説明

車両用シェード装置

【課題】使用時におけるシェードの垂れ下がりを抑制して、該シェードの見栄えを向上させる。
【解決手段】長手方向に沿って延びるガイド溝26が夫々形成され、該長手方向と交差する方向に互いに離間して配置された一対のレール16と、該レール16の長手方向一端側に、該長手方向と交差する方向に配置された巻取り軸18と、該巻取り軸18に巻き取るシェード22と、該シェード22に設けられガイド溝26内を夫々摺動可能とされた一対の摺動部材24と、を有する。一対のレール16の離間距離Aは、該一対のレール16の長手方向の少なくとも一部において、自然状態における一対の摺動部材24の離間距離Bよりも相対的に大きく設定されており、該一対の摺動部材4を一対のレール16のガイド溝26内に夫々配置することによって、レール16の長手方向と交差する方向においてシェード22に生じる張力を強める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフに組み込まれるサンシェード部品として、一組のレールと、該一組のレールの長手方向の一端側に、該長手方向と交差する方向に配置されたローラーと、ローラーに巻かれた巻き状態とローラーから繰り出されている延び状態との間で操作可能とされるスクリーン(シェード)と、各レールの凹部に摺動自在に配置され、スクリーンの周辺縁部の一つに配置される台要素とを有する構造が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3146520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来例では、ローラー近傍ではスクリーンに対して該ローラーの巻取り力が作用するため、ローラーの繰出し方向であるレールの長手方向においてはスクリーンに生じる張力が強くなる。しかしながら、レールの長手方向と交差する方向においてはスクリーンに生じる張力が弱くなり、該スクリーンが垂れ下がって見え易い。
【0005】
特に、車両上方に凸に湾曲した車両ルーフに合わせてレールを湾曲させた場合には、スクリーンが、ローラーの巻取り力により、円弧の二点を結ぶ弦のように、レールの形状に沿わずに短絡し易いため、垂れ下がって見え易い。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、使用時におけるシェードの垂れ下がりを抑制して、該シェードの見栄えを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、長手方向に沿って延びるガイド溝が夫々形成され、該長手方向と交差する方向に互いに離間して配置された一対のレールと、該レールの長手方向一端側に、該長手方向と交差する方向に配置された巻取り軸と、該巻取り軸に巻取り可能とされ、使用時に該巻取り軸から繰り出されるシェードと、該シェードに設けられ、該シェードの繰出し方向に延びると共に前記巻取り軸の軸方向に互いに離間し、前記一対のレールの前記ガイド溝内を夫々摺動可能とされた一対の摺動部材と、を有し、前記一対のレールの長手方向の少なくとも一部において、該一対のレールの離間距離が、自然状態における前記一対の摺動部材の離間距離よりも相対的に大きく設定されている。
【0008】
請求項1に記載の車両用シェード装置では、シェードを巻取り軸から繰り出したり、該巻取り軸に巻き取ったりする際に、該シェードに設けられた一対の摺動部材が、一対のレールのガイド溝内を摺動する。ここで、一対のレールの離間距離は、該一対のレールの長手方向の少なくとも一部において、自然状態における一対の摺動部材の離間距離よりも相対的に大きく設定されているので、一対の摺動部材を一対のレールのガイド溝内に夫々配置することによって、レールの長手方向と交差する方向においてシェードに生じる張力を強めることができる。このため、使用時におけるシェードの垂れ下がりを抑制して、該シェードの見栄えを向上させることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両用シェード装置において、前記一対のレールの離間距離及び前記一対の摺動部材の離間距離は、夫々一定とされている。
【0010】
請求項2に記載の車両用シェード装置では、レールの長手方向と交差する方向においてシェードに生じる張力を均等に強めることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の車両用シェード装置において、前記一対の摺動部材が弾性部材である。
【0012】
請求項3に記載の車両用シェード装置では、一対の摺動部材を弾性部材とすることにより、自然状態における該一対の摺動部材の離間距離のばらつきを吸収することができる。このため、レールの長手方向と交差する方向においてシェードに生じる張力を、容易に均等化することができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1に記載の車両用シェード装置において、前記一対のレールの離間距離は一定とされ、自然状態における前記一対の摺動部材の離間距離は、前記シェードの繰出し方向位置によって漸次変化している。
【0014】
請求項4に記載の車両用シェード装置では、一対のレールの離間距離が一定であるのに対し、自然状態における一対の摺動部材の離間距離がシェードの繰出し方向位置によって漸次変化しているので、レールの長手方向と交差する方向においてシェードに生じる張力を、シェードの繰出し方向位置に応じて変化させることができる。これにより、摺動部材とレールのガイド溝との間の摺動抵抗は、上記シェードの張力が強いところで大きくなり、弱いところで小さくなる。このように摺動部材とレールのガイド溝との摺動抵抗を調整することにより、シェードの巻取り時及び繰出し時における作動不良等のリスクを低減することができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1に記載の車両用シェード装置において、前記一対のレールの離間距離は一定とされ、自然状態における前記一対の摺動部材の離間距離は、前記シェードの繰出し方向位置によって局所的に変化している。
【0016】
請求項5に記載の車両用シェード装置では、一対のレールの離間距離が一定であるのに対し、自然状態における一対の摺動部材の離間距離がシェードの繰出し方向位置によって局所的に変化しているので、レールの長手方向と交差する方向においてシェードに生じる張力を、シェードの繰出し方向位置に応じて局所的に変化させることができる。これにより、摺動部材とレールのガイド溝との間の摺動抵抗は、上記シェードの張力が強いところで大きくなり、弱いところで小さくなる。このように摺動部材とレールのガイド溝との摺動抵抗を調整することにより、シェードの巻取り時及び繰出し時における作動不良等のリスクを低減することができる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車両用シェード装置において、前記一対のレールは、車両上方に凸に湾曲して形成されている。
【0018】
請求項6に記載の車両用シェード装置では、一対のレールが、車両上方に凸に湾曲して形成されているので、一般に車両上方に凸に湾曲している車両のルーフに沿ってシェードを繰り出すことができ、かつ繰り出されたシェードの垂れ下がりを抑制することができる。このため、使用時におけるシェードの見栄えをより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両用シェード装置によれば、使用時におけるシェードの垂れ下がりを抑制して、該シェードの見栄えを向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【0020】
請求項2に記載の車両用シェード装置によれば、レールの長手方向と交差する方向においてシェードに生じる張力を均等に強めることができる、という優れた効果が得られる。
【0021】
請求項3に記載の車両用シェード装置によれば、レールの長手方向と交差する方向においてシェードに生じる張力を、容易に均等化することができる、という優れた効果を有する。
【0022】
請求項4に記載の車両用シェード装置によれば、シェードの巻取り時及び繰出し時における作動不良等のリスクを低減することができる、という優れた効果が得られる。
【0023】
請求項5に記載の車両用シェード装置によれば、シェードの巻取り時及び繰出し時における作動不良等のリスクを低減することができる、という優れた効果が得られる。
【0024】
請求項6に記載の車両用シェード装置によれば、使用時におけるシェードの見栄えをより一層向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1から図4は、第1実施形態に係り、図1は、車両用シェード装置を備えた車両を示す斜視図である。
【図2】車両用シェード装置を示す斜視図である。
【図3】車両用シェード装置を示す、図2における3−3矢視要部拡大断面図である。
【図4】シェードの生ずる張力を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5から図7は、第2実施形態に係り、図5は、シェードに設けられた一対の摺動部材について、自然状態における離間距離が、シェードの繰出し方向位置によって漸次変化している一例を模式的に示す底面図である。
【図6】変形例に係り、シェードに設けられた一対の摺動部材について、自然状態における離間距離が、シェードの繰出し方向位置によって局部的に変化している一例を模式的に示す底面図である。
【図7】シェードの生ずる張力を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1において、本実施の形態に係る車両用シェード装置10は、車両12のサンルーフ14に組み込まれる日除け装置であって、図2に示されるように、一対のレール16と、巻取り軸18と、シェード22と、一対の摺動部材24(図3参照)と、を有している。
【0028】
図2において、一対のレール16は、サンルーフ14(図1)の車幅方向両端の位置に対応して、長手方向が車両前後方向となるように配置されると共に、該長手方向と交差する方向に互いに離間して配置されている。一対のレール16の離間距離A(図3)は、一定とされており、換言すれば、一対のレール16は、車幅方向に離間して平行に配置されている。一対のレール16の両端は、車両前後方向に離間して並列に設けられた連結部材25,27により夫々車幅方向に連結され、該一対のレール16及び連結部材27には、車両用シェード装置10を車両12のルーフ13(図1)又はサンルーフ14に組み付けるための取付けブラケット29,31が取り付けられている。また一対のレール16は、車両12のルーフ13(図1)の断面形状に対応して、車両側面視で車両上方に凸に湾曲して形成されている。
【0029】
図3に示されるように、一対のレール16には、長手方向に沿って延びるガイド溝26が夫々形成されている。このガイド溝26内には、摺動部材24が配置される。この摺動部材24は、ガイド溝26内を摺動するが、摺動部材24がガイド溝26から外れることがないように、ガイド溝26の車幅方向内側及び車両上側には、内壁部28及び上壁部32が設けられている。
【0030】
内壁部28は、ガイド溝26の車幅方向内側に隣接して、例えば車両上方側に向けて立設されている。また上壁部32は、ガイド溝26の車幅方向外側に隣接して、例えば車両上方側に向けて延び、更にガイド溝26の車両上側に被さるように車幅方向内側に延びて終端している。内壁部28と上壁部32との間には、ガイド溝26内に摺動部材24を配置するための間隙34が設けられている。
【0031】
図2において、巻取り軸18は、レール16の長手方向一端側に、該長手方向と交差する方向、例えば該長手方向と直交する車幅方向に配置されている。換言すれば、巻取り軸18の軸方向が車幅方向とされている。巻取り軸18の長さは、シェード22の車幅方向寸法に対応している。また巻取り軸18は、ばね(図示せず)により、シェード22の巻取り方向に付勢されており、シェード22を使用する際に、ケース36内に設けられた駆動モータ(図示せず)により、シェード22の繰出し方向に駆動されるようになっている。駆動モータには、ワイヤーハーネス38を通じて、作動電流が供給されるようになっている。なお、車両用シェード装置10は電動式のものには限られず、手動式のものであってもよい。
【0032】
図2,図3において、シェード22は、巻取り軸18に巻取り可能とされ、使用時に該巻取り軸18から繰り出される、遮光性を有する例えば布幕であり、少なくとも車幅方向において、若干の伸縮性を有している。シェード22の前端には、車幅方向に延びる補強部材40が取り付けられている。図2に示されるように、この補強部材40により、シェード22の前端の弛みを抑制すると共に、該前端の見栄えを向上させることができるようになっている。
【0033】
図3において、一対の摺動部材24は、シェード22に設けられ、該シェード22の繰出し方向に延びると共に巻取り軸18の軸方向(車幅方向)に互いに離間し、一対のレール16のガイド溝26内を夫々摺動可能とされている。この一対の摺動部材24は、エラストマー等の弾性部材であり、シェード22を巻き取って収納する際に、該シェード22と共に巻取り軸18に巻き取ることができるように、厚さや弾性が設定される。また一対の摺動部材24は、シェード22の下面に対して縫製等により固定されている。
【0034】
自然状態における一対の摺動部材24の離間距離Bは一定とされている。換言すれば、一対の摺動部材24は車幅方向に離間して平行に配置されている。ここで、自然状態とは、図3の二点鎖線で示されるように、一対の摺動部材24がレール16のガイド溝26内に配置されていない状態をいう。
【0035】
そして、一対のレール16の長手方向の全長において、該一対のレール16の離間距離Aは、自然状態における一対の摺動部材24の離間距離Bよりも相対的に大きく設定されている。具体的には、一対のレール16の離間距離Aは、一対の摺動部材24の離間距離Bよりも、幅Cだけ大きく設定されている。従って、図3の実線で示されるように、一対の摺動部材24を一対のレール16のガイド溝26内に夫々配置した際には、幅Cだけシェード22が車幅方向に引き伸ばされることとなる。これにより、シェード22に車幅方向の張力が生じるようになっている。なお、幅Cの大きさは、シェード22に必要とされる車幅方向の張力に応じて設定されている。
【0036】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図2,図3において、本実施形態に係る車両用シェード装置10では、シェード22を巻取り軸18から繰り出したり、該巻取り軸18に巻き取ったりする際に、該シェード22に設けられた一対の摺動部材24が、一対のレール16のガイド溝26内を摺動する。
【0037】
ここで、図3に示されるように、一対のレール16の離間距離Aが、一対のレール16の長手方向の全長において、一対の摺動部材24の離間距離Bよりも相対的に大きく設定され、かつ一対のレール16及び一対の摺動部材24が夫々互いに平行に配置されているので、該一対の摺動部材24を一対のレール16のガイド溝26内に夫々配置することによって、車幅方向においてシェード22に生じる張力を均等に強めることができる。
【0038】
このとき、ガイド溝26の車幅方向内側に設けられている内壁部28により、シェード22に生じる車幅方向の張力を受け止めることができ、ガイド溝26の車両上側に設けられている上壁部32により、摺動部材24と内壁部28との当接部に生じるモーメントMを受け止めることができる。これにより、摺動部材24がガイド溝26から外れることがないので、車幅方向において、シェード22に安定的に張力を生じさせることができる。
【0039】
また一対の摺動部材24を弾性部材とすることにより、自然状態における該一対の摺動部材24の離間距離Bのばらつきを吸収することができる。このため、車幅方向においてシェード22に生じる張力を、容易に均等化することができる。
【0040】
ここで、シェード22に生じる張力及びその作用について説明する。図1に示されるように、車両12のルーフ13は、一般に車両上方に凸に湾曲しているため、図2に示されるように、本実施形態におけるレール16も、車両上方に凸に湾曲して形成されている。このように湾曲したレール16に沿ってシェード22を繰り出した場合、図4に示されるように、車両前後方向において、シェード22に張力FLが均等に生じる。従って、従来構造では、シェード22が、円弧の二点を結ぶ弦(図示せず)のように、レール16の形状に沿わずに短絡し易いため、図4において二点鎖線で示される等高線のように、垂れ下がって見え易い。
【0041】
しかしながら、本実施形態では、車幅方向においてシェード22に生ずる張力FWを均等に強めることができるので、該シェード22の中央部の高さ位置を、車両上方(矢印U方向)に引き上げて、垂れ下がりを抑制することができる。従って、車両上方に凸に湾曲している車両12のルーフ13(図1)に沿ってシェード22を繰り出すことができ、かつ繰り出されたシェード22の垂れ下がりを抑制することができる。このため、使用時におけるシェード22の見栄えを向上させることができる。特に、シェード22が車両前後方向に長い大型のタイプである場合に有効である。
【0042】
[第2実施形態]
図5において、本実施の形態に係る車両用シェード装置20では、一対のレール16の離間距離Aが一定とされ、自然状態における一対の摺動部材24の離間距離Bは、シェード22の繰出し方向(車両前後方向)位置によって漸次変化している。図示の例では、一対の摺動部材24が、車幅方向内側に向かって凸に夫々湾曲しており、シェード22の車幅方向の中央を基準として線対称に配置されている。具体的には、一対のレール16の離間距離Aは、一対の摺動部材24の離間距離Bよりも、幅C(片側につきC/2)だけ大きく設定されている。従って、一対の摺動部材24を一対のレール16のガイド溝26内に夫々配置した際には、幅Cだけシェード22が車幅方向に引き伸ばされることとなる。なお、幅Cの大きさは、シェード22に必要とされる車幅方向の張力に応じて設定されている。
【0043】
本実施形態によれば、一対のレール16の離間距離Aが一定であるのに対し、一対の摺動部材24の離間距離Bがシェード22の繰出し方向位置によって漸次変化しており、該離間距離Bが最も小さい位置において、シェード22に生ずる車幅方向の張力が最も強まる。一方、離間距離Bは、シェード22の前端及び後端に向かって漸増し、離間距離Aに近づいて行くので、シェード22に生ずる車幅方向の張力は次第に弱くなって行く。なお、シェード22の前端及び後端においては、車幅方向の張力が弱くても、車両前後方向の張力FLが作用することから、垂れ下がりは生じ難い(図4参照)。
【0044】
従って、車幅方向においてシェード22に生じる張力を、シェード22の繰出し方向位置に応じて、例えば連続的に変化させることができる。これにより、摺動部材24とレール16のガイド溝26との間の摺動抵抗は、上記シェード22の車幅方向の張力が強いところで大きくなり、弱いところで小さくなる。このように摺動部材24とレール16のガイド溝26との摺動抵抗を調整することにより、シェード22の巻取り時及び繰出し時における作動不良等のリスクを低減することができる。
【0045】
(変形例)
図6に示される変形例では、一対のレール16の離間距離Aが一定とされ、自然状態における一対の摺動部材24の離間距離Bは、シェード22の繰出し方向(車両前後方向)位置によって局所的に変化している。
【0046】
図示の例では、一対の摺動部材24の離間距離Bが、車両前後方向における例えば1箇所において、局所的に小さくなるように設定され、その位置からシェード22の前端及び後端に向かって、離間距離Bが夫々漸増するように設定されている。なお、一対の摺動部材24の離間距離Bが局所的に小さくなる箇所は、2箇所以上であってもよい。
【0047】
本実施形態によれば、一対のレール16の離間距離Aが一定であるのに対し、一対の摺動部材24の離間距離Bがシェード22の繰出し方向位置によって局所的に変化しており、該離間距離Bが最も小さい位置において、シェード22に生ずる車幅方向の張力が局所的に強まる。一方、離間距離Bは、シェード22の前端及び後端に向かって漸増し、離間距離Aに近づいて行くので、シェード22に生ずる車幅方向の張力は次第に弱くなって行く。
【0048】
従って、車幅方向においてシェード22に生じる張力を、シェード22の繰出し方向位置に応じて局所的に変化させることができる。これにより、摺動部材24とレール16のガイド溝26(図3)との間の摺動抵抗は、上記シェード22の張力が強いところで局所的に大きくなり、弱いところで小さくなる。このように摺動部材24とレール16のガイド溝26との摺動抵抗を調整することにより、巻取り軸18の駆動モータ(図示せず)の負担を軽減すると共に、シェード22の巻取り時及び繰出し時における作動不良等のリスクを低減することができる。
【0049】
ここで、シェード22に生じる張力及びその作用について説明する。図7において、従来構造では、シェード22が、円弧の二点を結ぶ弦のように、レール16の形状に沿わずに短絡し易いため、二点鎖線で示される等高線のように、垂れ下がって見え易い。
【0050】
しかしながら、本変形例では、車幅方向においてシェード22に生ずる張力FW2を適度に強めると共に、張力FW1を局所的に更に強めることができるので、該シェード22の中央部の高さ位置を、車両上方(矢印U方向)に引き上げて、該シェード22の垂れ下がりを抑制することができる。このため、使用時におけるシェード22の見栄えを向上させることができる。
【0051】
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
なお、第2実施形態では、一定幅の摺動部材24を湾曲させるものとしたが、これに限られず、例えば一対の摺動部材24を互いに平行に配置し、シェード22の繰出し方向位置に応じて該摺動部材24の幅寸法を変化させてもよい。この構成の場合、摺動部材24の幅寸法が大きい位置で、車幅方向においてシェード22に生ずる張力を強めることができる。
【0053】
また第2実施形態では、一対のレール16の離間距離Aを一定とし、一対の摺動部材24の離間距離Bを、シェード22の繰出し方向位置に応じて変化させるものとしたが、これに限られず、例えば一対の摺動部材24の離間距離Bを一定とし、一対のレール16の離間距離Aを、該レール16の長手方向位置において変化させてもよい。
【0054】
即ち、一対のレール16の長手方向の少なくとも一部において、該一対のレール16の離間距離Aが、自然状態における一対の摺動部材24の離間距離Bよりも相対的に大きく設定されていればよい。
【0055】
なお、図3,図5,図6において、離間距離A,Bに対する幅Cの割合が大きくなっているが、これらの図は何れも説明のための模式図であり、幅Cの割合は図示のものに限られない。
【符号の説明】
【0056】
10 車両用シェード装置
16 レール
18 巻取り軸
20 車両用シェード装置
22 シェード
24 摺動部材
26 ガイド溝
A 一対のレールの離間距離
B 自然状態における一対の摺動部材の離間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延びるガイド溝が夫々形成され、該長手方向と交差する方向に互いに離間して配置された一対のレールと、
該レールの長手方向一端側に、該長手方向と交差する方向に配置された巻取り軸と、
該巻取り軸に巻取り可能とされ、使用時に該巻取り軸から繰り出されるシェードと、
該シェードに設けられ、該シェードの繰出し方向に延びると共に前記巻取り軸の軸方向に互いに離間し、前記一対のレールの前記ガイド溝内を夫々摺動可能とされた一対の摺動部材と、を有し、
前記一対のレールの長手方向の少なくとも一部において、該一対のレールの離間距離が、自然状態における前記一対の摺動部材の離間距離よりも相対的に大きく設定された車両用シェード装置。
【請求項2】
前記一対のレールの離間距離及び前記一対の摺動部材の離間距離は、夫々一定とされている請求項1に記載の車両用シェード装置。
【請求項3】
前記一対の摺動部材は、弾性部材である請求項2に記載の車両用シェード装置。
【請求項4】
前記一対のレールの離間距離は一定とされ、
自然状態における前記一対の摺動部材の離間距離は、前記シェードの繰出し方向位置によって漸次変化している請求項1に記載の車両用シェード装置。
【請求項5】
前記一対のレールの離間距離は一定とされ、
自然状態における前記一対の摺動部材の離間距離は、前記シェードの繰出し方向位置によって局所的に変化している請求項1に記載の車両用シェード装置。
【請求項6】
前記一対のレールは、車両上方に凸に湾曲して形成されている請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車両用シェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−230705(P2011−230705A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104257(P2010−104257)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)