説明

車両用情報受信システム

【課題】既に運転者が所持している携帯端末を利用し、運転中や作業中でも運行管理側からの連絡事項等の指示情報を確認することができる車両用情報受信システム。
【解決手段】携帯端末10が事務所メールを受信し、携帯端末10が音声出力しない設定になっている場合は、当該事務所メールをテキスト情報に変換してデジタルタコグラフ20に送信し、デジタルタコグラフ20では、音声出力タイミングが着信時である場合は、直ちに音声合成IC24で音声信号に変換してスピーカー25から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタルタコグラフを搭載した車両に、運行管理を行っている事務所などからの指示情報を運転者が電子メールなどで受信することができる車両用情報受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運行状況を管理する運行管理装置としてデジタルタコグラフが一般的に利用されている。デジタルタコグラフは、車両の速度とエンジンの回転数を取得することで、車両の走行時間、走行距離、最高速度、平均速度、速度オーバー時間、速度オーバー回数、エンジンオーバー時間、エンジンオーバー回数、急発進、急加速、急減速、アイドリング時間などの車両の走行状況を数値化した運行データを時系列で取得するもので、その運行データに基づいて走行状況の解析も行われている。
【0003】
また、当該車両の運転者に対して、事務所などの運行管理側から電子メールにより連絡事項等を運転者が所持している携帯電話等の携帯端末に送信して伝達することが行われている。
【0004】
また、特許文献1には、デジタルタコグラフに通信機能を持たせることが記載されている。特許文献1には、車載端末機(デジタルタコグラフ)が受信不可能な場合であっても、車載端末機が受信可能な状態となった際に、それ以前に発信されたメールの受信を可能とするために、車両に搭載されている端末機にメール受信可能な状態である旨を示す情報をメール送信機構に送信する機能を有し、メール送信機構は、端末機がメール受信可能な状態であるか否かを判断する機能と、運行管理側から送信されたメールの宛先となる車両側の端末機を特定する機能とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−128918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の運転者が所持している携帯端末に電子メールを送信する場合、運転中は当該電子メールを確認することはできない。また、作業中の場合は電子メールを受信しても気づかないことがあった。さらに、運行管理側からの電子メールとその他の電子メールが混在する場合は、運転者がその都度確認したり、携帯端末の設定を行うことなどで運行管理側からの電子メールを区別しなければならず煩わしいという問題があった。
【0007】
また、特許文献1に記載のメール送受信システムの場合、端末機がメール送信機能と通信するために、既存の公衆回線を使用すると運転者が携帯している携帯端末とは別に端末機の通信費用が必要となる。また、専用の通信網と構築する場合は、通信網を構築する費用がかかってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、既に運転者が所持している携帯端末を利用し、運転中や作業中でも運行管理側からの連絡事項等の指示情報を確認することができる車両用情報受信システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、車両に搭載されて前記車両の走行状況を記録するデジタルタコグラフと、前記車両の運転者へ指示情報を送信する送信端末と、前記送信手段から送信された前記指示情報が受信可能な携帯端末と、を有する車両用情報受信システムであって、前記携帯端末が、前記デジタルタコグラフへ前記指示情報を送信する送信手段を備え、前記デジタルタコグラフが、前記携帯端末が送信する前記指示情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記指示情報を音声信号に変換する音声変換手段と、前記音声変換手段が変換した前記音声信号を出力する出力手段と、を備えていることを特徴とする車両用情報受信システムである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記携帯端末が、前記指示情報を自身から音声信号として出力できるか否かを判断し、音声信号として出力できないと判断した場合は、前記送信手段に前記指示情報を送信させる携帯端末制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記デジタルタコグラフが、前記運転者からの操作を受け付ける操作手段と、前記指示情報を直ちに前記音声変換手段に音声変換させて前記出力手段に出力させるか、前記操作手段が操作された際に前記指示情報を前記音声変換手段に音声変換させて前記出力手段に出力させるか、を設定する出力タイミング設定手段と、前記操作手段の操作と前記タイミング設定手段の設定に基づいて前記音声変換手段に音声変換をさせるデジタルタコグラフ制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記指示情報のうち、前記音声信号に変換する範囲を予め指定するために、前記範囲の先頭と末尾に前記音声情報に変換する部分を示す記号を挿入する挿入手段を備え、前記音声変換手段が、前記記号で挟まれた範囲を音声信号に変換することを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、前記デジタルタコグラフは、前記出力タイミング設定手段に前記操作手段が操作された際に前記指示情報を前記音声変換手段に音声変換させて前記出力手段に出力させるように設定されている場合に、前記指示情報の受信があったことを表示する表示手段を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、携帯端末が、デジタルタコグラフへ指示情報を送信する送信手段を備え、デジタルタコグラフが、携帯端末が送信する指示情報を受信する受信手段と、受信手段が受信した指示情報を音声信号に変換する音声変換手段と、音声変換手段が変換した音声信号を出力する出力手段と、を備えているので、携帯端末が運行管理側からの指示情報を受信した場合は、デジタルタコグラフへ送信し、デジタルタコグラフでは音声信号に変換して出力しているので、運行管理側との通信は既存の携帯端末で行え、運行管理側からの指示情報はデジタルタコグラフから音声信号として出力するので運転中や作業中でも携帯端末の操作不要で連絡や指示内容を確認することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、携帯端末が、指示情報を自身から音声信号として出力できるか否かを判断し、音声信号として出力できないと判断した場合は、送信手段に指示情報を送信させる携帯端末制御手段を備えているので、携帯端末が音声出力可能な状態か否かに応じてデジタルタコグラフから音声出力することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、デジタルタコグラフが、運転者からの操作を受け付ける操作手段と、指示情報を直ちに音声変換手段に音声変換させて出力手段に出力させるか、操作手段が操作された際に指示情報を音声変換手段に音声変換させて出力手段に出力させるか、を設定する出力タイミング設定手段と、操作手段の操作とタイミング設定手段の設定に基づいて音声変換手段に音声変換をさせるデジタルタコグラフ制御手段と、を備えているので、例えば車外で作業中などによりデジタルタコグラフの近傍に運転者がいない場合は、操作手段が操作されるまで待機し、運転者が操作してから指示情報が出力されるようにすることで、指示情報を聞き漏らすことが無く確実に確認することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、指示情報のうち、音声信号に変換する範囲を予め指定するために、範囲の先頭と末尾に音声情報に変換する部分を示す記号を挿入する挿入手段を備え、音声変換手段が、記号で挟まれた範囲を音声信号に変換するので、例えば指示情報の重要な部分のみを指定することで、確実に運転者に伝達したい内容や強調したい内容のみを音声信号として変換させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、デジタルタコグラフは、出力タイミング設定手段に操作手段が操作された際に指示情報を音声変換手段に音声変換させて出力手段に出力させるように設定されている場合に、指示情報の受信があったことを表示する表示手段を備えているので、指示情報が受信されていることを運転者に表示にて通知することができ、その後の操作手段の操作を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる車両用情報受信システムの構成図である。
【図2】図1に示された車両用情報受信システムの要部ブロック図である。
【図3】図2に示された車両用情報受信システムの携帯端末の動作を示したフローチャートである。
【図4】図2に示された車両用情報受信システムのデジタルタコグラフの動作を示したフローチャートである。
【図5】図2に示された車両用情報受信システムのハンディテンキーの動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる車両用情報受信システム1の構成図である。図2は図1に示された車両用情報受信システムの要部ブロック図である。図1や図2に示すように、車両用情報受信システム1は、携帯端末10と、デジタルタコグラフ20と、ハンディテンキー40と、事務所端末50と、を備えている。
【0021】
携帯端末10は、例えば携帯電話やスマートフォン等の電子メールが受信可能な端末で構成され、図2に示したようにアプリ11を備えている。また、携帯端末10は、基地局との通信手段以外に、デジタルタコグラフ20と通信するための例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信による第2の通信手段を備えている。アプリ11は、事務所端末50から受信した電子メール(事務所メール)を後述するデジタルタコグラフ20へ送信するか否かの制御を行っている。即ち、アプリ11が送信手段、携帯端末制御手段として機能する。アプリ11は、ソフトウェアにより構成されたアプリケーションプログラムであり、予め携帯端末10にインストールされている。
【0022】
デジタルタコグラフ20は、図2に示したように、CPU21と、通信I/F22と、メモリ23と、音声合成IC24と、スピーカー25と、通信I/F26と、トリガ用SW27と、SW照明28と、ドライバIC29と、画面30と、を備えている。
【0023】
受信手段としてのCPU21は、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置であり、メモリ23に記憶されているプログラムやデータ等を読み出して動作する。
【0024】
通信I/F22は、CPU21が携帯端末10と通信するためのインタフェース(I/F)であり、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信によって携帯端末10とデータの送受信を行っている。
【0025】
メモリ23は、CPU21のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROMや、各種のデータを格納するとともにCPU21の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAMなどをから構成されている。
【0026】
音声変換手段としての音声合成IC24は、後述する事務所メールのテキスト情報を音声信号に変換するIC(Integrated Circuit)であり、変換した音声信号は出力手段としてのスピーカー25から音声として出力される。音声合成IC24は、周知のように、音声を生成するための辞書データを持ち、入力されたテキスト情報に基づいて、センテンスを複数のフレーズに分割し、辞書データに基づいて、フレーズのテキスト情報に対応した音声データを生成し、D/A変換して音声信号として出力する。
【0027】
通信I/F26は、CPU21がハンディテンキー40と通信するためのインタフェース(I/F)であり、例えばUSB(Universal Serial Bus)等の有線通信によってハンディテンキー40とデータの送受信を行っている。
【0028】
操作手段としてのトリガ用SW27は、後述する事務所メールの音声出力を行うトリガとなるスイッチであり、トリガ用SW27が操作されるとCPU21がメモリ23に記憶している事務所メールのテキスト情報を音声合成IC24に出力して音声出力する。なお、デジタルタコグラフ20の設定で、トリガ用SW27の操作によらず、携帯端末10から事務所メールのテキスト情報を受信したら直ちに音声出力するように設定されている場合は、本トリガ用SW27は無効となる。また、トリガ用SW27によるトリガを再度音声出力するための再出力用のトリガとし、トリガ用SW27とは別にメール確認ボタンを設け、それを操作することでトリガ用SW27を無効としてもよい。なお、トリガ用SW27は、タッチパネルなどで構成された画面上に表示されたボタンでも良いし、押圧するボタンに限らず、予め定めた所定の操作により入力がなされるようにしてもよい。
【0029】
SW照明28は、トリガ用SW27の照明であり、トリガ用SW27の操作が可能となった際にCPU21が点灯あるいは点滅させてトリガ用SW27の操作を促す。
【0030】
ドライバIC29は、後述する画面30を駆動するIC(Integrated Circuit)であり、CPU21から出力された画面30に表示する文字や画像等に応じて画面30を駆動する。
【0031】
表示手段としての画面30は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)で構成され、ドライバIC29から駆動されてCPU21が出力した文字や画像等を表示する。
【0032】
なお、デジタルタコグラフ20は、周知のように、車両の速度とエンジンの回転数を取得することで、車両の走行時間、走行距離、最高速度、平均速度、速度オーバー時間、速度オーバー回数、エンジンオーバー時間、エンジンオーバー回数、急発進、急加速、急減速、アイドリング時間などの車両の走行状況を数値化した運行データを時系列で取得する機能を備えている。即ち、速度/エンジン回転I/F、RTC(Real Time Clock)、CFカードI/F、ETC(Electronic Toll Collection System)I/F、プリンタI/F、GPS(Global Positioning System)I/F、CAN(Controller Area Network)I/F、各種操作用のボタンなども図示しないが備えており、上述したデジタルタコグラフとしての機能を果たすことができる。
【0033】
ハンディテンキー40は、図2に示したように、CPU41と、通信I/F42と、トリガ用SW43と、SW照明44と、I/F45と、LCD46と、を備えている。また、ハンディテンキー40はデジタルタコグラフ20の端末として着脱自在に構成され、有線または無線により接続されている。図2では有線により接続されている例を示す。
【0034】
CPU41は、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置であり、CPU41のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROMや、各種のデータを格納するとともにCPU41の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAMなどを内蔵している。そして、CPU41は、ROMやRAMに記憶されているプログラムやデータ等を読み出して動作する。
【0035】
通信I/F42は、CPU41がデジタルタコグラフ20と通信するためのインタフェース(I/F)であり、例えばUSB(Universal Serial Bus)等の有線通信によってデジタルタコグラフ20とデータの送受信を行っている。
【0036】
操作手段としてのトリガ用SW43は、後述する事務所メールの音声出力を行うトリガとなるスイッチであり、上述したトリガ用SW27と同じ機能を有する。つまり、本実施形態では、デジタルタコグラフ20とハンディテンキー40のいずれでも事務所メールの音声出力操作を行うことができる。なお、トリガ用SW43は、タッチパネルなどで構成された画面上に表示されたボタンでも良いし、押圧するボタンに限らず、予め定めた所定の操作により入力がなされるようにしてもよい。
【0037】
SW照明44は、トリガ用SW43の照明であり、トリガ用SW43の操作が可能となった際にCPU41が点灯あるいは点滅させてトリガ用SW43の操作を促す。
【0038】
I/F45は、後述するLCD46とCPU41と接続するインタフェースであり、CPU41から出力されたLCD46に表示する文字や画像等に応じてLCD46を駆動するドライバとしても機能する。
【0039】
表示手段としてのLCD46は、LCD(液晶ディスプレイ)で構成され、I/F45から駆動されてCPU41が出力した文字や画像等を表示する。
【0040】
また、ハンディテンキー40は、トリガ用SW43以外にもテンキーやファンクションキーなどの各種操作用のキー(ボタン)等も有しており、例えば、荷積地、荷卸地などの情報を入力可能としている。勿論テンキーやファンクションキーがトリガ用SW43の機能を兼ね備えるようにしてもよい。
【0041】
送信端末としての事務所端末50は、運行管理側の事務所等に設置されるコンピュータであり、インターネットNに接続され、携帯端末10に指示や連絡事項等の指示情報が含まれる電子メールである事務所メールを送信することができる。
【0042】
次に、上述した構成の車両用情報受信システム1の動作を図3ないし図5のフローチャートを参照して説明する。図3に示したフローチャートは携帯端末10の動作を示したフローチャートであり、アプリ11が実行する。図4に示したフローチャートはデジタルタコグラフ20の動作を示したフローチャートであり、CPU21が実行する。図5に示したフローチャートはハンディテンキー40の動作を示したフローチャートであり、CPU41が実行する。
【0043】
図3のフローチャートから説明する。なお、アプリ11は、携帯端末10の電源投入時や運転者が業務を開始する際に予め起動する。まず、ステップS101において、運行管理側からの指示情報である電子メール(事務所メール)を受信したか否かを判断し、事務所メールを受信した場合(YESの場合)はステップS102に進み、事務所メールでない場合(NOの場合)は終了する。事務所メールか否かは、受信した電子メール送信元(From:)や件名(Subject:)などから判断すればよい。例えば、送信元が特定の送信元の場合は全て事務所メールと判断してもよいし、送信元が特定の送信元で、かつ、件名に特定のキーワードを含む場合を事務所メールと判断してもよい。
【0044】
次に、ステップS102において、携帯端末10の音声出力はONか否かを判断し、ONである場合(YESの場合)はステップS103に進み、OFFである場合(NOの場合)はステップS106に進む。本ステップでは、携帯端末10が、受信した電子メールを音声に変換して自身のスピーカーから出力する機能を持っており、その機能が有効(ON)になっている場合は、ステップS103以降を実行して携帯端末10から受信した事務所メールを音声で出力する。受信した電子メールを音声に変換して自身のスピーカーから出力する機能が無効(OFF)な場合は、ステップS106以降を実行してデジタルタコグラフ20が事務所メールを音声に変換して出力する。なお、携帯端末10が音声出力機能を持っていない場合も本ステップはNOと判断し、ステップS106へ進む。即ち、指示情報を自身から音声信号として出力できるか否かを判断し、音声信号として出力できないと判断した場合は、送信手段に指示情報を送信させている。
【0045】
次に、ステップS103において、音声出力タイミング設定は着信時か否かを判断し、着信時に設定されている場合(YESの場合)はステップS105に進み、そうでない場合(NOの場合)はステップS104に進む。本実施形態では、事務所メール受信時の音声出力のタイミングとして着信時に直ちに出力するか、後述するトリガスイッチ入力によって出力するかを予め選択して設定しておき、本ステップで当該設定を参照して設定に合ったステップに進む。
【0046】
次に、ステップS104において、トリガスイッチ入力がなされた場合はステップS105に進む。トリガスイッチは上述したトリガ用SW27と同様に、事務所メールを出力するトリガとなるスイッチであり、携帯端末10の所定のボタンに割り当てられている。なお、トリガスイッチは、タッチパネルなどで構成された画面上に表示されたボタンでも良いし、押圧するボタンに限らず、予め定めた所定の操作により入力がなされるようにしてもよい。
【0047】
次に、ステップS105において、事務所メール本文の内容を音声に変換して携帯端末10のスピーカーから出力する。
【0048】
一方、ステップS106においては、事務所メール本文をテキスト情報へ変換しステップS107に進む。つまり、事務所メールの本文のみを抜き出してテキスト情報としている。
【0049】
次に、ステップS107において、デジタルタコグラフ20へステップS106で変換したテキスト情報を送信する。以降は図4に示したデジタルタコグラフ20で処理が行われる。
【0050】
続いて図4のフローチャートを説明する。まず、ステップS201において、音声出力タイミング設定は着信時か否かを判断し、着信時に設定されている場合(YESの場合)はステップS206に進み、そうでない場合(NOの場合)はステップS202に進む。本ステップもステップS103と同様に、デジタルタコグラフ20において、事務所メール受信時の音声出力のタイミングとして着信時に直ちに出力するか、後述するトリガ用SW27入力によって出力するかを予め選択して設定しておき、当該設定を参照して設定に合ったステップに進む。なお、本ステップの時点でデジタルタコグラフ20のメモリ23には、携帯端末10から受信されたテキスト情報が保持されている。即ち、指示情報を直ちに音声変換手段に音声変換させて出力手段に出力させるか、操作手段が操作された際に指示情報を音声変換手段に音声変換させて出力手段に出力させるか、がメモリ23に設定されている。なお、この設定は、例えば、トリガ用SW27以外のボタン等により切り替え可能とすればよい。
【0051】
次に、ステップS202において、デジタルタコグラフ20の画面30(本体画面)に受信メッセージを表示し、SW照明28を点灯(あるいは点滅)してステップS203に進む。即ち、指示情報の受信があったことを表示している。受信メッセージとは、事務所メールの内容ではなく、事務所メールを受信したことを示すメッセージである。なお、受信メッセージは、文字情報に限らず、アイコン等の画像情報でもよい。
【0052】
次に、ステップS203において、ハンディテンキー40が接続されていないか否かを判断し、接続されていない場合(YESの場合)はステップS204に進み、接続されている場合(NOの場合)はステップS207に進む。
【0053】
次に、ステップS204において、トリガ用SW27の入力がなされた場合はステップS205に進む。トリガ用SW27は上述したように、事務所メールを出力するトリガとなるスイッチである。
【0054】
次に、ステップS205において、デジタルタコグラフ20の画面30(本体画面)に表示した受信メッセージと、SW照明28の点灯(あるいは点滅)をリセットしてステップS206に進む。つまり、受信メッセージを消去してSW照明28を消灯する。
【0055】
次に、ステップS206において、事務所メールの内容を音声合成IC24に音声に変換させてスピーカー25から出力する。なお、いきなり事務所メールの音声を出力するのではなく、音声出力前に例えば「事務所からのメールです」などの音声や「ピピピ」といった警告音などの音声出力確認音を出力してすることで、運転者の注意を向けることができる。また、本ステップでは、ステップS201の判断に応じて音声出力するタイミングが異なる。即ち、操作手段とタイミング設定手段の設定に基づいて音声変換手段に音声変換をさせている。
【0056】
一方、ステップS207においては、ハンディテンキー40に、テキストデータ有りを示す信号を送信する。以降は図5に示したハンディテンキー40で処理が行われる。
【0057】
続いて図5のフローチャートを説明する。まず、ステップS301において、ハンディテンキー40のLCD46(端末画面)に受信メッセージを表示し、SW照明44を点灯(あるいは点滅)してステップS302に進む。受信メッセージとは、ステップS202と同様に、事務所メールの内容ではなく、事務所メールを受信したことを示すメッセージである。なお、受信メッセージは、文字情報に限らず、アイコン等の画像情報でもよい。
【0058】
次に、ステップS302において、トリガ用SW43の入力がなされた場合はステップS303に進む。トリガ用SW43は上述したように、事務所メールを出力するトリガとなるスイッチである。
【0059】
次に、ステップS303において、ハンディテンキー40のLCD46(端末画面)に表示した受信メッセージと、SW照明44の点灯(あるいは点滅)をリセットしてステップS304に進む。つまり、受信メッセージを消去してSW照明44を消灯する。
【0060】
次に、ステップS304において、トリガSW入力信号をデジタルタコグラフ20に送信する。ハンディテンキー40の動作はここまでであり、以降は図4のステップS205に進みデジタルタコグラフ20で処理が継続する。
【0061】
以上の実施形態によれば、携帯端末10が事務所メールを受信し、携帯端末10が音声出力しない設定になっている場合は、当該事務所メールをテキスト情報に変換してデジタルタコグラフ20に送信し、デジタルタコグラフ20では、音声出力タイミングが着信時である場合は、直ちに音声合成IC24で音声信号に変換してスピーカー25から出力するので、携帯端末10は既に運転者が所持している携帯電話等にアプリ11をインストールするだけでよく、デジタルタコグラフ20から受信した事務所メールを音声情報として出力するので運転中や作業中でも携帯端末10の操作不要で連絡や指示内容を確認することができる。
【0062】
また、携帯端末10が音声出力しない設定または音声出力する機能を持たない場合にデジタルタコグラフ20に事務所メールをテキスト情報に変換して送信するので、携帯端末10の機能に応じて、デジタルタコグラフ20による音声出力機能を利用するか否かを切り替えることができる。
【0063】
また、デジタルタコグラフ20が、携帯端末10からテキスト情報を受信した場合に、音声出力タイミングが着信時でない場合は、画面30に受信メッセージを表示し、SW照明28を点灯させてトリガ用SW27の操作を促し、トリガ用SW27が操作されるとデジタルタコグラフ20のスピーカー25から事務所メールが音声情報として出力されるので、事務所メールを受信したことを表示し、トリガ用SW27の操作まで事務所メールの出力を待機させることができ、指示情報を聞き漏らすことが無く確実に確認することができる。また、トリガ用SW27の操作で音声変換された事務所メールが出力されるので、ボタン1つで音声を指示情報を聞くことができ、指示情報の確認の手間を少なくすることができる。
【0064】
また、デジタルタコグラフ20にハンディテンキー40が接続されており、デジタルタコグラフ20がテキスト情報を受信した際に、ハンディテンキー40のLCD46に受信メッセージを表示し、SW照明44を点灯させてトリガ用SW43の操作を促しているので、ハンディテンキー40を持っている場合であれば、デジタルタコグラフ20の近傍でなくても事務所メールの受信を把握することができる。なお、ハンディテンキー40が接続されていても、ハンディテンキー40から音声出力操作を行わないようにしてもよい。これは、デジタルタコグラフ20やハンディテンキー40から切り替えられるようにすればよい。
【0065】
なお、上述した実施形態では、携帯端末10が受信した事務所メールの本文を自動的に音声信号に変換していたが、音声信号に変換する部分を指定してもよい。詳細に説明すると、事務所端末50から電子メールを送信する際にテキスト情報に音声信号に変換する部分の先頭と末尾に所定の記号を挿入して指定する。例えば音声信号に変換する部分の先頭を示す記号を「−++」、音声信号に変換する部分の末尾を示す記号は「++−」とすると、事務所メール内において「…−++○○時までに事務所まで連絡してください++−…」とすることで、「○○時までに事務所まで連絡してください」という部分のみが携帯端末10のアプリ11でテキスト情報に変換されてデジタルタコグラフ20に出力される。即ち、事務所端末50が、変換範囲指定手段、挿入手段として機能する。
【0066】
このようにすることで、確実に運転者に伝達したい内容やより強調したい内容のみを音声信号に変換することができる。また、この記号を利用して事務所メールの一部のみを音声信号に変換するか本文全てを音声信号に変換するかは、デジタルタコグラフ20で行ってもよく、例えばデジタルタコグラフ20のCPU21が、当該記号がある場合はその部分のみを抜き出して音声合成IC24に出力し、当該記号がない場合は本文全てを音声合成IC24に出力するようにしてもよい。また、記号の挿入は人手に限らず、例えば、事務所端末50で予め文章のテンプレートを複数用意し、選択されたテンプレートの前後に自動的に記号が挿入されるようにしてもよい。
【0067】
また、一度音声出力した事務所メールを再度出力するようしてもよい。例えば、デジタルタコグラフ20本体やハンディテンキー40に再出力ボタン等を設け、再出力ボタンが操作された場合は、再度音声合成IC24がテキスト情報を音声信号に変換してスピーカー25から出力する。あるいは、変換した音声信号(音声データ)をメモリ等に保存しておいて再出力ボタンが操作された場合はメモリに保存した音声信号を出力するようにしてもよい。即ち、操作手段が、出力手段が出力した音声信号を再度出力させる再出力手段を備えている。
【0068】
また、デジタルタコグラフ20から音声出力した際に、CPU21から通信I/F22を介して携帯端末10へ音声出力したことを通知し、携帯端末10のアプリ11は、当該通知を受信したことを受けて当該音声出力した事務所メールを既読扱いにしてもよい。このようにすることにより、音声出力した事務所メールを携帯端末10を操作して既読にする必要がなくなる。即ち、CPU21がデジタルタコグラフ20が、音声出力したことを携帯端末10に通知する通知手段として機能し、アプリ11が、CPU21からの通知を受信した場合に当該音声出力した指示情報を既読扱いに変更している。
【0069】
なお、上述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 車両用情報受信システム
10 携帯端末
11 アプリ(送信手段、携帯端末制御手段)
20 デジタルタコグラフ
21 CPU(受信手段、タイミング設定手段、デジタルタコグラフ制御手段)
24 音声合成IC(音声変換手段)
25 スピーカー(出力手段)
27 トリガ用SW(操作手段)
30 画面(表示手段)
40 ハンディテンキー
43 トリガ用SW(操作手段)
46 LCD(表示手段)
50 事務所端末(送信手段、変換範囲指定手段、挿入手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて前記車両の走行状況を記録するデジタルタコグラフと、前記車両の運転者へ指示情報を送信する送信端末と、前記送信手段から送信された前記指示情報が受信可能な携帯端末と、を有する車両用情報受信システムであって、
前記携帯端末が、前記デジタルタコグラフへ前記指示情報を送信する送信手段を備え、
前記デジタルタコグラフが、前記携帯端末が送信する前記指示情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記指示情報を音声信号に変換する音声変換手段と、前記音声変換手段が変換した前記音声信号を出力する出力手段と、を備えている
ことを特徴とする車両用情報受信システム。
【請求項2】
前記携帯端末が、前記指示情報を自身から音声信号として出力できるか否かを判断し、音声信号として出力できないと判断した場合は、前記送信手段に前記指示情報を送信させる携帯端末制御手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用情報受信システム。
【請求項3】
前記デジタルタコグラフが、
前記運転者からの操作を受け付ける操作手段と、
前記指示情報を直ちに前記音声変換手段に音声変換させて前記出力手段に出力させるか、前記操作手段が操作された際に前記指示情報を前記音声変換手段に音声変換させて前記出力手段に出力させるか、を設定する出力タイミング設定手段と、
前記操作手段の操作と前記タイミング設定手段の設定に基づいて前記音声変換手段に音声変換をさせるデジタルタコグラフ制御手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用情報受信システム。
【請求項4】
前記指示情報のうち、前記音声信号に変換する範囲を予め指定するために、前記範囲の先頭と末尾に前記音声情報に変換する部分を示す記号を挿入する挿入手段を備え、
前記音声変換手段が、前記記号で挟まれた範囲を音声信号に変換する
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の車両用情報受信システム。
【請求項5】
前記デジタルタコグラフは、前記出力タイミング設定手段前記操作手段が操作された際に前記指示情報を前記音声変換手段に音声変換させて前記出力手段に出力させるように設定されている場合に、前記指示情報の受信があったことを表示する表示手段を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の車両用情報受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−109610(P2013−109610A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254682(P2011−254682)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)
【Fターム(参考)】