説明

車両用圧縮機

【課題】車両への搭載性に優れた車両用圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明の車両用圧縮機は、斜板式圧縮機構200とリニア電動式圧縮機構100とを備えている。斜板式圧縮機構200は、第1シリンダブロック201等と、フロントハウジング203に回転可能に支持されている駆動軸211とを有し、エンジン212により駆動軸211が回転駆動されて冷媒の圧縮作用を行う。リニア電動式圧縮機構100は、第2シリンダブロック1、3等と、第1、2シリンダボア1a、3a内を往復動可能なピストン27とを有し、給電装置110によってピストン27が電磁力で往復動して冷媒の圧縮作用を行う。斜板式圧縮機構200とリニア電動式圧縮機構100とは、吸入室205a、55同士及び吐出室206、16、14同士が連通するように、リヤハウジング205及びシェル5が一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置として車両に搭載される車両用圧縮機としては、機械式圧縮機構によるものが広く採用されている。この機械式圧縮機構の圧縮機は、内部に吸入室及び吐出室を有するケースと、このケースに回転可能に支持されている駆動軸とを有している。この圧縮機は、エンジン等の駆動源により駆動軸が回転駆動されれば、ピストンの往復動等によって冷媒の圧縮作用を行う。
【0003】
このような機械式圧縮機構の圧縮機では、昨今の二酸化炭素の排出規制に対応し、駆動源の回転数が低いアイドリング時に自動的に駆動源を停止させるアイドリングストップ機能を備えた車両においては、冷媒を圧縮することができず、車内空調能力が低下してしまう。このため、特許文献1〜3では、機械式圧縮機構の圧縮機の他に、電動式の圧縮機を別途に備えた車両用空調装置が提案されている。これらの車両用空調装置によれば、駆動源が停止していても、電動式の圧縮機を作動させることで車内空調能力の低下を補うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−295510号公報
【特許文献2】特開2003-341334号公報
【特許文献3】特開2004-237907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の車両用空調装置のように、複数の圧縮機を備える場合、車両への搭載性が悪化する。すなわち、一つの圧縮機のみを搭載することを前提に設計された従来の車両や小型の車両では、複数の圧縮機を搭載するための場所等の確保が極めて困難である。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、エンジン等の駆動源が停止していても車内の空調が可能であり、かつ車両への搭載性に優れた車両用圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用圧縮機は、内部に第1吸入室及び第1吐出室を有する第1ケースと、該第1ケースに回転可能に支持されている駆動軸とを有し、駆動源により該駆動軸が回転駆動されて冷媒の圧縮作用を行う機械式圧縮機構と、
内部に第2吸入室及び第2吐出室を有する第2ケースと、該第2ケース内を往復動可能なピストンとを有し、給電装置によって該ピストンが電磁力で往復動して該冷媒の圧縮作用を行うリニア電動式圧縮機構とを備え、
前記機械式圧縮機構と前記リニア電動式圧縮機構とは、前記第1吸入室と前記第2吸入室との吸入室同士及び前記第1吐出室と前記第2吐出室との吐出室同士の少なくとも一方が連通するように、前記第1ケース及び前記第2ケースが一体化されていることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
この車両用圧縮機では、機械式圧縮機構は、駆動源により駆動軸が回転駆動されて冷媒の圧縮作用を行う。また、リニア電動式圧縮機構は、給電装置によってピストンが電磁力で往復動して冷媒の圧縮作用を行う。このため、駆動源が停止して機械式圧縮機構による冷媒の圧縮作用を行うことができなくても、リニア電動式圧縮機構により冷媒の圧縮作用を行うことで車内の空調を行うことが可能である。
【0009】
また、この車両用圧縮機では、第1ケース及び第2ケースを一体化させて、第1、2吸入室同士及び第1、2吐出室同士の少なくとも一方を連通させている。このため、この車両用圧縮機は、機械式圧縮機構とリニア電動式圧縮機構とで内部の空間を共有することから、内部の空間を共有しない場合と比べて小型化され、容易に車両に搭載される。
【0010】
したがって、本発明の車両用圧縮機は、エンジン等の駆動源が停止していても車内の空調が可能であり、かつ車両への搭載性に優れている。
【0011】
また、この車両用圧縮機では、第1ケース及び第2ケースが一体化されることにより、部品の共通化を実現しているため、部品の管理が容易になり、製造コストの低廉化も実現できる。
【0012】
機械式圧縮機構としては、斜板式圧縮機構、ベーン型圧縮機構、スクロール型圧縮機構等、種々のものを採用することが可能である。
【0013】
機械式圧縮機構とリニア電動式圧縮機構とは、第1吸入室又は第2吸入室を外部に開く吸入ポート及び第1吐出室又は第2吐出室を外部に開く吐出ポートの少なくとも一方を共有していることが好ましい(請求項2)。この場合には、車両への搭載時において、配管の接続を簡略化することができるため、車両への搭載性が一層向上する。
【0014】
機械式圧縮機構は、第1ケースの一部をなし、第1吸入室及び第1吐出室が形成された第1ハウジングを有し得る。第1ハウジングは、駆動軸の軸芯側である径方向内側に第1吸入室を位置させ、径方向外側に第1吐出室を位置させ得る。また、リニア電動式圧縮機構は、第2ケースの一部をなし、軸方向にシリンダボアが貫設された第2ハウジングと、第2ケースの残部をなし、第2ハウジングの両端に接合される一対のエンドプレートとを備え得る。また、リニア電動式圧縮機構は、シリンダボアと各エンドプレートとの間に設けられ、シリンダボア側を圧縮室とする一対の弁ユニットと、シリンダボア内に往復動可能に収容され、各弁ユニットとの間に圧縮室を形成するピストンとを備え得る。さらに、リニア電動式圧縮機構は、第2ハウジングに設けられたコイルと、ピストンに設けられ、コイルによって生じる電磁力によってピストンを往復動させる永久磁石とを備え得る。また、ピストンは、ピストンロッドと、ピストンロッドの両端に一体に設けられ、シリンダボア内を摺接する一対のピストンヘッドとからなり得る。そして、両ピストンヘッド間に第2吸入室を位置させ、第2ハウジングの両端に第2吐出室を位置させて、駆動軸の軸芯とピストンロッドの軸芯とが直交するように第1ハウジング及び第2ハウジングが一体化され得る(請求項3)。
【0015】
この場合、このリニア電動式圧縮機構では、ピストンの両端に圧縮室が形成されるため、小型化させても優れた車内空調能力を発揮できる。このため、この車両用圧縮機は、高い車内空調能力を実現しつつ、小型化により車両への搭載性を確実に向上させることが可能になる。また、この機械式圧縮機構は、第1ハウジングの中央側に吸入室が形成され、外側に吐出室が形成される。一方、リニア電動式圧縮機構は、第2ハウジングの両端に第2吐出室を位置させている。そして、この車両用圧縮機では、駆動軸の軸芯とピストンロッドの軸芯とを直交させて第1ハウジング及び第2ハウジングを一体化させているため、機械式圧縮機構の径方向にリニア電動式圧縮機構が整列して好適に一体化される。
【0016】
また、機械式圧縮機構は、第1ケースの一部をなし、駆動軸を回転可能に支持するシリンダブロックと、第1ケースの一部をなし、第1吸入室及び第1吐出室が形成された第1ハウジングとを有し得る。第1ハウジングは、駆動軸の軸芯側である径方向内側に第1吸入室を位置させ、径方向外側に第1吐出室を位置させ得る。また、リニア電動式圧縮機構は、第2ケースの一部をなし、軸方向にシリンダボアが貫設された第2ハウジングと、第2ケースの残部をなし、第2ハウジングの両端に接合される一対のエンドプレートとを備え得る。また、リニア電動式圧縮機構は、シリンダボアと各エンドプレートとの間に設けられ、シリンダボア側を圧縮室とする一対の弁ユニットと、シリンダボア内に往復動可能に収容され、各弁ユニットとの間に圧縮室を形成するピストンとを備え得る。さらに、リニア電動式圧縮機構は、第2ハウジングに設けられたコイルと、ピストンに設けられ、コイルによって生じる電磁力によってピストンを往復動させる永久磁石とを備え得る。リニア電動式圧縮機構のピストンは、ピストンロッドと、ピストンロッドの両端に一体に設けられ、シリンダボア内を摺接する一対のピストンヘッドとからなり得る。そして、駆動軸の軸芯とピストンロッドの軸芯とが平行するようにシリンダブロック及び第2ハウジングが一体化され得る(請求項4)。
【0017】
この場合にも、このリニア電動式圧縮機構では、ピストンの両端に圧縮室が形成されるため、小型化させても優れた車内空調能力を発揮できる。このため、この車両用圧縮機は高い車内空調能力を実現しつつ、小型化により車両への搭載性を確実に向上させることが可能になる。また、この機械式圧縮機構は、第1ハウジングの中央側に吸入室が形成され、外側に吐出室が形成される。一方、リニア電動式圧縮機構は、第2ハウジングの両端に第2吐出室を位置させている。そして、この車両用圧縮機では、駆動軸の軸芯とピストンロッドの軸芯とを平行させてシリンダブロック及び第2ハウジングを一体化させているため、機械式圧縮機構の軸方向にリニア電動式圧縮機構が整列して好適に一体化される。
【0018】
リニア電動式圧縮機構においては、両ピストンヘッドに、圧縮室と吸入室とを連通させる吸入弁機構が設けられていることが好ましい。この吸入弁機構は、フロート式でも、リード式でもよい。
【0019】
リニア電動式圧縮機構においては、永久磁石は、コイルによって生じる電磁力によってピストンを往復動させるものであれば、ピストンのどこに設けられてもよい。
【0020】
リニア電動式圧縮機構においては、シリンダボア内でピストンを往復動させる付勢力を有する付勢部材を備えていることが好ましい。この付勢部材は、固有振動数による共振によってピストンを往復動させることが可能である。この付勢部材は、ピストンの両端に設けられてもよく、ピストン内に設けられてもよい。
【0021】
また、リニア電動式圧縮機構においては、ピストンロッドは両ピストンヘッドより小径であり得る。また、第2ハウジングは両ピストンヘッド間にばね座を有し得る。そして、ばね座と両ピストンヘッドとの間には、ピストンロッド周りに位置する付勢部材としてのコイルばねが設けられていることが好ましい。この場合、圧縮室内に付勢部材を設ける必要がないため、圧縮室を大きく確保することができる。また、コイルばねがピストンヘッドよりも大径にならない。このため、リニア電動式圧縮機構を小型化しつつ、冷媒の圧縮効率を高く維持することができる。
【0022】
リニア電動式圧縮機構の第2ハウジングは、シリンダボアが貫設されたシリンダブロックと、シリンダブロックの外側に設けられ、第2シリンダブロックとの間にコイルを保持するシェルとを有することが好ましい。この場合、シリンダブロックとシェルとの間に容易にコイルを設けることが可能になり得る。このため、リニア電動式圧縮機構の組付性が向上する。また、機械式圧縮機構が備えるシリンダブロックを第1シリンダブロックとし、第2ハウジングが有するシリンダブロックを第2シリンダブロックとすることができる。さらにこの場合においては、第1ハウジング又は第1シリンダブロックとシェルとを一体化させることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の車両用圧縮機を示す断面図である。
【図2】実施例1の車両用圧縮機を用いた車両用空調装置を示す摸式構造図である。
【図3】実施例1のリニア電動式圧縮機構を示す断面図である。
【図4】実施例1のリニア電動式圧縮機構の一部を拡大して示す断面図である。
【図5】実施例1のリニア電動式圧縮機構におけるコイル及び永久磁石を示す説明図である。
【図6】実施例2の車両用圧縮機を示す断面図である。
【図7】実施例2のリニア電動式圧縮機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。これらの車両用圧縮機は、ハイブリッド車や電気自動車等の空調装置として採用されている。
【0025】
(実施例1)
実施例1の車両用圧縮機は、図1及び図2に示すように、駆動源としてのエンジン212によって冷媒の圧縮作用を行う斜板式圧縮機構200と、給電装置110によって冷媒の圧縮作用を行うリニア式圧縮機構100とを備えている。
【0026】
(斜板式圧縮機構)
まず、斜板式圧縮機構200について説明する。斜板式圧縮機構200は、図1に示すように、第1シリンダブロック201に複数個のシリンダボア201aが同心円状に等角度間隔でそれぞれ平行に形成されている。第1シリンダブロック201は、前方に位置するフロントハウジング203と後方に位置するリヤハウジング205とに挟持され、この状態で締結されている。第1シリンダブロック201とフロントハウジング203とによって内部にクランク室209が形成されている。
【0027】
リヤハウジング205は、リニア式圧縮機構100の後述するシェル5と一体に形成されている。また、リヤハウジング205には、径方向内側に位置する第1吸入室205aと、径方向外側に位置する環状の第1吐出室206とが形成されている。また、リヤハウジング205には、第1吐出室206と外部とを連通させる吐出ポート208と、第1吐出室206と連通する第1、2吐出通路205b、205cとが貫設されている。
【0028】
第1吸入室205aは後述する吸入ポート5aを介して図2に示す配管102に接続されている。また、図1に示す第1吐出室206は吐出ポート208を介して図2に示す配管101に接続されている。なお、リヤハウジング205が第1ハウジングに相当し、第1シリンダブロック201、フロントハウジング203及びリヤハウジング205が第1ケース250である。
【0029】
図1に示すように、フロントハウジング203には軸孔203aが形成され、第1シリンダブロック201には軸孔201bが形成されている。軸孔203a、201bには軸封装置209a及び軸受装置209b、209cを介して駆動軸211が回転可能に支承されている。駆動軸211にはプーリ210が設けられており、プーリ210には車両のエンジン212(図2参照)によって駆動されるベルト212aが巻き掛けられている。なお、プーリ210の代わりに電磁クラッチを設けることも可能である。
【0030】
クランク室209内では、駆動軸211にラグプレート213が圧入されており、ラグプレート213とフロントハウジング203との間には軸受装置215が設けられている。また、駆動軸211には斜板217が挿通されている。ラグプレート213と斜板217とは、斜板217を傾角変動可能に支持するリンク機構219によって接続されている。
【0031】
各シリンダボア201a内にはピストン221が往復動可能に収納されている。第1シリンダブロック201とリヤハウジング205との間には弁ユニット223が設けられている。各シリンダボア201aはピストン221と弁ユニット223との間が圧縮室222となっている。弁ユニット223は、ピストン221が吸入行程にあるときに第1吸入室205a内の冷媒を圧縮室222に吸入し、ピストン221が圧縮行程にあるときに冷媒を圧縮室222内に閉じ込め、ピストン221が吐出行程にあるときに圧縮室222内の冷媒を第1吐出室206に吐出するようになっている。
【0032】
斜板217と各ピストン221との間には前後で対をなすシュー233が設けられており、各対のシュー233によって斜板217の揺動運動が各ピストン221の往復動に変換されるようになっている。
【0033】
クランク室209と第1吸入室205aとは図示しない抽気通路によって接続されており、クランク室209と第1吐出室206とは図示しない給気通路によって接続されている。給気通路には図示しない容量制御弁が設けられている。
【0034】
(リニア電動式圧縮機構)
次いで、リニア電動式圧縮機構100について説明する。リニア電動式圧縮機構100では、図3にも示すように、第2シリンダブロック1、3、シェル5及びセンターハウジング7によって第2ハウジング9が構成されている。第2シリンダブロック1には軸方向に第1シリンダボア1aが貫設され、第2シリンダブロック3には軸方向に第2シリンダボア3aが貫設されている。第1、2シリンダボア1a、3aは設計上は同軸かつ同径にされている。シェル5には、吸入ポート5aが貫設されている。
【0035】
第2シリンダブロック1、3は、第1、2シリンダボア1a、3a周りにフランジ1b、3bを有しており、フランジ1b、3bが両端に位置するようにシェル5内に収納されている。シェル5内では、第2シリンダブロック1、3間にセンターハウジング7が設けられている。センターハウジング7には第1、2シリンダボア1a、3aと設計上同軸かつ同径の収納孔7aが貫設されている。
【0036】
シェル5の両端には第1、2ガスケット10、12を介して第1、2エンドプレート11、13が接合されている。第2ハウジング9及び第1、2エンドプレート11、13が第2ケースである。第1、2エンドプレート11、13には外部と連通する空間が形成されている。第1ガスケット10と第1エンドプレート11との間には第1弁板15が挟持され、第2ガスケット12と第2エンドプレート13との間には第2弁板17が挟持されている。第1、2エンドプレート11、13の空間は第1、2弁板15、17によって第2吐出室14、16とされている。第2吐出室14は図1に示す第2吐出通路205cを介して第1吐出室206と連通しており、第2吐出室16は図1に示す第1吐出通路205bを介して第1吐出室206と連通している。
【0037】
図4に示すように、第1弁板15には吐出口15aが貫設されている。また、第1弁板15の第2吐出室14側には、吐出口15aを開閉可能なリード式の吐出弁19と、吐出弁19の開度を規制するリテーナ21とがリベット23によって設けられている。第1弁板15、吐出弁19、リテーナ21及びリベット23が第1弁ユニット25である。第2弁板17側も同様である。
【0038】
図3に示すように、第1、2シリンダボア1a、3a及び収納孔7a内には往復動可能にピストン27が収納されている。ピストン27は、ピストンロッド29と、このピストンロッド29の一端に一体に設けられ、第1シリンダボア1a内を摺接する第1ピストンヘッド31と、ピストンロッド29の他端に一体に設けられ、第2シリンダボア3a内を摺接する第2ピストンヘッド33とからなる。
【0039】
第1ピストンヘッド31は、図4及び図5に示すように、外周面に永久磁石35、37を固定するヘッド本体39と、ヘッド本体39と一体的に設けられ、第1シリンダボア1aの内面に対して永久磁石35、37の外周面を離間する第1、2スペーサ41、43とを有している。
【0040】
図5に示すように、永久磁石35、37は筒状をなしている。永久磁石35、37は希土類磁石からなる。永久磁石35は外周面側がN極、内周面側がS極とされ、永久磁石37は外周面側がS極、内周面側がN極とされている。なお、永久磁石35は外周面側がS極、内周面側がN極とされ、永久磁石37は外周面側がN極、内周面側がS極とされていてもよい。
【0041】
図4に示すように、ヘッド本体39に第2スペーサ43が圧入され、次いで永久磁石37、35がヘッド本体39に挿入され、次いでヘッド本体39に第1スペーサ41が圧入されることにより、永久磁石35、37はヘッド本体39上で第1、2スペーサ41、43に挟持されている。第1ピストンヘッド31は第1スペーサ41側が圧縮室45とされている。
【0042】
ヘッド本体39には内部から圧縮室45に向かって開く吸入口39aが貫設されている。第1スペーサ41には吸入口39aと連通する弁口41aが形成されており、弁口41a内にはフロート式の吸入弁47が収納されている。弁口41aは圧縮室45側に係止片41bを有している。吸入弁47の外周縁には、吸入口39aを開いた時に係止片41bと当接する複数の係止片47aが形成されており、各係止片47a間は切欠き47bとされている。
【0043】
図3に示すように、ピストンロッド29の両端に第1ピストンヘッド31と第2ピストンヘッド33とが圧入されている。ピストンロッド29は第1、2ピストンヘッド31、33よりも小径である。ピストンロッド29には、中央で径方向に開き、軸方向に延びる吸入通路29aが形成されている。吸入通路29aは、図4に示すように、第1ピストンヘッド31の吸入口39aと連通している。吸入通路29a、吸入口39a、吸入弁47及び第1スペーサ41が吸入弁機構50を構成している。第2ピストンヘッド33側も同様である。
【0044】
図3に示すように、センターハウジング7には、第2シリンダブロック1、3の端面から同一の距離をなす中央位置に、ばね座7bが収納孔7a内に突出する形状で形成されている。収納孔7aの内面とピストンロッド29の外周面との間はばね室7cとされている。ばね室7c内には付勢部材としての第1、2コイルばね49、51が収納されている。
【0045】
第1コイルばね49は、予圧縮された状態で、一端がばね座7bに当接し、他端が第1ピストンヘッド31の第2スペーサ43に当接している。第2コイルばね51は、同様に予圧縮された状態で、一端がばね座7bに当接し、他端が第2ピストンヘッド33の第2スペーサ(符号なし)に当接している。
【0046】
センターハウジング7とシェル5との間には中間室53が形成されている。センターハウジング7には、中間室53とばね室7cとを連通する連通孔7dが貫設されている。中間室53及びばね室7cが第2吸入室55に相当し、第1吸入室205aと第2吸入室55とは一体となっている(図1参照)。第2吸入室55内には、後述するコイル63a、63b、65a、65bと接続される図示しない端子が固定されている。
【0047】
第1、2シリンダブロック1、3とシェル5との間には第1、2保持部材59、61に保持された状態でコイル63a、63b、65a、65bが設けられている。コイル63a、63b、65a、65bは第1、2ピストンヘッド31、33周りに設けられている。第1、2シリンダブロック1、3及び第1、2保持部材59、61は磁性体からなる。なお、第1、2シリンダブロック1、3を非磁性体で構成することもできる。
【0048】
このリニア電動式圧縮機構100は、図2に示すように、配管101と配管103とが接続し、配管103が凝縮器105に接続されている。凝縮器105は配管102によって膨張弁107及び蒸発器108に接続されている。配管102は吸入ポート5aに接続されている。また、図3に示す中間室53内の端子は、図2に示すように、リード線109によって給電装置110に接続されている。給電装置110は電気制御されるようになっている。
【0049】
以上のように構成された車両用圧縮機では、エンジン212が駆動されて車両が走行中は、斜板式圧縮機構200の駆動軸211が回転駆動される。このため、ラグプレート213及び斜板217が駆動軸211と同期回転し、斜板217の傾斜角に応じたストロークで各ピストン221が各シリンダボア201a内を往復動する。このため、第1吸入室205a内の冷媒は、各圧縮室222に吸入されて圧縮され、第1吐出室206に吐出される。第1吐出室206内の冷媒は配管101、103を経て凝縮器105、膨張弁107及び蒸発器108に至る。こうして、この車両用圧縮機は、斜板式圧縮機構200によって車室内を空調することとなる。
【0050】
車両が信号等のために停止すれば、エンジン212がアイドリング状態となり、エンジン212は停止する。すると、リニア電動式圧縮機100では、給電装置110がコイル63a、63b、65a、65bに周期的な給電を行う。このため、コイル63a、63b、65a、65b周りに周期的に変化する電磁力を生じる。この際、図5に示すように、コイル63aが第1ピストンヘッド31の永久磁石35を引き付ければ、コイル63bが第1ピストンヘッド31の永久磁石37を引き離そうとする。逆に、コイル63aが第1ピストンヘッド31の永久磁石35を引き離せば、コイル63bが第1ピストンヘッド31の永久磁石37を引き付けようとする。このため、このリニア電動式圧縮機100では、大きな推力でピストン27を往復動させることが可能になっている。
【0051】
このため、ピストン27の永久磁石35、37(第1ピストンヘッド31の永久磁石のみ符号で示す。)が63a、63b、65a、65bによって生じる電磁力に引き付けられたり、引き離されたりする。このため、第1、2シリンダボア1a、3a内で往復動する。この際、第1、2コイルばね49、51は、固有振動数による共振によってピストン27を往復動させる。
【0052】
このピストン27の往復動により、冷媒の吸入、圧縮及び吐出のそれぞれの行程が行われる。第1ピストンヘッド31側を例に詳細に説明する。図4に示すように、第1ピストンヘッド側31が吸入行程にあるとき、圧縮室45内が低圧となり、吸入弁47が弁口41内を移動し、吸入口39aが開かれる。このため、吸入室55内の冷媒は、吸入口39aから吸入弁47の切欠き47bと係止片41bとの間隙を通過して圧縮室45内へ吸入される。この時、吐出口15aは吐出弁19によって閉じられている。
【0053】
第1ピストンヘッド側31が圧縮行程に移行すると、圧縮室45内の圧力により吸入弁47が弁口41a内を移動し、吸入口39aが閉じられる。そして、圧縮室45内の圧力が上昇することにより、吐出弁19が開かれる。すなわち、第1ピストンヘッド側31が吐出行程に移行する。こうして、圧縮された冷媒は、吐出口15aを経て第2吐出室14へ吐出される。第2吐出室14内の冷媒は高温であるが、第1エンドプレート11と第2シリンダブロック1との間にはガスケット10が存在し、ピストン27は第2吐出室14とは直接接触していない。このため、ピストン27は吐出室11a、13a内の冷媒によっては加熱され難い。なお、第2ピストンヘッド33側も同様である。
【0054】
リニア電動式圧縮機構100においては、冷媒は以下のように循環して車室内の空調を行う。すなわち、蒸発器108から配管102に出た冷媒は、第2吸入室55から圧縮室45に吸入され、圧縮室45で圧縮された後、第2吐出室14及び第2吐出室16へ吐出される。第2吐出室14及び第2吐出室16内の冷媒は凝縮器105等に至る。こうして、この車両用圧縮機は、リニア電動式圧縮機構100によって車室内を空調することとなる。
【0055】
このリニア電動式圧縮機構100では、ピストン27の両端に圧縮室45が形成されている。このため、ピストン27が一往復する間に冷媒を2回圧縮することが可能である。このため、小型化させても単位時間当たりの冷媒の圧縮効率を高くすることができる。このため、この車両用圧縮機は、高い車内空調能力を実現しつつ、車両への搭載性を確実に向上させることが可能となる。
【0056】
さらに、この車両用圧縮機では、リヤハウジング205及びシェル5が一体化され、第1吸入室205aと第2吸入室55とを連通させている。また、第1吐出室206と第2吐出室16、14とを連通させている。このため、この車両用圧縮機は、機械式圧縮機構200とリニア電動式圧縮機構100とで内部の空間を共有することから、内部の空間を共有しない場合と比べて小型化され、容易に車両に搭載される。
【0057】
したがって、この車両用圧縮機は、エンジン等の駆動源が停止していても車内の空調が可能であり、かつ車両への搭載性に優れている。
【0058】
また、この車両用圧縮機では、リヤハウジング205及びシェル5が一体化されることにより、部品の共通化を実現しているため、部品の管理が容易になり、製造コストの低廉化も実現できる。
【0059】
特に、この車両用圧縮機においては、斜板式圧縮機構200とリニア電動式圧縮機構100とは、第1吸入室205a又は第2吸入室55を外部に開く吸入ポート5aを共有している。また、第1吐出室206又は第2吐出室14及び第2吐出室16を外部に開く吐出ポート208を共有している。このため、車両への搭載時において、配管101、102の接続を簡略化することができるため、車両への搭載性が一層向上している。
【0060】
さらに、この車両用圧縮機では、斜板式圧縮機構200のリヤハウジング205が径方向内側に位置する第1吸入室205aと、径方向外側に位置する第1吐出室206とを有している。また、第2ハウジング9両端に第2吐出室14及び第2吐出室16を位置させている。そして、駆動軸211の軸芯とピストンロッド29の軸芯とが直交するようにリヤハウジング205及びシェル5を一体化させている。このため、この車両用圧縮機では、機械式圧縮機構200の径方向にリニア電動式圧縮機構100が整列して好適に一体化されている。
【0061】
また、リニア電動式圧縮機構100では、第2シリンダブロック1、3とシェル5との間に中間室53が形成されている。また、各弁ユニット25が第1、2エンドプレート11、13側を第2吐出室14及び第2吐出室16とし、第1、2ピストンヘッド31、33に吸入弁機構50が設けられている。これらのため、ピストン27内に第2吸入室55の一部であるばね室7cと吸入通路29aとが形成されることとなる。このため、このリニア電動式圧縮機構100は、小型化が可能であるとともに、ピストン27の軽量化が可能であり、冷媒の圧縮効率を高く維持することができる。
【0062】
さらに、リニア電動式圧縮機構100では、ピストンロッド29が第1、2ピストンヘッド31、33より小径である。また、センターハウジング7がばね座7bを有し、ばね座7bと第1、2ピストンヘッド31、33との間に第1、2コイルばね49、51が設けられている。このため、圧縮室45内に付勢部材を設ける必要がないため、圧縮室45を大きく確保することができる。また、第1、2コイルばね49、51が第1、2ピストンヘッド31、33よりも大径にならない。このため、このリニア電動式圧縮機構100は、小型でありながら、冷媒の圧縮効率を高く維持することができる。
【0063】
また、この車両用圧縮機では、リニア電動式圧縮機構100の第2ハウジング9が第2シリンダブロック1、3と、シェル5とを有するため、第2シリンダブロック1、3とシェル5との間に容易にコイル63a、63b、65a、65bを設けることが可能であり、リニア電動式圧縮機構100の組付性が向上している。
【0064】
(実施例2)
実施例2の車両用圧縮機は、図6及び図7に示すように、実施例1とは異なるリニア電動式圧縮機構150を採用している。
【0065】
このリニア電動式圧縮機構150は、図7に示すように、第2シリンダブロック71及びシェル73によって第2ハウジング70が構成されている。第2シリンダブロック71には軸方向にシリンダボア71aが貫設されている。
【0066】
第2シリンダブロック71の外側にシェル73が設けられている。第2シリンダブロック71及びシェル73の両端には第1、2エンドプレート75、77が接合されている。第2ハウジング70及び第1、2エンドプレート75、77が第2ケースである。第1、2エンドプレート75、77には空間が形成されており、第2シリンダブロック71と第1エンドプレート75との間には第1弁ユニット79が挟持され、第2シリンダブロック71と第2エンドプレート77との間には第2弁ユニット81が挟持されている。第1、2エンドプレート75、77の空間は第1、2弁ユニット79、81によって第2吐出室76及び第2吐出室78とされている。第2エンドプレート77の第2吐出室78は図示しない吐出通路によって第2吐出室76に連通している。
【0067】
第1弁ユニット79は、第1弁板79aとリード式の吐出弁79bとからなる。第1弁板79aには吐出口79cが貫設されており、吐出弁79bは吐出口79cを開閉可能になっている。第2弁ユニット81側も同様である。
【0068】
シリンダボア71a内には往復動可能にピストン83が収納されている。ピストン83は、ピストンロッド83aと、このピストンロッド83aの一端に一体に設けられ、シリンダボア71a内を摺接する第1ピストンヘッド83bと、ピストンロッド83aの他端に一体に設けられ、シリンダボア71a内を摺接する第2ピストンヘッド83cとからなる。
【0069】
ピストンロッド83aは第1、2ピストンヘッド83b、83cよりも小径である。ピストンロッド83aは一端側がN極、他端側がS極の永久磁石である。この永久磁石も希土類磁石からなる。なお、ピストンロッド83aは一端側がS極、他端側がN極であってもよい。第1ピストンヘッド83bの一端側及び第2ピストンヘッド83cの他端側が圧縮室85とされている。
【0070】
第1、2ピストンヘッド83b、83cには内部から圧縮室85に向かって開く複数個の吸入口83dが貫設されている。また、第1、2ピストンヘッド83b、83cの圧縮室85側にはリード式の吸入弁83eが固定されている。吸入弁83eは各吸入口83dを開閉可能になっている。各吸入口83d及び吸入弁83eが吸入弁機構80を構成している。
【0071】
第2シリンダブロック71には、両端面から同一の距離をなす中央位置に、ばね座71bがシリンダボア71a内に突出する形状で形成されている。シリンダボア71aの内面とピストンロッド83aの外周面との間は中間室86とされている。中間室86内には付勢部材としての第1、2コイルばね87、89が収納されている。
【0072】
第1コイルばね87は、予圧縮された状態で、一端がばね座71bに当接し、他端が第1ピストンヘッド83bに当接している。第2コイルばね89は、同様に予圧縮された状態で、一端がばね座71bに当接し、他端が第2ピストンヘッド83cに当接している。
【0073】
また、第2シリンダブロック71とシェル73との間は吸入通路73aとされており、吸入通路73a内にはコイル91が設けられている。コイル91は図示しない端子及びリード線を介して給電装置に接続されている。第2シリンダブロック71には、シリンダボア71a内の中間室86と吸入通路73aとを連通させる複数個の吸入口71cが貫設されている。中間室86及び吸入通路73aが第2吸入室93に相当する。第2ピストンヘッド83c側も同様である。シェル73には吸入通路73aに繋がる吸入ポート73bが貫設されている。
【0074】
図6に示すように、斜板式圧縮機構200の第1シリンダブロック202の一部がリニア電動式圧縮機構150のシェル73であり、斜板式圧縮機構200のフロントハウジング204の一部がリニア電動式圧縮機構150の第2エンドプレート77であり、斜板式圧縮機構200のリヤハウジング207の一部がリニア電動式圧縮機構150の第1エンドプレート75である。
【0075】
斜板式圧縮機構200の吸入ポート205c及びリニア電動式圧縮機構150の吸入ポート73bは図示しない配管によって蒸発器108と接続されている。また、リニア電動式圧縮機構150の第2吐出室76は吐出通路75cによって斜板式圧縮機構200の第1吐出室206と連通しており、吐出ポート208bは図示しない配管によって凝縮器105に接続されている。他の構成は実施例1と同様であり、同一の構成については同一符号を付して構成の詳細な説明は省略する。
【0076】
この車両用圧縮機においては、駆動軸211の軸芯とピストンロッド83aの軸芯とを平行させて第1シリンダブロック202及びシェル73を一体化させているため、機械式圧縮機構200の軸方向にリニア電動式圧縮機構150が整列して好適に一体化される。また、この車両用圧縮機では、部品の共通化をより一層実現しているため、部品の管理が容易になり、製造コストの低廉化を実現できる。他の作用効果は実施例1と同様である。
【0077】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0078】
例えば、実施例1、2の斜板式圧縮機構200に替えて、ベーン型圧縮機構やスクロール型圧縮機構を採用することも可能である。また、駆動源としては、通常のエンジンの他、ハイブリッドエンジン、電動モータが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、ハイブリッド車の他、電動モータを用いた電気自動車等に搭載可能である。また、エンジンを用いた自動車に搭載可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0080】
206…第1吐出室
205a…第1吸入室
250…第1ケース(201、202…第1シリンダブロック、203、204…フロントハウジング、205、207…リヤハウジング)
211…駆動軸
212…駆動源(エンジン)
200…機械式圧縮機構(斜板式圧縮機構)
14、16、76、78…第2吐出室
55、93…第2吸入室(7c…ばね室、53、86…中間室、73a…吸入通路)
9、11、13、70、75、77…第2ケース
27、83…ピストン(29、83a…ピストンロッド、31、33、83b、83c…第1、2ピストンヘッド)
100、150…リニア電動式圧縮機構
5a、73b、205c…吸入ポート
208、208b…吐出ポート
1a、3a、71a…シリンダボア
9、70…第2ハウジング(1…第2シリンダブロック、3…第2シリンダブロック、5、73…シェル、7…センターハウジング、71…第2シリンダブロック)
11、13、75、77…エンドプレート(11、75…第1エンドプレート、13、77…第2エンドプレート)
45、85…圧縮室
25、79、81…弁ユニット
63a、63b、65a、65b、91…コイル
35、37…永久磁石
49、51、87、89…付勢部材(49、87…第1コイルばね、51、89…第2コイルばね)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に第1吸入室及び第1吐出室を有する第1ケースと、該第1ケースに回転可能に支持されている駆動軸とを有し、駆動源により該駆動軸が回転駆動されて冷媒の圧縮作用を行う機械式圧縮機構と、
内部に第2吸入室及び第2吐出室を有する第2ケースと、該第2ケース内を往復動可能なピストンとを有し、給電装置によって該ピストンが電磁力で往復動して該冷媒の圧縮作用を行うリニア電動式圧縮機構とを備え、
前記機械式圧縮機構と前記リニア電動式圧縮機構とは、前記第1吸入室と前記第2吸入室との吸入室同士及び前記第1吐出室と前記第2吐出室との吐出室同士の少なくとも一方が連通するように、前記第1ケース及び前記第2ケースが一体化されていることを特徴とする車両用圧縮機。
【請求項2】
前記機械式圧縮機構と前記リニア電動式圧縮機構とは、前記第1吸入室又は前記第2吸入室を外部に開く吸入ポート及び前記第1吐出室又は前記第2吐出室を外部に開く吐出ポートの少なくとも一方を共有している請求項1記載の車両用圧縮機。
【請求項3】
前記機械式圧縮機構は、前記第1ケースの一部をなし、前記第1吸入室及び前記第1吐出室が形成された第1ハウジングを有し、
該第1ハウジングは、前記駆動軸の軸芯側である径方向内側に該第1吸入室を位置させ、径方向外側に該第1吐出室を位置させており、
前記リニア電動式圧縮機構は、前記第2ケースの一部をなし、軸方向にシリンダボアが貫設された第2ハウジングと、該第2ケースの残部をなし、該第2ハウジングの両端に接合される一対のエンドプレートと、該シリンダボアと各該エンドプレートとの間に設けられ、該シリンダボア側を圧縮室とする一対の弁ユニットと、該シリンダボア内に往復動可能に収容され、各該弁ユニットとの間に該圧縮室を形成する前記ピストンと、該第2ハウジングに設けられたコイルと、該ピストンに設けられ、該コイルによって生じる電磁力によって該ピストンを往復動させる永久磁石とを備え、
前記ピストンは、ピストンロッドと、該ピストンロッドの両端に一体に設けられ、前記シリンダボア内を摺接する一対のピストンヘッドとからなり、
両該ピストンヘッド間に前記第2吸入室を位置させ、該第2ハウジングの両端に前記第2吐出室を位置させており、
上記駆動軸の軸芯と上記ピストンロッドの軸芯とが直交するように上記第1ハウジング及び上記第2ハウジングが一体化されている請求項1又は2記載の車両用圧縮機。
【請求項4】
前記機械式圧縮機構は、前記第1ケースの一部をなし、前記駆動軸を回転可能に支持するシリンダブロックと、該第1ケースの一部をなし、前記第1吸入室及び前記第1吐出室が形成された第1ハウジングとを有し、
該第1ハウジングは、該駆動軸の軸芯側である径方向内側に該第1吸入室を位置させ、径方向外側に該第1吐出室を位置させており、
前記リニア電動式圧縮機構は、前記第2ケースの一部をなし、軸方向にシリンダボアが貫設された第2ハウジングと、該第2ケースの残部をなし、該第2ハウジングの両端に接合される一対のエンドプレートと、該シリンダボアと各該エンドプレートとの間に設けられ、該シリンダボア側を圧縮室とする一対の弁ユニットと、該シリンダボア内に往復動可能に収容され、各該弁ユニットとの間に該圧縮室を形成する前記ピストンと、該第2ハウジングに設けられたコイルと、該ピストンに設けられ、該コイルによって生じる電磁力によって該ピストンを往復動させる永久磁石とを備え、
前記ピストンは、ピストンロッドと、該ピストンロッドの両端に一体に設けられ、前記シリンダボア内を摺接する一対のピストンヘッドとからなり、
上記駆動軸の軸芯と上記ピストンロッドの軸芯とが平行するように上記シリンダブロック及び上記第2ハウジングが一体化されている請求項1又は2記載の車両用圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−51540(P2011−51540A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204281(P2009−204281)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】