば、図4にて点線Sで示した部分で切断することでショートキャブにも対応が可能になるため、多彩なキャブ仕様にも容易に展開できる効果もある。
同様にインナー部材をフロントとリアを一体で成形し、キャブの形状に合せて切断して用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るエアデフレクターの部品構成図を示す。
【図2】エアデフレクターのASSY図を示す。
【図3】ルーフにエアデフレクターを取り付ける構造例を示す。
【図4】第2の実施例の部品構成例を示す。
【図5】第2の実施例のASSY図を示す。
【図6】フロントインナーの構造例を示す。
【図7】フロントインナーの左右補強部と前後補強部との連結部拡大図を示す。
【図8】エアデフレクターを車両に取り付けた例を示す。
【図9】エアデフレクターのフロント部の構造例を示す。
【図10】アウター部材の成形例を模式的に示す。
【符号の説明】
【0041】
1 エアデフレクター
10 アウター部材
11 上面部
12 左側面部
13 右側面部
20 インナー部材
21 前後補強部
21a 凹部
21b フランジ部
22 左右補強部
22a 凹部
22b フランジ部
22c 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウター部材とインナー部材とを備え、
アウター部材は、フロント側からリア側に向けて上り勾配の上面部と、当該上面部の左右両側から車両のルーフに向けて延在する側面部を有し、
インナー部材は、アウター部材の上面部裏面から左右の側面部裏面に沿って延在する左右補強部と、当該左右補強部の中央付近からアウター部材の前部側に沿って延在する前後補強部とを有し、
左右補強部は左右方向に延在する、溝状の凹部とアウター部材に接着するフランジ部とを有し、前後補強部は前後方向に延在する、溝状の凹部とアウター部材に接着するフランジ部とを有していることを特徴とする車両用エアデフレクター。
【請求項2】
インナー部材の左右補強部の凹部は、左右側面部のルーフ取付部まで延出していることを特徴とする請求項1記載の車両用エアデフレクター。
【請求項3】
インナー部材の前後補強部の凹部は、左右補強部の凹部に連結してあることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用エアデフレクター。
【請求項4】
インナー部材の左右補強部あるいは前後補強部の、アウター部材の裏面に接着するフランジ部には、所定の間隔を隔て当該アウター部材の裏面と隙間を形成する段差部を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用エアデフレクター。
【請求項5】
インナー部材のアウター部材に接着するためのフランジ部の後端は、アウター部材の後端から3〜30mm内側に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用エアデフレクター。
【請求項6】
アウター部材の裏面で接着接合するインナー部材の前部側に、中空断面形状からなる弾性を有するシール部材を取り付けてあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両用エアデフレクター。
【請求項7】
インナー部材は、アウター部材の裏面前部側に接着接合するフロントインナーと、アウター部材の裏面後部側に接着接合するリアインナーに分離分割してあり、
フロントインナーは、アウター部材の上面部裏面から左右の側面部裏面に沿って延在する左右補強部と、当該左右補強部の中央付近からアウター部材の前部側に沿って延在する前後補強部とからなる略T字形状になっていて、
リアインナーはアウター部材の上面部裏面から左右の側面部裏面に沿って延在していていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両用エアデフレクター。
【請求項8】
アウター部材及びインナー部材はジシクロペンタジエンを用いてRIM(Reaction Injection Molding)成形したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車両用エアデフレクター。
【請求項9】
アウター部材は、表面部にIMC(In−Mold Coating)方法にて塗装を施してあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車両用エアデフレクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−149535(P2010−149535A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326673(P2008−326673)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【出願人】(000132932)株式会社タカギセイコー (29)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)