車両用熱交換器のセンサ取付構造
【課題】 クーラユニットにてエバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けるといった不具合が生じることを抑制する。
【解決手段】 クーラユニットは、ユニットケーシング10内にてエバポレータ30から振動がユニットケーシング10に伝導することを抑制する緩衝部材20と、前側ケーシング12aおよび後側ケーシング12bにより挟まれるセンサケーブル44を有して、エバポレータ30の温度を検出する温度センサ40と、を備えており、ユニットケーシング10内に配設されて、センサケーブル44の動きに伴い弾性変形する発泡部材50が設けられている。したがって、ユニットケーシング10に対してエバポレータ30が相対的に振動することが原因で、温度センサ40、ひいてはセンサケーブル44が振動しても、センサケーブル44の動きに応じて弾性変形する。
【解決手段】 クーラユニットは、ユニットケーシング10内にてエバポレータ30から振動がユニットケーシング10に伝導することを抑制する緩衝部材20と、前側ケーシング12aおよび後側ケーシング12bにより挟まれるセンサケーブル44を有して、エバポレータ30の温度を検出する温度センサ40と、を備えており、ユニットケーシング10内に配設されて、センサケーブル44の動きに伴い弾性変形する発泡部材50が設けられている。したがって、ユニットケーシング10に対してエバポレータ30が相対的に振動することが原因で、温度センサ40、ひいてはセンサケーブル44が振動しても、センサケーブル44の動きに応じて弾性変形する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エバポレータ等の熱交換器に温度センサを取り付ける車両用熱交換器のセンサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用空調装置としては、車室内空気(以下、内気という)および車室外空気(以下、外気という)のうち少なくとも一方を吸入して温度調節して車室内に向けて吹き出す車室内エアコンユニットを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この車室内エアコンユニットは、内気および外気のうち少なくとも一方を吸入するブロアユニット、このブロユニットにより吸入される空気を冷却するクーラユニット、このクーラユニットにより冷却される空気をヒータコアおよびエアミックスドアにより温度調節して車室内に吹き出すヒータユニットを備えている。
【特許文献1】特開平10−297272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車室内の静粛性を向上させる強い要望があり、本発明者は、車両用空調ユニットのクーラユニットに着目してその静粛性向上について、鋭意検討したところ、次のような問題が分かった。
【0005】
すなわち、クーラユニットにおいて、図17に示す如く、エバポレータ2はユニットケーシング1内に配設されており、エバポレータ2には、エンジン振動などの振動が冷媒配管を通して伝導してくる。
【0006】
このため、この振動がエバポレータ2を通してユニットケーシング1に伝導して、車室内に振動音がインストルメントパネルを通して車室内に伝導されてくる恐れがある。
【0007】
そこで、エバポレータ2からの振動音がユニットケーシング1に伝わるのを抑制するため、図18に示す如く、ユニットケーシング1内に緩衝部材4を配設することが考えられる。なお、図18は、図17中I−I断面図である。
【0008】
この場合、エバポレータ2からの振動が緩衝部材4により吸収されるので、車室内には振動音が伝導されないものの、エバポレータ2に振動が伝わると、この振動により、エバポレータ2がユニットケーシング1に対して相対的な振動を生じることになる。
【0009】
ここで、本発明者による振動実験によれば、車両走行時を想定して、加振方向を左右方向とし、エバポレータ2に対して5Hz〜500Hzまでの正弦波をランダムに与えて、図20の如く、ユニットケーシング1の変位量Aと、エバポレータ2の変位量Bとを測定したところ、図21の如く、ユニットケーシング1に対してエバポレータ2が約1mmほど変位することが分かった。なお、図21は、縦軸が変位量、横軸が時間とするグラフである。
【0010】
ここで、温度センサ3にはユニットケーシング1の外側に延出するセンサケーブル4が設けられており、図19に示す如く、センサケーブル4は、ユニットケーシング1を構成する前側ケーシング1aおよび後側ケーシング1bにより狭持されている。なお、図19は、図18中の中J矢視図である。
【0011】
このため、エバポレータ2がユニットケーシング1に対して相対的な振動(すなわち、動き)を生じると、センサケーブル2が引っ張られてセンサケーブル2に張力がかかり、切断したり、または、エバポレータ2から温度センサ自体が外れたりするといった不具合が生じることが分かった。
【0012】
また、センサケーブル2として柔軟性の優れた電線材料(すなわち、剛性の低い電線材料)を用いれば、ユニットケーシング1に対してエバポレータ2が変位してセンサケーブル2が引っ張られても、センサケーブル2に張力がかかり難くすることができる。
【0013】
しかし、本発明者の検討によれば、センサケーブル2として柔軟性の優れた電線材料を用いた場合には、組付工程において以下の如く不具合が生じることが分かった。
【0014】
すなわち、組み付けにあたっては、図22(a)、(b)に示す如く、エバポレータ2に温度センサ3を取り付ける。なお、図22(b)は、図22(a)中のK矢視図である。
【0015】
その後、図23(a)、(b)に示すように、後側ケーシング1b内にエバポレータ2を温度センサ3とともに収納する。なお、図22(b)は、図22(a)中のL矢視図である。
【0016】
さらに、図24(a)、(b)に示すように、後側ケーシング1bに対して前側ケーシング1aを組み合わせて、センサケーブル2が貫通孔1cを貫通して外側に延出するようにする。なお、図24(b)は、図24(a)中のM矢視図である。
【0017】
また、後側ケ−シング1bには、図24(b)に示すように、前側ケーシング1aの半月状孔部1dとともに貫通孔1cを構成する半月状孔部1eが設けられており、後側ケース1b内にエバポレータ2を収納した際には、センサケーブル2が水平に保たれて半月状孔部1e内に配置されるようになっていることが必要になる。
【0018】
これは、センサケーブル2が半月状孔部1eの外側に位置すると、後側ケース1bに前側ケーシング1aを組み付ける前に、センサケーブル2を半月状孔部1e内に収める補正が必要になり、組付工数が増えるからである。
【0019】
ここで、上述の如く、センサケーブル2として柔軟性の優れた電線材料(すなわち、剛性の低い電線材料)を用いると、図22の鎖線の如く、センサケーブル2が垂れ下がり、後側ケース1b内にエバポレータ2を収納した際には、センサケーブル2が半月状孔部1eから外れてしまうことになる。
【0020】
したがって、センサケーブル2としては、自重で垂れ下がることなく、水平に保つことが可能な剛性が高い電線材料を用いることが必要になる。換言すれば、センサケーブル2として柔軟性の優れた電線材料を用いると、組付工程にて不具合が生じることになる。
【0021】
本発明は、上記点に鑑み、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制するようにした車両用熱交換器のセンサ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1に記載の発明では、図1に示すように、第1、第2ケーシング(12a、12b)(図4参照)を組み合わせて構成されるユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱媒体とで熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟まれて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記センサケーブルの動きに伴い弾性変形する弾性部材(50)が設けられていることを特徴とする。
【0023】
したがって、ユニットケーシングに対して熱交換器が相対的に振動して、センサケーブルが熱交換器側に引かれることが生じても、センサケーブルの動きに伴い弾性変形するので、センサケーブルに張力がかかることを抑制できる。このため、温度センサがユニットケーシングから外れたり、センサケーブルが切断したりすることを抑制できる。
【0024】
以上により、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制することができる。
【0025】
具体的には、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造において、前記第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせてケース貫通孔(11)を形成しており、
前記センサケーブルが前記ケース貫通孔を通して外側に延出するようになっており、
前記弾性部材(50)が、図1に示すように、前記ケース貫通孔の内側に配設されるように構成してもよい。
【0026】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造において、
前記熱交換器は、空気通路(33)を挟んでそれぞれ並行に配設されて前記熱媒体が流れる複数のチューブ(32)を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されて、前記センサケーブルが接続されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように形成されて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記弾性部材(50)は、図6に示すように、前記センサケーブルが貫通する中空部(51)を備えており、
前記センサハウジングには、図7に示すように、その側壁(41b)から延出して前記センサケーブルを支える支持部(41a)が設けられており、
前記緩衝部材の中空部内には、図8に示すように、前記支持部が圧入されることを特徴とする。
【0027】
したがって、緩衝部材の中空部内には、支持部がセンサケーブルとともに圧入されるので、例えば接着剤等の固定部材を用いることなく、緩衝部材に対して、支持部およびセンサケーブルが固定されることができる。
【0028】
ここで、請求項4に記載の発明によれば、図6に示すように、請求項3に記載の発明において、前記緩衝部材は、筒状に形成されているものを用いてもよい。
【0029】
また、請求項5に記載の発明によれば、図14に示すように、請求項2に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造において、前記熱交換器に前記熱媒体を流入させる第1の配管(R1)と、前記熱交換器から前記熱媒体を排出させる第2の配管(R2)と、を備えており、
前記第1、2の配管は、それぞれ、前記ケース貫通孔(11)を貫通して前記ユニットケーシングの外側に延出しているものであり、
前記緩衝部材は、前記第1、2の配管から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制するものであることを特徴とする。
【0030】
したがって、1つの緩衝部材によって、第1、2の配管から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する役割と、温度センサに不具合が生じることを抑制する役割とを果たすことができる。
【0031】
また、請求項6に記載の発明の如く、前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されて、前記センサケーブルが接続されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように形成されて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記弾性部材(50)は、図9に示すように、前記センサハウジングに固定されるように構成してもよい。
【0032】
請求項7に記載の発明では、ユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて、前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記熱交換器は、
それぞれ空気通路(33)を挟んで並行に配設されて熱媒体が流れる複数のチューブ(32)と、
前記空気通路内にて配設されて、前記複数のチューブ内の熱媒体と空気との間で熱交換するフィン(31)と、を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように設けられて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記センサエレメントには、図11に示すように、前記フィンとの間で係合する係合部(430)が設けられていることを特徴とする。
【0033】
したがって、熱交換器に対する温度センサの保持力を増すことができる。このため、ユニットケーシングに対して熱交換器が相対的に振動して、センサケーブルが熱交換器側に引かれることが生じても、温度センサがユニットケーシングから外れたり、センサケーブルが切断したりすることを抑制できる。以上により、請求項1に記載の発明と同様、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制することができる。
【0034】
請求項8に記載の発明では、ユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記熱交換器は、
それぞれ空気通路(33)を挟んで並行に配設されて熱媒体が流れる複数のチューブ(32)を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出して前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、
図12に示すように、前記センサハウジングから前記空気通路内に突出して前記チューブの先端部(32c)に係合する突起係合部(42a)と、を備えていることを特徴とする。
【0035】
したがって、熱交換器に対する温度センサの保持力を増すことができる。このため、ユニットケーシングに対して熱交換器が相対的に振動して、センサケーブルが熱交換器側に引かれることが生じても、温度センサがユニットケーシングから外れたり、センサケーブルが切断したりすることを抑制できる。以上により、請求項1に記載の発明と同様、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制することができる。
【0036】
請求項9に記載の発明では、
第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせて構成されるユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱媒体とで熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記センサケーブルは、図13に示すように、前記ユニットケーシング内にて、ループ状に配設されていることを特徴とする。
【0037】
したがって、ユニットケーシングに対して熱交換器が相対的に振動して、センサケーブルが熱交換器側に引かれることが生じても、センサケーブルに緊張が生じることを抑制できる。このため、温度センサがユニットケーシングから外れたり、センサケーブルが切断したりすることを抑制できる。以上により、請求項1に記載の発明と同様、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制することができる。
【0038】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る車両用熱交換器のセンサ取付構造が適用されるクーラユニットの第1実施形態を示す。クーラユニットは、ブロアユニットおよびヒータユニットとともに、車室内空調ユニットを構成するものである。
【0040】
具体的には、クーラユニットは、図1、図2に示すように、ユニットケーシング10、緩衝部材20、エバポレータ30、および、温度センサ40を備えている。
【0041】
ユニットケーシング10は、ブロアユニットから吹き出される空気を流す空気通路を形成するものである。緩衝部材20は、例えば、ポリエチレンフォーム材料からなるもので、車両用空調ユニット10内面に沿い配設されて、エバポレータ30の振動がユニットケーシング10に伝わるのを抑制する。
【0042】
エバポレータ30は、図示しない圧縮機,凝縮器,受液器,減圧器とともに配管結合された周知の冷凍サイクルを構成する熱交換器であり、エバポレータ30は、緩衝部材20の内側に配設されて、冷媒と空気との間で熱交換して冷却・除湿するものである。
【0043】
具体的には、エバポレータ30は、複数のフィン31および複数本のチューブ32を備えており、複数本のチューブ32は、空気通路33を挟んでそれぞれ並行に配設されて、それぞれ、冷媒を流すものである。
【0044】
ここで、各フィン31は、図2に示すように、隣接する二本のチューブ32の間(すなわち、空気通路33)にてそれぞれ波状に形成されており、各フィン31は、それぞれ二本のチューブにろう付け接続されている。そして、各フィン31は、チューブ32内を流れる冷媒と、空気通路33を流れる空気との間で熱交換する。なお、図2は、図1中のX矢視図である。
【0045】
温度センサ40は、エバポレータ30の空気下流側側面に配置されて、エバポレータ30の表面温度(すなわち、エバポレータ30の温度に応じた温度情報)を直接的に検出する。この検出される表面温度は、吹出空気温度、吹出モードなどの各種の空調制御に用いられる。
【0046】
具体的には、温度センサ40は、センサハウジング41、クリップ42、センサエレメント43、および、センサケーブル44から構成されており、センサハウジング41は、樹脂製であって、エバポレータ30の外側(具体的には、空気下流側側面)に配置されている。
【0047】
クリップ42は、図2に示すように、センサハウジング41から延出するものであり、このクリップ42には、図3に示すように、その側面からそれぞれ突起する複数の突起部42aが設けられている。
【0048】
ここで、クリップ42は、二本のチューブ32の間の空気通路33内に差し込まれるものであり、各突起部420は、隣接するフィン31の各スリット31a(図1、図3参照)に差し込まれて係合する。なお、クリップ42は、請求項8に記載の突起係合部に相当する。
センサエレメント43は、例えば、サーミスタ等であって、センサハウジング41から針状にて延出しており、センサエレメント43は、二本のチューブ32の間の空気通路33内に差し込まれるものである。センサエレメント43は、フィン33およびチューブ32の表面温度を直接検出する。
【0049】
センサケーブル44は、センサハウジング41内でセンサエレメント43に接続されており、センサケーブル44は、図2に示すように、センサハウジング41の側壁から延出して、ユニットケーシング10の貫通孔11を貫通して電子制御装置(図示しない)に接続されている。
【0050】
ここで、ユニットケーシング10は、図4、図5に示すように、前側ケーシング12a、後側ケーシング12bを組み合わせて構成されており、貫通孔11は、前側ケーシング12aおよび後側ケーシング12bが嵌合されて形成される。なお、図4は、図1中のA矢視図であり、図5は図4中のB−B断面図である。
【0051】
ここで、貫通孔11内にはその内面に沿うように発泡部材50が配置されており、この発泡部材50は、図5に示すように、例えば板状のEPDM発砲材がセンサケーブル44に巻き付けられて筒状に形成されている。発泡部材50は、センサケーブル44の動きに応じて弾性変形してセンサケーブル44に張力がかかるのを抑制する。
【0052】
また、弾性部材50は、ユニットケーシング10の貫通孔41から空気が漏れることを抑制する役割を果たす。
【0053】
次に、本第1実施形態のクーラユニットの組付手順について説明する。当該クーラユニットの組み付けは、自動機によって行われるものである。
【0054】
先ず、前側ケーシング12a、後側ケーシング12b、エバポレータ30、温度センサ40、および板状の発砲材を個別に用意する。
【0055】
先ず、温度センサ40のセンサケーブル44に対して、板状発砲材を巻き付けて接着剤や接着テープ等の接着材料により固定する。このことにより、センサケーブル44に対して筒状の発泡部材50が固定されることになる。
【0056】
次に、エバポレータ30に対して温度センサ40のクリップ42およびセンサエレメント43を差し込むことにより、エバポレータ30に対して温度センサ40を取り付ける。
【0057】
この温度センサ40が取り付けられた状態のエバポレータ30を後側ケーシング12b内に収納して、この後側ケーシング12bに対して前側ケーシング12aを組み合わせる。
【0058】
ここで、センサケーブル44は、貫通孔11を貫通して、ユニットケーシング10の外側に延出する。そして、発泡部材50は、貫通孔11内にてセンサケーブル44の外側に配設されることになる。その後、後側ケーシング12bおよび前側ケーシング12aをネジ等の締結部材により固定する。以上により、クーラユニットが完成することになる。
次に、本第1実施形態の作用効果について説明する。
【0059】
すなわち、本第1実施形態のクーラユニットは、前側ケーシング12aおよび後側ケーシング12bを組み合わせて構成されるユニットケーシング10と、ユニットケーシング10内に収納されて、空気と冷媒とで熱交換するエバポレータ30と、ユニットケーシング10内に配設されて、エバポレータ30から振動がユニットケーシング10に伝導することを抑制する緩衝部材20と、前側ケーシング12aおよび後側ケーシング12bにより挟まれてユニットケーシング10の外側に延出するセンサケーブル44を有して、エバポレータ30に差し込まれて取り付けられてエバポレータ30の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ40と、を備えており、ユニットケーシング10内に配設されて、センサケーブル44の動きに伴い弾性変形する発泡部材50が設けられていることを特徴とする。
【0060】
したがって、緩衝部材20を採用したため、ユニットケーシング10に対してエバポレータ30が相対的に振動することが原因で、温度センサ40、ひいてはセンサケーブル44が振動することがあっても、センサケーブル44の動きに応じて弾性変形する。これに伴い、センサケーブル44がセンサハウジング41側に引きつけられても、センサケーブル44に張力がかかることを抑制することができる。このため、センサケーブル44の緊張に伴い、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けたり、センサケーブル44が切断したりするといった不具合が生じることを抑制することができる。
【0061】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、発泡部材50としては、板状発砲材をセンサケーブル44に巻き付けて接着部材で接着したものを例を示したが、これに代えて、本第2実施形態では、接着部材を用いなくても、発泡部材50をセンサケーブル44に固定するようにする。
【0062】
すなわち、本第2実施形態の発泡部材50は、図6に示すように、中空部51を有する筒状に形成されている。発泡部材50の中空部51内には、温度センサ50のセンサケーブル44が貫通している。
【0063】
一方、温度センサ50のセンサハウジング41には、図7に示すように、その側壁41bから半筒状に突出してセンサケーブル44を支える支持部41aが設けられている。そして、支持部41aは、発泡部材50の中空部51内に差し込まれている。
【0064】
ここで、センサケーブル44の厚み寸法L1および支持部41aの厚み寸法L2の合計寸法L(=L1+L2)は、中空部51の直径寸法Ltに比べて大きくなっている。厚み寸法L1は、センサケーブル44の長手方向に対して直交する方向の寸法であり、厚み寸法L2は、支持部41aの突出方向に対して直交する方向の寸法である。
【0065】
以上によれば、センサハウジング41の支持部41aが発泡部材50の中空部51内に差し込まれることにより、センサハウジング41の支持部41aが発泡部材50に圧入固定されることになる。したがって、接着剤等を用いなくても、発泡部材50を温度センサ40、ひいては、センサケーブル44に対して固定することができる。
【0066】
(第3実施形態)
上述の第1実施形態では、発泡部材50をユニットケーシング10の貫通孔11内に配置した例について説明したが、これに代えて、本第3実施形態では、図9に示すように、発泡部材50をクランプ60を介してセンサハウジング41に固定するようにする。
【0067】
すなわち、クランプ60は、センサハウジング41の側壁に接着等により固定されており、クランプ60には、図10に示すように、貫通孔61が設けられており、貫通孔61内に発泡部材50およびセンサケーブル44が圧入されてクランプ60に発泡部材50が固定される。なお、図10は、図9中のC矢視図である。
【0068】
(第4実施形態)
上述の第1実施形態では、発泡部材50を用いて、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制するようにした例について説明したが、これに代えて、本第4実施形態では、エバポレータ30に対する温度センサ40の保持力を増加させて、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制する。
【0069】
本第4実施形態は、センサエレメント43は、クリップ42と同様、側壁からそれぞれ突起する複数の突起部430が設けられている。各突起部430は、隣接するフィン31の各スリット31aに差し込まれてフィン31に係合する。
【0070】
したがって、フィン31に対してセンサエレメント43が保持されるので、エバポレータ30に対する温度センサ40の保持力を増加させることができて、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制することができる。
【0071】
(第5実施形態)
上述の第4実施形態では、エバポレータ30に対する温度センサ40の保持力を増加させて、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制するようにした例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、エバポレータ30に対するクリップ42の保持力を増加させる。
【0072】
本第5実施形態の温度センサ40のクリップ42としては、センサハウジング41からそれぞれ針状に突起する二本の針部が用いられる。これら針部の先端には、各鍵部42bが設けられており、各鍵部42bは、隣接するチューブ32の先端部32cに引っかかり保持される。
【0073】
以上により、温度センサ40のクリップ42がチューブ32の先端部32cに係合されて保持されるので、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制することができる。
【0074】
(第6実施形態)
上述の第1実施形態では、発泡部材50を用いてエバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制する例について説明したが、これに代えて、本第6実施形態では、図13に示すように、ユニットケーシング10内にてセンサケーブル44をループ状(図13中のYA参照)に整形する。
【0075】
これによれば、ユニットケーシング10に対してエバポレータ30が相対的に振動することが原因で、温度センサ40、ひいてはセンサケーブル44が振動してセンサケーブル44にセンサハウジング41側に引きつけられても、センサケーブル44に緊張が生じることを抑制することができる。このため、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けるといった不具合が生じることを抑制することができる。
【0076】
(第7実施形態)
ところで、エバポレータ30には、冷媒を流入させるための冷媒配管R1と、冷媒を排出するための冷媒配管R2が接続されており、冷媒配管R1、R2は、ユニットケーシング10を貫通して外部に延出している。このため、冷媒配管R1、R2が振動してもその振動がユニットケーシング10に伝わるのを抑制する振動吸収部材が用いられる。
【0077】
本第7実施形態では、当該振動吸収部材を利用して、発泡部材50を構成するようにする。具体的には、図14、図15に示すように、発泡部材50は、ユニットケーシング10の貫通孔11内に配設されて、センサケーブル44および冷媒配管R1、R2が貫通している。
【0078】
なお、図15は、図14中のH矢視図である。図14中符号Kはクランプ部材であり、クランプ部材Kは、センサケーブル44をエバポレータ30に固定して図15に示す如く、ユニットケーシング10の貫通孔11に向かうように整形している。
【0079】
以下に、上述の各実施形態のクーラユニットの振動実験の結果について説明する。
【0080】
すなわち、エバポレータ30に対して加振方向を左右方向とし、5Hz〜500Hzまでの正弦波をランダムに与えて、エバポレータ30から温度センサ40が外れるに要する時間、すなわち、寿命時間を計測したところ、図16に示す如く、結果が得られた。
【0081】
図16において、従来品は、発泡部材50を用いていないクーラユニットであり、発明品1は、上述第1実施形態のクーラユニットであり、発明品2は、上述第2実施形態のクーラユニットであり、発明品3は、上述第3実施形態のクーラユニットであり、発明品4は、上述第4実施形態のクーラユニットであり、発明品5は、上述第5実施形態のクーラユニットであり、発明品6は、上述第6実施形態のクーラユニットである。以上によれば、従来品に比べて発明品1、2、5、6では、寿命時間が長時間になることが分かった。
【0082】
(その他の実施形態)
上述の第4、第5、第6実施形態では、発泡部材50を用いない例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0083】
すなわち、上述の第1、第2実施形態の如く、発泡部材50を用いる構成で、かつ第4、第5、第6実施形態の如く、エバポレータ30に対する温度センサ40の保持力を強化したり、或いは、センサケーブル44をループ状にしたりしてもよい。
【0084】
上述の各実施形態では、熱交換器としてエバポレータ30を用いた例について説明したが、これに代えて、ヒータコアを用いるようにしてもよい。
【0085】
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、冷媒が熱媒体に相当し、前側ケーシング12aが第1ケーシングに相当し、後側ケーシング12bが第2ケーシングに相当し、緩衝部材20が伝導抑制部材に相当し、突起部430が係合部に相当し、冷媒配管R1、R2が第1、第2の配管に相当し、貫通孔11がケース貫通孔に相当し、発泡部材50が弾性部材に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係る車両用熱交換器のセンサ取付構造が適用されるクーラユニットの第1実施形態を示す図である。
【図2】図1のクーラユニットのX矢視図である。
【図3】図1の温度センサの側面図である。
【図4】図1のクーラユニットのA矢視図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】(a)は図1の発泡部材の拡大図、(b)は発泡部材の側面図である。
【図7】本発明に係る第2実施形態の温度センサを示す図である。
【図8】図7の温度センサがクーラユニットに取り付けれた状態を示す図である。
【図9】本発明に係る第3実施形態の温度センサを示す図である。
【図10】図9の温度センサのC矢視図である。
【図11】本発明に係る第4実施形態の温度センサを示す図である。
【図12】本発明に係る第5実施形態の温度センサを示す図である。
【図13】本発明に係る第6実施形態の温度センサを示す図である。
【図14】本発明に係る第7実施形態の温度センサを示す図である。
【図15】図14の温度センサのH矢視図である。
【図16】第1〜7の実施形態の効果の比較を示す図表である。
【図17】従来のクーラユニットの斜視図である。
【図18】図17のI−I断面図である。
【図19】図17のJ矢視図である。
【図20】振動実験の説明図である。
【図21】振動実験の結果を示す図である。
【図22】クーラユニットの組付手順を示す図である。
【図23】クーラユニットの組付手順を示す図である。
【図24】クーラユニットの組付手順を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
10…ユニットケーシング、30…エバポレータ、40…温度センサ、
42…クリップ42、44…センサケーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エバポレータ等の熱交換器に温度センサを取り付ける車両用熱交換器のセンサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用空調装置としては、車室内空気(以下、内気という)および車室外空気(以下、外気という)のうち少なくとも一方を吸入して温度調節して車室内に向けて吹き出す車室内エアコンユニットを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この車室内エアコンユニットは、内気および外気のうち少なくとも一方を吸入するブロアユニット、このブロユニットにより吸入される空気を冷却するクーラユニット、このクーラユニットにより冷却される空気をヒータコアおよびエアミックスドアにより温度調節して車室内に吹き出すヒータユニットを備えている。
【特許文献1】特開平10−297272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車室内の静粛性を向上させる強い要望があり、本発明者は、車両用空調ユニットのクーラユニットに着目してその静粛性向上について、鋭意検討したところ、次のような問題が分かった。
【0005】
すなわち、クーラユニットにおいて、図17に示す如く、エバポレータ2はユニットケーシング1内に配設されており、エバポレータ2には、エンジン振動などの振動が冷媒配管を通して伝導してくる。
【0006】
このため、この振動がエバポレータ2を通してユニットケーシング1に伝導して、車室内に振動音がインストルメントパネルを通して車室内に伝導されてくる恐れがある。
【0007】
そこで、エバポレータ2からの振動音がユニットケーシング1に伝わるのを抑制するため、図18に示す如く、ユニットケーシング1内に緩衝部材4を配設することが考えられる。なお、図18は、図17中I−I断面図である。
【0008】
この場合、エバポレータ2からの振動が緩衝部材4により吸収されるので、車室内には振動音が伝導されないものの、エバポレータ2に振動が伝わると、この振動により、エバポレータ2がユニットケーシング1に対して相対的な振動を生じることになる。
【0009】
ここで、本発明者による振動実験によれば、車両走行時を想定して、加振方向を左右方向とし、エバポレータ2に対して5Hz〜500Hzまでの正弦波をランダムに与えて、図20の如く、ユニットケーシング1の変位量Aと、エバポレータ2の変位量Bとを測定したところ、図21の如く、ユニットケーシング1に対してエバポレータ2が約1mmほど変位することが分かった。なお、図21は、縦軸が変位量、横軸が時間とするグラフである。
【0010】
ここで、温度センサ3にはユニットケーシング1の外側に延出するセンサケーブル4が設けられており、図19に示す如く、センサケーブル4は、ユニットケーシング1を構成する前側ケーシング1aおよび後側ケーシング1bにより狭持されている。なお、図19は、図18中の中J矢視図である。
【0011】
このため、エバポレータ2がユニットケーシング1に対して相対的な振動(すなわち、動き)を生じると、センサケーブル2が引っ張られてセンサケーブル2に張力がかかり、切断したり、または、エバポレータ2から温度センサ自体が外れたりするといった不具合が生じることが分かった。
【0012】
また、センサケーブル2として柔軟性の優れた電線材料(すなわち、剛性の低い電線材料)を用いれば、ユニットケーシング1に対してエバポレータ2が変位してセンサケーブル2が引っ張られても、センサケーブル2に張力がかかり難くすることができる。
【0013】
しかし、本発明者の検討によれば、センサケーブル2として柔軟性の優れた電線材料を用いた場合には、組付工程において以下の如く不具合が生じることが分かった。
【0014】
すなわち、組み付けにあたっては、図22(a)、(b)に示す如く、エバポレータ2に温度センサ3を取り付ける。なお、図22(b)は、図22(a)中のK矢視図である。
【0015】
その後、図23(a)、(b)に示すように、後側ケーシング1b内にエバポレータ2を温度センサ3とともに収納する。なお、図22(b)は、図22(a)中のL矢視図である。
【0016】
さらに、図24(a)、(b)に示すように、後側ケーシング1bに対して前側ケーシング1aを組み合わせて、センサケーブル2が貫通孔1cを貫通して外側に延出するようにする。なお、図24(b)は、図24(a)中のM矢視図である。
【0017】
また、後側ケ−シング1bには、図24(b)に示すように、前側ケーシング1aの半月状孔部1dとともに貫通孔1cを構成する半月状孔部1eが設けられており、後側ケース1b内にエバポレータ2を収納した際には、センサケーブル2が水平に保たれて半月状孔部1e内に配置されるようになっていることが必要になる。
【0018】
これは、センサケーブル2が半月状孔部1eの外側に位置すると、後側ケース1bに前側ケーシング1aを組み付ける前に、センサケーブル2を半月状孔部1e内に収める補正が必要になり、組付工数が増えるからである。
【0019】
ここで、上述の如く、センサケーブル2として柔軟性の優れた電線材料(すなわち、剛性の低い電線材料)を用いると、図22の鎖線の如く、センサケーブル2が垂れ下がり、後側ケース1b内にエバポレータ2を収納した際には、センサケーブル2が半月状孔部1eから外れてしまうことになる。
【0020】
したがって、センサケーブル2としては、自重で垂れ下がることなく、水平に保つことが可能な剛性が高い電線材料を用いることが必要になる。換言すれば、センサケーブル2として柔軟性の優れた電線材料を用いると、組付工程にて不具合が生じることになる。
【0021】
本発明は、上記点に鑑み、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制するようにした車両用熱交換器のセンサ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1に記載の発明では、図1に示すように、第1、第2ケーシング(12a、12b)(図4参照)を組み合わせて構成されるユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱媒体とで熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟まれて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記センサケーブルの動きに伴い弾性変形する弾性部材(50)が設けられていることを特徴とする。
【0023】
したがって、ユニットケーシングに対して熱交換器が相対的に振動して、センサケーブルが熱交換器側に引かれることが生じても、センサケーブルの動きに伴い弾性変形するので、センサケーブルに張力がかかることを抑制できる。このため、温度センサがユニットケーシングから外れたり、センサケーブルが切断したりすることを抑制できる。
【0024】
以上により、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制することができる。
【0025】
具体的には、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造において、前記第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせてケース貫通孔(11)を形成しており、
前記センサケーブルが前記ケース貫通孔を通して外側に延出するようになっており、
前記弾性部材(50)が、図1に示すように、前記ケース貫通孔の内側に配設されるように構成してもよい。
【0026】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造において、
前記熱交換器は、空気通路(33)を挟んでそれぞれ並行に配設されて前記熱媒体が流れる複数のチューブ(32)を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されて、前記センサケーブルが接続されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように形成されて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記弾性部材(50)は、図6に示すように、前記センサケーブルが貫通する中空部(51)を備えており、
前記センサハウジングには、図7に示すように、その側壁(41b)から延出して前記センサケーブルを支える支持部(41a)が設けられており、
前記緩衝部材の中空部内には、図8に示すように、前記支持部が圧入されることを特徴とする。
【0027】
したがって、緩衝部材の中空部内には、支持部がセンサケーブルとともに圧入されるので、例えば接着剤等の固定部材を用いることなく、緩衝部材に対して、支持部およびセンサケーブルが固定されることができる。
【0028】
ここで、請求項4に記載の発明によれば、図6に示すように、請求項3に記載の発明において、前記緩衝部材は、筒状に形成されているものを用いてもよい。
【0029】
また、請求項5に記載の発明によれば、図14に示すように、請求項2に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造において、前記熱交換器に前記熱媒体を流入させる第1の配管(R1)と、前記熱交換器から前記熱媒体を排出させる第2の配管(R2)と、を備えており、
前記第1、2の配管は、それぞれ、前記ケース貫通孔(11)を貫通して前記ユニットケーシングの外側に延出しているものであり、
前記緩衝部材は、前記第1、2の配管から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制するものであることを特徴とする。
【0030】
したがって、1つの緩衝部材によって、第1、2の配管から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する役割と、温度センサに不具合が生じることを抑制する役割とを果たすことができる。
【0031】
また、請求項6に記載の発明の如く、前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されて、前記センサケーブルが接続されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように形成されて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記弾性部材(50)は、図9に示すように、前記センサハウジングに固定されるように構成してもよい。
【0032】
請求項7に記載の発明では、ユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて、前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記熱交換器は、
それぞれ空気通路(33)を挟んで並行に配設されて熱媒体が流れる複数のチューブ(32)と、
前記空気通路内にて配設されて、前記複数のチューブ内の熱媒体と空気との間で熱交換するフィン(31)と、を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように設けられて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記センサエレメントには、図11に示すように、前記フィンとの間で係合する係合部(430)が設けられていることを特徴とする。
【0033】
したがって、熱交換器に対する温度センサの保持力を増すことができる。このため、ユニットケーシングに対して熱交換器が相対的に振動して、センサケーブルが熱交換器側に引かれることが生じても、温度センサがユニットケーシングから外れたり、センサケーブルが切断したりすることを抑制できる。以上により、請求項1に記載の発明と同様、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制することができる。
【0034】
請求項8に記載の発明では、ユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記熱交換器は、
それぞれ空気通路(33)を挟んで並行に配設されて熱媒体が流れる複数のチューブ(32)を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出して前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、
図12に示すように、前記センサハウジングから前記空気通路内に突出して前記チューブの先端部(32c)に係合する突起係合部(42a)と、を備えていることを特徴とする。
【0035】
したがって、熱交換器に対する温度センサの保持力を増すことができる。このため、ユニットケーシングに対して熱交換器が相対的に振動して、センサケーブルが熱交換器側に引かれることが生じても、温度センサがユニットケーシングから外れたり、センサケーブルが切断したりすることを抑制できる。以上により、請求項1に記載の発明と同様、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制することができる。
【0036】
請求項9に記載の発明では、
第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせて構成されるユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱媒体とで熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記センサケーブルは、図13に示すように、前記ユニットケーシング内にて、ループ状に配設されていることを特徴とする。
【0037】
したがって、ユニットケーシングに対して熱交換器が相対的に振動して、センサケーブルが熱交換器側に引かれることが生じても、センサケーブルに緊張が生じることを抑制できる。このため、温度センサがユニットケーシングから外れたり、センサケーブルが切断したりすることを抑制できる。以上により、請求項1に記載の発明と同様、熱交換器に振動が生じても、温度センサに不具合が生じることを抑制することができる。
【0038】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る車両用熱交換器のセンサ取付構造が適用されるクーラユニットの第1実施形態を示す。クーラユニットは、ブロアユニットおよびヒータユニットとともに、車室内空調ユニットを構成するものである。
【0040】
具体的には、クーラユニットは、図1、図2に示すように、ユニットケーシング10、緩衝部材20、エバポレータ30、および、温度センサ40を備えている。
【0041】
ユニットケーシング10は、ブロアユニットから吹き出される空気を流す空気通路を形成するものである。緩衝部材20は、例えば、ポリエチレンフォーム材料からなるもので、車両用空調ユニット10内面に沿い配設されて、エバポレータ30の振動がユニットケーシング10に伝わるのを抑制する。
【0042】
エバポレータ30は、図示しない圧縮機,凝縮器,受液器,減圧器とともに配管結合された周知の冷凍サイクルを構成する熱交換器であり、エバポレータ30は、緩衝部材20の内側に配設されて、冷媒と空気との間で熱交換して冷却・除湿するものである。
【0043】
具体的には、エバポレータ30は、複数のフィン31および複数本のチューブ32を備えており、複数本のチューブ32は、空気通路33を挟んでそれぞれ並行に配設されて、それぞれ、冷媒を流すものである。
【0044】
ここで、各フィン31は、図2に示すように、隣接する二本のチューブ32の間(すなわち、空気通路33)にてそれぞれ波状に形成されており、各フィン31は、それぞれ二本のチューブにろう付け接続されている。そして、各フィン31は、チューブ32内を流れる冷媒と、空気通路33を流れる空気との間で熱交換する。なお、図2は、図1中のX矢視図である。
【0045】
温度センサ40は、エバポレータ30の空気下流側側面に配置されて、エバポレータ30の表面温度(すなわち、エバポレータ30の温度に応じた温度情報)を直接的に検出する。この検出される表面温度は、吹出空気温度、吹出モードなどの各種の空調制御に用いられる。
【0046】
具体的には、温度センサ40は、センサハウジング41、クリップ42、センサエレメント43、および、センサケーブル44から構成されており、センサハウジング41は、樹脂製であって、エバポレータ30の外側(具体的には、空気下流側側面)に配置されている。
【0047】
クリップ42は、図2に示すように、センサハウジング41から延出するものであり、このクリップ42には、図3に示すように、その側面からそれぞれ突起する複数の突起部42aが設けられている。
【0048】
ここで、クリップ42は、二本のチューブ32の間の空気通路33内に差し込まれるものであり、各突起部420は、隣接するフィン31の各スリット31a(図1、図3参照)に差し込まれて係合する。なお、クリップ42は、請求項8に記載の突起係合部に相当する。
センサエレメント43は、例えば、サーミスタ等であって、センサハウジング41から針状にて延出しており、センサエレメント43は、二本のチューブ32の間の空気通路33内に差し込まれるものである。センサエレメント43は、フィン33およびチューブ32の表面温度を直接検出する。
【0049】
センサケーブル44は、センサハウジング41内でセンサエレメント43に接続されており、センサケーブル44は、図2に示すように、センサハウジング41の側壁から延出して、ユニットケーシング10の貫通孔11を貫通して電子制御装置(図示しない)に接続されている。
【0050】
ここで、ユニットケーシング10は、図4、図5に示すように、前側ケーシング12a、後側ケーシング12bを組み合わせて構成されており、貫通孔11は、前側ケーシング12aおよび後側ケーシング12bが嵌合されて形成される。なお、図4は、図1中のA矢視図であり、図5は図4中のB−B断面図である。
【0051】
ここで、貫通孔11内にはその内面に沿うように発泡部材50が配置されており、この発泡部材50は、図5に示すように、例えば板状のEPDM発砲材がセンサケーブル44に巻き付けられて筒状に形成されている。発泡部材50は、センサケーブル44の動きに応じて弾性変形してセンサケーブル44に張力がかかるのを抑制する。
【0052】
また、弾性部材50は、ユニットケーシング10の貫通孔41から空気が漏れることを抑制する役割を果たす。
【0053】
次に、本第1実施形態のクーラユニットの組付手順について説明する。当該クーラユニットの組み付けは、自動機によって行われるものである。
【0054】
先ず、前側ケーシング12a、後側ケーシング12b、エバポレータ30、温度センサ40、および板状の発砲材を個別に用意する。
【0055】
先ず、温度センサ40のセンサケーブル44に対して、板状発砲材を巻き付けて接着剤や接着テープ等の接着材料により固定する。このことにより、センサケーブル44に対して筒状の発泡部材50が固定されることになる。
【0056】
次に、エバポレータ30に対して温度センサ40のクリップ42およびセンサエレメント43を差し込むことにより、エバポレータ30に対して温度センサ40を取り付ける。
【0057】
この温度センサ40が取り付けられた状態のエバポレータ30を後側ケーシング12b内に収納して、この後側ケーシング12bに対して前側ケーシング12aを組み合わせる。
【0058】
ここで、センサケーブル44は、貫通孔11を貫通して、ユニットケーシング10の外側に延出する。そして、発泡部材50は、貫通孔11内にてセンサケーブル44の外側に配設されることになる。その後、後側ケーシング12bおよび前側ケーシング12aをネジ等の締結部材により固定する。以上により、クーラユニットが完成することになる。
次に、本第1実施形態の作用効果について説明する。
【0059】
すなわち、本第1実施形態のクーラユニットは、前側ケーシング12aおよび後側ケーシング12bを組み合わせて構成されるユニットケーシング10と、ユニットケーシング10内に収納されて、空気と冷媒とで熱交換するエバポレータ30と、ユニットケーシング10内に配設されて、エバポレータ30から振動がユニットケーシング10に伝導することを抑制する緩衝部材20と、前側ケーシング12aおよび後側ケーシング12bにより挟まれてユニットケーシング10の外側に延出するセンサケーブル44を有して、エバポレータ30に差し込まれて取り付けられてエバポレータ30の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ40と、を備えており、ユニットケーシング10内に配設されて、センサケーブル44の動きに伴い弾性変形する発泡部材50が設けられていることを特徴とする。
【0060】
したがって、緩衝部材20を採用したため、ユニットケーシング10に対してエバポレータ30が相対的に振動することが原因で、温度センサ40、ひいてはセンサケーブル44が振動することがあっても、センサケーブル44の動きに応じて弾性変形する。これに伴い、センサケーブル44がセンサハウジング41側に引きつけられても、センサケーブル44に張力がかかることを抑制することができる。このため、センサケーブル44の緊張に伴い、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けたり、センサケーブル44が切断したりするといった不具合が生じることを抑制することができる。
【0061】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、発泡部材50としては、板状発砲材をセンサケーブル44に巻き付けて接着部材で接着したものを例を示したが、これに代えて、本第2実施形態では、接着部材を用いなくても、発泡部材50をセンサケーブル44に固定するようにする。
【0062】
すなわち、本第2実施形態の発泡部材50は、図6に示すように、中空部51を有する筒状に形成されている。発泡部材50の中空部51内には、温度センサ50のセンサケーブル44が貫通している。
【0063】
一方、温度センサ50のセンサハウジング41には、図7に示すように、その側壁41bから半筒状に突出してセンサケーブル44を支える支持部41aが設けられている。そして、支持部41aは、発泡部材50の中空部51内に差し込まれている。
【0064】
ここで、センサケーブル44の厚み寸法L1および支持部41aの厚み寸法L2の合計寸法L(=L1+L2)は、中空部51の直径寸法Ltに比べて大きくなっている。厚み寸法L1は、センサケーブル44の長手方向に対して直交する方向の寸法であり、厚み寸法L2は、支持部41aの突出方向に対して直交する方向の寸法である。
【0065】
以上によれば、センサハウジング41の支持部41aが発泡部材50の中空部51内に差し込まれることにより、センサハウジング41の支持部41aが発泡部材50に圧入固定されることになる。したがって、接着剤等を用いなくても、発泡部材50を温度センサ40、ひいては、センサケーブル44に対して固定することができる。
【0066】
(第3実施形態)
上述の第1実施形態では、発泡部材50をユニットケーシング10の貫通孔11内に配置した例について説明したが、これに代えて、本第3実施形態では、図9に示すように、発泡部材50をクランプ60を介してセンサハウジング41に固定するようにする。
【0067】
すなわち、クランプ60は、センサハウジング41の側壁に接着等により固定されており、クランプ60には、図10に示すように、貫通孔61が設けられており、貫通孔61内に発泡部材50およびセンサケーブル44が圧入されてクランプ60に発泡部材50が固定される。なお、図10は、図9中のC矢視図である。
【0068】
(第4実施形態)
上述の第1実施形態では、発泡部材50を用いて、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制するようにした例について説明したが、これに代えて、本第4実施形態では、エバポレータ30に対する温度センサ40の保持力を増加させて、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制する。
【0069】
本第4実施形態は、センサエレメント43は、クリップ42と同様、側壁からそれぞれ突起する複数の突起部430が設けられている。各突起部430は、隣接するフィン31の各スリット31aに差し込まれてフィン31に係合する。
【0070】
したがって、フィン31に対してセンサエレメント43が保持されるので、エバポレータ30に対する温度センサ40の保持力を増加させることができて、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制することができる。
【0071】
(第5実施形態)
上述の第4実施形態では、エバポレータ30に対する温度センサ40の保持力を増加させて、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制するようにした例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、エバポレータ30に対するクリップ42の保持力を増加させる。
【0072】
本第5実施形態の温度センサ40のクリップ42としては、センサハウジング41からそれぞれ針状に突起する二本の針部が用いられる。これら針部の先端には、各鍵部42bが設けられており、各鍵部42bは、隣接するチューブ32の先端部32cに引っかかり保持される。
【0073】
以上により、温度センサ40のクリップ42がチューブ32の先端部32cに係合されて保持されるので、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制することができる。
【0074】
(第6実施形態)
上述の第1実施形態では、発泡部材50を用いてエバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けることを抑制する例について説明したが、これに代えて、本第6実施形態では、図13に示すように、ユニットケーシング10内にてセンサケーブル44をループ状(図13中のYA参照)に整形する。
【0075】
これによれば、ユニットケーシング10に対してエバポレータ30が相対的に振動することが原因で、温度センサ40、ひいてはセンサケーブル44が振動してセンサケーブル44にセンサハウジング41側に引きつけられても、センサケーブル44に緊張が生じることを抑制することができる。このため、エバポレータ30から温度センサ40のクリップ42が抜けるといった不具合が生じることを抑制することができる。
【0076】
(第7実施形態)
ところで、エバポレータ30には、冷媒を流入させるための冷媒配管R1と、冷媒を排出するための冷媒配管R2が接続されており、冷媒配管R1、R2は、ユニットケーシング10を貫通して外部に延出している。このため、冷媒配管R1、R2が振動してもその振動がユニットケーシング10に伝わるのを抑制する振動吸収部材が用いられる。
【0077】
本第7実施形態では、当該振動吸収部材を利用して、発泡部材50を構成するようにする。具体的には、図14、図15に示すように、発泡部材50は、ユニットケーシング10の貫通孔11内に配設されて、センサケーブル44および冷媒配管R1、R2が貫通している。
【0078】
なお、図15は、図14中のH矢視図である。図14中符号Kはクランプ部材であり、クランプ部材Kは、センサケーブル44をエバポレータ30に固定して図15に示す如く、ユニットケーシング10の貫通孔11に向かうように整形している。
【0079】
以下に、上述の各実施形態のクーラユニットの振動実験の結果について説明する。
【0080】
すなわち、エバポレータ30に対して加振方向を左右方向とし、5Hz〜500Hzまでの正弦波をランダムに与えて、エバポレータ30から温度センサ40が外れるに要する時間、すなわち、寿命時間を計測したところ、図16に示す如く、結果が得られた。
【0081】
図16において、従来品は、発泡部材50を用いていないクーラユニットであり、発明品1は、上述第1実施形態のクーラユニットであり、発明品2は、上述第2実施形態のクーラユニットであり、発明品3は、上述第3実施形態のクーラユニットであり、発明品4は、上述第4実施形態のクーラユニットであり、発明品5は、上述第5実施形態のクーラユニットであり、発明品6は、上述第6実施形態のクーラユニットである。以上によれば、従来品に比べて発明品1、2、5、6では、寿命時間が長時間になることが分かった。
【0082】
(その他の実施形態)
上述の第4、第5、第6実施形態では、発泡部材50を用いない例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0083】
すなわち、上述の第1、第2実施形態の如く、発泡部材50を用いる構成で、かつ第4、第5、第6実施形態の如く、エバポレータ30に対する温度センサ40の保持力を強化したり、或いは、センサケーブル44をループ状にしたりしてもよい。
【0084】
上述の各実施形態では、熱交換器としてエバポレータ30を用いた例について説明したが、これに代えて、ヒータコアを用いるようにしてもよい。
【0085】
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、冷媒が熱媒体に相当し、前側ケーシング12aが第1ケーシングに相当し、後側ケーシング12bが第2ケーシングに相当し、緩衝部材20が伝導抑制部材に相当し、突起部430が係合部に相当し、冷媒配管R1、R2が第1、第2の配管に相当し、貫通孔11がケース貫通孔に相当し、発泡部材50が弾性部材に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係る車両用熱交換器のセンサ取付構造が適用されるクーラユニットの第1実施形態を示す図である。
【図2】図1のクーラユニットのX矢視図である。
【図3】図1の温度センサの側面図である。
【図4】図1のクーラユニットのA矢視図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】(a)は図1の発泡部材の拡大図、(b)は発泡部材の側面図である。
【図7】本発明に係る第2実施形態の温度センサを示す図である。
【図8】図7の温度センサがクーラユニットに取り付けれた状態を示す図である。
【図9】本発明に係る第3実施形態の温度センサを示す図である。
【図10】図9の温度センサのC矢視図である。
【図11】本発明に係る第4実施形態の温度センサを示す図である。
【図12】本発明に係る第5実施形態の温度センサを示す図である。
【図13】本発明に係る第6実施形態の温度センサを示す図である。
【図14】本発明に係る第7実施形態の温度センサを示す図である。
【図15】図14の温度センサのH矢視図である。
【図16】第1〜7の実施形態の効果の比較を示す図表である。
【図17】従来のクーラユニットの斜視図である。
【図18】図17のI−I断面図である。
【図19】図17のJ矢視図である。
【図20】振動実験の説明図である。
【図21】振動実験の結果を示す図である。
【図22】クーラユニットの組付手順を示す図である。
【図23】クーラユニットの組付手順を示す図である。
【図24】クーラユニットの組付手順を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
10…ユニットケーシング、30…エバポレータ、40…温度センサ、
42…クリップ42、44…センサケーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせて構成されるユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱媒体とで熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟まれて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記センサケーブルの動きに伴い弾性変形する弾性部材(50)が設けられていることを特徴とする車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項2】
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせてケース貫通孔(11)を形成しており、
前記センサケーブルが前記ケース貫通孔を通して外側に延出するようになっており、
前記弾性部材(50)が前記ケース貫通孔の内側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項3】
前記熱交換器は、空気通路(33)を挟んでそれぞれ並行に配設されて前記熱媒体が流れる複数のチューブ(32)を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されて、前記センサケーブルが接続されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように形成されて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記弾性部材(50)は、前記センサケーブルが貫通する中空部(51)を備えており、
前記センサハウジングには、その側壁(41b)から延出して前記センサケーブルを支える支持部(41a)が設けられており、
前記緩衝部材の中空部内には、前記支持部が圧入されることを特徴とする請求項2に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項4】
前記緩衝部材は、筒状に形成されているものであることを特徴とする請求項3に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項5】
前記熱交換器に前記熱媒体を流入させる第1の配管(R1)と、 前記熱交換器から前記熱媒体を排出させる第2の配管(R2)と、を備えており、
前記第1、2の配管は、それぞれ、前記ケース貫通孔(11)を貫通して前記ユニットケーシングの外側に延出しているものであり、
前記緩衝部材は、前記第1、2の配管から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制するものであることを特徴とする請求項2に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項6】
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されて、前記センサケーブルが接続されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように形成されて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記弾性部材(50)は、前記センサハウジングに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項7】
ユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて、前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記熱交換器は、
それぞれ空気通路(33)を挟んで並行に配設されて熱媒体が流れる複数のチューブ(32)と、
前記空気通路内にて配設されて、前記複数のチューブ内の熱媒体と空気との間で熱交換するフィン(31)と、を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように設けられて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記センサエレメントには、前記フィンとの間で係合する係合部(430)が設けられていることを特徴とする車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項8】
ユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記熱交換器は、
それぞれ空気通路(33)を挟んで並行に配設されて熱媒体が流れる複数のチューブ(32)を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出して前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出して前記チューブの先端部(32c)に係合する突起係合部(42a)と、を備えていることを特徴とする車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項9】
第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせて構成されるユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱媒体とで熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記センサケーブルは、前記ユニットケーシング内にて、ループ状に配設されていることを特徴とする車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項1】
第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせて構成されるユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱媒体とで熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟まれて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記センサケーブルの動きに伴い弾性変形する弾性部材(50)が設けられていることを特徴とする車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項2】
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせてケース貫通孔(11)を形成しており、
前記センサケーブルが前記ケース貫通孔を通して外側に延出するようになっており、
前記弾性部材(50)が前記ケース貫通孔の内側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項3】
前記熱交換器は、空気通路(33)を挟んでそれぞれ並行に配設されて前記熱媒体が流れる複数のチューブ(32)を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されて、前記センサケーブルが接続されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように形成されて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記弾性部材(50)は、前記センサケーブルが貫通する中空部(51)を備えており、
前記センサハウジングには、その側壁(41b)から延出して前記センサケーブルを支える支持部(41a)が設けられており、
前記緩衝部材の中空部内には、前記支持部が圧入されることを特徴とする請求項2に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項4】
前記緩衝部材は、筒状に形成されているものであることを特徴とする請求項3に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項5】
前記熱交換器に前記熱媒体を流入させる第1の配管(R1)と、 前記熱交換器から前記熱媒体を排出させる第2の配管(R2)と、を備えており、
前記第1、2の配管は、それぞれ、前記ケース貫通孔(11)を貫通して前記ユニットケーシングの外側に延出しているものであり、
前記緩衝部材は、前記第1、2の配管から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制するものであることを特徴とする請求項2に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項6】
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されて、前記センサケーブルが接続されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように形成されて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記弾性部材(50)は、前記センサハウジングに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項7】
ユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて、前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記熱交換器は、
それぞれ空気通路(33)を挟んで並行に配設されて熱媒体が流れる複数のチューブ(32)と、
前記空気通路内にて配設されて、前記複数のチューブ内の熱媒体と空気との間で熱交換するフィン(31)と、を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出するように設けられて前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、を備えており、
前記センサエレメントには、前記フィンとの間で係合する係合部(430)が設けられていることを特徴とする車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項8】
ユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記熱交換器は、
それぞれ空気通路(33)を挟んで並行に配設されて熱媒体が流れる複数のチューブ(32)を備えており、
前記温度センサは、
前記熱交換器の外側に配置されるセンサハウジング(41)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出して前記温度情報を検出するセンサエレメント(43)と、
前記センサハウジングから前記空気通路内に突出して前記チューブの先端部(32c)に係合する突起係合部(42a)と、を備えていることを特徴とする車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【請求項9】
第1、第2ケーシング(12a、12b)を組み合わせて構成されるユニットケーシング(10)と、
前記ユニットケーシング内に収納されて、空気と熱媒体とで熱交換する熱交換器(30)と、
前記ユニットケーシング内に配設されて、前記熱交換器から振動が前記ユニットケーシングに伝導することを抑制する伝導抑制部材(20)と、
前記第1、第2ケーシング(12a、12b)により挟持されて前記ユニットケーシングの外側に延出するセンサケーブル(44)を有して、前記熱交換器に取り付けられて前記熱交換器の温度に応じた温度情報を検出する温度センサ(40)と、を備えており、
前記センサケーブルは、前記ユニットケーシング内にて、ループ状に配設されていることを特徴とする車両用熱交換器のセンサ取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−17406(P2006−17406A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196987(P2004−196987)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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