説明

車両用空調ダクトの配設構造

【目的】 空調ダクトのレイアウトを大幅に変更することなく空調風量を確保する。
【構成】 空調ダクト1はセンタダクト4とサイドベントダク5,6とを有する。センタダクト4とサイドベントダクト5とが、車両の車幅方向に延びるステアリング支持メンバ7の表面形状に対応する凹部4c,5c,5dを有する。ステアリング支持メンバ7に空調ダクト1を嵌合保持させる。よって空調ダクト1とステアリング支持メンバ7との間隙は必要なく、それを空調ダクトスペ−スとして利用できる。空調ダクト1をインストルメントパネル3側の部材として組付けることができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、車両用空調ダクトの配設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の空調ユニットは、例えば実開昭62−168910号公報に記載されるように、空調ユニットケ−ス(ヒ−タユニットケ−ス)に空調ダクトの一端が接続され、該空調ダクトの他端がインストルメントパネルの開口部に接続され、それによって車室内に空調風を供給するようになっている。
【0003】
ところで、インストルメントパネル内には、通常左右方向に延びるステアリング支持メンバが配設され、それとの干渉を防止するために、空調ダクトを、ステアリング支持メンバを回避するように配設するのが通例である(例えば特開昭63−176715号公報参照)。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、インストルメントパネル内部には各種部品が配設されているため、空調ダクトがステアリング支持メンバに近接して配設されるようなレイアウトとなる場合、空調ダクトの通路面積が制限を受け、十分な風量を確保することができない可能性がある。また、ステアリング支持メンバと空調ダクトとが干渉しないように間隙を設けるため、その点からも制約を受けていた。
【0005】
本考案は、空調ダクトのレイアウトを大幅に変更することなく風量を確保することができる車両用空調ダクトの配設構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は、ヒ−タユニットケ−スに空調ダクトの一端が接続され、該空調ダクトの他端がインストルメントパネルの開口部に接続されてなる車両用空調ダクトの配設構造を前提とし、上記空調ダクトが、車両の車幅方向に延びるステアリング支持メンバの表面形状に対応する凹部を有し、該ステアリング支持メンバに嵌合保持されている構成とする。
【0007】
【作用】
空調ダクトが、車両の車幅方向に延びるステアリング支持メンバの表面形状に対応する凹部を有するようにしているので、干渉することがない。また、ステアリング支持メンバに嵌合保持されているので、空調ダクトをインストルメントパネル側の部材として組付けることができ、組付けが容易となる。
【0008】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に沿って詳細に説明する。
【0009】
全体構成を示す図1において、1は空調装置の、合成樹脂製の空調ダクトで、一端4aがヒ−タユニットケ−ス(図示せず)の上部開口部に、他端4bがインストルメントパネル3の中央開口部3aにそれぞれ接続されているセンタダクト4と、一端5a,6aがセンタダクト3の側部開口部3b,3cに、他端5b,6bがインストルメントパネル3の側部開口部(図示せず)にそれぞれ接続されているサイドベントダクト5,6とを有する。
【0010】
7は車両の車幅方向に延びるステアリング支持メンバで、その左右端部が取付ブラケット8,8を介して車体(図示せず)に取付固定されるようになっている。上記空調ダクト1を構成するセンタダクト4とサイドベントダクト5は、ステアリング支持メンバ7の表面形状に対応する凹部4c,5c,5dを有し、該凹部4c,5c,5dにおいて空調ダクト1がステアリング支持メンバ7に嵌脱可能に嵌合保持されるようになっている。
【0011】
具体的には、図2及び図3に示すように、センタダクト4は、断面矩形状のダクト部11より前方かつ上方に吹出口部12が延び、該吹出口部12の先端部(一端4a)には、ベントグリル13が設けられるとともにインストルメントパネル3の中央開口部3aに接続されている。そして、吹出口部12のの下方部分においてはステアリング支持メンバ7が嵌脱可能に嵌合する凹部4cが形成されている。ベントグリル13と吹出口部12の先端部への取付けは、図3に示すように、ベントグリル13の基端部に形成された係合凸部13aに吹出口部12の先端部(一端4a)に形成されたフック12aを係脱可能に係合させることでなされている。尚、ベントグリル13はケ−シング14内に複数の縦フィン15と複数の横フィン16とが揺動可能に軸支されてなる。
【0012】
また、サイドベントダクト5の左右方向の中間部分は、図4に示すように、断面矩形状に形成され、その前側上部にステアリング支持メンバ7が係脱可能に係合する凹部5cが形成されている。サイドベントダクト5の側端部は、図5に示すように、前方へ屈曲して延びる吹出口部5eとして構成され、該吹出口部5eの先端部(他端5b)は、ベントグリル17が設けられるとともにインストルメントパネル3の側部開口部に接続されている。
【0013】
上記のように構成すれば、ステアリング支持メンバ7に空調ダクト1が嵌合保持されているので、従来必要としていたステアリング支持メンバ7と空調ダクト1との間の間隙を空調ダクト1の通路スペ−スとして活用することができる。よって、レイアウト等を変更することなく、必要なダクト通路面積を確保することができ、空調風量の確保において有利となる。それに加えて、空調風量の確保のために空調ダクト1のレイアウトの大幅な変更等の必要がないので、空調ダクト1のレイアウト等がインストルメントパネル3内の他部への影響を与えることがなくなり、その他の部分におけるレイアウトの自由度が増大する。
【0014】
また、ステアリング支持メンバ7に空調ダクト1が嵌合保持され、インストルメントパネル3がステアリング支持メンバ7に支持されていることから、空調ダクト1、インストルメントパネル3及びステアリング支持メンバ7が一体化されることとなり、その一体化されたアッセンブリ体を車体に組付けることができ、それらの組付けが容易である。
【0015】
上記実施例では、空調ダクト1のうち、センタダクト4と一方のサイドベントダクト5のみをステアリング支持メンバ7に嵌合保持させているが、センタダクトと両方のサイドベントダクトをステアリング支持メンバ7に嵌合保持させるようにすることもできる。
【0016】
【考案の効果】
本考案は、上記のように、空調ダクトに、ステアリング支持メンバに嵌合保持される凹部を形成するようにしたので、空調ダクトとステアリング支持メンバとが干渉することがなく、従来必要としていたステアリング支持メンバと空調ダクトとの間の間隙を空調ダクトの通路スペ−スとして活用することができ、空調風量確保において有利である。また、ステアリング支持メンバに空調ダクトが嵌合保持されているので、空調ダクトをインストルメントパネル側の部材として組付けることができ、車体への組付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用空調ダクトの配設構造を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】ベント吹出口付近の断面図である。
【図4】図1のIV−IV線における断面図である。
【図5】図1のV −V 線における断面図である。
【符号の説明】
1 空調ダクト
3 インストルメントパネル
4 センタダクト
4c 凹部
5,6 サイドベントダクト
5c,5d 凹部
7 ステアリング支持メンバ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ヒ−タユニットケ−スに空調ダクトの一端が接続され、該空調ダクトの他端がインストルメントパネルの開口部に接続されてなる車両用空調ダクトの配設構造であって、上記空調ダクトが、車両の車幅方向に延びるステアリング支持メンバの表面形状に対応する凹部を有し、該ステアリング支持メンバに嵌合保持されていることを特徴とする車両用空調ダクトの配設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】実開平5−58416
【公開日】平成5年(1993)8月3日
【考案の名称】車両用空調ダクトの配設構造
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−1429
【出願日】平成4年(1992)1月20日
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)