説明

車両用サンシェード装置

【課題】
簡単な機構で低コストの車両用サンシェード装置を提供すること。
【解決手段】
第1ガーニッシュ6および第2ガーニッシュ7をガイドレール10に沿って連結する連結部材21と、連結部材21を車両前後方向に移動させる駆動機構とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフに設けられる車両用サンシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルーフの一部をガラスとして調光可能としたサンルーフ付きの車両(特に乗用車)が知られている。また、昨今は、ルーフを大型の一枚ガラスとし、この一枚ガラスと車両用サンシェード装置とを組み合わせたいわゆる大開口型の調光ルーフが人気を博している。
【0003】
このような車両用サンシェード装置としては、例えば、透明なガラスルーフの下方において車両前後方向へ摺動自在に支持されたサンシェードを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−137628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような車両用サンシェード装置には以下のような問題がある。すなわち、第1のシェードを駆動するモータおよびラックピニオン機構と第2のシェードを駆動するモータおよびラックピニオン機構とがそれぞれに設けられ、第1のシェードと第2のシェードとが独立して駆動されるため、2台のモータが必要となって機構が複雑になり、高コストとなる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な機構で低コストの車両用サンシェード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の課題解決手段は、車両のルーフ部に設けられた透光部材を車室内から遮蔽する第1ロールシェードおよび第2ロールシェードと、前記透光部材の車両前方側に位置するとともに前記第1ロールシェードの車両前方側端部に係合して前記第1ロールシェードを巻き取る第1巻き取り部材と、前記第1ロールシェードの車両後方側端部に係合する第1ガーニッシュと、前記透光部材の車両後方側に位置するとともに前記第2ロールシェードの車両後方側端部に係合して前記第2ロールシェードを巻き取る第2巻き取り部材と、前記第2ロールシェードの車両前方側端部に係合する第2ガーニッシュと、前記第1ガーニッシュおよび前記第2ガーニッシュを車両前後方向に案内する一対のガイドレールとを備える車両用サンシェード装置において、前記第1ガーニッシュおよび前記第2ガーニッシュを前記ガイドレールに沿って連結する連結部材と、前記連結部材を車両前後方向に移動させる駆動機構とを備えることである。
【0008】
また、第2の課題解決手段は、前記第1ガーニッシュ、前記第2ガーニッシュおよび前記連結部材が前記ガイドレールに設けられたガイド溝内で案内されることである。
【0009】
また、第3の課題解決手段は、前記連結部材の前記第1ガーニッシュへの嵌脱の方向または前記連結部材の前記第2ガーニッシュへの嵌脱の方向が前記連結部材の移動方向と同じである。
【0010】
また、第4の課題解決手段は、前記連結部材によって前記第1ガーニッシュと前記第2ガーニッシュとが連結されたとき、車両上下方向において前記第1ガーニッシュと前記第2ガーニッシュとが重なり合うことである。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、第1ガーニッシュおよび第2ガーニッシュをガイドレールに沿って連結する連結部材と、連結部材を車両前後方向に移動させる駆動機構とを備えるため、モータおよびラックピニオン機構がそれぞれ1台のみで駆動機構を構成でき、簡単な構造で低コストの車両用サンシェード装置とすることができる。さらに、連結部材を任意の位置で停止させて第1ガーニッシュまたは第2ガーニッシュを連結部材から手動で切り離して開閉操作ができるため、前席からでも後席からでもロールシェードの開閉ができ、利便性が高い。
【0012】
また、第1ガーニッシュ、第2ガーニッシュおよび連結部材がガイドレールに設けられたガイド溝内で案内されるため、第1ガーニッシュおよび第2ガーニッシュの車両前後方向への移動が確実かつ円滑に行われる。
【0013】
また、連結部材の第1ガーニッシュへの嵌脱の方向または連結部材の第2ガーニッシュへの嵌脱の方向が連結部材の移動方向と同じであるため、第1ガーニッシュまたは第2ガーニッシュを連結部材から手動で切り離して開閉操作する際に、円滑な切り離し操作が可能となる。
【0014】
また、連結部材によって第1ガーニッシュと第2ガーニッシュとが連結されたとき、車両上下方向において第1ガーニッシュと第2ガーニッシュとが重なり合うため、第1ガーニッシュと第2ガーニッシュとの合わせ部の隙間を最小限にでき、遮光性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる車両用サンシェード装置の実施形態を表すルーフ部の平面図で、当該車両用サンシェード装置の構成例を概略的に示すものである。
【図2】第1ガーニッシュおよび第2ガーニッシュの車両左右方向端部がガイドレールに収納・案内される状態を示す平面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】図2におけるB−B断面図である。
【図5】連結部材によって第1ガーニッシュと第2ガーニッシュとが連結された状態で第1ガーニッシュおよび第2ガーニッシュを中間位置で静止させ、開口部を完全に覆った状態を示す車内からの斜視図である。
【図6】図5の状態から、駆動機構が連結部材を車両後方側に押動して第1ロールシェードを全部引き出し、開口部を完全に覆った状態を示す車内からの斜視図である。
【図7】図5の状態から、連結部材と第2ガーニッシュとの連結を解除し、手動で第2ガーニッシュを車両後方側に押動して第2ロールシェードを収納した状態を示す車内からの斜視図である。
【図8】図5の状態から、駆動機構が連結部材を車両前方側に押動して第2ロールシェードを全部引き出し、開口部を完全に覆った状態を示す車内からの斜視図である。
【図9】図5の状態から、連結部材と第1ガーニッシュとの連結を解除し、手動で第1ガーニッシュを車両前方側に押動して第1ロールシェードを収納した状態を示す車内からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、車両用サンシェード装置1は、例えば車両のルーフ部に設けられる調光機能付きのルーフ(調光ルーフ)であり、ガラスなどの透光部材4の外周部を枠状の開口部9aを有するルーフパネル9によって支持する構造となっている。このため、本発明にかかる車両用サンシェード装置1によれば、透光部材4の下方に横梁が設置されていない大開口型の透光エリアを構成することが可能である。以下では、このような車両用サンシェード装置1を乗用車等におけるいわゆるサンルーフに適用した場合について説明する。なお、本実施形態では車両の進行方向(運転者の正面方向)を前(前側)、逆方向を後(後側)と呼ぶ。
【0018】
車両用サンシェード装置1は、車両のルーフ部に設けられて透光エリアを
形成するガラス製の透光部材(以下、ガラスルーフともいう。)4の前部付近から後方へと引き出し可能に設けられる第1ロールシェード5と、この第1ロールシェード5とは異なる遮光率でありガラスルーフ4の後部付近から前方へと引き出し可能に設けられる第2ロールシェード8と、第1ロールシェード5を巻き取る第1ローラ2と、第2ロールシェード8を巻き取る第2ローラ3とを備えている。
【0019】
ルーフパネル9の開口部9aにはガラスルーフ4が固定され、非開閉式のサンルーフが形成されている(図7等参照)。また、特に図示はしていないが、車室内天井のうちガラスルーフ4以外の部分(ルーフヘッドライニング)は、例えば表皮にニット等が用いられた成形天井となっている。本実施形態では、これらルーフヘッドライニングが施された天井のうちガラスルーフ4の前側部分を前ルーフヘッド、後側部分を後ルーフヘッド、右側部分を右ルーフヘッド、左側部分を左ルーフヘッドといい、それぞれ符号9f,9r、9R、9Lで示している(図5等参照)。
【0020】
ロールシェードはガラスルーフ4の内面(車室内側の面)を覆うためのスクリーンである。ガラスルーフ4の前部付近から後方へと引き出し可能に設けられた第1ロールシェード5と、ガラスルーフ4の後部付近から前方へと引き出し可能に設けられる第2ロールシェード8という一組のシェードが配置されている。これらロールシェード5,8は、例えば布地やキャンバス地などからなり、ローラ(巻き取り部材)2,3によって巻き取り可能となっている。
【0021】
第1ロールシェード5の後縁および第2ロールシェード8の前縁にはそれぞれ第1ガーニッシュ6、第2ガーニッシュ7が設けられている。第1ガーニッシュ6、第2ガーニッシュ7は、それぞれ第1ロールシェード5、第2ロールシェード8の引き出し端に設けられたいわば支持棒であり、各ロールシェード5、8の一部を構成している。
【0022】
図2から図4に示すように、第1ガーニッシュ6、第2ガーニッシュ7の車両左右方向端部には、ガイドレール10に嵌合するスライド部6b,7bがガーニッシュ本体部6a,7aと一体的に形成されている。スライド部6b,7bは、連結部材21によって連結されていて、連結部材21には後述するギヤードケーブル14が接続されている。ギヤードケーブル14がガイドレール10内を前後方向に移動して連結部材21を前後方向に移動させることで、各ロールシェード5,8を均等に引き出し、あるいはローラ2,3側に送り込んで均等に巻き戻らせる。
【0023】
図1、図2に示すように、ガイドレール10は、右ルーフヘッド9Rおよび左ルーフヘッド9L内に一対で設けられていて、連結部材21の一部とギヤードケーブル14とが収納・案内される第1ガイド部10aと、連結部材21の他部ならびに第1ガーニッシュ6のスライド部6bおよび第2ガーニッシュ7のスライド部7bが収納・案内される第2ガイド部10bとからなる。
【0024】
図3に示すように、スライド部6b,7bと連結部材21とは、スナップフィット式に連結されている。詳説すると、スライド部6b,7bは、各々連結部材21に向けて突出する突部6b1,7b1を有し、連結部材21は車両前後方向中央に向けて前方及び後方に向けてそれぞれ凹設された凹部21a,21bを有する。この凹部21aに突部6b1が、凹部21bに突部7b1が前後方向に嵌脱することで、スライド部6b,7bと連結部21とが連結可能となっている。このスナップフィット式連結の連結力は、ギヤードケーブル14が連結部材21を前後方向に移動させる際にスライド部6b,7bと連結部材21とが切り離されずに一体的に前後方向に移動できる大きさに設定されている。また、スナップフィット式連結の連結力は、ギヤードケーブル14および連結部材21がガイドレール10内で静止しているとき、手動でガーニッシュ本体部6a,7aを連結部材21から前後方向に切り離しできるものである。なお、図4に示すように、ガーニッシュ本体部6a,7aには、各々手動操作の際に使用者が手をかけることができる操作部6a1,7a1が設けられている。さらに、連結部材21の第1ガーニッシュ6への嵌脱の方向または連結部材21の第2ガーニッシュ7への嵌脱の方向が連結部材21の移動方向と同じであるため、第1ガーニッシュ6または第2ガーニッシュ7を連結部材21から手動で切り離して開閉操作する際に、円滑な切り離し操作が可能となる。
【0025】
なお、図4に示すように、連結部材21によって第1ガーニッシュ6と第2ガーニッシュ7とが連結されたとき、車両上下方向においてガーニッシュ本体部6a,7aが重なり合う構成となっている。詳説すると、ガーニッシュ本体部6a,7aには、各々第1,第2ロールシェード5,8の展開面に対して車両上下方向に傾斜した傾斜部6a2,7a2が形成されており、連結部材21とスライド部6b,7bとが連結する際に、この傾斜部6a2,7a2同士が当接する構成となっている。そのため、ガーニッシュ本体部6a,7aの合わせ部の隙間を最小限にでき、遮光性が高くなる。もちろん、傾斜部6a2,7a2同士の当接に限らず、車両上下方向においてガーニッシュ本体部6a,7aが重なり合う構成であれば例えば嵌合構造等に変更してもよい。
【0026】
ギヤードケーブル14は、連結部材21に接続されてモータ12の駆動力を連結部材21に伝達するための部材(伝達ケーブル)として設けられている。ギヤードケーブル14は、左右一対の連結部材21を同時に同量ずつ前方または後方へと移動させるように配置されている。左右一対のギヤードケーブル14は、ガラスルーフ4の前方に配置されたモータ12のピニオン12aに接続されている。また、これらギヤードケーブル14のうち少なくともモータ12のピニオン12aと噛み合う部分には歯が設けられてラック11となっている。
【0027】
モータ12は、第1ガーニッシュ6と第2ガーニッシュ7とが連結された連結部材21を前後方向に移動させるための駆動力を発生させるもので、上述したようにガラスルーフ4の前方に配置されている。
【0028】
例えば、モータ12のピニオン12aを一方向(図1中における反時計回り方向)に回転させると左右のギヤードケーブル14が後方へと送り込まれ、第1ガーニッシュ6と第2ガーニッシュ7とが連結された連結部材21が後方へとスライドする。この動作により、連結部材21を所望量だけ送り出してガラスルーフ4を覆うことができる(図5、図6の状態)。また、モータ12を停止させて第1ガーニッシュ6を所望の位置で停止させ、第2ガーニッシュ7を手動で連結部材21から切り離して後方に移動させることで、ルーフパネル9の開口部9aの一部を覆うことも可能である(図7の状態)。なお、上述したように、第1ロールシェード5は、第1ローラ2によって常に巻き取り方向に引っ張られた状態となっているため、動作中および停止中のいずれのときにおいても張った状態となっている。
【0029】
また、例えば、モータ12のピニオン12aを他方向(図1中における時計回り方向)に回転させると左右のギヤードケーブル14が前方へと送り込まれ、第1ガーニッシュ6と第2ガーニッシュ7とが連結された連結部材21が前方へとスライドする。この動作により、連結部材21を所望量だけ送り出してガラスルーフ4を覆うことができる(図5、図8の状態)。また、モータ12を停止させて連結部材21を所望の位置で停止させ、第1ガーニッシュ7を手動で連結部材21から切り離して前方に移動させることで、ルーフパネル9の開口部9aの一部を覆うことも可能である(図9の状態)。
【0030】
上述したように、連結部材21を任意の位置で停止させて第1ガーニッシュ6または第2ガーニッシュ7を連結部材21から手動で切り離して開閉操作ができるため、前席からでも後席からでもロールシェードの開閉ができ、利便性が高いものとなる。
【符号の説明】
【0031】
1・・・車両用サンシェード装置
2・・・第1ローラ(第1巻き取り部材)
3・・・第2ローラ(第2巻き取り部材)
4・・・ガラスルーフ(透光部材)
5・・・第1ロールシェード
6・・・第1ガーニッシュ
6a・・・本体部
6b・・・スライド部
7・・・第2ガーニッシュ
7a・・・本体部
7b・・・スライド部
8・・・第2ロールシェード
9・・・ルーフヘッド
9a・・・開口部
10・・・ガイドレール
10a・・・第1ガイド部(ガイド溝)
10b・・・第2ガイド部(ガイド溝)
12・・・モータ
12a・・・ピニオン
14・・・ギヤードケーブル
21・・・連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフ部に設けられた透光部材を車室内から遮蔽する第1ロールシェードおよび第2ロールシェードと、前記透光部材の車両前方側に位置するとともに前記第1ロールシェードの車両前方側端部に係合して前記第1ロールシェードを巻き取る第1巻き取り部材と、前記第1ロールシェードの車両後方側端部に係合する第1ガーニッシュと、前記透光部材の車両後方側に位置するとともに前記第2ロールシェードの車両後方側端部に係合して前記第2ロールシェードを巻き取る第2巻き取り部材と、前記第2ロールシェードの車両前方側端部に係合する第2ガーニッシュと、前記第1ガーニッシュおよび前記第2ガーニッシュを車両前後方向に案内する一対のガイドレールとを備える車両用サンシェード装置において、前記第1ガーニッシュおよび前記第2ガーニッシュを前記ガイドレールに沿って連結する連結部材と、前記連結部材を車両前後方向に移動させる駆動機構とを備える車両用サンシェード装置。
【請求項2】
前記第1ガーニッシュ、前記第2ガーニッシュおよび前記連結部材が前記ガイドレールに設けられたガイド溝内で案内される、請求項1の車両用サンシェード装置。
【請求項3】
前記連結部材の前記第1ガーニッシュへの嵌脱の方向または前記連結部材の前記第2ガーニッシュへの嵌脱の方向が前記連結部材の移動方向と同じである、請求項1または請求項2の車両用サンシェード装置。
【請求項4】
前記連結部材によって前記第1ガーニッシュと前記第2ガーニッシュとが連結されたとき、車両上下方向において前記第1ガーニッシュと前記第2ガーニッシュとが重なり合う、請求項1から請求項3のいずれかの車両用サンシェード装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−63093(P2011−63093A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214387(P2009−214387)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)