説明

車両用ドア装置

【課題】簡単な構成で半ドア状態を確実に検知し、車両走行時の乗員の安全性及び車両の信頼性を容易に確保することができる車両用ドア装置を提供する。
【解決手段】第1壁部16に設けられ、第1折曲部及び第1ガイド面を有する第1ガイド部材22と、第2壁部18に設けられ、第2折曲部及び第2ガイド面を有し、ドアがドア用開口部を閉塞するに際し、第2ガイド面が第1ガイド面に当接することによりドアを上方へ移動させながら車体の車幅方向の内側へ移動させる第2ガイド部材24と、第1ガイド部材または第2ガイド部材の何れか一方に設けられ、ドアがドア用開口部を閉塞するに際し、第1折曲部の上側への第2折曲部の乗り上げを阻止する規制部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドア装置に関し、特に車両の乗降口を開閉するためのドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドア装置として、車体の側面方向に沿って略平行移動して乗降口を開閉するスイングドア装置が知られている。
スイングドア装置は、乗降口であるドア用開口部を開閉するドアと、このドアを車体に対して略平行移動可能に支持するスイングアームと、ドアを閉位置で保持するためのロック機構などを備えている。
【0003】
そして、例えば特許文献1には、ドアが閉位置にあるときにレバー部材が半ドア検出用のスイッチを作動させることにより車両の半ドアを検知する半ドア検知装置と、半ドア警報システムとを備えたスイングドア装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−237973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のドア装置は、半ドア状態の検知に高価で複雑な半ドア検知装置や半ドア警報システムを要するものであり、簡単な構成で半ドア状態を確実に検知し、車両走行時の乗員の安全性及び車両の信頼性を容易に確保することについて依然として課題が残されている。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で半ドア状態を確実に検知し、車両走行時の乗員の安全性及び車両の信頼性を容易に確保することができる車両用ドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1記載の車両用ドア装置は、車体のドア用開口部には車幅方向に沿う第1壁部が形成され、ドア用開口部を閉塞するドアにはドア用開口部を閉塞した状態において第1壁部に対向する第2壁部が形成され、第1壁部に設けられ、第2壁部側に向けて折曲された第1折曲部と、第1折曲部に車体の車幅方向の外側から内側に向け上方へ傾斜する第1ガイド面とを有する第1ガイド部材と、第2壁部に設けられ、第1壁部側に向けて折曲された第2折曲部と、車体の車幅方向の内側から外側に向け下方へ傾斜する第2ガイド面とを有し、ドアがドア用開口部を閉塞するに際し、第2ガイド面が第1ガイド面に当接することによりドアを上方へ移動させながら車体の車幅方向の内側へ移動させる第2ガイド部材と、第1ガイド部材または第2ガイド部材の何れか一方に設けられ、ドアがドア用開口部を閉塞するに際し、第1折曲部の上側への第2折曲部の乗り上げを阻止する規制部材とを備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明は、規制部材は、第1折曲部または第2折曲部の何れか一方が当接したときに第1ガイド部材と第2ガイド部材との間に所定幅の隙間を形成するべく車幅方向に延設されることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、規制部材は、ドアがドア用開口部を閉塞するに際し、ドアが所定の最高位置まで上方へ移動したときに第1折曲部または第2折曲部の何れか一方が当接するべく車高方向に延設されることを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明は、第1ガイド部材及び第2ガイド部材は、帯板を台形状に折曲して第1折曲部または第2折曲部を形成し、第1壁部または第2壁部に対する取り付け方向を帯板の上下方向中心部を中心に上下対称に異ならしめた同一品であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の車両用ドア装置によれば、第1ガイド部材または第2ガイド部材の何れか一方に設けられ、ドアがドア用開口部を閉塞するに際し、第1折曲部の上側への第2折曲部の乗り上げを阻止する規制部材を備える。ここで、ドアは、ドア用開口部を閉塞するに際して風等の外力やドア装置の機構のガタ等により車両の前後方向、車幅方向等へ傾斜し、ひいては車高方向に上昇した結果、ドア側に設けられた第2ガイド部材の第2折曲部が車体側に設けられた第1ガイド部材の第1折曲部の上側へ乗り上げることがある。この状態においては、第2ガイド面は第1ガイド面の上側に位置するために第1ガイド面に当接せず、ドアは第2ガイド面によって車体内側へと押付けられずに車体内側の正規位置へ移動しない半ドア状態のままで閉鎖される。この状態では、ドアとドア用開口部との間に隙間が生じないか、或いは生じても微小な隙間であるため、運転者は半ドア状態を視認できず、半ドア状態のまま車両の走行が開始され、乗員の安全性及び車両の信頼性が著しく損なわれるおそれがある。
【0010】
しかし、規制部材によって第1折曲部の上側への第2折曲部の乗り上げを阻止することにより、半ドア状態においてドアとドア用開口部との間に隙間を積極的に形成することができる。従って、第1ガイド部材または第2ガイド部材に規制部材を設けるだけの簡単な構成で、高価で複雑な半ドア検知装置や半ドア警報システムを用いなくとも、半ドア状態の視認性を高め、半ドア状態を確実に検知することができ、車両の安全性及び信頼性を向上することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、規制部材は、第1折曲部または第2折曲部の何れか一方が当接したときに第1ガイド部材と第2ガイド部材との間に所定幅の隙間を形成するべく車幅方向に延設される。これにより、半ドア状態におけるドアとドア用開口部との隙間を更に大きくすることが可能であり、規制部材を設けるだけの簡単な構成で半ドア状態の視認性を更に高め、半ドア状態を更に確実に検知することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、ドアがドア用開口部を閉塞するに際し、ドアが所定の最高位置まで上方へ移動したときに第1折曲部または第2折曲部の何れか一方が当接するべく車高方向に延設される。これにより、半ドア状態においてドアが所定の最高位置まで上方へ移動した場合であっても第1折曲部の上側への第2折曲部の乗り上げを確実に阻止し、半ドア状態におけるドアとドア用開口部との隙間を確実に形成することが可能であり、規制部材を設けるだけの簡単な構成で半ドア状態の視認性を更に高め、半ドア状態を更に確実に検知することができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、第1ガイド部材及び第2ガイド部材は、帯板を台形状に折曲して第1折曲部または第2折曲部を形成し、第1壁部または第2壁部に対する取り付け方向を帯板の上下方向中心部を中心に上下対称に異ならしめた同一品である。これにより、ドア装置の部品点数及び部品コストの低減を図りつつ半ドア状態を確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るドア装置を備えた車体の側面図を示す。
【図2】図1のL−L矢視図を示す。
【図3】図1のM−M矢視図を示す。
【図4】図3の車体側リテーナの(A)正面図、(B)側面図を示す。
【図5】図3のドア側リテーナの(A)正面図、(B)側面図を示す。
【図6】図3のドア側リテーナの正常なドア閉時の動きを表す模式図を示す。
【図7】図6のドア側リテーナの次の段階の動きを表す模式図を示す。
【図8】図7のドア側リテーナの次の段階の動きを表す模式図を示す。
【図9】ストッパー無しのときに半ドア状態となる場合のドア側リテーナの動きを表す模式図を示す。
【図10】図9のドア側リテーナの次の段階の動きを表す模式図を示す。
【図11】図10のドア側リテーナの次の段階の動きを表す模式図を示す。
【図12】図3のストッパーによって車体側折曲部の上側へのドア側折曲部の乗り上げを阻止した状態を表す模式図を示す。
【図13】半ドア状態においてドアとドア用開口部との間に隙間Gを形成された状態を示した斜視図である。
【図14】本発明の変形例に係るストッパーによって車体側折曲部の上側へのドア側折曲部の乗り上げを阻止した状態を表す模式図を示す。
【図15】本発明の別の変形例に係るストッパーによって車体側折曲部の上側へのドア側折曲部の乗り上げを阻止した状態を表す模式図を示す。
【図16】本発明の別の変形例に係るストッパーによって車体側折曲部の上側へのドア側折曲部の乗り上げを阻止した状態を表す模式図を示す。
【図17】本発明の別の変形例に係るストッパーによって車体側折曲部の上側へのドア側折曲部の乗り上げを阻止した状態を表す模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係るドア装置を備えたバスの車体1の左側面前部を示している。車体1には、その側面前部に車両の乗降口が形成され、乗降口を開閉するべく車体1の側面方向に沿って略平行に移動するスイングドア2が配置されている。ドア2のドア閉位置は実線で示し、ドア2のドア開位置(Z)は二点鎖線で示している。
図2は図1のL−L断面を示している。ドア装置4は、ドア2を車体1に開閉可能に支持するスイングアーム6と、スイングアーム6をドア2の開位置及び閉位置に駆動する開閉機構8とによって平行リンク構造を構成するスイングドア装置である。スイングアーム6は、上下一対に配置され、それぞれの一端部6aが車体1側に配置された開閉機構8に連結されると共に、それぞれの他端部6bがドア2の前後方向中間部に回動自在に結合されている。そして、上側のスイングアーム6はドア2の上下方向中間部より若干下側に、下側のスイングアーム6はドア2の下部にそれぞれ回動自在に結合されている。
【0016】
補助リンク10は、その一端部10aが車体1の床下に枢着されると共に、他端部10bがドア2の下先端部または下後端部に枢着されている。
スイングアーム6の一端部6aと他端部6bとを結ぶ仮想線12と、補助リンク10の一端部10aと他端部10bとを結ぶ、本実施形態の場合では補助リンク10の軸線とが平行で且つ同じ長さになっている。
【0017】
図3は図1のM−M断面を示している。車体1の乗降口を形成するドア用開口部14の前側には、車幅方向に沿うフロントピラー壁部(第1壁部)16が形成され、一方、ドア2が閉鎖したときにフロントピラー壁部16と対向するドア側のドアフレーム壁部(第2壁部)18が形成されている。フロントピラー壁部16とドアフレーム壁部18との間には、ドア2の閉時にはドア2とドア用開口部14との間の全周に亘って空間20が形成される。
【0018】
空間20には、フロントピラー壁部16に取り付けられた車体側リテーナ(第1ガイド部材)22と、ドアフレーム壁部18に取り付けられたドア側リテーナ(第2ガイド部材)24とが配置されている。
図1に示すように、各リテーナ22,24は、ドア用開口部14の前側上部と下部とにそれぞれ1組ずつ、ドア用開口部14の後側上部と下部とにそれぞれ1組ずつ、計4箇所に配置され、ドア2がドア用開口部14を閉塞するに際し、ドア2を上方へ移動させながら車体1の車幅方向の内側へ移動させる。
【0019】
図4(A)、(B)は、車体側リテーナ22の正面図及び側面図である。車体側リテーナ22には、板金製の帯板をドアフレーム壁部18側に向けて台形状に折曲した車体側折曲部(第1折曲部)26,26が前記帯板の上下方向中心部を中心に上下対称に形成されている。
車体側リテーナ22の車体側折曲部26,26間に位置する部位は車体側リテーナ固定部28であり、この固定部28には車体側リテーナ22をフロントピラー壁部16にボルト締結して取り付けるためのボルト孔30,30が穿孔されている。また、下側の車体側折曲部26の外側の面には車体側ガイド面(第1ガイド面)32が形成され、車体側ガイド面32は車体1の車幅方向の外側から内側に向け上方へ傾斜している。
【0020】
図5(A)、(B)は、ドア側リテーナ24の正面図及び側面図である。ドア側リテーナ24には、車体側折曲部26と同様に、板金製の帯板をフロントピラー壁部16側に向けて台形状に折曲したドア側折曲部(第2折曲部)34,34が帯板の上下方向中心部を中心に上下対称に形成され、各ドア側折曲部34,34間のドア側リテーナ固定部36にはドアフレーム壁部18にボルト締結して取り付けるためのボルト孔38,38が形成されている。
【0021】
上側のドア側折曲部34の外側の面にはドア側ガイド面(第2ガイド面)40が形成され、ドア側ガイド面40は車体1の車幅方向の内側から外側に向け下方へ傾斜し、ドア2がドア用開口部14を閉塞するに際し、車体側ガイド面32に当接する。こうした形状をなす車体側リテーナ22とドア側リテーナ24とは、図4及び図5からも明らかなように、フロントピラー壁部16またはドアフレーム壁部18への取り付け方向を上下対称にして異ならしめた同一品である。
【0022】
ここで、ドア側リテーナ24にはドア2がドア用開口部14を閉塞するに際し、車体側折曲部26の上側へのドア側折曲部34の乗り上げを阻止するストッパー(規制部材)42が取り付けられている。
ストッパー42は、板金製の長方形板を断面視L字形に折曲して形成され、ストッパー固定部42aと、ストッパー固定部42aから略垂直に折曲されるストッパー当接部42bとから構成されている。ストッパー固定部42aは、ドア側リテーナ24の固定部36の各ドア側折曲部34,34が折曲される側の面に溶着や接着によって固定される。
【0023】
一方、ストッパー当接部42bは、各ドア側折曲部34,34が折曲される側に突出され、上記乗り上げ阻止時には当接部42bの当接面42cに車体側リテーナ22が当接される。また、ストッパー42は、そのL字形をなす一側面がドア側折曲部34におけるドア側ガイド面40の裏面に当接、或いは略平行に近接し、当接面42cが車体1の車幅方向の内側から外側に向け上方へ傾斜しており、当接面42cはドア側ガイド面40と略垂直をなす連続面のように位置付けられる。
【0024】
以下、スイングドア装置4の動作について説明する。
先ず、図1に示すように、ドア2がドア用開口部4を閉塞している状態では、4箇所の車体側リテーナ22の車体側ガイド面32と、4箇所のドア側リテーナ24のドア側ガイド面40とは当接しており、ドア側リテーナ24は車体側リテーナ22を介してドア2を車幅方向内側へ押圧し、ドア2が正規の閉塞位置に収まっている。
【0025】
次に、運転者のドア開操作により、開閉機構8の駆動力によってスイングアーム6がドア2を開く方向にスイングすると、車体側リテーナ22の車体側ガイド面32とドア側リテーナ24のドア側ガイド面40とは、ドア2が外側へ移動しても干渉しない移動量だけドア2を下方へ移動させる。その後、補助リンク10がスイングアーム6と平行リンクを構成しているので、開閉機構8の駆動力によってドア2は車体1の側面に沿い車体1の後方へ移動する。
【0026】
次に、運転者のドア閉操作により、開閉機構8の駆動力によってスイングアーム6がドア2を閉じる方向にスイングし、ドア開時と逆の動作が行われる。
詳しくは、スイングアーム6がドア2を閉じる方向にスイングすると、図6に示すように、ドア側リテーナ24は、車体側リテーナ22の下側において矢印の車幅方向に移動し、更に図7に示すように車体側リテーナ22に近づくようにして矢印の車高方向に移動する。そして、図8に示すようにドア側ガイド面40が車体側ガイド面32に当接することにより、ドア装置4はドア2を上方へ持ち上げて移動させながら車体1の車幅方向の内側へ移動させ、ドア用開口部14の内周部に配置された図示しないウェザーストリップに強く押圧し、ドア装置4に備えられた図示しないロック機構が作動することでドア2が正規の閉位置でロックされる。
【0027】
ここで、ドア2は、ドア用開口部14を閉塞するに際して風等の外力や平行リンク機構のガタ等により車両の前後方向、車幅方向等へ傾斜し、ひいては車高方向に上昇する場合がある。このとき、仮にストッパー42を備えていないドア装置を用いると、図9及び図10に示すようにドア側リテーナ24が車幅方向に移動しながら車高方向に移動する段階においてドア側折曲部34が車体側折曲部26の上側に位置することとなる。この状態でドア2がドア装置によって更に車幅方向内側に移動され、車高方向上方へ移動されると、図11に示すように車体側折曲部26の上側へドア側折曲部34が完全に乗り上げる。
【0028】
車体側折曲部26の上側へドア側折曲部34が乗り上げた状態では、ドア側ガイド面40は、車体側ガイド面32の上側に位置するために車体側ガイド面32に当接しない。即ち、ドア2はドア側ガイド面40によって車体内側へと押付けられずに正規の閉位置へ移動しない半ドア状態のままでリンク機構が閉状態になり、ロック機構が作動する。この状態では、ドア2とドア用開口部14との間に隙間が生じないか、或いは生じたとしても微小な隙間であるため、運転者は半ドア状態を視認できず、半ドア状態のまま車両の走行を開始するおそれがある。
【0029】
これに対し本実施形態では、図10に示す状態となったとしても、図12に示すようにストッパー42の当接面42cに車体側リテーナ22の車体側折曲部26の側面が当接することにより、車体側折曲部26の上側へのドア側折曲部34の乗り上げを阻止し、図13にも示すように、半ドア状態においてドア2とドア用開口部14との間に隙間Gを積極的に形成する。
【0030】
以上のように本実施形態では、ストッパー42によって車体側折曲部26の上側へのドア側折曲部34の乗り上げを阻止し、半ドア状態においてドア2とドア用開口部14との間に隙間Gを積極的に形成することができ、半ドア状態の視認性を大幅に高めることができる。
また、隙間Gを積極的に形成することにより、半ドア状態で車両が走行を開始したとしても、隙間Gから車室内に外気又は雨水の侵入し易く、風切り音も発生し易くなるため、運転者は車両走行開始から即座に半ドア状態に気付くことが可能である。従って、ドア側リテーナ24にストッパー42を設けるだけの簡単な構成で、高価で複雑な半ドア検知装置や半ドア警報システムを用いなくとも半ドア状態を確実に検知することができ、車両走行時の乗員の安全性及び車両の信頼性を容易に確保することができる。
【0031】
以上で本発明の実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、本実施形態ではドア側リテーナ24にストッパー42を設けているが、これに限らず、図14に示すように車体側リテーナ22に同様の取り付け方法で同形態のストッパー(規制部材)44を設けても良く、この場合にも車体側折曲部26の上側へのドア側折曲部34の乗り上げを阻止し、半ドア状態で隙間Gを形成することができる。
【0032】
また、車体側リテーナ22へのドア側リテーナ24の乗り上げを阻止する形状であれば、ストッパーはストッパー42の形状に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、図15に示すように、ドア側折曲部34が当接したときに車体側リテーナ22とドア側リテーナ24との間に図12の場合に比して大きな所定幅の隙間G0を形成するべく車幅方向に延設したストッパー(規制部材)46を用いても良い。これにより、半ドア状態におけるドア2とドア用開口部14との隙間Gを更に大きくすることができる。例えば、ストッパー46のように車幅方向の幅を長く形成すれば、ドア用開口部14に装着されるウェザーストリップの死角にならないように半ドア状態の視認性を更に高めることができ、半ドア状態を更に確実に検知することができる。
【0033】
また、図16に示すように、ドア2がドア用開口部14を閉塞するに際し、ドア2が図12の場合に比して高い最高位置Hまで上方へ移動したときにドア側折曲部34が当接するべく車高方向に延設したストッパー(規制部材)48を用いても良い。これにより、ドアの上方への移動量に余裕を持たせて車体側折曲部26へのドア側折曲部34の乗り上げを確実に阻止し、半ドア状態におけるドア2とドア用開口部14との隙間Gを確実に形成することが可能であり、半ドア状態の視認性を更に高め、半ドア状態を更に確実に検知することができる。
【0034】
また、図17に示すように、ストッパー42を図5のような取り付け位置ではなく、ドア側折曲部34におけるドア側ガイド面40の裏面に固定部42aを接着または溶着して固定するようにしても車体側折曲部26へのドア側折曲部34の乗り上げを阻止することができるし、ストッパーをドア側リテーナ24と一体成形するようにしても良い。
【0035】
また、車体側リテーナ22及びドア側リテーナ24の形状も上記実施形態及び変形例に限定されない。しかし、上記実施形態及び変形例のように、車体側リテーナ22及びドア側リテーナ24を板金製の帯板を台形状に折曲して車体側折曲部26またはドア側折曲部34を形成し、フロントピラー壁部16またはドアフレーム壁部18に対する取り付け方向を前記帯板の上下方向中心部を中心に上下対称に異ならしめた同一品とすることにより、ドア装置4の部品点数及び部品コストの低減を図りつつ半ドア状態を確実に検知することができて好ましい。
【0036】
最後に、本発明はスイングドア装置のみならずスライド装置にも適用可能であり、バス以外の車両用ドア装置にも適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
1 車体
2 スイングドア(ドア)
4 ドア装置(スイングドア装置)
14 ドア用開口部
16 フロントピラー壁部(第1壁部)
18 ドアフレーム壁部(第2壁部)
22 車体側リテーナ(第1ガイド部材)
24 ドア側リテーナ(第2ガイド部材)
26 車体側折曲部(第1折曲部)
32 車体側ガイド面(第1ガイド面)
34 ドア側折曲部(第2折曲部)
40 ドア側ガイド面(第2ガイド面)
42 ストッパー(規制部材)
44 ストッパー(規制部材)
46 ストッパー(規制部材)
48 ストッパー(規制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のドア用開口部には車幅方向に沿う第1壁部が形成され、
前記ドア用開口部を閉塞するドアには前記ドア用開口部を閉塞した状態において前記第1壁部に対向する第2壁部が形成され、
前記第1壁部に設けられ、前記第2壁部側に向けて折曲された第1折曲部と、前記第1折曲部に前記車体の車幅方向の外側から内側に向け上方へ傾斜する第1ガイド面とを有する第1ガイド部材と、
前記第2壁部に設けられ、前記第1壁部側に向けて折曲された前記第2折曲部と、前記車体の車幅方向の内側から外側に向け下方へ傾斜する第2ガイド面とを有し、前記ドアが前記ドア用開口部を閉塞するに際し、前記第2ガイド面が前記第1ガイド面に当接することにより前記ドアを上方へ移動させながら前記車体の車幅方向の内側へ移動させる第2ガイド部材と、
前記第1ガイド部材または前記第2ガイド部材の何れか一方に設けられ、前記ドアが前記ドア用開口部を閉塞するに際し、前記第1折曲部の上側への前記第2折曲部の乗り上げを阻止する規制部材と
を備えることを特徴とする車両用ドア装置。
【請求項2】
前記規制部材は、前記第1折曲部または前記第2折曲部の何れか一方が当接したときに前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材との間に所定幅の隙間を形成するべく車幅方向に延設されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記ドアが前記ドア用開口部を閉塞するに際し、前記ドアが所定の最高位置まで上方へ移動したときに前記第1折曲部または前記第2折曲部の何れか一方が当接するべく車高方向に延設されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ドア装置。
【請求項4】
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材は、帯板を台形状に折曲して前記第1折曲部または前記第2折曲部を形成し、前記第1壁部または前記第2壁部に対する取り付け方向を前記帯板の上下方向中心部を中心に上下対称に異ならしめた同一品であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両用ドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−96578(P2012−96578A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243721(P2010−243721)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)