説明

車両用デジタル電子二次ID

【課題】犯罪活動を抑止するために用いられる車両用デジタル電子二次IDを提供する。
【解決手段】車両用デジタル電子二次IDは、車両ナンバープレートを、一次車両ナンバープレートよりも見易く高い位置に表示するので、車両が犯罪行為の過程に巻き込まれた時に、周囲の人々により容易に気付かせることができる。また、車両が加速し、減速し、衝突し、または急ハンドルを切る時に作動させられるので、車両の操作安全性を高めるためにも使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用デジタル電子二次IDに関し、特に、犯罪を抑止すると共に車両操作中の安全性を高めるために、車両のナンバープレートに関連する情報を指示するセンサ駆動発光ダイオード(LED)表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、益々多くの人が、道路を利用する際に、バイクによる強盗、ひき逃げなどの路上犯罪の犠牲者になっている。このような問題の解決策は未だ得られていないので、路上犯罪発生率は、常に増加している。また車両は、犯罪行為の過程を助ける道具として、あるいは犯罪現場から逃走するための手段として、犯罪者によって利用されることが多い。犯罪のタイプには、強盗に加えて、誘拐も含まれる。
【0003】
通常、犯罪を起こそうとする者は、ある種の車両、例えば自動車またはオートバイを使用することにより、逃走の準備を行うものである。従来の車両ナンバープレートは容易に取り外され、或いは取り替えられるので、車両ナンバープレートは、特定されないように、犯罪を起こそうとする者によって変更される。その変更は、周囲の人々を間違った情報に導くために、車両ナンバープレートの全体あるいは一部を変えるものであるかもしれない。また、周囲の人々により情報が見られ或いは読まれるのを阻止するために、明るいライトを車両ナンバープレートの近くに取り付けて、より見え難くすることもある。更に、車両ナンバープレートを照明するライトは、同じ目的で、完全に取り外されるかもしれない。それ故、車両ナンバープレートに関する情報が不正確であるか、或いは読み取れないので、警察官達は混乱し、犯人を追跡するのが困難になる。
【0004】
別の状況では、ひき逃げまたは強盗などの犯罪を起こした者は、犯罪現場から慌てて離れるであろう。周囲の人々には、犯人の車両ナンバープレートを記録する時間が十分になく、そのため犯人は、特定されることなく犯罪現場から逃走する機会を得ることができる。更に、標準的な車両ナンバープレートは、小さく、相対的に地面から低いことが多いので、特に混乱時には、他者が認識することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、車両の移動変化を検知すると作動させられる、周囲の人々が見易いデジタル電子二次IDを提示することにより、犯罪を抑止する解決策を提供することである。本発明の別の目的は、車両操作時の安全表示を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両用デジタル電子二次IDに関する。本発明は、一次車両ナンバープレートよりも見易く高い位置で車両ナンバープレートを提示するので、犯罪活動を阻止するために使用され、車両が犯罪行為の過程に巻き込まれるならば、周囲の人々にそれをより簡単に気付かせることができる。更に、本発明は、車両が加速、減速、衝突、または急ハンドルを切るときに作動させられるので、車両操作中の安全性を高めるためにも使用される。
【0007】
本発明の一実施形態において、デジタル電子二次IDは、センサによって発生した信号を受け取ると、チップセットによって作動させられる発光ダイオード(LED)表示装置を含む。センサは、車両の加速および減速を検知することができる。LED表示装置は、減速によっても作動させられるので、警告ブレーキライトとしても兼ねる。また、車両と任意の他の物体の間で衝突が生じた時には、センサは衝撃を検知することができる。更に、センサは、車両の不安定な急ハンドルを検知することが可能である。
【0008】
本発明の別の実施形態において、デジタル電子二次IDの作動時に、LED表示装置は、車両ナンバープレートを、予め定められた時間だけ見えるようにして、周囲の人々に対して、車両に注意するように喚起する。
【0009】
本発明の別の実施形態において、LED表示装置は、車両の任意の箇所で使用できる。その光強度は、昼間にはっきりと見える程度に明るい。LED表示装置は、作動にエネルギをほとんど消費しないので、エネルギ効率的である。
【0010】
本発明の別の実施形態において、車両ナンバープレートに関する情報は、承認された人物によって、デジタル電子二次IDのチップセットに予めプログラミングされる。これにより、承認された人物のみがチップセットを供給、販売およびプログラミングすることが許可されるので、車両の承認操作が回避される。
【0011】
本発明の別の実施形態において、本デジタル電子二次IDは、2個のバッテリ電源によって電力が供給される。一次バッテリ電源は、ソーラパネルによって供給されるエネルギを蓄える充電可能なバッテリである。これは、バッテリの交換頻度を大幅に減少させ、ひいては環境的フットプリントを低減させることができるので、特に有用である。二次バッテリ電源は、一次バッテリ電源が消耗した時に、デジタル電子二次IDに電力を供給する充電不能なバッテリである。カーバッテリなどの車両用バッテリがある場合には、デジタル電子二次IDは、この車両用バッテリを、電力源として利用することができる。一次バッテリ電源および二次バッテリ電源が残り少なくなった時には、デジタル電子二次IDは、ビープ音により警告を外に発する。警告は、一次バッテリ電源が再充電され、或いは、二次バッテリ電源が新しいものと交換された時にのみ止まる。
【0012】
本発明の別の実施形態において、デジタル電子二次IDは、車両後部の高い位置、例えば自動車のリアガラスに取り付けられる。オートバイの場合には、運転手のヘルメット後部、テールバッグ、またはライダースジャケットの背中に取り付けられる。
【0013】
本発明の別の実施形態において、デジタル電子二次IDは、衝撃および振動に耐えるように設計および製造されているので、過酷な状況で利用することができる。また、外側容器はOリングにより密封されると共に、ケース貫通部がないので、湿気に耐えるようにも設計および製造されている。
【0014】
本発明は、添付図面を参照しつつ、この後の詳細な説明と併せて考察した時に、完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】車両用デジタル電子二次IDの完全なアセンブリを示す。
【図2】制御ユニット内におけるスイッチ、一次バッテリ電源、二次バッテリ電源、チップセット、およびセンサの位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、本明細書において、いくつかの実施形態および例証図面を用いて、一例として説明されるが、当業者であれば、本発明が説明される図面の実施形態に限定されるものではなく、また、様々な構成要素の範囲を提示するように意図されるものではないことを理解できる。また、本発明の一部を構成する幾つかの構成要素は、説明を容易にするために、ある図面には図示されておらず、また、そのような省略は、何らかの形で概略が述べられる実施形態を限定するものではない。当然のことながら、図面およびその詳細な説明は、本発明を、開示される特定の形態に限定するものではなく、反対に、本発明は、添付の請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれる全ての変形物、同等物、および変更物も含む。本明細書において用いられる見出しは、構成を目的とするためのものに過ぎず、説明または請求の範囲を限定するために使用されるものではない。本願全体で使用される「may」の語は、許可的な意味で使用される(即ち、〜する可能性がある、を意味する)のであり、義務的な意味で使用される(即ち、〜しなければならない、を意味する)ものではない。同様に、「include」、「including」、「includes」の語は、〜を含むことを意味するが、それに限定されるものではない。また、他に言及されていない限り、「a」または「an」の語は、「少なくとも1個」を意味し、「plurality」の語は、1個またはそれよりも多くを意味する。
【0017】
本発明によれば、犯罪活動を抑止するために使用される車両用デジタル電子二次IDが開示される。これは、デジタル電子二次IDが、車両ナンバープレートに関する情報を、一次車両ナンバープレートよりも見易く高い位置で示すことにより可能となるものであり、車両が犯罪行為の過程に巻き込まれた時に、周囲の人々に気付かせるために、デジタル電子二次IDはより見易くされる。また、デジタル電子二次IDは、変更または取替が容易ではない。更に、デジタル電子二次IDは、車両の加速、減速、衝突または急ハンドルにより作動させられるので、車両操作中の安全性を高めるためにも使用される。従って、デジタル電子二次IDは、減速の際に作動させられるので、警告ブレーキライトとしても作用する。
【0018】
図1および図2を参照すると、車両用デジタル電子二次IDの完全アセンブリを示しており、LED表示装置(10)と、LED表示装置の前側外周に沿って配置されるソーラパネル(11)と、本デジタル電子二次IDに埋設される制御ユニット(20)を含む。制御ユニットは、チップセット(25)と、センサ(26)と、充電可能なバッテリ電源(23)と、充電不能なバッテリ電源(24)と、スピーカー(22)を含む。
【0019】
図1を参照すると、LED表示装置(10)は、チップセット(25)と接続されると共に、チップセット(25)によって作動させられる。作動時に、LED表示装置(10)は点灯して、車両ナンバープレートを予め定められた時間だけ表示する。LED表示装置(10)は、任意の種類の車両の任意の位置に取り付けられて使用されることが可能である。好適には、車両後部の高い位置に取り付けられる。例えば、自動車のリアガラスに取り付けられてよい。別の例で、オートバイの場合には、オートバイのヘルメット後部、テールボックス、またはライダースジャケットの背中に取り付けられてよい。また、LED表示装置(10)は、強度が高い光を照射する性能を有しており、明るい太陽光の中でも、表示された情報を周囲の人々に気付かせることができる。それにも拘わらず、LED表示装置(10)は、作動に僅かな量の電気エネルギのみを必要とするので、エネルギ効率的である。
【0020】
次に図2を参照すると、チップセット(25)は、特定の車両について固有の車両ナンバープレートを含むように、予めプログラミングされる。チップセット(25)は、LED表示装置(10)およびセンサ(26)と接続される。チップセット(25)は、センサ(26)から出力された信号を受信した時に、LED表示装置(10)を作動させて点灯させる。チップセット(25)は、使用者が操作できないように、安全性が高められている。認証された者のみが、プログラミング可能であると共に、チップセット(25)に記憶された情報を変更できる。
【0021】
更に図2を参照すると、センサ(26)は、車両の移動変化を感知することが可能である。センサ(26)は、車両の加速および減速を検知することができる。その上、車両および任意の他の物体の間で衝突が生じた時に、センサ(26)は衝撃も検知する。それに加えて、センサ(26)は、車両の不安定な急ハンドルを検知することも可能である。そのような車両の移動における変化を検知すると、センサ(26)は、チップセット(25)に電気信号を出力し、LED表示装置(10)を始動させるようにチップセット(26)に指示する。従って、デジタル電子二次IDは、減速によって作動させられるので、二次的なブレーキライトとしても作用している。
【0022】
次に図2を参照すると、デジタル電子二次IDは、一次および二次バッテリ電源により、主に電力が供給される。カーバッテリなどの車両用バッテリがある場合には、デジタル電子二次IDは、この車両用バッテリから電力が供給されることも可能である。一次バッテリ電源は、充電可能なバッテリ電源(23)であり、二次バッテリ電源は、充電不能なバッテリ電源(24)である。充電可能なバッテリ電源(23)の化学エネルギは、ソーラパネル(11)によって供給される。図1に戻り参照すると、ソーラパネル(11)は、LED表示装置(10)の前側外周に沿って配置されており、太陽からの光エネルギを捕らえる共に、この光エネルギを電気エネルギに変換して、充電可能なバッテリ電源(23)に蓄える。バッテリの交換頻度が飛躍的に減少するので、これは特に有用である。充電不能なバッテリ電源(24)は、充電可能なバッテリ電源(23)が消耗した時に、デジタル電子二次IDに電力を供給するために、充電可能なバッテリ電源(23)の代用になる。充電可能なバッテリ電源(23)および充電不能なバッテリ電源(24)が略消耗すると、デジタル電子二次IDは、スピーカ(22)を通してビープ音で警告を発する。警告は、充電可能なバッテリ電源(23)が再充電され、或いは充電不能なバッテリ電源(24)が新しいものと取り替えられた時にのみ止む。
【0023】
車両用デジタル電子二次IDは、過酷な状況での使用が意図されている。従って、衝撃、振動および湿気に耐えるように設計および製造される。外側容器は、Oリングにより気象耐性を有するようにされており、制御ユニットは湿気から密封される。
【符号の説明】
【0024】
10 LED表示装置
11 ソーラパネル
20 制御ユニット
22 スピーカ
23 充電可能なバッテリ電源
24 充電不能なバッテリ電源
25 チップセット
26 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ナンバープレートを表示し、犯罪活動を抑止すると共に、車両の操作安全性を高めるために使用される車両用デジタル電子二次IDであって、
車両ナンバープレートを表示するLED表示装置(10)と、
承認された人物によって予めプログラミングされた車両ナンバープレート情報を含み、前記LED表示装置(10)を作動させるチップセット(25)と、
前記チップセット(25)と接続されており、車両の加速、減速、衝撃、または急ハンドルを検知するセンサ(26)と、
前記デジタル電子二次IDに電力を供給する充電可能なバッテリ電源(23)と、
光エネルギを電気エネルギに変換して、前記充電可能なバッテリ電源(23)に蓄えるソーラパネル(11)と、
前記充電可能なバッテリ電源(23)の代用となり、前記デジタル電子二次IDに電力を供給する充電不能なバッテリ電源(24)と、
前記充電可能なバッテリ電源(23)および前記充電不能なバッテリ電源(24)の消耗が近くなると、警告としてビープ音を発するスピーカ(22)とを含み、
前記チップセット(25)、前記センサ(26)、前記充電可能なバッテリ電源(23)、前記充電不能なバッテリ電源(24)、および前記スピーカ(22)は、制御ユニット(20)内部に構成されており、
前記ソーラパネル(11)は、前記LED表示装置(10)の前側外周に沿って配置されると共に、前記充電可能なバッテリ電源(23)と接続されており、
前記センサ(26)は、車両の加速、減速、衝撃、または急ハンドルを検知すると、前記チップセット(25)に信号を出力し、
前記チップセット(25)は、前記センサ(26)から前記信号を受信すると、前記LED表示装置(10)を予め定められた時間だけ作動させるデジタル電子二次ID。
【請求項2】
前記LED表示装置(10)は、前記車両の任意の位置に取り付けられる請求項1に記載のデジタル電子二次ID。
【請求項3】
前記LED表示装置(10)は、オートバイのヘルメット後部、テールボックス、およびライダースジャケットの背中に取り付けられる請求項1に記載のデジタル電子二次ID。
【請求項4】
前記LED表示装置(10)は、強い光強度を発生させる請求項1に記載のデジタル電子二次ID。
【請求項5】
前記充電可能なバッテリ電源(23)は、消耗した時に、前記充電不能なバッテリ電源(24)と置き換えられる請求項1に記載のデジタル電子二次ID。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−514235(P2013−514235A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544444(P2012−544444)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/SG2010/000178
【国際公開番号】WO2011/075079
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(512141851)グリーン 5 ホールディング プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】