説明

車両用前照灯およびその組付方法

【課題】ヘッドランプ用光源バルブおよびクリアランスランプ用光源バルブを備えた車両用前照灯において、リフレクタに対する両光源バルブの位置決め固定およびコネクタ装着作業を容易に行えるようにする。
【解決手段】ヘッドランプ用光源バルブ22を、その鍔部22Bにおいて第1バルブ挿入孔20aの周縁部20cに当接させた状態で、バルブ固定具30によってリフレクタ20に位置決め固定するように構成する。その際、バルブ固定具30を、リフレクタ取付部としての左右1対の係止片30Aaが形成された固定具本体30Aと、この固定具本体30Aに対して相対変位可能に支持された状態でヘッドランプ用光源バルブ22のバルブ本体22Aと係合してこれと電気的に接続される第1ソケット部30Bとを備えた構成とする。さらに、この固定具本体30Aに、クリアランスランプ用光源バルブ24を支持するためのバルブ支持部30Dが形成された構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ヘッドランプ用光源バルブおよびクリアランスランプ用光源バルブを備えた車両用前照灯およびその組付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヘッドランプ用光源バルブのほかにクリアランスランプ用光源バルブを備えた車両用前照灯が知られている。
【0003】
例えば「特許文献1」には、第1および第2バルブ挿入孔が形成されたリフレクタに対して、その第1バルブ挿入孔にヘッドランプ用光源バルブが後方側から挿入されるとともに、その第2バルブ挿入孔にクリアランスランプ用光源バルブが後方側から挿入された構成が記載されている。
【0004】
その際、この「特許文献1」に記載された車両用前照灯は、ヘッドランプ用光源バルブをリフレクタに位置決め固定するためのバルブ固定具に、クリアランスランプ用光源バルブを支持するためのバルブ支持部が形成された構成となっている。
【0005】
一方「特許文献2」には、車両用前照灯におけるバルブ固定具の構成として、該バルブ固定具をリフレクタに取り付けるためのリフレクタ取付部が形成された固定具本体に対して、ヘッドランプ用光源バルブのバルブ本体との係合により該バルブ本体と電気的に接続されるソケット部が、相対変位可能に支持された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−203304号公報
【特許文献2】特開2010−277890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ヘッドランプ用光源バルブが、例えばH4ハロゲンバルブ等のように、バルブ本体に鍔部が取り付けられた構成となっている場合には、その鍔部をリフレクタにおけるバルブ挿入孔の周縁部に当接させた状態で、バルブ固定具によってリフレクタに位置決め固定される構成が一般的である。
【0008】
その際、上記「特許文献1」に記載されたバルブ固定具は、ヘッドランプ用光源バルブの鍔部を後方側から押えるようにした状態でリフレクタにネジ締め固定される構成となっているので、ヘッドランプ用光源バルブの取付作業が面倒であり、また、このようにして取り付けられたヘッドランプ用光源バルブに対してコネクタを装着する作業がさらに必要となる、という問題がある。
【0009】
一方、上記「特許文献2」に記載されたバルブ固定具は、固定具本体に対してソケット部が相対変位可能に支持された構成となっているので、そのソケット部にヘッドランプ用光源バルブを取り付けた状態で、その固定具本体のリフレクタ取付部においてリフレクタへの取付けを行うことが可能である。そしてこれにより、ヘッドランプ用光源バルブの取付作業を簡素化することが可能となり、かつ、この取付作業により、ヘッドランプ用光源バルブへのコネクタ装着作業も同時に行うことが可能となる。
【0010】
しかしながら、この「特許文献2」に記載された車両用前照灯において、クリアランスランプ用光源バルブを備えた構成とするためには、そのためのバルブ固定具を別途設けて、クリアランスランプ用光源バルブの位置決め固定を行う必要がある、という問題がある。
【0011】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ヘッドランプ用光源バルブおよびクリアランスランプ用光源バルブを備えた車両用前照灯において、リフレクタに対するヘッドランプ用光源バルブおよびクリアランスランプ用光源バルブの位置決め固定およびコネクタ装着作業を容易に行うことができる車両用前照灯およびその組付方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、バルブ固定具の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0013】
すなわち、本願発明に係る車両用前照灯は、
第1および第2バルブ挿入孔が形成されたリフレクタと、上記第1バルブ挿入孔に後方側から挿入されたヘッドランプ用光源バルブと、上記第2バルブ挿入孔に後方側から挿入されたクリアランスランプ用光源バルブと、を備えてなる車両用前照灯において、
上記ヘッドランプ用光源バルブは、バルブ本体に鍔部が取り付けられた構成となっており、上記鍔部を上記リフレクタにおける上記第1バルブ挿入孔の周縁部に当接させた状態で、バルブ固定具によって上記リフレクタに位置決め固定されており、
上記バルブ固定具は、該バルブ固定具を上記リフレクタに取り付けるためのリフレクタ取付部が形成された固定具本体と、この固定具本体に対して相対変位可能に支持された状態で、上記ヘッドランプ用光源バルブのバルブ本体との係合により該バルブ本体と電気的に接続される第1ソケット部と、を備えた構成となっており、
上記バルブ固定具の固定具本体に、上記クリアランスランプ用光源バルブを支持するためのバルブ支持部が形成されている、ことを特徴とするものである。
【0014】
また、本願発明に係る車両用前照灯の組付方法は、
上記ヘッドランプ用光源バルブを、上記バルブ固定具の第1ソケット部に係合させるとともに、上記クリアランスランプ用光源バルブを、上記バルブ固定具の固定具本体におけるバルブ支持部に取り付けた後、
上記バルブ固定具を、該バルブ固定具の固定具本体におけるリフレクタ取付部において上記リフレクタに取り付ける、ことを特徴とするものである。
【0015】
上記「バルブ固定具」は、固定具本体に対してソケット部が相対変位可能に支持された構成となっていれば、その具体的な構成は特に限定されるものではなく、その際、固定具本体と第1ソケット部とが同一の部材で構成されていてもよいし異なる部材で構成されていてもよい。また、この「バルブ固定具」によるヘッドランプ用光源バルブのリフレクタへの位置決め固定は、スペーサ等を介して間接的に行われる構成となっていてもよい。
【0016】
上記「バルブ支持部」は、クリアランスランプ用光源バルブを支持し得る構成を備えていれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用前照灯は、第1および第2バルブ挿入孔が形成されたリフレクタに対して、その第1バルブ挿入孔にヘッドランプ用光源バルブが後方側から挿入されるとともに、その第2バルブ挿入孔にクリアランスランプ用光源バルブが後方側から挿入された構成となっているが、ヘッドランプ用光源バルブは、バルブ本体に鍔部が取り付けられた構成となっており、その鍔部をリフレクタにおける第1バルブ挿入孔の周縁部に当接させた状態で、バルブ固定具によってリフレクタに位置決め固定されており、そして、このバルブ固定具は、これをリフレクタに取り付けるためのリフレクタ取付部が形成された固定具本体と、この固定具本体に対して相対変位可能に支持された状態でヘッドランプ用光源バルブのバルブ本体との係合によりこれと電気的に接続される第1ソケット部とを備えた構成となっており、さらに、このバルブ固定具の固定具本体には、クリアランスランプ用光源バルブを支持するためのバルブ支持部が形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0018】
すなわち、上記バルブ固定具は、固定具本体に対して第1ソケット部が相対変位可能に支持された構成となっているので、その第1ソケット部にヘッドランプ用光源バルブを取り付けた状態で、その固定具本体のリフレクタ取付部においてリフレクタへの取付けを行うことができる。そしてこれにより、ヘッドランプ用光源バルブの取付作業を簡素化することができ、かつ、この取付作業により、ヘッドランプ用光源バルブへのコネクタ装着作業も同時に行うことができる。
【0019】
また、上記バルブ固定具は、その固定具本体に、クリアランスランプ用光源バルブを支持するためのバルブ支持部が形成されているので、クリアランスランプ用光源バルブの位置決め固定を行うためのバルブ固定具を別途設ける必要をなくすことができる。
【0020】
このように本願発明によれば、ヘッドランプ用光源バルブおよびクリアランスランプ用光源バルブを備えた車両用前照灯において、リフレクタに対するヘッドランプ用光源バルブおよびクリアランスランプ用光源バルブの位置決め固定およびコネクタ装着作業を容易に行うことができる。
【0021】
上記構成において、バルブ固定具のバルブ支持部に、クリアランスランプ用光源バルブと係合してこれと電気的に接続される第2ソケット部が、該バルブ固定具と一体で形成された構成とすれば、この第2ソケット部にクリアランスランプ用光源バルブを係合させた状態で、バルブ固定具をリフレクタに取り付けることにより、リフレクタに対するクリアランスランプ用光源バルブの位置決め固定を行うことができる。
【0022】
上記構成において、バルブ固定具のバルブ支持部に、クリアランスランプ用光源バルブと係合してこれと電気的に接続されるソケットが取り付けられた構成とすれば、このソケットにクリアランスランプ用光源バルブを係合させるとともに、このソケットをバルブ支持部に取り付けた状態で、バルブ固定具をリフレクタに取り付けることにより、リフレクタに対するクリアランスランプ用光源バルブの位置決め固定を行うことができる。
【0023】
上記構成において、バルブ固定具の具体的な構成が特に限定されないことは上述したとおりであるが、その固定具本体のリフレクタ取付部を、リフレクタに対して複数箇所で係止される複数の係止片で構成するようにすれば、バルブ固定具のリフレクタへの取付けを簡単かつ確実に行うことができる。
【0024】
また、本願発明に係る車両用前照灯の組付方法においては、ヘッドランプ用光源バルブを、バルブ固定具の第1ソケット部に係合させるとともに、クリアランスランプ用光源バルブを、バルブ固定具の固定具本体におけるバルブ支持部に取り付けた後、バルブ固定具を、その固定具本体におけるリフレクタ取付部においてリフレクタに取り付けるようになっているので、バルブ固定具をリフレクタへの取り付けるだけの簡単な作業により、リフレクタに対するヘッドランプ用光源バルブおよびクリアランスランプ用光源バルブの位置決め固定およびコネクタ装着作業を行うことができる。
【0025】
その際、バルブ固定具の固定具本体におけるリフレクタ取付部を、リフレクタに対して複数箇所で係止される複数の係止片で構成するようにすれば、バルブ固定具のリフレクタへの取付けを簡単かつ確実に行うことができる。
【0026】
なお、クリアランスランプ用光源バルブの、バルブ固定具の固定具本体におけるバルブ支持部への取付けは、バルブ固定具のバルブ支持部と一体で形成された第2ソケット部を介して行うようにしてもよいし、クリアランスランプ用光源バルブと係合するソケットを介して行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願発明の一実施形態に係る車両用前照灯を示す側断面図
【図2】上記車両用前照灯の要部を示す、図1のII方向矢視図
【図3】上記車両用前照灯におけるリフレクタユニットの組付工程を示す斜視図
【図4】上記実施形態の変形例に係るリフレクタユニットの組付工程を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る車両用前照灯10を示す側断面図である。
【0030】
同図に示すように、この車両用前照灯10は、透光カバー12とランプボディ14とで形成される灯室内にリフレクタユニット16が組み込まれた構成となっている。その際、リフレクタユニット16は、図示しないエイミング機構を介して、ランプボディ14に対して上下および左右方向に傾動可能に支持されている。
【0031】
図2は、図1のII方向矢視図である。
【0032】
同図にも示すように、リフレクタユニット16は、第1および第2バルブ挿入孔20a、20bが形成されたリフレクタ20と、第1バルブ挿入孔20aに後方側から挿入されたヘッドランプ用光源バルブ22と、第2バルブ挿入孔20bに後方側から挿入されたクリアランスランプ用光源バルブ24とを備えた構成となっている。
【0033】
その際、第1バルブ挿入孔20aは、リフレクタ20の後頂部において、その基準軸Axを中心にして形成されており、第2バルブ挿入孔20bは、この第1バルブ挿入孔20aの下方近傍に形成されている。そして、リフレクタ20における第1バルブ挿入孔20aの周縁部20cは、その後面が基準軸Axと直交する平面で形成されている。
【0034】
ヘッドランプ用光源バルブ22は、H4ハロゲンバルブであって、バルブ本体22Aに鍔部22Bが取り付けられた構成となっている。
【0035】
バルブ本体22Aは、ロービーム用フィラメント22aおよびハイビーム用フィラメント22bが内部に配置されたガラス管部22A1と、このガラス管部22A1を支持する口金部22A2と、この口金部22A2から後方へ突出する3本の端子部22A3とで構成されている。
【0036】
鍔部22Bは、その外周縁の3箇所に放射状に突出する突起片22Baが形成された構成なっており、バルブ本体22Aの口金部22A2に嵌め込まれた状態で口金部22A2に溶接固定されている。この溶接固定は、ロービーム用フィラメント22aおよびハイビーム用フィラメント22bが3箇所の突起片22Baによって形成される基準面に対して垂直に延びるように、バルブ本体22Aの向きを調整した状態で行われるようになっている。このため、バルブ本体22Aと鍔部22Bとの相対的な位置関係は、製造されるヘッドランプ用光源バルブ22毎に異なったものとなっている。
【0037】
ヘッドランプ用光源バルブ22は、その鍔部22Bをリフレクタ20における第1バルブ挿入孔20aの周縁部20cに後方側から当接させた状態で、バルブ固定具30によってリフレクタ20に位置決め固定されている。その際、周縁部20cには、周方向の3箇所に切欠き部が形成された環状壁20dが形成されており、これによりヘッドランプ用光源バルブ22の周方向の位置決めを図るようになっている。また、この環状壁20dには、基準軸Axの左右両側に1対の係合孔20eが形成されている(これについては後述する)。
【0038】
バルブ固定具30は、固定具本体30Aと第1ソケット部30Bとを備えた構成となっている。
【0039】
固定具本体30Aは、筒状に形成されており、その外周面には、バルブ固定具30をリフレクタ20に取り付けるためのリフレクタ取付部として、左右1対の係止片30Aaが形成されている。
【0040】
これら各係止片30Aaは、前後方向に細長く延びており、その前後方向中間部において固定具本体30Aに連結されている。そして、これら各係止片30Aaは、その前端部にランス部30Aa1が形成されており、これら各ランス部30Aa1において、リフレクタ20の環状壁20dに形成された各係合孔20eに対して外周側から係合するようになっている。これら各係合孔20eに係合した各ランス部30Aa1は、各係止片30Aaの後端部を指で内周側に押えることにより、各係合孔20eとの係合が解除されるようになっている。
【0041】
固定具本体30Aの前端面には、その周方向の3箇所に弾性片30Abが形成されている。これら各弾性片30Abは、各係止片30Aaのランス部30Aa1が各係合孔20eに係合したとき、ヘッドランプ用光源バルブ22の鍔部22Bに後方側から当接して多少撓むようになっている。そしてこれにより、ヘッドランプ用光源バルブ22をリフレクタ20に対して後方側から押し付けて、その前後方向の位置決めを図るようになっている。
【0042】
第1ソケット部30Bは、ヘッドランプ用光源バルブ22のバルブ本体22Aとの係合により該バルブ本体22Aと電気的に接続されるようになっている。具体的には、この第1ソケット部30Bは、バルブ本体22Aの口金部22A2から後方へ突出する3本の端子部22A3と嵌合するようになっている。そして、この第1ソケット部30Bには、給電コード30Baが接続されている。
【0043】
この第1ソケット部30Bは、固定具本体30Aの内周側空間に配置されており、この固定具本体30Aに対して相対変位可能に支持されている。すなわち、この支持は、第1ソケット部30Bの外周面と固定具本体30Aの後端面とを連結するようにして周方向の3箇所に配置された連結片30Cによって行われている。そして、これら3本の連結片30Cが適宜撓み変形することにより、第1ソケット部30Bが固定具本体30Aに対して基準軸Axと直交する平面に略沿って相対変位可能に支持されるようになっている。
【0044】
バルブ固定具30の固定具本体30Aには、クリアランスランプ用光源バルブ24を支持するためのバルブ支持部30Dが形成されている。
【0045】
このバルブ支持部30Dは、固定具本体30Aの外周面から外周側へ延びた後、前方側へ折れ曲がってさらに外周側へ折れ曲がったクランク板状の突起部として形成されている。
【0046】
そして、このバルブ支持部30Dには、クリアランスランプ用光源バルブ24と係合して該クリアランスランプ用光源バルブ24と電気的に接続される第2ソケット部30Eが、該バルブ支持部30Dと一体で形成されている。この第2ソケット部30Eには、給電コード30Eaが接続されている。
【0047】
図3は、リフレクタユニット16の組付工程を示す斜視図である。
【0048】
まず、同図(a)に示すように、ヘッドランプ用光源バルブ22を、その端子部22A3において、バルブ固定具30の第1ソケット部30Bに前方側から挿入して係合させる。その際、固定具本体30Aの前端面に形成された3つの弾性片30Abが、ヘッドランプ用光源バルブ22の鍔部22Bに後方側から当接して多少撓んだ状態となる。
【0049】
また、クリアランスランプ用光源バルブ24を、バルブ固定具30の第2ソケット部30Eに、その前方側から挿入して係合させる。
【0050】
次に、同図(b)に示すように、バルブ固定具30に取り付けられた状態にあるヘッドランプ用光源バルブ22およびクリアランスランプ用光源バルブ24を、リフレクタ20の後方側から、その第1および第2バルブ挿入孔20a、20bにそれぞれ挿入する。
【0051】
そして、同図(c)に示すように、ヘッドランプ用光源バルブ22を、その鍔部22Bに形成された3つの突起片22Baにおいて、リフレクタ20における第1バルブ挿入孔20aの周縁部20cに当接させる。また、固定具本体30Aに形成された左右1対の係止片30Aaを、そのランス部30Aa1において、リフレクタ20の環状壁20dに形成された各係合孔20eと係合させる。このとき、固定具本体30Aの前端面に形成された3つの弾性片30Abが多少撓んだ状態に維持され、これによりヘッドランプ用光源バルブ22の前後方向の位置決めが図られることとなる。また、このとき、固定具本体30Aに取り付けられたクリアランスランプ用光源バルブ24の前後方向の位置決めも同時に図られることとなる。
【0052】
以上詳述したように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、第1および第2バルブ挿入孔20a、20bが形成されたリフレクタ20に対して、その第1バルブ挿入孔20aにヘッドランプ用光源バルブ22が後方側から挿入されるとともに、その第2バルブ挿入孔20bにクリアランスランプ用光源バルブ24が後方側から挿入された構成となっているが、ヘッドランプ用光源バルブ22は、バルブ本体22Aに鍔部22Bが取り付けられた構成となっており、その鍔部22Bをリフレクタ20における第1バルブ挿入孔20aの周縁部20cに当接させた状態で、バルブ固定具30によってリフレクタ20に位置決め固定されており、そして、このバルブ固定具30は、これをリフレクタ20に取り付けるためのリフレクタ取付部としての左右1対の係止片30Aaが形成された固定具本体30Aと、この固定具本体30Aに対して相対変位可能に支持された状態でヘッドランプ用光源バルブ22のバルブ本体22Aとの係合によりこれと電気的に接続される第1ソケット部30Bとを備えた構成となっており、さらに、このバルブ固定具30の固定具本体30Aには、クリアランスランプ用光源バルブ24を支持するためのバルブ支持部30Dが形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0053】
すなわち、バルブ固定具30は、固定具本体30Aに対して第1ソケット部30Bが相対変位可能に支持された構成となっているので、その第1ソケット部30Bにヘッドランプ用光源バルブ22を取り付けた状態で、その固定具本体30Aの係止片30Aaにおいてリフレクタ20への取付けを行うことができる。そしてこれにより、ヘッドランプ用光源バルブ22の取付作業を簡素化することができ、かつ、この取付作業により、ヘッドランプ用光源バルブ22へのコネクタ装着作業も同時に行うことができる。
【0054】
また、バルブ固定具30は、その固定具本体30Aに、クリアランスランプ用光源バルブ24を支持するためのバルブ支持部30Dが形成されているので、クリアランスランプ用光源バルブ24の位置決め固定を行うためのバルブ固定具を別途設ける必要をなくすことができる。
【0055】
このように本実施形態によれば、ヘッドランプ用光源バルブ22およびクリアランスランプ用光源バルブ24を備えた車両用前照灯10において、リフレクタ20に対するヘッドランプ用光源バルブ22およびクリアランスランプ用光源バルブ24の位置決め固定およびコネクタ装着作業を容易に行うことができる。
【0056】
その際、本実施形態においては、バルブ固定具30のバルブ支持部30Dに、クリアランスランプ用光源バルブ24と係合してこれと電気的に接続される第2ソケット部30Eが、該バルブ固定具30と一体で形成された構成となっているので、この第2ソケット部30Eにクリアランスランプ用光源バルブ24を係合させた状態で、バルブ固定具30をリフレクタ20に取り付けることにより、リフレクタ20に対するクリアランスランプ用光源バルブ24の位置決め固定を行うことができる。
【0057】
また、本実施形態においては、バルブ固定具30の固定具本体30Aにおいて、これをリフレクタ20に取り付けるためのリフレクタ取付部が、左右1対の係止片30Aaで構成されているので、バルブ固定具30のリフレクタ20への取付けを簡単かつ確実に行うことができる。
【0058】
そして、本実施形態においては、リフレクタユニット16の組付方法として、ヘッドランプ用光源バルブ22を、バルブ固定具30の第1ソケット部30Bに係合させるとともに、クリアランスランプ用光源バルブ24を、バルブ固定具30の固定具本体30Aにおけるバルブ支持部30Dに取り付けた後、バルブ固定具30を、その固定具本体30Aにおける係止片30Aaにおいてリフレクタ20に取り付けるようになっているので、バルブ固定具30をリフレクタ20への取り付けるだけの簡単な作業により、リフレクタ20に対するヘッドランプ用光源バルブ22およびクリアランスランプ用光源バルブ24の位置決め固定およびコネクタ装着作業を行うことができる。
【0059】
その際、バルブ固定具30の固定具本体30Aを、その左右1対の係止片30Aaにおいて、リフレクタ20に取り付けるようになっているので、バルブ固定具30のリフレクタ20への取付けを簡単かつ確実に行うことができる。
【0060】
上記実施形態においては、バルブ固定具30の構成として、第1ソケット部30Bと固定具本体30Aとを連結する3つの連結片30Cの撓み変形により、第1ソケット部30Bが固定具本体30Aに対して相対変位可能に支持される構成となっているが、このような構成に代えて、第1ソケット部30Bを固定具本体30Aとは別部材で構成した上で、両部材間に基準軸Axを中心とするコイル状の圧縮バネを配置し、この圧縮バネの弾性力によりヘッドランプ用光源バルブ22および第1ソケット部30Bが固定具本体30Aに対して相対変位可能に支持される構成とすることも可能である。
【0061】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0062】
図4は、本変形例に係るリフレクタユニット116の組付工程を示す斜視図である。
【0063】
同図に示すように、本変形例に係るリフレクタユニット116は、その基本的な構成は、上記実施形態の場合と同様であるが、そのバルブ固定具130におけるバルブ支持部130Dの構成が上記実施形態の場合と異なっている。
【0064】
すなわち、本変形例においては、バルブ固定具130のバルブ支持部130Dに、クリアランスランプ用光源バルブ24と係合してこれと電気的に接続されるソケット140が取り付けられる構成ととなっている。
【0065】
具体的には、バルブ支持部130Dにソケット取付孔130Daが形成されており、このソケット取付孔130Daに、左右1対の係止片140aを有するソケット140が後方側から挿入されて係止されることにより、ソケット140の取付けが行われるようになっている。
【0066】
このバルブ支持部130Dへのソケット140の取付けが行われることのほかは、上記実施形態の場合と同様の工程でリフレクタユニット116の組付けが行われることとなる。
【0067】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0069】
10 車両用前照灯
12 透光カバー
14 ランプボディ
16、116 リフレクタユニット
20 リフレクタ
20a 第1バルブ挿入孔
20b 第2バルブ挿入孔
20c 周縁部
20d 環状壁
20e 係合孔
22 ヘッドランプ用光源バルブ
22A バルブ本体
22A1 ガラス管部
22A2 口金部
22A3 端子部
22B 鍔部
22Ba 突起片
22a ロービーム用フィラメント
22b ハイビーム用フィラメント
24 クリアランスランプ用光源バルブ
30、130 バルブ固定具
30A 固定具本体
30Aa 係止片(リフレクタ取付部)
30Aa1 ランス部
30Ab 弾性片
30B 第1ソケット部
30Ba 給電コード
30C 連結片
30D、130D バルブ支持部
30E 第2ソケット部
30Ea 給電コード
130Da ソケット取付孔
140 ソケット
140a 係止片
Ax 基準軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2バルブ挿入孔が形成されたリフレクタと、上記第1バルブ挿入孔に後方側から挿入されたヘッドランプ用光源バルブと、上記第2バルブ挿入孔に後方側から挿入されたクリアランスランプ用光源バルブと、を備えてなる車両用前照灯において、
上記ヘッドランプ用光源バルブは、バルブ本体に鍔部が取り付けられた構成となっており、上記鍔部を上記リフレクタにおける上記第1バルブ挿入孔の周縁部に当接させた状態で、バルブ固定具によって上記リフレクタに位置決め固定されており、
上記バルブ固定具は、該バルブ固定具を上記リフレクタに取り付けるためのリフレクタ取付部が形成された固定具本体と、この固定具本体に対して相対変位可能に支持された状態で、上記ヘッドランプ用光源バルブのバルブ本体との係合により該バルブ本体と電気的に接続される第1ソケット部と、を備えた構成となっており、
上記バルブ固定具の固定具本体に、上記クリアランスランプ用光源バルブを支持するためのバルブ支持部が形成されている、ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
上記バルブ固定具のバルブ支持部に、上記クリアランスランプ用光源バルブと係合して該クリアランスランプ用光源バルブと電気的に接続される第2ソケット部が、該バルブ固定具と一体で形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【請求項3】
上記バルブ固定具のバルブ支持部に、上記クリアランスランプ用光源バルブと係合して該クリアランスランプ用光源バルブと電気的に接続されるソケットが取り付けられている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【請求項4】
上記バルブ固定具のリフレクタ取付部は、上記リフレクタに対して複数箇所で係止される複数の係止片で構成されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用前照灯。
【請求項5】
上記請求項1〜4いずれか記載の車両用前照灯を組み付ける方法であって、
上記ヘッドランプ用光源バルブを、上記バルブ固定具の第1ソケット部に係合させるとともに、上記クリアランスランプ用光源バルブを、上記バルブ固定具の固定具本体におけるバルブ支持部に取り付けた後、
上記バルブ固定具を、該バルブ固定具の固定具本体におけるリフレクタ取付部において上記リフレクタに取り付ける、ことを特徴とする車両用前照灯の組付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−238546(P2012−238546A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108305(P2011−108305)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】