車両用ドアハンドル装置
【課題】簡易な構成でハンドルグリップの回動終端位置において発生する衝突音を低減することができる車両用ドアハンドル装置を提供する。
【解決手段】フレーム4に固定されたガイド部材5は、ハンドルグリップ3の回動時にハンドルグリップ3の摺動部3g、3hをガイド部5a、5bに摺動させてハンドルグリップ3の回動軸方向への動きを規制する。そして、ガイド部材5には、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置においてハンドルグリップ3の当接部3i、3jを弾性的に当接させるストッパ部5e、5fが設けられる。
【解決手段】フレーム4に固定されたガイド部材5は、ハンドルグリップ3の回動時にハンドルグリップ3の摺動部3g、3hをガイド部5a、5bに摺動させてハンドルグリップ3の回動軸方向への動きを規制する。そして、ガイド部材5には、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置においてハンドルグリップ3の当接部3i、3jを弾性的に当接させるストッパ部5e、5fが設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ドアに設けられたハンドルグリップを操作することで、車両ドアのロックを解除し、車両ドアを開くようにした車両用ドアハンドル装置が広く知られている。こうした車両用ドアハンドル装置にあっては、車両ドアのドアパネルに固定されたフレームに対してハンドルグリップを回動自在に支持し、車両ドアの閉状態からハンドルグリップを回動させることで、車両ドアを閉位置にロックしているロックを解除して車両ドアを開状態にするようにしている。また、このように操作されるハンドルグリップは回動範囲が規制され、ハンドルグリップの車両ドア開操作方向の回動終端位置においてハンドルグリップに設けられた当接部がフレームに設けられたストッパに当接するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−227462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような車両用ドアハンドル装置では、車両ドアの開操作時にハンドルグリップが回動終端位置まで回動されて、ハンドルグリップの当接部がフレームのストッパに衝突し、衝突音が発生することがある。特に、勢いよく車両ドアを開操作するときはこの衝突音が大きくなるため、品位を損なうという問題があった。この場合、ハンドルグリップの当接部又はフレームのストッパにゴム等の緩衝材を取り付けるという手法が考えられるが、部品点数を単純に増加させてしまい、コストアップするという問題がある。
【0004】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成でハンドルグリップの回動終端位置において発生する衝突音を低減することができる車両用ドアハンドル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両ドアのドアパネルに固定されるフレームと、同フレームに対して回動自在に支持され前記車両ドアの開操作時の把持部となるハンドルグリップと、前記車両ドアを閉位置にロックするドアロック機構とを備え、前記車両ドアの開操作時に前記車両ドアの閉状態から前記ハンドルグリップを回動させることで前記ドアロック機構によるロックを解除して前記車両ドアを開状態とする車両用ドアハンドル装置において、前記ハンドルグリップの回動時に同ハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制するガイド部材を前記フレームに固定し、前記ガイド部材に前記ハンドルグリップの車両ドア開操作方向の回動終端位置において前記ハンドルグリップと弾性的に当接するストッパ部を設けることを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記ガイド部材は、前記ハンドルグリップを弾性的に挟持して前記ハンドルグリップの回動軸方向への動きを規制することを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記ガイド部材は、前記フレームの材料よりも硬度の低い材料で形成されることを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記ハンドルグリップは、同ハンドルグリップの長手方向の一端側に前記フレームに対して回動自在に支持される回動部を有し、他端側にドアロック機構と連動する連動部及び前記回動終端位置において前記ガイド部材の前記ストッパ部と当接する当接部を有することを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記フレームは、前記ハンドルグリップの回動軸から離隔する同ハンドルグリップの長手方向先端部を回動軸方向に挟み込むように対向配置された一対の固定壁部を有し、前記ガイド部材は、前記一対の固定壁部に固定されていることを要旨とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記フレームは、前記一対の固定壁部に一体形成され、これら一対の固定壁部を連絡する連結壁部を有することを要旨とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記連結壁部に取着され、前記ハンドルグリップの車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において前記ハンドルグリップの対向面と弾性的に当接する緩衝部材を備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、フレームに固定されたガイド部材は、ハンドルグリップの回動時にハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制するとともに、ハンドルグリップの車両ドア開操作方向の回動終端位置においてハンドルグリップと弾性的に当接するストッパ部を有する。
【0013】
このため、ハンドルグリップの回動終端位置においてガイド部材のストッパ部がハンドルグリップに対して弾性的に当接するので、回動終端位置におけるストッパ部とハンドルグリップとの衝突音を低減することができる。また、ガイド部材にストッパ部を一体的に形成したため、新たにストッパ用の部材を設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。また、ガイド部材をフレームとは別部材で構成しているため、フレームを強度の優れた材料で形成する一方、ガイド部材を摺動性に優れた材料で形成するといった設計上の自由度を大きくすることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、ガイド部材はハンドルグリップを弾性的に挟持するように構成されてハンドルグリップの回動軸方向への動きを規制するため、ハンドルグリップの回動軸方向におけるガタ量を極力なくすようにすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、ガイド部材はフレームの材料よりも硬度の低い材料で形成されるため、フレームの強度を確保しつつ、ガイド部材のストッパ部を弾性変形させ易くすることができる。このため、ハンドルグリップの回動終端位置におけるストッパ部とハンドルグリップとの衝突音を低減することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、長尺状を呈したハンドルグリップを用いる車両用ドアハンドル装置に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明を好適に利用することができるとともに、ハンドルグリップの回動部、連動部及び当接部を効率的に配置することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、前記一対の固定壁部に固定される前記ガイド部材は、前記ハンドルグリップの回動軸から離隔する同ハンドルグリップの長手方向先端部において同ハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制する。従って、前記ガイド部材は、回動時のガタツキの大きい前記ハンドルグリップの長手方向先端部において、同ハンドルグリップの回動軸方向への動き(ガタツキ)を好適に規制することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、前記一対の固定壁部は、前記連結壁部により連絡されることで、開口端の閉じた骨格形状をなして高剛性な構造とされる。従って、例えば前記ハンドルグリップの回動時に、同ハンドルグリップのねじれによって前記一対の固定壁部が変形したりすることを抑制でき、ひいては同ハンドルグリップのガタツキを抑制することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、前記ハンドルグリップは、車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において前記連結壁部に取着された前記緩衝部材とその対向面において弾性的に当接することで、前記緩衝部材とハンドルグリップの対向面との衝突音を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、図1〜6を参照して、本発明にかかる車両用ドアハンドル装置の第1の実施形態について説明する。
【0021】
図1に、車両の側部に設けられた車両ドア1の斜視図を示す。車両ドア1は、ドアパネル2を備えており、ドアパネル2には、車両ドアの開操作時の把持部となるハンドルグリップ3が設けられる。図2に、車両ドア1が閉状態にあるときの図1におけるA−A線に沿う断面図を示す。車両用ドアハンドル装置11は、ドアパネル2の内側に設けられたフレーム4と、ドアパネル2の外側に設けられたハンドルグリップ3と、フレーム4に固定されたガイド部材5とを備える。
【0022】
フレーム4は、車両の前後方向に延在し、ナット12及びボルト13によって、ドアパネル2に固定される。フレーム4は、ハンドルグリップ3を支持するため、強度の優れた材料、例えばガラスファイバーを混入した樹脂により形成される。フレーム4には、その長手方向の両端に2つの開口部4a、4bが設けられる。なお、ドアパネル2には、フレーム4の開口部4a、4bに対応した位置に開口部2a、2bが設けられる。また、フレーム4は、ハンドルグリップ3の回動軸から離隔する側(図2の右側)に配置された一方の開口部4bにおいて、同ハンドルグリップの長手方向先端部を回動軸方向に挟み込むように対向配置された板状の一対の固定壁部4d、4eを形成する(図5参照)。
【0023】
ハンドルグリップ3は、外形が長尺状を呈し、一端側にフレーム4に対して回動自在に支持される回動部3aを備え、他端側にドアロック機構と連動する連動部3bを備える。ハンドルグリップ3の回動部3aは、ハンドルグリップ3の外観部3cの一端側から延設された脚部3dの先端に設けられる。ハンドルグリップ3の脚部3dは、ドアパネル2の開口部2a及びフレーム4の開口部4aに挿入され、ハンドルグリップ3の回動部3aが、フレーム4に設けられた支持部4cによって回動自在に支持される。
【0024】
ハンドルグリップ3の連動部3bは、外観部3cの他端側から延設された脚部3eの先端に設けられる。ハンドルグリップ3の脚部3eは、ドアパネル2の開口部2b及びフレーム4の開口部4bに挿入され、ハンドルグリップ3の連動部3bが、ベルクランクアーム14に係合される。ベルクランクアーム14は、ドアパネル2の内側に設けられたドアロック機構(図示省略)に連結されている。なお、脚部3e等は、ハンドルグリップ3の回動軸から離隔する同ハンドルグリップ3の長手方向先端部を構成する。
【0025】
ガイド部材5は、フレーム4の開口部4bの近傍に設けられ、フレーム4に対して固定される。ガイド部材5は、ハンドルグリップ3の回動時にハンドルグリップ3の脚部3eを摺動させて回動軸方向への動きを規制するように構成されている。このため、ガイド部材5は摺動性に優れた材料により形成される。また、ガイド部材5はフレーム4の材料よりも硬度の低い材料で形成される。
【0026】
図3にガイド部材5の斜視図を、図4にハンドルグリップ3の脚部3eの斜視図を、図5に図3のB−B線における車両用ドアハンドル装置11の断面図を、図6に図5の要部拡大図を示す。図5(a)はハンドルグリップ3の非操作位置における断面図、図5(b)はハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置における断面図である。
【0027】
ガイド部材5は、対向配置された一対の腕部5i、5jと、これら両腕部5i、5jを連結する橋絡部5kとを一体的に有して外形が略U字状を呈し、前記一対の固定壁部4d、4e間に挟み入れられる態様でフレーム4に固定される。すなわち、図5に示したように、一対の腕部5i、5jは、一対の固定壁部4d、4e間の距離と同等の距離を隔てて対向配置されており、同腕部5i、5jの先端には、互いの対向する内側に突出する断面コ字状の嵌合部5l、5mが形成されている。一方、フレーム4には、開口部4bの外側開口端において、一対の固定壁部4d、4eの対向する内側に突出する嵌合突部4f、4gが形成されている。ガイド部材5は、各腕部5i、5jが固定壁部4d、4eに当接され、各嵌合部5l、5mに嵌合突部4f、4gが嵌合されて、フレーム4に固定される。このとき、ハンドルグリップ3の脚部3e等は、一対の腕部5i、5jにより回動軸方向(図5の左右方向)に挟まれる態様で配置される。
【0028】
ガイド部材5(嵌合部5l、5m)の内側の対向する面にはそれぞれ突起状に形成されたガイド部5a、5bが対峙するように設けられる。ガイド部5a、5bは、ハンドルグリップ3の脚部3eの摺動部3g、3hと摺動することによって、ハンドルグリップ3の回動軸方向(図5中の実線矢印方向)への動きを規制する。ここで、ガイド部材5のガイド部5aの頂点からガイド部5bの頂点までの距離Dは、脚部3eの摺動部3gから摺動部3hまでの距離dより小さく設定される。また、ガイド部5a、5bの裏面にはそれぞれ空洞部5c、5dが設けられ、ガイド部5a、5bが外側に向かって弾性変形容易に構成されている。これにより、ガイド部材5のガイド部5a、5bは、ハンドルグリップ3の脚部3eを弾性的に挟持し、ハンドルグリップ3の回動軸方向のガタ量をなくすことができる。
【0029】
また、ガイド部材5は、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動範囲を規制するように構成されている。ハンドルグリップ3の脚部3eの先端には当接部3i、3jが設けられ、ガイド部材5にはストッパ部5e、5fが設けられる。図5(b)に示すように、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置において、ハンドルグリップ3の当接部3i、3jが、ガイド部材5のストッパ部5e、5fにそれぞれ当接することによって、ハンドルグリップ3の回動範囲が規制される。ここで、ガイド部材5のストッパ部5e、5fの裏側(図5示上側)にはそれぞれ空洞部5g、5hが設けられ、ストッパ部5e、5fが裏側に向かって弾性変形容易に構成されている。これにより、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置において、ハンドルグリップ3の当接部3i、3jがガイド部材5のストッパ部5e、5fに弾性的に当接し、ストッパ部5e、5fと当接部3i、3jとの衝突音を低減することができる。
【0030】
次に、車両用ドアハンドル装置11の作用について説明する。車両ドア1を開操作するときは、車両ドア1の閉状態からハンドルグリップ3を把持して車両ドア1の外側に引っ張る。すると、ハンドルグリップ3は回動部3aを中心に回動を開始し、ハンドルグリップ3の摺動部3g、3hはガイド部材5のガイド部5a、5bに摺動しながら作動を開始する(図5(a))。また、ハンドルグリップ3の回動に伴って、ハンドルグリップ3の連動部3bはベルクランクアーム14を作動させ、ベルクランクアーム14はドアロック機構のラッチ機構を駆動する。そして、ハンドルグリップ3が所定角度回動すると、ドアロック機構のロックが解除される。これにより、車両ドア1を開状態とし、車両ドア1の開方向への作動が可能となる。
【0031】
ハンドルグリップ3は、ドアロック機構によるロックを解除した後も開操作方向に回動できるように構成されている。ハンドルグリップ3の開操作方向への回動操作を続けると、ハンドルグリップ3が所定角度回動した位置で、ハンドルグリップ3の当接部3i、3jがガイド部材5のストッパ部5e、5fに当接する(図5(b))。これにより、ハンドルグリップ3の開操作方向への回動範囲が規制される。
【0032】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置において、ハンドルグリップ3の当接部3i、3jがガイド部材5のストッパ部5e、5fに弾性的に当接する。このため、回動終端位置において発生する当接部3i、3jとストッパ部5e、5fとの衝突音を低減することができる。
【0033】
(2)上記実施形態では、ガイド部材5のガイド部5a、5bはハンドルグリップ3の摺動部3g、3hを弾性的に挟持し、ハンドルグリップ3の回動軸方向への動きを規制する。このため、ハンドルグリップ3の回動時に、ハンドルグリップ3に対して大きな負荷を与えることなく回動軸方向のガタ量をなくすことができる。また、ガイド部5a、5bが摺動部3g、3hを弾性的に挟持しているため、ガイド部5aの頂点からガイド部5bの頂点までの距離D及び脚部3eの摺動部3gから摺動部3hまでの距離dの製品ばらつきを吸収して、ハンドルグリップ3の回動軸方向のガタ量をなくすことができる。
【0034】
(3)上記実施形態では、ハンドルグリップ3の脚部3eの回動軸方向への動きを規制するためのガイド部材5に、弾性変形容易なストッパ部5e、5fを設けている。このため、衝突音を低減させるためのストッパ部材を新たに設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
【0035】
(4)上記実施形態では、ガイド部材5はフレーム4の材料よりも硬度の低い材料で形成される。このため、フレーム4の強度を確保しつつ、ガイド部材5のストッパ部5e、5fを弾性変形させ易くすることができるので、ハンドルグリップ3の回動終端位置において発生する当接部3i、3jとストッパ部5e、5fとの衝突音を低減することができる。また、ガイド部材5のガイド部5a、5bも弾性変形させ易くすることができるため、ハンドルグリップ3の回動時にハンドルグリップ3に与える負荷を抑えることができる。
【0036】
(5)上記実施形態では、フレーム4を強度の優れた材料により形成し、ガイド部材5を摺動性に優れた材料で形成している。このように、フレーム4とガイド部材5とを一体的に形成する場合と比べて、材料選択の自由度を大きくすることができる。
【0037】
(6)上記実施形態では、一対の固定壁部4d、4eに固定されるガイド部材5は、ハンドルグリップ3の回動軸から離隔する同ハンドルグリップ3の長手方向先端部(脚部3e)において同ハンドルグリップ3を摺動させて回動軸方向への動きを規制する。従って、ガイド部材5は、回動時のガタツキの大きいハンドルグリップ3の長手方向先端部において、同ハンドルグリップ3の回動軸方向への動き(ガタツキ)を好適に規制することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
以下、図7〜10を参照して、本発明にかかる車両用ドアハンドル装置の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、フレーム4の一対の固定壁部4d、4eを連絡して高剛性化を図ったことが前記第1の実施形態と異なる。つまり、前記第1の実施形態のように、板状の一対の固定壁部4d、4eにガイド部材5を固定し、同ガイド部材5でハンドルグリップ3の回動軸方向への動きを規制する構造では、例えばハンドルグリップ3の回動時にねじれが生じると、ガイド部材5とともに一対の固定壁部4d、4eが変形し、同ハンドルグリップ3にガタツキが生じることがある。本実施形態では、こうした実情に鑑み、ハンドルグリップ3の回動時のガタツキを抑制することを目的とするものである。なお、説明の便宜上、前記第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を一部省略する。
【0039】
図7に、車両ドア1が閉状態にあるときの図1におけるA−A線に沿う断面図を、図8に図7のC−C線における車両用ドアハンドル装置11の断面図を、図9及び図10にガイド部材5の組み付けられるフレーム4の底面図及び斜視図を示す。図8(a)はハンドルグリップ3の非操作位置(開操作方向とは反対方向の回動終端位置)における断面図、図8(b)はハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置における断面図である。また、図10(a)(b)は、フレーム4に対するガイド部材5の組み付けの前後の各状態の斜視図である。
【0040】
本実施形態のフレーム4は、一対の固定壁部4d、4eに一体形成され、これら一対の固定壁部4d、4eを連絡する連結壁部4hを有する。この連結壁部4hは、開口部4bの内側開口端において、一対の固定壁部4d、4eの対向する内側に延出して両固定壁部4d、4eを連絡している。図9に示したように、連結壁部4hは、その長手方向(図9の上下方向)中央部からハンドルグリップ3の回動軸側(図9の左側)に延出する延出部4iを有してY字形状を呈しており、同延出部4iには、弾性材(例えばゴム材)からなる緩衝部材6が装着されている。
【0041】
図8(a)に示すように、ハンドルグリップ3は、車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において、ドアパネル2の開口部2b周縁部に沿って接合された緩衝ゴム7とその対向面において当接する。これにより、ハンドルグリップ3が、車両ドア開操作方向の反対方向へと過剰に回動(戻り回動)することが防止される。このとき、緩衝ゴム7は、ハンドルグリップ3の対向面と弾性的に当接するとともに、前記緩衝部材6は、ハンドルグリップ3(脚部3e等)の対向面3kと弾性的に当接する。つまり、これら緩衝部材6及び緩衝ゴム7は、ハンドルグリップ3が、車両ドア開操作方向の反対方向の回動終端位置へと回動(戻り回動)した際に、その衝撃を協同して緩和する。換言すれば、緩衝部材6は、ハンドルグリップ3の衝撃を分散させる役割を担っている。
【0042】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、一対の固定壁部4d、4eは、連結壁部4hにより連絡されることで、開口端の閉じた骨格形状をなして高剛性な構造とされる。従って、例えばハンドルグリップ3の回動時に、同ハンドルグリップ3のねじれによって一対の固定壁部4d、4eが変形したりすることを抑制でき、ひいては同ハンドルグリップ3のガタツキを抑制することができる。
【0043】
(2)本実施形態では、ハンドルグリップ3は、車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において連結壁部4h(延出部4i)に取着された緩衝部材6とその対向面3kにおいて弾性的に当接することで、緩衝部材6とハンドルグリップ3の対向面3kとの衝突音を低減することができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、本発明に係る車両用ドアハンドル装置を車両の側部に設けられた車両ドア1に適用したが、車両の後部に設けられるバックドアに適用してもよい。
【0045】
・上記実施形態では、ハンドルグリップ3をグリップ式のドアハンドルとしたが、フラップ式のドアハンドルとしてもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材5にストッパ部5e、5fを2箇所設けているが、ストッパ部は1箇所のみでもよく、3箇所以上設けてもよい。
【0046】
・上記実施形態では、ガイド部材5はフレーム4の材料よりも硬度の低い材料で形成されているが、硬度に関係なくガイド部材5及びフレーム4の材料選択をしてもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材5のガイド部5a、5bがハンドルグリップ3の摺動部3g、3hを弾性的に挟持しているが、ガイド部5a、5bと摺動部3g、3hとの間に隙間を設けるように構成してもよい。
【0047】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・車両ドアのドアパネルに固定されるフレームと、同フレームに対して回動自在に支持され前記車両ドアの開操作時の把持部となるハンドルグリップとを備え、前記車両ドアの開操作時に前記車両ドアの閉状態から前記ハンドルグリップを回動させることでドアロック機構による前記車両ドアの閉位置へのロックを解除して同車両ドアを開状態とする車両用ドアハンドル装置において、
前記フレームに形成され、前記ハンドルグリップの回動軸から離隔する同ハンドルグリップの長手方向先端部を回動軸方向に挟み込むように対向配置された一対の固定壁部と、
前記一対の固定壁部に固定され、前記ハンドルグリップの回動時に同ハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制するガイド部材と、
を備えたことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】車両ドアを示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態の図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】ガイド部材の斜視図である。
【図4】ハンドルグリップの脚部の斜視図である。
【図5】(a)、(b)は図3のB−B線における車両用ドアハンドル装置の断面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】第2の実施形態の図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図8】(a)、(b)は図7のC−C線における車両用ドアハンドル装置の断面図である。
【図9】ガイド部材の組み付けられたフレームの底面図である。
【図10】(a)、(b)はフレームに対するガイド部材の組み付けの前後の各状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1…車両ドア、2…ドアパネル、3…ハンドルグリップ、3a…回動部、3b…連動部、3g,3h…摺動部、3i,3j…当接部、3k…対向面、4…フレーム、4b…開口部、4d,4e…固定壁部、4h…連結壁部、4i…延出部、5…ガイド部材、5a,5b…ガイド部、5e,5f…ストッパ部、6…緩衝部材、11…車両用ドアハンドル装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ドアに設けられたハンドルグリップを操作することで、車両ドアのロックを解除し、車両ドアを開くようにした車両用ドアハンドル装置が広く知られている。こうした車両用ドアハンドル装置にあっては、車両ドアのドアパネルに固定されたフレームに対してハンドルグリップを回動自在に支持し、車両ドアの閉状態からハンドルグリップを回動させることで、車両ドアを閉位置にロックしているロックを解除して車両ドアを開状態にするようにしている。また、このように操作されるハンドルグリップは回動範囲が規制され、ハンドルグリップの車両ドア開操作方向の回動終端位置においてハンドルグリップに設けられた当接部がフレームに設けられたストッパに当接するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−227462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような車両用ドアハンドル装置では、車両ドアの開操作時にハンドルグリップが回動終端位置まで回動されて、ハンドルグリップの当接部がフレームのストッパに衝突し、衝突音が発生することがある。特に、勢いよく車両ドアを開操作するときはこの衝突音が大きくなるため、品位を損なうという問題があった。この場合、ハンドルグリップの当接部又はフレームのストッパにゴム等の緩衝材を取り付けるという手法が考えられるが、部品点数を単純に増加させてしまい、コストアップするという問題がある。
【0004】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成でハンドルグリップの回動終端位置において発生する衝突音を低減することができる車両用ドアハンドル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両ドアのドアパネルに固定されるフレームと、同フレームに対して回動自在に支持され前記車両ドアの開操作時の把持部となるハンドルグリップと、前記車両ドアを閉位置にロックするドアロック機構とを備え、前記車両ドアの開操作時に前記車両ドアの閉状態から前記ハンドルグリップを回動させることで前記ドアロック機構によるロックを解除して前記車両ドアを開状態とする車両用ドアハンドル装置において、前記ハンドルグリップの回動時に同ハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制するガイド部材を前記フレームに固定し、前記ガイド部材に前記ハンドルグリップの車両ドア開操作方向の回動終端位置において前記ハンドルグリップと弾性的に当接するストッパ部を設けることを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記ガイド部材は、前記ハンドルグリップを弾性的に挟持して前記ハンドルグリップの回動軸方向への動きを規制することを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記ガイド部材は、前記フレームの材料よりも硬度の低い材料で形成されることを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記ハンドルグリップは、同ハンドルグリップの長手方向の一端側に前記フレームに対して回動自在に支持される回動部を有し、他端側にドアロック機構と連動する連動部及び前記回動終端位置において前記ガイド部材の前記ストッパ部と当接する当接部を有することを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記フレームは、前記ハンドルグリップの回動軸から離隔する同ハンドルグリップの長手方向先端部を回動軸方向に挟み込むように対向配置された一対の固定壁部を有し、前記ガイド部材は、前記一対の固定壁部に固定されていることを要旨とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記フレームは、前記一対の固定壁部に一体形成され、これら一対の固定壁部を連絡する連結壁部を有することを要旨とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両用ドアハンドル装置において、前記連結壁部に取着され、前記ハンドルグリップの車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において前記ハンドルグリップの対向面と弾性的に当接する緩衝部材を備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、フレームに固定されたガイド部材は、ハンドルグリップの回動時にハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制するとともに、ハンドルグリップの車両ドア開操作方向の回動終端位置においてハンドルグリップと弾性的に当接するストッパ部を有する。
【0013】
このため、ハンドルグリップの回動終端位置においてガイド部材のストッパ部がハンドルグリップに対して弾性的に当接するので、回動終端位置におけるストッパ部とハンドルグリップとの衝突音を低減することができる。また、ガイド部材にストッパ部を一体的に形成したため、新たにストッパ用の部材を設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。また、ガイド部材をフレームとは別部材で構成しているため、フレームを強度の優れた材料で形成する一方、ガイド部材を摺動性に優れた材料で形成するといった設計上の自由度を大きくすることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、ガイド部材はハンドルグリップを弾性的に挟持するように構成されてハンドルグリップの回動軸方向への動きを規制するため、ハンドルグリップの回動軸方向におけるガタ量を極力なくすようにすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、ガイド部材はフレームの材料よりも硬度の低い材料で形成されるため、フレームの強度を確保しつつ、ガイド部材のストッパ部を弾性変形させ易くすることができる。このため、ハンドルグリップの回動終端位置におけるストッパ部とハンドルグリップとの衝突音を低減することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、長尺状を呈したハンドルグリップを用いる車両用ドアハンドル装置に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明を好適に利用することができるとともに、ハンドルグリップの回動部、連動部及び当接部を効率的に配置することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、前記一対の固定壁部に固定される前記ガイド部材は、前記ハンドルグリップの回動軸から離隔する同ハンドルグリップの長手方向先端部において同ハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制する。従って、前記ガイド部材は、回動時のガタツキの大きい前記ハンドルグリップの長手方向先端部において、同ハンドルグリップの回動軸方向への動き(ガタツキ)を好適に規制することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、前記一対の固定壁部は、前記連結壁部により連絡されることで、開口端の閉じた骨格形状をなして高剛性な構造とされる。従って、例えば前記ハンドルグリップの回動時に、同ハンドルグリップのねじれによって前記一対の固定壁部が変形したりすることを抑制でき、ひいては同ハンドルグリップのガタツキを抑制することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、前記ハンドルグリップは、車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において前記連結壁部に取着された前記緩衝部材とその対向面において弾性的に当接することで、前記緩衝部材とハンドルグリップの対向面との衝突音を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、図1〜6を参照して、本発明にかかる車両用ドアハンドル装置の第1の実施形態について説明する。
【0021】
図1に、車両の側部に設けられた車両ドア1の斜視図を示す。車両ドア1は、ドアパネル2を備えており、ドアパネル2には、車両ドアの開操作時の把持部となるハンドルグリップ3が設けられる。図2に、車両ドア1が閉状態にあるときの図1におけるA−A線に沿う断面図を示す。車両用ドアハンドル装置11は、ドアパネル2の内側に設けられたフレーム4と、ドアパネル2の外側に設けられたハンドルグリップ3と、フレーム4に固定されたガイド部材5とを備える。
【0022】
フレーム4は、車両の前後方向に延在し、ナット12及びボルト13によって、ドアパネル2に固定される。フレーム4は、ハンドルグリップ3を支持するため、強度の優れた材料、例えばガラスファイバーを混入した樹脂により形成される。フレーム4には、その長手方向の両端に2つの開口部4a、4bが設けられる。なお、ドアパネル2には、フレーム4の開口部4a、4bに対応した位置に開口部2a、2bが設けられる。また、フレーム4は、ハンドルグリップ3の回動軸から離隔する側(図2の右側)に配置された一方の開口部4bにおいて、同ハンドルグリップの長手方向先端部を回動軸方向に挟み込むように対向配置された板状の一対の固定壁部4d、4eを形成する(図5参照)。
【0023】
ハンドルグリップ3は、外形が長尺状を呈し、一端側にフレーム4に対して回動自在に支持される回動部3aを備え、他端側にドアロック機構と連動する連動部3bを備える。ハンドルグリップ3の回動部3aは、ハンドルグリップ3の外観部3cの一端側から延設された脚部3dの先端に設けられる。ハンドルグリップ3の脚部3dは、ドアパネル2の開口部2a及びフレーム4の開口部4aに挿入され、ハンドルグリップ3の回動部3aが、フレーム4に設けられた支持部4cによって回動自在に支持される。
【0024】
ハンドルグリップ3の連動部3bは、外観部3cの他端側から延設された脚部3eの先端に設けられる。ハンドルグリップ3の脚部3eは、ドアパネル2の開口部2b及びフレーム4の開口部4bに挿入され、ハンドルグリップ3の連動部3bが、ベルクランクアーム14に係合される。ベルクランクアーム14は、ドアパネル2の内側に設けられたドアロック機構(図示省略)に連結されている。なお、脚部3e等は、ハンドルグリップ3の回動軸から離隔する同ハンドルグリップ3の長手方向先端部を構成する。
【0025】
ガイド部材5は、フレーム4の開口部4bの近傍に設けられ、フレーム4に対して固定される。ガイド部材5は、ハンドルグリップ3の回動時にハンドルグリップ3の脚部3eを摺動させて回動軸方向への動きを規制するように構成されている。このため、ガイド部材5は摺動性に優れた材料により形成される。また、ガイド部材5はフレーム4の材料よりも硬度の低い材料で形成される。
【0026】
図3にガイド部材5の斜視図を、図4にハンドルグリップ3の脚部3eの斜視図を、図5に図3のB−B線における車両用ドアハンドル装置11の断面図を、図6に図5の要部拡大図を示す。図5(a)はハンドルグリップ3の非操作位置における断面図、図5(b)はハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置における断面図である。
【0027】
ガイド部材5は、対向配置された一対の腕部5i、5jと、これら両腕部5i、5jを連結する橋絡部5kとを一体的に有して外形が略U字状を呈し、前記一対の固定壁部4d、4e間に挟み入れられる態様でフレーム4に固定される。すなわち、図5に示したように、一対の腕部5i、5jは、一対の固定壁部4d、4e間の距離と同等の距離を隔てて対向配置されており、同腕部5i、5jの先端には、互いの対向する内側に突出する断面コ字状の嵌合部5l、5mが形成されている。一方、フレーム4には、開口部4bの外側開口端において、一対の固定壁部4d、4eの対向する内側に突出する嵌合突部4f、4gが形成されている。ガイド部材5は、各腕部5i、5jが固定壁部4d、4eに当接され、各嵌合部5l、5mに嵌合突部4f、4gが嵌合されて、フレーム4に固定される。このとき、ハンドルグリップ3の脚部3e等は、一対の腕部5i、5jにより回動軸方向(図5の左右方向)に挟まれる態様で配置される。
【0028】
ガイド部材5(嵌合部5l、5m)の内側の対向する面にはそれぞれ突起状に形成されたガイド部5a、5bが対峙するように設けられる。ガイド部5a、5bは、ハンドルグリップ3の脚部3eの摺動部3g、3hと摺動することによって、ハンドルグリップ3の回動軸方向(図5中の実線矢印方向)への動きを規制する。ここで、ガイド部材5のガイド部5aの頂点からガイド部5bの頂点までの距離Dは、脚部3eの摺動部3gから摺動部3hまでの距離dより小さく設定される。また、ガイド部5a、5bの裏面にはそれぞれ空洞部5c、5dが設けられ、ガイド部5a、5bが外側に向かって弾性変形容易に構成されている。これにより、ガイド部材5のガイド部5a、5bは、ハンドルグリップ3の脚部3eを弾性的に挟持し、ハンドルグリップ3の回動軸方向のガタ量をなくすことができる。
【0029】
また、ガイド部材5は、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動範囲を規制するように構成されている。ハンドルグリップ3の脚部3eの先端には当接部3i、3jが設けられ、ガイド部材5にはストッパ部5e、5fが設けられる。図5(b)に示すように、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置において、ハンドルグリップ3の当接部3i、3jが、ガイド部材5のストッパ部5e、5fにそれぞれ当接することによって、ハンドルグリップ3の回動範囲が規制される。ここで、ガイド部材5のストッパ部5e、5fの裏側(図5示上側)にはそれぞれ空洞部5g、5hが設けられ、ストッパ部5e、5fが裏側に向かって弾性変形容易に構成されている。これにより、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置において、ハンドルグリップ3の当接部3i、3jがガイド部材5のストッパ部5e、5fに弾性的に当接し、ストッパ部5e、5fと当接部3i、3jとの衝突音を低減することができる。
【0030】
次に、車両用ドアハンドル装置11の作用について説明する。車両ドア1を開操作するときは、車両ドア1の閉状態からハンドルグリップ3を把持して車両ドア1の外側に引っ張る。すると、ハンドルグリップ3は回動部3aを中心に回動を開始し、ハンドルグリップ3の摺動部3g、3hはガイド部材5のガイド部5a、5bに摺動しながら作動を開始する(図5(a))。また、ハンドルグリップ3の回動に伴って、ハンドルグリップ3の連動部3bはベルクランクアーム14を作動させ、ベルクランクアーム14はドアロック機構のラッチ機構を駆動する。そして、ハンドルグリップ3が所定角度回動すると、ドアロック機構のロックが解除される。これにより、車両ドア1を開状態とし、車両ドア1の開方向への作動が可能となる。
【0031】
ハンドルグリップ3は、ドアロック機構によるロックを解除した後も開操作方向に回動できるように構成されている。ハンドルグリップ3の開操作方向への回動操作を続けると、ハンドルグリップ3が所定角度回動した位置で、ハンドルグリップ3の当接部3i、3jがガイド部材5のストッパ部5e、5fに当接する(図5(b))。これにより、ハンドルグリップ3の開操作方向への回動範囲が規制される。
【0032】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置において、ハンドルグリップ3の当接部3i、3jがガイド部材5のストッパ部5e、5fに弾性的に当接する。このため、回動終端位置において発生する当接部3i、3jとストッパ部5e、5fとの衝突音を低減することができる。
【0033】
(2)上記実施形態では、ガイド部材5のガイド部5a、5bはハンドルグリップ3の摺動部3g、3hを弾性的に挟持し、ハンドルグリップ3の回動軸方向への動きを規制する。このため、ハンドルグリップ3の回動時に、ハンドルグリップ3に対して大きな負荷を与えることなく回動軸方向のガタ量をなくすことができる。また、ガイド部5a、5bが摺動部3g、3hを弾性的に挟持しているため、ガイド部5aの頂点からガイド部5bの頂点までの距離D及び脚部3eの摺動部3gから摺動部3hまでの距離dの製品ばらつきを吸収して、ハンドルグリップ3の回動軸方向のガタ量をなくすことができる。
【0034】
(3)上記実施形態では、ハンドルグリップ3の脚部3eの回動軸方向への動きを規制するためのガイド部材5に、弾性変形容易なストッパ部5e、5fを設けている。このため、衝突音を低減させるためのストッパ部材を新たに設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
【0035】
(4)上記実施形態では、ガイド部材5はフレーム4の材料よりも硬度の低い材料で形成される。このため、フレーム4の強度を確保しつつ、ガイド部材5のストッパ部5e、5fを弾性変形させ易くすることができるので、ハンドルグリップ3の回動終端位置において発生する当接部3i、3jとストッパ部5e、5fとの衝突音を低減することができる。また、ガイド部材5のガイド部5a、5bも弾性変形させ易くすることができるため、ハンドルグリップ3の回動時にハンドルグリップ3に与える負荷を抑えることができる。
【0036】
(5)上記実施形態では、フレーム4を強度の優れた材料により形成し、ガイド部材5を摺動性に優れた材料で形成している。このように、フレーム4とガイド部材5とを一体的に形成する場合と比べて、材料選択の自由度を大きくすることができる。
【0037】
(6)上記実施形態では、一対の固定壁部4d、4eに固定されるガイド部材5は、ハンドルグリップ3の回動軸から離隔する同ハンドルグリップ3の長手方向先端部(脚部3e)において同ハンドルグリップ3を摺動させて回動軸方向への動きを規制する。従って、ガイド部材5は、回動時のガタツキの大きいハンドルグリップ3の長手方向先端部において、同ハンドルグリップ3の回動軸方向への動き(ガタツキ)を好適に規制することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
以下、図7〜10を参照して、本発明にかかる車両用ドアハンドル装置の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、フレーム4の一対の固定壁部4d、4eを連絡して高剛性化を図ったことが前記第1の実施形態と異なる。つまり、前記第1の実施形態のように、板状の一対の固定壁部4d、4eにガイド部材5を固定し、同ガイド部材5でハンドルグリップ3の回動軸方向への動きを規制する構造では、例えばハンドルグリップ3の回動時にねじれが生じると、ガイド部材5とともに一対の固定壁部4d、4eが変形し、同ハンドルグリップ3にガタツキが生じることがある。本実施形態では、こうした実情に鑑み、ハンドルグリップ3の回動時のガタツキを抑制することを目的とするものである。なお、説明の便宜上、前記第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を一部省略する。
【0039】
図7に、車両ドア1が閉状態にあるときの図1におけるA−A線に沿う断面図を、図8に図7のC−C線における車両用ドアハンドル装置11の断面図を、図9及び図10にガイド部材5の組み付けられるフレーム4の底面図及び斜視図を示す。図8(a)はハンドルグリップ3の非操作位置(開操作方向とは反対方向の回動終端位置)における断面図、図8(b)はハンドルグリップ3の開操作方向の回動終端位置における断面図である。また、図10(a)(b)は、フレーム4に対するガイド部材5の組み付けの前後の各状態の斜視図である。
【0040】
本実施形態のフレーム4は、一対の固定壁部4d、4eに一体形成され、これら一対の固定壁部4d、4eを連絡する連結壁部4hを有する。この連結壁部4hは、開口部4bの内側開口端において、一対の固定壁部4d、4eの対向する内側に延出して両固定壁部4d、4eを連絡している。図9に示したように、連結壁部4hは、その長手方向(図9の上下方向)中央部からハンドルグリップ3の回動軸側(図9の左側)に延出する延出部4iを有してY字形状を呈しており、同延出部4iには、弾性材(例えばゴム材)からなる緩衝部材6が装着されている。
【0041】
図8(a)に示すように、ハンドルグリップ3は、車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において、ドアパネル2の開口部2b周縁部に沿って接合された緩衝ゴム7とその対向面において当接する。これにより、ハンドルグリップ3が、車両ドア開操作方向の反対方向へと過剰に回動(戻り回動)することが防止される。このとき、緩衝ゴム7は、ハンドルグリップ3の対向面と弾性的に当接するとともに、前記緩衝部材6は、ハンドルグリップ3(脚部3e等)の対向面3kと弾性的に当接する。つまり、これら緩衝部材6及び緩衝ゴム7は、ハンドルグリップ3が、車両ドア開操作方向の反対方向の回動終端位置へと回動(戻り回動)した際に、その衝撃を協同して緩和する。換言すれば、緩衝部材6は、ハンドルグリップ3の衝撃を分散させる役割を担っている。
【0042】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、一対の固定壁部4d、4eは、連結壁部4hにより連絡されることで、開口端の閉じた骨格形状をなして高剛性な構造とされる。従って、例えばハンドルグリップ3の回動時に、同ハンドルグリップ3のねじれによって一対の固定壁部4d、4eが変形したりすることを抑制でき、ひいては同ハンドルグリップ3のガタツキを抑制することができる。
【0043】
(2)本実施形態では、ハンドルグリップ3は、車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において連結壁部4h(延出部4i)に取着された緩衝部材6とその対向面3kにおいて弾性的に当接することで、緩衝部材6とハンドルグリップ3の対向面3kとの衝突音を低減することができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、本発明に係る車両用ドアハンドル装置を車両の側部に設けられた車両ドア1に適用したが、車両の後部に設けられるバックドアに適用してもよい。
【0045】
・上記実施形態では、ハンドルグリップ3をグリップ式のドアハンドルとしたが、フラップ式のドアハンドルとしてもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材5にストッパ部5e、5fを2箇所設けているが、ストッパ部は1箇所のみでもよく、3箇所以上設けてもよい。
【0046】
・上記実施形態では、ガイド部材5はフレーム4の材料よりも硬度の低い材料で形成されているが、硬度に関係なくガイド部材5及びフレーム4の材料選択をしてもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材5のガイド部5a、5bがハンドルグリップ3の摺動部3g、3hを弾性的に挟持しているが、ガイド部5a、5bと摺動部3g、3hとの間に隙間を設けるように構成してもよい。
【0047】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・車両ドアのドアパネルに固定されるフレームと、同フレームに対して回動自在に支持され前記車両ドアの開操作時の把持部となるハンドルグリップとを備え、前記車両ドアの開操作時に前記車両ドアの閉状態から前記ハンドルグリップを回動させることでドアロック機構による前記車両ドアの閉位置へのロックを解除して同車両ドアを開状態とする車両用ドアハンドル装置において、
前記フレームに形成され、前記ハンドルグリップの回動軸から離隔する同ハンドルグリップの長手方向先端部を回動軸方向に挟み込むように対向配置された一対の固定壁部と、
前記一対の固定壁部に固定され、前記ハンドルグリップの回動時に同ハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制するガイド部材と、
を備えたことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】車両ドアを示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態の図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】ガイド部材の斜視図である。
【図4】ハンドルグリップの脚部の斜視図である。
【図5】(a)、(b)は図3のB−B線における車両用ドアハンドル装置の断面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】第2の実施形態の図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図8】(a)、(b)は図7のC−C線における車両用ドアハンドル装置の断面図である。
【図9】ガイド部材の組み付けられたフレームの底面図である。
【図10】(a)、(b)はフレームに対するガイド部材の組み付けの前後の各状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1…車両ドア、2…ドアパネル、3…ハンドルグリップ、3a…回動部、3b…連動部、3g,3h…摺動部、3i,3j…当接部、3k…対向面、4…フレーム、4b…開口部、4d,4e…固定壁部、4h…連結壁部、4i…延出部、5…ガイド部材、5a,5b…ガイド部、5e,5f…ストッパ部、6…緩衝部材、11…車両用ドアハンドル装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアのドアパネルに固定されるフレームと、同フレームに対して回動自在に支持され前記車両ドアの開操作時の把持部となるハンドルグリップと、前記車両ドアを閉位置にロックするドアロック機構とを備え、前記車両ドアの開操作時に前記車両ドアの閉状態から前記ハンドルグリップを回動させることで前記ドアロック機構によるロックを解除して前記車両ドアを開状態とする車両用ドアハンドル装置において、
前記ハンドルグリップの回動時に同ハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制するガイド部材を前記フレームに固定し、前記ガイド部材に前記ハンドルグリップの車両ドア開操作方向の回動終端位置において前記ハンドルグリップと弾性的に当接するストッパ部を設ける
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記ガイド部材は、前記ハンドルグリップを弾性的に挟持して前記ハンドルグリップの回動軸方向への動きを規制する
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記ガイド部材は、前記フレームの材料よりも硬度の低い材料で形成される
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記ハンドルグリップは、同ハンドルグリップの長手方向の一端側に前記フレームに対して回動自在に支持される回動部を有し、他端側にドアロック機構と連動する連動部及び前記回動終端位置において前記ガイド部材の前記ストッパ部と当接する当接部を有する
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記フレームは、前記ハンドルグリップの回動軸から離隔する同ハンドルグリップの長手方向先端部を回動軸方向に挟み込むように対向配置された一対の固定壁部を有し、
前記ガイド部材は、前記一対の固定壁部に固定されている
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記フレームは、前記一対の固定壁部に一体形成され、これら一対の固定壁部を連絡する連結壁部を有する
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記連結壁部に取着され、前記ハンドルグリップの車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において前記ハンドルグリップの対向面と弾性的に当接する緩衝部材を備えた
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項1】
車両ドアのドアパネルに固定されるフレームと、同フレームに対して回動自在に支持され前記車両ドアの開操作時の把持部となるハンドルグリップと、前記車両ドアを閉位置にロックするドアロック機構とを備え、前記車両ドアの開操作時に前記車両ドアの閉状態から前記ハンドルグリップを回動させることで前記ドアロック機構によるロックを解除して前記車両ドアを開状態とする車両用ドアハンドル装置において、
前記ハンドルグリップの回動時に同ハンドルグリップを摺動させて回動軸方向への動きを規制するガイド部材を前記フレームに固定し、前記ガイド部材に前記ハンドルグリップの車両ドア開操作方向の回動終端位置において前記ハンドルグリップと弾性的に当接するストッパ部を設ける
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記ガイド部材は、前記ハンドルグリップを弾性的に挟持して前記ハンドルグリップの回動軸方向への動きを規制する
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記ガイド部材は、前記フレームの材料よりも硬度の低い材料で形成される
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記ハンドルグリップは、同ハンドルグリップの長手方向の一端側に前記フレームに対して回動自在に支持される回動部を有し、他端側にドアロック機構と連動する連動部及び前記回動終端位置において前記ガイド部材の前記ストッパ部と当接する当接部を有する
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記フレームは、前記ハンドルグリップの回動軸から離隔する同ハンドルグリップの長手方向先端部を回動軸方向に挟み込むように対向配置された一対の固定壁部を有し、
前記ガイド部材は、前記一対の固定壁部に固定されている
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記フレームは、前記一対の固定壁部に一体形成され、これら一対の固定壁部を連絡する連結壁部を有する
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用ドアハンドル装置において、
前記連結壁部に取着され、前記ハンドルグリップの車両ドア開操作方向とは反対方向の回動終端位置において前記ハンドルグリップの対向面と弾性的に当接する緩衝部材を備えた
ことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−32257(P2007−32257A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124414(P2006−124414)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
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